JP2011124416A - 気化器ユニット、これを含むガス輸送路および半導体処理システム - Google Patents

気化器ユニット、これを含むガス輸送路および半導体処理システム Download PDF

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一夫 氏家
Masaaki Tanaka
正昭 田中
Koichi Harita
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Abstract

【課題】送出原料ガスに混ざるミストの供給を抑え、パーティクルが発生し難い液体原料気化用の気化器ユニットおよびこれを含むガス輸送路そして半導体処理システムを提供する。
【解決手段】気化器1を原料ガス輸送配管の一部とし、これに接続された加熱装置とともに配管型の気化器ユニット10を構成する。気化室4は、外側に加熱部材21bを有する配管21aの入口側端部に霧化部5を配設することで形成し、気化室4の出口にサイクロン流生成部材32を配設してサイクロン流を生成することで加熱効率を向上させ残留ミストの発生を防止する。これにより気化器ユニット10を小型化して反応炉周辺での占有面積を低減し、反応炉から1m以下の近傍において気化器ユニット10を配置可能とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、気化器ユニット、これを含むガス輸送路および半導体処理システムに関し、詳しくは、液体半導体原料を気化させて原料ガスとしてCVD装置等の反応炉に供給する気化器ユニットおよびこれを含むガス輸送路において、反応炉に送る原料ガスに混ざるミストの供給を抑え、原料ガスの再凝縮によるフレークあるいはパーティクルの発生を抑止しかつ気化器ユニットを反応炉の近傍1m以下に配置をすることも可能な液体原料気化用の気化器ユニットおよびそのガス輸送路に関する。
CVD装置等の半導体製造装置のプロセス材料となる液体原料は気化器により気化されてガス化されてCVD装置等の反応炉に送出される。その気化器として霧化器と加熱気化室とを組み合わせたものが公知である。
気化器としては、まず、加圧キャリアガスによるスプレー式の霧化器を利用するものが公知である(特許文献1,2)。これは、加熱気化室の入口にスプレー式の霧化器を設けて霧化したミストを加熱気化室の内部空間に噴射して液体原料を蒸発させて気化するものである。
また、加圧キャリアガスによるサイクロン式の霧化器も公知である(特許文献3)。これは、スプレー式の霧化器に対して円形の内壁を持つ加熱気化室の入口から接線方向に加圧キャリアガスを噴射し、霧化したミストを加熱気化室の側壁に吹きつけて付着させ、側壁面でミストを加熱蒸発させて気化するものである。
さらに、球状(円筒形+椀型等)の気化室において超音波振動素子により霧化した液体原料に対してキャリアガスの旋回流を加えて加熱気化する気化器が公知である(特許文献4)。これは、加熱保温の球形バッファタンク、加熱保温のガス供給ライン(保温配管ライン)等を経て気化器で気化された原料ガスをCVD装置等の反応炉に供給する。
特開平3−126872号公報 特開平6−291040号公報 特開平9−25578号公報 特開平11−111644号公報
この種の気化器での問題点は、気化器でガス化された原料ガスが十分に気化されることなくミストが残ることである。そのために後段には加熱装置が必要となる。その結果、加熱装置を含む気化ユニットの占有面積が増加して気化ユニットを反応炉から離れた位置に配置せざるを得なくなる。
特に、スプレー式の霧化器を用いる特許文献1,2の気化器は、原料ガスの中に残る霧化したミストが気化器に接続されたガス供給ラインに層流となって流れるため、この層流に乗って反応炉にミストが送出されてしまう問題がある。そのため加熱装置,保温配管ライン、フィルタ等が必須になる。
また、ガス供給ラインにおける層流の流れは、配管壁面側でガスが停滞する問題がある。ガスの一部が壁面で停留したときには壁面への原料ガスによる再凝縮の付着が生じる。それにより高誘電率材料、低誘電率材料、低抵抗材料、強誘電体材料などの温度制御条件が厳しい、いわゆる低蒸気圧材料の液体原料の原料ガスにあっては、保温配管ラインの壁面で再凝縮されてフレーク、パーティクルが発生し易い欠点がある。
反応炉の近傍にはフィルタ、バルブ、排気系等の各種の装置が必要になる。その関係で気化器+加熱装置の気化器ユニットを反応炉の近傍に配置することは難しく、これらは反応炉から離れた位置に置かざるを得ない。その結果、反応炉までのガス供給ライン(保温配管ライン)が長くならざるを得ず、その分、原料ガス再凝縮の危険性が高くなる。
また、サイクロン式の霧化器を用いる特許文献3の気化器は、加熱された円筒の側壁面に霧化した原料を被着するために長期間使用すると壁面で液体原料による成膜が生じる問題がある。サイクロン流により成膜された原料は、剥がれてフレークを生じる。このフレークの一部は、パーティクルとなって反応炉にあるいは輸送路の層流に乗って反応炉に送出される。
さらに、超音波振動素子を利用して霧化し、キャリアガスの旋回流を利用して加熱気化する特許文献4の気化器にあっては、十分な気化を求めるために加熱保温の球形バッファタンクが補助タンクとして必要になる。しかも、保温配管ラインに流れるガスは層流となるので、壁面で再凝縮されてフレーク、パーティクルとなる可能性が高い。
加熱保温の球形バッファタンクは、補助気化器として気化器全体の構造を大きくする。そのため反応炉周辺での占有面積が増加し、この気化ユニットも反応炉から離れた位置に置かざるを得ない。その結果、気化器ユニットから反応炉までの距離を1m以下に短縮することは不可能に近い。
反応炉までのガス供給ラインが1m以上に長くなると、輸送途中に原料ガスが再凝縮される可能性が高くなり、それによるフレークやパーティクルの発生の危険性が増加する。
さらに、原料ガスの層流輸送はバルブでも問題を生じる。バルブは、通常、ダイヤフラムによりガス通路の開閉を行う。この関係で開閉時の動的圧力変化が大きい。低圧から高圧への圧力変化は、低蒸気圧液体材料を再凝縮させてダイヤフラムに付着させ、それがフレーク、パーティクルを発生させる原因になる。
この発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決するものであって、反応炉に送る原料ガスに混ざるミストの供給を抑え、パーティクルが発生し難い液体原料気化用の気化器ユニットおよびこれを含むガス輸送路を提供することにある。
また、この発明の他の目的は、原料ガスの再凝縮によるフレークあるいはパーティクルの発生を抑止しかつ気化器ユニットを反応炉の近傍1m以下に配置をすることも可能な半導体処理システムを提供することにある。
このような目的を達成するためのこの第1の発明の気化器ユニットの特徴は、液体原料を霧化し霧化した液体原料を加熱することで気化する気化器と気化された原料ガスを反応炉へと輸送するためにこの気化器に接続されたガス輸送管とを有する気化ユニットにおいて、
外側に加熱部材を有する配管路の一部として第1の管路の端部に液体原料を霧化する霧化器が設けられて気化器が形成され、ガス輸送管が配管路の他の一部あるいは第1の管路の一部として気化器において気化された原料ガスを加熱し、気化器からガス輸送管に流れる原料ガスの流れがサイクロン流にされるものである。
また、第2の発明の気化器ユニットを含むガス輸送路および半導体処理システムの特徴は、前記の気化ユニットと、この気化ユニットから反応炉までの間に設けられたバルブとを有し、バルブにおいてあるいはバルブより手前において気化ユニットから送出された原料ガスの流れをサイクロン流に変えてバルブ内部に原料ガスのサイクロン流を流すものである。
さらに、第3の発明の気化器ユニットを含むガス輸送路および半導体処理システムの特徴は、気化ユニットより後段における、外側に加熱部材を有する第2の管路と、この第2の管路との端部に設けられ前記原料ガスを濾過する筒形フィルタとサイクロン流をバルブに送出する第2のサイクロン流生成部材とを有し、筒形フィルタが第2の管路の管軸に沿って設けられ、この筒形フィルタが第2の管路の内径より小さい内径で頭部から側面までフィルタ材で構成され、頭部側から原料ガスのサイクロン流を受けるものである。
この発明は、気化器を配管の一部とし、これに接続された加熱装置をガス輸送管として形成することで配管型の気化器ユニットを実現している。それにより気化器ユニットを配管路に対応するように小型化して反応炉周辺での占有面積を低減でき、反応炉から1m以下の近傍において配置することを可能にする。
ここで、配管型の気化器ユニットの気化器は、配管路の一部として外側に加熱部材を有する配管の端部に霧化器が設けられることで形成される。
しかも、気化器から送出される原料ガスは、その流れがサイクロン流に変えられることでサイクロン流において効率よくガス輸送管により加熱することができる。これにより気化器で気化されていないミストをサイクロン状態で断面円形の輸送管の加熱壁面において十分に気化させることが可能になる。
原料ガスの流れをサイクロン流に変えるものとして、例えば、気化器の出口とガス輸送管との間にサイクロン流を生成するサイクロン流生成部材を設ける。これにより、保温配管ラインの形状を維持したまま、ガス輸送路の形状を変更することなくサイクロン流が生成できる。
ガス輸送管は、加熱器も兼ねた配管路を形成する配管型の加熱ユニットとなっているので、別途加熱装置を設ける必要がなく、配管の一部となっている気化器とともに気化器ユニットの占有面積を低下させ、しかも反応炉周辺における反応炉までの原料ガスの輸送路を短くすることができる。ガス輸送管の後段にもサイクロン流を生成するサイクロン流生成部材を設ければ、輸送される原料ガスは、反応炉の近くまで層流輸送にならないので、フレークやミストの発生が十分に抑制される。
また、バルブの入口側(流体供給口側)にサイクロン流を生成するサイクロン流生成部材を設けて保温配管ラインにバルブを挿入するようにすれば、ダイヤフラムの円板に沿って円形にサイクロン流が流れるので、ダイヤフラムの円板によるバルブ開閉時に発生する動的圧力変化を低減できる。さらにガス開閉時の円板に対するガス衝撃力をも低下させることができる。
これらにより、保温配管ラインにおいて加熱されるバルブの開閉によるフレークやパーティクルの生成を抑えることができる。
さらに、フィルタをサイクロン流を通過させ易い筒形フィルタとして配管型のフィルタユニットを構成すれば、さらり占有面積を低減でき、配管路、反応炉周辺機器の小型化が可能となる。特に、反応炉の手前にこの配管型のフィルタユニットを設けることで、よりクリーンな原料ガスを反応炉に供給できる。
なお、配管型のフィルタユニットは、頭部から側面まで多孔層のフィルタ材で構成された筒形フィルタを配管の内部に設けたものであって、頭部側から原料ガスのサイクロン流を受けるものである。
その結果、反応炉に送る原料ガスに混ざるミストの供給を抑えかつ気化効率が高く、パーティクルが発生し難い気化器ユニットを実現できる。
さらに、この気化ユニットと反応炉との間に接続されるガス輸送路およびこのガス輸送路を利用する半導体処理システムにおいては、気化器ユニットが小型化でき、その占有面積が低減されることから気化器ユニットを反応炉の近傍に配置することが可能となり、保温状態での原料ガス輸送距離として1m以下に短縮することも可能になる。その上、フレークやパーティクルの生成が抑制できる。
図1(a)は、この発明を適用した一実施例の配管型気化器ユニットの配管構造についての断面説明図である。 図2(a)は、図1の気化器におけるジェット噴射のスプレーヘッドの説明図、図2(b)は、配管型気化器ユニットにおけるガスケット型のサイクロン流成部材の正面図、図2(c)は、その縦断面説明図、図2(d)は、その筒状ノズルの横断面説明図である。 図3は、この発明を適用した一実施例の気化器ユニットより後段の配管構造についての断面説明図である。 図4(a)は、サイクロン流成部材としてのリボン付きガスケットの正面図、図4(b)は、その側面図、図4(c)は、その平面図である。 図5(a)は、エルボ型バルブの弁部ブロックの部分断面図、図5(b)は、その平面図である。 図6(a)は、サイクロン流成部材として円筒ノズルを有するライン型バルブの弁部ブロックの部分断面図、図6(b)は、その平面図である。 図7(a)は、ガスケットフィルタ管の管端部に設けられた筒形ガスケットフィルタの部分断面説明図であって、図7(b)は、筒形フィルタ付きガスケットが組込まれたガスケットフィルタ管の断面説明図である。 図8は、この発明を適用した他の一実施例の配管型の気化器ユニットの構造についての断面説明図である。 図9(a)は、筒状ノズルによる継手管型のサイクロン流成部材の斜視図、図9(b)は、その断面説明図、図9(c)は、捩れリボン継手管型のサイクロン流成部材の説明図である。 図10(a)は、サイクロン流生成溶接継手の側面図および底面図であり、図10(b)は、その縦断面図、そして図10(c)は、筒状ノズルの横断面図である。 図11(a)は、他のガスケット型のサイクロン流成部材を使用した配管型気化器ユニットのガスケット結合部分の断面説明図、図11(b)は、そのガスケット型のサイクロン流成部材の正面図、図11(c)は、その縦断面説明図、図11(d)は、その筒状ノズルの横断面説明図である。
図1において、10は、配管型の気化器ユニットであり、配管の端部に霧化器が設けられた配管型の気化器1とこれの出口1aにコネクタ接続された加熱輸送管2とを有し、気化器1の出口1aと加熱輸送管2の入口との接続部にはサイクロン流を生成するガスケット3が装着されている。
気化器1は、配管路を形成する細長い円筒形の気化室4と液体原料導入側の管端部に設けられた霧化器5とからなる。気化器1の反対側の原料ガス9の出口側の端部にはVCRコネクタの継手ナット(袋ナット)1bが設けられている。
ここでは、VCRコネクタの結合において気化器1と加熱輸送管2とが結合されてガス輸送の配管路が形成されている。
霧化器5は、スプレーノズル6と、液体原料とキャリアガスとを導入する液体・ガス導入管ユニット7とからなる。
スプレーノズル6は、配管路を形成する気化室4の円形の端部に設置され、気化室4の内部を臨むように、気化室4の細長い円筒の筒軸にその中心軸(噴射口)が一致するように固定されている。
霧化器5は、細長い円筒形の気化室4の壁面に霧化した原料の多くが付着し難いように筒軸に沿って細長く噴射する、いわゆるジェット噴射型(噴射速度は除く)のスプレーノズル6が霧化器5の先端側に設けられている。
スプレーノズル6は、図2(a)に示すように、外筒6aの先端が少し前に出たジェットノズルであって、外筒と内筒の間隙からキャリアガスを噴射することで内筒に供給された原料液を霧化して配管路を形成する細長い円筒の気化室4の内部空間に噴射する。
図2(a)に示すように二重管の内側にある内筒の原料液側のスプレーノズル6aは、外筒のスプレーノズル6bより2mm〜3mm程度後退した位置にある。これにより管軸を基準とした噴射角度を15〜20°程度までに抑えることができ、噴射領域を絞り、かつ、気化室4の管軸方向により長い距離に亙って霧化された液体原料を噴射することができる。
霧化器5とは反対側の接合部に設けられたガスケット3は、サイクロン流生成部材になっていて、層流をサイクロン流に変換する変換器である。
図2(b)に示すように、ガスケット3は、円板部材31とこの円板部材31から加熱輸送管2の管軸方向に沿って突出し、頭部が閉塞された筒状ノズル32とからなる。筒状ノズル32には、側面に吹出口33(図1,図2(c)参照)が設けられ、吹出し流が横方向(筒状ノズル32の筒軸方向ではなく、これに対してほぼ直交する方向)に噴射される。
円板部材31は、その外周が気化器1と加熱輸送管2とに挟まれることで流体の漏れ止めとして流体輸送路に装着されてガスケットとしての役割を果たす。この実施例では筒状ノズル32が原料ガス9の流れにおいて下流となる加熱輸送管2側に挿入されている。
図2(d)は、筒状ノズル32の横断面図であり、これに示すように、筒状ノズル32の外形は、気化器1の出口1aとの加熱輸送管2の接続部における内径よりも小さく、その筒軸は、加熱輸送管2の管軸の中心より加熱輸送管2の内壁面2a側にシフトして所定量Δd分オフセットしている。
ガスケット3の筒状ノズル32は、加熱輸送管2の内径より小さくかつこの内径の1/2以上の外径を有し、その内径は、加熱輸送管2の内径の1/4以上である。より好ましくは、外径を1/2より大きくしておき、その内径を加熱輸送管2の内径の1/2程度か、それ以上とするのがよい。これにより、吹出し量を多く採りかつ流体抵抗を低減できる。
気化器1と加熱輸送管2、そして後段の配管路を形成する管は、それぞれSUS(ステンレス・スチール)製であり、袋ナット1bは、コネクタ管8bに装着され、溶接線S2の位置においてこのコネクタ管8bを管本体8に溶接接合して気化器1の管路が形成されている。
また、同様に霧化器5側も溶接線S1の位置で霧化器5を搭載結合したコネクタ管8aを管本体に溶接して形成されている。
以下、加熱輸送管2の溶接線S3、S4も同様に袋ナットあるいはボルトナットを装着したコネクタ管を管本体に溶接接合してこれの管路が形成されている。
袋ナット1bは、管結合コネクタとして実質的に標準化されているCAJON社製の商品名VCRといわれる袋ナットであり、これと加熱輸送管2のガス導入側の端部に設けられたボルトナット2bとによりVCRの管継手コネクタが形成されて、ガスケット3を介して気化器1と加熱輸送管2とがコネクタ結合されて気化ユニット10の配管路が構築される。
このような管接続構造は、後述する温度センサ管11、ガス圧検出管12、T字型分岐管13、ガスケットフィルタ管16、バイパス管17においても同様である。
なお、1dは、袋ナット1bとコネクタ管8bのエッジフランジ1cとの間に設けられたスラストベアリングであり、コネクタの螺合結合を確実にするためのものである。以下の各管の袋ナットにおいても同じである。
21aは、気化器1の筒外周に装着された円筒状のアルミニュウム製の均熱熱伝導管(ヒータブロック)であり、これの外側にはリボンヒータ等を内蔵したジャケットヒータ21aが設けられている。これにより均熱熱伝導管21aが被覆され、これら均熱熱伝導管21aとジャケットヒータ21bとにより気化器1の外側にこれの加熱装置が形成される。
一方、加熱輸送管2側にはこれの筒外周に装着された均熱熱伝導管22aと、均熱熱伝導管22aの外側に設けられたジャケットヒータ22bとが設けられている。
液体・ガス導入管ユニット7は、同心円状に配置された二重管構造をした管であって、これの内筒が内筒ノズル6aに連通した液体原料導入管7aと、これの外筒が外筒ノズル6bに連通したキャリアガス導入管7bとからなる。
キャリアガス導入管7bは、液体・ガス導入管ユニット7の外筒に接続T字継手7cを介して接続されている。キャリアガス導入管7bの端部には管継手7dが設けられ、これを介してキャリアガス源(図示せず)に接続される。
一方、液体原料導入管7aは、端部に管継手7fが設けられ、これを介して液体原料源(図示せず)に接続されている。
ここで、ガスケット3の筒状ノズル32について説明すると、図2(b)〜図2(d)に示すように、円板部材31から突出した胴部32aと半球状に形成された頭部32b、そして円板部材31を貫通して開口した底部32cとからなる。底部32cは気化器1の出口1aに連通している。
図2(d)に示すように、吹出口33は、接線方向に対してθ=15°程度傾斜して設けられている。この角度は、5°〜30°程度の範囲から選択される。なお、接線方向は、筒状ノズル32において加熱輸送管2の内壁面2aに最も接近した位置において引かれたものである。
サイクロン流の吹き出し速度は、筒状ノズル32の開口の大きさと反応炉19(図3参照)側あるいは排気系20(図3参照)の負圧値、そして気化器1の内圧とに応じて増減する。それに応じて最適な角度と吹出口33の孔の大きさを選択するとよい。
吹出口33は、吹出す原料ガス9が加熱輸送管2の円形の内壁面2aに斜めから当たってサイクロン流となるように筒状ノズル32に長楕円形に穿孔されている。ここでの吹出口33は、サイクロン流生成のために吹出し位置に対応する加熱輸送管2の円形内壁の円周における接線方向に沿うように形成されている訳ではないが、筒状ノズル32の筒軸が加熱輸送管2の内壁面2a側にシフトして所定量Δd分オフセットしていることで、サイクロン流が生成され易くなっている。
言い換えれば、図2(d)に示すように、筒状ノズル32の中心の位置を加熱輸送管2の中心Oに対して内壁面2a側に偏心させて筒状ノズル32の外壁面と加熱輸送管2の内壁面2aとの間隔を狭くすることで間隔での圧力を高くして円形に吹き出し易くして内壁面2aに対して斜めから当るようにしている。
なお、以上の場合、筒状ノズル32の外壁面と加熱輸送管2の内壁面2aとは間隙がなく、これらが接触していてもよい。
これにより、吹出す原料ガス9は、加熱輸送管2の円形内壁面2aに斜めから当たってサイクロン流となる。その結果、気化器1の内部を層流となって流れる原料ガス9がガスケット3を経ることで、図示するように加熱輸送管2にサイクロン流となって流れ込む。
加熱輸送管2の溶接線S4で溶接された原料ガス9の出口側のコネクタ管には袋ナット2cがその端部に装着されている。
この加熱輸送管2の後段には温度センサ管11が設けられ、温度センサ管11には管中央部にT字継手11aが設けられている。このT字継手11aは、T字の足の部分内部に熱電対が挿着され、熱電対の先端側を温度センサ管11のガス輸送管路に臨ませ、その熱電対接続端子11bを足上部において固定する熱電対支持管になっている。
温度センサ管11は、加熱輸送管2の後段においてガス輸送路を形成してガス輸送路に流れる原料ガス9の温度を検出する管である。この温度センサ管11の両側端部にはそれぞれボルトナット11cと袋ナット11dとが設けられていて、ボルトナット11cが加熱輸送管2の袋ナット2cにガスケット3aを介して螺合結合してガス輸送管路を形成している。
なお、温度センサ管11の外側には、均熱熱伝導管23aとジャケットヒータ23bとが設けられている。
温度センサ管11の熱電対接続端子11bは、制御装置40に入力されて、温度制御回路41(図1参照)を経て各ジャケットヒータ21ba,22bの電力制御が行われることで、ガス輸送路の温度調整が行われる。
なお、各管路の温度調整は、個別に熱電対を内蔵するジャケットヒータによって自動調整されてもよい。
図3は、気化器ユニット10より後段の配管構造についての断面説明図である。
図3において、温度センサ管11の後段にはガス圧検出管12が設けられている。
ガス圧検出管12は、温度センサ管11の後段においてガス輸送路を形成してガス輸送路に流れる原料ガス9の圧力を検出する管である。このガス圧検出管12の両側端部にはそれぞれボルトナット12cと袋ナット12dとが設けられていて、ボルトナット12cが温度センサ管11の袋ナット11dにリボン付きガスケット30を介して螺合結合している。
ガス圧検出管12は、ダイアフラムにより圧力を検出するものであり、そのために管中央部にT字継手12aが設けられている。このT字継手12aに内装されたダイアフラム型圧力計12bは、T字の接続管がガス圧検出管12のガス輸送管路に連通することでそのダイアフラムの面がガス輸送管路に接している。
ガス圧検出管12の外側には、均熱熱伝導管24aとジャケットヒータ24bとが設けられている。
ここでのリボン付きガスケット30は、後述するようにガス輸送管路を流れる原料ガス9に対して緩やかなサイクロン流を形成するサイクロン形成部材である。
ガス圧検出管12の圧力計の検出信号は、制御装置40に入力されて、圧力制御回路42(図1参照)を経て液体・ガス導入管ユニット7への液体原料あるいはキャリアガスの圧力が制御され、ガス輸送路の圧力制御が行われる。
ガス圧検出管12の後段にはT字型分岐管13が設けられている。T字型分岐管13は、反応室19側につながるガスケットフィルタ管16と排気系20につながるバイパス管17とにそれぞれバルブ14,15を介して接続されている。
T字型分岐管13は、これの管本体13aの管中央部にT字継手13bが設けられている。このT字継手13bの入口側端部にはボルトナット13cが装着され、ボルトナット13cがガス圧検出管12の袋ナット12dにガスケット3bを介して螺合結合している。
また、管本体13aの反応室側の端部にはバルブ14の入力ポート(流体供給口)14aに螺合する袋ナット13dが装着され、これが入力ポート14aにリボン付きガスケット30aを介して結合されている。一方、管本体13aの排気側の端部にはバルブ15の入力ポート15aに螺合する袋ナット13eが装着され、これが入力ポート15aにリボン付きガスケット30bを介して螺合結合されている。
なお、入力ポート14aと入力ポート15aとの外周には袋ナットが螺合する雄ねじが切られている。
ガスケットフィルタ管16の両端には袋ナット16a,16bが装着されている。袋ナット16aは、バルブ14の出力ポート(流体排出口)14bにリボン付きガスケット30cを介して螺合結合し、袋ナット16bは、反応炉19の入力ポート19aにガスケットフィルタ18を介して螺合結合している。
バイパス管17にも両端に袋ナット17a,17bが装着されている。袋ナット17aは、バルブ15の出力ポート15bにリボン付きガスケット30dを介して螺合結合し、袋ナット17bは、排気系20の管路20aにガスケット3cを介して螺合結合している。
なお、出力ポート14bと出力ポート15bとの外周にも袋ナットが螺合する雄ねじが切られている。また、それぞれの管の外側には、バルブ14,15を除き均熱熱伝導管25a,28a,29aが設けられ、バルブ14,15を含めてジャケットヒータ25b〜29bとがそれぞれに設けられている。
ここで、制御装置40を介してバルブ駆動回路43によりバルブ14が開となり、バルブ15が閉となるバルブ制御が行われたときときには、リボン付きガスケット30cによりガスケットフィルタ管16に流れる原料ガス9サイクロン流となり、このガスの流れたそのままガスケットフィルタ管16の出口側の管端部に設けられたガスケットフィルタ18に供給される。
制御装置40を介してバルブ駆動回路43によりバルブ14が閉となり、バルブ15が開となるバルブ制御が行われたときには、リボン付きガスケット30dによりバイパス管17にも同様に原料ガス9のサイクロン流が流れる。このときには、初期状態で気化器1の気化が安定するまで、排気系20に気化器1から供給される原料ガスが排気されることになる。あるいは、気化器1を洗浄するためにパージガスが流されるときも同様である。
なお、溶接線S5〜S8は、それぞれのコネクタ管と管本体との溶接接合部である。
ここで、温度センサ管11とガス圧検出管12の和を1本のセンサ管ユニットとし、T字型分岐管13とバルブ14,15を1つの分岐管ユニットと考えて、気化器1から加熱輸送管2、センサ管ユニット(温度センサ管11+ガス圧検出管12)、分岐管ユニット(T字型分岐管13+バルブ14,15)、そしてガスケットフィルタ管16あるいはバイパス管17までの各管ユニット長について考えてみる。
それぞれの管ユニット長は、150mm〜200mmの長さの範囲で収まり、図1と図3で説明した気化器ユニット10から反応炉19あるいは排気系20までの配管路は、ここでは5段管ユニットの管接続システムで構成されることになる。
この5段管ユニット接続システムは、150mm×5〜200mm×5の範囲に収まり、1m以下にすることができる。
原料ガス9が流れる各管ユニットの内径は、20mmφ〜30mmφ程度であるが、気化器ユニット10の内径は、他の管ユニットの内径よりも少し大きく、40mmφ程度であってももよい。
次にリボン付きガスケット30,30a〜30dの構造をリボン付きガスケット30を代表として図4において説明する。
図4(a)〜図4(c)は、サイクロン流成部材としてのリボン付きガスケットの正面図、その側面図、そしてその平面図である。
図4(a),図4(b)に示すように、リボン付きガスケット30は、ガスケット300の円板の孔301の径が各配管の配管路の内径に対応していて、孔301の内周に捩れリボン302を溶接接合したものである。
捩れリボン302は、一方の直線状の端部と他方の直線状の端部とを管軸に対応する中心軸を中心として両端部を180°捩った平板でその幅が配管路の内径に対応しているSUS製の捩れ板である。
これにより、ガスケット3と同様に原料ガス9の層流の流れあるいは弱いサイクロン流に落ちてしまった原料ガス9を緩やかなサイクロン流に変換して後段の輸送路へと送出することができる。
リボン付きガスケット30は、捩れリボン302の捩れに沿って原料ガス9を管軸方向に案内することでサイクロン流を生成する構造となっているので、ガスケット3のような強いサイクロン流を生成するものではない。
図1のガスケット3によるサイクロン流生成は、気化器ユニット10の加熱輸送管2のように気化器1で気化されていないミストをサイクロン状態で効率よく気化させるときには配管路に流れる原料ガス9を強いサイクロン流に変換して効率的な熱交換を行う方が好ましい。しかし、単に管路の壁面側での原料ガスの停滞を防止して原料ガス9が再凝縮しないようにするためには、この捩れリボン302の捩れにより生成される緩やかなサイクロン流を生成することが原料ガス9の圧力変化を伴わない点で好ましい。
したがって、リボン付きガスケットは、再凝縮し易い原料ガスの再凝縮防止輸送に適している。
ただし、バルブ14,15の入力ポート14a,15aに設けられたリボン付きガスケット30a,30bは、サイクロン流生成という点ではこれとは別の作用効果をバルブ14,15のダイアフラムに対して与えている。以下、これについて説明する。
図3に戻り、バルブ14,15は、エルボ型バルブであって、アクチュエータブロック140,150と弁ブロック141、151とからなる。
アクチュエータブロック140,150の下側には、円盤状のダイアフラム142,152(図5(a)参照)がそれぞれ設けられている。
図5(a)は、エルボ型バルブの弁部ブロックの部分断面図、図5(b)は、その平面図である。
バルブ14を代表してエルボ型バルブについて図5(a)を参照して説明すると、図5(a)に示すダイアフラム142が装着される面には、図5(b)に示すように円形の縁143が設けられた円筒孔144が形成され、円筒孔144の中心部には円形の隔壁145が設けられている。
隔壁145の内側にあるガス導入孔145aがガス導入管146に連通して接続されている。隔壁145の外側の円形溝147にはガス排気用の孔148が形成されていて、これが排出管149に接続されている。
円板のダイアフラム142は、図5(a)に示すように、縁143に保持されて隔壁145の上部を被う形で湾曲して装着されている。ダイアフラム142の中心部には、隔壁145の円形(外径)より一回り大きい径の円柱のロッド140aがダイアフラム142の中央部を介して隔壁145に接触する。
これら縁143と隔壁145との高さは等しく、アクチュエータブロック140の駆動によりロッド140aが降下し、このときダイアフラム142は、その中心部の上部が押圧されて隔壁145の上部に密着する。これによりバルブ14の弁が閉となる。アクチュエータブロック140の駆動が解除されると、ダイアフラム142は湾曲して元の体勢に戻り、これによりバルブ14の弁が開となり、隔壁145の上部に間隙流路が形成される。
そこで、ダイアフラム142は、弁が閉じられたときに隔壁145の上部に密着してガス導入孔145aの上部を被い、溝147とガス導入孔145aとを隔絶して流体通路が閉じられる。弁が開かれたたときには隔壁145の上部に間隙流路が形成されてガス導入孔145aと溝147とが連通してガス導入管146から導入された原料ガス9が溝147へと導かれる。そして、円形溝147からガス排気用の孔148を通って排出管149へと原料ガスが排出される。
ガス導入孔145aは、図5(b)に示す導入管146を通してリボン付きガスケット30aのある入力ポート14aに接続されている。ガス導入管146には、入力ポート14aに接続される途中において管路がテーパとなるテーパ部146aが設けられている。
そこで、リボン付きガスケット30aによりサイクロン流となった原料ガス9は、導入管146からサイクロン流としてガス導入孔145aに送出され、それが矢印で示すように隔壁145へと拡散していく。
一方、弁が閉じられたときにはサイクロン流となった原料ガス9は、隔壁145に沿って流れてその流れが遮断される。このとには原料ガス9がダイアフラム142の開閉面に沿って平行に流れているのでガス遮断時の圧力変化が抑えられる。同様に、弁が開かれたときにはサイクロン流となった原料ガス9の流れが隔壁145に沿って流れてその流れが溝147に沿って円形に流れ出す。このときにも原料ガス9がダイアフラム142の開閉面に平行に原料ガス9が流れているのでガス開放時の圧力変化は小さくて済む。
これにより、バルブ14での原料ガス9の再凝縮が低減され、ダイアフラム142の開閉面には原料ガス9による付着物が発生しにくい。そこで、特に、低蒸気圧原料のときにはこのようなサイクロン流開閉によるバルブの構造が有効になる。
なお、バルブ15の構造も同様であるので、その説明は割愛する。
図6(a)は、ライン型バルブの弁部ブロックの部分断面図、図6(b)は、その平面図である。これは、気化器ユニット10より後段の配管構造においてより強いサイクロン流をもって原料ガス9を送り出し、その際のバルブ開閉をする場合に有効となる。
なお、図6(a)では、図5(a)の弁部ブロックとはガス入力側と出力側とが左右反転している。
入力側のポート14aにリボン付きガスケット30aに換えてガスケット3が設けれ、入力側のポート14aが出力側のポート14bと対向して配置されている以外は、図5(a),図5(b)に示す弁構造と実質的な相違はない。図6(b)における各部の符号は、図1(b)のものと対応している。そこでその詳細説明は割愛する。
図7(a)は、ガスケットフィルタ管16の管端部に設けられた筒形ガスケットフィルタ18の部分断面説明図であって、図7(b)は、筒形フィルタ付きガスケット18が組込まれたガスケットフィルタ管16の断面説明図である。
図7(a),図7(b)に示すように、円筒のガスケットフィルタ18は、ガスケットフィルタ管16の内径より小さい内径で頭部から側面まで多孔層のフィルタ材で構成された筒状のガスケットフィルタである。
ガスケットフィルタ18は、ガスケット18aとフィルタ円筒18bとからなり、ガスケット18aの円板の孔18cの径がフィルタ円筒18bの筒孔に対応している。フィルタ円筒18bの外径が配管の配管路の内径より小さく、孔18cの内周にフィルタ円筒18bの円形底面をフィルタ台座18dを介して溶接接合して形成される。
フィルタ台座18dは、ガスケットフィルタ管16を流れる原料ガス9を通過させないものであり、ガスケット18aの中心開口18caの内周部分から起立して設けられ、多孔質部材(フィルタ材)にはなっていない、円筒フィルタ18bと結合するこれの台座である。ガスケット18aの中心開口18cの径がフィルタ台座18dの内径と円筒フィルタ18bの筒孔に対応している。
孔18cの径は、フィルタ円筒18bの底部の孔径に対応し、孔18cの中心とフィルタ円筒18bの筒軸とが一致している。
図7(b)に示すように、ガスケット18aは、フィルタ円筒18bの筒軸がガスケットフィルタ管16の管軸に一致するように管軸に沿ってガスケットフィルタ管16の反応炉19側の端部に装着され、フィルタ円筒18bの頭部側がバルブ14の出力ポート14bに向き、出力ポート14bからの原料ガス9のサイクロン流を受けるものである。
ガスケットフィルタ18は、原料ガス9のサイクロン流がガスケットフィルタ管16の内壁とフィルタ円筒18bの外壁との間に入ることで、ここにミストあるいはパーティクルを導き、ミストあるいはパーティクルを反応炉19側に通過させずにガスケット18aの円形の底に堆積させる機能がある。しかも、クリーンな原料ガス9は、優先的にフィルタ円筒18bの頭部と側壁から通過して反応炉19へと導かれる。
なお、フィルタ台座18dを側面は、所定の幅で閉塞されていて、閉塞した端部とともにガスケットフィルタ管16を流れる原料ガス9を通過させない領域とされ、この部分にミスト、フレーク、パーティクル、その他のゴミ、不純物等をトラップするトラップ領域18e(図7(b)参照)が形成されている。
なお、長い円筒フィルタを形成しておき、その底部側面を所定の幅、例えば、5mm〜20mmの範囲の幅に亙って閉塞して、台座と同様な領域を作成し、ガスケットフィルタ管16の閉塞した管端部とともにトラップ領域18eを形成することができるからである。
図8は、この発明を適用した他の一実施例の配管型の気化器ユニットの構造についての断面説明図である。
図1では気化器1の出口と加熱輸送管2との接続箇所にガスケット3が挿入されているが、図8では、このガスケット3がサイクロン流を生成するリボン付きガスケット30fに置き換えられている。
これは、加熱輸送管2に導入されるサイクロン流の流速を緩やかにすることで、サイクロン輸送される原料ガスの圧力変化を抑える目的があってのことである。これは、特に、低蒸気圧材料の液体原料の原料ガスを輸送する場合に適した構造である。
この場合、図1に示すガスケット3を使用した場合よりも加熱輸送管2における原料ガスの加熱効率は低下するが、その分は、必要に応じて加熱輸送管2の長さを長くすれば済むことである。これにより、加熱輸送管2でのフレームやパーティクルの発生を抑制することができる。
図9(a)は、筒状ノズルによる継手管型のサイクロン流成部材の斜視図、図9(b)は、その断面説明図である。
34は、サイクロン流生成溶接継手管であって、図1に示すガスケット3に換えて使用される。気化器1の出口1aと加熱輸送管2の入口との間に挿入され、溶接接合されてこれらを結合する。
サイクロン流生成継手管34は、短い円筒管であって、その内部には、ガスケット3に対応する構造のサイクロン流生成ユニット35が設けられている。
なお、図9(a)では、サイクロン流生成溶接継手管34の内部構造を説明するために外側を透明として図示してある。
サイクロン流生成ユニット35は、円板部材36とこの円板部材36から円筒管の流体流出方向に沿って突出し、頭部が閉塞された筒状ノズル37とからなり、サイクロン流生成継手管34の内壁面34aに円板部材36の周面が溶接固定されてサイクロン流生成継手管34に内装される。筒状ノズル37には吹出口38が設けられている。
円板部材36と筒状ノズル37、そしてその吹出口38の構造は、それぞれガスケット3の円板部材31と筒状ノズル32、そして吹出口33とにそれぞれ対応している。サイクロン流生成継手管34の内壁面34aに対する吹出口38の形成位置は、前記した加熱輸送管2の内壁面2aに対する吹出口33との関係と同じである。
なお、サイクロン流生成継手管34と加熱輸送管2の内径は等しい。
これにより、図9(b)に示すように、加熱輸送管2に流入した原料ガス9は、空間周期の短い強いサイクロン流となって、加熱輸送管2を流れる。
したがって、ガスケット3に換えてこのサイクロン流生成継手管34が気化器1の出口と加熱輸送管2との接続箇所、あるいはその他のガス輸送路の結合箇所に溶接接合により設けることができる。
図9(c)は、捩れリボン継手管型のサイクロン流成部材の断面説明図である。
図9(c)の断面図に示すように、捩れリボン継手管型のサイクロン流成部材39は図9(a)の筒状ノズル37をリボン30gに置換え、継手管の管内径に対応する板幅のリボンリボン30gを継手管に装着したものである。その詳細説明は割愛する。
図10は、この発明のサイクロン流生成継手管を適用した他の実施例のサイクロン流生成溶接継手の説明図である。
図10(a)は、その側面図および底面図であり、図10(b)は、その縦断面図、そして図10(c)は、筒状ノズルの横断面図である。
各図において、84は、サイクロン流生成継手管であり、ガスケット3と同様に図1における気化器1と加熱輸送管2との間に狭持され、溶接接合されて気化器1と加熱輸送管2とを結合するガスケット形継手管である(図10(b)の二点鎖線参照)。
サイクロン流生成継手管84は、継手管本体85と筒状ノズル86とからなる。筒状ノズル86は、図10(c)に示すように加熱輸送管2の内径より小さくかつこの内径の1/2以上の外径を有し、その内径は、1/2よりも少し小さく、1/4よりも大きい。
継手管本体85は、図1,図2(b)に示す筒状ノズル付きガスケット3に対応して流体輸送路に装着されるものであって、継手管本体85の管軸方向の中央位置にはこれの外周に沿ってフランジ85aが設けられている。このフランジ85aが流体の漏れ止めとして流体輸送路に装着されるガスケットと同様な役割を果たしている。
この点で継手管本体85のフランジ85aがガスケット3の円板部材31に相当し、これに管接続部85c,85dが一体化して厚さの厚い円板部材が形成されている。なお、管接続部85cは、管接続のための部材であり、サイクロン生成には直接関係しておらず、フランジ85aの両側の管接続部85c,85dの径が気化器1と加熱輸送管2の内径に対応している。その管接続部85c,85dが管嵌合部となって、フランジ85aを挟んで気化器1と加熱輸送管2の端部がそれぞれ嵌合してこれらに溶接接合される(図10(b)の二点鎖線参照)。これにより加熱輸送管2に内装固定される。
このとき、継手管本体85の中心は、図1における気化器1と加熱輸送管2との管軸に一致するように配置されるが、筒状ノズル86の筒軸は、図1,図2(b)に示すガスケット3と同様に継手管本体85の中心より継手管本体85の内壁面側に偏位(オフセット)している。
この実施例では、気化器1と管加熱輸送管2の端部が図2(b)における円板部材31に対応するフランジ85aを介して継手管本体85に溶接結合することでサイクロン流生成溶接継手が形成されている。言い換えれば、気化器1と管加熱輸送管2の端部がサイクロン流生成溶接継手管の一部をなしている実施例である。
気化器1と管加熱輸送管2の端部をサイクロン流生成溶接継手管の一部とするために円板部材から突出する筒状ノズル86の形態を管接続部85c,85dを有する階段状の円筒にして継手管本体85を形成し、その両端で流体輸送管を溶接接合できるようにしてある。そこで両端の径を気化器1と加熱輸送管2の内径に対応させている。
継手管本体85は、厚さの厚い板状の部材であって、中心から偏心した位置に継手管本体85を貫通して貫通孔85bが穿孔されている。この貫通孔85bに連通して筒状ノズル86が貫通孔85bの中心に筒軸を一致させて接合形成されている。
筒状ノズル86には、ガスケット3と同様にサイクロン流生成のための吹出口86aが形成されていて、頭部は半球状に閉塞されている。吹出口86aの形成位置は、前記した加熱輸送管2の内壁面2aに対する吹出口13あるいは吹出口13aとの関係と同様であるが、ここでは、さらに吹出口86aは、加熱輸送管2の内径の1/2の径が作る円よりも外側に位置している。これにより、加熱輸送管2の内壁面2aに吹出流が当たるとき当たる位置での接線に対する吹出流の傾斜角をより小さくできる。
これにより、図1の実施例と同様にサイクロン流生成管路が形成される。
図11(a)は、他のガスケット型のサイクロン流成部材を使用した配管型気化器ユニットのガスケット結合部分の断面説明図、図11(b)は、そのガスケット型のサイクロン流成部材の正面図、図11(c)は、その縦断面説明図、図11(d)は、その筒状ノズルの横断面説明図である。
図11(a)の横断面図に示すように、ガスケット100は、図1と図2(b)〜(d)に示すガスケット3と同様に袋ナット1bとボルトナット2bとによる管継手コネクタにより結合された気化器1と加熱加熱輸送管2との間に挿入されている。
101は、図2(b)の筒状ノズル32に対応するガスケット100の筒状ノズルであって、筒状ノズル101の側面には吹出口102a,102b,102c(図11(d)参照)が穿孔されている。
円筒ノズル101は、図1の場合と異なり、この例では筒状ノズル101が原料ガス9の流れにおいて上流となる気化器1の出口1a側に挿入されている。
ここでは、加熱加熱輸送管2と気化器1の内径は等しく20mmφ〜30mmφ程度としている。そこで、図11(b)に示すように、円板部材104は、図2(a)の円板部材31aに対応していて厚さが1.6mmであり、外径が30mmφ〜40mmφ程度の円板である。吹出口102a,102b,102cは、円板部材104の表面から2.5mm〜5mmの高さ位置に形成されている。円板部材104の表面から孔径の倍以上吹出口の位置が離れていないと、筒状ノズル101の円形内壁面にガス4の吹出流が十分に当たらなくなるからである。筒状ノズル101の外径は9.5mmφである。
円板部材104に結合する位置での筒状ノズル101の外径は、加熱加熱輸送管2との気化器1の接続部となる出口1aの内径の1/2の径よりも大きく、筒状ノズル101の頭部103が半球状に閉塞されて筒状ノズル101が帽子形状になっている。その高さは8mmであり、吹出口102a,102b,102cの孔径は、例えば1.0mmφであって、これは、0.5mmφ〜3mmφの範囲から選択される。
筒状ノズル101の内径は8.8mmφであり、筒状ノズル101の厚さは0.7mmである。
なお、気化器1の出口1aの内径は、筒状ノズル101の外径より大きく、筒状ノズル101の内径は、加熱加熱輸送管2の内径と等しいか、これより小さいものであればよい。
図11(c)の断面図に示すように、吹出口102a,102b,102cは、筒状ノズル101の筒軸に直交する面に沿ってかつ筒状ノズル101の円形内壁面に接線方向で接続するように側面において筒状ノズル101の外周に対して等間隔で穿孔された3個の孔である。
この3個の各孔の接線方向での接合は、筒状ノズル101の内径が8.8mmφのときには筒状ノズル101の筒軸に直交する面内で接続箇所に立てた法線Nに対して傾斜角θがθ=60°程度の傾斜になる。
このように背が低く、頭部が半球状のものは、特に、流体が流れる上流側の加熱加熱輸送管2が機器等の管状の出口ポート(流体送出口)であっても出口ポートに装着し易い利点がある。これによりガスケット100の利用範囲がより拡大する。言い換えれば、加熱加熱輸送管2は、機器,バルブ等の管状の出口ポートなどガスケットとして装着可能な管状のポートであってもよい。もちろん、図2(b)に示すガスケット3も前記のような出口ポートへの装着は可能である。
以上説明してきたが、実施例では、多くの管接合箇所にサイクロン流生成ガスケットあるいはリボン付きガスケットを設けて、ガス輸送管路全体にサイクロン流が流れるようにしているが、この発明にあっては、実施例のように主要な接合部にサイクロン流生成部材を設ける必要はない。
この発明は、少なくとも気化器1から送出される原料ガスの流れをサイクロン流に変えて加熱加熱輸送管2に流せるような箇所に設けられていればよい。
また、実施例の捩れリボンの捩れ角度は、180°になっているが、この発明の捩れは、これに限定されるものではなく、360°を越えた捩れであってもよいことはもちろんである。
さらに、実施例におけるサイクロン流生成部材は、サイクロン流生成のガスケット、サイクロン流生成の継手管等を挙げているが、この発明は、これらのほか各種のサイクロン生成部材、あるいはサイクロン生成構造を用いて配管路においてサイクロンを生成してもよいことはもちろんである。
1…気化器、2…加熱輸送管、
3,3a,3b,3c…ガスケット、4…気化室、
5…霧化器、6…スプレーノズル、
7…液体・ガス導入管ユニット、8…管本、
8a,8b…コネクタ管、9…原料ガス、10…気化器ユニット、
11…温度センサ管、12…ガス圧検出管、
13…T字型分岐管、14,15…バルブ、
16…ガスケットフィルタ管、17…バイパス管、
18…ガスケットフィルタ、19…反応炉、20…排気系、
21a〜25a,28a,29a…均熱熱伝導管、
21b〜29b…ジャケットヒータ、
30,30a〜30f…リボン付きガスケット、31,36…円板部材、
32,37…筒状ノズル、33,38…吹出口、
34…サイクロン流生成溶接継手管、35…サイクロン流生成ユニット、
40…制御装置、41…温度制御回路、42…圧力制御回路、43…バルブ駆動回路。

Claims (16)

  1. 液体原料を霧化し霧化した液体原料を加熱することで気化する気化器と気化された原料ガスを反応炉へと輸送するために前記気化器に接続されたガス輸送管とを有する気化ユニットにおいて、
    前記気化器は、外側に加熱部材を有する配管路の一部として第1の管路の端部に前記液体原料を霧化する霧化器が設けられて形成され、
    前記ガス輸送管は、前記配管路の他の一部あるいは前記第1の管路の一部として前記気化器において前記気化された前記原料ガスを加熱し、
    前記気化器から前記ガス輸送管に流れる前記原料ガスの流れがサイクロン流にされる前記ガス輸送管に流れる気化ユニット。
  2. 前記ガス輸送管は、前記第1の管路の一部として前記気化器の出口に接続され、この出口と前記ガス輸送管の接続部には前記原料ガスの流れをサイクロン流に変える第1のサイクロン流生成部材が装着されている請求項1記載の気化ユニット。
  3. 前記霧化器のノズルは、第1の管路の管軸に対する噴射角が20°以下の角度になっている請求項2記載の気化ユニット。
  4. 前記第1のサイクロン流生成部材は、板状の部材とこの板状の部材から突出する筒状ノズルとを有し前記ガス輸送管と前記気化器の出口との間に設けられたガスケット、継手管あるいは前記板状の部材に管接続部を有する継手管本体であって、
    前記筒状ノズルは、その頭部が閉塞され、これが挿入されている管の内径より小さい外径と開口した底部とを有し、前記筒状ノズルの外側または内側に前記原料ガスが吹出す吹出口がその側面に形成され、前記吹出口から吹出す前記原料ガスが前記挿入されている管の円形内壁面あるいは前記筒状ノズルの円形内壁面に斜め方向から当たってサイクロン流が生成される請求項2記載の気化ユニット。
  5. 前記継手管本体は、前記ガス輸送管と前記気化器の出口との間に設けられ、前記板状の部材は、前記ガス輸送管あるいは前記気化器の出口が接続される前記管接続部と一体的に形成され、前記吹出口から吹出す前記原料ガスが当たる前記挿入されている管の円形内壁面は、前記ガス輸送管あるいは前記気化器の円形内壁面である請求項4記載のサイクロン流生成継手管。
  6. 前記第1のサイクロン流生成部材は、前記接続部に装着され管軸方向に沿って捩れた捩れ板であって、前記送出される原料ガスが前記捩れ板の捩れに沿って流れることでサイクロン流が生成される請求項2記載の気化ユニット。
  7. 前記捩れ板は、入口側の板端部と出口側の板端部とが180°捩られたものであり、前記原料ガスが常温で液体もしくは固体の低蒸気圧材料である請求項6記載の気化ユニット。
  8. 前記気化器と前記ガス輸送管は周囲に加熱ブロックを有し、温度制御可能な加熱輸送路になっている請求項4又は6記載の気化ユニット。
  9. 前記吹出口から吹出す前記原料ガスが前記挿入されている管の円形内壁面に斜め方向から当たるときには、前記筒状ノズルの筒軸は、前記挿入されている管、前記継手管あるいは前記継手管本体の管軸に対して前記円形内壁面の側に所定量オフセットし、前記原料ガスは、前記原料ガスの吹出し位置に対応する前記円形内壁面の円周に沿うように前記筒状ノズルの筒軸方向に対して横方向に吹出される請求項4記載のサイクロン流が生成される気化ユニット。
  10. 前記吹出口から吹出す前記原料ガスが前記筒状ノズルの円形内壁面に斜め方向から当たるときには、前記筒状ノズルの筒軸は、前記挿入されている管の管軸に一致するように配置され、前記吹出口は、前記筒状ノズルの側面に斜めに穿孔されている請求項4記載のサイクロン流生成ガスケット。
  11. 前記吹出口は、前記筒状ノズルの筒軸に直交する面に沿ってかつ前記筒状ノズルの円形内壁面に接線方向で接続するように穿孔され、複数個設けられている請求項10記載のサイクロン流生成ガスケット。
  12. 請求項1乃至11のいずれか記載の気化ユニットと、この気化ユニットから反応炉までの間に設けられたバルブとを有し、前記バルブにおいてあるいは前記バルブより手前において前記気化ユニットから送出された前記原料ガスの流れをサイクロン流に変えて前記バルブ内部に前記原料ガスのサイクロン流を流す気化ユニットを含むガス輸送路。
  13. さらに、前記気化ユニットより後段における、外側に加熱部材を有する第2の管路と、この第2の管路との端部に設けられ前記原料ガスを濾過する筒形フィルタと、前記サイクロン流を前記バルブに流す第2のサイクロン流生成部材とを有し、前記筒形フィルタは、前記第2の管路の管軸に沿って設けられ前記第2の管路の内径より小さい内径で頭部から側面までフィルタ材で構成され、前記頭部側から前記原料ガスのサイクロン流を受ける請求項12記載の気化ユニットを含むガス輸送路。
  14. 請求項1乃至11のいずれか記載の気化ユニットと、反応炉と、前記気化ユニットから前記反応炉までの間に設けられたバルブとを有し、前記気化ユニットから送出された前記原料ガスの流れをサイクロン流に変えて前記バルブに前記原料ガスのサイクロン流を流す半導体処理システム。
  15. さらに、前記気化ユニットより後段における、外側に加熱部材を有する第2の管路と、この第2の管路との端部に設けられ前記原料ガスを濾過する筒形フィルタと、前記サイクロン流を前記バルブに流す第2のサイクロン流生成部材とを有し、前記筒形フィルタは、前記第2の管路の管軸に沿って設けられ前記第2の管路の内径より小さい内径で頭部から側面までフィルタ材で構成され、前記頭部側から前記原料ガスのサイクロン流を受ける請求項14記載の半導体処理システム。
  16. 前記筒形フィルタは、ガスケットと一体的に形成された筒形フィルタ付きガスケットとして前記第2の管路と前記反応炉との間に装着され、前記筒形フィルタが前記第2の管路に提供され、前記筒形フィルタの底部にはトラップ領域が形成されている請求項15記載の半導体処理システム。
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