JP2011123222A - 再帰反射シート - Google Patents

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桂 越智
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広樹 中沢
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Keizo Takayama
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Abstract

【課題】緑色封入レンズ型再帰反射シートにおいて、従来の緑色封入レンズ型再帰反射シートよりも高い再帰反射性能を持ち、Y値も大きく、かつアルミ板、アクリル板等の基材に該再帰反射シートを貼着後皺の発生がない緑色封入レンズ型再帰反射シートを提供する。
【解決手段】少なくとも表面保護層、ガラス球を保持する1層以上の保持層、ガラス球、焦点形成層、と鏡面反射層からなる封入レンズ型再帰反射シートにおいて、初期の色相が、XYZ表色系において(x,y)=(0.062,0.370)(0.172,0.328)(0.220,0.364)(0.109,0.450)の4点を結ぶ範囲内にあることを特徴とする緑色封入レンズ型再帰反射シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、道路標識、工事標識等の標識類、自動車やオートバイ等の車両のナンバープレート類、衣料、救命具等の安全資材類、看板等のマーキング、各種の認証ステッカー類、可視光、レーザー光あるいは赤外光反射型センサー類の反射板等において有用な再帰反射性能を持つシートに関する。
より詳しくは、封入レンズ型再帰反射シートの再帰反射性能の向上に関する。
より詳しくは、初期の色相が、XYZ表色系において(x,y)=(0.062,0.370)(0.172,0.328)(0.220,0.364)(0.109,0.450)の4点を結ぶ範囲内にあることを特徴とする緑色封入レンズ型再帰反射シートに関する。
従来から、入射した光を光源に向かって反射する再帰反射シートはよく知られており、その再帰反射性を利用した該シートは上記のごとき利用分野で広く利用されている。
このような再帰反射シートとしては、微小ガラス球と金属、ほとんどの場合アルミニウムを真空蒸着して鏡面反射層を設けたものを再帰反射素子として用いた、カプセルレンズ型再帰反射シート、封入レンズ型再帰反射シートがよく知られている。
カプセルレンズ型再帰反射シートの例としては、マッケンジーの特公昭40−7870号公報(特許文献1、対応米国特許第3,190,178号明細書)、マックグラスの特開昭52−110592号公報(特許文献2、対応米国特許4.025,159号明細書)およびベイリーらの特開昭62−121043号公報(特許文献3、対応米国特許第5,064,272号明細書)に詳しく開示されている。
封入レンズ型再帰反射シートの例としては、ベリスレの特開昭59−71848号公報(特許文献4、対応米国特許第4,721,649号明細書)に詳しく開示されている。
0.2度〜0.5度程度の観測角度においての再帰反射性能については一般的にカプセルレンズ型反射シートの方が、封入レンズ型再帰反射シートより優れている。
しかしながら、自然光下での白さを示す指標として用いられるY値においては封入レンズ型再帰反射シートの方がカプセルレンズ型再帰反射シートより一般的に高いため昼間の視認性能が高く、生産性、ハンドリング性や施工後に皺を発生する等のフィルムの安定性に関しても封入レンズ型再帰反射シートの方がカプセルレンズ型再帰反射シートより優れている。
特公昭40−7870号公報 特開昭52−110592号公報 特開昭62−121043号公報 特開昭59−71848号公報
本発明の解決しようとする課題は、封入レンズ型再帰反射シートの再帰反射性能を向上させることである。
本発明は、少なくとも表面保護層、ガラス球を保持する1層以上の保持層、ガラス球、焦点形成層、と鏡面反射層からなる封入レンズ型再帰反射シートにおいて、初期の色相が、XYZ表色系において(x,y)=(0.062,0.370)(0.172,0.328)(0.220,0.364)(0.109,0.450))の4点を結ぶ範囲内にあることを特徴とする緑色封入レンズ型再帰反射シートである。
本発明は、従来の緑色封入レンズ型再帰反射シートの初期の色相が、XYZ表色系において(x,y)=(0.026,0.399)(0.166,0.364)(0.286,0.446)(0.207,0.771)の4点を結ぶ範囲内であったのに対し、(0.062,0.370)(0.172,0.328)(0.220,0.364)(0.109,0.450)の4点を結ぶ範囲内とすることで、光透過率を向上させ再帰反射シートの再帰反射性能を向上させると同時に、着色された層の着色剤濃度を下げることで耐候性が劣ると言う問題点を特定の紫外線吸収剤を用いることで解決したものである。
以下、本発明の再帰反射シートについて、更に詳細に説明する。
図1は、封入レンズ型再帰反射シートを表す断面構成概略図である。
図1に示される、封入レンズ型再帰反射シート(10)は、表面保護層(1)と、微小ガラス球(4)を保持する保持層(3)と、微小ガラス球の焦点位置に配置された鏡面反射層(6)と、鏡面反射層を焦点位置に配置させるための焦点形成層(5)よりなっている。本発明においては、封入レンズ型再帰反射シートを構成する各層は、溶剤キャスト法で形成されるのが、厚み精度が得られやすいので好ましい。
また、観測者に情報を伝達したり、シートを着色したりするための印刷層(2)を設けるのも好ましい。
本発明において、表面保護層(1)は全光線透過率20%以上の透明性を有した再帰反射シートの表面層を形成する層であって、通常、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネート等の樹脂を単独で、あるいは組み合わせて使用して形成される。耐候性、加工性の点からアクリル樹脂、ポリエステル、塩化ビニル樹脂が好ましく、塗工適性や着色する際の着色剤の分散性等を考慮するとアクリル樹脂が特に好ましい。
表面保護層には、透明性を著しく損なわない範囲で、紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、架橋剤等の様々な添加剤を添加することが出来る。また、表面に透明保護フィルムや透明板を使う場合には、表面保護層(1)は省略することも出来る。
本発明において、表面保護層や保持層に含有する着色剤は、着色剤を母体樹脂の固形分100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは5〜25重量部、さらに好ましくは10〜25重量部含有する。着色剤の添加量が該下限値以上であれば充分な着色が得られ、優れた視認性が得られるので好ましく、また、該上限値以下であれば保持層が硬くなり過ぎて脆くなるなどの不都合が生ずることがなく、機械強度、柔軟性等の特性が損なわれることがないので好ましい。
表面保護層の光透過性が悪いと優れた再帰反射性能が得られないので、表面保護層は、無着色であるかまたは透明性の得られる着色剤で着色されていることが好ましい。
本発明において、表面保護層や保持層を着色する着色剤としては、フタロシアニン系、ビリジアン系、酸化クロム系、カドミウム系等を例示することができ、中でも透明性と耐候性の点でフタロシアニン系の着色剤が好ましい。
着色剤以外にも保持層(3)には、その物性を損なわない範囲で紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、硬化剤等の様々な添加剤を添加することが出来る。
また、必要に応じてアルキル化アミノ系架橋剤、アルキル化尿素系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、金属キレート、等の硬化剤;シリコーン系、セルロース系、高級脂肪酸系、等の剥離剤;ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、シリコーン系界面活性剤、アクリル系重合物等の表面調整剤などの添加剤を含んでいても良い。
本発明において、保持層は(3)は再帰反射シートの微小ガラス球を保持する層であって、通常、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネート等の樹脂を単独で、あるいは組み合わせて使用して形成される。耐候性、加工性の点からアクリル樹脂、ポリエステル、塩化ビニル樹脂が好ましく、塗工適性や着色する際の着色剤の分散性等を考慮するとアクリル樹脂が特に好ましい。
保持層を形成する樹脂の分子量は特に制限されるものではないが、樹脂の重量平均分子量(以下Mwと略称することがある)が5万以上である樹脂、より好ましくは5万〜40万の樹脂、更に好ましくは10万〜30万の樹脂を用いるのがよい。該範囲であり、かつ適当な硬化剤と反応させた樹脂を用いることにより、樹脂中に微小ガラス球を適度に沈めることができる。
保持層の厚みは15μm〜50μmであり、数層積層される場合、微小ガラス球を保持する保持層の塗付厚みは、微小ガラス球径等の条件に合わせ決定される。
本発明においては、再帰反射性能を高くするために、保持層の全光線透過率は80%以上であり、好ましくは、90%以上、特に95%以上であることが好ましい。
保持層を緑色に着色する場合は、保持層の全光線透過率は10%以上であり、好ましくは、15%以上、特に20%以上であることが好ましい。
本発明においては、着色層を表面保護層または保持層単独とせず、着色層を2層にすることも再帰反射性能を向上することができて好ましい。
本発明の再帰反射シートは、焦点位置に位置する鏡面反射層と協働して光を再帰反射させる機能を有する微小ガラス球を用いて形成されることが好ましい。微小ガラス球の屈折率は2.0〜2.5、好ましくは2.0〜2.3である。
本発明では、再帰反射要素として用いられる微小ガラス球の平均粒径を大きくすることで本発明の再帰反射シートの正面反射性能を従来よりも高くすることができる。微小ガラス球の平均粒径が大きすぎると必要とされる焦点形成層が厚くなりすぎるので、微小ガラス球の平均粒径は70μm〜100μmが好ましく、80μm〜90μmであることが更に好ましい。
微小ガラス球の粒度分布は、平均粒径±10μmの範囲内に75%以上占めるものが好ましく、80%以上占めるものが更に好ましい。粒度分布が広いと微小ガラス球の焦点の位置と後述する鏡面反射層の位置が合わない微小ガラス球の割合が高くなるが、粒度分布を狭くすることで微小ガラス球の焦点の位置と鏡面反射層の位置が合う微小ガラス球の割合が高くなり、再帰反射性能が高くなる。
本発明においては、表面保護層または保持層、もしくは、表面保護層と保持層を着色するのが、再帰反射シートの色相や再帰反射性能を制御しやすいので好ましい。
本発明においては、初期の色相をXYZ表色系において、(x,y)=(0.062,0.370)(0.172,0.328)(0.220,0.364)(0.109,0.450)の4点を結ぶ範囲内とすることで、再帰反射シートの着色層の着色剤濃度を下げることができ、再帰反射性能が向上するので好ましく、更に(x,y)=(0.072,0.387)(0.166,0.364)(0.194,0.384)(0.109,0.450)の4点を結ぶ範囲内とすることで、着色濃度が低すぎることも無く、緑としての発色も充分に得られるので好ましい。
本発明においては、表面保護層または保持層、もしくは、表面保護層と保持層の着色濃度を従来品より低くしているので、紫外線吸収剤等を表面保護層や保持層に添加することで耐候性を向上させることが好ましい。
本発明において、紫外線吸収剤の添加量は、表面保護層、保持層とも、それぞれ樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜10.0部、更に好ましくは、0.2〜5.0部、0.3〜2.0部とすることが、透明性や耐候性の点で特に好ましい。
本発明において、表面保護層や保持層に添加することができる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系のものを例示することができ、中でも、表面保護層や保持層の樹脂を本発明の最好適な態様であるアクリル樹脂としたときには、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系が好ましく、これらの紫外線吸収剤を単独あるいは併用して使用することが好ましい。
本発明においては、紫外線吸収剤の他に耐候性を向上させることを目的として光安定剤、酸化防止剤を加えることも好ましい。
本発明の再帰反射シートは、さらに、図1(5)に示される焦点形成層を有する。焦点形成層は鏡面反射層を微小ガラス球の焦点位置に配置するための層であって、通常、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ブチラール樹脂等の樹脂を単独で、あるいは組み合わせて使用して形成されるが、耐候性、塗工適性、熱安定性の点からアクリル樹脂、ブチラール樹脂が好ましい。
焦点形成層には、透明性を著しく損なわない範囲で着色剤や紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、架橋剤等の様々な添加剤を添加することが出来る。
焦点樹脂層を形成する樹脂は特に制限されるものではないが、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。耐久性から、アクリル樹脂、ブチラール樹脂が好ましく、塗工性を考えると、アクリル樹脂が最も好ましい。
焦点形成層を形成する樹脂の分子量は特に制限されるものではないが、樹脂のMwが10万以上である樹脂、より好ましくは10万〜40万の樹脂、更に好ましくは15万〜30万の樹脂を用いるのがよい。該範囲であり、かつ適当な硬化剤と反応させた樹脂を用いると、球面状の焦点形成層を形成することができる。
焦点形成層を形成する樹脂の塗工時における粘度は10〜600cP、好ましくは30〜600cP、更に好ましくは50〜200cPであるのがよく、焦点形成層樹脂の樹脂固形分は10〜40%、好ましくは15〜35%、更に好ましくは15〜25%であるのがよい。樹脂固形分が高いと気泡を巻き込みやすく、発泡しやすくなり、10%未満であれば塗布量がかなり多くなるため、好ましくない。
焦点形成層の厚みは、入射した光線が鏡面反射層上に焦点を結ぶように樹脂の屈折率等を勘案して決定されるが、好ましくは、10μm〜60μm、15μm〜50μmが更に好ましく、20μm〜40μmが特に好ましい。
本発明においては、再帰反射性能を高くするために、焦点形成層の全光線透過率は好ましくは80%以上であり、更に好ましくは、90%以上、95%以上であることが特に好ましい。
本発明の再帰反射シートはまた、図1(6)に示す鏡面反射層を有する。鏡面反射層は、光を反射するための層であって、通常、アルミニウム、銀、クロム、ニッケル、マグネシウム、金、スズ等の金属を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法等の手段で形成されるが、下地の形状を反映した金属薄膜を均一に形成するためには、蒸着法が特に好ましい。鏡面反射層の厚みは、0.03μm〜0.30μmが好ましく、0.05μm〜0.20μmが更に好ましく、0.06〜0.15μmが特に好ましい。
本発明の再帰反射シートは、アルミ板、アクリル板等の基材に該シートを接着するための接着剤層を有する。接着剤層を形成する樹脂の種類は特に制限されるものではなく、通常の接着剤用樹脂として用いられる樹脂を使用すればよく、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂、フェノール系樹脂等が用いられる。中でも耐候性に優れ、接着特性の良好なアクリル系樹脂またはシリコーン系樹脂が好適に用いられる。
接着剤層を形成する樹脂の分子量は特に制限されるものではないが、分子量の高い樹脂ほど好適な保持力が得られやすい傾向にあり、好ましくはMw50万以上の樹脂、更に好ましくは50万〜120万の樹脂、60万〜100万の樹脂を用いることが特に好ましい。中でも官能基を有するMw
50万以上の樹脂をイソシアネート系架橋剤等の架橋剤を用いて架橋反応させた樹脂を用いると特に優れた保持力が得られ最も好適である。
接着剤層は、鏡面反射層側に設けても良く、その接着剤層を介して基板に再帰反射シートを貼ることもできるし、再帰反射シートの光入射側に光透過性の接着剤層を設けて、その接着剤層を介して光透過性の基板に再帰反射シートを貼ることもできる。
本発明の再帰反射シートは、観測角0.2度、入射角5度の条件下における再帰反射性能が好ましくは15cd/lx/m以上、更に好ましくは20cd/lx/m以上、特に好ましくは35cd/lx/m以上、最も好ましくは45cd/lx/m以上であることが従来の再帰反射シートより夜間の視認性が著しく向上するため好ましい。
本発明の再帰反射シートは、以下に述べる方法によって製造される。まず、
工程基材表面保護層用の樹脂配合液を塗工、乾燥する。工程基材は、十分な強度があり、熱をかけた際に膨張、収縮が十分小さいものであれば特に制限されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリイミド、塩化ビニル等を材質とする基材が使用可能であり、なかでもPETが特に好ましい。
塗工方法は、所定の厚みで均一に塗工できる方法であれば特に制限されるものではないが、リバースロールコーティング法、コンマダイレクトコーティング法等の方法が好適に用いられる。
次に表面保護層上に保持層用の樹脂配合液を塗工、半乾燥する。次いでこの半乾燥された保持層上に微小ガラス球を散布し、熱処理を施す。それぞれの保持層の半乾燥の程度で、微小ガラス球を保持層中へ埋設する埋設率を調節することができ、微小ガラス球散布後の熱処理としては、例えば樹脂としてアクリルを使用する場合は、好ましくは50℃〜150℃、更に好ましくは70℃〜130℃、特に好ましくは80℃〜120℃で5分間ほど乾燥し、微小ガラス球を埋設し易くするのがよい。
微小ガラス球の保持層中への埋設率は、特に制限されるものではなく、保持層樹脂の種類によっても異なるが、例えば樹脂としてアクリルを使用する場合は、微小ガラス球の直径に対して、20%以上とするのが好ましい。
微小ガラス球の保持層中への埋設率は、50%程度にすることが再帰反射シートの正面反射性能を上げることができて好ましいが、本発明においては、焦点形成層を薄くする方が、焦点形成層微小ガラス球面に合わせて形成することができるので好ましく、焦点形成層を薄くするために、該埋設率を大きくすることが好ましく、50〜90%であることが好ましく、70〜80%であることが更に好ましい。
次に前記焦点形成層用樹脂配合液を微小ガラス球の表面に塗工する。塗工方法は、所定の厚みで均一に塗工できる方法であれば特に制限されるものではないが、リバースロールコーティング法、コンマダイレクトコーティング法等の方法が好的に用いられる。
該焦点形成層用樹脂配合液は室温で塗工し、必要に応じて加熱処理して樹脂を硬化させる。硬化温度は樹脂・硬化剤の種類により異なるがアクリル樹脂を焦点形成層用樹脂として使用する場合は好ましくは50℃〜160℃、更に好ましくは70℃〜155℃に3分から10分間加熱するのがよい。また、必要に応じて数回に分けて焦点形成層を塗布しても良い。
次に焦点形成層上に金属薄膜を形成する。金属薄膜の形成方法としては塗布法、スパッタリング法、真空蒸着法、等が可能であるが、下地の形状を反映した金属薄膜を均一に形成するためには、真空蒸着法が特に好ましい。鏡面反射層の厚みは、好ましくは0.03μm〜0.30μm、0.05μm〜0.20μmが更に好ましく、0.06〜0.15μmが特に好ましい。
蒸着の速度・温度・真空度等の条件は機器に応じて適宜最適な条件を選択すればよいが、金属薄膜が均一に所定の厚みとなればよい。
粘着剤層を持つ態様の場合は、次に粘着剤層形成用樹脂配合液を剥離フィルム上に塗布乾燥し、金属蒸着後の中間製品と粘着剤層面で貼り合わせる。貼り合わせ条件は粘着剤により異なるが、粘着剤としてアクリル系樹脂を用いた場合には、例えば50〜90℃程度の熱をかけながら圧力をかけるのが好ましい。
最後に工程基材を剥離すれば、本発明の粘着剤層を持つ再帰反射シートを得ることができる。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例及び比較例において用いた測定方法は以下の通りである。
(1)色相
日本電色株式会社製色差計(Model SE-2000)を用い、JIS Z 9117に従って再帰反射シートの色相を測定した。
(2)再帰反射性能
再帰反射性能測定器として、アドバンスト・レトロ・テクノロジー社(Advanced RetroTechnology,INC)製「Model 920」を用い、100mm
× 100mm の再帰反射シート試料の再帰反射光量をJIS Z9117に準じて、観測角0.2度、入射角5度での適宜の5点について測定して、その平均値をもって再帰反射性能の値とした。
(3)微小ガラス球粒径
BECKMAN社製、コールターカウンター(Multisizer 2)を用い、各微小ガラス球の平均粒径及び粒度分布を測定した。
(4)促進耐候性試験
促進耐候性試験として、アトラス(ATLAS)社製、キセノンランプ型促進耐候性試験機(Ci65A)を波長300−800nmについて照射強度550W/m、ブラックパネル温度63℃で用い、75mm×70mm、厚み1mmのアルミ製基板に貼った各再帰反射シートの500時間及び3000時間促進耐候性試験後の色相と再帰反射性能を促進耐候性試験前と比較評価した。
(5)皺発現試験
Φ900mmアルミ製基板に各再帰反射シートを10℃の雰囲気下で貼り、貼り付け直後、50℃雰囲気下で1時間保管しその外観を目視で観察し、皺の発生の有無を判定した。
実施例1
工程基材として帝人株式会社製の厚み75μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名、帝人テトロンフィルムS−75)を用い、その上に、恩希愛化工有限公司製アクリル樹脂溶液(商品名、RS−1200)を100重量部に対し、株式会社トクシキ製のカラーベース(商品名、AR−8100)を9.6重量部、株式会社三和ケミカル製のメチル化メラミン樹脂溶液(商品名、ニカラックMS−11)を16重量部に株式会社トクシキ製セルロース誘導体(商品名、CAB)6重量部、シプロ化成株式会社製ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(商品名、シーソーブ103)を1.5重量部、ビックケミー・ジャパン株式会社製レベリング剤(商品名、BYK−300)を0.05重量部、DIC株式会社製触媒(商品名、ベッカミンP−198)を0.12重量部、溶剤としてMIBK/トルエン=4/6の比になるように16重量部を加えて、攪拌混合した表面保護層形成用樹脂配合液を塗布乾燥して厚み約40μmの緑色の表面保護層を形成した。
その表面保護層上に、恩希愛有限公司製アクリル樹脂(商品名RS−3000)を100重量部、株式会社トクシキ製のカラーベース(商品名、AR−8300)を35.4重量部、住化バイエルウレタン株式会社製イソシアネート系架橋剤(商品名、スミジュールN−75)を14.5重量部、溶剤としてトルエンを21重量部に、MIBKを14重量部混合攪拌した保持層形成用樹脂配合液を表面保護層上に塗布乾燥し、厚み約30μmの緑色の保持層を得た。
この保持層に表1に明記される平均粒径、粒度分布を持つ恩希愛有限公司製微小ガラス球(NB
K1028)を付着させ、熱処理をして、微小ガラス球を保持層中に沈めた。顕微鏡で断面を観察したところ、微小ガラス球の頭は、表面保護層に接しており、保持層には微小ガラス球の直径のほぼ75%が保持されていた。
次いで、保持層及び微小ガラス球の上に、恩希愛化工有限公司製アクリル樹脂溶液(商品名、RS−5000)を100重量部、株式会社三和ケミカル製のメチル化メラミン樹脂溶液(商品名、ニカラックMS−11)を5.5重量部、溶剤として、MIBK/トルエン=4/6の比率で39.3重量部加えて攪拌混合した焦点層形成用樹脂配合液を塗布乾燥して、平均厚み約25μmの焦点形成層を形成した。
次いで、焦点形成層の上から、アルミニウムを真空蒸着させ、鏡面反射層を得た。
また、剥離紙として、リンテック株式会社製剥離紙(商品名、E2P−H(P))を用い、その上にBA/AA共重合体(重量比:BA/AA=90/10)の酢酸エチル/トルエン(1/1)溶液(固形分34%)100重量部、株式会社トクシキ製白色着色剤(商品名、AR−9127W)を9重量部、日本ポリウレタン工業株式会社製イソシアネート系架橋剤(商品名、コロネートL)を0.5重量部、溶剤として酢酸エチルを16.1重量部加えて、攪拌混合した粘着剤層形成用樹脂配合液を塗布乾燥して、厚み約41μmの粘着剤層を形成した。
鏡面反射層と粘着剤層を貼り合わせた後、工程基材を剥がし、本発明の粘着剤層を持つ再帰反射シートを得た。得られた再帰反射シートの初期の再帰反射性能、色相、Y値を表2に、500時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表3に、3000時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表4に、皺発生試験結果を表5にそれぞれ示した。
実施例2
実施例1において、使用する微小ガラス球を表1に明記される平均粒径、粒度分布を持つ株式会社旭テクノグラス製微小ガラス球(SK−73)に変更し、付着させた以外は実施例1と同様にして粘着剤層を持つ再帰反射シートを得た。得られた再帰反射シートの初期の再帰反射性能、色相、Y値を表2に、500時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表3に、3000時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表4に、皺発生試験結果を表5にそれぞれ示した。
実施例3
実施例1において、使用する微小ガラス球を表1に明記される平均粒径、粒度分布を持つ恩希愛有限公司製微小ガラス球(NB−45L)に変更し付着させ、焦点形成層平均厚みを23μmとした以外は実施例1と同様にして粘着剤層を持つ再帰反射シートを得た。得られた再帰反射シートの初期の再帰反射性能、色相、Y値を表2に、500時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表3に、3000時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表4に、皺発生試験結果を表5にそれぞれ示した。
実施例4
実施例1において、使用する微小ガラス球を表1に明記される平均粒径、粒度分布を持つ恩希愛有限公司製微小ガラス球(NB−34S)に変更し付着させ、焦点形成層平均厚みを19μmとした以外は実施例1と同様にして粘着剤層を持つ再帰反射シートを得た。得られた再帰反射シートの初期の再帰反射性能、色相、Y値を表2に、500時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表3に、3000時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表4に、皺発生試験結果を表5にそれぞれ示した。
実施例5
実施例1において、使用する微小ガラス球を表1に明記される平均粒径、粒度分布を持つ恩希愛有限公司製微小ガラス球(NB−45)に変更し付着させ、焦点形成層平均厚みを22μmとした以外は実施例1と同様にして粘着剤層を持つ再帰反射シートを得た。得られた再帰反射シートの初期の再帰反射性能、色相、Y値を表2に、500時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表3に、3000時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表4に、皺発生試験結果を表5にそれぞれ示した。
実施例6
実施例1において、表面保護層の厚みを36μm、使用する微小ガラス球を表1に明記される平均粒径、粒度分布を持つ恩希愛有限公司製微小ガラス球(NB−34)に変更し付着させ、焦点形成層平均厚みを19μmとした以外は実施例1と同様にして粘着剤層を持つ再帰反射シートを得た。得られた再帰反射シートの初期の再帰反射性能、色相、Y値を表2に、500時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表3に、3000時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表4に、皺発生試験結果を表5にそれぞれ示した。
比較例1
表1に示される粒度分布を持つ恩希愛有限公司製微小ガラス球(NB−45)を使用して製造した、恩希愛有限公司製封入レンズ型再帰反射シート(商品名:1800820AN)の初期の再帰反射性能、色相、Y値を表2に、500時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表3に、3000時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表4に、皺発生試験結果を表5にそれぞれ示した。
比較例2
表1に示される粒度分布を持つ恩希愛有限公司製微小ガラス球(NB−34S)を使用して製造した、恩希愛有限公司製封入レンズ型再帰反射シート(商品名:0810831AN)の初期の再帰反射性能、色相、Y値を表2に、500時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表3に、3000時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表4に、皺発生試験結果を表5にそれぞれ示した。
比較例3
恩希愛有限公司製カプセルレンズ型再帰反射シート(商品名:F81800FS)の初期の再帰反射性能、色相、Y値を表2に、500時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表3に、3000時間促進耐候性試験後の再帰反射性能、色相、Y値を表4に、皺発生試験結果を表5にそれぞれ示した。
Figure 2011123222
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本発明の封入レンズ型再帰反射シートの断面図である。
1 表面保護層
2 印刷層
3 保持層
4 微小ガラス球
5 焦点形成層
6 鏡面反射層
7 接着剤層
8 剥離基材
9 光の入射方向

Claims (4)

  1. 少なくとも表面保護層、ガラス球を保持する1層以上の保持層、ガラス球、焦点形成層、と鏡面反射層からなる封入レンズ型再帰反射シートにおいて、初期の色相が、XYZ表色系において(x,y)=(0.062,0.370)(0.172,0.328)(0.220,0.364)(0.109,0.450)の4点を結ぶ範囲内にあることを特徴とする緑色封入レンズ型再帰反射シート。
  2. 該再帰反射シート中に使用されるガラス球の平均粒径が70μm〜100μmの範囲内で、粒度分布が平均粒径±10μmの範囲内に75%以上を占めることを特徴とする請求項1記載の緑色封入レンズ型再帰反射シート。
  3. 該ガラス球の平均粒径が80μm〜90μmであることを特徴とする請求項1または2記載の緑色封入レンズ型再帰反射シート。
  4. 該ガラス球の粒度分布が、平均粒径±10μmの範囲内に85%以上を占めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の緑色封入レンズ型再帰反射シート。
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