JP4813994B2 - 再帰反射シート - Google Patents

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Description

本発明は、道路標識、工事標識等の標識類、自動車やオートバイ等の車両のナンバープレート類、衣料、救命具等の安全資材類、看板等のマーキング、各種の認証ステッカー類、可視光、レーザー光あるいは赤外光反射型センサー類の反射板等において有用な、新規な構造をもつ再帰反射シートに関する
従来から、入射した光を光源に向かって反射する再帰反射シートはよく知られており、その再帰反射性を利用した該シートは上記のごとき利用分野で広く利用されている。
このような再帰反射シートとしては、微小ガラス球と金属、ほとんどの場合アルミニウムを真空蒸着して鏡面反射層をもうけたものを再帰反射素子として用いた、封入レンズ型再帰反射シートがよく知られている。
封入レンズ型再帰反射シートの例としては、ベリスレの特開昭59−71848号公報(特許文献1、対応米国特許第4,721,649号明細書)に詳しく開示されており、ここでは、これらの文献の引用をもって、これら再帰反射シートの具体的記述に代えるものとする。
また、本発明者らは、少なくとも表面保護層、硝子球を保持する保持層、硝子球、焦点形成層、と鏡面反射層からなる封入レンズ型再帰反射シートにおいて、該保持層が2層以上からなり、光入射側の保持層が透明であり、他の少なくとも1層の保持層が着色されていることを特徴とする再帰反射シートに関して出願をしている。(特許文献2)
しかしながら、特許文献1には、保持層が2層以上であることに関する記載も示唆も無い。特許文献2には、保持層が2層以上からなることは記載されているが、光入射側の保持層は無色透明か焦点形成層側の保持層と同色系で淡色のものが記載されているだけで、本願のような保持層それぞれ単独で測定したときの色相がXYZ系の測色方法で測定したときx-yのδで0.05以上異なることに関する記載も示唆も無い。
特開昭59− 71848 号公報 特願2006−78470 号明細書
本発明の解決しようとする課題は、通常の封入型再帰反射シートと同様に製造できる封入型再帰反射シートで、自然光下の色相と再帰反射光の色相が異なる再帰反射シートを提供できる。
特に自然光下で視認しづらい情報が再帰反射光下で視認できるようになることで偽造防止に役立つものであり、少なくとも表面保護層、硝子球を保持する保持層、硝子球、焦点形成層、と鏡面反射層からなる封入レンズ型再帰反射シートにおいて、該保持層が2層以上からなり、該保持層それぞれ単独で測定したときの色相がXYZ系の測色方法で測定したときx-yのδで0.05以上異なることを特徴とする再帰反射シートを提供できる。
少なくとも表面保護層、硝子球を保持する保持層、硝子球、焦点形成層、と鏡面反射層からなる封入レンズ型再帰反射シートにおいて、該保持層が2層以上からなり、該保持層それぞれ単独で測定したときの色相がXYZ系の測色方法で測定したときx-yのδで0.05以上異なることを特徴とする再帰反射シートを提供することで課題を解決することができる。
以下、本発明の再帰反射シートについて、更に詳細に説明する。
図1は、封入レンズ型再帰反射シートを表す断面構成概略図である。
図1に示される、封入レンズ型再帰反射シートは、表面保護層(1)と、硝子(4)を保持する着色された保持層(3a)と3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)、硝子球の焦点位置に配置された鏡面反射層(6)と、鏡面反射層を焦点位置配置させるための焦点形成層(5)よりなっている。
また、観測者に情報を伝達したり、シートを着色したりするための印刷層(2)を設けるのも好ましい。
本発明において、表面保護層は(1)は全光線透過率80%以上の透明性を有した再帰反射シートの表面層を形成する層であって、通常、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂を単独で、あるいは組み合わせて使用して形成される。耐候性、加工性の点からアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂が好ましく、塗工適性や着色する際の着色剤の分散性等を考慮するとアクリル樹脂が特に好ましい。
表面保護層には、透明性を著しく損なわない範囲で、紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、架橋剤等の様々な添加剤を添加することが出来る。また、表面に透明保護フィルムや透明板を使う場合には、表面保護層(1)は省略することも出来る。
本発明の再帰反射シートは、図1(4)に示される硝子球を着色された保持層(3a)と3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)で保持している。着色された保持層(3a)も3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)も、通常、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂を単独で、あるいは組み合わせて使用して形成される。耐候性、加工性の点からアクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、塗工性や着色剤の分散性を考えると、アクリル系樹脂が最も好ましい。
本発明において、表面保護層や保持層に含有する着色剤は、着色剤を母体樹脂の固形分100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部含有する。着色剤の添加量が該下限値以上であれば充分な着色が得られ、優れた視認性が得られるので好ましく、また、該上限値以下であれば保持層が硬くなり過ぎて脆くなるなどの不都合が生ずることがなく、機械強度、柔軟性等の特性が損なわれることがないので好ましい。
表明保護層の光透過性が悪いと優れた再帰反射性能が得られないので、表面保護層は、無着色であるかまたは透明性の得られる着色剤で着色されていることが好ましい。
本発明では、硝子球は着色された保持層(3a)と3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)の2層の保持層に保持される。
従来より知られている、硝子球を保持しない表面保護層のみが着色された再帰反射シートでは、自然光下での色相と再帰反射光下での色相は、あまり変わらない。
また、保持層3aと保持層3bを同じ色相の保持層とした場合には、光学的には保持層が1層の場合と変わらず、自然光下での色相と再帰反射光下での色相は、あまり変わらない。
本発明では、硝子球が異なる色相の保持層2層に渡って保持されることで、自然光下での色相と再帰反射光下での色相が異なるのである。
本発明では、着色された保持層(3a)と3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)のそれぞれの着色濃度や厚みや、それぞれの層への硝子球の埋設率等を変えることで、自然光下での色相及び再帰反射光下での色相を所望の色相に調節することができる。
本発明の埋設率とは、硝子球の直径に対する各保持層が硝子球を保持する厚みの割合である。詳しく説明すると、硝子球の直径が60μmで、保持層3a及び保持層3bがそれぞれ15μmずつ硝子球を保持していた場合には、保持層3aへの埋設率が25%で、保持層3bへの埋設率も25%である。
上記の場合、保持層3bへ保持される硝子球の体積の方が保持層3aに保持される硝子球の体積より大きいが、本発明では埋設率は等しいという。
本発明では、3aと3bへの埋設率が等しい場合、再帰反射光への色相の影響は3aの方が強くなる。この原因としては、再帰反射光の光路は3aを介する比率が高いためである。
本発明では、この性質を利用して、自然光下では、視認しづらい情報を再帰反射光下で視認できるようにして、偽造防止効果のある再帰反射シートを提供できる。
着色剤以外にも保持層には、その物性を損なわない範囲で紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、架橋剤等の様々な添加剤を添加することが出来る。
また、必要に応じてアルキル化アミノ樹脂、アルキル化尿素樹脂、イソシアネート系架橋剤等の硬化剤;シリコン系剥離剤、セルロース系剥離剤等の剥離剤; ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、シリコン系界面活性剤、アクリル系重合物等の表面調整剤などの添加剤を含んでいても良い
保持層を形成する樹脂の分子量は特に制限されるものではないが、樹脂の重量平均分子量(以下Mwと略称することがある)が5万以上である樹脂、より好ましくは5万〜40万の樹脂、更に好ましくは10万〜30万の樹脂を用いるのがよい。該範囲であり、かつ適当な硬化剤と反応させた樹脂を用いると、樹脂中にビーズを適度に沈めることができる。
保持層は、着色された保持層(3a)、3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)、それぞれ必要に応じて数回に分けて塗工することもでき、異なる種類の樹脂が積層されても良い。
本発明では、保持層は、着色された保持層(3a)と、3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)とで少なくとも2層以上である。製法としては、表面保護層に着色された保持層(3a)を積層し半乾燥して、その上に3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)を積層し半乾燥し、硝子球を塗布し、硝子球を保持層(3a及び3b)中に埋めるものである。この時、保持層(3a)の乾燥が不充分であると保持層(3b)の塗工が困難であるし、保持層(3a)の乾燥が充分すぎると硝子球が着色された保持層(3a)まで達しない。
保持層(3a)の乾燥が進み過ぎないようにするには、例えば、保持層(3b)の半乾燥に比べ保持層(3a)を低い温度で半乾燥したり、保持層(3b)に用いられる樹脂より保持層(3a)に用いる樹脂の重量平均分子量を小さくしたり、保持層(3b)に用いられる架橋剤量に比べ保持層(3a)に用いられる架橋剤量を少なくしたりして、硝子球塗布時に保持層(3a)が硝子球を保持できるようにすることが好ましい。
保持層用樹脂の樹脂固形分は25〜50%、好ましくは30〜40%、更に好ましくは33〜38%であり、保持層の樹脂塗布厚みは15μm〜50μmである。数層積層される場合、硝子球を保持する保持層の塗付厚みは、硝子球径等の条件に合わせ決定される。
本発明の再帰反射シートは、焦点位置に位置する鏡面反射層と協働して光を再帰反射させる機能を有する硝子球を用いて形成されることが好ましい。硝子球の屈折率は2.0〜2.5、好ましくは2.0〜2.3である。
再帰反射要素として用いられる硝子球の大きさは、通常、10μm〜150μm程度のものが用いられるが、正面への反射性を大きくするためには、より大きな径のものを用いるのが良く、好ましくは25μm〜120μm、より好ましくは40μm〜90μm程度の平均直径を有するものが使用される。
本発明の再帰反射シートの硝子球は、着色された保持層(3a)と3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)の少なくとも2層の保持層に保持される。
本発明では、色相が調節可能な範囲で、再帰反射シートの輝度が考慮されるが、着色された保持層の全光線透過率が、例えば60%以上であるなど透明性が良い場合には、硝子球の直径の1/15以上が着色された保持層(3a)で保持されているのが硝子球に十分な光を供給するために好ましい。さらには、硝子球の直径の1/5以上が着色された保持層(3a)で保持されているのが硝子球に十分な光を供給するために好ましい。
着色された保持層(3a)の全光線透過率が、例えば60%未満であるなど透明性が劣る場合には、表面保護層から硝子球までの距離を15μm以下、好ましくは5μm以下とすることが硝子球に充分な光を供給するために好ましい。
本発明の再帰反射シートでは、該硝子球の直径が大きいものであればより高い反射性能が得られるので、硝子球に入射する光がやや少なくても、充分な反射性能が得られるが、該硝子球の直径が小さいときは、硝子球に入射する光を多くするため、表面保護層から硝子球までの距離を小さくするのが好ましい。
本発明の再帰反射シートは、さらに、図1(5)に示される焦点形成層を有する。焦点形成層は鏡面反射層を硝子球の焦点位置に配置するための層であって、通常、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブチラール樹脂等の樹脂を単独で、あるいは組み合わせて使用して形成されるが耐候性、塗工適性、熱安定性の点からアクリル樹脂、ブチラール樹脂が好ましい。
焦点形成層には、透明性を著しく損なわない範囲で着色剤や紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、架橋剤等の様々な添加剤を添加することが出来る。
焦点樹脂層を形成する樹脂は特に制限されるものではないが、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。耐久性から、アクリル樹脂、ブチラール樹脂が好ましく、塗工性を考えると、アクリル樹脂が最も好ましい。
焦点形成層を形成する樹脂の分子量は特に制限されるものではないが、樹脂のMwが10万以上である樹脂、より好ましくは10万〜40万の樹脂、更に好ましくは15万〜30万の樹脂を用いるのがよい。該範囲であり、かつ適当な硬化剤と反応させた樹脂を用いると、球面状の焦点形成層を形成することができる。
焦点形成層を形成する樹脂の塗工時における粘度は10〜600cP、好ましくは30〜600cP、更に好ましくは50〜200cPであるのがよく、焦点形成層樹脂の樹脂固形分は10〜40%、好ましくは15〜35%、更に好ましくは15〜25%であるのがよい。樹脂固形分が多いと気泡を巻き込みやすく発泡しやすくなり、10%未満であれば塗布量がかなり多くなり、好ましくない。
焦点形成層の厚みは、入射した光線が鏡面反射層上に焦点を結ぶように樹脂の屈折率等を勘案して決定されるが、通常10μm〜60μm、好ましくは15μm〜50μm、特に好ましくは20μm〜40μmである。
3bの代わりに焦点形成層(5)を着色された保持層(3a)と異なる色相に着色しても自然光下での色相と再帰反射光が異なる再帰反射シートが得られるが、硝子球の保持層中へ埋設率等により必要な焦点形成層の厚みが異なるので、最適な輝度が得られる厚みで、所望の色相が得られるとは限らないので好ましくない。
本発明の再帰反射シートはまた、図1(6)に示す鏡面反射層を有する。鏡面反射層は、光を反射するための層であって、通常、アルミニウム、銀等の金属を用いて、真空蒸着、スパッタリング等の手段で形成されるが、下地の形状を反映した金属薄膜を均一に形成するためには、蒸着法が特に好ましい。金属層の厚みは、0.05μm〜0.2μm、好ましくは0.05μm〜0.15μm 、特に好ましくは0.05〜0.1μmである。
本発明の発色性再帰反射シートは、必要に応じて、基材に該シートを接着するための接着剤層を有する。 接着剤層を形成する樹脂の種類は特に制限されるものではなく、通常の接着剤用樹脂として用いられる樹脂を使用すればよく、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム系樹脂、フェノール系樹脂等が用いられる。中でも耐候性に優れ、接着特性の良好なアクリル系樹脂またはシリコン系樹脂が好適に用いられる。
接着剤層を形成する樹脂の分子量は特に制限されるものではないが、分子量の高い樹脂ほど好適な保持力が得られやすい傾向にあり、重量平均分子量(以下Mwと略称することがある)50万以上の樹脂、より好ましくは50万〜100万の樹脂、更に好ましくは60万〜100万の樹脂を用いることが好適である。中でも官能基を有するMw
50万以上の樹脂をイソシアネート系架橋剤等の架橋剤を用いて架橋反応させた樹脂を用いると特に優れた保持力が得られ最も好適である。
本発明の再帰反射シートは、以下に述べる方法によって製造される。まず、
工程基材表面保護層用の樹脂を塗工、乾燥する。工程基材は、十分な強度があり、熱をかけた際に膨張、収縮が十分小さいものであれば特に制限されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、塩化ビニル等の材質の基材が使用可能であり、PETが特に好ましい。
塗工方法は、所定の厚さで均一に塗工できる方法であれば特に制限されるものではないが、リバースロールコーティング、コンマダイレクトコーティング等の方法がる。
次に表面保護層上に着色された保持層(3a)用の樹脂を塗工、半乾燥する。次いでこの半乾燥された着色された保持層(3a)上に3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)用の樹脂を塗工、半乾燥する。
次いで、この3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)の上に硝子球を散布する。
この半乾燥の程度で、硝子球を保持層中へ埋設する埋設率を調節することができ、例えば樹脂としてアクリルを使用する場合は、50℃〜150℃、好ましくは70℃〜130℃、特に好ましくは80℃〜120℃で5分間ほど乾燥し、硝子球を埋設し易くするのがよい。
ここで、着色された保持層(3a)には、着色された保持層(3a)の半乾燥時と、3aとは異なる色相に着色された保持層(3b)の半乾燥時の2回乾燥工程が入るので、着色された保持層(3a)の半乾燥は、着色された保持層が塗工可能であって、乾燥が甘い方が好ましい。
硝子球散布後さらに熱処理をすることで、保持層の表面張力によって該硝子球を保持層中へ埋設させる。
硝子球の保持層中への埋設率は、特に制限されるものではなく、保持層樹脂の種類によっても異なるが、例えば樹脂としてアクリルを使用する場合は、硝子球を保持させる点から、20%以上とするのが良い。
次に前記焦点形成用層樹脂を硝子球の表面に塗工する。塗工方法は、所定の厚さで均一に塗工できる方法であれば特に制限されるものではないが、リバースロールコーティング、コンマダイレクトコーティング等の方法がある。
室温で塗工し、必要に応じて加熱処理して樹脂を硬化させる。硬化温度は樹脂・硬化剤の種類により異なるがアクリル樹脂を焦点形成層用樹脂として使用する場合50℃〜160℃、好ましくは70℃〜155℃に加熱するのがよい。また、必要に応じて数回に分けて焦点形成層を塗布しても良い。
次に焦点形成層上に金属薄膜を形成する。金属薄膜の形成方法としては塗布法、蒸着法、等が可能であるが、下地の形状を反映した金属薄膜を均一に形成するためには、蒸着法が特に好ましい。金属層の厚みは、0.05μm〜0.2μm、好ましくは0.05μm〜0.15μm 、特に好ましくは0.05〜0.1μmである。
蒸着の速度・温度・真空度等の条件は機器に応じて適当な条件を選択すればよいが、金属薄膜が均一に所定の厚みとなるように速度・温度・真空度を選定するのが好ましい。
接着剤層を持つ態様の場合は、次に接着剤層を剥離フィルム上に塗布し、金属蒸着後の中間製品と接着剤層面で貼り合わせる。貼り合わせ条件は接着剤により異なるが、接着剤としてアクリル系樹脂を用いた場合には、ある程度の熱をかけながら圧力をかけるのが好ましい。
最後に工程基材を剥離すれば、本発明の再帰反射シートを得ることができる。剥離の角度、剥離の速度等は特に制限されるものではないが、シートが破壊しないように角度、速度を適宜調節して剥離する。
本発明の再帰反射シートの反射性は、発色性とのバランスを考慮して所望により決定されるが、再帰反射シートとしての機能を十分果たすためには、正面反射性能(入射角
0.2°、観測角5°における再帰反射性能)が20cd/lx.m2以上、好ましくは30cd/lx.m2以上、より好ましくは 40cd/lx.m2以上とするのがよい。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例及び比較例において用いた測定方法は以下の通りである。
(1)色相
日本電色製色差計(Model SE-2000)を用い、JIS Z 9117に従って再帰反射シートの色相を測定した。
また、本発明における保持層の色相は、保持層形成用の樹脂を乾燥後の厚みで30μmになるようにPETフィルム上に塗布して、色相測定時にはSE-2000用の白色標準板をフィルムの上に置いて測定した。
(2)正面再帰反射性能
再帰反射性能測定器として、アドバンスト・レトロ・テクノロジー社(Advantced RetroTechnology,INC)製「Model 920」を用い、100mm × 100mm の再帰反射シート試料の再帰反射光量を JISZ9117 に準じて、観測角0.2°、入射角5°により適宜の5点について測定して、その平均値をもって再帰反射性能の値とした。
(3)自然光下の色相と再帰反射光の色相の相違性評価
得られた再帰反射シートの昼間の色相と夜間ヘッドライトを点灯した車の運転席にて観察される色相とで違いがあったと感じられるかを18才〜60才の50人のモニターが目視で判定した。
判定基準:
0点:自然光下と反射光で異なる色相を持たない。
1点:自然光下と反射光でやや異なる色相を持つ。
2点:自然光下と反射光で異なる色相を持つ。
3点:自然光下と反射光で明らかに異なる色相を持つ。
判定結果:
×: 30点以下(色相に差はなし)
△: 30点以上、90未満(観察する人間により色相の差はなし)
○: 90以上、120未満(色相の違いがある)
◎: 120以上(明らかな差がある)
実施例1
キャリヤーフィルムとして帝人株式会社製の厚さ75μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名、帝人テトロンフィルムS−75)を用い、その上に、恩希愛化工有限公司製アクリル樹脂溶液(商品名、RS−1200)を100重量部に、株式会社三和ケミカル製のメチル化メラミン樹脂溶液(商品名、ニカラックMS−11)を14重量部に特殊色料株式会社製セルロース誘導体(商品名、CAB)4重量部に、シプロ化成株式会社製紫外線吸収剤(商品名、シーソープ103)を0.5重量部に、ビックケミー・ジャパン株式会社製レベリング剤(商品名、BYK−300)を0.04重量部に、大日本インキ化学工業株式会社製触媒(商品名、ベッカミンP−198)を0.12重量部に、溶剤としてMIBK/トルエン=8/2の比になるように16.7重量部を加えて、攪拌混合したものを塗布して厚さ36μmの無色透明表面保護層を形成した。
その表面保護層上に、恩希愛有限公司製アクリル樹脂(商品名RS−3000)を100重量部に、株式会社トクシキ製カラーベース(商品名AR-4300)を120重量部に、住友バイエルウレタン株式会社製イソシアネート系架橋剤(商品名、スミジュールN−75)を20重量部に、溶剤としてトルエンを26重量部に、MIBKを61重量部混合攪拌したものを表面保護層上に塗布し、70℃で5分間乾燥し、厚み10μmの黄色透明光入射側の保持層を得た。
次いで、RS−3000を100重量部に、株式会社トクシキ製カラーベース(商品名AR-4300)を30重量部に、株式会社トクシキ製カラーベース(商品名AR-5300)を86重量部に、スミジュールN−75を21重量部にトルエンを26重量部に、MIBKを61重量部混合攪拌したものを光入射側の保持層の上に塗布し、100℃で5分間乾燥し、厚み13μmの赤色透明焦点形成層側の保持層を得た。
この焦点形成層側の保持層に恩希愛有限公司製ガラス球(商品名、NB−45S)を付着させ、熱処理をして、ガラス球を保持層中に沈めた。
顕微鏡で断面を観察したところ、ガラスビーズの頭は、表面保護層に接しており、光入射側の保持層にガラス球の直径のほぼ1/5が保持されていた。
なお、それぞれの保持層の厚みは、別途、厚み75μmの帝人株式会社製ポリエステルフィルム(商品名、帝人テトロンフィルムS−75)上に塗布乾燥したものを用い、厚みは総厚みから75を引いて求めた。
次いで、保持層及び硝子球の上に、恩希愛化工有限公司製アクリル樹脂溶液(商品名、RS−5000)を100重量部に、株式会社三和ケミカル製のメチル化メラミン樹脂溶液(商品名、ニカラックMS−11)を5.5重量部に、溶剤として、MIBK/トルエン=4/6の比率で39.3重量部加えて攪拌混合したものを塗布乾燥して、平均厚みが23μmの焦点形成層を形成した。
次いで、焦点形成層の上から、アルミニウムを真空蒸着させ、鏡面反射層を得た。
また、剥離紙として、リンテック株式会社製剥離紙(商品名、E2P−H(P))を用い、その上にBA/AA共重合体(重量比:BA/AA=90/10)の酢酸エチル/トルエン(1/1)溶液(固形分34%)100重量部に、特殊色料株式会社製白色着色剤(商品名、AR−9127W)を9重量部に、日本ポリウレタン工業株式会社製イソシアネート系架橋剤(商品名、コロネートL)を0.5重量部に、溶剤として酢酸エチルを16.1重量部を加えて、攪拌混合したものを塗布乾燥して、厚さ41μmの粘着剤層を形成した。
鏡面反射層と粘着剤層を貼り合わせた後、キャリヤーフィルムを剥がし、本発明の再帰反射シートを得た。
実施例2
実施例1において、焦点形成層側の保持層の塗工液を、RS−3000を100重量部に、株式会社トクシキ製カラーベース(商品名AR-6300)を113重量部に、スミジュールN−75を21重量部にトルエンを25重量部に、MIBKを59重量部として混合攪拌したものを光入射側の保持層の上に塗布し、90℃で5分間乾燥し、厚み13μmの青色透明焦点形成層側の保持層を得た以外は実施例1と同様にして再帰反射シートを得た。
実施例3
実施例1において、焦点形成層側の保持層の塗工液を、RS−3000を100重量部に、株式会社トクシキ製カラーベース(商品名AR-8300)を270重量部に、スミジュールN−75を34重量部にトルエンを57重量部に、MIBKを131重量部として混合攪拌したものを光入射側の保持層の上に塗布し、90℃で5分間乾燥し、厚み13μmの緑色透明焦点形成層側の保持層を得た以外は実施例1と同様にして再帰反射シートを得た。
比較例1
実施例1において表面保護層を、RS−1200を100重量部に、株式会社トクシキ製カラーベース(商品名、AR-N-4100)を26重量部に、株式会社三和ケミカル製のメチル化メラミン樹脂溶液(商品名、ニカラックMS−11)を14重量部に特殊色料株式会社製セルロース誘導体(商品名、CAB)4重量部に、シプロ化成株式会社製紫外線吸収剤(商品名、シーソープ103)を0.5重量部に、ビックケミー・ジャパン株式会社製レベリング剤(商品名、BYK−300)を0.04重量部に、大日本インキ化学工業株式会社製触媒(商品名、ベッカミンP−198)を0.12重量部に、溶剤としてMIBK/トルエン=8/2の比になるように16.7重量部を加えて、攪拌混合したものを塗布して、厚さ36μmの黄色透明表面保護層を形成し、RS−3000を100重量部に、株式会社トクシキ製カラーベース(商品名AR-4300)を30重量部に、株式会社トクシキ製カラーベース(商品名AR-5300)を86重量部に、スミジュールN−75を21重量部にトルエンを26重量部に、MIBKを61重量部混合攪拌したものを光入射側の保持層の上に塗布して、厚み25μmの保持層を形成し、焦点形成層側の保持層を設けなかった以外は実施例1と同様にして再帰反射シートを得た。
比較例2
比較例2において、保持層の塗工液処方を、商品名RS−3000を100重量部に、株式会社トクシキ製カラーベース(商品名AR-6300)を113重量部に、スミジュールN−75を21重量部にトルエンを25重量部に、MIBKを59重量部として混合攪拌したものとして光入射側の保持層の上に塗布し、厚み25μmの焦点形成層側の保持層を得た以外は比較例1と同様にして再帰反射シートを得た。
比較例3
比較例2において、保持層の塗工液処方を、商品名RS−3000を100重量部に、株式会社トクシキ製カラーベース(商品名AR-8300)を270重量部に、スミジュールN−75を34重量部にトルエンを57重量部に、MIBK131重量部として混合攪拌したものとして光入射側の保持層の上に塗布し、厚み25μmの焦点形成層側の保持層を得た以外は比較例1と同様にして再帰反射シートを得た。

得られた再帰反射シートの色相を表1に、δ(x−y)反射性能と視認性を表2に示した。


本発明の封入レンズ型再帰反射シートの断面図である。
符号の説明
1 表面保護層
2 印刷層
3a,3b 保持層
4 硝子球
5 焦点形成層
6 鏡面反射層
7 接着剤層
8 剥離基材
9 光の入射方向

Claims (1)

  1. 少なくとも表面保護層、硝子球を保持する保持層、硝子球、焦点形成層、と鏡面反射層からなる封入レンズ型再帰反射シートにおいて、該保持層が2層以上からなり、該保持層それぞれ単独で測定したときの色相がXYZ系の測色方法で測定したときx-yのδで0.05以上異なることを特徴とする再帰反射シート。
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