JP2011122419A - 排水性舗装の表層構造 - Google Patents

排水性舗装の表層構造 Download PDF

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Abstract

【課題】排水性舗装において、水の拡散流動性を高める要求を満たしながら、舗装表層の耐圧支持強度を保全する。
【解決手段】複数の開口を設けた吸水シート2を基層1上に敷設し、上部に排水用高粘度アスファルトまたは透水性コンクリートの表層4を転圧覆工することで開口を貫通して表層4と基層1とを一体化した耐圧支柱4aを形成するように構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、透水性のある舗装層と下敷きの保水層および基層を一体化した舗装構造、より具体的には、基層に直接に支持された耐圧舗装部分とこの部分で補強された部分を持つ舗装の表層構造に係る。この表層構造は、豪雪地では、温水が下層を流動する融雪目的のための舗装に利用でき、夏期には保水層を利用した滲み上がり冷却舗装として利用することができる。
本明細書中では、説明の便宜上、融雪の用途に利用する事例を参考にして本発明を説明する。
排水性舗装は、15〜20%の空隙率を持ち雨水のよく浸透する排水機能層と、必要な支持強度を備えた不透水の基層から構成されている。こうした特殊舗装の技術指計は公的機関により既に明確化されている。施工基準の整備も進み、舗装用材料の配合設計のノウハウ等も充実したことから、舗装内に水を入れるタブーを克服して広く一般に使用されるにいたっている。さらに、昨今の骨材結着用バインダーの改良もあって、舗装の設計法は確立され実用上は特に問題はないとされている。
しかし、排水性舗装を前述した融雪舗装や冷却舗装に転用するときには、比較的少量の熱媒体を基層上に広くゆきわたるように、基層上での水の流動性を大きくする必要がある。表層内での熱媒体の流動性を向上させることと、塑性変形によるひび割れやわだち割れの防止対策とは相反する要求である。とりわけ厳寒地域では、残水による表層内凍結が起きやすい欠点があった。
冬期の路面融雪や夏期の路面冷却の用途において、この欠点は排水性舗装の疲労耐久性を長期にわたって維持するうえで大きな障害であるとされてきた。具体的には、骨材間の空隙に残水する水は基層に接した領域に多く存在し、冬期に凍結時の体積膨張分を吸収しきれず、基層に対し表層を持ち上げてしまう凍上現象により表層が破砕されてしまうなどの問題があった。
この改善策として、舗装表層と基層の境界面に電気ヒーター線を這わせた布材を敷設する方法がある。あるいは、砂/不織布/ゴムアスファルトの積層シートを境界面に介在させる方法も提案されている。しかしながら、前者の方法では布材が介在して表層と基層の接着強度が充分に確保できず、舗装層が早期に剥離する。後者の方法でも、表層下の空隙率を大きく確保できるわけではなく、水の吸引目的で使用する効能の範囲にとどまっている。
特開平08−120611号公報 特開2006−299727号公報
日本アスファルト協会編 「アスファルト215」 第47巻 平成16年5月発行
解決しようとする問題点は、水の流動性を高める要求を満たしながら、舗装表層の耐圧支持強度を保全することが困難な点である。
本発明は、吸水シートの開口を貫通して表層と基層を一体化した耐圧支柱を接近した位置関係で設け、耐圧支柱同士の狭間に水の流動経路を確保することを最も主要な特徴としている。
舗装面に積載される荷重に対し、必要とされる個々の耐圧支柱の表面積と配置間隔を求める設計手法を取り入れて、多数の耐圧支柱の周囲をめぐる水の流動経路を網の目のように設置し、水の流動性に配慮しながら強度のある舗装構造にできる利点がある。
表層側からみた耐圧支柱は表層を基層側に向けて固定するアンカーに見立てることができ、表層と基層を機械的に連結し両者を一体化することができる。
不透水の基層上に敷設した吸水シートの一例を示す平面図である。 図1のA−A線に沿った一部縦断面図である。 図1の吸水シート上にアスファルト混合物を覆工した状態の一例を示す縦断面図である。 不透水の基層上に敷設される吸水シートの開口の他の設置形態を示す平面図である。 図4の吸水シート上にアスファルト混合物を覆工した状態を示す縦断面図である。 表側表面を起毛加工した二本斜子の織布の構造例を示す拡大図である。 合成樹脂層を裏側表面に接着した吸水シートを示す拡大断面図である。 吸水シートを並列配置した設置例を示す説明図である。 畝状突起を並列に配置した吸水シートを基層上に貼り付けた状態を示す説明図である。 透水性の基層に敷設される吸水シートの開口の構造の一部を断面にして示す斜視説明図である。
水の流動性を向上させながら構造強度を確保するという目的を、耐圧支柱とこの耐圧支柱で支保した耐圧支柱間の狭間水路を用いて実現した。
図1は、不透水の基層1とその上部に敷設した吸水シート2を示す平面図である。吸水シート2は、間隔を開けて配置された多数の開口3を備えている。図示の例では、開口3の大きさは、使用する骨材を6号砕石(5−13ミリ)と想定した場合、例えば、直径が約60ミリの円形をしている。隣接する開口3は20ミリ前後離して縦方向と横方向に配列されている。開口が円形であれば、補助的に開口3aを設けておくこともできる。
基層1の表面には、あらかじめ遮水性のあるアスファルト乳剤や水性樹脂エマルジョンを散布しておくのが一般的である。
図2は、不透水の基層1上に敷設した吸水シートの設置状況を示している。吸水シートには織布や不織布を使用することができる。織布の例では、例えば、力織機による綾織り構造の織布が使用される。綾織りの糸使いは、砕石の号数と転圧荷重に応じて変化させることができる。例えば、約30ミリから50ミリの短繊維からなるスパン糸を使用する場合、縦糸の打込み本数はできるだけ多くとり固い織り組織にされる。糸は10番手相当の双糸の4本撚りを用い、2/1の綾組織とすることができる。この綾織り織布は、凹凸の綾構造を上向きにして用いられる。繊維の材質はビニロン(クラレ)のような親水性のものが好ましいが、ポリエステルやアクリルでも差し支えはない。織布の織り構造は、平織と綾織りの混在したものでもよく、あるいは周知の他の織り組織を選択して差し支えはない。
こうした吸水シート2は、繊維質の織物を使用する場合、例えば、目付重量を1キログラム前後と高密度に設定することは容易である。高密度の繊維材料を使用すれば、吸水シートの保水量を増やすことができる。いったん水の供給が絶えると、織物の撚り糸は繊維を絞ってあるので水切れがよく、また径糸と緯糸は導水路となって水はけがスムーズである。
吸水シートの材料として、他に編布を使用することもできる。5号砕石のような骨材の大きなものでは、空隙の形態が6号砕石のものとは異なり、ロープから編成した網状の編布を使用できる場合もある。
図3は、不透水の基層1の上部に吸水シート2を挟んで排水性舗装の表層4が転圧成形された状態を示している。図面から明らかなように、開口3内に位置する表層4の部分4aは基層1に直接に接着され、部分4aと基層1はこの箇所で一体化されている。表層に加わる加重は部分4aが支えるので、この部分4aは耐圧支柱と見なすことができる。開口3、3aから外れて吸水シート2上に位置する表層の他の部分4bは前記耐圧支柱を連結している。程度の差はあれ、吸水シートは圧密変形するが、撚り回数の多い糸からなる織布は圧縮変形に対してより強靭である。
こうして形成された耐圧支柱の部分4a(以下、単に耐圧支柱という)とそれらの中間の部分4bはラーメン構造を形作っている。図示の例では、開口は円形をしているが必ずしもこの円形に限定されるわけではない。用途によっては、楕円形や長穴形を採用できる場合もある。
舗装厚は厚くしたり薄くすることができる。図3に示す例では、舗装厚は基層1に被せる約15ミリの厚みの表層4を想定して作図したものである。表層2の載る基層1は既存の路面を利用することができる。例えば、アスファルト舗装面にアスファルト高粘着剤を散布または塗布する防水処理を施し、上部に吸水シート2を敷設し、上部に薄層の排水用高粘度アスファルトまたは透水性コンクリートを転圧覆工すれば、舗装面の嵩は現状に近く目立たない。舗装厚が薄いので熱媒体との熱交換は効率よく行われる。耐圧支柱は薄皮状の表層を基層に対してつなぎ止めるアンカーの役割を果たし、表層の剥離を阻止する働きをする。
図4は、吸水シート2の開口の他の設置形態を示す平面図である。これら円形の開口3は、位置関係を明確にするために便宜的に縮小して表示されている。図5は、基層1の上部に吸水シート2を挟んで排水性舗装の表層4が転圧成形された状態を示している。図面から明らかなように、開口3内に位置する表層4の部分は基層1に直接に接着され、一体化されて耐圧支柱4aを形成している。こうして形成された耐圧支柱4aとそれらの中間の部分4bはラーメン構造を形作っている。
図4の例では、縦と横に隣接する開口3は中心点を結ぶ直線が千鳥状になるように配列されている。この互い違いの配列関係により、隣接する耐圧支柱4aと中間の部分4bはラーメン構造を形作ると共に、これらラーメン構造の枠組が、平面的に見て(図4の2点鎖線で示すように)規則性のあるトラス構造をなしている。耐圧支柱の中心を結ぶトラスの一辺の長さは、例えば、開口3の直径を10センチとすれば約17.3センチである。
前述した耐圧支柱の直径、トラス構造のサイズと配列の向きは、現場状況に応じて変更される選択事項である。開口の形状は力の加わり方のバランスから、また構造解析の便宜上、円形のものが扱いやすいが、六角形や楕円形、あるいは長穴の形をしていてもよい。開口の輪郭形状には、それが構造強度的にバランスの取れるものであるならば特に制限はない。
図4に示す吸水シート2の構造は、大きな積載荷重を受ける車両走行用の舗装道路に適している。6号砕石を使用する舗装では、例えば、10番手相当のスパン糸の2本撚り、インチ間糸密度を縦糸46本、横糸29本とした平織織布を使用することができる。目付は400グラム程度になる。なお、撚り回数の多い糸からなる織布は圧縮変形に対してより強靭である。
こうした糸使いの織布では、織布の持つ支持強度は小さいので、砕石は尖った部分が織布をつぶして基層に直接接触するようになる。砕石部分の面接触部分は織布を圧密し、織布繊維は砕石間の空隙を埋める働きをする。
基層1の表面に低粘度の乳剤を散布する場合、乳剤が吸水シート2を通り抜けて表側に漏出しないよう吸水シートの構造に工夫を凝らすことができる。
具体的には、20番単糸の2本撚り10番相当の双糸を用いた二本斜子の織り構造を利用してもよい。この織物は2本浮き2本沈みの2本引き揃え構造を持ち、縦と横は同じ糸使いである。例えば、縦糸密度はインチ当たり88本、横糸を60本にした緻密な織り組織とすれば、通気性はあるが低粘度の乳液の浮き出しに対して遮断性の高い織り組織となる。舗装転圧時、吸水シート裏側に残留するエアー層は排除できるが、乳剤は漏出しにくい構造である。
図6はこの二本斜子の吸水シート2の構造例を示す拡大図である。図示の例では、吸水シートの表側表面は起毛処理されている。立ち上がった無数の単繊維からなる起毛2aは砕石表面の粘着材に絡みつくため、吸水シートと砕石の相対的な動きを拘束する働きをする。また、上部に積載される砕石の角は織布を貫通しにくいので、織布単体の負担できる砕石に対する支持強度は向上する。
これまで説明してきた図1から図6の吸水シートは吸水性と保水性を兼ね備えているが、それ自身は透水性の材料である。基層側の排水性能は、基層それ自身を不透水材料で構成するか、または透水性の基層上に設けた不透水層により得ようとするものである。透水性のある基層であれば、基層上に設けた不透水層とは吸水シート自身の持つ不透水層または基層表面との間に介在する粘着剤の層がこれに相当している。この粘着剤の層は吸水シートの敷設に先立ち基層上に散布または塗布される。
ここまで説明してきた吸水シートはいずれもが透水性を備えている。これに対し、図7は、不透水の吸水シート2の具体例を示している。この不透水の吸水シートは、裏側に不透水層20を備えている。不透水層は、塩ビやポリプロピレン等の合成樹脂をコーティングしたもの、または塩ビシートやポリエステルフィルム等をラミネートしたものより形成されている。
合成樹脂製のフィルムやシートをラミネートした吸水シート、あるいは合成樹脂やゴムをコーティングした吸水シートは、敷設後には基層表面の不透水面として機能する。
図7に示す不透水層20は、吸水シートの裏側表面に溶着させた肉厚な塩ビシート20aの層とこれを覆う外側の薄いポリエステルラミネートフィルム20bの2層から構成されている。この吸水シートを敷設する際、基層上に先付けした粘着剤の乳液に対し定着性に優れるポリエステルフィルム表面が接し、塩ビ層は吸水シートの下敷きとして機能する。こうしたラミネート吸水シートは、ポリエステルフィルムをあらかじめラミネートした約0.5ミリから数ミリ厚の塩ビシートを加熱炉に通し、被加熱側の塩ビ表面を溶融させ、この溶融面に吸水シートを重ねて転圧接着する手法により製作することができる。
ラミネートした不透水層20は表面が平滑なので基層上に散布された乳液状粘着剤に対し面接触し、よく密着する。吸水シートの接着面に沿った剪断剥離強度は飛躍的に高まることから、水平方向に大きな荷重の加わることのある車道の用途に適している。
可塑剤を添加した塩ビシートは当初は柔らかく、転圧される砕石の一部形状に見合うように変形するので砕石の座りがよくなる。可塑剤の溶出と経年変化により塩ビは硬化していき、砕石との接触部の凹凸形状は固定される。
前述したラミネート層のポリエステルフィルム表面には、あらかじめ粘着剤を塗布しておくことができる。離けい紙を剥がし粘着面を露出させながら基層1に張り付けていくことが可能になる。基層表面にも粘着剤をつけておけば粘着剤による接着性は向上する。
粘着剤が低モジュラスな特性を示すものであれば、表層が温度変化により膨張収縮変形しても基層1に対し相対的に移動することが可能になる。したがって、温度変化による表層のトラクションクラックを抑制するのに効果がある。
排水性舗装の基層用改質アスファルト混合物などで基層を造成する場合、基層は不透水性で表面は平坦である。したがって、不透水の吸水シートまたは透水性の吸水シートのいずれでも使用できる。これに対し、クラッシャランのような透水基盤を基層として使用するなら、基層側に排水性能を持たせようとするなら基層表面は不透水の吸水シートで覆う必要がある。
吸水シートの幅については随意に変更できる選択事項である。一般的には、コイル状に巻いた巻物の形態で取り扱われる。
図8は、帯状の吸水シート2を示す説明図である。この例の吸水シートは並列に配置されている。長尺の吸水シートは、側縁を砕石が押さえることも相まって定着性に優れているので高速道路のような過酷な環境下での使用に適している。吸水シートの横幅は1メートル未満のシングル幅のものからダブル幅の2メートル未満のものが一般的である。織機の能力は4メートル前後の幅のものまでが製作可能である。
図8の例では開口3は車両の走行方向に一列に並べられているが、図1や図4の形態に設置することもできる。また、図示した吸水シートは互いに間隔を置いて並列に配置されているが、この間隔は構造強度上の選択事項である。路面の荷重負荷が小さければ側部は互いに突き合わせておいてもよく、また重ね合わせてもよい。基層に対する表層の耐剥離強度も考慮される。
図9は、間隔をあけて並列に配置された複数の畝状突起20cを持つ吸水シート2の例を示している。表層の転圧覆工時、これら畝状突起により形成された吸水シートの凹凸面と表層の底面は互いに係合する。吸水シートを織布から構成する場合、畝状突起20cは綾織りにより形成し、中間の凹部20dは平織とすることができる。糸使いの一例として、凹部の平織は10番手相当のスパン単糸の3本撚りの縦糸を用い、横糸は18番フィラメント単糸の4本撚りのもので縦糸2本を引き揃えて織ることができる。綾織の部分は10番手相当のスパン双糸4本撚りの縦糸を用い、2/1の綾組織とすることができる。スパン糸の繊維長は30ミリから60ミリである。一例として、綾織りは80ミリ幅、平織は200ミリ幅に設定することができる。開口の直径は約200ミリである。
畝状突起20cは吸水シート上を流れる水の流動方向を拘束する土手として機能する。基層の勾配に沿うように畝状突起を設けておけば、畝状突起の間のシート面が水の流路となり、水は畝状突起に沿って流れる傾向を示す。基層の勾配を横切るように畝状突起を向けて使用すれば、移動する水は畝状突起により遮られ越流しながら横に拡散し広がって流れるようになる。
前述した構成において、吸水シートに繊維質の織布や不織布を使用すれば、シート全面にわたり吸水性と保水性を得ることができる。織布が含浸した熱媒体の水は縦糸と横糸に沿って平面的に移動し、また不織布の場合には放射状に拡散する。繊維質材料は水の吸収拡散速度が早い。水の流動性を考える際には、これが熱の伝達速度に関係するのでこの吸収拡散性は重要である。従来の舗装構造では、骨材の空隙中に存在する水は基層に接する表層の部位に多く存在し、表面張力により空隙に付着して残留するが、吸水シートはこの残水を積極的に吸い取るので空隙残水が少なくなり凍結のリスクを最小限にできる。耐圧支柱4aの下層域に残留する水は基層の勾配に沿って移動し、周囲を取り囲む吸水シートの開口縁により吸引され吸水シートに吸収される。
吸水シートに吸収された水は、基層の勾配に沿って下流に向けて移動していく。最終的に、吸水シートは水切れした状態になる。繊維間に付着し残留する水は、路面が乾燥するのに伴ない上方に吸い上げられ蒸発していく。吸水シートに残留する水は冬期には凍結するが、繊維組織の空隙は微細で組織が柔軟なため、凍結による体積膨張分を吸収することができるので、表層と基層の境界面で剥離と割れが起きにくい。
表層内に埋設した散水配管から基層上の吸水シートに供給される熱媒体の水量、または路面上に設置した露出配管から表層上に散水される熱媒体の水量は、平米当たり毎分100cc前後から数リットルの範囲で適宜選択される。
前記表層の外側表面には、舗装の排水勾配の上流側の位置に屋外に露出させて散水管を配置しておくことができる。この散水管から熱媒体を舗装表層に散布すれば、水は表層表面を流れながら表層内に浸透し、または空隙内グラウト材(図示せず)を通過し、吸水シートに到達した後は吸水シートに沿って流下しながら表層下部全面によく行きわたる。吸水シートの開口縁は耐圧支柱の底辺に接しているので、吸水シートを流下する熱媒体は開口の周囲から耐圧支柱の基底部に流入し、表層下部の全面から舗装面を加温または冷却することができる。この散水管は、舗装厚が大きければ、排水勾配上流側の表層内に埋設してもよい。埋設散水管から放出される熱媒体は、砕石空隙を通じて基層上の吸水シートに到達し、温水であれば舗装を加温でき、夏期には表層内にしみわたらせて舗装を冷却することができる。表層の持つ保水能力を越えて散水量を増やしていけば、熱媒体は表層表面から流出し表面を覆って流下していく。この状態は、路面上の雪を積極的に溶かしたい場合には特に効果的である。また、路面上に大量の熱媒体を流せば、堆積した雪を押し流し洗浄することもできる。
図10は、本発明の他の変更例を示している。透水性のある基層を使用した排水性舗装に使用する吸水シートの例を示している。透水性のある基層には転圧した砂層や砕石骨材層、あるいはクラッシャラン(C−20,C−40)が利用される。透水性のある基層に敷設される吸水シート2は、前述したような不透水の吸水シートまたは図6に示すような遮水性に優れた織布生地の吸水シートが使用される。打込み本数の多い緻密な織物は消防ホースや布バケツなどに使用される品質を持ち、機械強度に優れ表面の凹凸に馴染む柔軟性も備えている。布を透過する水量は僅かであり、排水用の水路面としても十分に機能する。
これら吸水シートの開口の周縁部には、吸水シート上を移動する水の越流可能な隆起堰30が形成されている。隆起堰は表層により圧密されることを考慮に入れて、最終的にその丈が数ミリから数センチになるようにされる。フィニッシャーを使用した改質アスファルト覆工のように精度のよい平坦面が確保できていない基層地盤であれば、図6の高密度織り組織の吸水シートは一定時間水をプールし、徐々に水を浸透させて地盤側に排水する機能を果たすことができるので長時間の残水がなく使い勝手がよい。
隆起堰30の加工にあたっては、塩ビ製のリングを用いて開口の縁取りをし、これを隆起堰として使用すれば安価にすむ。押出し成型したパイプ状の塩ビ資材を輪切りにするやり方だと、任意の丈を持つリングを自在に切り出せるので現場状況に合わせての造作が容易でありコストも安くすむ。
透水性のある基層地盤では、開口の設置数を増やし、開口の口径を大きくし、隆起堰の丈を低くするにつれて、排水性舗装というよりも透水性舗装に近い機能層へと変化していく。排水機能を必要とする本発明では、吸水シート上に帯水させながら、シート面を排水流路として利用することを念頭に置いて、隆起堰の丈を決める必要がある。冬期融雪の実用面からは、熱媒体の供給水量が雨量よりも圧倒的に多いので、熱媒体の流量を想定しての丈を隆起堰が持てば雨水の越流する機会はほとんどない。夏期の路面冷却に主眼をおくなら、気化熱を利用する潜熱冷却であるから熱媒体の給水量は少なくてよく、給水は連続的でなく間欠的に行なってもよい。したがって、隆起堰の丈は吸水シート上に水が溜まる程度にされる。
ここまでの説明では砕石を舗装材に使用した事例を説明してきたが、木チップを接着バインダーで固める木質舗装にも適用可能である。
吸水シートの開口は打抜き加工すれば簡単に造作でき、また隆起堰の有効活用を図ることで透水性の基層にも利用することができ、水の流通経路の設計は自在に行える。
路面の一部分のみに透水性能、凍結防止性能、冷却性能を持たせることができる。
ビルの屋上スラブの冷却被覆構造に、また構築物の壁面冷却構造にも利用することができる。したがって、本明細書で使用した「舗装」とは路面舗装、壁面舗装、屋上スラブ舗装をも含む概念である。
符合の説明
1 基層
2 吸水シート
2a 起毛
3 開口
4 表層
4a 耐圧支柱
4b 中間の部分
20 不透水層
20a 塩ビシート
20b ポリエステルラミネートフィルム
20c 畝状突起
20d 中間の凹部
30 隆起堰

Claims (5)

  1. 不透水の基層上に吸水シートを敷設し、上部に排水用高粘度アスファルトまたは透水性コンクリートを転圧覆工してなる排水性舗装の表層構造にして、前記吸水シートは間隔をあけて配置した複数の開口を備え、この開口上に形成される表層の部分は、基層上に表層と基層を一体化した耐圧支柱を形成し、これら耐圧支柱と前記開口から外れて吸水シート上に位置する表層の中間の部分を連結してラーメン構造を形作っている排水性舗装の表層構造。
  2. 請求項1に記載された排水性舗装の表層構造において、前記耐圧支柱が千鳥状に配置されている排水性舗装の表層構造。
  3. 請求項1に記載された排水性舗装の表層構造において、前記吸水シートの表側表面が起毛加工されている排水性舗装の表層構造。
  4. 不透水の基層上に吸水シートを敷設し、上部に排水用高粘度アスファルトまたは透水性コンクリートを転圧覆工してなる排水性舗装の表層構造にして、前記吸水シートは間隔をあけて配置した複数の開口を備え、この開口上に形成される表層の部分は、基層上に表層と基層を一体化した耐圧支柱を形成し、これら耐圧支柱が表層を基層に連結するアンカーとして機能し、表層の剥離を阻止するようにした排水性舗装の表層構造。
  5. クラッシャランからなる基層上に排水用の水路面となる吸水シートを敷設し、上部に排水用高粘度アスファルトの表層を転圧覆工してなる排水性舗装の表層構造にして、前記吸水シートは間隔をあけて配置された複数の開口を備え、これら開口には開口周縁部に水の越流可能な隆起部が形成してあり、また開口上に形成される表層の部分は基層上に耐圧支柱を形成し、これら耐圧支柱と前記開口から外れて吸水シート上に位置する表層の中間の部分を連結してラーメン構造を形作っている排水性舗装の表層構造。
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