JP2011122076A - 活性光線硬化型インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、光酸発生剤、重合性モノマー、重量平均分子量が100〜10000のオリゴマーまたはポリマーを含有する活性光線硬化型インク組成物において、該重合性モノマーの50質量%以上はビニルエーテル化合物であり、全重合性モノマーの平均LogPが1.5〜3.5を満たし、且つ25℃における活性光線硬化型インク組成物の粘度が7〜100mPa・sであることを特徴とする活性光線硬化型インク組成物。
【選択図】なし
Description
本発明に係る重合性モノマーとは、カチオン重合性化合物およびラジカル重合性化合物を示し、本発明の活性光線硬化型インク組成物においては、少なくとも重合性モノマーの50質量%以上はビニルエーテル化合物であり、全重合性モノマーの平均LogP値は1.5〜3.5を満たすことを特徴とする。
本発明に係るビニルエーテル化合物は、少なくとも1つ以上のビニルエーテル基を有する有機化合物を指し、例えば以下のようなものが挙げられる。
本発明の活性光線硬化型インク組成物(インクジェットインク或いは単にインクともいう)においては、他のカチオン重合性化合物、例えば、従来公知のエポキシ化合物、オキセタン環含有化合物等を、本発明の目的効果を損なわない範囲で用いることができる。
本発明の活性光線硬化型インク組成物におけるオリゴマー/ポリマーは、重量平均分子量が100〜10000である従来公知のオリゴマー/ポリマーから適宜選択して用いることができる。
本発明の活性光線硬化型インク組成物で用いることのできる活性光線重合開始剤としては、公知の光酸発生剤を用いることができる。具体的にはアリールスルホニウム塩誘導体(ユニオン・カーバイド社製のサイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6974;旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172、サン・アプロ社製のCPI−100P、CPI−101A、CPI−110P,CPI−110A,CPI−200K,CPI−210S、三和ケミカル社製のTS−91、Lamberti社製のEsacure1187、Esacure1188等)、アリルヨードニウム塩誘導体(ローディア社製のRP−2074、チバガイギー社製のイルガキュア250等)、アレン−イオン錯体誘導体(チバガイギー社製のイルガキュア250等)、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤及びその他のハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクを着色する場合は、顔料を着色剤として用いることが好ましい。顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無色無機顔料または有色有機顔料を使用することができる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系有機顔料;イソインドリンイエローなどのイソインドリン系有機顔料;その他の顔料として、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、
C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、
C.I.ピグメントグリーン7、36、
C.I.ピグメントブラウン23、25、26、
上記顔料の中でも、キナクリドン系、フタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、キノフタロン系、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。
顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。
本発明の活性光線硬化型インク組成物においては、カチオン重合禁止剤を添加することが好ましい。ビニルエーテル化合物は反応性が高く、残留酸や、保存時に僅かに重合開始剤から発生する酸によって、暗反応が進行しやすいので、重合禁止剤は意図的に添加することが好ましい。重合禁止剤としては、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物もしくは、アミン類を挙げることができる。アルカリ金属イオン類は後述するようにできるだけ添加しない方が好ましく、アミン類が適している。
本発明の活性光線硬化型インク組成物においては、インク中のNaイオン、Caイオン及びMgイオンの総量が100ppm以下であることが好ましい。これらのイオンは、インクと純水とを混合し、水相を分離した後に水相に抽出されたイオンをイオンクロマト法によって定量することができる。
本発明の活性光線硬化型インク組成物には、必要に応じて界面活性剤、滑剤、充填剤、防錆剤、消泡剤、増粘剤、ゲル化剤、ポリマー類など各種の添加剤を含有させることが出来る。
本発明の活性光線硬化型インク組成物の物性は、通常の活性光線硬化型インクジェットインクと同様の物性値を有することが好ましい。即ち、粘度は25℃において5〜100mPa・sで、シェアレート依存性が出来るだけ小さく、表面張力は25℃において22〜35mN/mの範囲にあること、顔料以外に粒径が1μmを超えるようなゲル状物質が無いこと、電導度は10μS/cm以下の電導度とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインクとすることが好ましい。コンティニュアスタイプにおいては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には0.5mS/cm以上の電導度に調整する必要がある。
本発明の活性光線硬化型インク組成物は、活性光線硬化性化合物であるビニルエーテル化合物、顔料分散剤と共に、顔料をサンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散することにより製造される。予め顔料高濃度の濃縮液を調製しておき、活性光線硬化性化合物で希釈することが好ましい。通常の分散機による分散においても充分な分散が可能であり、このため、過剰な分散エネルギーが掛からず、多大な分散時間を必要としないので、インク成分の分散時の変質を招き難く、安定性に優れたインクが調製できる。調製されたインクは、孔径3μm以下、更には1μm以下のフィルターで濾過することが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法に用いる記録媒体としては、従来、各種の用途で使用されている広汎な合成樹脂が全て対象となり、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は何ら限定されない。この他にも金属類、ガラス、印刷用紙なども使用できる。
本発明の活性光線硬化型インク組成物をインクとして吐出して画像形成を行う際に使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
本発明のインクジェット記録方法においては、活性光線の照射条件として、インク着弾後0.001秒〜1.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001秒〜0.5秒である。
本発明のインクジェット記録方法では、記録媒体上にインクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることが、記録媒体のカール、皺、記録媒体の質感変化、などの面から好ましい。
本発明のインクジェット記録方法においては、活性光線硬化型インク組成物からなるインクを加熱した状態で、活性光線を照射することが、吐出安定性の面から、好ましい。
J.Chem.Soc.,1965(2)1560−1561、Am.Chem.Soc.Vol.124,No.8,1590−1591(2002)及び特開2005−015396号公報等に記載された公知の合成方法に準じて、下記に示すビニルエーテル化合物を合成した。
《インクの調製》
先ず、表1に示す処方に従い重合性モノマー組成物No.1〜15を調製した。
ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、東亞合成社製
次に、各重合性モノマー組成物(1〜15)に、分散剤(Solsperse18000 ルーブリゾール製)を添加して溶解させた後、顔料(C.I.ピグメントブルー 15:3 大日精化製)を添加して、0.5mmジルコニアビーズを用いてペイントシェーカー分散を5時間行い、顔料の分散を行った。さらに、各種添加剤を加えて撹拌混合したのち、0.85μmのメンブレンフィルターでろ過してインク組成物I−1〜I−15を得た。インク組成物の構成比(質量基準)を表2に示す。
9,10−ジブトキシアントラセン、川崎化成社製)
なお、表2に示す例示化合物の詳細は以下の通りである。
上記調製した各インクについて、下記の方法に従って各評価を行った。
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SHを用いて、粘度が10mPa・sとなるようにヘッド温度を設定し、各インクジェットノズルからの射出状態を目視観察し、下記の基準に従って吐出安定性を評価した。
×:30分連続出射で、数カ所以上のノズルでノズル欠が発生する
(高湿硬化性の評価)
ピエゾ型インクジェットノズルを備えた図2に記載のラインヘッド方式のインクジェット記録装置に、上記調製した各インク組成物I−1〜I−7を装填し、基材幅213mm、180m巻のロール状の白PETを使用して、記録媒体幅方向の解像度360dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数をあらわす。)、記録媒体の送り方向の解像度360dpiで、印字率18%の文字画像を毎分30mの搬送速度で印字した。照射光源は、高圧水銀ランプを用い、積算光量が180mJ/cm2となるような光量にて活性光線照射してインクを硬化した。画像記録時の環境は、25℃80%の高湿条件とした。描画したべた画像について、硬化直後の膜表面を触指し、表面タック(粘着性)の有無を確認し、下記の基準に従って硬化性の評価を行った。
○:硬化直後は僅かにタックが認められるが、数分以内にタックがなくなる
△:硬化直後、および時間経過後もわずかなタックが認められる
×:明らかにタックが認められる
○以上が高湿硬化性に関して実使用上好適な組成物である。
基材をターポリン基材とし、印字率を200%とした以外は上記画像形成方法と同様にしてベタ画像を作成した。画像形成面の両端を保持して延伸し、硬化膜にクラックが入るまでの延伸率を求め、下記の基準に従って硬化膜柔軟性を評価した。
○:クラックが入るまでの延伸率が、150%以上
△:クラックが入るまでの延伸率が、120%以上
×:120%未満の延伸率において、クラックが発生する
○以上が高湿硬化性に関して実使用上好適な組成物である。
《インクの調製》
実施例1に記載の各インクの調製において、インクの構成比を表5に示すとおりに変更した以外は同様にして、インクII−1〜II−15を調製した。
上記調製した各インクについて、インクジェット記録装置の光源を385nmのLEDに変更した以外は実施例1に記載の方法と同様にして、同様の評価を行った。なお、LED光源は単一の波長しかないので高圧水銀灯に比べて露光エネルギーが小さくなってしまうため、ビニルエーテルを主体としたインクの硬化性は低下する厳しい条件である。結果を表6に示す。
OXT-221:
ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、東亞合成社製
CPI−100P:
トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サン・アプロ社製
カウンターアニオン=PF6 −塩
CPI−210S:
トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サン・アプロ社製
カウンターアニオン=P(RfnF(6−n))−塩
DEA:
9,10−ジブトキシアントラセン、川崎化成社製)
TEMPO:
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル
PC:
プロピレンカーボネート、丸善石油化学社製
2 ヘッドキャリッジ
3 記録ヘッド
31 インク吐出口
4 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
8 照射光源
P 記録媒体
Claims (5)
- 少なくとも、光酸発生剤、重合性モノマー、重量平均分子量が100〜10000のオリゴマーまたはポリマーを含有する活性光線硬化型インク組成物において、該重合性モノマーの50質量%以上はビニルエーテル化合物であり、全重合性モノマーの平均LogPが1.5〜3.5を満たし、且つ25℃における活性光線硬化型インク組成物の粘度が7〜100mPa・sであることを特徴とする活性光線硬化型インク組成物。
- 前記ビニルエーテル化合物が、少なくとも1種類以上の脂環式ビニルエーテルを含有することを特徴とする請求項1に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- 前記オリゴマーまたはポリマーが、重合性基として少なくとも1つ以上のビニルエーテル基または(メタ)アクリロイル基を有し、脂環式構造または分岐アルキレン構造をもつことを特徴とする請求項1または2に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- 前記オリゴマーまたはポリマーが、分子内にウレタン構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
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