JP2011121310A - 射出成形機 - Google Patents

Abstract

【課題】溶融樹脂を射出する反力が作用しても、案内部材への影響が少なく、スクリューを円滑に作動させることができる射出成形機を提供すること。
【解決手段】スクリューをシリンダ内で前後進させるスクリュー前後進機構を、案内部材に移動可能に取り付ける。案内部材は、一端を射出装置のフレームに固定し、他端をフレームの側方部材に、スクリューの移動方向に沿って移動可能に取り付ける。これにより、フレームに長さ方向の変形が生じても、案内部材に影響を与えず、スクリュー回転機構の移動、すなわちスクリューの移動を円滑にする。
【選択図】 図１

Description

本発明は、フレームに案内部材を設け、スクリューを案内部材で移動可能に支持した射出成形機に関し、特に溶融樹脂を射出した反力の案内部材への影響が少なく、スクリューを円滑に作動させることができる射出成形機に関する。

射出成形機は、シリンダ内にスクリューを具え、シリンダ内でスクリューを前進させ、シリンダから金型内部に溶融樹脂を射出して製品を成形する。したがって射出成形機は、スクリューをシリンダ内部で前後進させるスクリュー前後進機構と、樹脂ペレットをシリンダ内部に導入させたり、導入した樹脂ペレットを混練、溶融させるためにスクリューをシリンダ内部で回転させるスクリュー回転機構とを備えている。

従来の射出成形機としては、例えば中間プレートに、スクリューの後端部を支持する軸受と、スクリューを回転駆動するモータを取り付け、その中間プレートを、摺動ベース（移動ベース）にリニアガイドを介して支持させ、直線運動機構により中間プレートを前後方向に移動可能とした構成のものが知られている。

特開２００３−８０５５９号公報

しかしながら、中間プレートにスクリューとスクリューを回転駆動させるモータを取り付け、その中間プレートを摺動ベース上に前後方向に移動させる構成の場合は、スクリューやモータが中間プレートに取り付けられている位置と、中間プレートが摺動ベースに支持されている位置とが離れている。そのため、直線運動機構により中間プレートを前後方向に移動させる際に、中間プレートに前後方向のぶれが生じ、スクリューの移動動作が不安定になることがあった。

これに対して、フレームの左右両側に側方部材を具え、フレームの後方にスクリュー前後進機構を設け、左右の側方部材の間にスクリュー回転機構を配置させるとともに、側方部材に案内部材を取り付け、案内部材上でスクリュー回転機構を移動させるようにした射出成形機が考えられる。

ところが、かかる射出成形機で、溶融樹脂を金型内に射出した際の反力がスクリューを介してフレームに作用すると、フレームの左右に設けられた側方部材に伸び変形が生じることがある。すると、側方部材から案内部材に応力が加えられ、案内部材が有する直線性や左右の案内部材間の平行度などが低下して、スクリュー回転機構の移動、つまりスクリューの移動が安定しなくなるというおそれがある。

本発明は、上記課題を解決し、溶融樹脂の射出反力によりフレームに変形が生じたとしても、スクリューを安定して作動させることができる射出成形機を提供することを目的とする。

射出成形機は、シリンダと、シリンダを支持するフレームと、シリンダ内に設けられたスクリューと、スクリューをシリンダ内で軸方向に前後進させるスクリュー前後進機構と、スクリューをシリンダ内で軸回りに回転させるスクリュー回転機構などを備えて構成されている。

フレームは、シリンダが取り付けられる前壁と、スクリュー前後進機構が取り付けられる後壁と、前壁と後壁の左右両側に、前壁と後壁をつなぐ側方部材などから形成されている。またフレームには、スクリュー回転機構を移動可能に支持する案内部材が、側方部材に沿って設けられている。更に案内部材は、スクリューの長手方向に沿ったいずれか一方の端部をフレームに固定し、他方の端部をスクリューと平行な方向にのみ移動可能に取り付けることとした。

射出成形機は、案内部材にスクリュー回転機構を移動可能に設け、その案内部材の一端をスクリューと平行な方向にのみ移動可能に設定した。それにより、樹脂を射出した時の反力によりフレーム（側方部材）に伸び変形が発生しても、案内部材の一端がかかる伸び変形を逃がすことから応力を受けることがなく、スクリュー回転機構、つまりスクリューを、案内部材上で常に安定して移動させることができる。

本発明にかかる射出成形機の射出装置の一実施形態を示す側面図である。 同射出装置の一実施形態を示す平面図である。 同射出装置の一実施形態を示す断面図である。 同射出装置を旋回した状態を示す平面図である。 射出成形機を示す斜視図である。 案内部材を示す斜視図である。

本発明にかかる射出成形機の一実施形態について、図を参照して説明する。射出成形機１０の全体を図５に示す。

射出成形機１０は、ベース５０と、ベース５０上に設けられた射出装置１２及び型締装置１４等から構成されている。また射出成形機１０のほぼ中央部分には、表示手段１６と入力手段１８が設けられている。

ベース５０は、ほぼ直方体で、ベース５０の上面には第１レール５２が設けられている。第１レール５２は、ベース５０の長手方向に沿って設けられ、第１レール５２上に射出装置１２が移動自在に載置されている。ベース５０の左側部分には、型締装置１４が射出装置１２に対向して設けられている。

型締装置１４は型締機構を備え、型締機構に組み付けられた金型（いずれも図示せず。）を開閉駆動させる。型締装置１４は、従来から知られている機構、構成のもので、適宜設けられた圧力検出センサや位置検出センサ類で、開閉作動時の圧力や開閉状態などが検出される。型締装置１４は、サーボモータ駆動方式が好ましいが、油圧駆動方式であってもよい。尚、射出装置１２及び型締装置１４は外側にカバーを有し、図５ではそれぞれがカバーで覆われた状態が示されている。

射出装置１２を、図１、及び図２に示す。以下、射出装置１２の型締装置１４側を前方とし、それを基準に前後左右を定め、また重力の方向を下方とし、その逆を上方として説明する。射出装置１２は、メインフレーム２０と、メインフレーム２０の前方（図の左方。）に設けられたシリンダ２２と、シリンダ２２の内部に設けられたスクリュー２４（図２参照。）と、スクリュー２４を中心軸周りに回転させるスクリュー回転機構２６と、スクリュー２４を軸方向に前後進させるスクリュー前後進機構２８と、射出装置１２を第１レール５２上で前後進させる推進機構３０などから構成されている。

メインフレーム２０は、基台３２と、基台３２上に取り付けられたフレーム３４から形成されている。基台３２は、扁平な枠体で、基台３２の左右両側には支持脚３６が設けられている。支持脚３６は、摺動台４５を有し、摺動台４５を介して第１レール５２上に移動自在に載置されている。これにより基台３２は、ベース５０上に摺動自在に支持されている。

推進機構３０は、図３に示すように駆動用電動機３８と、ボールねじ機構４０から構成されている。駆動用電動機３８は、基台３２の後壁３９（図の右方。）に取り付けられている。駆動用電動機３８の駆動軸は後壁３９を貫通し、ギア機構３１を介してボールねじ機構４０のねじ部４９に連結されている。ねじ部４９は、基台３２のほぼ中央を貫き、先端側が基台３２の前壁４１に回転自在に支持されている。ねじ部４９に螺合するボールねじ機構４０のナット部４４は、基台３２の内側で、ベース５０の上面に固定されている。

フレーム３４は、四角の枠体で、図２に示すように、後壁３３と、前壁３５と、左右両側に設けられた側方部材としてのタイバ３７などから構成されている。前壁３５の下方には前脚４２が、また後壁３３の下方には後脚４３が設けられている。前脚４２は、支持ピン４６と固定ねじ４８により基台３２に固定されている。そして固定ねじ４８の固定を解除すると、基台３２上を後脚４３が摺動移動して、支持ピン４６を中心にしてフレーム３４が旋回するように構成されている。

タイバ３７は、軸方向に同一の径を有する円筒体で、左右平行で、かつ後述するスクリュー２４と平行に設けられている。尚タイバ３７は円筒体に限らず、角柱状、アングル状等他の形状でもよい。更にタイバ３７は、それぞれの端部が後壁３３の前面と前壁３５の後面に取り付けられている場合のみでなく、全長がフレーム３４の前後方向に亘る長さを有し、後壁３３と前壁３５のそれぞれ側方に取り付けられている場合であってもよい。

前壁３５には、シリンダ２２が取り付けられている。シリンダ２２は、前方に延び、その先端には、金型（固定プレート）に密接するノズル部５４が設けられている。またシリンダ２２の基端側には、ホッパ５６（図１、図３参照。）が設けられている。ホッパ５６は、内部がシリンダ２２内に連通し、原料樹脂であるペレットをシリンダ２２に供給する。シリンダ２２の外周には、加熱装置２３（図５参照。）が設けられている。

左右のタイバ３７上には、図６にも示すように、支持部材５９を介して案内部材としての第２レール５８が設けられている。支持部材５９は、左右のタイバ３７の上面に、左右それぞれのタイバ３７に沿って平行に設けられている。支持部材５９は、直方体で、前端がタイバ３７の上面に固定ねじ６３で固定されており、後端が摺動部材６９に固定ねじ７３で固定されている。

摺動部材６９は、タイバ３７に、タイバ３７との間でがたつきがなく、かつタイバ３７の軸方向に沿って摺動自在に取り付けられている。タイバ３７と支持部材５９は、支持部材５９の中間部分でタイバ３７の上面から所定距離離れている。

第２レール５８は、左右が平行で、かつシリンダ２２の軸線と平行に、支持部材５９の上面にねじ等により固定されている。第２レール５８の上面には、後述するスクリュー回転機構２６の摺動台６５が移動自在に載置されている。なお第２レール５８と摺動台６５は、リニアガイドとガイドブロックからなるリニアガイドシステムを用いて構成されているが、それに限らず、他の案内形式で構成してもよい。

スクリュー回転機構２６は、回転機構本体部６０と、駆動用電動機６２と、伝動ベルト６４と、プーリ６６などから構成されている。スクリュー２４は、シリンダ２２内に往復動自在、かつ回転自在に設けられ、その基端側は、プーリ６６に連結されている。

回転機構本体部６０は、左右にステー６８を延ばし、その端部に摺動台６５を具えている。摺動台６５は、上述したように第２レール５８上に摺動自在に載置され、これによりスクリュー回転機構２６がフレーム３４に対して移動可能に設けられている。

回転機構本体部６０の上部には、駆動用電動機６２が取り付けられている。回転機構本体部６０の前方には、軸受６１を介してプーリ６６が回転自在に設けられており、伝動ベルト６４を介して駆動用電動機６２の回転駆動軸６７に連結されている。プーリ６６には、前述したようにスクリュー２４が同軸に一体に固定されている。

回転駆動軸６７は、左右の第２レール５８の摺動面を含む平面（図示せず。）より上方に配置されている。またスクリュー２４は、同平面より下方に配置されている。回転機構本体部６０の後方には、ロードセル７０を介してスクリュー前後進機構２８が設けられている。

スクリュー前後進機構２８は、駆動用電動機７２と、伝動ベルト７４と、プーリ７６と、ボールねじ機構７８などから構成されている。駆動用電動機７２は、フレーム３４の側方に取り付けられており、その回転駆動軸が伝動ベルト７４を介してプーリ７６に連結されている。

プーリ７６は、フレーム３４の後壁３３に軸受７７により回転自在に支持されている。プーリ７６には、ボールねじ機構７８のねじ部８０が一体に連結されている。ねじ部８０は、スクリュー２４と同軸に設けられ、ボールねじ機構７８のナット部８２に螺合している。ナット部８２は円筒状で、ナット部８２の前端面がロードセル７０の後面に固定されている。

ロードセル７０は、軸方向の圧力を計測する圧力計測器で、円筒体状の起歪体と起歪体に取り付けられた歪みセンサ（いずれも図示せず。）などから構成されている。ロードセル７０の中心には、ねじ部８０の外径より大きい内径の孔が形成されている。上述したようにロードセル７０の図の左方側面は、回転機構本体部６０に連結され、図の右方側面は、ナット部８２に連結固定されている。ロードセル７０の出力端子は、制御装置（図示せず。）に接続されており、ロードセル７０に圧力が加えられるとその圧力に応じた出力信号を制御装置に送出する。

次に、射出成形機１０の作動について説明する。

まず、推進機構３０を作動させ、駆動用電動機３８を駆動させる。すると、ねじ部４９が回転し、ベース５０に固定されたナット部４４を支持点としてねじ部４９が螺進し、それとともに基台３２が第１レール５２上を前進する。基台３２の前進により、射出装置１２が前進して、シリンダ２２のノズル部５４が金型に当接し所定の圧力で密着すると推進機構３０が停止し、射出装置１２はノズルタッチ状態となる。

次に、ホッパ５６に原料となるペレットを満たした状態で、スクリュー回転機構２６を作動させる。すると駆動用電動機６２が駆動し、伝動ベルト６４を介してプーリ６６が回転して、スクリュー２４がシリンダ２２内で回転する。また、スクリュー前後進機構２８が駆動し、スクリュー２４をシリンダ２２内で後退させる。

すると、ホッパ５６からシリンダ２２内にペレットが導入され、そのペレットは、加熱装置２３により加熱されたシリンダ２２内で、スクリュー２４の回転により搬送、混練される。これによりペレットは溶融し、シリンダ２２の先端に溶融樹脂の状態となって貯留される。

シリンダ２２の先端に所定の溶融樹脂が貯留され、射出の準備が整うと、スクリュー前後進機構２８が作動して、駆動用電動機７２が駆動される。すると伝動ベルト７４を介してプーリ７６が回転し、ねじ部８０が螺進方向に回転される。これにより、ねじ部８０に螺合しているナット部８２が前方に移動し、ロードセル７０を介して回転機構本体部６０が第２レール５８に支持された状態で移動して、プーリ６６が前方に移動する。これによりスクリュー２４が前進し、型締装置１４により型締めされている金型内に、溶融樹脂がシリンダ２２からノズル部５４を通して射出される。

ここで第２レール５８の摺動面が、回転駆動軸６７とスクリュー２４の間に位置しているので、スクリュー回転機構２６は、前後にぶれを生じさせることなく第２レール５８上を円滑に摺動する。したがって、スクリュー回転機構２６に連結されたスクリュー２４がシリンダ２２内で円滑に往復動される。

そして樹脂を金型内に射出したことにより、樹脂からの反力がスクリュー２４に加えられる。かかる反力は、スクリュー２４の後端からプーリ６６に伝わり、軸受６１を介して回転機構本体部６０に伝わり、ロードセル７０を押圧する。ロードセル７０には、スクリュー２４と逆の面にナット部８２が取り付けてあり、ナット部８２を介してねじ部８０に螺合している。

したがって、ロードセル７０は軸方向両側から押圧され、スクリュー２４に加えられた圧力が計測される。ロードセル７０の出力信号は、上述したように制御装置に送られ、金型内に所定の樹脂が確実に充填されたか否か等が判定される。

金型内へ樹脂が所定の圧力で充填され、保圧が完了すると、射出装置１２は連続して次回の成形を行うために、ノズルタッチ状態を保ちつつ、スクリュー回転機構２６がスクリュー２４を回転させ、またスクリュー前後進機構２８がスクリュー２４を後退させながら、上述したと同様にシリンダ２２の先端に溶融樹脂を貯溜する。また型締装置１４は、金型を開き、製品を放出させると、次回の成形にそなえて、再び金型を型締めする。

かかる作業において、タイバ３７に設けられた第２レール５８上をスクリュー回転機構２６が往復摺動するので、スクリュー回転機構２６、すなわちスクリュー２４を円滑に往復動させることができる。

また摺動部材６９が、タイバ３７に対して軸方向に相対移動可能に設けられているので、シリンダ２２から溶融樹脂を金型に射出して、その反力によりタイバ３７に伸びなどが生じても、摺動部材６９が伸び変形を吸収し、第２レール５８には伝得られない。したがって、第２レール５８の直線性や、左右の平行度などが正確に保たれ、射出時においてもスクリュー２４を円滑に往復動させることができる。

次に、射出装置１２を旋回移動させる場合について説明する。

まず、推進機構３０を作動して、射出装置１２を後方に移動させ、射出装置１２が旋回する際に型締装置１４が障害とならないようにする。

次に、固定ねじ４８を緩めて基台３２とフレーム３４との結合を解除する。フレーム３４が基台３２上に載せてあるので、基台３２とフレーム３４との結合を解除するだけで、支持ピン４６を中心として、フレーム３４が旋回自在となる。

フレーム３４を、メインフレーム２０の基台３２に対して旋回させた状態の射出装置１２を図４に示す。このように射出成形機１０は、支持ピン４６を中心として射出装置１２を、基台３２とフレーム３４との間を境にして、旋回することができる。射出装置１２の旋回動作は、後脚４３を基台３２上を摺動させながら行えるので、例えば、シリンダ２２やスクリュー２４を清掃、交換等する場合、射出装置１２を容易に、かつ安全に回転させることができる。

本発明は、スクリュー回転機構をフレームに前後進自在に設けた射出成形機に利用可能である。

１０…射出成形機
１２…射出装置
１３…凹部
２０…メインフレーム
２２…シリンダ
２４…スクリュー
２６…スクリュー回転機構
２８…スクリュー前後進機構
３０…推進機構
３２…基台
３４…フレーム
３７…タイバ
４６…支持ピン
５０…ベース
５２…第１レール
５８…第２レール
６９…摺動部材

Claims (2)

1. シリンダと、
   前記シリンダを支持するフレームと、
   前記シリンダ内に設けられたスクリューと、
   前記スクリューを前記シリンダ内で軸方向に前後進させるスクリュー前後進機構と、
   前記スクリューを前記シリンダ内で軸回りに回転させるスクリュー回転機構と、
   を備え、
   前記フレームは、
   前記シリンダが取り付けられる前壁と、
   前記スクリュー前後進機構が取り付けられる後壁と、
   前記前壁および前記後壁の左右両側に設けられ、該前壁と該後壁をつなぐ側方部材からなり、
   前記スクリュー回転機構は、
   駆動用電動機と、
   該駆動用電動機の回転を前記スクリューに伝達する伝達手段と、を具え、
   前記フレームに設けられた案内部材上に該スクリュー回転機構を往復摺動可能に取り付け、
   更に前記案内部材は、該案内部材の前記スクリューの移動方向に沿ったいずれか一方の端部を前記フレームに固定し、該案内部材の他方の端部を、前記スクリューの移動方向と平行な方向にのみ移動可能に前記フレームに取り付けたことを特徴とする射出成形機。
2. 前記側方部材は、円筒形で、該側方部材に移動可能に設けられた摺動部材に、前記案内部材の他方の端部を取り付けたことを特徴とする請求項１に記載の射出成形機。

Images