JP2011117055A - 銅合金材 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い導電率を持つCu−Zr系合金を素材として、従来よりも高い耐応力緩和性を有するとともに、優れた強度とばね性をも併せ持った電気・電子部品材料として好適な銅合金材を提供する。
【解決手段】銅合金材は、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの中から選択した1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる。銅合金材は、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下の耐応力緩和性を有している。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば電気・電子部品の材料として好適に用いられる銅合金材に係り、特に、優れた耐応力緩和性を有する銅合金材に関するものである。
コネクタ、リレーやスイッチ等の電気・電子部品に用いられる材料には、ばね材として高い接触圧を得るのに十分な強度、高温下で長期間使用しても接触圧が維持できるような耐応力緩和性、通電時のジュール熱発生を抑えるとともに、発生した熱を放散しやすくするための高導電性などの特性が求められる。
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車の実用化が進み、これらに使用される端子やコネクタ等の部品では従来以上に高い導電性と良好なばね性とを兼備した材料に対する要求が高まってきている。また、こうした車載向けの部品では使用環境が高温になることから、高温環境下でも、十分な信頼性が確保できるように従来以上に耐応力緩和性の高い材料に対する要求が強まっている。こうした材料には、従来から、黄銅などが使用されているが、高導電性や耐応力緩和性の要求に対して満足できる特性を得ることはできない。
上記のような高導電性への要求に対応できる材料としては、Cu−Zr系やCu−Cr系の合金が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。その合金の中でも、Cu−Zr系の合金は90%IACS前後の極めて高い導電率を確保することが可能であり、有望な合金であると考えられる。
特開平2−97632号公報 特開2008−248275号公報 特開平6−158201号公報 特開平7−166270号公報
しかしながら、Cu−Zr系の合金は、同様の析出型合金であるCu−Ni−Si系の合金のように析出硬化で高強度が得られ難い。また、耐応力緩和性についても、近年の車載向け部品で要求される高いレベルの特性に対しては不十分であった。
従って、本発明の目的は、高い導電率を持つCu−Zr系合金を素材として、従来よりも高い耐応力緩和性を有するとともに、優れた強度とばね性をも併せ持った電気・電子部品材料として好適な銅合金材を提供することにある。
本件発明者等は、上記従来の課題を解決すべく、Cu−Zr系合金について種々の検討を行った。その結果、以下の(1)〜(5)のような解決策を見いだし、本発明を完成させるに至った。
(1)Cu−Zr系合金は、0.05〜0.3質量%のZrを含有する銅合金をベースの材料とする。
(2)上記(1)に加えて、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの中から選択した1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金を素材とする。
(3)上記(1)及び(2)のように構成された組成範囲にある銅合金は更に、その耐応力緩和性を150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下になるように規定する。
(4)上記(3)の耐応力緩和性を有する銅合金は更に、その特性値について90%IACS以上の導電率を保持しつつ480MPa以上の引張強さを有するように規定する。
(5)上記(3)の特性を更に安定して実現するためには、中間焼鈍後の平均結晶粒径を20〜100μmに調整する。
即ち、本発明は、上記目的を達成するため、0.05〜0.3質量%のZrを含有するとともに、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの中から選択した1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下の耐応力緩和性を持つことを特徴とする銅合金材を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、0.05〜0.3質量%のZrを含有するとともに、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの中から選択した1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、90%IACS以上の導電率を保持しつつ480MPa以上の引張強さを持ち、かつ、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下の耐応力緩和性を持つことを特徴とする銅合金材を提供する。
更に、本発明は、上記目的を達成するため、0.05〜0.3質量%のZrを含有するとともに、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの中から選択した1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、中間焼鈍後の平均結晶粒径が20〜100μmに調整され、かつ、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下の耐応力緩和性を持つことを特徴とする銅合金材にある。
更にまた、本発明は、上記目的を達成するため、0.05〜0.3質量%のZrを含有するとともに、Ga、Moのいずれか1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる耐応力緩和性を持つことを特徴とする銅合金材にある。
本発明によれば、従来の高導電率を特徴とする材料と比べて、耐応力緩和性が高く、良好な導電性と優れた強度とを兼ね備えた銅合金材が効果的に得られる。
[実施の形態の要約]
Cu−Zr系の銅合金材において、0.05〜0.3質量%のZrを含有するとともに、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの中から選択した1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下の耐応力緩和性を持つことを特徴とする銅合金材が提供される。
[実施の形態]
以下、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
(Cu−Zr系合金の組成)
この実施の形態におけるCu−Zr系合金は、Zr(ジルコニウム)を含有するとともに、副成分として、Mg(マグネシウム)、Ti(チタン)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Y(イットリウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀)、In(インジウム)、Sn(錫)の中から選択した1種以上を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる構成を基本組成成分としている。このZrは、形成される析出粒子の量や大きさに影響を与えて、導電率と引張強さ(強度)とのバランスを変化させるが、このZrの含有量としては、0.05〜0.3質量%の範囲が好適である。
副成分としては、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snのいずれか1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有していることが好適である。これらの成分のうち、Ga、Moのいずれか1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有するものが、特に好ましい。これらの成分は、Zrと併せて添加することで一層の強度向上が期待できる。
この実施の形態に係るCu−Zr系合金は、特に、ハイブリッド自動車や電気自動車に用いられる電気・電子部品の材料に効果的に使用することができるものである。この分野の技術において高特性の材料を供給するという面から支え、その発展に大きく寄与するものである。
以上のように構成された銅合金材の合金成分の添加理由と限定理由とを以下に説明する。
(Zr)
Zrは、Cuの母相中に析出することで、導電性と引張強さとを向上させるために添加する元素である。このZrを0.05〜0.3質量%の規定範囲内で含有させることによって良好な特性が実現されやすくなる。Zrの含有量が0.05質量%の規定範囲より少ない場合は、引張強さが不十分になるとともに、耐応力緩和性も十分な特性を得ることができなくなる。Zrの含有量が0.3質量%の規定範囲より多い場合は、Cuの母相中に析出せずに固溶状態で残留するZrが多くなり、導電率が低下してしまう。
(Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Sn)
これらのMg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snは、Cu−Zr系合金の耐応力緩和性を向上させるために添加する元素である。これらの成分は、材料の強度を向上させる効果も併せ持っており、特に、車載向けの電気・電子部品材料として要求される高いレベルの耐応力緩和性を実現させる効果を持つ。これらの成分の添加量が0.01質量%の規定範囲より少ない場合は、添加する効果が十分に得られない。これらの成分の添加量が0.3質量%の規定範囲より多い場合は、導電性の低下などの悪影響が大きくなる。
これらの成分は、その原子半径が母相となるCu原子に比べて大きいことを共通の特徴としている。原子半径が大きい成分を添加することで耐応力緩和性が向上する理由は、以下のように考えられる。応力緩和は、一定の歪み状態において、時間の経過とともに弾性ひずみが塑性ひずみに変化し、応力が減少していく現象である。こうした変化は、原子レベルで考えると、原子の拡散と転位の移動の両方によって進行すると考えられる。この原子の拡散は、原子が空孔を媒介としたジャンプで移動することにより進行する。ここで、原子半径の大きな添加成分は、結晶格子中で周囲に生じる格子歪を軽減するために空孔と結びつきやすい。結びついた空孔は、その容積が小さくなる。容積の小さな空孔は、原子が移動する媒介として働き難いため、結果として、原子半径の大きな成分の添加は、原子の拡散を妨げる効果を持つ。
また、転位の移動への影響については、次のように考えられる。原子半径の大きな添加成分は、結晶格子の歪を軽減するために転位の周辺に集まってコットレル雰囲気と呼ばれる状態をつくる。転位は、この状態を引きずったまま移動しなければならないため、移動の抵抗が大きくなる。その結果として、原子半径の大きな成分の添加は、転位の移動も妨げる効果を持つ。こうした効果により、原子半径の大きな成分を添加することで耐応力緩和性を向上させることができるといえる。
(耐応力緩和性)
この実施の形態である銅合金材は、良好な耐応力緩和性を示す指標として、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下になるように規定することが好適である。従来のCu−Zr系合金では、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率は40%程度になるものが一般的である。これに対し、少なくとも上記基本組成成分を含有することで、この応力緩和率特性を大幅に低く抑えることができるCu−Zr系合金が得られる。
この応力緩和試験の方法は、日本電子材料工業会の標準規格EAMAS−1011、及び日本伸銅協会の技術標準JCBA−T309に規定されている。その方法は、試料を片持ち梁の状態にして、初期の表面最大応力が0.2%耐力の80%の値になるように曲げを加え、これを150°Cに加熱して1000時間程度保持する。そして、保持終了後に曲げ応力を除荷して、生じた永久変形によるたわみ量を測定するというものである。
この応力緩和率は、最初に付加した曲げのたわみ量に対する加熱保持後の永久変形たわみ量の割合によって算出する。応力緩和率が20%以下であれば、初期の目的とする車載向け電気・電子部品材料として要求される耐応力緩和性に対して十分な特性が確保できる。
この銅合金材は更に、その特性値について90%IACS以上の導電率と480MPa以上の引張強さとを兼備している。従来のCu−Zr系合金は、400〜450MPa程度の引張強さを示す材料が一般的である。これに対し、この実施の形態である銅合金材料の特性は、従来の高導電材料に比べて優れた強度とばね性とを有しており、対象とする車載向け電気・電子部品材料として十分な特性を有することができる。
この銅合金材は更に、中間焼鈍後の平均結晶粒径を20〜100μmに調整することが好適である。平均結晶粒径を20〜100μmに調整するのは、初期の目的とする高い耐応力緩和性と良好な強度とを、更に一層安定して実現するためである。結晶粒径は、材料特性に大きく影響するものであり、結晶粒径が小さすぎると、耐応力緩和性の悪化につながる。結晶粒径が大きすぎると、十分な強度が確保できなくなるので好ましくない。
(実施の形態の効果)
上記実施の形態である銅合金材によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)Cu−Zr系合金の優れた導電性を損なうことなく、従来以上の耐応力緩和性と強度とを優れたバランスで兼備させた材料が得られる。
(2)こうした材料は、特に、車載向けコネクタ等の高温環境下で使用される電気・電子部品への適用に最適であり、これらの部品の小型化や高機能化に大きな効果をもたらすことが期待できる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その実施の形態から当業者が容易に変更可能な技術的範囲をも当然に包含するものである。
以下に、本発明の更に具体的な実施の形態として、実施例及び比較例を挙げて詳細に説明する。なお、この実施例では、上記実施の形態である銅合金材の典型的な一例を挙げており、本発明は、これらの実施例及び比較例に限定されるものではないことは勿論である。
表1に、実施例である試料No.1〜10の組成、比較例である試料No.11〜15の組成をまとめて示し、表2に、これらの試料No.1〜15の導電率、引張強さ、及び応力緩和率の評価結果をまとめて示す。表3に、実施例である試料No.1、16、17、及び比較例である試料No.18〜20のそれぞれの中間焼鈍条件と、平均結晶粒径、応力緩和率、及び引張強さの評価結果をまとめて示す。
[試料No.1]
無酸素銅を母材にしてZr:0.15質量%、Mg:0.05質量%を含有した銅合金を溶製し、厚さ70mm、幅200mm、長さ500mmのインゴットに鋳造した。これを950°Cに加熱して厚さ10mmまで熱間圧延した後、厚さ1mmまで冷間圧延して700°Cで1分間加熱する中間焼鈍を行った。中間焼鈍後の銅合金材料から、少量のサンプルを採取した後、残部を厚さ0.3mmまで冷間圧延し、更に450°Cで1分間加熱する歪取り焼鈍を行って試作品を製作した。
試料No.1の試作品について、導電率と引張強さとを測定した。更に試料No.1の試作品について、応力緩和試験を行い、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率を測定した。
表1及び2から明らかなように、導電率92%IACS、及び引張強さ508MPaの特性が得られ、初期の目的とする導電率(90%IACS以上)と強度(480MPa以上)とを実現できることが確認できた。応力緩和率は、17.6%であり、初期の目的とする規定範囲(20%以下)を満足することが確認できた。
中間焼鈍後の試料No.1の試作品材料から採取したサンプルについて金属組織を観察して平均結晶粒径を測定した。結晶粒径の測定は、オリンパス製の金属顕微鏡PMG3を用いて行った。
表3から明らかなように、平均結晶粒径は55μmであり、初期の目的とする規定範囲(20〜100μm)を満足することを確認した。
これらの結果から、試料No.1の試作品は、初期の目的とする良好な耐応力緩和性を持ちつつ、良好な強度と優れた導電性とを両立させた材料であるということが分かった。
[試料No.2〜10]
試料No.2の試作品については、Mgに替えて、Tiを0.05質量%添加した以外は、上記試料No.1の試作品と同様の製法及び条件で製作した。試料No.3〜10の試作品についても、Mgに替えて、それぞれ選択したZn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snを0.05質量%添加した以外は、上記試料No.1の試作品と同様の製法及び条件で製作した。
表1及び2から明らかなように、試料No.2〜10の試作品のいずれも、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下の良好な耐応力緩和性が得られるとともに、導電率90%IACS以上、及び引張強さ480MPa以上の特性が得られており、初期の目的とする優れた導電性と良好な強度とを確保することができるということが分かった。
[比較例]
表1及び2において、試料No.11は、Mgなどの副成分を含まないCu−Zr系合金の一例を例示している。この試料No.11の比較品においては、副成分を無添加とした以外は、上記試料No.1の試作品と同様の製法及び条件で製作した。
表1及び2から明らかなように、副成分が無添加であるCu−Zr系合金では、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が30%を超えており、耐応力緩和性が不十分であるということが分かった。90%IACS以上の導電率は保持しているが、引張強さが480MPa未満である。上記試料No.1の試作品と比べて、引張強さが低く、十分なばね性が期待できないということが分かった。
[試料No.12]
表1及び2中の試料No.12は、Zrの含有量が上記実施例の規定範囲より少ないCu−Zr系合金の一例を例示している。この試料No.12の比較品においては、Zrの含有量を変更した以外は、上記試料No.1の試作品と同様の製法及び条件で製作した。
表1及び2から明らかなように、試料No.12の比較品は、150°Cで1000時間保持後の耐応力緩和性が20%を超えており、耐応力緩和性が不十分であるということが分かった。90%IACS以上の導電率は保持しているが、引張強さが480MPa未満である。上記試料No.1の試作品と比べて、引張強さが低く、十分なばね性が期待できないということが分かった。
[試料No.13]
表1及び2中の試料No.13は、Zrの含有量が上記実施例の規定範囲より多いCu−Zr系合金の一例を例示している。この試料No.13の比較品においては、Zrの含有量を変更した以外は、上記試料No.1の試作品と同様の製法及び条件で製作した。
表1及び2から明らかなように、試料No.13の比較品は、150°Cで1000時間保持後の耐応力緩和性が20%以下であり、引張強さが480MPa以上であり、耐応力緩和性及び引張強さを維持しているものの、90%IACS以上の導電率を確保することができないということが分かった。
[試料No.14]
表1及び2において、試料No.14は、副成分であるMgの含有量が上記試料No.1の試作品における規定範囲より少ないCu−Zr系合金の一例を例示している。この試料No.14の比較品においては、Mgの含有量を変更した以外は、上記試料No.1の試作品と同様の製法及び条件で製作した。
表1及び2から明らかなように、試料No.14の比較品は、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が26%を超えており、副成分であるMgを含まない場合と同様に耐応力緩和性が不十分であるということが分かった。90%IACS以上の導電率は保持しているが、引張強さが480MPa未満であり、引張強さが低く、十分なばね性が期待できないということも分かった。
[試料No.15]
表1及び2中の試料No.15は、副成分であるMgの含有量が上記試料No.1の試作品における規定範囲より多いCu−Zr系合金の一例を例示している。この試料No.15の比較品においては、Mgの含有量を変更した以外は、上記試料No.1の試作品と同様の製法及び条件で製作した。
表1及び2から明らかなように、試料No.15の比較品は、副成分であるMgの添加量が多すぎると、150°Cで1000時間保持後の耐応力緩和性が20%以下であり、引張強さが480MPa以上であり、耐応力緩和性及び引張強さを保持している。しかしながら、導電率の低下が大きくなり、90%IACS以上の導電率を確保することができなかった。
次に、本発明の更に具体的な実施例及び比較例を挙げて結晶粒径の範囲限定理由を詳細に説明する。なお、表3において、試料No.16及び17は実施例を、試料No.18〜20は比較例をそれぞれ例示している。
[試料No.16]
650°Cで1分間加熱する中間焼鈍を行った以外は、上記試料No.1の試作品と同じ組成、製法及び条件で、試料No.16の試作品を製作した。
[試料No.17]
750°Cで1分間加熱する中間焼鈍を行った以外は、上記試料No.16と同様の成分、製法及び条件で、試料No.17の試作品を製作した。
[試料No.18〜20]
600°C、800°C、850°Cの3通りで1分間加熱する中間焼鈍を行った以外は、上記試料No.16の試作品と同様の成分、製法及び条件で、試料No.18〜20の比較品をそれぞれ製作した。
(結晶粒径、応力緩和率、及び引張強さの評価結果)
これらの試料No.1、No.16〜20について引張強さを測定するとともに、応力緩和試験を行い、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率を測定した。各試料No.1、No.16〜20の中間焼鈍条件と中間焼鈍後の平均結晶粒径、及び最終材の応力緩和率と引張強さの評価結果を表3に示す。
表3から明らかなように、実施例である試料No.16及び17の試作品では、中間焼鈍後の平均結晶粒径が初期の目的とする20〜100μmの規定範囲内にある。150°Cで1000時間保持後の応力緩和率も、20%以下の優れた耐応力緩和性を有している。引張強さも、480MPa以上の特性が得られている。以上より、高い耐応力緩和性を有するとともに、良好な強度とばね性とを両立させることができるということが分かった。
表3から明らかなように、試料No.18の比較品では、初期の目的とする480MPa以上の引張強さが得られている。しかしながら、中間焼鈍後の平均結晶粒径が20μmの規定範囲より小さくなり、しかも、応力緩和率が20%を超えており、耐応力緩和性が不十分であった。
表3から明らかなように、試料No.19及び20の比較品では、初期の目的とする20%以下の耐応力緩和性が得られている。しかしながら、中間焼鈍後の平均結晶粒径が初期の目的とする100μmの規定範囲より大きくなっている。しかも、引張強さが初期の目的とする480MPaの規定範囲よりも低下しており、ばね性が不十分になる恐れがあるということが理解できる。
Figure 2011117055
Figure 2011117055
Figure 2011117055

Claims (4)

  1. 0.05〜0.3質量%のZrを含有するとともに、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの中から選択した1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、
    150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下の耐応力緩和性を持つことを特徴とする銅合金材。
  2. 0.05〜0.3質量%のZrを含有するとともに、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの中から選択した1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、
    90%IACS以上の導電率を保持しつつ480MPa以上の引張強さを持ち、かつ、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下の耐応力緩和性を持つことを特徴とする銅合金材。
  3. 0.05〜0.3質量%のZrを含有するとともに、Mg、Ti、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Ag、In、Snの中から選択した1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、
    中間焼鈍後の平均結晶粒径が20〜100μmに調整され、かつ、150°Cで1000時間保持後の応力緩和率が20%以下の耐応力緩和性を持つことを特徴とする銅合金材。
  4. 0.05〜0.3質量%のZrを含有するとともに、Ga、Moのいずれか1種以上を総量で0.01〜0.3質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる耐応力緩和性を持つことを特徴とする銅合金材。
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