JP5325178B2 - 強度、導電率及び曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系銅合金及びその製造方法 - Google Patents

強度、導電率及び曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系銅合金及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、コネクタ、端子、リレ−、スイッチ等の導電性ばね材に好適に用いられるCu−Co−Si系銅合金及びその製造方法に関する。
従来、コネクタ、端子等の電子材料用銅合金には、りん青銅や黄銅に代表される固溶強化型銅合金が使用されていた。しかし、近年のコネクタ、端子等の小型化に伴い、従来の固溶強化型銅合金に代わって、より高い強度及び導電率をもつ析出硬化型銅合金の使用が増加している。析出硬化型銅合金では、溶体化処理された過飽和固溶体を時効処理することにより、微細な析出物が均一に分散して、合金の強度が高くなると同時に、銅中の固溶元素量が減少し、導電率が向上する。このため、析出硬化型銅合金は強度、導電率に優れている。
代表的な析出硬化型銅合金として、Cu−Ni−Si系合金が電子材料用途に実用化されている。この銅合金では、銅マトリックス中に微細なNi−Si系金属間化合物粒子が析出することにより強度と導電率が向上する。しかしながら、一般にCu−Ni−Si系合金は導電率が50%IACS未満であり、最近の電気自動車やハイブリット車用の端子、コネクタ等に要求される高い導電率が実現できないという問題がある。
このような背景から、Cu−Ni−Si系合金より導電率が高い材料としてCu−Co−Si系合金の開発が進んでいる。
例えば、CoとSiの質量比、介在物の大きさおよび総量を制御することにより引張強さ700N/mm、導電率60%IACSが得られ、さらに板厚0.3mm、曲げ半径0.3mm(R/t=1)の90°V曲げで割れが生じないCu−Co−Si系合金が開発されている(特許文献1)。
又、Cu−Co−Si系合金にさらにCrを添加することにより、0.2%耐力が680MPa、導電率63%IACSが得られ、(R/t=1)の90°W曲げで割れが生じないCu−Co−Si系合金が開発されている(特許文献2)。
さらに、結晶粒径や析出物のサイズや分布状態を制御して強度、導電率及び曲げ性(MBR/t)を向上させたCu−Co−Si系合金が開発されている(特許文献3〜7)。
特開2008−56977号公報 特開2008−88512号公報 特開2008−266787号公報 特開2009−242814号公報 国際公開2009/096546号 国際公開2009/116649号 特開2010−59543号公報
しかしながら、これら従来技術について本発明者らが追試したところ、いずれも板厚0.3mmの試料を曲げ半径0.3mmで90°W曲げしたときに割れが認められ、曲げ性が充分なレベルに達しているとはいえなかった。
このように、強度、導電率に優れ、曲げ加工性を大幅に改善させたCu−Co−Si系銅合金は未だ開発されていない。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、強度、導電率及び曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系銅合金及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、結晶粒径を粗大化させ、粒内及び粒界に均一にCo−Si系金属間化合物を析出させることで、高い導電率を得るために高温で時効しても優れた強度及び曲げ加工性が得られることを見出した。
上記の目的を達成するために、本発明のCu−Co−Si系銅合金は、0.5〜3.0質量%のCoと、0.1〜1.0質量%のSiとを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなり、圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が5μm以上であり、圧延面の金属組織の粒内に存在するCo−Si系化合物の単位面積当たりの面積率をSIとし、圧延面の金属組織の粒界に存在するCo−Si系化合物の単位面積当たりの面積率をSGとしたとき、SI>SG、1%≦(SI+SG)≦20%を満たす。
0.2%耐力が600MPa以上、導電率が60%IACS以上であることが好ましい。
圧延方向に直角な方向にJIS H 3130に規定されたW曲げ試験を行った際、割れの生じない最小曲げ半径(MBR、単位:mm)と板厚(t、単位:mm)との比(MBR/t)が1以下であることが好ましい。
更にFe、Ni、Cr、Zr、B、Mg、Ti及びPの群から選ばれる1種以上を合計0.001〜0.5質量%含有することが好ましい。
本発明のCu−Co−Si系銅合金の製造方法は、前記Cu−Co−Si系銅合金の製造方法であって、0.5〜3.0質量%のCoと、0.1〜1.0質量%のSiとを含有し残部がCu及び不可避不純物からなる鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、時効後冷間圧延の順で行い、前記溶体化処理の温度を950〜1050℃とし、前記時効処理の温度を450〜650℃、時効処理時間を8〜20時間とし、前記時効後冷間圧延の加工度を10〜30%とする。
前記時効後冷間圧延の後に300〜600℃で10〜300秒加熱する歪取り焼鈍を行うことが好ましい。
本発明によれば、強度、導電率及び曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系銅合金が得られる。
本発明のCu−Co−Si系銅合金の組織を示す模式図である。 従来のCu−Co−Si系銅合金の組織を示す模式図である。 応力緩和率の測定方法を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態に係るCu−Co−Si系銅合金について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
まず、図1、図2を参照し、本発明の技術思想について説明する。一般にCu−Co−Si系銅合金は、鋳塊を熱間圧延、冷間圧延した後、溶体化処理してCuマトリックス中にCo及びSiを固溶させ、さらにその後に時効処理してCo−Si系金属間化合物を析出させて製造され、これにより高い強度及び導電率が得られる。そして、Cu−Co−Si系銅合金の導電率を改善させるためには、時効温度を高くし、Co−Si系金属間化合物の析出を促進させれば良い。
図2は、このようにして製造される一般的なCu−Co−Si系銅合金の組織を示す模式図である。まず、時効処理の初期段階において、結晶粒界Gのエネルギーは粒内のエネルギーより高いため、Co−Si系金属間化合物(析出物)Pが粒界Gに優先的に析出する。次いで、時効が進行するに従って粒界Gの析出物Pが成長すると共に、粒内でも析出物Pが発生し始める。
ここで、高い導電率を得るために時効温度を高くすると、時効の初期段階に粒界Gに析出した析出物Pが粗大化し、強度及び曲げ加工性が劣化する。このように、Cu−Co−Si系銅合金の強度及び曲げ加工性と、導電率との向上は相反し、これらすべてを改善することは難しい。
このようなことから、本発明者らは、Cu−Co−Si系銅合金の結晶粒径及びCo−Si系化合物の析出状態と、強度、導電率及び曲げ加工性との関係を鋭意調査した。その結果、結晶粒径を粗大化させることで、高い導電率を得るために高温で時効しても優れた強度及び曲げ加工性が得られることを見出した。
図1は、本発明の銅合金の組織を示す模式図である。まず、溶体化処理で結晶粒を粗大化させる(結晶粒径Dを従来の結晶粒の結晶粒径Dより大きくする)。ここで、結晶粒径Dが大きくなるほど、粒界Gの総面積を小さくすることができる。そのため、時効処理の初期段階で、粒界Gでの析出物Pの析出が抑制される一方、粒内での析出物Pの析出が促進され、微細な析出物P、Pを均一に分散させることができる。
従って、高い導電率を得るために高温で時効しても、粒内及び粒界の析出物P、Pが均一に成長し、粒界Gでの析出物Pの粗大化が抑制され、強度及び曲げ加工性と、導電率とを両立することができる。
ただし、時効処理の際に粒内及び粒界の析出物が少なすぎると強度及び導電率の向上効果は小さく、粒内及び粒界の析出物が多すぎると強度の向上効果が小さいと共に曲げ加工性が劣化する。このようなことから、粒内及び粒界に生成したCo−Si系化合物の量(単位面積当たりの面積率であって、それぞれ特許請求の範囲のSI、SGで表される)を一定以上とする必要がある。
次に、本発明のCu−Co−Si系銅合金の組成及びその他の規定について説明する。
(1)組成
Cu−Co−Si系銅合金は、0.5〜3.0質量%のCoと、0.1〜1.0質量%のSiとを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる。Cu−Co−Si系銅合金は、溶体化処理によりCuマトリックス中へCo及びSiを固溶させ、時効処理により微細な析出物を合金中に分散させることにより、強度及び導電率を向上させる。
Co濃度が0.5質量%未満、又はSi濃度が0.1質量%未満になると、析出物の析出が不充分となり所望の強度が得られない。一方、Co濃度が3.0質量%を超え、又はSi濃度が1.0質量%を超えると、強度は向上するものの導電率が向上せず、さらに熱間圧延で割れが発生し、製造性が著しく悪化する。
更にFe、Ni、Cr、Zr、B、Mg、Ti及びPの群から選ばれる1種以上を合計0.001〜0.5質量%含有することにより、強度を更に向上させることができる。これらの合計含有量が0.001質量%未満になると強度上昇の効果は得られず、合計含有量が0.5質量%を超えると導電率が低下する場合がある。
(2)0.2%耐力及び導電率
0.2%耐力を高めると、コネクタとして使用する際に接点部での接圧が高くなり、接触電気抵抗が減少する。コネクタとして充分な接圧を得るためには0.2%耐力が600MPa以上であることが好ましく、より好ましくは630MPa以上である。
導電率を高めると、コネクタとして使用する際、接点部での接触電気抵抗及び通電に伴う発熱量が減少する。コネクタ用の材料として充分な導電率は60%IACS以上であり、より好ましくは62%IACS以上である。
(3)平均結晶粒径
上記したように、溶体化処理で結晶粒を粗大化させて粒界の総面積を小さくすると、時効処理で粒界への析出が抑制される一方、粒内での析出が促進され、高温で時効しても強度、導電率及び曲げ加工性を共に向上させることができる。このような効果を生じさせるためには、圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が5μm以上である必要がある。より好ましくは7μm以上である。なお、この平均結晶粒径は最終製品の値であり、又、平均結晶粒径は、JIS H0501の切断法により測定する。
圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が5μm未満になると粒界の総面積が増え、時効処理で粒界へ粗大な析出物が析出し、強度と曲げ加工性が劣化する。
(4)Co−Si系化合物の面積率
又、溶体化処理で結晶粒を5μm以上に粗大化させると、時効処理で粒内での析出が促進されるので、粒内の析出物が粒界の析出物より多くなり、粒内及び粒界に均一にCo−Si系金属間化合物が析出する。そこで、析出物の多少を見る指標として、単位面積当たりの面積率を規定し、圧延面の金属組織の粒内に存在するCo−Si系化合物の単位面積当たりの面積率をSIとし、圧延面の金属組織の粒界に存在するCo−Si系化合物の単位面積当たりの面積率をSGとしたとき、本発明の銅合金においてはSI>SGとなる。
平均結晶粒径が5μm未満になると粒界の総面積が増え、SI≦SGとなって強度及び曲げ加工性が低下する。
さらに、時効処理の際に粒内及び粒界の析出物が少なすぎると強度及び導電率の向上効果は小さくなるため、1%≦(SI+SG)とする。一方、粒内及び粒界の析出物が多すぎると強度の向上効果が小さいと共に曲げ加工性が劣化するため、(SI+SG)≦20%とする。
以上のように銅合金を規定することで、JIS H 3130に規定するW曲げ試験を圧延方向に直角な方向に行った際、割れの生じない最小曲げ半径(MBR、単位:mm)と板厚(t、単位:mm)との比(MBR/t)を1以下とすることができ、特に小型コネクタ用の材料として適する。特に、板厚0.3mm以上としても、(MBR/t)を1以下とすることができる。
次に、本発明のCu−Co−Si系銅合金の製造方法について説明する。
本発明のCu−Co−Si系銅合金の製造方法は、0.5〜3.0質量%のCoと、0.1〜1.0質量%のSiとを含有し残部がCu及び不可避不純物からなる鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、時効後冷間圧延の順で行う。また、時効後冷間圧延後に歪取りを目的とした焼鈍を行うことも可能である。
(イ)溶体化処理
(銅合金の最終製品の)平均結晶粒径を5μm以上とするため、溶体化温度を950℃以上とする。より好ましくは1000℃以上である。溶体化温度が950℃未満であっても加熱時間を長くすれば、平均結晶粒径を5μm以上にすることができるが、生産性が低下するので工業的に好ましくない。
(ロ)時効処理
銅合金の強度、導電率及び曲げ加工性を向上させるため、時効処理の温度を450〜650℃、時効処理時間を8〜20時間とする。
時効処理温度が450℃未満になると、(SI+SG)が1%未満となって強度及び導電率が低下する。時効処理時間が8時間未満になると、SI≦SGとなって、曲げ加工性が低下する。一方、時効処理温度が650℃を超え、又は時効処理時間が20時間を超えると、(SI+SG)が20%を超え、強度及び曲げ加工性が低下する。
また、時効処理前に圧延を行うと、時効処理による析出が促進され、粗大な析出物が生成するため、強度、導電率及び曲げ加工性の両立ができなくなる。したがって、本発明においては、溶体化処理と時効処理の間に圧延を行わない。
(ハ)冷間圧延
強度を向上させるため、時効処理後に冷間圧延(時効後冷間圧延という)を行う。0.2%耐力を600MPa以上とするためには、時効後冷間圧延の加工度を10〜30%とする必要がある。より好ましくは時効後冷間圧延の加工度は10〜25%である。時効後冷間圧延の加工度が10%未満であると所望の強度が得られず、30%を超えると曲げ加工性が著しく悪化する。
(ニ)歪取り焼鈍
応力緩和特性を改善するために、時効後冷間圧延後に歪取り焼鈍を行ってもよい。歪取り焼鈍の温度は300〜600℃、焼鈍時間は10〜300秒とする。より好ましくは歪取り焼鈍の温度が400〜550℃、焼鈍時間が10〜100秒である。歪取り焼鈍の温度が300℃未満であるか、又は焼鈍時間が10秒未満になると、応力緩和特性が改善されない場合がある。一方、歪取り焼鈍の温度が600℃を超え、又は焼鈍時間が300秒を超えると強度が低下する場合がある。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
高周波溶解炉にてアルゴン雰囲気中で、アルミナ又はマグネシア製るつぼ中で電気銅を溶解した。さらに、表1〜表6に示す組成に応じて銅以外の元素を添加し、溶湯温度を1300℃に調整した後、鋳型(材質:鋳鉄)を使用して30×60×120mmのインゴットに鋳造した。900℃で厚さ10mmまで熱間圧延を行い、表面の酸化スケールを面削した後、冷間圧延を行った。その後、表1〜表6に示す条件で、溶体化処理、時効処理、時効後冷間圧延、歪取り焼鈍を順次行い、最終板厚は0.3mmとした。
このようにして得られた各合金について、以下の諸特性の評価を行った。
(1)引張強さ及び0.2%耐力
引張方向が圧延方向と平行になるように、プレス機を用いてJIS 13 B号試験片を作製し、引張試験機を用いてJIS Z 2241に準拠して測定した。
(2)導電率
JIS H 0505に準拠して四端子法を用いて測定した。
(3)応力緩和率
幅10mm、長さ100mmの短冊形状の試験片を、この試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように採取した。図3(a)に示すように、左端の位置を支点として、試験片にyのたわみを与え、0.2%耐力の80%に相当する応力(σ)を負荷した。yは次式により求めた。
=(2/3)×l×σ/(E×t)
ここで、Eはヤング率(125GPa)であり、tは試料の厚みである。yのたわみを与えた状態で、150℃にて1000h加熱後に除荷した。
このとき、図3(b)に示すように永久変形が残るので、その永久変形量(高さ)yを測定し、応力緩和率{(y/y)×100(%)}を算出した。
(4)結晶粒径
圧延方向に平行な断面の組織を、エッチング(水−NH(40vol%)−H(0.6vol%))により現出させ、切断法(JIS H 0501)に準拠して行った。
(5)Co−Si系化合物の面積率
圧延面について、FE−SEM(日本FEI社製 XL30SFEG)を用いて、1000倍の倍率で2700μmの視野の反射電子像を観察した。その後、画像解析装置を使用して観察視野における粒内及び粒界に存在するCo−Si系化合物の面積率をそれぞれ求めた。また、観察された化合物の成分がCo−Si系化合物であることを、その代表的な形態のものをFE―SEMのEDX(エネルギー分散型X線分析)を用いて分析することにより確認した。
(6)曲げ加工性
JIS H 3130に記載されたW曲げ試験を圧延方向に直角な方向に行った際、割れの生じない最小曲げ半径(MBR、単位:mm)を求め、板厚(t、単位:mm)との比(MBR/t)を測定した。
得られた結果を表1〜表6に示す。
Figure 0005325178
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表1、表2は、銅合金の組成を変化させたときの結果を示す。発明例1〜12の場合、強度、導電率及び曲げ性がいずれも優れたものとなった。
一方、Coが0.5質量%未満でSiが0.1質量%未満である比較例1の場合、0.2%耐力が600MPa未満となった。Coが3.0質量%を超えSiが1.0質量%を超えた比較例2の場合、熱間圧延で割れが発生した。Feが0.5質量%を超えた比較例3の場合、導電率が60%IACS未満となった。
表3は、溶体化処理の温度を変化させたときの結果を示す。溶体化処理温度が950〜1050℃である発明例21〜25の場合、強度、導電率及び曲げ性がいずれも優れたものとなった。
一方、溶体化処理温度が950℃未満である比較例4、5の場合、結晶粒径が5μm未満となり、SI≦SGとなったため、0.2%耐力が600MPa未満に低下し、曲げ加工性が低下した(MBR/t>1)。
表4は、時効処理の温度及び加熱時間を変化させたときの結果を示す。時効処理の温度を450〜650℃、時効処理時間を8〜20時間とした発明例31〜38の場合、強度、導電率及び曲げ性がいずれも優れたものとなった。
一方、時効処理温度が450℃未満である比較例21の場合、(SI+SG)が1%未満となり、0.2%耐力が600MPa未満に低下し、導電率が60%IACS未満となった。
時効処理温度が650℃を超えた比較例22の場合、及び時効処理時間が20時間を超えた比較例25の場合、(SI+SG)が20%を超え、0.2%耐力が600MPa未満に低下し、曲げ加工性が低下した(MBR/t>1)。
時効処理時間が8時間未満である比較例23、24の場合、SI≦SGとなって、曲げ加工性が低下した(MBR/t>1)。
溶体化処理と時効処理との間に冷間圧延を行った比較例26の場合も、SI≦SGとなって、曲げ加工性が低下した(MBR/t>1)。これは、冷間圧延により時効処理時に析出が促進されたためである。
表5は、時効後冷間圧延の加工度を変化させたときの結果を示す。時効後冷間圧延の加工度を10〜30%とした発明例41〜45の場合、強度、導電率及び曲げ性がいずれも優れたものとなった。
一方、時効後冷間圧延の加工度が10%未満である比較例31の場合、0.2%耐力が600MPa未満に低下した。
時効後冷間圧延の加工度が30%を超えた比較例32の場合、加工度が高過ぎて曲げ加工性が低下した(MBR/t>1)。
表6は、歪取り焼鈍の温度及び加熱時間を変化させたときの結果を示す。300〜600℃で10〜300秒加熱する歪取り焼鈍を行った発明例51〜64の場合、強度、導電率及び曲げ性がいずれも優れたものとなった。
但し、加熱時間が10秒未満である発明例60、及び加熱温度が300℃未満である発明例61の場合、他の発明例より応力緩和特性が劣った。
又、加熱時間が300秒を超えた発明例62、及び加熱温度が600℃を超えた発明例63の場合、0.2%耐力が600MPa未満に低下した。
歪取り焼鈍を実施しなかった発明例64の場合、他の発明例より応力緩和特性が劣った。

Claims (6)

  1. 0.5〜3.0質量%のCoと、0.1〜1.0質量%のSiとを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなり、
    圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が5μm以上であり、圧延面の金属組織の粒内に存在するCo−Si系化合物の単位面積当たりの面積率をSIとし、圧延面の金属組織の粒界に存在するCo−Si系化合物の単位面積当たりの面積率をSGとしたとき、SI>SG、1%≦(SI+SG)≦20%を満たすことを特徴とする強度、導電率及び曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系銅合金。
  2. 0.2%耐力が600MPa以上、導電率が60%IACS以上であることを特徴とする請求項1に記載の強度、導電率及び曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系銅合金。
  3. 圧延方向に直角な方向にJIS H 3130に規定されたW曲げ試験を行った際、割れの生じない最小曲げ半径(MBR、単位:mm)と板厚(t、単位:mm)との比(MBR/t)が1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の強度、導電率及び曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系銅合金。
  4. 更にFe、Ni、Cr、Zr、B、Mg、Ti及びPの群から選ばれる1種以上を合計0.001〜0.5質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の強度、導電率及び曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系銅合金。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のCu−Co−Si系銅合金の製造方法であって、
    0.5〜3.0質量%のCoと、0.1〜1.0質量%のSiとを含有し残部がCu及び不可避不純物からなる鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、時効後冷間圧延の順で行い、
    前記溶体化処理の温度を950〜1050℃とし、
    前記時効処理の温度を450〜650℃、時効処理時間を8〜20時間とし、
    前記時効後冷間圧延の加工度を10〜30%とするCu−Co−Si系銅合金の製造方法。
  6. 前記時効後冷間圧延の後に300〜600℃で10〜300秒加熱する歪取り焼鈍を行う請求項5に記載のCu−Co−Si系銅合金の製造方法。
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