JP2011116618A - 親水性部材の製造方法,親水性部材,籾殻炭化方法,籾殻炭化装置及び親水性部材の保存方法 - Google Patents

親水性部材の製造方法,親水性部材,籾殻炭化方法,籾殻炭化装置及び親水性部材の保存方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、従来にない作用効果を発揮する画期的な親水性部材の製造方法,親水性部材,籾殻炭化方法,籾殻炭化装置及び親水性部材の保存方法を提供することを目的とする。
【解決手段】液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材の製造方法であって、炭化処理部1で多孔質植物材料を攪拌しながら無酸素状態若しくは低酸素状態で加熱し、この加熱処理する際、前記炭化処理部1の内で発生するガスを該炭化処理部1の外へ強制排気して前記多孔質植物材料へのグラファイト含有量を低減せしめる親水性部材の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材の製造方法,親水性部材,籾殻炭化方法,籾殻炭化装置及び親水性部材の保存方法に関するものである。
近年、例えば多孔質植物材料としての籾殻炭はその有用性が認められて様々な分野において使用されており、例えば特開平6−228576号や特開平9−255465号に開示されるように、この籾殻炭の特性を利用した有用な部材(例えば土壌改良材や肥料など)を得るべく、種々の研究開発が行われている。
特開平6−228576号公報
本発明者は、前述した例えば多孔質植物材料としての籾殻炭について更なる研究開発を進め、その結果、従来にない作用効果を発揮する画期的な親水性部材の製造方法,親水性部材,籾殻炭化方法,籾殻炭化装置及び親水性部材の保存方法を開発した。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材の製造方法であって、炭化処理部1で多孔質植物材料を攪拌しながら無酸素状態若しくは低酸素状態で加熱し、この加熱処理する際、前記炭化処理部1の内で発生するガスを該炭化処理部1の外へ強制排気して前記多孔質植物材料へのグラファイト含有量を低減せしめることを特徴とする親水性部材の製造方法に係るものである。
また、液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材の製造方法であって、炭化処理部1で炭化した多孔質植物材料を攪拌しながら無酸素状態若しくは低酸素状態で加熱し、この加熱処理する際、前記炭化処理部1の内で発生するガスを該炭化処理部1の外へ強制排気して前記多孔質植物材料へのグラファイト含有量を低減せしめることを特徴とする親水性部材の製造方法に係るものである。
また、液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材の製造方法であって、炭化処理部1で籾殻を攪拌しながら無酸素状態若しくは低酸素状態で加熱し、この加熱処理する際、前記炭化処理部1の内で発生するガスを該炭化処理部1の外へ強制排気して前記籾殻へのグラファイト含有量を低減せしめることを特徴とする親水性部材の製造方法に係るものである。
また、液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材の製造方法であって、炭化処理部1で籾殻炭を攪拌しながら無酸素状態若しくは低酸素状態で加熱し、この加熱処理する際、前記炭化処理部1の内で発生するガスを該炭化処理部1の外へ強制排気して前記籾殻へのグラファイト含有量を低減せしめることを特徴とする親水性部材の製造方法に係るものである。
また、液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材であって、炭化した多孔質植物材料を主原料として構成され、この多孔質植物材料のグラファイト含有量を、この多孔質植物材料1g当たり0.5g未満としたことを特徴とする親水性部材に係るものである。
また、液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材であって、炭を主原料として構成され、この炭のグラファイト含有量を、この炭1g当たり0.5g未満としたことを特徴とする親水性部材に係るものである。
また、液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材であって、籾殻炭を主原料として構成され、この籾殻炭のグラファイト含有量を、この籾殻炭1g当たり0.5g未満としたことを特徴とする親水性部材に係るものである。
また、請求項7記載の親水性部材の主原料となる籾殻炭の製造方法であって、炭化処理部1で籾殻を炭化処理する際、前記炭化処理部1の内で発生するガスを該炭化処理部1の外へ強制排気することを特徴とする籾殻炭化方法に係るものである。
また、請求項7記載の親水性部材の主原料となる籾殻炭を製造する装置であって、炭化処理部1に強制排気部2が設けられ、前記炭化処理部1で籾殻を炭化処理する際、この炭化処理部1内で発生するガスを前記強制排気部2で該炭化処理部1の外へ強制排気し得るように構成されていることを特徴とする籾殻炭化装置に係るものである。
また、請求項5〜9いずれか1項に記載の親水性部材を通気しない容体内に収納した後、前記容体を密閉することを特徴とする親水性部材の保存方法に係るものである。
また、請求項5〜9いずれか1項に記載の親水性部材を通気しない容体内に収納するとともに該容体内を真空処理した後、前記容体を密閉することを特徴とする親水性部材の保存方法に係るものである。
また、請求項5〜9いずれか1項に記載の親水性部材を不活性ガスとともに通気しない容体内に収納した後、前記容体を密閉することを特徴とする親水性部材の保存方法に係るものである。
また、請求項5〜9いずれか1項に記載の親水性部材を脱酸素剤及び乾燥剤とともに通気しない容体内に収納して密閉することを特徴とする親水性部材の保存方法に係るものである。
また、請求項10〜13いずれか1項に記載の親水性部材の保存方法において、前記容体として帯電防止性を具備する容体を採用したことを特徴とする親水性部材の保存方法に係るものである。
本発明は上述のようにしたから、極めて秀れた親水性を具備し、例えば液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材での使用が有効であるなど極めて商品価値の高い画期的な親水性部材を提供し得ることになる。
本実施例に係る籾殻炭化装置の説明図である。 試料Xの吸液機能実験の結果を示す表である。 試料Yの吸液機能実験の結果を示す表である。 試料Xの摩擦機能実験の結果を示す表である。 試料Yの摩擦機能実験の結果を示す表である。 氷上に何も敷かない場合の摩擦機能実験の結果を示す表である。 氷上に試料Zを敷いた場合の摩擦機能実験の結果を示す表である。 氷上に試料Yを敷いた場合の摩擦機能実験の結果を示す表である。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明者は、例えば炭化した多孔質植物材料としての籾殻炭を、親水性が要求される液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材に適用させることを考え、この籾殻炭の親水性に着目した。
既存の炭化装置(炭化処理部を密閉空間とすることで低酸素雰囲気中で炭化処理を行うバッジ式炭化装置)で製造された籾殻炭を水中に投入した場合、直ちに水中に沈む籾殻炭(以下、親水性籾殻炭)と、これとは正反対の性質の全く水に沈まない籾殻炭(以下、撥水性籾殻炭)とがある。尚、半分沈んだ状態で水面に浮く籾殻炭(以下、準親水性籾殻炭)もある。
そこで、先ずは前述の既存の炭化装置で製造された親水性籾殻炭と撥水性籾殻炭について調べた(実験1)。
即ち、X線マイクロアナライザー分析を行った結果、親水性籾殻炭と撥水性籾殻炭とでは炭素含有量が大きく異なり、親水性籾殻炭の炭素含有量は全体の8.587%であり、撥水性籾殻炭の炭素含有量は全体の13.827%であり、この炭素含有量の違いが親水性と撥水性に大きく関係すると考えた。
次に、籾殻炭に含有される炭素について調べた(実験2)。
即ち、フーリエ変換赤外線分光法にて計測した結果、炭素はグラファイトであった。
このグラファイトは極めて高い撥水性を有するから、この各籾殻炭における炭素含有量の違いが親水性と撥水性に大きく関わることが判明した。よって、このグラファイト含有量により親水性籾殻炭と撥水性籾殻炭とに区別できる。
次に、親水性籾殻炭及び撥水性籾殻炭における籾殻炭1g当たりのグラファイト含有量について調べた(実験3)。
具体的には、発熱量分析を行った結果、親水性籾殻炭1g当たりの発熱量は16,060J/gであり、準親水性籾殻炭1g当たりの発熱量は16,760J/gであり、撥水性籾殻炭1g当たりの発熱量は19,020J/gであった。
前述した実験1,2から、この発熱量の違いはグラファイト含有量の違いであり、籾殻炭1g当たりのグラファイト含有量を次のように算出した。
グラファイトの発熱量が394kJ/molで、炭素1molの原子量は12であるから、12g当たり394kJ/molで、1g当たり32,800J/gであり、これを基に親水性籾殻炭,準親水性籾殻炭及び撥水性籾殻炭1g当たりのグラファイト含有量を求めると次のようになる。
<親水性籾殻炭>
(親水性籾殻炭1g当たりの発熱量16,060J/g)÷(グラファイト1g当たりの発熱量3,2800J/g)=0.489g(親水性籾殻炭1g当たりのグラファイト含有量)
<準親水性籾殻炭>
(準親水性籾殻炭1g当たりの発熱量16,760J/g)÷(グラファイト1g当たりの発熱量32,800J/g)=0.510g(準親水性籾殻炭1g当たりのグラファイト量)
<撥水性籾殻炭>
(撥水性籾殻炭1g当たりの発熱量19,020J/g)÷(グラファイト1g当たりの発熱量32,800J/g)=0.579g(撥水性籾殻炭1g当たりのグラファイト量)
次に、親水性籾殻炭及び撥水性籾殻炭の含水率を略同じ状態に設定しての吸水率を調べた結果(実験4)、親水性籾殻炭は撥水性籾殻炭に比し約1.7倍多く吸水することを確認した。
以上の実験1〜4から、本発明者は、親水性籾殻炭と撥水性籾殻炭との違いは撥水性を有するグラファイト含有量の違いであることを見出し、種々の実験を繰り返し行った結果、籾殻炭のグラファイト含有量を、この籾殻炭1g当たり0.5g未満としたものが親水性籾殻炭に適し、籾殻炭1g当たり0.5g以上としたものが撥水性籾殻炭に適することを確認した。
従って、グラファイト含有量を該籾殻炭1g当たり0.5g未満とした籾殻炭を主原料とすると、吸水性が求められる液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材に使用される親水性部材として極めて有用である。
また、請求項4記載の発明においては、親水性部材の主原料となる籾殻炭の製造に際し、炭化処理部1で籾殻を炭化処理する際、該炭化処理部1の内で発生するガスを前記炭化処理部1外へ強制排気する。
このようにして得られた籾殻炭のグラファイト含有量を調べてみたところ、グラファイト含有量が籾殻炭1g当たり0.5g未満であることを確認した。
これは、炭化処理部1で発生するガス中にグラファイトが存在し、このガスを炭化処理部1の外へ強制排気することでグラファイトが籾殻炭に付着することが阻止されるからである。仮に、炭化処理部1からガスを強制排気しない場合、製造された籾殻炭がガスとともに冷却される際、ガス中のグラファイトが籾殻炭に付着し、この場合、籾殻炭は撥水性を具備することになる。
従って、炭化処理部1で発生するガスを強制排気することで、グラファイト含有量の少ない籾殻炭、即ち、親水性部材の主原料となる秀れた親水性を具備する籾殻炭が簡易且つ確実に得られることになり、この籾殻の炭化方法は、親水性籾殻炭と撥水性籾殻炭とを作り分け出来る技術としても極めて秀れる。
本発明の具体的な一実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材であって、例えば炭化した多孔質植物材料としての籾殻炭を主原料として構成され、この籾殻炭のグラファイト含有量を、籾殻炭1g当たり0.5g未満(0.489g)としている。
前述したようにグラファイト含有量を籾殻炭1g当たり0.5g未満とした籾殻炭は秀れた親水性を有し、前述したように親水性部材の主原料となる籾殻炭として極めて有用である。
尚、本実施例では、親水性部材を籾殻炭100%で構成しているが、籾殻炭に他の素材を混合して親水性部材としても良い。
また、多孔質植物材料(無数の穴があって表面積が多い植物)としては、例えば蕎麦殻,麦殻,椰子殻,豆殻,植物の蔓,藁若しくは葦などでも良く、本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
また、このグラファイト含有量を籾殻炭1g当たり0.5g未満とした籾殻炭は、適宜な脱酸素剤(例えば三菱ガス化学株式会社製のエージレス(登録商標))及び適宜な乾燥剤(例えばAGCエスアイテック株式会社製のヒシビート(商品名))とともに通気しない容体内に収納して密閉することで保存される。
容体は、通気性を具備しない部材(合成樹脂や金属など)からなる袋(例えば株式会社メイワパックス製のバリアナイロン/ポリエチレンからなる袋、ポリエチレンテフタレート/アルミ/ポリエチレンからなる袋)であり、開口部から所定量の籾殻炭と脱酸素剤と乾燥剤を収納した後、開口部がシール(熱融着)される。この容体の開口部を閉塞する際、場合によっては脱酸素剤及び乾燥剤を収納せず単に密閉するだけでも良いし、容体内を真空処理しても良いし、不活性ガスを充填するようにしても良い。
尚、容体内を真空処理(真空パック)した場合には、容体内に酸素がある場合に危惧される酸素中の水分を吸うことによる親水性部材としての性能低下を可及的に防止し得るのは勿論、容体内で籾殻炭が動くことが防止され、籾殻炭が容体内で動くことで危惧される該籾殻炭が壊れてしまうことを可及的に防止し得ることになる。
また、容体は帯電防止性を有している。前述した素材は油が着火する程度の静電気が帯電しないことは確認済みである。
例えば油を吸着する場面(例えば事故現場やガソリンスタンドなど)において、吸着しようとする油が、現場に持ち込んだ部材に帯電した静電気により着火することが危惧される。
この点、本実施例は、容体は帯電防止性を具備しているため、油が静電気により着火する静電気火災が起きる心配はなく極めて有用である。
尚、容体は袋に限らず箱状体でも良い。
また、前述したグラファイト含有量を籾殻炭1g当たり0.5g未満とした籾殻炭は次の装置(籾殻炭化装置)を用いて製造される。
この籾殻炭化装置は、図1に図示したように籾殻を炭化する炭化処理部1を具備する。
炭化処理部1は、図1に図示したように適宜な金属製の部材で形成された箱状基体3の内部空間に無酸素状態若しくは低酸素状態を作出し得る密閉空間を具備する籾殻搬送炭化部4を設けて構成されており、この籾殻搬送炭化部4は図示省略のバーナー装置で350℃〜500℃の温度で加熱(間接加熱)される。
具体的には、この籾殻搬送炭化部4は、図1に図示したように基体3内に配設され該基体3の左右側壁間に水平状態で架設される筒状部5と、この筒状部5内に配設され図示省略の駆動装置により回転する回転軸6aの周面に攪拌搬送機能を具備した螺旋羽根6bが設けられた回転搬送部6とで構成されている。
従って、籾殻搬送炭化部4においては、回転搬送部6の回転に伴い筒状部5内を籾殻が一側から他側へ攪拌されながら搬送されることになる。
また、籾殻搬送炭化部4は、炭化処理により生じたガス(乾留ガス)を強制排気する強制排気部2が設けられている。
強制排気部2は、図1に図示したように筒状部5の一側上面に設けられる管体2aと、この管体2aの先端開口部が内部に配されるガス処理室2bとで構成されている。
このガス処理室2bには強制排気ファン2b’が設けられており、この強制排気ファン2b’によりガス処理室2b内を負圧として筒状部5のガスを該ガス処理室2b内に引き込むように構成されている。
また、この強制排気ファン2b’によりガス処理室2b内に引き込まれたガスは、後述するガス処理部2b”で処理後、この処理されたガスは強制排気ファン2b’によりガス処理室2b外に排気される。
ガス処理部2b”は、図1に図示したようにガス処理室2b内にしてガス処理室2b内に配設される管体2aの先端開口部の近傍位置に、ガス処理液W(水)を溜める部位を設けて構成されている。
また、籾殻搬送炭化部4の基端部には、籾殻を該籾殻搬送炭化部4に供給する籾殻供給部7が設けられている。
この籾殻供給部7は、図1に図示したように前述した筒状部5の端部に径小筒状部7Aを設け、この径小筒状部7A内にも前述した回転軸6aを配し、この回転軸6aの周面に螺旋羽根7aが突設された構成であり、この籾殻供給部7にはホッパー体7bが設けられている。
また、籾殻搬送炭化部4の先端部には、炭化処理された処理済の籾殻炭を排出する籾殻炭排出部8が設けられている。
この籾殻炭排出部8は、図1に図示したように筒状部5の先端側下方部に垂設筒体8aを設けて構成されており、この垂設管体8aの下方位置には籾殻炭受け体8bが設けられている。
以上の構成から成る籾殻炭化装置を用いた籾殻炭(親水性部材)の製造方法について説明する。
籾殻供給部7に供給された籾殻(多孔質植物材料)は、炭化処理部1に係る籾殻搬送炭化部4で無酸素状態若しくは低酸素状態で攪拌搬送されながら350℃〜500℃の温度で加熱されて炭化し籾殻炭となる。この際、炭化処理部1(筒状部5)内で発生する乾留ガスは、強制排気部2により炭化処理部1(筒状部5)外に強制排気され(乾留ガスに触れる時間を短縮し)、乾留ガス中に存在するグラファイトが籾殻炭に付着することが可及的に阻止される。
その後、籾殻搬送炭化部4で搬送されながら炭化された籾殻炭は籾殻炭排出部8で排出される。
このようにして得られた籾殻炭は、グラファイト含有量が籾殻炭1g当たり0.5g未満であり、親水性部材の主原料となる秀れた親水性を具備する籾殻炭が簡易且つ確実に得られることになる。
尚、本実施例に係る炭化装置及び炭化処理は、予め炭化された多孔質植物材料(籾殻炭)を加熱して表面に付着したグラファイトを除去して親水性を具備せしめるように処理し得るものである。
前述した本実施例に係る籾殻炭(親水性籾殻炭)の使用例として、例えば自動車事故発生時に漏洩する種々の液体(不凍液・ウインドウォッシャー・ガソリン・軽油・エンジンオイル)を吸着させることを想定した液体吸着材としての機能を実験した。
先ず、市販されるケイ素土を主成分とした液体吸着材(以下、試料X)と、本実施例に係る籾殻炭(以下、試料Y)の吸液機能を比較する実験を行った。
実験に際して次の(1)〜(3)の準備をした。
(1)直径1mmの針金を17mmメッシュ状に編んだ金網を準備する。
(2)70mm×70mmの木綿製の布を準備する。
(3)吸着させる液体(水・不凍液・ウインドウォッシャー・ガソリン・軽油・エンジンオイル)を準備する。
前述した(1)〜(3)で準備したものを用い、試料X及び試料Yの各液体における次の手順にて吸液機能実験を行った。
・前記布を前記(3)の液体に5分間浸漬し、この液体浸漬済みの布を前記(1)の金網の上に5分間放置して液切りをし、その後重量を測定する。
・試料の重量を測定する。
・試料を前記液体浸漬済みの布で包み、この布に包まれた試料を前記(3)の液体に5分間浸漬し、これを前記(1)の金網の上に5分間放置して液切りをし、その後重量を測定する。
前述した吸液機能実験の結果の表を図2,3に図示している。
図2に示すように、試料Xの1g当たりの吸液量平均(3回行った吸液機能実験で得た数値の平均)は、水が1.31g、不凍液が1.49g、ウインドウォッシャーが1.31g、ガソリンが1.08g、軽油が1.30g、エンジンオイルが1.17gで全体平均は1.28gであり、また、液体1cc当たりの試料量平均は、水が0.66sg、不凍液が0.74g、ウインドウォッシャーが0.65g、ガソリンが0.54g、軽油が0.65g、エンジンオイルが0.58gで全体平均は0.64gである。
一方、図3に示すように、試料Yの1g当たりの吸液量平均(3回行った吸液機能実験で得た数値の平均)は、水が7.57g、不凍液が9.01g、ウインドウォッシャーが7.73g、ガソリンが5.19g、軽油が6.40g、エンジンオイルが7.13gで全体平均は7.17g(試料Xの約6倍)であり、また、液体1cc当たりの試料量平均は、水が0.61sg、不凍液が0.72g、ウインドウォッシャーが0.62g、ガソリンが0.42g、軽油が0.51g、エンジンオイルが0.57gで全体平均は0.57g(試料Xと略同等)である。
従って、吸液機能については試料Yは試料Xに比して遜色なく、むしろ秀れた結果が出た。
次に、試料Xと、試料Yの摩擦機能を比較する実験を行った。
試料X及び試料Yの各液体における次の手順にて摩擦機能実験を行った。
・試料100ccを鉄板の上に直径約240mmの円形となるように均一に敷く。
・この円形の試料に液体50ccを散布して5分間放置する。
・液体を散布した試料の中心部に2kg(19.6N)の重しを載せる(試料接触面寸法100mm×119mm)。
・デジタルフォースゲージにて、重しが動き出すまでの最大値を測定する。
前述した摩擦機能実験の結果の表を図4,5に図示している。尚、この摩擦機能は、例えば自動車事故に際して漏洩した液体を吸着すべく道路に散布した際にスリップ事故の原因とならない為の重要な機能である。
図4に示すように、試料Xにおける3回行った摩擦機能実験で得た数値の平均は、液体無しが7.1N、水が8.7N、不凍液が8.4N、ウインドウォッシャーが8.5N、ガソリンが8.8N、軽油が8.6N、エンジンオイルが8.7Nで全体平均は8.4Nである。数値が多い程摩擦機能が高いことを示す。
一方、図5に示すように、試料Yにおける3回行った摩擦機能実験で得た数値の平均は、液体無しが12.1N、水が15.3N、不凍液が14.3N、ウインドウォッシャーが14.5N、ガソリンが12.7N、軽油が14.7N、エンジンオイルが12.5Nで全体平均は13.7N(試料Xの1.6倍)である。
従って、摩擦機能については試料Yは試料Xに比して秀れた結果が出た。
以上のように、本実施例に係る籾殻炭は、例えば自動車事故発生時に漏洩する種々の液体(不凍液・ウインドウォッシャー・ガソリン・軽油・エンジンオイル)を吸着させることを想定した液体吸着材として極めて秀れた性能を発揮し、しかも、ケイ素土を主成分とした既存の液体吸着材に比しコスト面においても秀れる。また、籾殻炭は導電性を具備している為静電気による着火も生じることなく安全である。
更に、前述した本実施例に係る籾殻炭(親水性籾殻炭)の使用例として、氷上におけるスリップ防止材としての摩擦機能を実験した。
具体的には、氷上に何も敷かない場合と、氷上に砂(以下、試料Z)を敷いた場合と、氷上に本実施例に係る籾殻炭(以下、試料Y)を敷いた場合とのスリップ防止機能(摩擦機能)を、次の手順にて比較する実験を行った。尚、この実験では、前述した自動車事故発生時に漏洩する種々の液体(不凍液・ウインドウォッシャー・ガソリン・軽油・エンジンオイル)が氷上にあることを前提とした場合も実験している。
氷上に何も敷かない場合
・氷上に液体50ccを散布する。尚、液体を散布しない場合も実験する。
・液体の中心部に2kg(19.6N)の重しを載せる(接触面寸法100mm×119mm)。
・デジタルフォースゲージにて、重しが動き出すまでの最大値を測定する。
氷上に試料Zを敷く場合及び氷上に試料Yを敷く場合
・試料100ccを鉄板の上に直径約240mmの円形となるように均一に敷く。
・試料に各液体50ccを散布する。尚、液体を散布しない場合も実験する。
・液体を散布した試料の中心部に2kg(19.6N)の重しを載せる(試料接触面寸法100mm×119mm)。
・デジタルフォースゲージにて、重しが動き出すまでの最大値を測定する。
前述した摩擦機能実験の結果の表を図6,7,8に図示している。尚、この摩擦機能は、例えば自動車事故に際して氷上に漏洩した液体を吸着すべく道路に散布した際にスリップ事故の原因とならない為の重要な機能である。
図6に示すように、氷上に何も敷かない場合における3回行った摩擦機能実験で得た数値の平均は、液体無しが10.1N、水が9.5N、不凍液が2.5N、ウインドウォッシャーが3.6N、ガソリンが8.6N、軽油が14.5N、エンジンオイルが14.7Nで全体平均は9.1Nである。数値が多い程摩擦機能が高いことを示す。
また、図7に示すように、試料Zにおける3回行った摩擦機能実験で得た数値の平均は、液体無しが10.8N、水が10.3N、不凍液が9.7N、ウインドウォッシャーが8.0N、ガソリンが10.2N、軽油が11.5N、エンジンオイルが11.0Nで全体平均は10.2Nである。
また、図8に示すように、試料Yにおける3回行った摩擦機能実験で得た数値の平均は、液体無しが11.1N、水が12.5N、不凍液が11.8N、ウインドウォッシャーが13.0N、ガソリンが11.4N、軽油が11.2N、エンジンオイルが11.8Nで全体平均は11.8Nである。
従って、摩擦機能については試料Yは試料Z及び氷上に何も敷かない場合に比して秀れた結果が出た。
以上のように、本実施例に係る籾殻炭は、例えば自動車事故発生時に漏洩する種々の氷上での液体(不凍液・ウインドウォッシャー・ガソリン・軽油・エンジンオイル)を吸着させることを想定した液体吸着材として極めて秀れた性能を発揮する。尚、籾殻炭はアルカリ性であり、主に酸性の素材で構成される凍結防止剤の中和剤となり、その意味でも車中に常備すると良い。
また、本実施例に係る籾殻炭は、前述した秀れた吸液機能から、液体吸着材,スリップ防止材の他にも例えば土壌改良材,調湿材若しくはろ過材として有用であり、しかも、この秀れた吸液機能の他にも秀れた消臭機能を具備しており、このことからペット用のトイレや緊急時の簡易トイレに使用する排泄物処理材として極めて有用である。
本実施例は上述のように構成したから、炭化処理部1で発生するガスを強制排気することで、グラファイト量の少ない籾殻炭、即ち、親水性部材の主原料となる秀れた親水性を具備する籾殻炭が簡易且つ確実に得られることになり、この製造方法は、親水性籾殻炭と撥水性籾殻炭とを作り分け出来る技術として極めて秀れる。即ち、炭化処理部1における処理の際、強制排気部2を停止して炭化処理部1内で発生するガスを該炭化処理部1外に強制排気しないようにすれば、グラファイト含有量の多い籾殻炭(撥水性籾殻炭)が得られることになる。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
1 炭化処理部
2 強制排気部

Claims (14)

  1. 液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材の製造方法であって、炭化処理部で多孔質植物材料を攪拌しながら無酸素状態若しくは低酸素状態で加熱し、この加熱処理する際、前記炭化処理部の内で発生するガスを該炭化処理部の外へ強制排気して前記多孔質植物材料へのグラファイト含有量を低減せしめることを特徴とする親水性部材の製造方法。
  2. 液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材の製造方法であって、炭化処理部で炭化した多孔質植物材料を攪拌しながら無酸素状態若しくは低酸素状態で加熱し、この加熱処理する際、前記炭化処理部の内で発生するガスを該炭化処理部の外へ強制排気して前記多孔質植物材料へのグラファイト含有量を低減せしめることを特徴とする親水性部材の製造方法。
  3. 液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材の製造方法であって、炭化処理部で籾殻を攪拌しながら無酸素状態若しくは低酸素状態で加熱し、この加熱処理する際、前記炭化処理部の内で発生するガスを該炭化処理部の外へ強制排気して前記籾殻へのグラファイト含有量を低減せしめることを特徴とする親水性部材の製造方法。
  4. 液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材の製造方法であって、炭化処理部で籾殻炭を攪拌しながら無酸素状態若しくは低酸素状態で加熱し、この加熱処理する際、前記炭化処理部の内で発生するガスを該炭化処理部の外へ強制排気して前記籾殻へのグラファイト含有量を低減せしめることを特徴とする親水性部材の製造方法。
  5. 液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材であって、炭化した多孔質植物材料を主原料として構成され、この多孔質植物材料のグラファイト含有量を、この多孔質植物材料1g当たり0.5g未満としたことを特徴とする親水性部材。
  6. 液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材であって、炭を主原料として構成され、この炭のグラファイト含有量を、この炭1g当たり0.5g未満としたことを特徴とする親水性部材。
  7. 液体吸着材,スリップ防止材,排泄物処理材,土壌改良材,調湿材,消臭材若しくはろ過材として使用される親水性部材であって、籾殻炭を主原料として構成され、この籾殻炭のグラファイト含有量を、この籾殻炭1g当たり0.5g未満としたことを特徴とする親水性部材。
  8. 請求項7記載の親水性部材の主原料となる籾殻炭の製造方法であって、炭化処理部で籾殻を炭化処理する際、前記炭化処理部の内で発生するガスを該炭化処理部の外へ強制排気することを特徴とする籾殻炭化方法。
  9. 請求項7記載の親水性部材の主原料となる籾殻炭を製造する装置であって、炭化処理部に強制排気部が設けられ、前記炭化処理部で籾殻を炭化処理する際、この炭化処理部内で発生するガスを前記強制排気部で該炭化処理部の外へ強制排気し得るように構成されていることを特徴とする籾殻炭化装置。
  10. 請求項5〜9いずれか1項に記載の親水性部材を通気しない容体内に収納した後、前記容体を密閉することを特徴とする親水性部材の保存方法。
  11. 請求項5〜9いずれか1項に記載の親水性部材を通気しない容体内に収納するとともに該容体内を真空処理した後、前記容体を密閉することを特徴とする親水性部材の保存方法。
  12. 請求項5〜9いずれか1項に記載の親水性部材を不活性ガスとともに通気しない容体内に収納した後、前記容体を密閉することを特徴とする親水性部材の保存方法。
  13. 請求項5〜9いずれか1項に記載の親水性部材を脱酸素剤及び乾燥剤とともに通気しない容体内に収納して密閉することを特徴とする親水性部材の保存方法。
  14. 請求項10〜13いずれか1項に記載の親水性部材の保存方法において、前記容体として帯電防止性を具備する容体を採用したことを特徴とする親水性部材の保存方法。
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