JP2019155215A - 排水処理用活性炭 - Google Patents

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穣慈 秋山
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Abstract

【課題】排水中に含まれる有害な有機化合物の吸着性能を改善した排水処理用活性炭を提供する。【解決手段】活性炭にケイ素化合物を添着させた排水処理用活性炭であって、アセトン洗浄後のエネルギー分散型X線分析による表面のケイ素濃度が0.1〜10質量%である、排水処理用活性炭。前記排水処理用活性炭は、活性炭とケイ素化合物とを、370℃より高い温度で加熱する工程を備える製造方法により得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、排水処理用活性炭に関する。
日本、米国、欧州等をはじめとする先進国では、公共の環境保全を目的として、大気、河川、土壌等へ排出される化学物質に対して基準値を設定している。工場から排出される排水は様々な化学物質を含み、その量も大きいことから、水質汚濁防止法により有害物質ごとにその許容限度は設定されており、その濃度以下まで処理する必要がある。
排水処理は、大きく分けて、物理化学的処理法と生物処理法とがあるが、物理化学的処理法の一種として、活性炭を用いた吸着除去方法は、排水中に溶存する有害な有機物質を取り除くのに有効な手段である。例えば、有機物質を含む排水を活性炭等の吸着素子に通液吸着させ、吸着された有機物質を加熱ガスにて吸着素子から脱着し、この吸着と脱着とを連続的に繰り返して実施し、排水処理するとともに、脱着の際に排出された有機物質を含むガスを後処理装置へ導入して処理する連続吸脱着式排水処理装置が有効であることが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
ここで用いられる吸着素子は交換可能なカートリッジにて構成されており、その吸着容量は大きいほうが好ましい。吸着容量が少なければ、安定的な排水の処理性能を得るために、吸着材の交換周期を早める必要があり、労力やランニングコストが増大するためである。
この問題を解決するために、吸着素子である活性炭の表面にトリメチルクロロシランを付着させ、適度に疎水化することで吸着能力の向上させることが提案されている(特許文献2等参照)。また、特許文献3ではフッ素樹脂やシリコンによる疎水化が提案されている。
特許第4512994号 特許第2810979号 特許第4512993号
しかしながら、特許文献2の方法では、処理温度が低いため、排水通水時にトリメチルクロロシランが活性炭から遊離し、毒性が高いトリメチルクロロシランが遊離してしまう。このため、排水中の有害な有機化合物の除去性能は十分とは言えず、環境にも好ましいとは言えなかった。また、特許文献3のように高分子疎水化材では、分子サイズの問題から活性炭の細孔奥まで疎水化することができず、有害な有機化合物の除去性能は十分とは言えなかった。
本発明は、以上のような課題を解決しようとするものであり、排水中に含まれる有害な有機化合物の吸着性能を改善した排水処理用活性炭を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を重ねてきた。その結果、アセトン洗浄後のエネルギー分散型X線分析による表面のケイ素濃度が0.1〜10質量%である活性炭が、上記課題を解決できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、完成したものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.活性炭にケイ素化合物を添着させた排水処理用活性炭であって、アセトン洗浄後のエネルギー分散型X線分析による表面のケイ素濃度が0.1〜10質量%である、排水処理用活性炭。
項2.除去対象有機化合物の平衡吸着試験において、その除去性能が、前記排水処理用活性炭の原料である前記活性炭と比較して、その上昇率が1%以上高い、項1に記載の排水処理用活性炭。
項3.除去対象有機化合物の仕込み濃度が排水基準の5倍である試験水を、前記排水処理用活性炭を充填したモジュールに通水し、除去対象有機化合物の除去率が初期値の80%になった時点での積算通水量が、前記排水処理用活性炭の原料である前記活性炭について同様に測定した積算通水量と比較して、2%以上高い、項1又は2に記載の排水処理用活性炭。
項4.前記除去対象有機化合物が、塩化炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、環状エーテル化合物、ホウ素化合物、フッ素化合物、有機リン化合物、及び有機水銀化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1〜3のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭。
項5.前記ケイ素化合物の分子量が50〜700である、項1〜4のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭。
項6.前記ケイ素化合物が、トリメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物である、項1〜5のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭。
項7.前記ケイ素化合物が、ヘキサメチルジシランである、項1〜6のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭。
項8.項1〜7のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭の製造方法であって、前記活性炭と前記ケイ素化合物とを、370℃より高い温度で加熱する工程を備える、製造方法。
項9.前記加熱工程において、前記ケイ素化合物の使用量が、前記活性炭100質量部に対して、1〜200質量部である、項8に記載の製造方法。
項10.前記加熱工程が、密閉容器内で行われる、項8又は9に記載の製造方法。
項11.項1〜7のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭を含有する、排水処理用カートリッジ。
項12.項1〜7のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭、又は項11に記載の排水処理用カートリッジを含有する、排水処理装置。
本発明の排水処理用活性炭は、従来の活性炭と比較して、その表面が適度に疎水化されており、しかも、表面に存在するケイ素化合物が容易に遊離しないため、排水中に溶存する有害な有機物質の吸着性能に優れている。
実施例2及び比較例2の活性炭のジクロロメタン除去率と積算通水量との関係を示すグラフである。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書においては、ケイ素化合物を添着させる前の活性炭を「活性炭」又は「元炭」、ケイ素化合物を添着させた後の活性炭を「添着炭」又は「疎水化炭」と言うことがある。また、本明細書においては、「添着」とは、化学結合等により、物質の表面に異なる物質が強固に結合していることを意味し、単に「付着」しているだけの場合を含まない概念である。さらに、本明細書において、数値範囲をA〜Bで表記する場合、A以上B以下を示す。
1.排水処理用活性炭
本発明の排水処理用活性炭は、活性炭にケイ素化合物を添着させた排水処理用活性炭であって、アセトン洗浄後のエネルギー分散型X線分析による表面のケイ素濃度が0.1〜10質量%である。
活性炭としては、種々の活性炭を使用することができ、例えば、黒鉛、鉱物系材料(褐炭、れき青炭等の石炭;石油;石炭ピッチ等)、植物系材料(木材、竹、果実殻(やし殻等)等)、高分子材料(ポリアクリロニトリル(PAN)、フェノール樹脂、セルロース、再生セルロース等)等を原料とする活性炭等が挙げられる。活性炭は、これらの原料を必要に応じて炭化又は不融化した後、賦活処理することにより得ることができる。なお、炭化方法、不融化方法、賦活方法等は、特には限定されず、慣用の方法が利用できる。例えば、賦活は、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活ガス(水蒸気、二酸化炭素等)中、例えば500〜1000℃で熱処理するガス賦活法、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活剤(リン酸、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)と混合し、例えば300〜800℃で熱処理する化学的賦活法等により行うことができる。
これらの活性炭のうち、やし殻、おが屑等を原料にした植物系活性炭;石炭、石炭ピッチ等を原料とする鉱物系活性炭;PAN系活性炭、セルロース系活性炭、フェノール系活性炭等の高分子系活性炭等が好ましい。上記した活性炭は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて使用することもできる。なかでも、活性炭の疎水化をより適度に進行させ(過度に進行させず)、排水中に溶存する有機物質の吸着性能により優れる観点から、やし殻活性炭が好ましい。
このような活性炭の形状は、特に制限されず、粉体、繊維状、ペレット状、粒状、ハニカム状、ペーパー状等の任意の形態のものを使用することができる。
活性炭の比表面積は、特に制限はなく、活性炭の疎水化をより適度に進行させ(過度に進行させず)、排水中に溶存する有機化合物の吸着性能により優れる観点から、例えば、100〜3500m2/g程度が好ましく、300〜2000m2/g程度がより好ましく、500〜1500m2/g程度がさらに好ましい。なお、活性炭の比表面積は、BET法により測定する。
活性炭に添着させるケイ素化合物としては、当該活性炭が有する細孔の奥まで適度に疎水化させ、排水中に溶存する有機物質の吸着性能をより向上させる観点からは、分子サイズの小さい(低分子量の)ケイ素化合物が好ましい。このため、ケイ素化合物の分子量は、例えば、50〜700程度が好ましく、70〜500程度がより好ましく、90〜300程度がさらに好ましい。
このような条件を満たすケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラン、トリメチルシラノール、テトラメチルジシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルビニルシラン、トリメチルアリルシラン、テトラフェニルジシラン、ヘキサフェニルジシラン等の有機ケイ素化合物が挙げられ、活性炭が有する細孔の奥まで適度に疎水化させ、排水中の有害な有機化合物を吸着しやすくする観点から、トリメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物(ヘキサメチルジシラン、トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルビニルシラン、トリメチルアリルシラン等)が好ましく、ヘキサメチルジシラン、トリメチルシラノール等がより好ましく、ヘキサメチルジシランがさらに好ましい。これらのケイ素化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
本発明において、活性炭に添着させるケイ素化合物の量は、活性炭が有する細孔の奥までより適度に疎水化させることで、排水中に溶存する有害な有機化合物の吸着性能をより向上させるため、アセトン洗浄後のエネルギー分散型X線分析による表面のケイ素濃度が0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%である。なお、活性炭に付着しているだけのケイ素化合物は、エネルギー分散型X線分析に供する前のアセトン洗浄により容易に除去される。このため、上記ケイ素濃度は、活性炭表面に付着しているだけのケイ素化合物の濃度は含まれず、活性炭表面に添着している(化学結合等により強固に結合している)ケイ素化合物の濃度を意味する。
活性炭の排水中に溶存する有機化合物除去性能は、平衡吸着試験により評価することができる。具体的には、排水基準の5倍の濃度である有害な有機化合物(除去対象有機化合物)を仕込み濃度(添加濃度)として添加した試験水に、活性炭を加え、密栓し振り混ぜ、17時間静置後、上澄み液をろ過し、各有機化合物の濃度をGC/MSで分析することにより、平衡吸着性能を評価することができる。当然ながら、平衡吸着後の除去対象有機化合物の濃度が低い方が、活性炭により吸着除去される有機化合物の量が大きい為、好ましい。本発明においては、本発明の排水処理用活性炭を用いた場合の除去性能が、原料である活性炭を用いた場合の除去性能と比較して1%以上高いことが好ましく、5%以上高いことがより好ましい。上限値は特に制限されないが、通常100%程度である。
また、本発明の排水処理用活性炭は、例えば、筒状の耐圧容器に充填することでモジュール化することができる。このようなモジュール化された本発明の排水処理用活性炭を用いて、排水中に溶存する有害な有機化合物(除去対象有機化合物)の吸着性能を評価することができる。
例えば、排水基準の5倍の濃度である有害な有機化合物を仕込み濃度(添加濃度)として添加した試験水を、本発明の排水処理用活性炭を充填したモジュールに通水し、有害な有機化合物の除去率が初期値の80%になった時点での積算通水量を測定する。これとは別に、本発明の排水処理用活性炭の原料である活性炭についても同様に積算通水量を測定する。なお、有害な有機化合物の除去率が初期値の80%となる場合、通常カートリッジの交換が推奨される。このため、上記の積算通水量は、実際の生活においてカートリッジの交換が必要になる通水量、つまり、カートリッジの交換頻度を見積もることができる。当然ながら、積算通水量が大きいほどカートリッジの交換回数を少なくできるため好ましい。本発明においては、本発明の排水処理用活性炭を用いた場合の積算通水量が、原料である活性炭を用いた場合の積算通水量と比較して2%以上高いことが好ましく、5%以上高いことがより好ましい。上限値は特に制限されないが、通常100%程度である。
本発明の排水処理用活性炭は、原料として用いる活性炭と比較して、添着したケイ素化合物の量に応じて、単位質量当たりの比表面積、細孔容積等は若干減少する傾向にある。このため、本発明の排水処理用活性炭の比表面積は、通常、50〜2000m2/gが好ましく、200〜1500m2/gがより好ましく、400〜1200m2/gがさらに好ましい。なお、排水処理用活性炭の比表面積は、BET法により測定する。
本発明の排水処理用活性炭は、活性炭の表面及び細孔内の水に対する疎水性及び撥水性を向上させ、排水中に含有される有害な有機化合物、例えば、塩化炭化水素化合物(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,3-ジクロロプロペン等)、芳香族炭化水素化合物(ベンゼン等)、環状エーテル化合物(1,4-ジオキサン等)、ホウ素化合物(ホウ素、ホウ酸、四ホウ酸二ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、酸化ホウ酸、三フッ化ホウ素等)、フッ素化合物(ペルフルオロオクタンスルホン酸、ペルフルオロオクタン酸等)、有機リン化合物(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン等)、有機水銀化合物(メチル水銀、エチル水銀、ジメチル水銀、ジエチル水銀等)等を効率的に回収することができる。上記した平衡吸着試験及び積算通水量試験における除去対象有機化合物も同様である。また、本発明の排水処理用活性炭は、活性炭の表面にケイ素化合物が強固に添着しており、活性炭とケイ素化合物とが強固に化学結合しており、付着しているだけではないため、排水処理用途に使用した場合に排水中にケイ素化合物が遊離することを抑制することができ、ケイ素化合物を河川や海洋中に排出することも抑制することができる。
2.排水処理用活性炭の製造方法
上記のような本発明の排水処理用活性炭は、特に制限はなく、活性炭とケイ素化合物とを、370℃より高い温度で加熱する工程を備える製造方法により得ることができる。例えば、活性炭とケイ素化合物とを混合し、370℃より高い温度で加熱することが好ましい。この際、活性炭と、液体状又は気体状のケイ素化合物とを混合することが、十分混合してケイ素化合物を活性炭に添着することができるため好ましく、活性炭と、液体状のケイ素化合物とを混合することがより簡便である。より具体的には、例えば、密閉容器内で、活性炭とケイ素化合物とを仕込み、空壁部を不活性ガスで置換した後、容器を密閉し、370℃より高い温度に昇温し、例えば30分以上保持し、必要に応じて室温まで冷却することが好ましい。活性炭と、液体状のケイ素化合物とを混合する場合には、液体状のケイ素化合物中に活性炭を浸漬する方法が簡便である。この場合、ケイ素化合物が常温で液体又は気体の場合はそのまま活性炭と混合することができるし、ケイ素化合物が常温で固体の場合は溶媒(水;エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール等)中に溶解又は分散させた後に活性炭と混合することができる。
上記加熱工程において、使用するケイ素化合物の使用量は、ケイ素化合物の添着をより強固にすることで活性炭の疎水化をより進行させるために、排水中に溶存する有害な有機化合物の吸着性能をより向上させる観点から、活性炭100質量部に対して、1〜200質量部が好ましく、2〜150質量部がより好ましく、3〜120質量部がさらに好ましく、5〜100質量部が特に好ましい。
上記加熱工程において、加熱温度は、370℃より高い温度であることが必須であり、好ましくは371〜900℃、より好ましくは400〜700℃である。加熱温度が370℃以下の場合、活性炭とケイ素化合物とが化学的に結合されず、単に付着しているだけであるため、排水処理用途に使用した場合に排水中にケイ素化合物が遊離し、河川や海洋中に排出してしまうため、かえって環境悪化が懸念される。なお、本明細書において、加熱温度は、加熱工程における最高到達温度を意味する。
上記加熱工程において、加熱時間は、ケイ素化合物の添着をより強固にすることで活性炭の疎水化をより進行させるために、排水中に溶存する有機物質の吸着性能をより向上させる観点から、30分〜1日(24時間)が好ましく、1時間〜12時間がより好ましく、1.5時間〜6時間がさらに好ましい。なお、本明細書において、加熱時間は、加熱工程における最高到達温度における維持時間を意味する。
上記加熱工程は、密閉雰囲気(密閉容器内)で行ってもよいし、開放雰囲気で行ってもよいが、密閉容器内で行うことが好ましい。密閉雰囲気(密閉容器内)で行う場合は、密閉型の耐熱耐圧容器(オートクレーブ等)を用いることができるし、開放系雰囲気で行う場合には、開放系の加熱装置、例えば、コンベア炉、流動炉、熱風吹込炉、フラッシュ乾燥機、電気管状炉、外熱式回転管状炉等を用いることができる。
上記加熱工程の後は、雰囲気温度を室温まで冷却し、得られた排水処理用活性炭を容器外に取り出すことが好ましい。
また、取り出された本発明の排水処理用活性炭は、必要に応じて水及び/又は有機溶媒(アセトン、エタノール、ヘキサン等)で洗浄することが好ましい。これにより、本発明の排水処理用活性炭に残存し、且つ、活性炭と化学的に結合されていないケイ素化合物をより確実に速やかに除去することができる。このため、本発明の排水処理用活性炭を使用した際に、溶存する有害な有機化合物の吸着除去性能をより維持しつつ、排水中にケイ素化合物が遊離することをより抑制することができる。
本発明の排水処理用活性炭を吸着材として使用するためには、上記の洗浄の後、速やかに減圧下で加熱する(減圧乾燥する)ことが好ましい。これにより、余分な溶媒(水、有機溶媒等)を排水処理用活性炭が有する細孔中に留まることをより抑制して除去することができる。
減圧乾燥の際の加熱温度は、特に制限されず、余分な溶媒を排水処理用活性炭が有する細孔中に留まることをより抑制して除去する観点から、50〜350℃が好ましく、100〜300℃がより好ましい。
3.排水処理用カートリッジ及び排水処理装置
上記した本発明の排水処理用活性炭を排水処理用カートリッジケースに充填することで、排水処理用カートッジを得ることができる。カートリッジに充填される本発明の排水処理用活性炭は、粒状、粒体状、繊維状、ハニカム状等の活性炭が利用されるが、より好適には、活性炭素繊維が利用される。なお、カートリッジ充填する本発明の排水処理用活性炭の量や濃度は、カートリッジの大きさや圧損、排水処理量等に応じて適宜調整することが好ましい。
本発明の排水処理用カートリッジを備えた排水処理装置は、排水を接触させることで排水に含有される有害な有機化合物を吸着するシステムであり、本発明の排水処理用活性炭又は本発明の排水処理用カートリッジを使用すること以外は従来から知られている排水処理装置と同様とすることができる。例えば特許第5029590号を参照することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
ケイ素濃度
ケイ素化合物が添着した排水処理用活性炭表面のケイ素濃度は、(株)日立ハイテクノロジーズ製のX線分析装置付走査型電子顕微鏡Microscope TM3000/ShiftED3000を用いて定量した。
かさ密度
170℃で6時間以上乾燥させた活性炭を、50ccのメスフラスコにタップしながら活性炭を充填しその重量を測定した。
比表面積及び細孔容積
原料である活性炭及びケイ素化合物を添着させた排水処理用活性炭の比表面積の測定は、マイクロトラック・ベル(株)製の高精度ガス/蒸気吸着量測定装置BELSORP-maxを用いて窒素ガス吸着法により、BET法を用いて算出した。
平衡吸着試験
試料(活性炭)は予め、めのう乳鉢にて粉砕(数〜数10μm程度)にしておいた。共栓付き100mL三角フラスコに、排水基準の5倍程度(ジクロロメタン 1mg/L, ベンゼン 0.5mg/L, 四塩化炭素 0.1mg/L)を仕込み濃度として添加した標準溶液 100mLを用意し、約10mgの試料(活性炭)を量り取り、100mL三角フラスコに加え、直ちに密栓後、振り混ぜた。室温(約23℃)17時間静置後、上澄み液をろ過し、各有機溶剤の濃度をヘッドスペース GC/MS法(JIS K 0125(2016) 5.2用水・排水中の揮発性有機化合物試験方法)にて準じて分析した。また、ブランク試験として、共栓付き100mL三角フラスコに試料(活性炭)を入れないでブランク試験を行った。
通水除去性能試験
500L容器にジクロロメタンを約1mg/L(排水基準の5倍程度)を仕込み濃度として添加した試験水を用意し、0.1MPaの圧力条件下で、活性炭モジュールに向かって、0.5L/分の流量で流した。通水(流量:0.5L/分)を開始し、一定時間毎(10分、80分、140分、200分、240分、300分後)に活性炭モジュールを通過水、及びジクロロメタン原水をサンプリングした。ジクロロメタンの濃度は、試料を容器に採取し、平衡試験同様、ヘッドスペース GC/MS法(JIS K 0125(2016) 5.2用水・排水中の揮発性有機化合物試験方法)にて測定した。
ジクロロメタンの除去率が初期値の80%未満になった時点での積算通水量を、除去性能として評価した。
ジクロロメタンの除去率が初期値の80%未満になるとカートリッジの交換が推奨されることから、ジクロロメタンの除去率が初期値の80%未満になるまでの時間が長いほどジクロロメタン吸着性能に優れることを意味する。
実施例1
活性炭試料は、LG15−047(大阪ガスケミカル(株)製、やし破砕炭(粒状)、中心粒子径120μm、比表面積970m2/g)を用いた。170℃で加熱乾燥した活性炭100gを耐圧ステンレスオートクレーブ内に入れ、ヘキサメチルジシラン12.5gを反応容器内へ投入し、反応器を密閉して430℃で4時間反応させた。反応後の活性炭をアセトンで2回洗浄し、アセトンをろ別した後、170℃で3時間、加熱乾燥させることで、実施例1の排水処理用の活性炭を得た。なお、アセトンによりろ別したことにより、活性炭表面と強固に化学結合していないケイ素化合物は除去される。
得られた排水処理用活性炭のケイ素量をエネルギー分散型X線分析装置により分析した結果、2.4%(質量濃度)であった(表1)。
得られた排水処理用活性炭を50ccのメスシリンダーに充填し、かさ密度を算出した。 また、-196℃での窒素吸着測定を実施し、BET比表面積、全細孔容積を算出した結果も合わせて表1に示す。
次に、実施例1の排水処理用活性炭を排水基準の5倍程度(ジクロロメタン1mg/L, ベンゼン0.5mg/L, 四塩化炭素0.1mg/L)の標準溶液に入れ、平衡吸着試験を行った結果を表2に示す。
比較例1
LG15-047(大阪ガスケミカル(株)製、やし破砕炭(粒状)、中心粒子径120μm、比表面積970m2/g)をそのまま比較例1の活性炭とした。
この比較例1の活性炭について、実施例1と同様に、かさ密度、BET比表面積、全細孔容積を算出した。また、実施例1と同様に、平衡吸着試験を行った結果を表2に示す。
なお、元炭に対する平衡試験の上昇率(%) は、以下の方法:
(標準溶液の濃度 − 平衡吸着試験後の濃度(実施例1の疎水化炭))/(標準溶液の濃度 − 平衡吸着試験後の濃度(比較例1の元炭))×100 − 100
により算出した。
実施例2
活性炭試料は、LG15-047(大阪ガスケミカル(株)製、やし破砕炭(粒状)、中心粒子径120μm、比表面積970m2/g)を用いた。170℃で加熱乾燥した活性炭100gを耐圧ステンレスオートクレーブ内に入れ、ヘキサメチルジシラン12.5gを反応容器内へ投入し、反応器を密閉して430℃で4時間反応させた。反応後の活性炭をアセトンで2回洗浄し、アセトンをろ別した後、170℃で3時間、加熱乾燥させることで、実施例2の排水処理用の活性炭を得た。なお、アセトンによりろ別したことにより、活性炭表面と強固に化学結合していないケイ素化合物は除去される。
得られた排水処理用活性炭のケイ素量をエネルギー分散型X線分析装置により分析した結果、2.4%(質量濃度)であった(実施例1と同様品)。
得られた排水処理用活性炭を内容量86ccのプラスチック製モジュールに60cc 充填し、通水除去性能試験方法に準拠して、ジクロロメタン濃度が1mg/Lとなるように、水温22℃、0.5L/分の流量で通水した。図1に示すように、ジクロロメタンの除去率が80%を下回った点での積算通水量は150Lであった。
比較例2
LG15-047(大阪ガスケミカル(株)製、やし破砕炭(粒状)、中心粒子径120μm、比表面積970m2/g)をそのまま比較例2の活性炭とした。
この比較例2の活性炭について、実施例2と同様に通水除去性能試験を行った。ジクロロメタンの除去率が80%を下回った時点での積算通水量を測定した結果、112Lであった(図1)。

Claims (12)

  1. 活性炭にケイ素化合物を添着させた排水処理用活性炭であって、アセトン洗浄後のエネルギー分散型X線分析による表面のケイ素濃度が0.1〜10質量%である、排水処理用活性炭。
  2. 除去対象有機化合物の平衡吸着試験において、その除去性能が、前記排水処理用活性炭の原料である前記活性炭と比較して、その上昇率が1%以上高い、請求項1に記載の排水処理用活性炭。
  3. 除去対象有機化合物の仕込み濃度が排水基準の5倍である試験水を、前記排水処理用活性炭を充填したモジュールに通水し、除去対象有機化合物の除去率が初期値の80%になった時点での積算通水量が、前記排水処理用活性炭の原料である前記活性炭について同様に測定した積算通水量と比較して、2%以上高い、請求項1又は2に記載の排水処理用活性炭。
  4. 前記除去対象有機化合物が、塩化炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、環状エーテル化合物、ホウ素化合物、フッ素化合物、有機リン化合物、及び有機水銀化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭。
  5. 前記ケイ素化合物の分子量が50〜700である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭。
  6. 前記ケイ素化合物が、トリメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭。
  7. 前記ケイ素化合物が、ヘキサメチルジシランである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭の製造方法であって、前記活性炭と前記ケイ素化合物とを、370℃より高い温度で加熱する工程を備える、製造方法。
  9. 前記加熱工程において、前記ケイ素化合物の使用量が、前記活性炭100質量部に対して、1〜200質量部である、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記加熱工程が、密閉容器内で行われる、請求項8又は9に記載の製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭を含有する、排水処理用カートリッジ。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の排水処理用活性炭、又は請求項11に記載の排水処理用カートリッジを含有する、排水処理装置。
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