JP2011116156A - 車両運動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加速旋回を含んだ走行状態にある車両の加速性を維持しつつ、車両を安定して走行させることが可能な車両運動制御装置の提供。
【解決手段】車両Mの駆動輪Wfl,Wfrの空転量が所定の閾値よりも大きい場合、ブレーキ制御ECU26は通常の空転抑制制御を実行し、空転傾向にある駆動輪Wfl,Wfrに制動力を付与する。車両Mの加速旋回状態が検出され、かつ、アンダステア状態が検出された場合、旋回内側の駆動輪Wfl,Wfrの空転量の閾値を通常の空転抑制制御時の閾値よりも大きくし、旋回内側の駆動輪Wfl,Wfrへの制動力の付与を抑制し、その空転を許容する。また、車両Mの加速旋回状態が検出され、かつ、アンダステア状態が検出された場合、旋回外側の駆動輪Wfl,Wfrの空転量の閾値を通常の空転抑制制御時の閾値よりも小さくし、外側の駆動輪Wfl,Wfrへの制動力の付与を増大させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の駆動輪に制動力を付与して、駆動輪の空転を抑制する車両運動制御装置に関する。
これまで、旋回走行中の車両において、種々の検出量に基づき車両がアンダステア状態またはオーバステア状態にあることを検出し、この場合にエンジンの駆動力を制御して車両の不安定状態を回避するエンジントラクション制御に関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。
このようなエンジンの駆動力を制御するエンジントラクション制御は、駆動輪の空転量に基づき駆動輪へのブレーキ力を制御するブレーキトラクション制御と併用される場合が多く、走行車両の安定性を回復するためには有効であった。
特許第3514329号公報
ところで、車両が加速旋回を含んだ走行状態にある場合、車両の挙動を安定させるとともに、車両速度を維持して速やかに走行させることは車両制御技術において重要な課題であった。しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来技術によれば、エンジンの駆動力を減少させているために、旋回走行を含んだ車両の加速性の低下は避けられなかった。
すなわち、特許文献1に開示された従来技術においては、加速旋回中にエンジンの駆動力を減少させていることにより、旋回後に車両が直進走行に移行したとき、エンジンの駆動力を元の状態まで回復させるために所定の時間を要することになる。
つまり、特許文献1に開示された従来技術によれば、旋回後に車両が直進走行に移行したとき、駆動輪によりエンジンの駆動力を路面に十分伝達することが可能であるにもかかわらず、その駆動力が低下したままであるため、エンジンが元の状態に復帰するまで車両の加速性も低下したままとなる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加速旋回を含んだ走行状態にある車両の加速性を維持しつつ、車両を安定して走行させることが可能な車両運動制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1に係る車両運動制御装置の発明の構成上の特徴は、車両の駆動輪に制動力を付与して、駆動輪の空転を抑制する駆動輪制動手段を備えた車両運動制御装置において、車両の加速旋回状態を検出する加速旋回検出手段と、車両のアンダステア状態を検出するアンダステア検出手段と、加速旋回検出手段により車両の加速旋回状態が検出され、かつ、アンダステア検出手段により車両のアンダステア状態が検出された場合に、駆動輪制動手段による、車両の旋回内側にある駆動輪への制動力の付与を抑制し、内側の駆動輪の空転を許容する駆動輪制動変更手段とを備えたことである。
ここで、制動力の付与を抑制することには、内側の駆動輪に対する制動動作の開始条件を厳しくする、内側の駆動輪への制動力自体を減少させる、内側の駆動輪に対する制動動作の頻度を低減する等といった、内側の駆動輪の空転を許容するすべての手段を含むものとする。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1の車両運動制御装置において、車両の走行路面との路面摩擦係数またはその相関値を検出する摩擦係数検出手段を備え、駆動輪制動変更手段は、摩擦係数検出手段により検出された路面摩擦係数またはその相関値が示す路面摩擦係数が高いほど、車両の旋回内側にある駆動輪への制動力の付与を抑制し、内側の駆動輪の空転を許容することである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2の車両運動制御装置において、摩擦係数検出手段は、路面摩擦係数の相関値として、車両の横方向の運動状態量を検出することである。
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至3のうちのいずれかの車両運動制御装置において、車両のアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、駆動輪制動変更手段は、アクセル操作量検出手段により検出された車両のアクセル操作量が大きいほど、車両の旋回内側にある駆動輪への制動力の付与を抑制し、内側の駆動輪の空転を許容することである。
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至4のうちのいずれかの車両運動制御装置において、駆動輪制動変更手段は、加速旋回検出手段により車両の加速旋回状態が検出され、かつ、アンダステア検出手段により車両のアンダステア状態が検出された場合に、駆動輪制動手段による、車両の旋回外側にある駆動輪への制動力の付与を増大させることである。
ここで、制動力の付与を増大させることには、外側の駆動輪に対する制動動作の開始条件を緩和する、外側の駆動輪への制動力自体を増大させる、外側の駆動輪に対する制動動作の頻度を増加する等といった、外側の駆動輪から走行路面への駆動力の伝達を低減するすべての手段を含むものとする。
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項5の車両運動制御装置において、車両の走行路面との路面摩擦係数またはその相関値を検出する摩擦係数検出手段を備え、駆動輪制動変更手段は、摩擦係数検出手段により検出された路面摩擦係数またはその相関値が示す路面摩擦係数が高いほど、外側の駆動輪への制動力の付与を増大させることである。
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項6の車両運動制御装置において、摩擦係数検出手段は、路面摩擦係数の相関値として、車両の横方向の運動状態量を検出することである。
請求項8に係る発明の構成上の特徴は、請求項5乃至7のうちのいずれかの車両運動制御装置において、車両のアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、駆動輪制動変更手段は、アクセル操作量検出手段により検出された車両のアクセル操作量が大きいほど、外側の駆動輪への制動力の付与を増大させることである。
請求項1に係る車両運動制御装置によれば、車両の加速旋回状態が検出され、かつ、車両のアンダステア状態が検出された場合に、車両の旋回内側にある駆動輪への制動力の付与を抑制し、空転しやすい内側の駆動輪の空転を許容することにより、車両の不安定挙動の要因となるエンジンの余剰駆動力が旋回内側の駆動輪の空転により消費されるため、エンジンの駆動力を低下させることなしに、車両を安定して旋回させることができる。
したがって、旋回後に車両が直進走行に移行したとき、あるいはアンダステア状態の解消後に、エンジンの余剰駆動力が低下しておらず、速やかに走行することが可能になる。
請求項2に係る車両運動制御装置によれば、走行路面との路面摩擦係数またはその相関値が示す路面摩擦係数が高いほど、車両の旋回内側にある駆動輪への制動力の付与を抑制し、内側の駆動輪の空転を許容することにより、エンジンの余剰駆動力が旋回内側の駆動輪の空転により消費されて、車両のアンダステア状態が増大することを防止することができる。
すなわち、走行路面の摩擦係数が高いほど、エンジンの駆動力が旋回外側の駆動輪から走行路面に伝わり、車両がアンダステア状態になりやすいため、内側の駆動輪の空転をより許容しエンジンの余剰駆動力を消費している。
請求項3に係る車両運動制御装置によれば、路面摩擦係数の相関値として、車両の横方向の運動状態量を検出する。これにより、通常、車両運動制御装置が搭載された車両に備えられている横方向運動状態量検出手段を用いて、横方向の運動状態量を検出し、走行路面の摩擦係数の検出を横方向の運動状態量の検出で代用することで、容易に、走行路面の摩擦係数の大きさに応じてエンジンの駆動力を消費させることができる。
請求項4に係る車両運動制御装置によれば、車両のアクセル操作量が大きいほど、車両の旋回内側にある駆動輪への制動力の付与を抑制し、内側の駆動輪の空転を許容することにより、その大きさに応じて、エンジンの余剰駆動力を消費させることができる。
請求項5に係る車両運動制御装置によれば、加速旋回検出手段により車両の加速旋回状態が検出され、かつ、アンダステア検出手段により車両のアンダステア状態が検出された場合に、車両の旋回外側にある駆動輪への制動力の付与を増大させることにより、エンジンの余剰駆動力を内側の駆動輪に逃がして、当該内側の駆動輪の空転により消費して、車両のアンダステア状態が増大することを防止することができる。
請求項6に係る車両運動制御装置によれば、摩擦係数検出手段により検出された走行路面との路面摩擦係数またはその相関値が示す路面摩擦係数が高いほど、外側の駆動輪への制動力の付与を増大させることにより、走行路面の摩擦係数の大きさに応じて、車両のアンダステア状態が増大することを防止することができる。
請求項7に係る車両運動制御装置によれば、路面摩擦係数の相関値として、車両の横方向の運動状態量を検出することにより、通常、車両運動制御装置が搭載された車両に備えられている横方向運動状態量検出手段を用いて、横方向の運動状態量を検出し、走行路面の摩擦係数の検出を横方向の運動状態量の検出で代用することで、容易に、走行路面の摩擦係数の大きさに応じて外側の駆動輪への制動力の付与を増大させることができる。
請求項8に係る車両運動制御装置によれば、車両のアクセル操作量が大きいほど、外側の駆動輪への制動力の付与を増大させることにより、エンジンの駆動力の大きさに応じて、外側の駆動輪への制動力の付与を増大させることができる。
本発明の実施形態1による車両運動制御装置を搭載した車両の走行システムを示したブロック図 図1に示した車両運動制御装置のブレーキ回路を示した図 実施形態1による車両運動制御装置の制御方法を示したフローチャート 図3に示した制御方法による制動条件の変更内容を示した線図を通常の空転抑制制御の場合と比較して表したグラフ 図3に示した制御方法による車両の走行状態を模式的に示した図 実施形態1の変形実施形態による制動条件の変更内容を示した線図を通常の空転抑制制御の場合と比較して表したグラフ 実施形態2による車両運動制御装置の制御方法を示したフローチャート
<実施形態1>
図1乃至図5に基づき、本発明の実施形態1による車両運動制御装置について説明する。図1に示した車両Mは前輪駆動(FF)車であり、車体前部に搭載した駆動源であるエンジン11の駆動力が前輪Wfl,Wfr(本発明の駆動輪に該当する)に伝達される形式のものである。なお車両Mは前輪駆動車のみに限られるものではなく、他の駆動方式の車両例えば後輪駆動(FR)車、四輪駆動(4WD)車でもよいし、電動モータを駆動源とする車両でもよい。
車両Mは、車両Mを駆動・操舵させる駆動・操舵システム10と、車両Mを制動させるブレーキシステム20を備えている。駆動・操舵システム10は、エンジン11、トランスミッション12、ディファレンシャル13、左右のドライブシャフト14a,14b、スロットルバルブ15、アクセルペダル16およびエンジン制御ECU17を備えている。エンジン11による駆動力は、トランスミッション12、ディファレンシャル13を介してドライブシャフト14a,14bに伝達され、前輪Wfl,Wfrを回転させる。
また、スロットルバルブ15にはスロットルバルブセンサ15aが取り付けられ、アクセルペダル16にはアクセル操作量センサ16a(本発明のアクセル操作量検出手段に該当する)が設けられており、それぞれの検出信号がエンジン制御ECU17に入力されている。エンジン制御ECU17は、アクセル操作量センサ16aにより検出されたアクセルペダル16の操作量に基づき、スロットルバルブ15および図示しないインジェクタの作動を制御し、エンジン11の駆動力を制御する。
車両Mの運転席に設けられたステアリングホイール18は、ステアリングシャフト19を介して操舵輪である前輪Wfl,Wfrと接続され、ステアリングホイール18の操作量に応じて前輪Wfl,Wfrを操舵する。また、ステアリングホイール18には、その操作量を検出するステアリング角度センサ18aが接続されている。これらの駆動・操舵システム10の構成および制御は本発明の主題ではないため、これ以上は詳述しない。
一方、ブレーキシステム20は、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに液圧制動力を付与して車両Mを制動させている。ブレーキシステム20は、ブレーキペダル21と、ブレーキペダル21に加えられたブレーキ操作力を倍力する負圧式ブースタ22と、負圧式ブースタ22により倍力されたブレーキ操作力に応じた基礎液圧である液圧(油圧)のブレーキ液を生成して各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに供給するマスタシリンダ23とを備えている。
また、ブレーキペダル21には、ブレーキペダル21が操作されたことを検出するブレーキスイッチ21aが設けられている。以下、車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrを包括する場合、車輪Wfl〜Wrrといい、ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrを包括する場合、ホイールシリンダWCfl〜WCrrという。
マスタシリンダ23には、ブレーキ液を貯蔵するとともにマスタシリンダ23に補給するリザーバタンク24が取り付けられ、マスタシリンダ23と各ホイールシリンダWCfl〜WCrrとの間には、ブレーキペダル21の踏込状態に関係なく制御液圧を形成して制御対象輪に付与可能であるブレーキアクチュエータ25(本発明の駆動輪制動手段に該当する)が設けられている。ブレーキアクチュエータ25には、ブレーキアクチュエータ25を制御するブレーキ制御ECU26(本発明の駆動輪制動変更手段に該当する)が電気的に接続されている。なお、ブレーキ制御ECU26は、エンジン制御ECU17と互いに通信可能に接続されている。
各ホイールシリンダWCfl〜WCrrに基礎液圧または制御液圧が供給されると、ホイールシリンダWCfl〜WCrrを含んだ各キャリパCLfl,CLfr,CLrl,CLrrのピストンが、摩擦部材である一対のブレーキパッドBPfl,BPfr,BPrl,BPrrを押圧する。これにより、各車輪Wfl〜Wrrと一体回転する回転部材であるディスクロータDRfl,DRfr,DRrl,DRrrを両側から挟んで制動力を付与するようになっている。なお、本実施形態においては、ディスク式ブレーキを採用するようにしたが、ドラム式ブレーキを採用するようにしてもよい。
各車輪Wfl〜Wrrには、車輪速センサSfl,Sfr,Srl,Srrが取り付けられ、各車輪速センサSfl,Sfr,Srl,Srrはブレーキ制御ECU26に電気的に接続されている。以下、車輪速センサSfl,Sfr,Srl,Srrを包括する場合、車輪速センサSfl〜Srrという。また、ブレーキ制御ECU26には、車両Mのヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ27と、車両Mの左右方向の加速度を検出する横加速度センサ28(本発明の摩擦係数検出手段、横方向運動状態量検出手段に該当する)が接続されている。
さらに、ブレーキ制御ECU26には、上述したアクセル操作量センサ16a、ステアリング角度センサ18a、ブレーキスイッチ21aが接続されている。後述するように、ブレーキ制御ECU26は、各車輪速度、車両Mのヨーレイト、車両Mに発生する横方向加速度(本発明の横方向の運動状態量に該当する)、アクセルペダル16の操作量、ステアリングホイール18による操舵角度等に基づき、ブレーキアクチュエータ25を制御する。
図2に示すように、ブレーキアクチュエータ25のブレーキ配管は、多くの前輪駆動車に適用されているX配管が採用されている。すなわち、マスタシリンダ23のプライマリ室23aには前右輪Wfrに取り付けられたホイールシリンダWCfrと、後左輪Wrlに取り付けられたホイールシリンダWCrlとが接続され(第1ブレーキ回路)、マスタシリンダ23のセカンダリ室23bには前左輪Wflに取り付けられたホイールシリンダWCflと、後右輪Wrrに取り付けられたホイールシリンダWCrrとが接続されている(第2ブレーキ回路)。本実施形態は、必ずしもX配管でなければならないわけではなく、前後配管であってもよい。
図2に示すように、ブレーキアクチュエータ25の配管構成は、左右がほぼ対称形であるため、以下、主に右側の第1ブレーキ回路について説明し、必要があれば、適宜、左側の第2ブレーキ回路についても説明する。
マスタシリンダ23のプライマリ室23aは、主管路Lp1を介してブレーキアクチュエータ25の液圧制御弁31と接続されている。また、液圧制御弁31と並列に配置されるように、マスタシリンダ23からホイールシリンダWCfr,WCrlに向かう方向のブレーキ液の流れのみを許容する逆止弁31aが設けられている。
液圧制御弁31は図示しないソレノイドに通電することにより作動する電磁弁であり、足回り管路Lp2,Lp3を介して、ホイールシリンダWCfr,WCrlとそれぞれ接続されている。足回り管路Lp2,Lp3上には、それぞれ増圧弁33,34が設けられている。また、増圧弁33,34とそれぞれ並列に配置されるように、ホイールシリンダWCfr,WCrlからマスタシリンダ23に向かう方向のブレーキ液の流れのみを許容する逆止弁33a,34aが設けられている。
液圧制御弁31は、ブレーキ制御ECU26によって連通状態と差圧状態とに切り換え制御される。通常、液圧制御弁31はソレノイドに通電されていない場合に、マスタシリンダ23と増圧弁33,34とを連通する状態とされており、ソレノイドに通電された状態で差圧状態となって、マスタシリンダ23と増圧弁33,34との間を遮断するとともに、ホイールシリンダWCfr,WCrl側の足回り管路Lp2,Lp3内の液圧を、マスタシリンダ23側の主管路Lp1内の液圧よりも所定の制御差圧分高い圧力に保持することができる。この制御差圧は、ブレーキ制御ECU26により制御電流に応じて調圧されるようになっている。
増圧弁33,34は図示しないソレノイドに通電することにより作動する電磁弁であり、それぞれブレーキ制御ECU26によって作動制御され、足回り管路Lp2,Lp3を連通または遮断している。ソレノイドが非通電状態である場合、増圧弁33,34は連通状態となり、ソレノイドが通電状態となった場合、遮断状態となる。以下、増圧弁33,34および第2ブレーキ回路の足回り管路Ls2,Ls3において該当する増圧弁35,36を包括する場合、増圧弁33〜36という。
足回り管路Lp2,Lp3上の、ホイールシリンダWCfr,WCrlと増圧弁33,34との間には、それぞれリリーフ管路Lp4,Lp5の一端が接続されており、リリーフ管路Lp4,Lp5上には減圧弁37,38がそれぞれ設けられている。リリーフ管路Lp4,Lp5の他端は、ともにポンプ管路Lp6の一端部に接続されており、ポンプ管路Lp6の他端部は、足回り管路Lp2,Lp3上の増圧弁33,34と液圧制御弁31との間に接続されている。ポンプ管路Lp6には、調圧リザーバ45、油圧ポンプ43および油圧ポンプ43の吐出圧による油圧脈動を緩和するダンパ47が設けられている。
減圧弁37,38は図示しないソレノイドに通電することにより作動する電磁弁であり、それぞれブレーキ制御ECU26によって作動制御され、リリーフ管路Lp4,Lp5を連通または遮断している。減圧弁37,38は、ソレノイドが非通電状態である場合に遮断状態となり、ソレノイドが通電状態となった場合に連通状態となる。以下、減圧弁37,38および第2ブレーキ回路のリリーフ管路Ls4,Ls5において該当する減圧弁39,40を包括する場合、減圧弁37〜40という。
油圧ポンプ43は電動モータMTにより駆動され、減圧弁37,38を介してホイールシリンダWCfr,WCrlから調圧リザーバ45へ排出されたブレーキ液を、再び足回り管路Lp2,Lp3へと汲み上げる。
ポンプ管路Lp6の調圧リザーバ45と油圧ポンプ43との間には、吸引管路Lp7の一端が接続されており、吸引管路Lp7の他端は、主管路Lp1上のマスタシリンダ23のプライマリ室23aと液圧制御弁31との間に接続されている。吸引管路Lp7には、カット弁41が設けられている。カット弁41は図示しないソレノイドに通電することにより作動する電磁弁であり、ブレーキ制御ECU26によって連通状態と遮断状態との間で作動制御される。
ソレノイドが非通電の場合には遮断状態であるカット弁41は、ブレーキペダル21が非操作の場合において、ソレノイドに通電されて連通状態とされ、吸引管路Lp7を介して油圧ポンプ43がマスタシリンダ23のブレーキ液を吸引可能とする。この場合、液圧ポンプ43が吸引したブレーキ液は、足回り管路Lp2,Lp3へと吐出され、ホイールシリンダWCfr,WCrlに制動力を発生させる。
第1ブレーキ回路の主管路Lp1上には、第1液圧センサP1が設けられている。第1液圧センサP1はブレーキ制御ECU26に接続されており、ブレーキ制御ECU26には、マスタシリンダ23のプライマリ室23a内の液圧を示す検出信号が入力される。第1液圧センサP1は、第2ブレーキ回路の主管路Ls1上に設けられていてもよい。
第1ブレーキ回路の足回り管路Lp2上の、ホイールシリンダWCfrと増圧弁33との間には、第2液圧センサP2が設けられている。第2液圧センサP2はブレーキ制御ECU26に接続されており、ブレーキ制御ECU26には、ホイールシリンダWCfr内の液圧を示す検出信号が入力される。第2液圧センサP2は、足回り管路Lp3上のホイールシリンダWCrlと増圧弁34との間に設けられていてもよい。
また、第2ブレーキ回路の足回り管路Ls2上の、ホイールシリンダWCflと増圧弁35との間には、第3液圧センサP3が設けられている。第3液圧センサP3はブレーキ制御ECU26に接続されており、ブレーキ制御ECU26には、ホイールシリンダWCfl内の液圧を示す検出信号が入力される。第3液圧センサP3は、足回り管路Ls3上のホイールシリンダWCrrと増圧弁36との間に設けられていてもよい。以下、液圧センサP1,P2,P3を包括する場合、液圧センサP1〜P3という。
次に、車両Mが各状態にある場合における、ブレーキシステム20の作動方法を簡単に説明する。ブレーキシステム20において、通常ブレーキ(ブレーキペダル21の操作量に応じて、マスタシリンダ23が基礎液圧を発生する作動モード)を実行する場合、液圧制御弁31,32、増圧弁33〜36、減圧弁37〜40、カット弁41,42のソレノイドがすべて非通電とされている。
ブレーキペダル21の操作量に応じて、マスタシリンダ23のプライマリ室23aに発生したブレーキ液圧は、主管路Lp1、液圧制御弁31、足回り管路Lp2、増圧弁33を介して、前右輪Wfrに設けられホイールシリンダWCfrへと付与され、主管路Lp1、液圧制御弁31、足回り管路Lp3、増圧弁34を介して、後左輪Wrlに設けられホイールシリンダWCrlへと付与される。
また、ブレーキペダル21の操作量に応じて、マスタシリンダ23のセカンダリ室23bに発生したブレーキ液圧は、主管路Ls1、液圧制御弁32、足回り管路Ls2、増圧弁35を介して、前左輪Wflに設けられホイールシリンダWCflへと付与され、主管路Ls1、液圧制御弁32、足回り管路Ls3、増圧弁36を介して、後右輪Wrrに設けられホイールシリンダWCrrへと付与される。
ブレーキペダル21の操作時において、車輪速センサSfl〜Srrによって検出された車輪Wfl〜Wrrの速度に基づき、ブレーキ制御ECU26がいずれかの車輪Wfl〜Wrrがロック傾向にあると判断した場合、ブレーキアクチュエータ25によって、アンチスキッド(ABS)制御が実行される。
例えば、前右輪Wfrがロック傾向にあると判断された場合、液圧制御弁31,32、増圧弁34,35,36、減圧弁38,39,40、カット弁41,42のソレノイドが非通電とされ、マスタシリンダ23のプライマリ室23aから後左輪Wrlに設けられたホイールシリンダWCrlへのブレーキ液圧の供給、およびマスタシリンダ23のセカンダリ室23bから前左輪Wfl、後右輪Wrrに設けられたホイールシリンダWCfl,WCrrへのブレーキ液圧の供給は継続される。
一方、増圧弁33、減圧弁37のソレノイドには通電され、マスタシリンダ23のプライマリ室23aと前右輪Wfrに設けられたホイールシリンダWCfrとの間の連通が遮断されるとともに、ホイールシリンダWCfrが調圧リザーバ45と連通され、ホイールシリンダWCfr内のブレーキ液が調圧リザーバ45に排出される。
これにより、ホイールシリンダWCfrのブレーキ液圧が減圧され、前右輪Wfrに発生している制動力が低下して、その回転が回復しロック傾向が解消する。尚、調圧リザーバ45に排出されたブレーキ液は、液圧ポンプ43によって足回り管路Lp2,Lp3へと環流される。
前輪Wfl,Wfr(駆動輪)の駆動時において、車輪速センサSfl〜Srrによって検出された車輪Wfl〜Wrrの速度に基づき、ブレーキ制御ECU26がいずれかの駆動輪Wfl,Wfrがスリップ(空転)傾向にあると判断した場合、ブレーキアクチュエータ25によって、駆動輪Wfl,Wfrの空転抑制制御(トラクションコントロール:TRC)が実行される。
車輪速センサSflによって検出された前左輪Wflの速度Svflと、車輪速センサSrlによって検出された後左輪(従動輪)Wrlの速度Svrlとを用いて、式:Slfl=(Svfl−Svrl)/Svrlに基づいて前左輪Wflのスリップ率(空転量)Slflが演算される。
また、車輪速センサSfrによって検出された前右輪Wfrの速度Svfrと、車輪速センサSrrによって検出された後右輪(従動輪)Wrrの速度Svrrとを用いて、式:Slfr=(Svfr−Svrr)/Svrrに基づいて前右輪Wfrの空転量Slfrが演算される。駆動輪Wfl,Wfrの空転量の演算方法は公知であり、上述した方法に限られるものではないが、公開特許公報である特開2007―69871号、特開平10―217933号等に開示されている。算出されたいずれかの駆動輪Wfl,Wfrの空転量Slfl,Slfrが所定の閾値よりも大きい場合に、当該駆動輪Wfl,Wfrが空転傾向にあると判断される。
上述した空転量の閾値は、図4において「通常の空転抑制制御時の閾値」として一点鎖線にて示されており、横加速度センサ28により検出された車両Mの横方向加速度Gyが大きくなるにつれて、小さくなるように設定されている。
例えば、前右輪Wfrが空転傾向にあると判断された場合、液圧制御弁32、増圧弁33,35,36、減圧弁37,38,39,40、カット弁42のソレノイドが非通電とされる。一方、液圧制御弁31、増圧弁34、カット弁41のソレノイドに通電されるとともに、モータMTにより液圧ポンプ43が駆動される。
これにより、液圧制御弁31が差圧状態となって、マスタシリンダ23と増圧弁33,34とを遮断するとともに、液圧ポンプ43によってリザーバタンク24内のブレーキ液が、マスタシリンダ23、主管路Lp1、吸引管路Lp7、カット弁41を介して吸引され、ポンプ管路Lp6、増圧弁33、足回り管路Lp2を介して前右輪Wfrに設けられたホイールシリンダWCfrに付与され、前右輪Wfrに制動力を発生させる。
この時、液圧ポンプ43によってリザーバタンク24内のブレーキ液が、足回り管路Lp3にも供給されるが、増圧弁34が通電状態となっているため、後左輪Wrlに設けられたホイールシリンダWCrlに制動力が付与されることはない。
前右輪Wfrに制動力が発生することにより、その空転量が減少して図4に示した閾値よりも低下すると、増圧弁33、減圧弁37に通電され、液圧ポンプ43とホイールシリンダWCfrとの間の連通が遮断されるとともに、ホイールシリンダWCfrが調圧リザーバ45と連通され、ホイールシリンダWCfr内のブレーキ液が調圧リザーバ45に排出される。
これにより、ホイールシリンダWCfrのブレーキ液圧が減圧され、前右輪Wfrに発生している制動力を解消して回転を回復させる。尚、調圧リザーバ45に排出されたブレーキ液は、液圧ポンプ43によって足回り管路Lp2,Lp3へと環流される。上述した駆動輪Wfl,Wfrの空転抑制制御は、車両Mが旋回状態にある場合および非旋回状態にある場合を問わず実行され、当該制御を以下、通常の空転抑制制御という。
その他、ブレーキシステム20は、車輪速センサSfl〜Srr、ブレーキスイッチ21a、アクセル操作量センサ16a、ステアリング角度センサ18a、ヨーレイトセンサ27、横加速度センサ28、液圧センサP1〜P3等によって検出された車両Mの状態に基づき、車両安定制御(ESC)およびブレーキアシストが実行されるが、本発明と直接的な関係がないため詳細な説明は省略する。
次に、図3に示した制御フローチャートに基づいて、ブレーキ制御ECU26による、車両Mの旋回時における空転抑制制御の方法について説明する。最初に、車輪速センサSfl〜Srr、アクセル操作量センサ16a、ステアリング角度センサ18a、ヨーレイトセンサ27、横加速度センサ28等からの検出信号値が読み込まれる(ステップS301)。
次に、検出信号値からヨーレイト偏差Δyが演算される(ステップS302)。ヨーレイト偏差Δyは、ヨーレイトセンサ27によって検出された車両Mに発生している実際のヨーレイトYrと、目標ヨーレイトYtとの差として定義される。また、目標ヨーレイトYtは、例えば、車両Mの速度V、ステアリング角度センサ18aによって検出された操舵角度θ等から、式:Yt=V・sin(θ/R)・K/Lから求められる(但し、Rは車両Mのステアリングギヤ比、Lは車両Mのホイールベース、Kは路面摩擦係数の関連量を示す)。
ヨーレイト偏差Δyおよび目標ヨーレイトYtの演算方法は公知であり、上述した方法に限られるものではないが、公開特許公報である特開平7―117645号、特開平10―44954号等に開示されている。
次に、車両Mの進行方向加速度、操舵角度θ、横方向加速度Gy等から、車両Mが加速旋回状態であるか否かが判定される(ステップS303:本発明の加速旋回検出手段に該当する)。車両Mが加速旋回状態でないと判定された場合、当該制御フローは終了する。車両Mが加速旋回状態であると判定された場合、算出されたヨーレイト偏差Δyが第1所定値Y1より大きいか否かが判定される(ステップS304:本発明のアンダステア検出手段に該当する)。ヨーレイト偏差ΔyがY1以下であると判定された場合は、車両Mがアンダステア状態ではないと考えられるため当該制御フローを終了する。
ヨーレイト偏差Δyが第1所定値Y1より大きいと判定された場合、車両Mがアンダステア状態であると考えられるため、ヨーレイト偏差Δyが、第1所定値Y1より大きい第2所定値Y2未満であるか否かが判定される(ステップS305)。ヨーレイト偏差ΔyがY2以上であると判定された場合は、車両Mが強いアンダステア状態にあると考えられるため、スピン・ドリフト抑制制御が実行される(ステップS308)。
スピン・ドリフト抑制制御とは、アンダステア状態の車両Mに旋回内向きのモーメントを与えるためのものであり、後輪Wrl,Wrrのうち、旋回内側の車輪に制動力を付与する制御方法である。これについても、上述した公開特許公報である特開平7―117645号等に開示されている。
一方、ステップS305において、ヨーレイト偏差ΔyがY2未満であると判定された場合、駆動輪Wfl,Wfrへの空転抑制制御における制動条件の変更が行われる(ステップS306)。図4に示したように、空転抑制制御を開始する場合の空転量の閾値について、駆動輪Wfl,Wfrのうち旋回内側の車輪については、上述した通常の空転抑制制御時よりも、当該閾値を増大させている。
これにより、図5に示すように車両Mが左前方に旋回する場合、旋回内側にある駆動輪Wflへの制動力の付与(IBf)を抑制し(例えば、制動動作の開始を遅らせ)、駆動輪Wflの空転(IDf)を許容するようにしている。また、駆動輪Wfl,Wfrのうち旋回外側の車輪については、上述した通常の空転抑制制御時よりも、当該閾値を減少させている。これにより、旋回外側にある駆動輪Wfrへの制動力の付与(OBf)を促し(制動動作の開始を早め)、ひいては駆動輪Wfrから路面への駆動力の伝達(ODf)を抑制するとともに、それにより生じた余剰駆動力を旋回内側の駆動輪Wflに逃がすようにしている。尚、図5において、IBfにて表された矢印は、旋回内側の駆動輪Wflへの制動動作の開始を遅らせることをイメージ的に示しており、OBfにて表された矢印は、旋回外側の駆動輪Wfrへの制動動作の開始を早めることをイメージ的に示している。
図4に示したように、旋回内側の駆動輪Wflについての空転量の閾値は、横加速度センサ28により検出された車両Mの横方向加速度Gyが大きいほど増大させている。これにより、車両Mの横方向加速度Gyが大きいほど、旋回内側にある駆動輪Wflへの制動力の付与を遅らせ、駆動輪Wflの空転を許容している。
また、旋回外側の駆動輪Wfrについての空転量の閾値は、横加速度センサ28により検出された車両Mの横方向加速度Gyが大きいほど減少させている。これにより、車両Mの横方向加速度Gyが大きいほど、旋回外側にある駆動輪Wfrへの制動力の付与を早め、駆動輪Wfrから路面への駆動力の伝達を抑制している。
車両Mの横方向加速度Gyと、車両Mが走行する路面の摩擦係数との間には相関関係があり、車両Mの旋回時には、走行する路面の摩擦係数が高いほど車両Mの横方向加速度Gyも大きくなる。したがって、上述した制御方法は、車両Mが走行する路面の摩擦係数が高いほど、旋回内側にある駆動輪Wflへの制動力の付与を抑制し、駆動輪Wflの空転を許容しており、車両Mが走行する路面の摩擦係数が高いほど、旋回外側にある駆動輪Wfrへの制動力の付与を増大させ、駆動輪Wfrから路面への駆動力の伝達を抑制していると言い換えることができる。
変更された制動条件に基づいて空転抑制制御が実行されると(ステップS307)、本制御フローは終了する。
図6は、実施形態1の変形実施形態において、駆動輪Wfl,Wfrの空転抑制制御を開始する場合の空転量の閾値を示している。図6に示したように、本変形実施形態においても実施形態1と同様に、駆動輪Wfl,Wfrのうち旋回内側の車輪に対しては、上述した通常の空転抑制制御時よりも空転量の閾値を増大させており、駆動輪Wfl,Wfrのうち旋回外側の車輪に対しては、通常の空転抑制制御時よりも当該閾値を減少させている。
実施形態1とは異なり、変形実施形態においては、旋回内側の駆動輪Wflについての空転量の閾値は、アクセル操作量センサ16aにより検出されたアクセルペダル16の操作量φが大きいほど増大させている。これにより、アクセルペダル16の操作量φが大きいほど、旋回内側にある駆動輪Wflへの制動力の付与を一層抑制し、駆動輪Wflの空転を許容するようにしている。
また、旋回外側の駆動輪Wfrについての空転量の閾値は、アクセル操作量センサ16aにより検出されたアクセルペダル16の操作量φが大きいほど減少させている。これにより、アクセルペダル16の操作量φが大きいほど、旋回外側にある駆動輪Wfrへの制動力の付与を一層促し、駆動輪Wfrから路面への駆動力の伝達を抑制するとともに、それにより生じた余剰駆動力を旋回内側にある駆動輪Wflに逃がすようにしている。
本実施形態によれば、車両Mの加速旋回状態が検出され、かつ、車両Mのアンダステア状態が検出された場合に、車両Mの旋回内側にある駆動輪Wflへの制動力の付与を抑制し、グリップ力が不足して空転しやすい内側の駆動輪Wflの空転を許容することにより、内側の駆動輪Wflにおいてエンジン11の駆動力が消費されるため、エンジン11の駆動力を低下させることなしに、車両Mを安定して旋回させることができる。
したがって、旋回後に車両Mが直進走行に移行したとき、あるいは、車両Mのアンダステア状態が解消された後に、エンジン11の駆動力が低下しておらず、速やかに走行することが可能になる。本発明は、車両Mを安定して速やかに走行させるために、車両Mに弱いアンダステアが発生している場合に最も有効に機能する。
また、車両Mのアンダステア状態を解消することを目的として、グリップ力が維持されやすい旋回外側の駆動輪Wfrから走行路面への駆動力の伝達を減少させるために、外側の駆動輪Wfrに制動力が付与され、外側の駆動輪Wfrにおけるエンジン11の駆動力の消費が抑制されたとしても、内側の駆動輪Wflを空転させることによりエンジン11の駆動力を消費することができる。
また、走行路面との路面摩擦係数またはその相関値である横方向加速度Gyが示す路面摩擦係数が高いほど、車両Mの旋回内側にある駆動輪Wflへの制動力の付与を抑制し、内側の駆動輪Wflの空転を許容することにより、エンジン11の余剰駆動力が旋回内側の駆動輪Wflの空転により消費されて、車両Mのアンダステア状態が増大することを防止することができる。
すなわち、走行路面の摩擦係数が高いほど、エンジン11の駆動力が旋回外側の駆動輪Wflから走行路面に伝わり、車両Mがアンダステア状態になりやすいため、内側の駆動輪Wflの空転をより許容しエンジン11の余剰駆動力を消費している。
また、路面摩擦係数の相関値として、車両Mの横方向の運動状態量である横方向加速度Gyを検出している。これにより、通常、車両運動制御装置が搭載された車両Mに備えられている横加速度センサ28を用いて横方向加速度Gyを検出し、走行路面の摩擦係数の検出を横方向の運動状態量の検出で代用することで、容易に、走行路面の摩擦係数の大きさに応じてエンジン11の駆動力を消費させることができる。
また、変形実施形態においては、車両Mのアクセル操作量が大きいほど、車両Mの旋回内側にある駆動輪Wflへの制動力の付与を抑制し、内側の駆動輪Wflの空転を許容することにより、その大きさに応じて、エンジン11の余剰駆動力を消費させることができる。
また、車両Mの加速旋回状態が検出され、かつ、車両Mのアンダステア状態が検出された場合に、車両の旋回外側にある駆動輪Wfrへの制動力の付与を増大させることにより、エンジン11の余剰駆動力を内側の駆動輪Wflに逃がして、当該内側の駆動輪Wflの空転により消費して、車両Mのアンダステア状態が増大することを防止することができる。
また、走行路面との路面摩擦係数またはその相関値である横方向加速度Gyが示す路面摩擦係数が高いほど、外側の駆動輪Wfrへの制動力の付与を増大させることにより、走行路面の摩擦係数の大きさに応じて、車両Mのアンダステア状態が増大することを防止することができる。
また、路面摩擦係数の相関値として、車両の横方向の運動状態量である横方向加速度Gyを検出していることにより、通常、車両運動制御装置が搭載された車両Mに備えられている横加速度センサ28を用いて横方向加速度Gyを検出し、走行路面の摩擦係数の検出を横方向の運動状態量の検出で代用することで、容易に、走行路面の摩擦係数の大きさに応じて外側の駆動輪Wfrへの制動力の付与を増大させることができる。
また、変形実施形態においては、車両Mのアクセル操作量が大きいほど、外側の駆動輪Wfrへの制動力の付与を増大させることにより、エンジン11の駆動力の大きさに応じて、外側の駆動輪Wfrへの制動力の付与を増大させることができる。
<実施形態2>
図7に示した制御フローチャートに基づいて、実施形態2による、車両Mの旋回時における空転抑制制御の方法について、実施形態1の場合と異なる点のみについて説明する。図7に示したように、本実施形態による空転抑制制御の制御フローのうち、ステップS701乃至ステップS704については、実施形態1におけるステップS301乃至ステップS304の場合と全く同様である(図3示)。
図7に示したステップS704において、ヨーレイト偏差Δyが第1所定値Y1より大きいと判定された場合、実施形態1の場合と同様に、駆動輪Wfl,Wfrの空転抑制制御における制動条件の変更が行われる(ステップS705)。
その後、実施形態1の場合と同様に、変更された制動条件に基づいて空転抑制制御を実行し、駆動輪Wfl,Wfrへの制動力の付与が行われる(ステップS706)。その後、実施形態1の場合と同様のスピン・ドリフト抑制制御が実行され(ステップS707)、当該制御フローは終了する。
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
車両の加速旋回状態が検出され、かつ、車両のアンダステア状態が検出されることにより本発明が実行される場合、エンジントラクション制御を併用してもかまわない。
また、本発明を実施する場合に使用可能なブレーキアクチュエータは、図2に示した構成に限られるものではなく、ブレーキバイワイヤタイプのもの、あるいはその他の構成のものであってもよい。
また、車両の加速旋回状態が検出され、かつ、車両のアンダステア状態が検出された場合に、旋回内側の駆動輪への制動力の付与を抑制する手段として、ホイールシリンダ液圧を低下させて、内側の駆動輪への制動力自体を減少させたり、内側の駆動輪に対する制動動作の頻度を低減させたりして、内側の駆動輪の空転を許容してもよい。また、さらに、これらを組み合わせて実行してもよい。
また、車両の加速旋回状態が検出され、かつ、車両のアンダステア状態が検出された場合に、旋回外側の駆動輪への制動力の付与を増大させる手段として、ホイールシリンダ液圧を増大させて、外側の駆動輪への制動力自体を増大させたり、外側の駆動輪に対する制動動作の頻度を増加させたりして、外側の駆動輪から走行路面への駆動力の伝達を低減してもよい。また、さらに、これらを組み合わせて実行してもよい。
また、車両の走行路面の摩擦係数を検出する場合、車輪速度と車両の推定車体速度とから検出する方法、あるいはその他の方法により検出してもよい。
また、スロットルバルブセンサまたはエンジンの吸気側に設けられたエアフローメータ等の検出信号に基づいて、車両のアクセル操作量を検出してもよい。
また、車両の加速旋回状態が検出され、かつ、車両のアンダステア状態が検出された場合に、旋回外側の駆動輪へ付与する制動力を増大させることは、必ずしも必要ではなく、車両速度および走行路面の状態等に応じて、適宜、行えばよい。
また、車両の横方向加速度に代えて、横方向速度または横方向加速度の時間変化が大きいほど旋回内側の駆動輪についての空転量の閾値を増大させ、横方向速度または横方向加速度の時間変化が大きいほど旋回外側の駆動輪についての空転量の閾値を減少させてもよい。
上述した実施形態においては、路面摩擦係数の相関値として、横方向加速度Gyを例示したが、当該相関値はこれに限られず、車両Mの各駆動輪Wfl,Wfrへの荷重等であってもよい。車両Mの各駆動輪Wfl,Wfrへの荷重を検出する手段としては、荷重センサやハイトセンサ等を採用することができる。
また、実施形態1において開示したような、車両の横方向加速度が大きいほど、内側の駆動輪の空転を許容し、外側の駆動輪への制動力の付与を増大させる制御方法と、変形実施形態において開示したような、アクセル操作量が大きいほど、内側の駆動輪の空転を許容し、外側の駆動輪への制動力の付与を増大させる制御方法とを重畳的に実行してもよい。
図面中、16はアクセルペダル、16aはアクセル操作量センサ(アクセル操作量検出手段)、18aはステアリング角度センサ、25はブレーキアクチュエータ(駆動輪制動手段)、26はブレーキ制御ECU(駆動輪制動変更手段)、27はヨーレイトセンサ、28は横加速度センサ(摩擦係数検出手段、横方向運動状態量検出手段)、Mは車両、Sfl〜Srrは車輪速センサ、Wflは前左輪(駆動輪)、Wfrは前右輪(駆動輪)、Wrlは後左輪、Wrrは後右輪を示している。

Claims (8)

  1. 車両の駆動輪に制動力を付与して、前記駆動輪の空転を抑制する駆動輪制動手段を備えた車両運動制御装置において、
    前記車両の加速旋回状態を検出する加速旋回検出手段と、
    前記車両のアンダステア状態を検出するアンダステア検出手段と、
    前記加速旋回検出手段により前記車両の加速旋回状態が検出され、かつ、前記アンダステア検出手段により前記車両のアンダステア状態が検出された場合に、前記駆動輪制動手段による、前記車両の旋回内側にある前記駆動輪への制動力の付与を抑制し、前記内側の駆動輪の空転を許容する駆動輪制動変更手段と、
    を備えたことを特徴とする車両運動制御装置。
  2. 前記車両の走行路面との路面摩擦係数またはその相関値を検出する摩擦係数検出手段を備え、
    前記駆動輪制動変更手段は、
    前記摩擦係数検出手段により検出された前記路面摩擦係数またはその相関値が示す路面摩擦係数が高いほど、前記車両の旋回内側にある前記駆動輪への制動力の付与を抑制し、前記内側の駆動輪の空転を許容することを特徴とする請求項1記載の車両運動制御装置。
  3. 前記摩擦係数検出手段は、
    前記路面摩擦係数の相関値として、前記車両の横方向の運動状態量を検出することを特徴とする請求項2記載の車両運動制御装置。
  4. 前記車両のアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、
    前記駆動輪制動変更手段は、
    前記アクセル操作量検出手段により検出された前記車両のアクセル操作量が大きいほど、前記車両の旋回内側にある前記駆動輪への制動力の付与を抑制し、前記内側の駆動輪の空転を許容することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両運動制御装置。
  5. 前記駆動輪制動変更手段は、
    前記加速旋回検出手段により前記車両の加速旋回状態が検出され、かつ、前記アンダステア検出手段により前記車両のアンダステア状態が検出された場合に、前記駆動輪制動手段による、前記車両の旋回外側にある前記駆動輪への制動力の付与を増大させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両運動制御装置。
  6. 前記車両の走行路面との路面摩擦係数またはその相関値を検出する摩擦係数検出手段を備え、
    前記駆動輪制動変更手段は、
    前記摩擦係数検出手段により検出された前記路面摩擦係数またはその相関値が示す路面摩擦係数が高いほど、前記外側の駆動輪への制動力の付与を増大させることを特徴とする請求項5記載の車両運動制御装置。
  7. 前記摩擦係数検出手段は、
    前記路面摩擦係数の相関値として、前記車両の横方向の運動状態量を検出することを特徴とする請求項6記載の車両運動制御装置。
  8. 前記車両のアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、
    前記駆動輪制動変更手段は、
    前記アクセル操作量検出手段により検出された前記車両のアクセル操作量が大きいほど、前記外側の駆動輪への制動力の付与を増大させることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の車両運動制御装置。
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