JP2007291909A - 車両走行制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の加速性能を損なうことなく車両挙動を安定化することが可能な車両走行制御装置を提供する。
【解決手段】車両走行制御装置1は、車両の挙動を安定化するために制動力および駆動力のうちの少なくとも一方を制御する制駆動力制御手段13bと、車両における前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を制御する駆動力配分制御手段13aとを備えている。車両走行制御装置1では、駆動力配分制御手段13aによる制御を制駆動力制御手段13cによる制御より優先して車両に作用させることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】車両走行制御装置1は、車両の挙動を安定化するために制動力および駆動力のうちの少なくとも一方を制御する制駆動力制御手段13bと、車両における前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を制御する駆動力配分制御手段13aとを備えている。車両走行制御装置1では、駆動力配分制御手段13aによる制御を制駆動力制御手段13cによる制御より優先して車両に作用させることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の制駆動力制御と4輪の駆動力配分制御とを行う車両走行制御装置に関するものである。
車両には、車両挙動安定化装置と4輪駆動装置とを搭載しているものがある。車両挙動安定化装置では、車両挙動を安定化するために、制動力および駆動力(例えばエンジン出力)のうちの少なくとも一方を制御する。4輪駆動装置では、4輪駆動車における前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を制御する。特許文献1に記載の車両の挙動制御装置では、車両の旋回限界が検出されたときに制動力制御を行うと共に4輪駆動から2輪駆動に切り換え、旋回中の車両挙動を安定化する。
特開平9−20217号公報
しかしながら、特許文献1に記載の車両の挙動制御装置では、運転者が旋回時に加速操作している場合でも、介入ブレーキと2輪駆動への切り換えによって、旋回中の車両の加速性能が低下する。そのため、運転者は違和感を受ける。
そこで、本発明は、車両の加速性能を損なうことなく車両挙動を安定化することが可能な車両走行制御装置を提供することを目的としている。
本発明の車両走行制御装置は、車両の挙動を安定化するために制動力および駆動力のうちの少なくとも一方を制御する制駆動力制御手段と、車両における前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を制御する駆動力配分制御手段とを備え、駆動力配分制御手段による制御を制駆動力制御手段による制御より優先することを特徴とする。
この車両走行制御装置では、旋回中などに、駆動力配分制御手段による制御が制駆動力制御手段による制御より優先するので、制駆動力制御手段による制動力増加および駆動力低減のうちの少なくとも一方を抑制することができ、車両の加速性能の低下を抑制することができる。更に、優先した駆動力配分制御手段では、駆動力配分制御により前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を最適制御するので、車両に対する横力を確保できる余裕ができ、車両挙動の安定性を得ることができると共に4輪駆動による加速性能を確保することができる。したがって、この車両走行制御装置によれば、車両の加速性能を損なうことなく車両挙動を安定化することが可能となる。なお、駆動力配分制御手段による制御を制駆動力制御手段による制御より優先する手法としては、例えば、駆動力配分制御手段が制駆動力制御手段より先に制御開始する手法や、制駆動力制御手段の制御量を通常より小さくする手法がある。
本発明の上記車両走行制御装置では、駆動力配分制御手段による制御開始後から所定時間経過後に、制駆動力制御手段による制御を許可する許可手段を備えていてもよい。
この車両走行制御装置では、許可手段によって、制駆動力制御手段による制御が駆動力配分制御手段による制御より所定時間遅れて開始(すなわち、駆動力配分制御手段による制御が制駆動力制御手段による制御より所定時間優先して車両に作用)するので、先に、駆動力配分制御により加速性能の確保と車両挙動安定化を図ることができる。なお、所定時間は、駆動力配分制御により加速性能と車両挙動安定化を十分に確保することができる時間とする。
特に、本発明の上記車両走行制御装置では、旋回加速中または加速旋回中に駆動力配分制御手段による制御を行っている場合、駆動力配分制御手段による制御開始後から所定時間経過後に、制駆動力制御手段による制御が許可されることが好ましい。
この車両走行制御装置では、旋回加速中または加速旋回中に、上記のように、先に、駆動力配分制御により加速性能の確保と車両挙動安定化を図ることができる。そのため、運転者は、旋回時に、加速操作に応じた加速感を得ることができる。なお、旋回加速とは車両が旋回中に加速することであり、加速旋回とは車両が加速した後に旋回することである。
また、本発明の上記車両走行制御装置では、駆動力配分制御手段は、後輪の駆動力を小さくすると共に前輪の駆動力を大きくするように作動することが好ましい。
この車両走行制御装置では、駆動力配分制御手段が後輪の駆動力を小さくすると共に前輪の駆動力を大きくするように制御するので、駆動力を後輪側から前輪側に移すことができる。その結果、後輪側の駆動力低下により、横力を確保できる余裕ができ、車両挙動の安定化を図ることができる。また、最適な駆動配分により、加速性能も得ることができる。
本発明によれば、車両の加速性能を損なうことなく車両挙動を安定化することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、車両挙動を安定化する車両挙動安定化装置と4輪駆動装置とからなる走行制御装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る走行制御装置を示す図である。図1に示す走行制御装置1は、車輪速センサ2、ヨーレートセンサ3、舵角センサ4、横Gセンサ5、前後Gセンサ6、ブレーキ油圧センサ7、アクセルセンサ8、クランク角センサ9、油圧クラッチ10、ブレーキアクチュエータ11、エンジンECU12およびECU13を備えている。なお、図1には、走行制御装置1と共に車両20も示されている。
車輪速センサ2は、車両20における4つの車輪21,22,23,24に備えられ、車輪の回転速度を検出するセンサである。車輪速センサ2では、検出した車輪の回転速度を車輪速信号としてECU13へ送信する。
ヨーレートセンサ3は、車両20のヨーレートを検出するセンサである。ヨーレートセンサ3では、検出したヨーレートをヨーレート信号としてECU13へ送信する。
舵角センサ4は、車両20の舵角を検出するセンサである。例えば、舵角センサ4は、ステアリングシャフトの回転角(操舵角)を検出することによって車両の舵角を検出する。舵角センサ4では、検出した舵角を舵角信号としてECU13へ送信する。
横Gセンサ5は、車両20における横方向の加速度を検出するセンサである。横Gセンサ5では、検出した横加速度(横G)を横G信号としてECU13へ送信する。
前後Gセンサ6は、車両20における前後方向の加速度を検出するセンサである。前後Gセンサ6では、検出した前後加速度(前後G)を前後G信号としてECU13へ送信する。
ブレーキ油圧センサ7は、車両20における各車輪のブレーキ25,26,27,28に備えられ、ホイールシリンダのブレーキ油圧を検出するセンサである。ブレーキ油圧センサ7では、検出したブレーキ油圧をブレーキ油圧信号としてECU13に送信する。
アクセルセンサ8は、運転者によるアクセルペダルの操作量を検出するセンサである。アクセルセンサ8では、検出したアクセル操作量をアクセル信号としてエンジンECU12へ送信する。
クランク角センサ9は、車両20におけるエンジン30によって回転駆動されるクランク軸の回転角を検出するセンサである。クランク角センサ9では、検出したクランク軸の回転角をクランク角信号としてエンジンECU12へ送信する。
油圧クラッチ10は、車両20におけるセンターデフ29に並列に設けられており、ECU13からの指令に従い、センターデフ29における前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を変更する。具体的には、油圧クラッチ10は、ECU13から駆動力配分制御信号を受信し、駆動力配分制御信号に示されるクラッチ油圧Pcを発生する。これによって、油圧クラッチ10は、センターデフ29における前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を設定する。
ブレーキアクチュエータ11は、車両20における各車輪のブレーキ25,26,27,28に対して備えられており、ECU13からの指令に従って、各車輪のブレーキ25,26,27,28の制動力を制御する。具体的には、ブレーキアクチュエータ11は、ECU13から制動力制御信号を受信して、ブレーキ油圧を制動力制御信号に示される目標ブレーキ加圧量分加圧する。
エンジンECU12は、演算を行うCPU(CentralProcessing Unit)、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算結果などの各種データを記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成されている。
エンジンECU12では、通常、アクセルセンサ8によるアクセル操作量およびクランク角センサ9によるクランク軸の回転角に応じて、エンジントルク操作量(すなわち、車両20の駆動力)をエンジン30に発生させる。また、エンジンECU12では、現在のエンジントルクを示すエンジントルク信号をECU13へ送信する。
また、エンジンECU12では、ECU13から駆動力制御信号を受けている場合には、エンジントルクを駆動力制御信号に示される目標エンジントルク低減量分低減させる。
ECU13は、演算を行うCPU、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを記憶するRAMなどから構成され、4輪駆動装置と車両挙動安定化装置を統括制御する。このような構成により、ECU13には、4輪駆動制御部13a、車両挙動安定化制御部13bおよび4輪駆動優先処理部13cが構築されている。なお、本実施形態では、4輪駆動制御部13aが特許請求の範囲に記載の駆動力配分制御手段に相当し、車両挙動安定化制御部13bが特許請求の範囲に記載の制駆動力制御手段に相当し、4輪駆動優先処理部13cが特許請求の範囲に記載の許可手段に相当する。
4輪駆動制御部13aでは、車両20における前輪21,22の駆動力と後輪23,24の駆動力との配分比を制御する。具体的には、4輪駆動制御部13aでは、下式(1)を用い、各車輪の車輪速センサ2からの車輪速に基づいて、右前輪21の車輪速度と左前輪22の車輪速度との平均値Fωから右後輪23の車輪速度と左後輪24の車輪速度との平均値Rωを差し引いた値の絶対値を車輪速度差Δωとして求める。
Δω=|Fω−Rω|・・・(1)
Δω=|Fω−Rω|・・・(1)
ここで、4輪駆動制御部13aには、車輪速度差Δωと各車輪速度差Δωに対応する適切なクラッチ油圧Pcとが設定されたマップが記憶されている。このマップは、実験やシミュレーションによって予め設定されたものであり、各車輪速度差Δωの時に、センターデフ29における前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比が最適になるように、油圧クラッチ10のクラッチ油圧Pcが設定されている。
4輪駆動制御部13aでは、上記(1)式から求めた車輪速度差Δωに対応のクラッチ油圧Pcをこのマップから求める。更に、4輪駆動制御部13aでは、ヨーレートセンサ3からのヨーレートおよび舵角センサ4からの舵角に基づいて、車輪速度差Δωに対応のクラッチ油圧Pc(センターデフ29の配分比)を補正する。これによって、旋回半径に応じて、すなわち横力に応じて配分を変えることによって、車両挙動を安定にすることができる。そして、4輪駆動制御部13aでは、求めたクラッチ油圧Pcを駆動力配分制御信号として油圧クラッチ10に送信する。これによって、4輪駆動制御部13aでは、センターデフ29における前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を油圧クラッチ10に設定させる。
例えば、4輪駆動制御部13aでは、車輪速度差Δωが0のときには初期状態として前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を30:70に定め、車輪速度差Δωが大きくなると後輪の駆動力を小さく定めると共に前輪の駆動力を大きく定める。そして、4輪駆動制御部13aでは、車輪速度差Δωが所定値以上となった場合には前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を50:50(デフロック状態)に定める。
このように、4輪駆動制御部13aでは、所定の大きさの車輪速度差Δω(すなわち、後輪23,24のスリップ)を検出した場合には、後輪23,24の駆動力を小さくすると共に前輪21,22の駆動力を大きくするように制御するので、駆動力が後輪から前輪に移る。これによって、後輪の駆動力が低減し、横力に対する余裕を確保することができ、車両挙動の安定化を図ることができる。そのために、旋回中の車両20のスピンまたはドリフトアウトを抑制することができる。また、4輪駆動制御部13aでは、最適な駆動力配分により加速性能を得ることができる。
なお、スピンとは、旋回中に車両20が旋回方向に旋回し過ぎる状態となることであり、ドリフトアウトとは、旋回中に車両20が旋回方向に旋回しきれない状態となることである。
車両挙動安定化制御部13bでは、制動力および駆動力のうちの少なくとも一方を制御することによって、車両挙動を安定化する。具体的には、車両挙動安定化制御部13bでは、車両20のスピン量およびドリフトアウト量を検出し、検出したスピン量またはドリフトアウト量に応じて車両20の制動力および駆動力を制御する。
車両挙動安定化制御部13bでは、車輪速センサ2による車輪速、ヨーレートセンサ3によるヨーレート、舵角センサ4による舵角、横Gセンサ5による横加速度および前後Gセンサ6による前後加速度に基づいて、車両20のスピン量を演算する。車両挙動安定化制御部13bでは、演算したスピン量がスピン閾値以上となった場合に、目標ブレーキ加圧量を設定すると共に、目標エンジントルク低減量を設定する。車両挙動安定化制御部13bでは、目標ブレーキ加圧量を制動力制御信号として内側前輪のブレーキアクチュエータ11へ送信し、目標エンジントルク低減量を駆動力制御信号としてエンジンECU12へ送信する。
また、車両挙動安定化制御部13bでは、車輪速センサ2による車輪速、ヨーレートセンサ3によるヨーレート、舵角センサ4による舵角、横Gセンサ5による横加速度および前後Gセンサ6による前後加速度に基づいて、ドリフトアウト量を算出する。車両挙動安定化制御部13bでは、演算したドリフトアウト量がドリフトアウト閾値以上となった場合に、目標ブレーキ加圧量を設定すると共に、目標エンジントルク低減量を設定する。車両挙動安定化制御部13bでは、目標ブレーキ加圧量を制動力制御信号として内側前輪、外側前輪および外側後輪のブレーキアクチュエータ11へ送信し、目標エンジントルク低減量を駆動力制御信号としてエンジンECU12へ送信する。なお、スピン閾値およびドリフトアウト閾値は、実験やシミュレーションなどによって予め設定されればよい。
車両挙動安定化制御部13bでは、制動力制御を行う場合、ブレーキ油圧センサ7によるブレーキ油圧に基づいて、ブレーキアクチュエータ11によるブレーキ加圧量が目標ブレーキ加圧量となるようにフィードバック制御する。また、車両挙動安定化制御部13bでは、駆動力制御を行う場合、エンジンECU12からのエンジントルク情報に基づいて、エンジンECU12によるエンジントルク低減量が目標エンジントルク低減量となるようにフィードバック制御する。
なお、車両挙動安定化制御部13bによる車両挙動安定化制御は、車両20が直進走行している場合には作動せず、車両20が旋回走行している場合に作動する。
4輪駆動優先処理部13cでは、4輪駆動制御部13aによる制御が開始してから所定時間T0経過後に、車両挙動安定化制御部13bによる制御開始を許可する。具体的には、4輪駆動優先処理部13cでは、4輪駆動制御部13aによる制御が開始しているか否かを判定し、4輪駆動制御部13aによる制御開始後、油圧クラッチ10のクラッチ油圧Pcが油圧閾値P0以上となった場合に、経過時間Tstのカウントを開始する。4輪駆動優先処理部13cでは、この経過時間Tstが所定時間T0以上となった場合に、車両挙動安定化制御部13bによる制御開始を許可する。
油圧閾値P0は、4輪駆動制御部13aによる制御が開始されていることが判定できる程度の値に設定されればよく、例えば、前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比の初期状態が30:70であれば、配分比が35:65程度になるようなクラッチ油圧値に設定されればよい。油圧閾値P0は、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。なお、油圧閾値P0は、車両20の速度に応じた値としてもよい。例えば、油圧閾値P0は、車両20の速度が大きくなるにつれて大きい値に変更される。
所定時間T0は、駆動力配分制御により加速性能と車両挙動安定化を十分に確保することができる時間とする。所定時間T0は、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。なお、所定時間T0は、車両20の速度に応じた値としてもよい。例えば、所定時間T0は、車両20の速度が大きくなるにつれて小さい値に変更される。
このようにして、車両挙動安定化制御部13bによる制御が4輪駆動制御部13aによる制御開始から所定時間T0遅れることによって、4輪駆動制御部13aによる制御が車両挙動安定化制御部13bによる制御より優先して車両20に作用することとなる。
次に、図1を参照し、走行制御装置1の動作を説明する。特にECU13における動作については、図2のフローチャートに沿って説明する。図2は、図1に示すECUの処理の流れを示すフローチャートである。
各車輪速センサ2では、車輪速を検出して車輪速信号をECU13へ送信する。ヨーレートセンサ3では、ヨーレートを検出してヨーレート信号をECU13へ送信する。舵角センサ4では、舵角を検出して舵角信号をECU13へ送信する。横Gセンサ5では、横加速度を検出して横G信号をECU13へ送信する。前後Gセンサ6では、前後加速度を検出して前後G信号をECU13へ送信する。各ブレーキ油圧センサ7では、ブレーキ油圧を検出してブレーキ油圧信号をECU13へ送信する。アクセルセンサ8では、アクセル操作を検出してアクセル信号をエンジンECU12へ送信する。クランク角センサ9では、クランク軸の回転角を検出してクランク角信号をエンジンECU12へ送信する。
ECU13では、各車輪の車速、ヨーレートおよび舵角に基づいて、センターデフ29における前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分を定めるためのクラッチ油圧Pcを求め、そのクラッチ油圧Pcを示す駆動力配分制御信号を油圧クラッチ10へ送信する。クラッチ油圧Pcが定常状態より加圧されている場合、油圧クラッチ10では、駆動力配分制御信号に示されているクラッチ油圧Pcを発生させる。すると、前輪の駆動力と後輪の駆動力とがそのクラッチ油圧Pcに応じた配分比になり、後輪の駆動力が前輪に移る。
ECU13では、4輪駆動制御が開始されたか否か(すなわち、クラッチ油圧Pcが定常状態より加圧されたか否か)を判定する(ステップS1)。
ステップS1において4輪駆動制御が開始されていないと判断した場合、ECU13ではステップS1の判定動作が繰り返される。一方、ステップS1において4輪駆動制御が開始されたと判断した場合には、ECU13では、クラッチ油圧Pcが油圧閾値P0以上であるか否かを判定する(ステップS2)。
次いで、ステップS2においてクラッチ油圧Pcが油圧閾値P0未満であると判断した場合、ECU13ではステップS1の処理へ戻る。一方、ステップS2においてクラッチ油圧Pcが油圧閾値P0以上であると判断した場合には、ECU13では、経過時間Tstのカウントを開始する(ステップS3)。
次いで、ECU13では、経過時間Tstが所定時間T0以上であるか否かを判定する(ステップS4)。
次いで、ステップS4において経過時間Tstが所定時間T0未満であると判断した場合、ECU13ではステップS3の処理へ戻る。一方、ステップS4において経過時間Tstが所定時間T0以上であると判断した場合には、ECU13では、車両挙動安定化制御を許可する(ステップS5)。また、ECU13では、経過時間Tstをクリアする(ステップS6)。
このように、ECU13では、4輪駆動制御が車両挙動安定化制御より所定時間T0優先して車両20に作用する。したがって、例えば、車両20が旋回加速中または加速旋回中であっても、ECU13では、4輪駆動制御が先に作動する。この最適な駆動力配分により、車両挙動の安定化を図ると共に加速性能を所定時間T0確保することができる。
次いで、ECU13では、車両挙動安定化制御の開始条件が成立したか否かを判定する。具体的には、ECU13では、車輪速、ヨーレート、舵角、横加速度および前後加速度に基づいて、車両20のスピン量およびドリフトアウト量を演算し、スピン量がスピン閾値以上であるか否かおよびドリフトアウト量がドリフトアウト閾値以上であるか否かを判定する(ステップS7)。
次いで、ステップS7においてスピン量がスピン閾値未満であると判定した場合およびドリフトアウト量がドリフトアウト閾値未満であると判定した場合、ECU13ではステップS1の処理に戻る。一方、ステップS7においてスピン量がスピン閾値以上であると判定した場合またはドリフトアウト量がドリフトアウト閾値以上であると判定した場合には、ECU13では、車両挙動安定化制御を開始する(ステップS8)。なお、車両挙動安定化制御が作動するのは、車両20が旋回中のときである。
ECU13では、スピン量がスピン閾値以上であると判定した場合には、目標ブレーキ加圧量を設定すると共に、目標エンジントルク低減量を設定する。ECU13では、目標ブレーキ加圧量を制動力制御信号として内側前輪のブレーキアクチュエータ11へ送信すると共に、ブレーキ油圧に基づいてブレーキアクチュエータ11によるブレーキ加圧量が目標ブレーキ加圧量となるようにフィードバック制御する。また、ECU13では、目標エンジントルク低減量を駆動力制御信号としてエンジンECU12へ送信すると共に、エンジントルク情報に基づいてエンジンECU12によるエンジントルク低減量が目標エンジントルク低減量となるようにフィードバック制御する。
すると、ブレーキアクチュエータ11では、制動力制御信号に示される目標ブレーキ加圧量分を内側前輪ブレーキのホイールシリンダで加圧する。また、エンジンECU12では、駆動力制御信号に示される目標エンジントルク低減量分を低減させる。これによって、車両20の進行方向が、道路の内側に向けた方向から道路に沿った方向に戻され、車両挙動が安定化される。
一方、ECU13では、ドリフトアウト量がドリフトアウト閾値以上であると判定した場合には、目標ブレーキ加圧量を設定すると共に、目標エンジントルク低減量を設定する。ECU13では、目標ブレーキ加圧量を制動力制御信号として内側前輪、外側前輪および外側後輪のブレーキアクチュエータ11へ送信すると共に、ブレーキ油圧に基づいてブレーキアクチュエータ11によるブレーキ加圧量が目標ブレーキ加圧量となるようにフィードバック制御する。また、ECU13では、目標エンジントルク低減量を駆動力制御信号としてエンジンECU12へ送信すると共に、エンジントルク情報に基づいてエンジンECU12によるエンジントルク低減量が目標エンジントルク低減量となるようにフィードバック制御する。
すると、ブレーキアクチュエータ11では、制動力制御信号に示される目標ブレーキ加圧量分を内側前輪、外側前輪および外側後輪のブレーキのホールシリンダで加圧する。また、エンジンECU12では、駆動力制御信号に示される目標
エンジントルク低減量分を低減させる。これによって、車両20の進行方向が、道路の外側に向けた方向から道路に沿った方向に戻され、車両挙動が安定化される。
エンジントルク低減量分を低減させる。これによって、車両20の進行方向が、道路の外側に向けた方向から道路に沿った方向に戻され、車両挙動が安定化される。
次いで、ECU13では、車両挙動安定化制御の終了条件が成立したか否かを判定する。具体的には、ECU13では、スピン量がスピン閾値未満であるか否かおよびドリフトアウト量がドリフトアウト閾値未満であるか否かを判定する(ステップS9)。
次いで、ステップS9においてスピン量がスピン閾値以上であると判定した場合またはドリフトアウト量がドリフトアウト閾値以上であると判定した場合、ECU13ではステップS9の処理へ戻る。すなわち、ECU13では、車両挙動安定化制御を継続する。一方、ステップS9においてスピン量がスピン閾値未満であると判定した場合およびドリフトアウト量がドリフトアウト閾値未満であると判定した場合には、ECU13では、車両挙動安定化制御を終了する。
走行制御装置1によれば、旋回中などに、4輪駆動制御部13aによる制御を車両挙動安定化制御部13bによる制御より所定時間T0優先させるので、車両挙動の安定性を得ることができると共に4輪駆動による加速性能を確保することができる。したがって、走行制御装置1によれば、車両20の加速性能を損なうことなく車両挙動を安定化することが可能となる。
特に、走行制御装置1では、旋回加速中および加速旋回中でも、上記のように、駆動力配分制御により加速性能の確保と車両挙動安定化を図ることができる。そのため、旋回時に加速操作を行った場合、加速操作に応じた加速感を受けることができる。
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。
本実施形態の車両挙動安定化制御部13bでは車両挙動を安定化するために制動力を増加すると共に駆動力を低減したが、車両挙動安定化制御部は制動力を増加するだけで車両挙動を安定化してもよいし、駆動力を低減するだけで車両挙動を安定化してもよい。
本実施形態の4輪駆動優先処理部13cでは車両挙動安定化制御部13bによる制御を4輪駆動制御部13aによる制御より所定時間T0遅らすことによって4輪駆動制御を車両挙動安定化制御より時間的に優先させたが、車両挙動安定化制御の制御量を通常より低減することによって4輪駆動制御を車両挙動安定化制御より優先させてもよい。
1…走行制御装置、2…車輪速センサ、3…ヨーレートセンサ、4…舵角センサ、5…横Gセンサ、6…前後Gセンサ、7…ブレーキ油圧センサ、8…アクセルセンサ、9…クランク角センサ、10…油圧クラッチ、11…ブレーキアクチュエータ、12…エンジンECU、13…ECU、13a…4輪駆動制御部、13b…車両挙動安定化制御部、13c…4輪駆動優先処理部、20…車両、21〜24 車輪、25〜28…ブレーキ、29…センターデフ、30…エンジン。
Claims (4)
- 車両の挙動を安定化するために制動力および駆動力のうちの少なくとも一方を制御する制駆動力制御手段と、
車両における前輪の駆動力と後輪の駆動力との配分比を制御する駆動力配分制御手段と
を備え、
前記駆動力配分制御手段による制御を前記制駆動力制御手段による制御より優先することを特徴とする車両走行制御装置。 - 前記駆動力配分制御手段による制御開始後から所定時間経過後に、前記制駆動力制御手段による制御を許可する許可手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両走行制御装置。
- 旋回加速中または加速旋回中に前記駆動力配分制御手段による制御を行っている場合、前記駆動力配分制御手段による制御開始後から所定時間経過後に、前記制駆動力制御手段による制御が許可されることを特徴とする請求項2に記載の車両走行制御装置。
- 前記駆動力配分制御手段は、後輪の駆動力を小さくすると共に前輪の駆動力を大きくするように制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両走行制御装置。
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JP (1) | JP2007291909A (ja) |
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- 2006-04-24 JP JP2006119182A patent/JP2007291909A/ja active Pending
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