JP2011112991A - 成形体製造方法 - Google Patents

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康一郎 實藤
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Abstract

【課題】光重合性組成物層とフォトマスクが衝突することがない成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の成形体の製造方法は、2官能以上の多官能モノマー等と光重合開始剤とを含有する光重合性組成物1をスピンコータにより平滑基板2に塗布するステップと、組成物が塗布された面の上方に、該面の周縁部のみ不透光性部位を有する遮光板6を設置するステップと、周縁部以外に塗布された組成物に残存二重結合基量が40%〜70%となるように光を照射するステップと、基板を回転させ周縁部に塗布された組成物の厚みを周縁部以外に塗布された組成物の厚み以下に薄くするステップと、平行光を照射し組成物を重合硬化させマトリックスと一方向に配向されマトリックスの厚さに直交する面内で二次元配列された多数の柱状構造体とを備えた成形体を得るステップ、を備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、成形体製造方法に関し、詳細には、光学的ローパスフィルタ等に用いることができる回折、偏向、拡散等の光学特性を有する光学物品として使用される光学シートや光学フィルム等の成形体の製造方法に関する。
高分子材料は、選択できる種類が豊富であり、高分子材料を原料とした製品に多様な機能を付与できるため、近年、高分子材料を光学用途へ適用しようとする試みが盛んになされている。例えば、高分子材料で形成され一次元あるいは二次元の微細構造が内部に形成された成形体を、光制御素子や光回折素子として利用することが提案されている。
このような成形体として、フィルム形状を有し、柱状の島構造を有する構造体が、海構造の中で膜厚方向に延びている海島相分離構造をもつ成形体が知られている。このような海島相分離構造を有するフィルムは、光が柱状の島構造を有する構造体の軸線と平行に入射すると、構造体の配置に起因して回折スポットを与える。したがって、このようなフィルムは、入射光を特定の位置に所定の強度で回折させる光回折素子として利用することができる。
このようなフィルム状の成形体を製造する代表的な方法では、まず光重合性組成物を基板の薄膜形成面に均一な厚さで塗布し、紫外線等の活性エネルギー線の平行光を照射して,海島相分離構造を有するフィルム状の成形体を得る。または前記塗布した光重合性組成物の表面をフォトマスクで覆い,活性エネルギー線を照射する場合がある。このフォトマスクには、島構造を形成するための多数の孔が規則的に配置されている。次いで、このフォトマスクを介して光重合性組成物の表面に活性エネルギー線を照射する。次いで、フォトマスクを取り除いてさらに平行な活性エネルギー線を照射し、海島相分離構造を有するフィルム状の成形体を得る(特許文献1参照)。
このような方法において、光重合性組成物を基板の薄膜形成面に均一厚さに塗布する方法としては、スピンコート法が一般的に用いられる。スピンコート法は、液状の樹脂材料(光重合性組成物)を基板の薄膜形成面の中心付近に滴下し、スピンコータで基板を高速回転させることによって、薄膜形成面の滴下された樹脂材料を薄膜形成面の全面に均一に広げる塗布方法である。このスピンコート法は遠心力を利用して液状の樹脂材料を薄膜形成面上に均一に配置していくものである。しかし、回転塗布中に遠心力で基板の周縁部へ移動する原料が、基板周縁部との表面張力によって残留し、薄膜形成面(基板)の周縁部に樹脂材料(光重合性組成物)の盛り上がり部が形成されてしまう。
この樹脂盛り上がり部分の高さは、光重合性組成物の粘度や表面張力により異なるが,通常は幅が5mm〜10mm、高さが平均膜厚の2倍〜3倍程度になる。この樹脂の盛り上がりは最終的には除去されることが好ましい。
また、光重合性組成物の薄膜形成面への塗布後に、光重合性組成物の表面はフォトマスクで覆う場合には、フォトマスクと塗布された光重合性組成物の表面との距離、いわゆるワーキングディスタンスは、通常100μm程度にする必要がある。
このため、フォトマスクを光重合性組成物が塗布された基板の薄膜形成面上に配置すると、基板の薄膜形成面の周縁部で、フォトマスクが樹脂盛り上がり部に接触してしまうという問題がある。
このような樹脂盛り上がり部に関する問題に対処するため、樹脂盛り上がり部を遮光性マスクで覆った状態で光を照射して樹脂盛り上がり部以外の光重合性組成物を硬化させ、その後、基板を回転させて樹脂盛り上がり部の未硬化の光重合性組成物を遠心力で取除き、さらに、残った光重合性組成物に対して光を照射し硬化させる方法が提案されている(特許文献2)。
特開2008−134630号公報 特開平11−73691号公報
しかし、特許文献2に記載の方法は、光学的に均質な光透過層を形成するための方法であり、上述した海島相分離構造を有するフィルムを形成する場合には適当できない手法である。
即ち、引用文献2の方法では、樹脂盛り上がり部以外の光重合性組成物を硬化させる工程において光重合性組成物の重合反応を充分に行うもので、その後、光重合性組成物の表面に平行光を照射しても、所望の海島相分離構造を形成することが困難である。このため、引用文献2の方法は、海島相分離構造を有するフィルムを形成する場合には適当ではない。
この発明は、上述した事情に鑑み成されたものであり、光重合性組成物層とフォトマスクが衝突することがない成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、
成形体の製造方法であって、
2官能以上の多官能モノマーあるいはオリゴマーと光重合開始剤とを含有する光重合性組成物をスピンコータにより、平滑基板の薄膜形成面に塗布するステップと、
前記光重合性組成物が塗布された薄膜形成面の上方に、該薄膜形成面の周縁部のみ不透光性部位を有する遮光板を設置するステップと、
前記薄膜形成面の周縁部以外に塗布された前記光重合性組成物に、残存二重結合基量が40%〜70%となるように光を照射するステップと、
前記基板を回転させ、前記薄膜形成面の周縁部に塗布された光重合性組成物の厚みを、前記薄膜形成面の周縁部以外に塗布された光重合性組成物の厚み以下に薄くするステップと、
前記薄膜形成面に塗布された前記光重合性組成物に平行光を照射し前記光重合性組成物を重合硬化させ、シート状のマトリックスと該マトリックス内で一方向に配向され前記マトリックスの厚さに直交する面内で二次元配列された多数の柱状構造体とを備えた成形体を得るステップ、を備えている、
ことを特徴とする成形体製造方法が提供される。
このような構成によれば、薄膜形成面の周縁部以外に塗布された光重合性組成物が重合硬化した状態で、スピンコータを回転させて、薄膜形成面の周縁部に塗布されたの光重合性組成物を除去できるので、薄膜形成面の周縁部の樹脂盛り上がり部を確実に除去することが可能となる。
本発明の他の好ましい態様によれば、
フォトマスク越しに平行光を照射して前記光重合性組成物を重合硬化させた後、フォトマスクを取除した状態で平行光を照射して前記光重合性組成物を更に重合硬化させるステップをさらに備えている。
上記構成によれば、光重合性組成物層とフォトマスクが衝突することがない成形体の製造方法が提供される。
本発明の実施形態の成形体製造方法の工程を模式的に示す図面である。 本発明の実施形態の成形体製造方法の工程を模式的に示す図面である。 本発明の実施形態の成形体製造方法の工程を模式的に示す図面である。 本発明の実施形態の成形体製造方法の工程を模式的に示す図面である。 本発明の実施形態の成形体製造方法の工程を模式的に示す図面である。
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態の成形体の製造方法について説明する。図1ないし図4は、本発明の成形体製造方法の好ましい実施形態の各工程を模式的に示す図面である。
まず、光重合性組成物を、基板の平滑な表面(薄膜形成面)の中心に滴下し、図1に示すように、スピンコータ(図示せず)により矢印Aで示すように回転させ、薄膜形成面2aの中心に滴下された光重合性組成物1を、薄膜形成面2a上で均一の厚さに配置(塗布)していく。
基板2の形状は特に限定されるものではなく円形・矩形どちらの形状の基板も使用できるが、本実施形態では、円形の基板2を使用する。
基板2の周縁部以外では、光重合性組成物1の厚さが略均一な厚さとなるが、上述したように基板2の周縁部には、図2に示されているように、光重合性組成物1の厚さが、他の部分の2倍〜3倍程度である盛り上がり部4が、スピンコータの回転中に、基板2の周縁部(外縁から径方向内方に幅10mm程度の領域)に形成される。
本実施形態では、光重合性組成物1として、2官能以上の多官能モノマーあるいはオリゴマーと光重合開始剤とを含有するものが使用される。
2官能以上のモノマーを組成物に含ませることで、重合硬化の際、光重合性組成物の厚さ方向に垂直な面内で重合度(架橋密度)の粗密が生じやすくなる。重合度(架橋密度)が密な部分は疎な部分よりも屈折率が高くなる。このような屈折率の高低が出来ると、屈折率の高い部分が導波モードとなり、より多くの光がこの屈折率の高い部分を通ることになる。
このため、重合度(架橋密度)が密で屈折率が高くなった領域の下方では、光硬化性組成物の光反応は重合度(架橋密度)の粗密がより強調されて進行すると考えられる。このような現象によって、マトリックス内に、マトリックスと屈折率が異なる多数の柱状構造体が形成されると考えられる。
2官能以上の多官能モノマーとしては、例えば、分子内に2個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマーであれば、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等を含有するものが特に好ましい。
このような2官能以上の多官能モノマーの具体例としては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能のエポキシ(メタ)アクリレート、多官能のウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート等が挙げられ、これらを単独であるいは2種以上の混合物として使用することができる。
分子内に3個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する多官能性モノマーを用いると、重合度(架橋密度)の粗密がより大きくなりやすく、柱状構造体が形成されやすくなる。
特に好ましい3個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する多官能性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能のエポキシ(メタ)アクリレート、多官能のウレタン(メタ)アクリレートがある。
光重合性組成物として2種以上の多官能モノマーあるいはオリゴマーを使用する場合には、それぞれの単独重合体の屈折率が異なるものを使用することが好ましく、その屈折率差が大きいものを組み合わせることがより好ましい。
回折、偏向、拡散などの機能を高効率で得られるようにする為には屈折率差を大きくとることが必要であり、その屈折率差が0.0001以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。
なお、3種以上の多官能モノマーあるいはオリゴマーを使用する場合は、それぞれの単独重合体の少なくともいずれか2つの屈折率差が上記範囲内となるようにすればよい。また、単独重合体の屈折率差が最も大きい2つのモノマーあるいはオリゴマーは、高効率な回折、偏向、拡散などの機能を得る為に、質量比で10:90ないし90:10の割合で用いることが好ましい。
本実施態様においては、光重合性組成物として、上記のような多官能モノマーあるいはオリゴマーとともに、分子内に1個の重合性炭素−炭素二重結合を有する単官能モノマーあるいはオリゴマーを使用してもよい。
このような単官能モノマーあるいはオリゴマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等を含有するものが特に好ましい。
単官能モノマーの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、フェニル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、p−ブロモベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;スチレン、p−クロロスチレン、ビニルアセテート、アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、ビニルナフタレン等のビニル化合物;エチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート等のアリル化合物等が挙げられる。
これら単官能モノマーあるいはオリゴマーは、成形体に柔軟性を付与するために用いられる。単官能モノマーあるいはオリゴマーの量は、多官能モノマーあるいはオリゴマーとの合計量のうち10ないし99質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは10ないし50質量%の範囲である。
また、光重合性組成物として、前記多官能モノマーあるいはオリゴマーと重合性炭素―炭素二重結合を持たない化合物を含む均一溶解混合物を用いることもできる。
重合性炭素―炭素二重結合を持たない化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ナイロン等のポリマー類、トルエン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランのような低分子化合物、有機ハロゲン化合物、有機ケイ素化合物、可塑剤、安定剤のような添加剤等が挙げられる。
これら重合性炭素―炭素二重結合を持たない化合物の使用量は、成形体を製造する際に光重合性組成物の粘度を低下させ取り扱い性を良くする為に用いられ、多官能モノマーあるいはオリゴマーとの合計量のうち1ないし99質量%の範囲とすることが好ましく、取り扱い性も良くしつつ規則的な配列を持った柱状構造体を形成させる為により好ましくは1ないし50質量%の範囲である。
本実施形態において、光重合性組成物に使用する光重合開始剤は、紫外線等の活性エネルギ線を照射して重合を行う通常の光重合で用いられるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、p-t−ブチルトリクロロアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)-ブタノン−1、ジベンゾスベロン等が挙げられる。
これら光重合開始剤の使用量は、その他の光重合性組成物の100重量部に対して0.001ないし10重量部の範囲とすることが好ましく、成形体の透明性を落とさないようにする為に0.01ないし5重量部とすることがより好ましい。
光重合性組成物1の塗布厚は、製造する成形体の厚さに応じて適宜選択されるが、1μmないし1000μmの範囲が好ましく、5μmないし500μmの範囲がより好ましい。
次いで、図3に示すように、薄膜形成面2aに塗布された光重合性組成物1の上方に、盛り上がり部4が形成されている基板2(薄膜形成面2a)の周縁部のみに不透光性部位を有する遮光板6を設置した状態で、光重合性組成物1が塗布されている基板2(薄膜形成面2a)に低エネルギー(数mJ/cm2〜数10mJ/cm2程度)の光(紫外線等の活性エネルギー線)Llを照射する。このとき、周縁部以外の領域で基板2(薄膜形成面2a)に塗布されている光重合性組成物1aは、該組成物中に残存している二重結合基量(以下「残存二重結合基量」)が、40%〜70%となるように光を照射することが重要である。残存二重結合基量を40%〜70%とすることで、周縁部に塗布された光重合性組成物の厚みを薄くする際に周辺部以外の厚みを保つことができ、且つ、光重合性組成物に平行光を照射した際に、マトリックス中に、マトリックスと十分な屈折率差を有する柱状構造体を形成することができる。
この光照射は、後述するフォトマスクを介した照射と同じ波長で、フォトマスクを介した照射の2〜8%程度の照射である。
ここで残存二重結合基量は、重合硬化前の光重合性組成物1a及び重合硬化後の光重合性組成物1aについて、フーリエ変換型赤外分光装置(サーモエレクトロン社 Nicolet Nexus FT−IR)を用いてATR法により赤外吸収スペクトルを測定し、得られた赤外吸収スペクトルを解析してカルボニル基に対する炭素二重結合基の強度比を算出することにより決定する。
次いで、遮光板6を外し、図4に示すように、基板2を例えばスピンコータにより回転させ、基板2(薄膜形成面2a)の周縁部の盛り上がり部4を形成する光重合性組成物を遠心力で除去する。この盛り上がり部4の光重合性組成物の除去は、盛り上がり部4が形成されていた部分の光重合性組成物1bの厚さが、基板中央部(周縁部以外の領域)の光重合性組成物1aの厚さ以下になるまで行われる。
一例として、光重合性組成物1の粘度が200mPa・sの場合、2000rpmの回転数で20秒回転させれば、盛り上がり部4が形成されていた周縁部の光重合性組成物1bの厚さを、中央部の光重合性組成物1aの厚み以下に薄くすることができる。
ここで、遮光板6の材料としては、紫外線等の活性エネルギー線を透過させないステンレス等の金属が適している。また、遮光板6の形状は、光重合性組成物の盛り上がり部4に紫外線等の活性エネルギー線が照射されないように光重合性組成物の盛り上がり部4を覆うドーナツ状形状とする。
例えば、基板2の径が150mmの場合、遮光板6の内径を130mm〜140mm、遮光板6の外径を150mm以上とする。また、遮光板6として、紫外線等の活性エネルギー線に対して透明な材料からなる基板の周縁部に、紫外線等の活性エネルギー線に対して不透明な材料の膜を形成した物を使用してもよい。
また、遮光板6の設置位置は、塗布された光重合性組成物1に接触しない範囲で、可能な限り基板2に接近させることが好ましい。
次いで、図5に示すように、基板2に塗布された光重合性組成物1上にフォトマスク8を配置する。本実施形態では、フォトマスク8には、マスク孔が三角格子パターンで規則的に配列されている。しかしながら、マスク孔は、上記配置に限定されず、他のパターン、例えば正方格子パターンで配列されていてもよい。
次いで、フォトマスク8を配置した状態で、波長半値全幅が100nm以下である紫外線等の活性エネルギー線等の平行光L2を、光源から光重合性組成物1に所定時間、照射し、光重合性組成物1を光重合によって硬化させる第1の光照射工程を実行する。なお、この第1の光照射工程は、光重合性組成物中に残存している二重結合基量(以下「残存二重結合基量」)が、40%〜70%となるまで行われる。
次いで、フォトマスクを取り外し、光源から紫外線等の活性エネルギー線をさらに、光重合性組成物に所定時間、照射する第2の光照射工程を実行する。
これらの工程により、多数の柱状構造体が、第1の光照射工程で使用されたフォトマスクのマスク孔に対応した規則性が高い配列パターンで形成され、柱状構造体以外の部分は、マトリックスとなる。このようにして製造された成形体は、80nm〜1000μmのオーダーで周期的に変化する屈折率を有する。
なお,第1の光照射工程は省略することも可能である。
照射する平行光L2は、柱状構造体を規則的に配列させるため、進行方向に直交する断面内での光強度分布が略一定であることが好ましい。
光源としては、例えば、点光源や棒状光源からの光をミラーやレンズ等により光強度分布が略一定(ハット型分布)の平行光としたもの、面発光半導体レーザー(VCSEL)等の面状光源等が好ましい。
照射する光の平行度としては、柱状構造体の規則的な配列を形成させる点から、ビーム広がり角が±0.03rad以下であるものが好ましく、±0.001rad以下の範囲のものがより好ましい。ここで、レーザー光線は平行度の点では好ましい光源であるが、その光強度分布がガウス型の分布を有しているため、適当なフィルタ等を用いて光強度分布を略一定にして使用することが好ましい。
成形体内における柱状構造体の配列の規則性を高くするには、成形体の膜厚方向に直交する平面内において重合反応を均一に進めることが好ましく、下記式1で与えられる照度分布の値が、2.0%以下であるものが好ましく、1.0%以下であるものがより好ましい。
照度分布=(最大値−最低値)/(最大値+最低値)×100・・・式1
また、柱状構造体の規則的な配列を得る為には照射光の波長幅が狭いこと好ましい。具体的には、半値全幅で、100nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましい。
本実施形態の製造方法により得られた成形体は、フォトマスク8に形成された孔のパターンに応じて、マトリックス中に、マトリックスと屈折率が異なる複数の構造体が一方向に配向しており、この配向方向と垂直な面内において構造体が一次元的または二次元的に規則性を有して配置されている。二次元的に規則性を有して配置される構造体としては、円柱状、楕円柱状、角柱状等のものが挙げられる。
中でも、円柱状構造体が、六方格子状あるいは正方格子状に配置されたものは、3軸あるいは2軸の回折パターンが発生し、一つの成形体において多軸の光分離ができることから、光学的ローパスフィルタ等の光学物品として好ましい。なお、六方格子とは、三角格子とハニカム格子を含むものである。
このような成形体において、その規則性は、より好ましくは二次までのパターンが得られるものであるが、偏向などのような用途によっては一次までの回折パターンのものでもよい。
このような回折パターンを有する成形体をCCD撮像素子などの光学的ローパスフィルタとして用いる場合には、CCD撮像素子の受光面に対する360度全方位の高空間周波数成分の信号に対しても光学的ローパス機能を発現するといった特徴を有する。また、視野角依存性フィルムなど偏向用途としての光学フィルムとしても使用できる。
本発明の前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
次に、本発明の実施例について説明する。なお残存二重結合基量の測定は以下に示す方法で行った。
(残存二重結合基量の測定)
重合硬化前の光重合性組成物及び重合硬化後の光重合性組成物について、フーリエ変換型赤外分光装置(サーモエレクトロン社 Nicolet Nexus FT−IR)を用いてATR法により赤外吸収スペクトルを測定する。得られた赤外吸収スペクトルを解析し、カルボニル基に対する炭素二重結合基の強度比を算出することにより決定する。
(実施例1)
新中村化学工業社製NKエステル14G:50質量部、新中村化学工業社製NKオリゴU−2PPA:25質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート:10質量部、フェノキシエチルアクリレート:15質量部からなる混合物に、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:0.6質量部を溶解させ光重合性組成物を得た。
光重合性組成物を100mm角のガラス基板に滴下し、スピンコータを用いて被覆した。次いで、光重合性組成物を被覆した直径100mmのガラス基板の上方に、内径60mm、外径105mmの遮光板を、遮光板の最下部と光重合性組成物との距離が1mmとなるように遮光板を設置した状態で、光重合性組成物を被覆したガラス基板に、窒素雰囲気下で30mJ/cm2の紫外線を照射した。
この光重合性組成物の残存二重結合基量は60%であった。その後、スピンコータを用いて、光重合性組成物で被覆したガラス基板を2000rpmの回転数で20秒回転させることによって、ガラス基板の端から20mmの領域に形成された前記光重合性組成物の盛り上がり部を薄くした。次いで、光重合性組成物を被覆したガラス基板上方200μmの位置に、4μmφの光透過域が8μmピッチで正方格子状に配列したフォトマスクを配置し、30mW/cm2で波長半値全幅が100nm以下であり光強度分布が略一定の紫外線の平行光を40秒間照射した。その後、フォトマスクを取り外し、更に30mW/cm2で波長半値全幅が100nm以下であり光強度分布が略一定の紫外線の平行光を40秒間照射して光重合性組成物を重合硬化することによって、シート状のマトリックスと該マトリックス内で一方向に配向され前記マトリックスの厚さに直交する面内で規則的に二次元配列された多数の柱状構造体とを備えた成形体を得た。
得られた成形体の中心部の厚さは80μmであり、端から20mmの領域の厚さは30μmであった。また、得られた成形体に、波長520nmのレーザー光を照射し、回折効率を評価したところ、中心部の回折効率は70%であった。
(実施例2)
窒素雰囲気下で40mJ/cm2の紫外線を照射することによって、不完全に重合硬化させた光重合性組成物の残存二重結合基量を50%とし、その他の条件は実施例1に準じて、シート状のマトリックスと該マトリックス内で一方向に配向され前記マトリックスの厚さに直交する面内で規則的に二次元配列された多数の柱状構造体とを備えた成形体を得た。
得られた成形体の中心部の厚さは80μmであり、端から20mmの領域の厚さは30μmであった。また、得られた成形体に、波長520nmのレーザー光を照射し、回折効率を評価したところ、中心部の回折効率は63%であった。
(比較例1)
窒素雰囲気下で600mJ/cm2の紫外線を照射することによって、不完全に重合硬化させた光重合性組成物の残存二重結合基量を20%とし、その他の条件は実施例1に準じて、シート状のマトリックスと該マトリックス内で一方向に配向され前記マトリックスの厚さに直交する面内で規則的に二次元配列された多数の柱状構造体とを備えた成形体を得た。
得られた成形体の中心部の厚さは80μmであり、端から20mmの領域の厚さは30μmであった。また、得られた成形体に、波長520nmのレーザー光を照射し、回折効率を評価したところ、マトリックスと柱状構造体との屈折率差が実施例と比較して小さいため,中心部の回折効率は26%であった。
(比較例2)
窒素雰囲気下で5mJ/cm2の紫外線を照射することによって、不完全に重合硬化させた光重合性組成物の残存二重結合基量を90%とし、その他の条件は実施例1に準じて、シート状のマトリックスと該マトリックス内で一方向に配向され前記マトリックスの厚さに直交する面内で規則的に二次元配列された多数の柱状構造体とを備えた成形体を得た。
得られた成形体の中心部の厚さは40μmであり、端から20mmの領域の厚さは30μmであった。また、得られた成形体に、波長520nmのレーザー光を照射し、回折効率を評価したところ、成型体中心部の厚さが実施例と比較して薄いため,中心部の回折効率は10%であった。
1:光重合性組成物
2:基板
4:盛り上がり部
6:遮光板
8:フォトマスク

Claims (2)

  1. 成形体の製造方法であって、
    2官能以上の多官能モノマーあるいはオリゴマーと光重合開始剤とを含有する光重合性組成物をスピンコータにより、平滑基板の薄膜形成面に塗布するステップと、
    前記光重合性組成物が塗布された薄膜形成面の上方に、該薄膜形成面の周縁部のみ不透光性部位を有する遮光板を設置するステップと、
    前記薄膜形成面の周縁部以外に塗布された前記光重合性組成物に、残存二重結合基量が40%〜70%となるように光を照射するステップと、
    前記基板を回転させ、前記薄膜形成面の周縁部に塗布された光重合性組成物の厚みを、前記薄膜形成面の周縁部以外に塗布された光重合性組成物の厚み以下に薄くするステップと、
    前記薄膜形成面に塗布された前記光重合性組成物に平行光を照射し前記光重合性組成物を重合硬化させ、シート状のマトリックスと該マトリックス内で一方向に配向され前記マトリックスの厚さに直交する面内で二次元配列された多数の柱状構造体とを備えた成形体を得るステップ、を備えている、
    ことを特徴とする成形体製造方法。
  2. フォトマスク越しに平行光を照射して前記光重合性組成物を重合硬化させた後、フォトマスクを取除した状態で平行光を照射して前記光重合性組成物を更に重合硬化させるステップをさらに備えている、
    請求項1に記載の成形体製造方法。
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