JP2009237570A - 成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境下においても、光学特性の低下が発生しない成形体及びこのような成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の成形体1は、炭素二重結合を含有する光重合性組成物を光重合硬化させて得られる成形体であって、平板状のマトリックス2と、マトリックス内に規則的に配列され、マトリックスとは異なる屈折率を有する多数の柱状構造体3とを備え、成形体に含有される炭素二重結合の量が、光重合性組成物に含有される炭素二重結合の量の25%未満であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は,成形体及びその製造方法に関し、詳細には、回折、偏光、拡散等の光学特性を有する光学部品として使用される光学シート、光学フィルム、光学的ローパスフィルタとして使用される成形体及びそのような成形体の製造方法に関する。
撮像素子におけるモアレの発生を抑制する光学的ローパスフィルタ等の成形体が従来から知られている。このような成形体としては、特許文献1に記載された成形体がある。
特許文献1に記載された成形体は、マトリックス内にマトリックスと屈折率が異なる構造体を規則的に配置することによって、高度な光制御が可能とされている成形体である。この成形体は、膜(シート)状に保持した光重合性組成物に、波長半値全幅が100nm以下の平行光を照射することによって製造されている。
特開2005−242340号公報
このような成形体を製造するために使用される光重合性組成物として、多官能モノマー又はオリゴマーを有する光重合性組成物が用いられる。しかし、この種の光重合性組成物を光重合させて形成された成形体は、前記硬化物中に多量の炭素二重結合(C=C)が含まれていることが分かった。
そして、このような炭素二重結合を多量に含む成形体でローパスフィルタを形成し、イメージセンサ等の固体撮像素子の受光面に配置した場合、前記成形体が高温に曝された結果、成形体中の炭素二重結合が重合反応を起こしてしまうことがあった。
また、前記成形体中に存在する炭素二重結合の濃度は、成形体の厚さ方向でむらが生じており、炭素二重結合の濃度が密な部分では温度上昇による重合反応がより多く生じることが分かった。よって炭素二重結合の濃度が低い部分と濃度が高い部分との間の屈折率差が低下し、高温環境下では、成形体の回折効率が低下してしまうという問題があった。よって、撮像素子におけるモアレの発生を抑制する効果が低減してしまう。
さらに、成形体中に炭素二重結合を多量に含んでいると、炭素−酸素結合が形成されやすくなり、炭素−酸素結合が基点となって共役二重結合を形成することで、黄変が生じやすくなる。よって成形体を光学部品として使用した場合に、均一性や色再現性が低下してしまうという問題があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、高温環境下においても回折効率が低下せず、黄変が生じにくい成形体及びこのような成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、
炭素二重結合を含有する光重合性組成物を光重合硬化させて得られる成形体であって、
平板状のマトリックスと、
前記マトリックス内に規則的に配列され、前記マトリックスとは異なる屈折率を有する多数の柱状構造体とを備え、
前記成形体に含有される炭素二重結合の量が、前記光重合性組成物に含有される炭素二重結合の量の25%未満であること、
を特徴とする成形体が提供される。
このような構成によれば、成形体に含まれる炭素二重結合の量が、原料である光重合性組成物中に含まれる炭素二重結合の量の25%未満となっているため、高温環境化において起こる炭素二重結合での重合反応量が少なく、光学性能、均一性、色再現性の低下が抑制される。
本発明の他の態様によれば、
光重合性組成物をシート状に配置するステップと、
前記光重合性組成物を加熱しながら、該シート状に配置された光重合組成物の厚さ方向と平行な光を該光重合性組成物に照射して該光重合性組成物を光重合させるステップとを備えていること、
を特徴とする成形体製造方法が提供される。
このような構成によれば、光重合性組成物が加熱されながら光重合するので、重合後の、成形体内の炭素二重結合の量を減少させることができる。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記所定温度が40℃以上である。
本発明によれば、高温環境下においても、回折効率が低下せず、黄変が生じにくい成形体及びこのような成形体の製造方法が提供される。
本発明の実施形態の成形体の構造を模式的を示す斜視図である。 本発明の実施形態の成形体内の柱状構造体の配列の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の成形体内の柱状構造体の配列の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の成形体内の柱状構造体の配列の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の成形体内の柱状構造体の配列の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の成形体内の柱状構造体の配列の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の成形体内の柱状構造体の配列の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の成形体の回折パターンの一例を模式的に示す図面である。 同成形体の回折パターンを測定する機器の位置関係を示す斜視図である。 (a)は、本発明の実施形態の成形体を製造する成形型の平面図を示し、(b)は、成形型の長手方向断面図を示す。 照度分布を測定する測定点を示す図である。 本発明の実施例で用いた超高圧水銀灯の発光スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態の成形体1の構造を模式的に示した斜視図である。図1に示すように成形体1は、フィルム状の透明なマトリックス2内に、マトリックス2とは屈折率が異なりマトリックス2の厚さと同じ長さを有する多数の柱状構造体3が配置された構造を備えている。マトリックス2の厚さとしては、特に限定されるものではないが、1μmないし1000μmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは5μmないし500μmの範囲である。マトリックス2と柱状構造体3との屈折率差は、0.0001以上となっている。
柱状構造体3は、平板状のマトリックス2の厚さ方向に延び、且つ厚さ方向に直交する面内において所定の2次元パターン(例えば格子状)となるように配置されている。
本実施形態では、成形体1の外形を決定するマトリックス2が、フィルム状の形状を有するものとして詳細な説明を行うが、本発明では、マトリックス2の形状は平板状であればよく、その用途に応じてシート状、薄膜状等に適宜変更される。
本実施形態では、柱状構造体3は、円柱状であるが、本発明では、楕円柱状、角柱状等の形状でもよい。各柱状構造体3は、直径(角柱の場合には、外接円の直径をいう。)、又は配列周期が80nm以上1000μm以下の範囲に設定されている。このような構成により成形体1は、80nm乃至1000μmのオーダーで周期的に屈折率が変化する構造となっている。
この柱状構造体の規則性は、基本並進ベクトルa、bで構成される二次元のブラベー格子で表され、単位格子が配向方向に直交する面内において、図2ないし図6に示されるような正方、六方、単純長方、面心長方、斜方の5種の格子のいずれかを形成するのが好ましい。
これら単位格子は、表1に示すベクトルaとbの大きさと、それらのなす角φによって表される。この内、柱状構造体3が、図7に示す六方格子状、又は正方格子状に配置された成形体は、3軸又は2軸の回折パターンを発生させる。そしてこのような成形体によれば、一つの成形体において多軸の光分離ができるため、好適な光学的ローパスフィルタ等の光学部品を得ることができる。
なお、六方格子とは、三角格子とハニカム格子を含むものである。本発明では、柱状構造体の配列は、多次回折パターンが得られるものであることが好ましいが、成形体を偏向等の用途に用いる場合には、図8に示すような一次回折パターンが得られる配列であればよい。
Figure 2009237570
成形体1は、多官能モノマー又はオリゴマーを含む光重合性組成物を、所定の型内に配置し、光を照射して光重合性組成物を重合硬化させることによって製造される。光重合性組成物は、多官能モノマー又はオリゴマー、及び重合開始剤を含んでいる。
多官能モノマー又はオリゴマーは、分子内に2個以上の炭素二重結合を有するモノマーであればどのようなものでもよく、好ましくは、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等を含有する。
多官能モノマーとしては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能のエポキシ(メタ)アクリレート、多官能のウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート等があり、これらを単独であるいは2種以上の混合物として使用することができる。
このような多官能モノマーを組成物中に有する光重合性組成物を用いることで、成形体1の厚さ方向に垂直な面内で重合度(架橋密度)の粗密が発現しやすくなる。特に、3官能以上の多官能モノマーを組成物中に含有させることにより、成形体1の膜厚方向に垂直な面内の重合度の粗密がより顕著となる。
そして、重合度が密な部分は疎な部分よりも屈折率が高くなり、得られた成形体1内で、屈折率の高い部分と低い部分が形成される。成形体1内部に屈折率の高い部分と、低い部分が形成されると、屈折率の高い部分が導波モードとなり、屈折率の低い部分と比較して多くの光が高屈折率部分を通る。これにより、重合度が密で屈折率が高くなった領域の下部での光重合性組成物の光反応は、重合度の粗密により強調されて進行し、マトリックス2内に屈折率が異なる複数の柱状構造体が形成される。
ここで、光重合性組成物中の多官能モノマーの配合比が高ければ、光重合性組成物中の炭素二重結合が十分に減少する前に光重合性組成物が硬化してしまい、成形体中に未反応の炭素二重結合が残存してしまう。多官能モノマーとして3官能以上の多官能モノマーを使用した場合は炭素二重結合の残存が顕著となる。
そして、この未反応の炭素二重結合が成形体1中に多量に残存すると、成形体1が高温環境下におかれたときに、成形体1内で炭素二重結合が重合反応を起こしてしまい、柱状構造体とマトリックスとの屈折率差が低減する。このため、多官能モノマー、特に3官能以上の多官能モノマーは、その配合比を50質量部以下に抑えることが好ましく、40質量部以下に抑えることがより好ましい。
さらに、光重合性組成物として2種類以上の多官能モノマー又はオリゴマーを使用することも可能である。この場合、それぞれの単独重合体としたときに互いに屈折率が異なるものを使用することにより、得られた成形体1の回折、偏向、拡散などの光学機能を向上させることができる。そして特に、屈折率差が大きいものを組み合わせることが好ましい。このとき、2種以上の多官能モノマー又はオリゴマーの組み合わせとしては、屈折率差が0.01以上であるものを組み合わせることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。
なお、3種以上の多官能モノマーあるいはオリゴマーを使用する場合は、それぞれの単独重合体の少なくともいずれか2つの屈折率差が上記範囲内となるようにすることがよい。また、単独重合体の屈折率差が最も大きい2つのモノマーあるいはオリゴマーは、回折、偏向、拡散などの光学機能を効率よく発現させることから、重量比で10:90〜90:10の割合で用いることが好ましい。
さらに、光重合性組成物として、前記多官能モノマー、又はオリゴマーとともに、分子内に1個の炭素二重結合を有する単官能モノマーあるいはオリゴマーを使用してもよい。
単官能モノマー又はオリゴマーとしては、このような単官能モノマーあるいはオリゴマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等を含有するものが特に好ましい。そして、単官能モノマーの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、フェニル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、p−ブロモベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;スチレン、p−クロロスチレン、ビニルアセテート、アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、ビニルナフタレン等のビニル化合物;エチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート等のアリル化合物等がある。
これら単官能モノマー又はオリゴマーの使用量は、成形体に付与する柔軟性に応じて調整され、多官能モノマーあるいはオリゴマーとの合計量のうち10〜99質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%の範囲がよい。
また、光重合性組成物として、多官能モノマー又はオリゴマーと炭素二重結合を持たない化合物を含む、均一溶解混合物を用いることもできる。
炭素二重結合を持たない化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ナイロン等のポリマー類、トルエン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランのような低分子化合物、有機ハロゲン化合物、有機ケイ素化合物、可塑剤、安定剤のような添加剤等が挙げられる。
これら炭素二重結合を持たない化合物は、成形体を製造する際の光重合性組成物の粘度を低下させ取り扱い性を良くするために使用される。そしてこれら化合物の量は、多官能モノマー又はオリゴマーとの合計量のうち1〜99質量%の範囲とすることが好ましい。さらに、規則的な配列を持った柱状構造体を効率的に形成させるためには、1〜50質量%の範囲とすることが好ましい。
本発明において、光重合性組成物に使用する光重合開始剤は、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合を行う通常の光重合で用いられるものであればどのような物質でもよい。
このような光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、p-t−ブチルトリクロロアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)-ブタノン−1、ジベンゾスベロン等がある。そして、これら光重合開始剤の使用量は、その他の光重合性組成物100重量部に対して0.001〜10重量部の範囲で使用することが好ましく、成形体の透明性を落とさないようにするためには0.01〜5重量部の範囲とすることがより好ましい。
図9に示されているように、本実施形態の成形体1にレーザー光源5からのレーザー光線6を照射すると、成形体1は、スクリーン6上に規則的に配置された柱状構造体3に基づく回折パターン7を生じさせる。
次に、成形体1の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態では、成形体1は、上述の光重合性組成物をシート状に配置し、この光重合性組成物を加熱しながら光重合性組成物に光を照射し光重合(硬化)させることによって製造される。
本実施形態の成形体1の製造方法では、矩形の窪みが形成された型本体10と、窪みを覆うカバー11とを備えている成形型(セル)9を使用する。先ず、光重合性組成物8を、図10に示すように、型本体10の窪み内に充填して成形型9(セル)内に配置する。次いで、カバー11を窪み上に配置して、光重合性組成物8を窪み内に液密に封入する。
型本体10および型本体10に形成された窪みの寸法・形状は、製造される成形体1の用途に応じて適宜変更される。また、フィルム状の成形体1を製造する場合は、型本体10に代えて、対向して配置される2枚のガラス板の間に空隙を形成し、該空隙内に光重合性組成物8を充填してもよい。
カバー11は、例えば光重合性組成物8を光重合させるときに使用される光を吸収しない材料により形成される。このような材料としては、パイレックス(登録商標)ガラスや石英ガラス、フッ素化(メタ)アクリル樹脂等の透明プラスチック材料等がある。このようなカバー11により、光重合性組成物8を、窪み内に液密に封入され、周辺の空気により光重合性組成物8の光重合反応が阻害されることが防止される。
本発明にかかる成形体1の製造方法では、成形型9内に配置された光重合性組成物8を加熱しながら、光重合性組成物8の厚さ方向と平行に光を光重合性組成物8に照射して光重合性組成物8を光重合させ成形体1が得られる。
光源(図示せず)は、シート状の光重合性組成物8の厚さ方向と平行、且つ、シート状の光重合性組成物8の厚さ方向と垂直な面内で均一な、中心波長365nm、波長半値全幅100nm以下の平行光で光重合性組成物8を照射するように構成されている。このような光源により、光重合性組成物8が光重合する際に、成形体1内部に規則的な柱状構造体3が形成される。
このような光源としては、例えば、点光源や棒状光源からの光をミラーやレンズ等により光強度分布が略一定(ハット型分布)の平行光としたもの、VCSEL等の面状光源等がある。このような光源から照射された光は、そのビームの広がり角度が±0.03rad以下であることが好ましく、より好ましくは±0.01rad以下である。また、レーザー光線を用いる場合、その光強度分布を一様にするために、拡散フィルタ等を用いることが好ましい。
また、成形体1に形成させる柱状構造体3を規則性高く配列させるためには、成形体1の厚さ方向に垂直な平面内において重合反応を均一に進めることが好ましい。この場合、図11に示すように均一に分割された照射エリアの複数点(I〜IX)の光強度を測定し、式(1)で与えられる照度分布の値が、2.0%以下、より好ましくは1.0%以下となるように設定する。
[式(1)]
照度分布=(最大値−最小値)/(最大値+最小値)×100
また、規則的に配列された柱状構造体3を得るためには、光の波長幅が狭いほうが好ましい。光源からの光の波長幅としては、半値全幅で100nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。
光源からの光による光重合中、光重合性組成物8は、40℃以上90℃以下、より好ましくは50℃以上90℃以下で加熱される。加熱手段としては、型本体10をホットプレートやペルチェ素子上に設置する方法や、型本体10の内部に加熱機能を持たせる方法や、光重合性組成物8を充填した成形型9を高温雰囲気下に置く方法などが挙げられる。光重合性組成物8は成形型9に充填する前から加熱しておくのが好ましい。加熱しながらの光重合により、成形体1内の炭素二重結合の量は、光重合性組成物8内の、炭素二重結合の量の25%以下に減少する。さらに、加熱温度が高い方が、成形体1内の炭素二重結合の量を減少させることができる。成形体1内の炭素二重結合の量は、光重合性組成物8内の、炭素二重結合の量の20%以下となっていることがさらに好ましい。
また、光重合性組成物8が重合硬化した後に、成形体1にさらに100℃で2時間以上加熱することにより、成形体1に残存する炭素二重結合の量を減少させることができる。
なお、炭素二重結合の量の比は、光重合性組成物8と成形体1の赤外吸収スペクトルを測定し、それぞれの赤外吸収スペクトルを解析することにより算出することができる。
バーコーター、ダイコーター、スピンコーター等により平滑な基板上に均一に塗布された光重合性組成物8に、窒素雰囲気下で紫外線等の活性エネルギー線の平行光を照射して光重合性組成物8を光重合硬化させてもよい。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例について詳細な説明を行う。
(実施例1)
実施例1においては、光重合性組成物として、ウレタンアクリレート(三菱レイヨン製、商品名:ダイヤビーム UK−6074)35質量部、フェノキシエチルアクリレート(第一工業製薬製、商品名:PHE)10質量部、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(第一工業製薬製、商品名:BPEM−10)30重量部、ジメタクリル酸ポリブチレングリコール(三菱レイヨン製、商品名:アクリエステルPBOM)25質量部からなる混合物に、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ製、商品名:IRGACURE184)を1.2質量部溶解させ光重合性組成物を用いた。
そしてこのような光重合性組成物を、成形型としての50mm×50mm、厚さ0.2mmのガラスセル内に、フィルム状に配置し封入した。
次に、光重合性組成物が封入されたガラスセルを予めホットプレート上に置き、光重合性組成物を70℃に加熱しておき、ガラスセルのカバーの表面を介して、フィルム状の光重合性組成物の面に対し垂直方向に光を1200mJ/cm2で照射した。光照射中も70℃の加熱を継続した。このとき光源としては、図12に示すような発光スペクトルを有する超高圧水銀灯を有する平行光紫外線照射装置を用いた。
光源からの紫外線ビームの広がり角は、±0.001rad以下であり、光の進行方向に対して垂直断面内の光強度分布における照度分布が2.0%以下であった。なおこのとき光源には干渉フィルタを適用し、光源から照射される光は、中心波長365nm、半値全幅10nmの単色光であった。
製造された成形体には、厚さ方向に垂直な面内でマトリックスと異なる屈折率を有する直径2μmの複数の柱状構造体が形成され、複数の柱状構造体は、周期7μmで六方格子状に配列されていた。
(実施例2)
光重合性組成物の温度を90℃とし、その他の条件は実施例1に準じて、成形体を得た。
(比較例1)
光重合性組成物の温度を25℃とし、その他の条件は実施例1に準じて、成形体を得た。
(特性の評価)
次に、各実施例および比較例の評価を、以下の方法により行った。
成形体と、その原料として用いた光重合性樹脂組成物について、フーリエ変換型赤外分光装置(サーモエレクトロン社 Nicolet Nexus FT-IR)を用いて赤外吸収スペクトルを測定し、得られた赤外吸収スペクトルを解析して炭素二重結合の量の比を算出することで、光重合性樹脂組成物内の炭素二重結合の量に対する成形体内の炭素二重結合の量を求めた。さらに、成形体の柱状構造体とマトリックスとの屈折率差を、透過型二光束干渉顕微鏡((株)溝尻光学工業所製)を用いて測定した。また、成形体にレーザー光線を照射し、その回折効率を測定した。また、成形体の黄色度を瞬間マルチ測光システムMCPD−3000(大塚電子(株)製)で測定した。
本発明の効果を実証すべく、かかる成形体を、170℃で3時間加熱した後、同様の手法で回折効率と黄色度を測定し、加熱前後における変化を調査した。これらの結果を下記表2に示す。
Figure 2009237570
表2より明らかなとおり、本発明によれば、成形体の製造工程で光重合性組成物を加熱することによって、得られる成形体に含まれる炭素二重結合の量を減少させることができる。これにより、本発明によれば、成形体が高温環境下で使用されたとしても、成形体内の重合反応の進行による、成形体の回折効率の低下を抑制することができる。さらに黄変も抑制することができ、均一性や色再現性が高い成形体を提供することができる。
1:成形体
2:マトリックス
3:柱状構造体
4:回折パターン
5:レーザー光源
6:レーザー光線
7:スクリーン
8:光重合性組成物
9:成形型

Claims (5)

  1. 炭素二重結合を含有する光重合性組成物を光重合硬化させて得られる成形体であって、
    平板状のマトリックスと、
    前記マトリックス内に規則的に配列され、前記マトリックスとは異なる屈折率を有する多数の柱状構造体とを備え、
    前記成形体に含有される炭素二重結合の量が、前記光重合性組成物に含有される炭素二重結合の量の25%未満であること、
    を特徴とする成形体。
  2. 前記多数の柱状構造体は、前記マトリックスの厚さ方向に延び、且つ前記厚さ方向に直交する面内において格子状に配列され、
    該成形体は、80nm乃至1000μmのオーダーで周期的に屈折率が変化する構造を有する、
    請求項1に記載の成形体。
  3. 前記マトリックスと前記柱状構造体との屈折率差が0.0001以上である、
    請求項1又は2に記載の成形体。
  4. 光重合性組成物をシート状に配置するステップと、
    前記光重合性組成物を所定温度に加熱しながら、該シート状に配置された光重合組成物の厚さ方向と平行な光を該光重合性組成物に照射して該光重合性組成物を光重合させるステップとを備えていること、
    を特徴とする成形体製造方法。
  5. 前記所定温度が50℃以上である、
    請求項4に記載の成形体製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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