JP5610208B2 - 成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成形体及びその製造方法に関し、より具体的には、回折、偏光、拡散等の光学特性を有し、光制御フィルムとして使用されるフィルム状の成形体及びその製造方法に関するものである。
高分子材料は、選択できる材料の種類が豊富であり、かつ高分子材料によって製造した成形体に多様な機能を付与できる。このため、近年、高分子材料を使用して製造されたフィルム状の成形体が光制御フィルムとして光学用途で盛んに使用されている。例えば、高分子材料で形成され、内部に一次元あるいは二次元に微細な構造体が配列された構造を有するフィルム状の成形体を、光制御フィルムとして利用することが提案されている。
このような成形体として、透明なマトリックス中に、このマトリックスと屈折率が異なる複数の構造体が形成されたフィルム状の成形体が知られている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
これらの成形体では、複数の構造体のそれぞれが、フィルム状の成形体内で特定の方向(フィルムの厚み方向に延びるように)に配向されており、構造体の配向方向に平行に入射した光(入射角0°)が最も強く散乱され、入射角が大きくなるにつれ散乱強度が低下する。すなわち、散乱強度が入射角依存性を有する光学的特性を備えている。
特開平1−77001号公報 特開2005−242340号公報 特開2005−265915号公報
前述した光制御フィルムは、散乱強度が入射角依存性を有するため、反射型/透過型プロジェクションスクリーンや表示装置などのコントラスト向上や視野角拡大などの用途に使用できる。このような用途では、広い範囲に光を散乱させるために、光の散乱角を大きくできることが好ましい。前述した複数の構造体が配列された光制御フィルムを使用する場合、複数の構造体の配列周期が小さいほど散乱角が大きくなるため、配列周期を小さくすることが求められる。
光制御フィルムによる散乱光の散乱角は構造体の配列周期に依存し、入射角0°で入射した光の散乱角は式(1)で表される。
nλ=Λ・sinθ (n:次数、λ:入射光の波長、Λ:配列周期、θ:散乱角) (1)
すなわち、散乱角(=θ)を大きくしたい場合、構造体の配列周期(=Λ)を小さくする必要がある。
しかしながら、前述した特許文献1乃至3に開示された成形他は、複数の構造体の配列周期は制御されておらず、さらに、示されている最小の配列周期は5μmであり、4μm以下の、より微細な配列周期で形成された光制御フィルムやその製造方法については示されていなかった。
すなわち、従来は5μm以上の配列周期の光制御フィルムしか得られておらず、そのため、光の散乱角を所定の値よりも大きくする具体的な方法などは開示されていなかった。本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、配列周期が4μm以下に制御された光制御フィルム、該光制御フィルムの製造方法、および、該光制御フィルムを用いることによって、光の散乱角を大きくする方法を提供するものである。
上述の課題を解決するため、本発明においては、光重合性組成物の硬化物からなる薄板状のマトリックスと、該マトリックス中に配設され該マトリックスと屈折率が異なる複数の柱状構造体とを備えた成形体であって、複数の柱状構造体の配列周期が4μm以下であり、前記光重合組成物は光重合開始剤と多官能モノマーとを含み、前記光重合開始剤が、A λ ≧0.1を満たし、0.1≦A λ <0.2である場合、前記多官能モノマーの分子量が200以下であり、0.2≦A λ <1.0である場合、前記多官能モノマーの分子量が250以下であり、A λ ≧1.0である場合、前記多官能モノマーの分子量は特に制限されない、ことを特徴とする成形体が提供される。
本発明の他の好ましい態様によれば、少なくとも1種以上の多官能モノマーと光重合開始剤とを含有する光重合性組成物を薄板状に配置し、該光重合性組成物にフォトマスクを介さずに平行光を照射することにより該光重合性組成物を重合する、ことを特徴とする、光重合性組成物の硬化物からなる薄板状のマトリックスと、該マトリックス中に配設され該マトリックスと屈折率が異なる複数の柱状構造体とを備えた成形体であって、複数の柱状構造体の配列周期が4μm以下である成形体の製造方法が提供される。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記光重合組成物は光重合開始剤と多官能モノマーとを含み、
前記光重合開始剤が、Aλ 0.1を満たし、0.1≦Aλ 0.2である場合、前記多官能モノマーの分子量を200以下とし、0.2≦Aλ 1.0である場合、前記多官能モノマーの分子量を250以下とすることを特徴とする、成形体の製造方法が提供される。なお、Aλは波長λにおける、前記光重合開始剤の0.01%アセトニトリル溶液の吸光度を表していて、波長λとは前記光重合性組成物の重合に使用する平行光の波長を表している。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記光重合開始剤が、Aλ≧1を満たすことを特徴とする、成形体の製造方法が提供される。なお、Aλは波長λにおける、前記光重合開始剤の0.01%アセトニトリル溶液の吸光度を表していて、波長λとは前記光重合性組成物の重合に使用する平行光の波長を表している。
本発明によれば、配列周期が4μm以下に制御された光制御フィルムおよびその製造方法を提供することができる。また、該光制御フィルムをスクリーン等に用いることによって、光の散乱角を大きくすることでき、高コントラストで視野角の広い表示装置やスクリーン等を提供することができる。
本発明の好ましい実施形態の成形体の内部構造を透視した模式的な斜視図である。 本発明の好ましい実施形態の成形体の製造方法を説明する図面である。 本発明の好ましい実施形態の成形体の製造方法を説明する図面である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施形態に基づく成形体1の内部構造を模式的に示した斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の成形体1は、20〜1000μmの略均一な厚さを有する薄板状の形状を有している。成形体1は、基質であり薄板状の透明なマトリックス2と、このマトリックス2中に配置された多数の透明な柱状構造体4とを備えた相分離構造を有している。マトリックス2と各柱状構造体4は、屈折率が異なっている。
図1に示されているように、各柱状構造体4は、マトリックス2の厚さ方向に成形体1の表面から裏面まで延びるように互いに平行に配向されている。
柱状構造体4の断面の長軸(多角形の場合は外接円の長軸)方向の長さ6は、80nm以上4μm以下の範囲にあるのが好ましく、100nm以上4μmの範囲にあるのがより好ましい。また、柱状構造体4の配列周期8は、80nm以上4μm以下の範囲にあるのが好ましく、100nm以上4μmの範囲にあるのがより好ましい。
前記柱状構造体4の断面の長軸方向の長さ6及び配列周期8を、前記範囲の寸法にすることによって、成形体1は、柱状構造体4の配向方向と平行に入射した光を大きな角度(より具体的には7度以上)で散乱させることが可能となる。
次に、本発明の好ましい実施形態の成形体1の製造方法について説明する。図2および図3は、本発明の好ましい実施形態の成形体の製造方法を模式的に示した図である。
本発明の成形体の製造方法では、薄板状に配置された未硬化の光重合性組成物10に平行光22を照射して光重合硬化させ、成形体1を得る。
光重合性組成物10を薄板状に配置する方法としては、光重合性組成物10を基材上に塗布する方法(図2)、光重合性組成物10を基材間に液密に封入する方法(図3)などが挙げられる。
基材上に塗布する方法では、例えば図2に示すように、光重合性組成物10を基材12の一方の面に、均一な厚さで、塗膜表面が平滑となるように、バーコーター、スリットダイコーター、スピンコーター、円コーター、グラビアコーター、CAPコーターなどの既知の方法によって塗布することができる。
また、基材間に液密に封入する方法では、例えば図3に示すように、下方基材14と上方基材16に挟まれた空間の周囲にスペーサ18を配置して液密空間20を形成し、この液密空間20内に液体状の未硬化の光重合性組成物10を充填する。
上方基材16は、平行光22が照射される側であるので、光重合性組成物10を光重合させるときに使用される光を吸収しない材料で構成される必要がある。このような材料として、パイレックス(登録商標)ガラスや石英ガラス、フッ素化(メタ)アクリル樹脂等の透明プラスチック材料等がある。
基材上に塗布あるいは液密空間20内に充填される光重合性組成物10の厚さは、20〜1000μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。光重合性組成物10の厚さが20μm以下であると柱状構造体4を形成させることが困難となり、1000μm以上であると柱状構造体4を厚さ方向に成長させることが困難となるためである。
以下、光重合性組成物10について詳細に説明する。光重合性組成物10には光重合開始剤が添加される。本発明においては、光重合開始剤はAλ≧0.1を満たす必要がある。ここで、Aλは波長λにおける、光重合開始剤の0.01%アセトニトリル溶液の吸光度を示す。また、波長λは光重合性組成物10の重合に使用する平行光の波長を示している。なお、重合に用いる平行光の波長は、光重合性組成物10の重合を行うことができ、Aλ≧0.1を満たすものであれば特に限定されるものではない。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ジベンゾスベロン等が挙げられる。より具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のIrgacure 369、Darocur TPO、Irgacure 184などが挙げられる。
これら光重合開始剤の使用量は、光重合性組成物10に含まれる多官能モノマーと単官能モノマーの合計量に対して0.001〜10質量%の範囲とする事が好ましく、成形体1の透明性を落とさないようにするためには0.01〜5質量%とする事がより好ましい。
光重合性組成物10には、多官能モノマーが含まれることが好ましい。このような多官能モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリルモノマーや、ビニル基、アリル基等を含有するものが特に好ましい。
多官能モノマーの具体例としては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能のエポキシ(メタ)アクリレート、多官能のウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート等が挙げられ、これらを単独であるいは2種以上の混合物として使用することができる。
好ましく用いられる多官能モノマーの種類は、前述した光重合開始剤のAλの範囲により異なる。詳しくは、0.1≦Aλ<0.2である場合、光重合性組成物に含まれる多官能モノマーの分子量が200以下であることが好ましく、0.2≦Aλ<1.0である場合、光重合性組成物に含まれる多官能モノマーの分子量が250以下であることが好ましく、Aλ≧1.0である場合、光重合性組成物に含まれる多官能モノマーの分子量は特に制限されない。このように光重合開始剤と多官能モノマーを選択することにより、4μm以下の微細な配列周期8で柱状構造体10を形成させることが可能となる。4μm以下の微細な配列周期8で柱状構造体10を形成させるためには緻密な架橋ネットワーク構造が形成されている必要があるが、Aλが小さいほどラジカル発生量が減少するため疎な架橋ネットワーク構造となり易く、そのため、より分子量が小さく緻密な架橋ネットワーク構造を形成しうる多官能モノマーが好ましく用いられる。
多官能モノマーは架橋構造を有するため重合度の違いにより密度差が形成されやすく、単独でも柱状構造体4が形成されるが、マトリックス2と柱状構造体4に、より大きな屈折率差をつけるためには、2種以上の多官能モノマーか、後述する単官能モノマー、ポリマー、低分子化合物などとの混合物を用いることが好ましい。ただし、4μm以下の微細な配列周期8で柱状構造体10を形成させるためには前述のように緻密な架橋ネットワーク構造が必要であるため、多官能モノマーの使用量は光重合性組成物全体の合計量のうち50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
光重合性組成物10として、2種以上のモノマーの混合物や、1種以上のモノマーとポリマーとの混合物を使用する場合には、それぞれのホモポリマーを比較したときに互いに屈折率が異なるものを使用することが好ましく、その屈折率差が大きいものを組み合わせることがより好ましい。
高効率な回折、偏向、拡散などの光制御機能を得る為には屈折率差を大きくすることが必要であり、その屈折率差が0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。また、重合過程でモノマーが拡散することにより分布が形成され、屈折率差が大きくなるので、拡散定数の差が大きい組み合わせ(例えば1種以上のモノマーとポリマーとの混合物)が好ましい。
なお、光重合性組成物10に3種以上のモノマー又はポリマーを使用する場合は、それぞれのホモポリマーの少なくともいずれか2つの屈折率差が前記範囲内となるようにすればよい。また、ホモポリマーの屈折率差が最も大きい2つのモノマー又はポリマーは、高効率な回折、偏向、拡散などの光制御機能を得る為に、重量比で10:90〜90:10の割合で用いることが好ましい。
また、光重合性組成物10には、前記のような多官能モノマーとともに、分子内に1個の重合性炭素−炭素二重結合を有する単官能モノマーあるいはオリゴマーを使用してもよい。このような単官能モノマーあるいはオリゴマーとしては、(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリルモノマーや、ビニル基、アリル基等を含有するものが特に好ましい。
単官能モノマーの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、フェニル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、p−ブロモベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;スチレン、p−クロロスチレン、ビニルアセテート、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、ビニルナフタレン等のビニル化合物;エチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート等のアリル化合物等が挙げられる。
これら単官能モノマーあるいはオリゴマーは、前述したようにマトリックス2と柱状構造体4に、より大きな屈折率差をつけるため、又は成形体1に柔軟性を付与するために用いられ、その使用量は多官能モノマーとの合計量のうち10〜50質量%の範囲が好ましく、10〜20質量%の範囲がより好ましい。
また、光重合性組成物10には、モノマーと重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物を含む均一溶解混合物を用いることもできる。
重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ナイロン等のポリマー類、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランのような低分子化合物、有機ハロゲン化合物、有機ケイ素化合物、可塑剤、安定剤のような添加剤等が挙げられる。
これら重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物は、光重合性組成物10の粘度を調節し取り扱い性を良くする為に用いられ、その使用量はモノマーとの合計量のうち1〜50質量%の範囲とすることが好ましく、取り扱い性も良くしつつ規則的な配列を持った柱状構造体を形成させる為には1〜20質量%の範囲がより好ましい。
次いで、照射光源からの平行光22を、光重合性組成物10に照射し(図2、3)、光重合性組成物10を光重合硬化させ、マトリックス2内に多数の柱状構造体4が形成された薄膜状の成形体1を得る。
照射光源は、平行光を照射可能であることに加えて、照射する平行光の進行方向に対する垂直断面内で、平行光の光強度分布が略一定であるものを用いる。具体的には、点光源や棒状光源からの光を、ミラーやレンズ等により光強度分布が略一定(ハット型分布)の平行光としたもの、あるいはVCSEL等の面状光源等を使用することができる。柱状構造体4は平行光の進行方向に成長して形成されるため、平行光の広がり角(平行度)は±0.03rad以下であるものが好ましい。なお、レーザー光線は平行度の点では好ましい光源であるが、その光強度分布がガウス型の分布を有しているため、適当なフィルタ等を用いて光強度分布を略一定にして使用することが好ましい。
また、本発明では光重合開始剤のAλを0.1以上とする必要があるため、光の波長の選択が重要となる。光の波長はバンドパスフィルタ等の使用によって、波長半値全幅を好ましくは100nm以下、より好ましくは20nm以下として用い、光重合開始剤との組み合わせによってAλ≧0.1を満たす条件を用いる。
照射光源は、照射エリアを複数の領域に分割して(例えば9領域)、各領域の光強度を測定し、式(2)で与えられる照度分布の値が、2.0%以下であるものを用いている。より好ましくは、1.0%以下であるものを用いている。
照度分布=(最大値−最小値)/(最大値+最小値)×100 (2)
照射強度は0.01〜100mW/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20mW/cmの範囲である。照度が0.01mW/cm以下であると重合が完了せず、100mW/cm以上であると柱状構造体4が形成されずに重合が完了してしまう。
図2のような光重合性組成物10を基板12上に薄板状に配置する方法では、酸素による重合阻害を防ぐために光照射は不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。用いる不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などが挙げられる。ただし、不活性ガスを用いる目的は酸素を追い出すことであり、酸素を含まない組成の気体であればいずれの気体でも用いることができる。
このようにして得られた成形体1は、基質であり薄板状の透明なマトリックス2と、このマトリックス2中に配置された多数の透明な柱状構造体4とを備えた相分離構造を有しており、柱状構造体4の配向方向と平行に入射した光を散乱する異方性散乱特性を示す光制御フィルムとして機能する。
本発明は、前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
以下、本発明の実施例の説明をする。
(実施例1)
ベンジルメタクリレート20質量部とポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA)80質量部の混合物に対しIrgacure 369(チバ・スペシャルティ・ケミカル製)を光重合開始剤として1質量部加え、光重合性組成物を得た。なお、本実施例に用いたPEGDMAの分子量は198であった。
スライドグラスとカバーガラスの間に0.2mmのシリコン製スペーサを配置し、前記光重合性組成物をスペーサ内部に封入させ、カバーガラスの上部にバンドパスフィルタを設置した。続いて、水銀キセノンランプからの平行光をカバーガラス側からガラス面に垂直に照射した。照射した平行光の波長は313nmにピークを持つ波長であり、平行光の強度は0.1mW/cm、照射時間は10分とした。なお、Irgacure 369の波長313nmにおける吸収度(Aλ)は5.0であった。
このようにして得られたフィルムの面内顕微鏡像の2次元FFT処理により最も頻度の高い周波数を求め、その逆数から配列周期を算出した。また、フィルム面に対して垂直にレーザー光(波長:532nm)を入射して、入射光の角度を0°として出射光の−90°から+90°までの強度分布を測定し、そのピークとなる角度を散乱角とした。これらの結果を表1に記す。
実施例2〜7においては、表1に記載された光重合開始剤と、照射波長(Aλ)、ポリエチレングリコール鎖の長さが異なるPEGDMA(分子量がそれぞれ198、242、1136)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いてフィルムを作製し、配列周期および散乱角を測定した。その結果を表1に記す。
比較例1および2においては、光重合開始剤と照射波長とがAλ<0.1を満たす組み合わせとした以外は、実施例1と同様にフィルムを作製した。比較例3においては、光重合開始剤との吸光度が0.1≦Aλ<0.2であるが、多官能モノマーの分子量が200より大きい組み合わせとした以外は、実施例1と同様にフィルム作製した。比較例4においては、光重合開始剤の吸光度が0.2≦Aλ<1.0であるが、光重合性組成物に含まれる多官能モノマーの分子量が250とした以外は、実施例1と同様にフィルムを作製した。比較例1〜4についても、実施例1と同様に配列周期および散乱角を測定した。その結果を表1に記す。
Figure 0005610208
以上、実施例、比較例からも明らかなように、配列周期が4μm以下である光制御フィルムを作製するためには、開始剤種と照射波長がAλ≧0.1を満たす組み合わせである必要があり、更に、0.1≦Aλ<0.2である場合は多官能モノマーの分子量が200以下、あるいは0.2≦Aλ<1.0である場合、光重合性組成物に含まれる多官能モノマーの分子量が250以下である必要があり、Aλ≧1.0である場合、光重合性組成物に含まれる多官能モノマーの分子量は特に制限されないことが示された。また、配列周期が4μm以下の光制御フィルムは、配列周期が5μm以上のものと比較して散乱角が大きく、より広い範囲に光を散乱させることが可能であることから、表示装置のコントラスト向上や視野角拡大、反射型/透過型プロジェクションスクリーンなどの用途に適していることが示された。
1 成形体
2 マトリックス
4 柱状構造体
6 長軸
8 配列周期
10 光重合性組成物
12 基材
14 下方基材
16 上方基材
18 スペーサ
20 液密空間
22 平行光

Claims (4)

  1. 光重合性組成物の硬化物からなる薄板状のマトリックスと、該マトリックス中に配設され該マトリックスと屈折率が異なる複数の柱状構造体とを備えた成形体であって、
    複数の柱状構造体の配列周期が4μm以下であり、
    前記光重合組成物は光重合開始剤と多官能モノマーとを含み、
    前記光重合開始剤が、A λ ≧0.1を満たし、
    0.1≦A λ <0.2である場合、前記多官能モノマーの分子量が200以下であり、
    0.2≦A λ <1.0である場合、前記多官能モノマーの分子量が250以下であり、
    A λ ≧1.0である場合、前記多官能モノマーの分子量は特に制限されない
    ことを特徴とする成形体。
    A λ :波長λにおける、前記光重合開始剤の0.01%アセトニトリル溶液の吸光度。
    波長λ:前記光重合性組成物の重合に使用する平行光の波長。
  2. 光重合性組成物の硬化物からなる薄板状のマトリックスと、該マトリックス中に配設され該マトリックスと屈折率が異なる複数の柱状構造体とを備えた成形体であって、
    複数の柱状構造体の配列周期が4μm以下であり、
    少なくとも1種以上の多官能モノマーと光重合開始剤とを含有する光重合性組成物を薄板状に配置し、該光重合性組成物にフォトマスクを介さずに平行光を照射することにより該光重合性組成物を重合する、
    ことを特徴とする形体の製造方法。
  3. 前記光重合組成物は光重合開始剤と多官能モノマーとを含み、
    前記光重合開始剤が、Aλ 0.1を満たし、
    0.1≦Aλ 0.2である場合、前記多官能モノマーの分子量を200以下とし、
    0.2≦Aλ 1.0である場合、前記多官能モノマーの分子量を250以下とする
    ことを特徴とする、請求項に記載の成形体の製造方法。
    λ:波長λにおける、前記光重合開始剤の0.01%アセトニトリル溶液の吸光度。
    波長λ:前記光重合性組成物の重合に使用する平行光の波長。
  4. 前記光重合開始剤が、Aλ≧1を満たすことを特徴とする、請求項に記載の成形体の製造方法。
    λ:波長λにおける、前記光重合開始剤の0.01%アセトニトリル溶液の吸光度。
    波長λ:前記光重合性組成物の重合に使用する平行光の波長。
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