JP6745295B2 - 遮光フィルム及び遮光フィルムの製造方法 - Google Patents

遮光フィルム及び遮光フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、遮光フィルム及び遮光フィルムの製造方法に関する。
スマートフォンやデジタルビデオカメラ等の光学機器のシャッター、絞り部材、又は複数のレンズ間に配置されるギャップ調整部材として、例えば特許文献1に開示されるように、遮光フィルムが用いられている。
遮光フィルムは、例えば、黒色顔料、フィラー粒子、及びバインダー樹脂を含み且つ表面に微細な凹凸が形成された遮光層を備える。遮光層は、入射光を散乱させて写り込みを防止するアンチグレア性と、光学機器内に侵入した外光を遮光する遮光性とを有する。
特表2010−534342号公報
遮光層では、遮光層の厚み調整の容易さや、遮光フィルムの製造時及び取扱い時における耐擦傷性を確保する観点等から、バインダー樹脂として光硬化性樹脂を用いることが望ましい。しかしながら、遮光層に黒色顔料のような遮光性成分が含まれていると、バインダー樹脂として光硬化性樹脂を用いる場合、光照射が不十分となり、バインダー樹脂の前駆体を硬化することが困難になるおそれがある。
そこで本発明は、表面にアンチグレア性を有する遮光層を備える遮光フィルムにおいて、遮光層のバインダー樹脂として光硬化性樹脂を用いる場合でも遮光フィルムを良好に製造可能にすることを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る遮光フィルムは、内部に黒色微粒子が分散された少なくとも1つの遮光層を備える遮光フィルムであって、前記遮光層は、前記黒色微粒子と、光硬化性のバインダー樹脂と、光照射により前記バインダー樹脂の前駆体の重合開始剤を活性化させる光活性化合物とを含むと共に、表面に凹凸が形成されていることにより、前記表面がアンチグレア性を有する。
上記構成によれば、遮光層が光照射によりバインダー樹脂の前駆体の重合開始剤を活性化させる光活性化合物を含んでいるので、重合開始剤が黒色微粒子により遮光されている場合でも、光照射された光活性化合物により重合開始剤を活性化させて、光硬化性のバインダー樹脂の前駆体を重合促進させることができる。これにより、表面に凹凸が形成されていることでアンチグレア性を有すると共に、光硬化性樹脂を含む遮光層を備える遮光フィルムを良好に製造できる。
前記遮光層の前記表面の入射角85度における光沢度が、20%以下の値に設定されていてもよい。これにより、遮光層の表面に優れた低光沢性(写り込み防止性)を付与でき、遮光層の表面に入射した入射光を更に良好に散乱できる。
前記遮光層は、前記黒色微粒子以外の無機微粒子の含有量、又は、有機微粒子の含有量が、0重量%以上10重量%以下の範囲の値に設定されていてもよい。これにより、黒色微粒子以外の無機微粒子、又は、有機微粒子によって、遮光層が白色等の色に着色されるのを防止できる。よって、遮光層の遮光性がこれらの微粒子により低下するのを防止できる。また、遮光層の耐擦傷性がこれらの微粒子を含むことで低下するのを防止できるので、例えば、光学機器の内部に遮光層の一部が欠落して混入するのを防止できる。
前記遮光層の前記表面における算術平均粗さ(Ra)が、0.03μm以上3.0μm以下の範囲の値に設定されていてもよい。これにより、遮光層の表面に微細な凹凸を付与でき、該表面における入射光を更に一層良好に散乱できる。
前記黒色微粒子は球状であり、一次粒径が、10nm以上500nm以下の範囲の値に設定されていてもよい。これにより、遮光層の内部に黒色微粒子を均一に分散させることができ、遮光層の全体において均一な遮光性を得ることができる。
前記黒色微粒子は、カーボンナノチューブであってもよい。これにより、黒色微粒子としての材料の選択幅を広げることができる。
前記遮光層の波長380nm以上780nm以下の範囲の値における光学濃度が、5.0以上の値に設定され、前記遮光層の表面抵抗値が、1×1012Ω/□以下の値に設定されていてもよい。このように、遮光層の光学濃度と表面抵抗値とを上記各所定値に設定することで、遮光層に高い遮光性を付与できると共に、遮光層の電気抵抗値を更に適切に調整でき、埃等の不純物が遮光層の帯電により遮光層に付着するのを一層良好に防止できる。
表面に前記遮光層に接して配置された基材フィルムを更に備えていてもよい。これにより、遮光層を基材フィルムにより良好に支持できる。また、遮光フィルムの厚み寸法を容易に調整できると共に、そのハンドリングを向上させることができる。
前記基材フィルムの厚み寸法が、1μm以上188μm以下の範囲の値に設定されていてもよい。これにより、遮光フィルムの厚み寸法を適切に調整できると共に、そのハンドリングを更に良好に向上させることができる。
本発明の一態様における遮光フィルムは、内部に黒色微粒子が分散された少なくとも1つの遮光層を備える遮光フィルムであって、前記遮光層は、鉛筆硬度が2H以上の値に設定され、且つ、光学濃度が5.0以上の値に設定されている。これにより、優れた硬度と遮光性とを有する遮光層を備える遮光フィルムを得ることができる。
本発明の一態様における遮光フィルムの製造方法は、黒色微粒子と、光硬化性のバインダー樹脂の前駆体と、前記バインダー樹脂の前駆体の重合開始剤と、光照射により前記重合開始剤を活性化させる光活性化合物とを含む未硬化材料を、凹凸が形成されていることにより表面がアンチグレア性を有する原型の前記表面に被着させる被着ステップと、前記未硬化材料を前記原型の前記表面に被着させた状態で光硬化させることにより、表面に前記原型の前記表面の形状が転写された遮光層を形成する硬化ステップと、を有する。
上記方法の被着ステップと硬化ステップとによれば、未硬化材料が光照射によりバインダー樹脂の前駆体の重合開始剤を活性化させる光活性化合物を含んでいるので、重合開始剤が黒色微粒子により遮光されている場合でも、光照射された光活性化合物により重合開始剤を活性化させて、光硬化性のバインダー樹脂の前駆体を重合促進させることができる。これにより、表面に凹凸が形成されていることでアンチグレア性を有すると共に、光硬化性樹脂を含む遮光層を備える遮光フィルムを良好に製造できる。
前記被着ステップでは、前記原型として、光透過性の原型フィルムを用いてもよい。これにより、例えば、原型フィルムを介して未硬化材料を光照射することで、遮光フィルムを効率よく製造できる。また、原型がフィルムであるため取扱いが容易であり、遮光層から原型を剥離し易くすることができる。
前記被着ステップでは、前記光透過性の原型フィルムとして、複数の樹脂成分を含み、複数の樹脂成分の相分離により形成された海島構造を有する原型フィルムを用いてもよい。
このような原型フィルムを原型として用いることで、遮光層の表面に海島構造による凹凸を高精度で転写できる。また、複数の樹脂成分の相分離により形成された海島構造を有する原型フィルムを用いることで、優れたアンチグレア性を有する遮光フィルム1を製造できる。
前記被着ステップでは、前記未硬化材料を支持部材の表面に塗布し、前記未硬化材料を前記支持部材により支持した状態で、前記未硬化材料に前記原型の前記表面を被着させ、前記硬化ステップ後に、前記遮光層を前記原型と前記支持部材とから剥離してもよい。これにより、原型の表面の凹凸が表面に転写された遮光層からなる遮光フィルムを良好に製造できる。
前記被着ステップでは、前記未硬化材料を基材フィルムの少なくとも一方の面に塗布した状態で、前記未硬化材料に前記原型の前記表面を被着させ、前記硬化ステップ後に、前記遮光層を前記原型から剥離してもよい。これにより、基材フィルムに支持されて原型の表面の凹凸が表面に転写された遮光層を有する遮光フィルムを正確且つ安定した品質で製造できる。
本発明の各態様によれば、表面にアンチグレア性を有する遮光層を備える遮光フィルムにおいて、遮光層のバインダー樹脂として光硬化性樹脂を用いる場合でも遮光フィルムを良好に製造できる。
第1実施形態に係る遮光フィルムの断面図である。 図1の遮光フィルムの製造フロー図である。 図1の遮光フィルムの製造時の様子を示す図である。 第2実施形態に係る遮光フィルムの断面図である。 第3実施形態に係る遮光フィルムの断面図である。 図5の遮光フィルムの製造時の様子を示す図である。 変形例1に係る原型を示す拡大断面図である。 変形例2に係る原型を示す拡大断面図である。
以下、各実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
[遮光フィルム]
図1は、第1実施形態に係る遮光フィルム1の断面図である。遮光フィルム1は、一例として、光学機器が備える複数の光学部材(レンズ等)間において、光軸を囲むように配置される。遮光フィルム1は、図1に示すように、内部に黒色微粒子5が分散された少なくとも1つの遮光層3を備える。本実施形態の遮光フィルム1は、基材フィルム2と遮光層3とを備える。
基材フィルム2は、表面に遮光層3に接して配置されている。基材フィルム2は、一例として、黒色顔料を含む樹脂フィルムにより構成されている。これにより、基材フィルム2は黒色に着色されている。なお基材フィルム2は、黒色以外の色(例えば白色)に着色されていてもよいし、透明であってもよい。
基材フィルム2が含む樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂のいずれでもよい。このうち熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。このうち強度確保の観点から、環状ポリオレフィン、ポリアルキレンアリレート(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ビスフェノールA型ポリカーボネート、セルロースエステルが好ましい。
また熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。このうち強度確保の観点から、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタンが好ましい。
また光硬化性樹脂としては、例えば、光硬化性ポリエステル、光硬化性アクリル系樹脂、光硬化性エポキシ(メタ)アクリレート、光硬化性ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの光硬化性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。このうち強度確保の観点から、光硬化性アクリル系樹脂、光硬化性ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。なお「光硬化性樹脂」とは、活性エネルギー線(紫外線又は電子線等)により硬化する樹脂を含む。
基材フィルム2は、黒色顔料を含むことで、厚み方向側面が黒色となる。これにより基材フィルム2は、入射光が基材フィルム2内を通過しにくくなっている。基材フィルム2の厚み寸法は、適宜設定可能であるが、ここでは1μm以上188μm以下の範囲の値に設定されている。本実施形態の基材フィルム2の厚み寸法は、遮光層3の最大厚み寸法よりも大きい。なお基材フィルム2の厚み寸法は、遮光層3の最大厚み寸法より小さくてもよい。
また基材フィルム2の表面には、遮光層3との接着性を向上させるための接着層が設けられていてもよい。即ち基材フィルム2は、樹脂層と、樹脂層に重ねて配置された接着層とを有していてもよい。
遮光層3は、黒色微粒子5と、バインダー樹脂6と、このバインダー樹脂6の前駆体の重合開始剤を光照射により活性化させる光活性化合物とを含む。バインダー樹脂6の前駆体は、ラジカル重合反応により重合する。重合開始剤は、光活性化合物により活性化されて、この重合反応を開始させる。バインダー樹脂6は、光硬化性樹脂である。即ち遮光層3は、光硬化性樹脂であるバインダー樹脂6が硬化することで形成されている。バインダー樹脂6としては、例えば、基材フィルム2と同様の光硬化性樹脂が挙げられる。このような光硬化性樹脂を含むことにより、遮光フィルム1の遮光層3は、鉛筆硬度が2H以上の値に設定され、且つ、光学濃度が5.0以上の値に設定されている。
遮光層3の内部には、黒色微粒子5が分散して配置されている。黒色微粒子5としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、バインブラック、ピーチブラック、骨炭、カーボンナノチューブ、酸化銀、酸化亜鉛、マグネタイト型四酸化三鉄、銅とクロムの複合酸化物、銅、クロム、亜鉛の複合酸化物、黒色ガラス等が挙げられる。遮光層3は、黒色微粒子5を含むことで、波長380nm以上780nm以下の範囲の値における光学濃度が、5.0以上の値に設定されている。波長380nm以上780nm以下の範囲の値における遮光層3の光学濃度が5.0以上の値に設定されることで、遮光層3の遮光性の低下が良好に防止される。
光活性化合物は、活性エネルギー線、酸及び塩基から選ばれる少なくとも1種によりチオールを発生する化合物である。光活性化合物には、活性エネルギー線によりチオールを発生する化合物(A1)、酸によりチオールを発生する化合物(A2)及び塩基によりチオールを発生する化合物(A3)が含まれる。
化合物(A1)には、200nm〜800nmの波長に吸収領域を有する保護基、または少なくとも一つの水素原子が300nm〜800nmの波長に吸収領域を有する有機基で置換されたメチル基にてチオール基が保護されている化合物が含まれる。例えば、トリス{S−(9−メチルフルオレニル)}チオシアヌル酸及びS−ベンジル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
化合物(A2)には、酸により分解する保護基にてチオール基が保護されている化合物が含まれる。例えば、S−アセチルチオ尿素、S−ベンゾイル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、S−(2−ピリジニルエチル−2−メルカプトピリミジン及びS−(t−ブトキシカルボニル)−4,6−ジメチル−2−メルカプトピリミジン等が挙げられる。
化合物(A3)には、塩基により分解する保護基にてチオール基が保護されている化合物が含まれる。例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾールのジスルフィド化物、チオシアヌル酸のジスルフィド化物及びS−(9−フルオレニルメチル)−5−メルカプト−1−メチルテトラゾール等が挙げられる。
活性エネルギー線、酸及び塩基から選ばれる少なくとも1種によりチオールを発生する光活性化合物のうち、チオールの発生効率の観点から、好ましいものとしては、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物である。(A)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 0006745295
上記式中、R1〜R3,R5〜R8は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数が1以上20以下の範囲の値である1価の炭化水素基であり、R4は、炭素数が2以上30以下の範囲の値である2価の炭化水素基であり、X1〜X6は、酸及び塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種によりこれらと結合している硫黄原子との結合が切断される1価の置換基である。
一般式(1)〜(4)で表される化合物は、共通骨格(−S−C=(N)−N)を有しており、この骨格を有していることにより、酸素阻害を抑制する効果が高くなる。これにより、低露光量での露光時及び薄膜形成時の少なくともいずれかの条件下においても、硬化性が向上する。
遮光層3には、光活性化合物が、例えば0.1重量%以上5重量%以下の範囲の値で含まれている。遮光層3には、光活性化合物が1重量%以上4重量%以下の範囲の値で含まれていると、より好ましい。後述するように、光活性化合物は、遮光層3の製造時において、バインダー樹脂6の前駆体中に分散された重合開始剤を活性化させる。このため、重合開始剤が直接光照射されていなくても、光活性化合物が光照射されることで重合開始剤が活性化される。
遮光層3の厚み寸法は、適宜設定可能であるが、ここでは1μm以上20μm以下の範囲の値に設定できる。遮光層3の厚み寸法は、一例として3μm以上10μm以下の範囲の値に設定されている。
本実施形態の黒色微粒子5は球状であり、一次粒径は、10nm以上500nm以下の範囲の値に設定されている。また遮光層3の表面抵抗値は、1×1012Ω/□以下の値に設定されている。遮光層3の表面抵抗値を1×1013Ω/□以上とすることで、遮光フィルム1を絶縁部材として好適に用いることができる。
遮光層3の表面3aには、凹凸が形成されている。これにより遮光層3の表面3aは、アンチグレア性を有する。遮光層3の表面3aに形成された凹凸は、後述するように、遮光フィルム1の製造時において原型4の表面4aの凹凸が転写されることで形成されている。これにより遮光層3の表面3aは、外光の反射が抑制されている。
具体的に遮光層3は、以下の各設定が行われることでアンチグレア性を有している。遮光層3は、表面3aの入射角85度における光沢度が、20%以下の値に設定されている。また遮光層3は、表面3aの算術平均粗さ(Ra)が、0.03μm以上3.0μm以下の範囲の値に設定されている。また遮光層3は、表面3aの算術平均粗さ(Sa)が、0.5μm以上5.0μm以下の範囲の値に設定されている。
遮光層3の表面3aの算術平均粗さ(Ra)を0.1μm以上の値に設定することで、遮光層3の表面3aにアンチグレア性を付与し易くすることができる。また、遮光層3の表面3aの算術平均粗さ(Ra)を3.0μm以下の値に設定することで、遮光層3を比較的容易に製造できる。
なお、一次粒径は、フィールドエミッション走査電子顕微鏡(日本電子(株)製「JSM−6700F」)により10万倍に拡大した粒子表面の写真を撮影し、その拡大写真を必要に応じてさらに拡大し、50個以上の粒子について定規やノギス等を用い、その個数の平均粒径として測定することができる。
また、波長380nm以上780nm以下の範囲の値における光学濃度は、光学濃度計(ビデオジェット・エックスライト(株)製「X−Rite 341C」)を用い、試料に垂直透過光束を照射して、試料が無い状態との比をlog(対数)で表したものとすることができる。
また光束幅は、直径2mmの円形として測定することができる。また光沢度は、JlS K7105に準拠した測定方法により測定された値である。また算術平均粗さ(Ra)は、中心線平均表面粗さであり、JIS B 0601(1994年版)の定義により算出された値である。
以上のように、遮光フィルム1によれば、遮光層3が光照射によりバインダー樹脂6の前駆体の重合開始剤を活性化させる光活性化合物を含んでいるので、重合開始剤が黒色微粒子5により遮光されている場合でも、光照射された光活性化合物により重合開始剤を活性化させて、光硬化性のバインダー樹脂6の前駆体を重合促進させることができる。これにより、表面3aに凹凸が形成されていることでアンチグレア性を有すると共に、光硬化性樹脂を含む遮光層3を備える遮光フィルム1を良好に製造できる。
また遮光層3は、表面3aの入射角85度における光沢度が、20%以下の値に設定されているので、遮光層3の表面3aに優れた低光沢性(写り込み防止性)を付与でき、遮光層3の表面3aに入射した入射光を更に良好に散乱できる。
また遮光層3は、黒色微粒子5以外の無機微粒子の含有量、又は、有機微粒子の含有量が、0重量%以上10重量%以下の範囲の値に設定されている。これにより、黒色微粒子5以外の無機微粒子、又は、有機微粒子によって、遮光層3が白色等の色に着色されるのを防止できる。よって、遮光層3の遮光性がこれらの微粒子により低下するのを防止できる。また、遮光層3の耐擦傷性がこれらの微粒子を含むことで低下するのを防止できるので、例えば、光学機器の内部に遮光層3の一部が欠落して混入するのを防止できる。
また、遮光層3は黒色微粒子5以外の無機微粒子、又は、有機微粒子を用いなくてもアンチグレア性を発揮できるため、より白味の少ない黒色の遮光フィルム1を実現できる。これにより、例えば光学機器のレンズの内部に遮光フィルム1からの不要な光が入射するのを抑制できる。
また遮光層3は、表面3aにおける算術平均粗さ(Ra)が、0.03μm以上3.0μm以下の範囲の値に設定されているので、遮光層3の表面3aに微細な凹凸を付与でき、表面3aに入射した入射光を更に一層良好に散乱できる。
また、本実施形態の黒色微粒子5は球状であり、一次粒径が、10nm以上500nm以下の範囲の値に設定されているので、遮光層3の内部に黒色微粒子5を均一に分散させることができ、遮光層3の全体において均一な遮光性を得ることができる。また別の例では、黒色微粒子5がカーンナノチューブであるため、黒色微粒子5としての材料の選択幅を広げることができる。
また、遮光層3の波長380nm以上780nm以下の範囲の値における光学濃度が、5.0以上の値に設定され、遮光層3の表面抵抗値が、1×1012Ω/□以下の値に設定されているので、遮光層3に高い遮光性を付与できると共に、遮光層3の電気抵抗値を更に適切に調整でき、埃等の不純物が遮光層の帯電により遮光層に付着するのを一層良好に防止できる。
また遮光フィルム1は、基材フィルム2を備えているので、遮光層3を基材フィルム2により良好に支持できる。また、遮光フィルム1の厚み寸法を容易に調整できると共に、そのハンドリングを向上させることができる。これにより、例えば、遮光フィルム1を光学機器の複数の光学部材間に配置し易くすることができる。
また遮光フィルム1は、基材フィルム2の厚み寸法が、1μm以上188μm以下の範囲の値に設定されているので、遮光フィルム1の厚み寸法を適切に調整できると共に、そのハンドリングを更に良好に向上させることができる。
また遮光フィルム1の遮光層3は、鉛筆硬度が2H以上の値に設定され、且つ、光学濃度が5.0以上の値に設定されているので、優れた硬度と遮光性とを有する遮光層3を備える遮光フィルム1を得ることができる。
[遮光フィルムの製造方法]
図2は、図1の遮光フィルム1の製造フロー図である。図3は、図1の遮光フィルム1の製造時の様子を示す図である。図2に示すように、遮光フィルム1の製造方法は、調製ステップS1、被着ステップS2、硬化ステップS3、及び剥離ステップS4を有する。遮光フィルム1は、ステップS1〜S4を順に行うことで製造される。以下、ステップS1〜S5を具体的に説明する。
オペレータは、遮光層3の材料となる未硬化材料30を調製する。未硬化材料30は、黒色微粒子5と、光硬化性のバインダー樹脂6の前駆体と、バインダー樹脂6の前駆体の重合開始剤と、光照射により重合開始剤を活性化させる光活性化合物とを含む。オペレータは、これらのものを混合すると共に、溶媒を添加することにより、塗工に適した流動性を有するように未硬化材料30を調製する。これにより調製ステップS1が行われる。
次にオペレータは、基材フィルム2の一方の面に未硬化材料30を均一に塗布する。その後、未硬化材料30の表面に熱風を当てることにより、未硬化材料30の揮発成分を一部除去する。
その後オペレータは、基材フィルム2に支持された未硬化材料30の表面に、凹凸が形成されていることにより表面4aがアンチグレア性を有する原型4の表面4aを被着させる。本実施形態では、原型4として、表面4aを有する光透過性の原型フィルムを用いる。これにより被着ステップS2が行われる。
ここで原型4の表面4aは、微細な凹凸形状を有する。本実施形態の原型4は、詳細を後述するように、複数の樹脂成分を含み、複数の樹脂成分の相分離により形成された海島構造からなる微細な凹凸形状を有する。遮光層3の表面3aには、この原型4の表面4aの形状が転写される。即ち、遮光層3の表面3aに付与されるアンチグレア性は、この原型4の表面4aの形状により設定される。
次にオペレータは、原型4を介して、基材フィルム2に支持された未硬化材料30を光照射(ここでは紫外線(UV)照射)する(図3)。これにより、未硬化材料30を原型4の表面4aに被着させた状態で光硬化させて、表面3aに原型4の表面4aの形状が転写された遮光層3を形成する。以上で硬化ステップS3が行われる。
ここで、未硬化材料30に含まれる光活性化合物は、光照射されることで未硬化材料30中に分散された重合開始剤を活性化させる。このため、重合開始剤が直接光照射されなくても、重合開始剤は光活性化合物により活性化される。よって、バインダー樹脂6の前駆体は、その重合反応が黒色微粒子5によって妨げられるのが防止されながら、良好に重合して硬化する。
また、バインダー樹脂6の前駆体の重合反応がラジカル重合反応である場合、光活性化合物を用いることで効率よくラジカルを発生させることができ、比較的速い硬化速度でバインダー樹脂6を得ることができる。また光活性化合物は、重合開始剤に作用するため、バインダー樹脂6の前駆体である幅広い種類のモノマーに適用できる。このため、遮光層3の設計自由度を高めることができる。次にオペレータは、硬化した遮光層3の表面3aから原型4を剥離する。これにより剥離ステップS4が行われる。以上で遮光フィルム1が得られる。
以上のように、上記製造方法の被着ステップS2と硬化ステップS3とによれば、未硬化材料30が光照射によりバインダー樹脂6の前駆体の重合開始剤を活性化させる光活性化合物を含んでいるので、重合開始剤が黒色微粒子5により遮光されている場合でも、光照射された光活性化合物により重合開始剤を活性化させて、光硬化性のバインダー樹脂6の前駆体を重合促進させることができる。これにより、表面3aに凹凸が形成されていることでアンチグレア性を有すると共に、光硬化性樹脂を含む遮光層3を備える遮光フィルム1を良好に製造できる。
また被着ステップS2では、原型4として、光透過性の原型フィルムを用いることにより、例えば、原型フィルムを介して未硬化材料30を光照射することで、遮光フィルム1を効率よく製造できる。また、原型4がフィルムであるため取扱いが容易であり、遮光層3から原型4を剥離し易くすることができる。
また被着ステップS2では、未硬化材料30を基材フィルム2の少なくとも一方の面に塗布した状態で、未硬化材料30に原型4の表面4aを被着させ、硬化ステップS3後に、硬化された遮光層3を原型4から剥離するので、基材フィルム2に支持されて原型4の表面4aの凹凸が表面3aに転写された遮光層3を有する遮光フィルム1を正確且つ安定した品質で製造できる。
また本実施形態では、原型4として、複数の樹脂成分を含み、複数の樹脂成分の相分離により形成された海島構造を有する原型フィルムを用いている。このような原型フィルムを原型4として用いることで、遮光層3の表面に海島構造による凹凸を高精度で転写できる。また、複数の樹脂成分の相分離により形成された海島構造を有する原型フィルムを用いることで、優れたアンチグレア性を有する遮光フィルム1を製造できる。
また硬化ステップS3後に、硬化された遮光層3を原型4から剥離するので、基材フィルム2に支持されて原型4の表面4aの凹凸が表面3aに転写された遮光層3を有する遮光フィルム1を良好に製造できる。
第1実施形態の変形例としては、基材フィルム2が省略された遮光フィルムが挙げられる。この場合の遮光フィルムは、遮光層3のみにより構成される。該遮光フィルムは、例えば、剥離ステップS4において、遮光層3から原型4と基材フィルム2とを剥離することで得られる。以下、その他の実施形態について、第1実施形態との差異を中心に説明する。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る遮光フィルム11の断面図である。図4に示すように、遮光フィルム11は、基材フィルム2と、基材フィルム2の両面に重ねて配置された一対の遮光層3とを備える。一対の遮光層3は、各々表面3aを基材フィルム2側とは反対側(即ち遮光フィルム11の外側)に向けて配置されている。遮光フィルム11の一対の遮光層3は、製造時において、基材フィルム2の各々の表面に対して第1実施形態のステップS2〜S4を行うことで製造される。
このような遮光フィルム11においても、遮光フィルム1と同様の効果が奏される。また、遮光フィルム11の両面がアンチグレア性を有するので、例えば、光路の往復方向に光が通過する光学機器において、その光路途中の近傍に遮光フィルム11が配置される場合においても、遮光フィルム11に良好な遮光性とアンチグレア性とを発揮させることができる。
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る遮光フィルム21の断面図である。図5に示すように、遮光フィルム21は、その両面(第1面21a,第2面21b)がアンチグレア性を有する。遮光フィルム21は、遮光層3と同様の組成からなる。第1面21a,第2面21bの表面形状は、互いに同様である。
このような構成を有する遮光フィルム21は、光硬化性樹脂による優れた強度を確保しながら厚み寸法を薄くできる。これにより、光学機器の製造時に遮光フィルム21を複数のレンズ間に配置する場合等には、遮光フィルム21が良好な耐擦傷性を有することで歩留まりを向上できると共に、光学機器の小型化を図ることができる。
図6は、図5の遮光フィルム21の製造時の様子を示す図である。図6に示すように、遮光フィルム21の製造時には、一対の原型4を互いの表面4aを対向させた状態で配置し、一対の原型4により未硬化材料30を挟持する。これにより、未硬化材料30の両面に対して被着ステップS2が行われる。
その後、一対の原型4の外側から未硬化材料30を光照射して硬化させる。これにより、未硬化材料30の両面に対して硬化ステップS3が行われる。その後、一対の原型4を剥離除去する剥離ステップS4を行うことで、遮光フィルム21が得られる。
ここで、一対の原型4のうち一方は、遮光フィルム21の製造時に未硬化材料30を支持する支持部材として用いることもできる。具体的に被着ステップS2では、未硬化材料30を一対の原型4のうちの一方である支持部材の表面に塗布し、未硬化材料30を支持部材により支持した状態で、未硬化材料30に一対の原型4のうちの他方である原型4の表面4aを被着させる。硬化ステップS3後、硬化された遮光層(即ち遮光フィルム21)を、原型4と支持部材とから剥離する剥離ステップS4を行う。これにより遮光フィルム21が得られる。
この方法によれば、原型4の表面4aの凹凸が表面3aに転写された遮光層からなる遮光フィルム21を良好に製造できる。また、被着ステップS2及び硬化ステップS3では、支持部材により未硬化材料30を支持できるので、遮光フィルム21を効率よく製造できる。なお、支持部材には剥離処理を施してもよい。
(原型について)
以下、原型4について詳細に説明する。原型4の表面4aは、アンチグレア性を有する。原型4の表面4aには、一例として、複数の樹脂成分の相分離により、複数の海島構造部が形成されている。海島構造部は分岐しており、密な状態で海島構造を形成している。原型4は、複数の海島構造部と、隣接する海島構造部間に位置する凹部とによりアンチグレア性を発現する。原型4の表面4aは、海島構造部が略網目状に形成されることにより、網目状構造、言い換えると、連続し又は一部欠落した不規則な複数のループ構造を有する。
具体的に原型4の表面4aには、1mm当たり、所定の長さ寸法を有する海島構造部が1つ以上存在している。この海島構造部の長さ寸法は、本実施形態では、100μm以上の値に設定されている。この海島構造部の長さ寸法の値としては、一例として、200μm以上の値がより好ましく、500μm以上の値が一層好ましい。なお、海島構造部は、複数存在してもよいが、表面4aの全面が海島構造を有する場合、該表面4aにおける海島構造部の数は1となる場合もある。
海島構造部により形成された海島構造では、同程度の径を有する網目が不規則な形状で配列している。海島構造が有する網目の平均径(海島構造の網目が楕円形状や長方形状等の異方形状の場合、長径と短径との平均値)は、例えば、1μm以上70μm以下の範囲の値に設定されている。
この平均径の値としては、一例として、2μm以上50μm以下の範囲の値がより好ましく、5μm以上30μm以下の範囲の値が一層好ましい。また他の例では、この平均径の値としては、1μm以上40μm以下の範囲の値がより好ましく、3μm以上35μm以下の範囲の値が一層好ましく、10μm以上30μm以下の範囲の値が更に好ましい。
表面4aを平面視した場合の海島構造部の形状は、一部以上に曲線部分を有する紐状である。海島構造部の平均幅は、本実施形態では、0.1μm以上30μm以下の範囲の値に設定されている。
海島構造部の平均幅の値としては、一例として、0.1μm以上20μm以下の範囲の値がより好ましく、0.1μm以上15μm以下の範囲の値が一層好ましく、0.1μm以上10μm以下(特に0.1μm以上5μm以下)の範囲の値が更に好ましい。
また他の例では、海島構造部の平均幅の値としては、1.0μm以上20μm以下の範囲の値がより好ましく、1.0μm以上15μm以下の範囲の値が一層好ましく、1.0μm以上10μm以下の範囲の値が更に好ましい。なお、平均幅が小さ過ぎるとアンチグレア性が低下するおそれがある。
海島構造部の平均高さは、例えば、0.05μm以上10μm以下の範囲の値に設定されている。海島構造部の平均高さの値としては、一例として、0.07μm以上5μm以下の範囲の値がより好ましく、0.09μm以上3μm以下(特に0.1μm以上2μm以下)の範囲の値が一層好ましい。
表面4aにおける海島構造部の占有面積は、例えば、表面4aの全表面積の10%以上100%未満の範囲の値に設定されている。表面4aにおける海島構造部の占有面積の値としては、一例として、表面4aの全表面積の30%以上100%未満の範囲の値がより好ましく、表面4aの全表面積の50%以上100%未満(特に70%以上100%未満)の範囲の値が一層好ましい。なお、海島構造部間の面積が小さ過ぎるとアンチグレア性が低下し易いおそれがある。
ここで、表面4aの海島構造部の寸法、形状(分岐の有無等)、及び面積は、顕微鏡写真で観察される二次元的な形状に基づいて測定及び評価できる。また、上記した平均値、平均幅、及び平均高さの各々は、表面4aにおける任意の10箇所以上の位置において測定した測定値を平均した値である。
原型4の表面4aは、海島構造が形成されることで、レンズ状(海島状)の凸部が形成されるのが防止されている。第1実施形態及びその変形例における遮光層3の表面3a、及び第2実施形態の遮光フィルム21の各面21a,21bには、このような原型4の表面4aの形状が転写されている。
なお複数の海島構造部は、互いに独立していてもよいし、繋がっていてもよい。原型4の相分離及び海島構造は、所定の原料溶液を用いて、液相からスピノーダル分解(湿式スピノーダル分解)を行うことにより形成される。原型4の表面形状及び製造方法の詳細については、例えば、特許第6190581号公報の記載を参照できる。
ここで、原型4が含む複数の樹脂成分は、相分離可能なものであればよいが、海島構造部が形成され且つ高い耐擦傷性を有する原型4を得る観点から、ポリマー及び硬化性樹脂を含むことが好ましい。
原型4が含むポリマーとしては、熱可塑性樹脂を例示できる。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体等)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類等)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等)等を例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上の組み合わせで使用できる。
またポリマーとしては、硬化反応に関与する官能基、又は、硬化性化合物と反応する官能基を有するものも例示できる。このポリマーは、官能基を主鎖又は側鎖に有していてもよい。
前記官能基としては、縮合性基や反応性基(例えば、ヒドロキシル基、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基又はイミノ基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基等)、重合性基(例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、アリル基等のC2−6アルケニル基、エチニル、プロピニル、ブチニル基等のC2−6アルキニル基、ビニリデン基等のC2−6アルケニリデン基、又はこれらの重合性基を有する基((メタ)アクリロイル基等)等)等を例示できる。これらの官能基のうち、重合性基が好ましい。
また原型4には、複数種類のポリマーが含まれていてもよい。これらの各ポリマーは、液相からのスピノーダル分解により相分離可能であってもよいし、互いに非相溶であってもよい。複数種類のポリマーに含まれる第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わせは特に制限されないが、加工温度付近で互いに非相溶なものを使用できる。
例えば、第1のポリマーがスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等)である場合、第2のポリマーとしては、セルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル類)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステル等)等を例示できる。
また例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーとしては、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等)、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステル等)等を例示できる。
複数種類のポリマーには、少なくともセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースC2−4アルキルカルボン酸エステル類)が含まれていてもよい。
ここで、原型4の相分離による海島構造は、原型4の製造時に、複数の樹脂成分に含まれていた硬化性樹脂の前駆体が活性エネルギー線(紫外線又は電子線等)や熱等により硬化することで固定される。また、このような硬化性樹脂により、原型4に耐擦傷性が付与される。
原型4の耐擦傷性を得る観点から、複数種類のポリマーに含まれる少なくとも一つのポリマーは、硬化性樹脂前駆体と反応可能な官能基を側鎖に有するポリマーであることが好ましい。相分離による海島構造を形成するポリマーとしては、上記した互いに非相溶な2つのポリマー以外に、熱可塑性樹脂や他のポリマーが含まれていてもよい。第1のポリマーの重量M1と第2のポリマーの重量M2との重量比M1/M2、及び、ポリマーのガラス転移温度は、適宜設定可能である。
硬化性樹脂前駆体としては、活性エネルギー線(紫外線又は電子線等)や熱等により反応する官能基を有し、この官能基により硬化又は架橋して樹脂(特に硬化性樹脂又は架橋樹脂)を形成する硬化性化合物を例示できる。
このような化合物としては、熱硬化性化合物又は熱硬化性樹脂(エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基等を有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等))、紫外線や電子線等により硬化する光硬化性(電離放射線硬化性)化合物(光硬化性モノマー、オリゴマー等の紫外線硬化性化合物等)等を例示できる。
好ましい硬化性樹脂前駆体としては、紫外線や電子線等により短時間で硬化する光硬化性化合物を例示できる。このうち、特に紫外線硬化性化合物が実用的である。耐擦傷性等の耐性を向上させるため、光硬化性化合物は、分子中に2以上(好ましくは2〜15、更に好ましくは4〜10程度)の重合性不飽和結合を有することが好ましい。具体的に光硬化性化合物は、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体であることが好ましい。
硬化性樹脂前駆体には、その種類に応じた硬化剤が含まれていてもよい。例えば熱硬化性樹脂前駆体には、アミン類、多価カルボン酸類等の硬化剤が含まれていてもよく、光硬化性樹脂前駆体には、光重合開始剤が含まれていてもよい。光重合開始剤としては、慣用の成分、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類等を例示できる。
また硬化性樹脂前駆体には、硬化促進剤が含まれていてもよい。例えば光硬化性樹脂前駆体には、光硬化促進剤、例えば、第三級アミン類(ジアルキルアミノ安息香酸エステル等)、ホスフィン系光重合促進剤等が含まれていてもよい。
(変形例1に係る原型)
図7は、変形例1に係る原型14を示す拡大断面図である。原型14は、マトリクス樹脂15と、マトリクス樹脂15中に分散された複数の微粒子16とを含む。
微粒子16は、真球状に形成されているが、これに限定されず、実質的な球状や楕円体状に形成されていてもよい。また微粒子16は、中実に形成されているが、中空に形成されていてもよい。微粒子16が中空に形成されている場合、微粒子の中空部には、空気或いはその他の気体が充填されていてもよい。マトリクス樹脂15中には、複数の微粒子16が一次粒子として分散していてもよいし、複数の微粒子16が凝集して形成された複数の二次粒子が分散していてもよい。
微粒子16は、平均粒径が0.1μm以上10.0μm以下の範囲の値に設定されている。微粒子16の平均粒径は、1.0μm以上5.0μm以下の範囲の値であることが一層望ましく、1.0μm以上4.0μm以下の範囲の値であることがより好ましい。
また、微粒子16の粒径のバラツキは小さい方が望ましく、例えば、原型14に含まれる微粒子の粒径分布において、原型14に含まれる微粒子の50重量%以上の平均粒径が2.0μm以内のバラツキに収められていることが望ましい。
このように、粒径が比較的均一に揃えられ且つ平均粒径が上記範囲に設定された微粒子16により、原型4の表面14aには均一且つ適度な凹凸が形成される。
マトリクス樹脂15中に分散される微粒子16は、無機系及び有機系のいずれのものでもよいが、良好な透明性を有するものが好ましい。有機系微粒子としては、プラスチックビーズを例示できる。プラスチックビーズとしては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等を例示できる。
スチレンビーズは、架橋スチレンビーズでもよく、アクリルビーズは、架橋アクリルビーズでもよい。プラスチックビーズは、表面に疎水基を有するものが望ましい。このようなプラスチックビーズとしては、スチレンビーズを例示できる。
マトリクス樹脂15としては、活性エネルギー線により硬化する光硬化性樹脂、塗工時に添加した溶剤の乾燥により硬化する溶剤乾燥型樹脂、及び、熱硬化性樹脂の少なくともいずれかを例示できる。
光硬化性樹脂としては、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマー、プレポリマー、反応性希釈剤を例示できる。
これらの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を例示できる。
光硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノスルフィド、チオキサントン類を例示できる。また光硬化性樹脂には、光増感剤を混合して用いることも好ましい。光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等を例示できる。
溶剤乾燥型樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を例示できる。この熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマー等を例示できる。溶剤乾燥型樹脂としては、有機溶媒に可溶であって、特に、成形性、製膜性、透明性、及び耐候性に優れる樹脂が望ましい。このような溶剤乾燥型樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)を例示できる。
(変形例2に係る原型)
図8は、変形例2に係る原型24を示す拡大断面図である。原型24は、表面24aに凹凸形状が賦形された構造を有する。原型24は、一例として、原型14のマトリクス樹脂15と同様の樹脂17により構成されている。
原型4は、例えば、板材の表面に所定の未硬化材料を塗布し、この未硬化材料の表面を金型により凹凸形状に賦形した後、該未硬化材料を硬化することにより得られる。金型は、ロール状金型以外でもよく、例えば、板状金型(エンボス板)でもよい。金型の材質は、一例として、金属、プラスチック、及び木を例示できる。
金型の表面をブラスト粒子によりブラスト処理することで、金型の表面に凹凸を形成できる。ブラスト粒子の材質としては、一例として、金属、シリカ、アルミナ、及びガラスを例示できる。ブラスト粒子は、例えば、気体又は液体の圧力により金型の表面に衝打させることができる。
ブラスト粒子の平均粒径は、適宜設定可能であるが、一例として、10μm以上50μm以下の範囲の値に設定できる。ブラスト粒子の平均粒径は、20μm以上45μm以下の範囲の値が一層望ましく、30μm以上40μm以下の範囲の値がより望ましい。このように、粒径が比較的均一に揃えられ且つ平均粒径が上記範囲に設定されたブラスト粒子により、金型の表面に均一且つ適度な凹凸が形成される。よって、この金型を用いて賦形することで、表面24aに凹凸形状が転写された原型24が得られる。
(確認試験)
図1に示す遮光フィルム1を実施例1として作製した。基材フィルム2として、黒色顔料を含むPETからなるフィルムを用いた。紫外線硬化性樹脂であるウレタンアクリル系樹脂の前駆体(DIC(株)製「ユニデックV−4025」)72部、活性化合物(三洋化成(株)製「サンラッドSLP―003」)5部、黒色微粒子5(カーボンブラック分散体(御国色素(株)製「MHIブラック#273」をカーボンブラックとして10重量%含むもの)20部、重合開始剤(BASF(株)製「イルガキュア184」)3部を混合することにより、遮光層3の未硬化材料30を調製した。
また、実施例1の作製に用いる原型4として、複数の樹脂成分を含み、複数の樹脂成分の相分離により形成された海島構造を有する原型フィルムを用いた。この原型フィルムとして、膜厚寸法50μm、表面の算術平均粗さ(Ra)1.5、未硬化材料の表面(遮光層3の表面3a)に被着される表面4aの入射角20度における光沢度が、0.0%、入射角60度における光沢度が、3.0%、入射角85度における光沢度が、20.0%に設定されたものを用いた。
また、図5に示す遮光フィルム21を実施例2として作製した。遮光フィルム21の組成は、実施例1の遮光層3と同様のものとした。また、実施例2の遮光フィルム21の作製に用いる原型4として、実施例1の原型フィルムと同様のものを使用した。
また、入射角60度及び85度における光沢度と、表面粗さ(Ra,Sa,Sq)とが実施例1のものと異なる以外は実施例1と同様の遮光フィルム1を実施例3として作製した。実施例3の作製に際しては、実施例1で用いたものとは表面形状が異なる原型4を用いた。
また比較用として、表1に示す構成及び物性を有する比較例1,2の遮光フィルムを用意した。比較例1,2の遮光フィルムが備える遮光層では、熱硬化性樹脂がバインダー樹脂として用いられている。
実施例1〜3及び比較例1,2の各遮光フィルムにおける遮光層(実施例2では遮光フィルム自体)について、鉛筆硬度(JIS K5600に準拠する測定方法に基づく鉛筆硬度)、入射角20度、60度、85度における各光沢度(JlS K7105に準拠する測定方法に基づく光沢度)、光学濃度、表面粗さ(Ra,Sa,Sq)(JIS B 0601(1994年版)及びISO25178に準拠する測定方法に基づく各表面粗さ)、及び表面抵抗値(JIS K7194に準拠する測定方法に基づく表面抵抗値)をそれぞれ測定した。
ここで算術平均粗さ(Sa)は、表面の平均面に対する複数点の高さの差の絶対値の平均を示す。二乗平均平方根高さ(Sq)は、平均面からの距離の標準偏差のパラメータに相当する。各測定結果を表1に示す。表1中の「CB」は遮光層、「基材」は基材フィルム、「黒PET」は黒色顔料を含むPETをそれぞれ示す。
Figure 0006745295
表1に示すように、実施例1〜3のいずれについても比較例1,2よりも良好な結果が得られた。特に実施例1及び3の鉛筆硬度は、比較例1,2における各鉛筆硬度よりも大幅に優れ、高い耐擦傷性を有することが分かった。このように実施例1及び3が高い鉛筆硬度を有する理由としては、遮光層3が光硬化性樹脂を含むことが考えられる。実施例2の鉛筆硬度は比較例1の鉛筆硬度と同じHBであったが、実施例2の遮光フィルム21の組成が実施例1の遮光層3の組成と同一であるため、実施例2は、実施例1の遮光層3と同様の耐擦傷性を有するものと考えられる。
また、実施例1〜3の入射角85度における各光沢度の値は、いずれも比較例1,2の入射角85度における各光沢度の値よりも大幅に低く、20%以下(本試験では9.5%以下)の値であった。
また、実施例1,3の遮光層3と、実施例2の遮光フィルム21とは、黒色微粒子5以外の無機微粒子又は有機微粒子を含まない。このため、実施例1,3の遮光層3と、実施例2の遮光フィルム21とは、肉眼観察により、白っぽく見えるのが抑えられると共に良好な黒色に着色していることが分かった。
また、実施例1,2の表面粗さ(Ra,Sa,Sq)の値は、いずれも比較例1,2の表面粗さ(Ra,Sa,Sq)の値よりも高い値であった。また、実施例3のの表面粗さ(Ra,Sa,Sq)の値は、比較例1,2の表面粗さ(Ra,Sa,Sq)の値とほぼ同等であった。この結果から、原型4として、複数の樹脂成分を含み、複数の樹脂成分の相分離により形成された海島構造を有する原型フィルムを用いることにより、遮光フィルムの表面に優れたアンチグレア性を安定した品質で付与できることが分かった。また実施例1〜3は、いずれも比較例1,2と同等の光学濃度と表面抵抗値とを有することが分かった。
本発明は、各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その構成及び方法を変更、追加、又は削除できる。
以上のように本発明は、表面にアンチグレア性を有する遮光層を備える遮光フィルムにおいて、遮光層のバインダー樹脂として光硬化性樹脂を用いる場合でも遮光フィルムを良好に製造できる優れた効果を有する。従って、この効果の意義を発揮できる遮光フィルム及び遮光フィルムの製造方法に本発明を広く適用すると有益である。
1,11,21 遮光フィルム
2 基材フィルム
3,13 遮光層
4,14,24 原型
5 黒色微粒子
6 バインダー樹脂
30 未硬化材料

Claims (15)

  1. 内部に黒色微粒子が分散された少なくとも1つの遮光層を備える遮光フィルムであって、
    前記遮光層は、前記黒色微粒子と、光硬化性のバインダー樹脂と、光照射により前記バインダー樹脂の前駆体の重合開始剤を活性化させる光活性化合物とを含むと共に、表面に凹凸が形成されていることにより、前記表面がアンチグレア性を有
    前記光活性化合物が、前記重合開始剤を直接光照射しない状態で活性化可能な化合物であり、且つ、活性エネルギー線、酸及び塩基から選ばれる少なくとも1種によりチオールを発生する化合物であって、骨格(−S−C=(N)−N)を有する、遮光フィルム。
  2. 前記遮光層の前記表面の入射角85度における光沢度が、20%以下の値に設定されている、請求項1に記載の遮光フィルム。
  3. 前記遮光層は、前記黒色微粒子以外の無機微粒子の含有量、又は、有機微粒子の含有量が、0重量%以上10重量%以下の範囲の値に設定されている、請求項1又は2に記載の遮光フィルム。
  4. 前記遮光層の前記表面における算術平均粗さが、0.03μm以上3.0μm以下の範囲の値に設定されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遮光フィルム。
  5. 前記黒色微粒子は球状であり、一次粒径が、10nm以上500nm以下の範囲の値に設定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮光フィルム。
  6. 前記黒色微粒子は、カーボンナノチューブである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮光フィルム。
  7. 前記遮光層の波長380nm以上780nm以下の範囲の値における光学濃度が、5.0以上の値に設定され、前記遮光層の表面抵抗値が、1×1012Ω/□以下の値に設定されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の遮光フィルム。
  8. 表面に前記遮光層に接して配置された基材フィルムを更に備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の遮光フィルム。
  9. 前記基材フィルムの厚み寸法が、1μm以上188μm以下の範囲の値に設定されている、請求項8に記載の遮光フィルム。
  10. 内部に黒色微粒子が分散された少なくとも1つの遮光層を備える遮光フィルムであって、
    前記遮光層は、前記黒色微粒子と、光硬化性のバインダー樹脂と、光照射により前記バインダー樹脂の前駆体の重合開始剤を活性化させる光活性化合物とを含むと共に、表面に凹凸が形成されていることにより、前記表面がアンチグレア性を有し、前記光活性化合物が、前記重合開始剤を直接光照射しない状態で活性化可能な化合物であり、且つ、活性エネルギー線、酸及び塩基から選ばれる少なくとも1種によりチオールを発生する化合物であって、骨格(−S−C=(N)−N)を有し、
    前記遮光層の鉛筆硬度が2H以上の値に設定され、且つ、前記遮光層の光学濃度が5.0以上の値に設定されている、遮光フィルム。
  11. 黒色微粒子と、光硬化性のバインダー樹脂の前駆体と、前記バインダー樹脂の前駆体の重合開始剤と、光照射により前記重合開始剤を活性化させる光活性化合物とを含む未硬化材料を、凹凸が形成されていることにより表面がアンチグレア性を有する原型の前記表面に被着させる被着ステップと、
    前記未硬化材料を前記原型の前記表面に被着させた状態で光硬化させることにより、表面に前記原型の前記表面の形状が転写された遮光層を形成する硬化ステップと、を有し、
    前記光活性化合物として、前記重合開始剤を直接光照射しない状態で活性化可能な化合物であり、且つ、活性エネルギー線、酸及び塩基から選ばれる少なくとも1種によりチオールを発生する化合物であって、骨格(−S−C=(N)−N)を有するものを用いる、遮光フィルムの製造方法。
  12. 前記被着ステップでは、前記原型として、光透過性の原型フィルムを用いる、請求項11に記載の遮光フィルムの製造方法。
  13. 前記被着ステップでは、前記光透過性の原型フィルムとして、複数の樹脂成分を含み、複数の樹脂成分の相分離により形成された海島構造を有する原型フィルムを用いる、請求項12に記載の遮光フィルムの製造方法。
  14. 前記被着ステップでは、前記未硬化材料を支持部材の表面に塗布し、前記未硬化材料を前記支持部材により支持した状態で、前記未硬化材料に前記原型の前記表面を被着させ、
    前記硬化ステップ後に、前記遮光層を前記原型と前記支持部材とから剥離する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の遮光フィルムの製造方法。
  15. 前記被着ステップでは、前記未硬化材料を基材フィルムの少なくとも一方の面に塗布した状態で、前記未硬化材料に前記原型の前記表面を被着させ、
    前記硬化ステップ後に、前記遮光層を前記原型から剥離する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の遮光フィルムの製造方法。
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