JP2011111463A - ボールねじ用潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)40℃における動粘度が10〜60mm2/sである基油と、
(B)重量平均分子量が3,000〜100,000のオレフィン系共重合体を組成物全量に対して5〜50質量%、
(C)硫黄−リン系極圧剤を組成物全量に対して0.1〜10質量%、及び
(D)モリブデン化合物を組成物全量に対してモリブデン量で0.001〜1.0質量%を含有し、
かつ組成物の40℃における動粘度が50〜350mm2/sであり、15℃における密度が0.820〜0.860g/cm3であることを特徴とするボールねじ用潤滑油組成物。
【選択図】 なし
Description
(B)重量平均分子量が3,000〜100,000のオレフィン系共重合体を組成物全量に対して5〜50質量%、
(C)硫黄−リン系極圧剤を組成物全量に対して0.1〜10質量%、及び
(D)モリブデン化合物を組成物全量に対してモリブデン量で0.001〜1.0質量%を含有させ、
かつ組成物の40℃における動粘度を50〜350mm2/sにし、15℃における密度を0.820〜0.860g/cm3にすることにより、ボールねじ用に適した高い極圧性を有する潤滑油を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(B)重量平均分子量が3,000〜100,000のオレフィン系共重合体を組成物全量に対して5〜50質量%、
(C)硫黄−リン系極圧剤を組成物全量に対して0.1〜10質量%、及び
(D)モリブデン化合物を組成物全量に対してモリブデン量で0.001〜1.0質量%を含有し、
かつ組成物の40℃における動粘度が50〜350mm2/sであり、15℃における密度が0.820〜0.860g/cm3であることを特徴とするボールねじ用潤滑油組成物を提供する。
本発明の潤滑油組成物の40℃における動粘度は、JIS K2283動粘度試験方法において50〜350mm2/sであり、好ましくは100〜300mm2/sであり、特に好ましくは130〜250mm2/sである。50mm2/s未満では、油膜保持性が低下し、十分な油膜が得られないため、極圧性が低下する。一方、350mm2/sを超えると、摺動部分の抵抗が大きくなり、ボールねじを構成する微小なボール間の接触面に潤滑油が入りこみにくくなるため、油膜が切れやすくなり、ボール接点に金属接触が発生しやすくなってしまう。また、大型機ではボールねじ部分の潤滑油を循環使用するために、ポンプに大きな負荷がかかってしまう。
本発明の潤滑油組成物に用いる基油の40℃における動粘度は、JIS K2283動粘度試験方法において、10〜60mm2/sで、好ましくは15〜60mm2/s、より好ましくは15〜50mm2/sである。上記の動粘度の範囲を外れると、本発明で必要な所定の成分を所定量配合した上で本発明で必要な組成物の動粘度とすることが難しくなり、ボールねじ用潤滑油として必要な性能が得づらくなる。
本発明の潤滑油に用いる基油の密度には特に限定はないが、本発明の組成物の性状と組成に調整しやすいという観点からは、15℃における密度はJIS K2249に準拠の方法で測定される値が0.820〜0.860g/cm3のものが好ましく、0.820〜0.850g/cm3のものがより好ましい。
本発明の潤滑油組成物に用いる基油としては、上記動粘度を満たすものであれば特に制限はなく、鉱油系基油や合成系基油やその混合物を使用することができる。鉱油系基油としては、例えば、原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製、水素化分解精製、水素化脱蝋などの精製法を適宜組合せて精製したものが挙げられる。合成系基油としては、例えば、α−オレフィンオリゴマー、メタン等の天然ガス等を原料としてフィッシャー−トロプシュ合成によって得られたワックスを原料として製造される基油、ジアルキルジエステル類、ポリオール類、アルキルベンゼン類、ポリグリコール類、フェニルエーテル類などが挙げられる。
基油としては、一種類の基油を使用してもよいし、二種類以上の基油を混合して使用してもよい。二種類以上の基油を混合して使用する場合には、混合後の基油の動粘度が上記の動粘度の範囲内にあればよく、例えば上記の動粘度の範囲を外れる基油どうしを混合して上記の動粘度の範囲内に調整してもよいが、使用する基油全てが上記の動粘度の範囲内にあることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物では、重量平均分子量が3,000〜50,000のオレフィン系共重合体が組成物全量に対して5〜50質量%配合される。これにより組成物の所定の動粘度と密度を確保しやすくなり、高面圧下で良好な極圧性を得やすくなる。なお、オレフィン共重合体に代えてポリメタクリレートを使用した場合には、ボールねじ用潤滑油として十分な性能が得られない。これは、ポリメタクリレートはオレフィン共重合体よりも密度が高いため、高圧粘度が高くなってしまうためと考えられる。
エチレンとエチレン以外のモノマーのモル比は特に制限されないが、好ましくは80:20〜20:80であり、より好ましくは70:30〜30:70であり、さらに好ましくは65:35〜35:65である。
オレフィン系共重合体は、規則的交互重合体、ランダム重合体、ブロック重合体またはグラフト重合体のいずれであってもよい。また、モノマー由来の極性基を有する分散型であっても、極性基を有さない非分散型であってもよい。
本発明の潤滑油組成物には、硫黄−リン系極圧を組成物全量に対して0.1〜10質量%配合される。
本発明の潤滑油組成物に用いられる硫黄−リン系極圧剤としては、硫黄系極圧剤とリン系極圧剤とを組みあわせて配合したものや、硫黄−リン系化合物が挙げられる。
上記の硫黄−リン系極圧剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の潤滑油組成物は、モリブデン化合物を組成物全量に対しモリブデン量換算で0.001〜1質量%含有する。
本発明で用いられる有機モリブデン化合物としては、モリブデン酸アミン、モリブデンジチオホスフェート、モリブデンジチオカーバメートなどが挙げられる。
モリブデンジチオホスフェートとしては、一般式(3)の構造を有する化合物が挙げられる。
上記モリブデン化合物の中で、最も好ましいものはモリブデン酸アミンである。ボールねじ用潤滑油は高い熱酸化安定性を求められるが、上記に例示したモリブデン化合物の内、モリブデン酸アミンがより熱酸化安定性に優れているためである。
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて各種公知の添加剤を配合することができる。例えば酸化防止剤、油性剤、清浄分散剤、さび止め剤、金属不活性化剤、流動点降下剤、泡消剤、抗乳化剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール系酸化防止剤、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、ホスホン酸エステル等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
清浄分散剤としては、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸エステル等の無灰系清浄分散剤、アルカリ土類金属系清浄分散剤が挙げられる。
さび止め剤としては、カルボン酸、金属セッケン、カルボン酸アミン塩、スルホン酸の金属塩、多価アルコールの部分エステル等が挙げられる。
流動点降下剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリブテン、ポリアルキルスチレン、ポリビニルアセテート、ポリアルキルアクリレート等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン油やエステル系消泡剤等が挙げられる。
抗乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等の抗乳化剤が挙げられる。
これら添加剤は、1種を単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のボールねじ用潤滑油組成物は、射出成形機やプレス機など、ボールねじが使用される機械に最適に使用することができる。
実施例及び比較例のボールねじ用潤滑油組成物を、ボールねじに適していることを示すために、以下に示す評価方法を行った。
下表に記載の潤滑油について、後述の方法により、ボール型のSRV試験機での摩擦係数とシェル四球試験の融着荷重を評価した。
ボール型のSRV試験機で摩擦係数を評価した理由は、評価の対象となる接触部分が点接触で高面圧であり、点接触で高面圧であるボールねじにおけるボールとナットの接触状態と共通しており、ボールねじ用潤滑油の評価に適しているためである。
また、SRV試験における摩擦係数の評価と併せて、シェル四球試験における融着荷重も測定した理由は、SRV試験では摩耗が大きくなりすぎることが原因で摩擦係数が低下する場合があり、その場合にはSRV試験機での摩擦係数の評価だけでは適切な評価ができないためである。シェル四球試験は、高速回転状態で点接触しているシェル四球が融着するときの荷重を測定するものであり、高速回転の点接触で高面圧であるボールねじにおけるボールとナットの接触状態と共通しており、ボールねじ用潤滑油の評価に適しているためである。
なお、極圧性を評価する方法としては、ギヤ油の極圧性評価などで用いられるシリンダー型のSRV試験機やFZG試験機があるが、これらの極圧性の評価の対象となる接触部分は線接触であるため、その面圧はボールねじでのボール間の接触面での面圧ほどは高くなく、高面圧での極圧性が要求されるボールねじ用潤滑油の評価方法としては適さない。
(1)基油
水素化分解鉱油
A−1:40℃動粘度43.5mm2/s,15℃密度が0.845g/cm3、
%CAが0.4%、
A−2:40℃動粘度18.0mm2/s,15℃密度が0.824g/cm3、
%CAが0.1%以下、
水素化精製鉱油
A−3:40℃粘度が30.8mm2/s、15℃密度が0.855g/cm3、
%CAが0.4%以下、
A−4:1−デセンモノマーの2〜5量体からなるポリαオレフィン、
40℃粘度が43.7mm2/s、15℃密度が0.832g/cm3、
%CAが0%、
(フルフラール溶剤抽出、ベンゾケトンによる溶剤脱蝋処理をした鉱油)
A’−5:40℃粘度が99.0mm2/s、15℃密度が0.885g/cm3、
%CAが7.7%以下、
A’−6:40℃粘度が510mm2/s、15℃密度が0.901g/cm3、
%CAが8.4%以下、
ポリマー
B−1:重量平均分子量16,000のエチレン/プロピレン共重合体(エチレン/プロピレンのモル比が53/47)、15℃密度が0.852g/cm3、
B’−2:重量平均分子量53,000のポリメタクリレート、15℃密度が0.938g/cm3、
C−1:硫黄−リン系極圧剤(硫化オレフィン53質量%、アルキルホスフェートアミン塩及びチオホスフェート33質量%(S分27質量%、P分1.4質量%))、
C−2:硫黄系極圧剤(硫化エステル(S分15質量%))、
C−3:リン系極圧剤(トリクレジルホスフェート(P分4.5質量%))、
モリブデン化合物
D−1:モリブデン酸のジトリデシルアミンとの反応物(Mo量4.4質量%)、
(1)高圧粘度
高圧粘度は、以下のBarusの式を用いて、温度:100℃、圧力:1.7GPaでの絶対粘度を算出した。
Barusの式は一般式(4)で表される。
また、一般式(4)における粘度圧力係数αは下記一般式(5)で表される大野の式を用いて算出した。
さらに、粘度温度傾斜係数Bは、ASTM D341−93 による一般式(6)を用いて算出した。
(1)SRV試験
ボール,ディスクの材質:SUJ2
荷重300N,振動数50Hz,振幅1mm,温度80℃
評価:摩擦係数
0.09未満:◎ 0.095未満:○ 0.1未満:△ 0.1以上:×
回転数1800rpm,試験時間10sec
評価:融着荷重N
2450N以上:○ 1960N以上:△ 1960N未満:×
Claims (1)
- (A)40℃における動粘度が10〜60mm2/sである基油と、
(B)重量平均分子量が3,000〜100,000のオレフィン系共重合体を組成物全量に対して5〜50質量%、
(C)硫黄−リン系極圧剤を組成物全量に対して0.1〜10質量%、及び
(D)モリブデン化合物を組成物全量に対してモリブデン量で0.001〜1.0質量%を含有し、
かつ組成物の40℃における動粘度が50〜350mm2/sであり、15℃における密度が0.820〜0.860g/cm3であることを特徴とするボールねじ用潤滑油組成物。
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