JP2011111351A - 高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法 - Google Patents

高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法 Download PDF

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眞 水谷
Masatoshi Shibata
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Abstract

【課題】多大なエネルギーや煩雑なプロセスが不要であり、製造コストを低減することが可能な高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】所定量の水の存在下で、インジウム錫酸化物粉末とフッ素化合物とを所定比率で混合し、低酸素雰囲気下、低温で焼成することにより、または酸化インジウム粉末と酸化第二錫粉末とフッ素化合物とを所定比率で混合し、低酸素雰囲気下、低温で焼成することにより、高導電性インジウム錫酸化物微粒子を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性塗料、熱線反射塗料などの塗料、着色材、帯電防止材、静電気防止材、電磁波シールド材などの機能性材料の添加剤などとして用いられる溶媒分散性に優れたインジウム錫酸化物微粒子の製造方法に関する。
近年、電子材料、触媒、医薬・化粧品等の幅広い分野で微粒子を製造する技術へのニーズが高まっている。特にインジウム錫酸化物(ITO)を主成分とする導電性酸化物微粒子は、その高導電性である特徴を利用し、透明導電性膜への利用が盛んになっている。この導電性酸化物微粒子を透明導電性皮膜とする方法としては、例えば、一次粒子径約0.2μm以下の導電性酸化物微粒子の粉末を、溶媒とバインダー樹脂とからなる溶液中に分散させ、これを、ガラス、プラスチック等の基材に塗布、印刷、浸漬、スピンコートあるいは噴霧などの手段で塗工し、乾燥する方法がある。
こうして作製した透明導電膜は、ガラス、プラスチック等の帯電防止やほこりの付着防止に有効であり、例えば、ディスプレイや計測器の窓ガラスの帯電防止やほこりの付着防止に利用されている。
さらに、導電性酸化物微粒子は、ICパッケージ回路、クリーンルーム内装材、各種ガラスやフィルムなどの帯電防止やほこりの付着防止、塗布型透明電極あるいは赤外線遮蔽材料などの用途に利用されはじめてきている。
導電性酸化物微粒子としては、酸化インジウムを主成分とするものがよく知れられており、酸化インジウム単独では一般に十分導電性が高くならないため、4価となる錫などの金属元素を添加し焼成することで導電性の高いインジウム錫酸化物(ITO)としている。
このインジウム錫酸化物微粒子の製造方法としては、例えば、錫とインジウムとを塩化物または硝酸塩として溶解した水溶液をアルカリ水溶液と反応させて、錫とインジウムの水酸化物を共沈させる。そして、この共沈水酸化物を出発原料として、これを大気中で加熱処理して酸化物に変換させたり、より低抵抗化させるために不活性ガス下で焼成したりする溶液法(特許文献1参照)や、インジウムや錫の金属蒸気を酸化してインジウム錫酸化物微粒子を作製する気相法がある。これらの方法で作製されたインジウム錫酸化物微粒子は、たかだか数S/cm(9.8MPaの加圧下)の電気伝導性であり、特に透明電極用途に用いるには電気導電性が低く、その用途が限られている。
また、インジウム錫酸化物微粒子は熱安定性が悪いため、これを解決するためにフッ素化インジウム錫酸化物とする方法がある(特許文献2参照)。
例えば、特許文献2に記載のフッ素化インジウム錫酸化物の製造方法は、「R2O(R=Li、Na、K、Cs)及びR’O(R’=Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)からなる群より選ばれる1種以上と、In23と、SnO2と、B23とを含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質からフッ素ドープインジウム錫酸化物結晶を析出させる工程と、得られた結晶化物から前記フッ素ドープインジウム錫酸化物結晶を分離する工程と、をこの順に含むことを特徴とするフッ素ドープインジウム錫酸化物微粒子の製造方法」となっている。しかし、この方法は、(1)溶融物を得る工程が1200℃以上の温度で、非酸化性雰囲気中で行うという非常にエネルギーを必要とする工程であり、(2)前記溶融物を急速冷却して非晶質物質を得ることが必要であり、(3)前記非晶質物質からフッ素ドープインジウム錫酸化物結晶を析出させる工程を550〜850℃で行い、(4)最後にフッ素ドープインジウム錫酸化物結晶を分離する工程を酸又は水を用いて行うという工程を経るため、多大なエネルギーと煩雑なプロセスとなり製造に非常に時間とコストがかかるものである。
また、フッ素ドープインジウム錫酸化物(フッ素ドープITO)粉末は、赤外線遮蔽ガラス板の膜材料としても使用されている(特許文献3参照)。
例えば、特許文献3には、熱線遮蔽性能の耐熱性に優れたフッ素ドープITO粉末及びその製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献3には、このフッ素ドープITO粉末の導電性に関する記載はなく、フッ素ドープにより導電性が向上すること等は示されていない。さらに、特許文献3に開示された製造方法は、「ITO粉末の分散液にフッ素化合物を混合し、得られた混合液から液媒を除去し、得られた粉末を非酸化性雰囲気中にて300〜800℃で30分間〜24時間焼成すること」に特徴があるとされているが、本発明者らが検討したところ、開示された条件では導電性を向上させることが困難であることがわかった。
特開平1−100023号公報 特開2005−247630号公報 特開2004−338988号公報
そこで、本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、所定量の水の存在下で、インジウム錫酸化物粉末とフッ素化合物とを所定割合で混合し、低酸素雰囲気下、低温で焼成することにより、または酸化インジウム粉末と酸化第二錫粉末とフッ素化合物とを所定割合で混合し、低酸素雰囲気下、低温で焼成することにより、高い導電性を持つインジウム錫酸化物微粒子が得られることを発見し、発明を完成するに至った。
本発明は、多大なエネルギーや煩雑なプロセスが不要であり、製造コストを低減することが可能な高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、
〔1〕 インジウム錫酸化物粉末とフッ素化合物と当該インジウム錫酸化物粉末に対して質量比で1.0以下の水とを、下記式(1)に示す割合のインジウム元素とフッ素元素となるように混合し、得られた混合物を不活性ガスまたは水素ガス雰囲気中で200〜750℃にて加熱することを特徴とする、高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法、
F/MIn=0.001〜0.2 ・・・(1)
ただし、MFおよびMInは、それぞれ、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子おけるフッ素元素の原子数およびインジウム元素の原子数を示す。
〔2〕 酸化インジウム粉末と酸化第二錫粉末とフッ素化合物とを下記式(2)および(3)の割合の錫元素とインジウム元素とびフッ素元素となるように混合し、得られた混合物を不活性ガスまたは水素ガス雰囲気中で200〜750℃にて加熱することを特徴とする、高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法、
Sn/(MIn+MSn)=0.001〜0.3 ・・・(2)
F/(MIn+MSn)=0.001〜0.2 ・・・(3)
ただし、MSn、MInおよびMFは、それぞれ、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子における錫元素の原子数、インジウム元素の原子数およびフッ素元素の原子数を示す。
〔3〕 前記高導電性インジウム錫酸化物微粒子の平均粒子径が1〜100nmである上記〔1〕または〔2〕に記載の高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法、
〔4〕 前記フッ素化合物が、フッ化アンモニウムおよび/またはフッ化水素アンモニウムである上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法、
〔5〕 得られた高導電性インジウム錫酸化物微粒子におけるインジウム元素と錫元素とフッ素元素との原子数の比が下記式(4)に示す割合であり、9.81MPaの加圧時の電気伝導度が1.0×10S/cm以上である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法、
M'F/(M'F+M'In+M'Sn)=0.001〜0.2 ・・・(4)
ただし、M'F、M'InおよびM'Snは、それぞれ、得られたインジウム錫酸化物微粒子におけるフッ素元素の原子数、インジウム元素の原子数および錫元素の原子数を示す。
を提供するものである。
本発明によれば、多大なエネルギーや煩雑なプロセスが不要であり、製造コストを低減することが可能な高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法を提供することができる。
まず、インジウム錫酸化物粉末とフッ素化合物と当該インジウム錫酸化物粉末に対して質量比で1.0以下の水とを、下記式(1)に示す割合のインジウム元素とフッ素元素となるように混合し、得られた混合物を不活性ガスまたは水素ガス雰囲気中で200〜750℃にて加熱することを特徴とする、高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法。
F/MIn=0.001〜0.2 ・・・(1)
ただし、MFおよびMInは、それぞれ、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子おけるフッ素元素の原子数およびインジウム元素の原子数を示す。
について説明する(以下、第1の製造方法と称することがある。)。
第1の製造方法で得られる高導電性インジウム錫酸化物微粒子の粒子径は特に限定されないが、平均粒子径が1〜100nmであることが好ましい。
第1の製造方法では、出発原料として、インジウム錫酸化物粉末およびフッ素化合物を用いる。また、出発原料ではないが、水も用いる。
出発原料のインジウム錫酸化物粉末としては、公知のインジウム錫酸化物粉末(ITO粉末)の製造方法により製造されたものを用いることができ、例えば、インジウム元素の原子数(MIn)と錫元素の原子数(MSn)との割合を、MSn/(MIn+MSn)=0.001〜0.3としたインジウム錫酸化物粉末を用いることができる。
このインジウム錫酸化物粉末の粒子径は特に限定されないが、出発原料の段階で、平均粒子径が1〜100nm程度であると、得られる高導電性インジウム錫酸化物微粒子の平均粒子径を1〜100nmとし易いので、出発原料のインジウム錫酸化物微粒子の平均粒子径をこの範囲にしておくのが好ましい。この出発原料のインジウム錫酸化物粉末の純度は、99.0%以上が好ましい。
また、出発原料のフッ素化合物としては、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、ケイフッ化水素酸、ケイフッ化アンモニウム、ホウフッ化水素酸、ホウフッ化アンモニウム、リンフッ化水素酸、リンフッ化アンモニウム等のフッ素化合物やアルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物等の金属フッ化物などがあるが、安全性と低温での反応性の点から、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムのいずれかまたは両者が好適である。この出発原料のフッ素化合物の純度は、90.0%以上が好ましい。
そして、出発原料のインジウム錫酸化物粉末とフッ素化合物と水とを混合して混合物を作製する。
このときのフッ素化合物の量は、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子おけるインジウム元素の原子数(MIn)に対して、同高導電性インジウム錫酸化物微粒子おけるフッ素元素の原子数(MF)が0.001〜0.2、(上記式(1)のMF/MIn=0.001〜0.2)となるようなフッ素の量を含有する量とする。
なお、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子とは、出発原料中に含まれるインジウム、錫およびフッ素が加熱により揮発しないとしたならば、得られるであろうフッ素含有インジウム錫酸化物微粒子を意味する。
このインジウム元素に対するフッ素元素の原子数(MF/MIn)が0.001〜0.2であれば、後の加熱によってフッ素が揮発しても、得られる高導電性インジウム錫酸化物微粒子におけるインジウム元素の原子数(M'In)と錫元素の原子数(M'Sn)とフッ素元素の原子数(M'F)との合計の原子数(M'F+M'In+M'Sn)に対するフッ素元素の原子数(M'F)すなわち、上記式(4)の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]が0.001〜0.2となるように調整することが容易だからである。
上記式(1)の(MF/MIn)の下限は、好ましくは0.002、さらに好ましくは0.005であり、上限は、好ましくは0.08、さらに好ましくは0.05である。
また、インジウム錫酸化物粉末と混合するフッ素化合物の形態は、特に限定されないが、前記フッ素化合物を、水に溶解した水溶液の状態で前記インジウム錫酸化物粉末と混合すれば、インジウム錫酸化物粉末とフッ素化合物とが均一に混合された混合物を作製し易いので好ましい。
このときの水の量は、出発原料のインジウム錫酸化物粉末に対して質量比で1.0以下の量とする。理由は明確ではないが、この水の量とすることにより、得られるインジウム錫酸化物微粒子の電気伝導度を向上させることができる。この水の量の上限は、好ましくは出発原料のインジウム錫酸化物粉末に対して質量比で0.8以下であり、さらに好ましくは0.5以下である。多すぎると特に原料酸化インジウムの粒子径が大きい場合、アトライタや遊星ボールミルでの粉砕時に粉砕効率が低下し目的の粒子径にできなくなる。下限は特に限定されないが、出発原料のインジウム錫酸化物粉末に対して質量比で0.1以上が好ましい。
また、フッ素化合物の水溶液を作製する際には、フッ素化合物と共に、導電性向上および/または粒子の成長を抑制するために、炭酸アンモニウム等の添加剤を加えるのが好ましい。この添加剤は、水100gに対して、0.1〜5質量%添加するのが好ましい。
インジウム錫酸化物粉末とフッ素化合物とを混合する方法は特に限定されず、たとえば、乳鉢で混合してもよく、アトライタ、ジェットミル、ボールミル、遊星ミル、超音波などを用いた一般的な混合方法により混合してもよい。
特に、インジウム錫酸化物粉末の粒子径が大きい場合は、遊星ボールミル等の混合粉砕機に、インジウム錫酸化物粉末とフッ素化合物の水溶液とを入れ、インジウム錫酸化物粉末を粉砕しながら、混合し、平均粒子径が1〜100nm程度の混合物とすることが可能である。
そして、得られた混合物を不活性ガスまたは水素ガス雰囲気中で200〜750℃にて加熱する。
加熱の方法は、特に限定されず、一般的な電気炉やマイクロ波加熱炉などを用いることができる。加熱温度を200〜750℃とするのは、200℃以上であれば、インジウム錫酸化物とフッ素との反応が効率的に起こるからであり、750℃以下であれば、フッ素の脱離が少なく、粒成長により粒子が大きくなりすぎることもないからである。
この加熱温度の下限は、好ましくは220℃、さらに好ましくは250℃であり、上限は、好ましくは700℃、さらに好ましくは650℃である。
また、所定の加熱温度までの昇温速度は、特に限定されず、例えば、10〜50℃/分程度の昇温速度で昇温することができる。
本発明による電気伝導度の向上はフッ素が酸素を置換して自由電子が生成したことと、不活性ガス雰囲気または水素ガス雰囲気で加温することによる脱酸素による自由電子の生成が考えられ、低温でフッ素量が多ければフッ素の自由電子生成効果が優勢になり、比較的高温になれば酸素欠損による導電性向上が優勢になると考えられる。
加熱時間は、特に限定されないが、例えば、1〜120分である。加熱時間が1分以上であれば、インジウム錫酸化物粉末にフッ素を効率的に含有させることができ、120分以下であれば、粒成長により粒子が大きくなりすぎることもないからである。加熱時間の下限は、好ましくは5分、さらに好ましくは10分であり、上限は、好ましくは90分、より好ましくは60分である。
なお、加熱時間が長くなると、粒子が成長する傾向にあるが、加熱温度の影響ほどは影響しないようである。
高い導電性を有するインジウム錫酸化物微粒子を得るためには、低酸素雰囲気が好ましいので、加熱雰囲気を不活性ガス雰囲気とするのが好ましい。この不活性ガス雰囲気では、酸素濃度は1体積%以下とするのが好ましい。ここで、本発明の不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン等の不活性ガスのほか、窒素ガスも含まれる。
また、水素がインジウム錫酸化物とフッ素との反応を促進させることから、加熱雰囲気を水素ガス雰囲気とすることも好ましい。ここで、水素ガス雰囲気とは、大気または不活性ガスに水素ガスが含有されたものを意味し、水素ガスを0.5〜5体積%含有するものが好ましい。
そして、この第1の製造方法により、上記式(4)の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]が0.001〜0.2であり、9.81MPaの加圧時の電気伝導度が、1.0×10S/cm以上である高導電性インジウム錫酸化物微粒子が得られる。この高導電性インジウム錫酸化物微粒子では、酸素およびフッ素以外の成分が実質的にインジウムと錫であり、錫のドーピングによる伝導電子の生成に加え、酸素をフッ素が置換する状態で存在すると考えられ、これによって伝導電子がさらに生成し、高い導電性を有し、溶媒に対する分散性が高い導電性微粒子が得られると考えられる。
このように、第1の製造方法によれば、出発原料を混合し、800℃以下の温度で非酸化性雰囲気中で加熱するだけでよく、結晶を分離する操作は必要なく、簡単なプロセスで消費エネルギーも格段と少なくすることができる。
次に、酸化インジウム粉末と酸化第二錫粉末とフッ素化合物とを下記式(2)および(3)の割合の錫元素とインジウム元素とびフッ素元となるように混合し、得られた混合物を不活性ガスまたは水素ガス雰囲気中で200〜750℃にて加熱することを特徴とする、高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法。
Sn/(MIn+MSn)=0.001〜0.3 ・・・(2)
F/(MIn+MSn)=0.001〜0.2 ・・・(3)
ただし、MSn、MInおよびMFは、それぞれ、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子における錫元素の原子数、インジウム元素の原子数およびフッ素元素の原子数を示す。
について説明する(以下、第2の製造方法と称することがある。)。
第2の製造方法で得られる高導電性インジウム錫酸化物微粒子の粒子径は特に限定されないが、平均粒子径が1〜100nmであることが好ましい。
第2の製造方法では、出発原料としては、酸化インジウム粉末、酸化第二錫粉末およびフッ素化合物である。
出発原料の酸化インジウム粉末および酸化第二錫粉末は、公知の酸化インジウム粉末および酸化第二錫粉末の製造方法により製造されたものを用いることができる。この酸化インジウム粉末および酸化第二錫粉末の粒子径は特に限定されないが、出発原料の段階で、それぞれの粉末の平均粒子径が1〜100nm程度であると、得られる高導電性インジウム錫酸化物微粒子の平均粒子径を1〜100nmとし易いので、出発原料の平均粒子径をこの範囲にしておくのが好ましい。この出発原料の酸化インジウム粉末および酸化第二錫粉末の純度は、99.0%以上が好ましい。
出発原料のフッ素化合物としては、前記第1の製造方法で用いることができるフッ素化合物を用いることができる。
そして、出発原料の酸化インジウム粉末と酸化第二錫粉末とフッ素化合物とを混合して混合物を作製する。
このときの酸化インジウム粉末および酸化第二錫粉末の量は、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子おけるインジウム元素の原子数(MIn)と錫元素の原子数(MSn)の合量(MIn+MSn)に対して、同高導電性インジウム錫酸化物微粒子おける錫元素の原子数(MSn)が0.001〜0.3[上記式(2)のMSn/(MIn+MSn)=0.001〜0.3]となるようなインジウムおよび錫の量を含有する量とする。
また、フッ素化合物の量は、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子おけるインジウム元素の原子数(MIn)と錫元素の原子数(MSn)の合量(MIn+MSn)に対して、同高導電性インジウム錫酸化物微粒子おけるフッ素元素の原子数(MF)が0.001〜0.2[上記式(3)のMF/(MIn+MSn)=0.001〜0.2]となるようなフッ素の量を含有する量とする。
なお、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子とは、出発原料中に含まれるインジウム、錫およびフッ素が加熱により揮発しないとしたならば、得られるであろうフッ素含有インジウム錫酸化物微粒子を意味する。
このインジウム元素の原子数(MIn)と錫元素の原子数(MSn)の合量(MIn+MSn)に対する錫元素の原子数[MSn/(MIn+MSn)]が0.001〜0.3であれば、高い導電性を付与することができるようになる。
また、このインジウム元素の原子数(MIn)と錫元素の原子数(MSn)の合量(MIn+MSn)に対するフッ素元素の原子数[MF/(MIn+MSn)]が0.001〜0.2であれば、後の加熱によってフッ素が揮発しても、得られる高導電性インジウム錫酸化物微粒子におけるインジウム元素の原子数(M'In)と錫元素の原子数(M'Sn)とフッ素元素の原子数(M'F)との合計の原子数(M'F+M'In+M'Sn)に対するフッ素元素の原子数(M'F)すなわち、上記式(4)の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]が0.001〜0.2となるように調整することが容易だからである。
[MSn/(MIn+MSn)]の下限は、好ましくは0.001、さらに好ましくは0.002であり、上限は、好ましくは0.2、さらに好ましくは0.1である。また、[MF/(MIn+MSn)]の下限は、好ましくは0.0015、さらに好ましくは0.002であり、上限は、好ましくは0.15、さらに好ましくは0.1である。
これらの出発原料の混合は、酸化インジウム粉末と酸化第二錫粉末とフッ素化合物とを一緒に混合してもよく、まず、酸化インジウム粉末と酸化第二錫粉末とを混合し、これにさらにフッ素化合物を混合してもよく、また、酸化インジウム粉末または酸化第二錫粉末とフッ素化合物とを混合し、これにさらに酸化第二錫粉末または酸化インジウム粉末を混合してもよい。
この出発原料の混合のときには、各混合の段階で、少量の水を添加することが好ましい。添加する水の量は、出発原料の酸化インジウム粉末および/または酸化第二錫粉末の量に対して質量比で0.05〜0.8とするのが好ましく、0.1〜0.5とするのがさらに好ましい。
酸化インジウム粉末および/または酸化第二錫粉末と混合するフッ素化合物の形態は、特に限定されないが、前記フッ素化合物を、水に溶解した水溶液の状態で前記酸化インジウム粉末および/または酸化第二錫粉末と混合すれば、酸化インジウム粉末および/または酸化第二錫粉末とフッ素化合物とが均一に混合された混合物を作製し易いので好ましい。
また、フッ素化合物の水溶液を作製する際には、フッ素化合物と共に、導電性向上および/または粒子の成長を抑制するために、炭酸アンモニウム等の添加剤を加えるのが好ましい。この添加剤は、水100gに対して、0.1〜5質量%添加するのが好ましい。
そして、得られた混合物を不活性ガスまたは水素ガス雰囲気中で200〜750℃にて加熱する。
加熱方法、加熱雰囲気等の加熱条件は、前記第1の製造方法と同様であるので、ここでは、その記載を省略する。
そして、この第2の製造方法により、上記式(4)の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]が0.001〜0.2であり、9.81MPaの加圧時の電気伝導度が、1.0×10S/cm以上である高導電性インジウム錫酸化物微粒子が得られる。この高導電性インジウム錫酸化物微粒子では、酸素およびフッ素以外の成分が実質的にインジウムと錫であり、錫のドーピングによる伝導電子の生成に加え、酸素をフッ素が置換する状態で存在すると考えられ、これによって伝導電子がさらに生成し、高い導電性を有し、溶媒に対する分散性が高い導電性微粒子が得られると考えられる。
このように、第2の製造方法によれば、出発原料を混合し、800℃以下の温度で非酸化性雰囲気中で加熱するだけでよく、結晶を分離する操作は必要なく、簡単なプロセスで消費エネルギーも格段と少なくすることができる。
また、上記第1または第2の製造方法により得られた高導電性インジウム錫酸化物微粒子が分散した分散液について説明する。
本発明のインジウム錫酸化物微粒子を溶媒に分散させることにより、分散液とすることができる。
上記第1または第2の製造方法により得られた高導電性インジウム錫酸化物微粒子は、ゼータ電位が+10mV以上なので、溶媒に対する分散性が高く、高導電性インジウム錫酸化物微粒子が均一に分散した溶液を得ることが可能となる。
この高導電性インジウム錫酸化物微粒子を分散させる溶媒は、特に限定されず、水、有機溶媒等を用いることができる。有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、などがある。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
さらに、必要に応じて、脂肪酸アミン系、スルホン酸アミド系、ε-カプトラクトン系、ハイドロステアリン酸系、ポリカルボン酸系、ポリエステル系などの分散剤を使用することも可能である。
そして、この分散液は、そのまま塗料として用いることもできるが、この分散液に、塗膜形成成分として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂などを加え、これらの樹脂を加えた液を塗料として用いることもできる。
以下、本発明の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
硝酸インジウム(関東化学(株)製)227g、塩化第二錫(関東化学(株)製)24.9gを2.5Lのイオン交換水に溶解した(以下、A溶液という。)。また、炭酸アンモニウム(和光純薬(株)製)121.7gを0.9Lのイオン交換水に溶解した(以下、B溶液という。)。
A溶液を撹拌しながら、25℃に保ち、30分かけてB溶液を滴下した。
その後、溶液の温度を80℃まで加温し、30分間熟成を行った。
次に、デカンテーションにて一回につき2Lのイオン交換水での洗浄を行い、溶液の電気伝導率が0.5mS以下になるまで繰り返し行った。その後大気中300℃で焼成し、インジウム錫酸化物微粒子(以下、ITO−A微粒子と略す。)を得た。
また、フッ化アンモニウム(和光純薬工業(株)製:純度97%)0.081gおよび特級グレードの炭酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製)0.1gを2gの蒸留水に溶解させ、先に作製したITO−A微粒子10gに添加し遊星ボールミルにて1時間混合し、混合粒子を得た。
この蒸留水の量は、ITO−A微粒子に対して質量比で0.2であり、上記式(1)のMF/MInは、0.033であった。
次に、得られた混合粒子を90℃で3時間乾燥させ、乾燥後、この混合粒子をアルミナボートに入れ、このアルミナボートを管状炉の中に挿入し、加熱雰囲気として、水素2体積%を混合した窒素ガスを0.5リットル/分の流量で流した。そして、加熱温度を300℃、加熱時間を30分とするために、室温から300℃まで約20分間かけて昇温し、300℃で30分間保持し、その後加熱を止め、アルミナボートを取り出して冷却し、灰色の粒子を得た。
この灰色の粒子を熱加水分解し、イオンクロマト装置(ICS−2000:ダイオネクス製)によりフッ素含有量を測定し、インジウムおよび錫の量をIPC発光分析により測定したところ、この灰色の粒子は、インジウム錫酸化物にフッ素が含有された粒子であり、インジウムの原子数(M'In)と錫の原子数(M'Sn)とフッ素の原子数(M'F)との合計の原子数(M'F+M'In+M'Sn)に対するフッ素の原子数(M'F)、すなわち、上記式(4)の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]は0.022であった。
〔電気伝導度〕
この灰褐色の粒子について、電気伝導度(σ)を、粒子抵抗測定システム((株)ダイアインスツルメント製)を用い、加圧しながら四探針法により測定し、圧力−電気伝導度のグラフから9.81MPaにおける電気伝導度を得た。
その結果、9.81MPaの加圧時の電気伝導度は、1.5×101S/cmであり、電気伝導性が良好であった。
〔平均粒子径〕
この灰褐色の粒子の平均粒子径を、窒素吸着によるBET比表面積測定法により比表面積を測定し、インジウム錫酸化物の密度(7.12g/cm3)を用いて、下記式から算出した。
平均粒子径(μm)=6/(密度×比表面積)
その結果、平均粒子径は25nmであった。
〔ゼータ電位〕
この灰褐色の粒子について、ゼータ電位測定装置(シスメックス(株)製ゼータサイザーナノシリーズ)でゼータ電位を測定したところ、ゼータ電位は+42mVとプラスの大きな値であった。
この灰褐色の粒子のインジウムの原子数(M'In)と錫の原子数(M'Sn)とフッ素の原子数(M'F)との合計の原子数(M'F+M'In+M'Sn)に対するフッ素の原子数(M'F)、インジウムの原子数(M'In)、錫の原子数(M'Sn)である[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'In/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'Sn/(M'F+M'In+M'Sn)]、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
その結果、この灰褐色の粒子であるインジウム錫酸化物微粒子は、平均粒子径が小さく、電気伝導度が高く、かつゼータ電位が高く、優れた導電性と分散性を有することがわかった。
実施例2
焼成温度を500℃とした他は実施例1と同様の条件で灰色の粒子を得た。
この灰色の粒子の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'In/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'Sn/(M'F+M'In+M'Sn)]、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
その結果、この灰色の粒子であるインジウム錫酸化物微粒子は、平均粒子径が小さく、電気伝導度が高く、かつゼータ電位が高く、優れた導電性と分散性を有することがわかった。
実施例3
フッ化アンモニウムの量を0.162gとした他は実施例1と同様の条件で灰色の粒子を得た。この実施例3の蒸留水の量は、ITO−A微粒子に対して質量比で0.2であり、上記式(1)のMF/MInは、0.066であった。
この灰色の粒子の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'In/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'Sn/(M'F+M'In+M'Sn)]、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
その結果、この灰色の粒子であるインジウム錫酸化物微粒子は、平均粒子径が小さく、電気伝導度が高く、かつゼータ電位が高く、優れた導電性と分散性を有することがわかった。
実施例4
原料インジウム錫酸化物としてシーアイ化成(株)製(商品名ITO−R)を用いた他は実施例3と同様の条件で灰色の粒子を得た。この実施例4の蒸留水の量は、ITO−R微粒子に対して質量比で0.2であり、上記式(1)のMF/MInは、0.066であった。
この灰色の粒子の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'In/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'Sn/(M'F+M'In+M'Sn)]、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
その結果、この灰色の粒子であるインジウム錫酸化物微粒子は、平均粒子径が小さく、電気伝導度が高く、かつゼータ電位が高く、優れた導電性と分散性を有することがわかった。
実施例5
原料である純度99.99%の酸化インジウム粉末(アジア物性株式会社製)94.6gを秤量し、これをメノウ乳鉢に入れ、次いで、原料である純度98%の酸化第二錫粉末(日本化学工業株式会社製)5.4gを秤量し、これを前記メノウ乳鉢に入れた。
さらに蒸留水20gを前記メノウ乳鉢に添加して、原料粉末を混合、粉砕した後乾燥して、酸化インジウムおよび酸化第二錫混合微粒子を作製した。
この蒸留水の量は、酸化インジウム粉末および酸化第二錫粉末の合量に対して質量比で0.2である。
次いで、フッ化アンモニウム(和光純薬工業(株)製:純度97%)0.081gおよび特級グレードの炭酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製)0.1gを2gの蒸留水に溶解させ、先に作製した酸化インジウムおよび酸化第二錫混合微粒子10gに添加し遊星ボールミルにて1時間混合し、混合粒子を得た。その後、さらになる混合、粉砕をするために、遊星ボールミルで6時間混合、粉砕し、混合粉体を得た。
この蒸留水の量は、酸化インジウムおよび酸化第二錫混合微粒子に対して質量比で0.2であり、上記式(2)のMSn/(MIn+MSn)は、0.05であり、上記式(3)のMF/(MIn+MSn)は、0.03である。
次に、得られた混合粉体を90℃で3時間乾燥させ、乾燥後、この混合粉体をアルミナボートに入れ、このアルミナボートを管状炉の中に挿入し、加熱雰囲気として、水素が0.4体積%に混合した窒素ガスを0.5リットル/分の流量で流した。そして、加熱温度を300℃、加熱時間を30分とするために、室温から500℃まで約20分間かけて昇温し、500℃で30分間保持し、その後加熱を止め、アルミナボートを取り出して冷却し、灰褐色の粒子を得た。
この灰褐色の粒子の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'In/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'Sn/(M'F+M'In+M'Sn)]、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
その結果、この灰褐色の粒子であるインジウム錫酸化物微粒子は、平均粒子径が小さく、電気伝導度が高く、かつゼータ電位が高く、優れた導電性と分散性を有することがわかった。
実施例6
原料である純度99.99%の酸化インジウム粉末(アジア物性株式会社製)78.65gを秤量し、これをメノウ乳鉢に入れ、次いで、原料である純度98%の酸化第二錫粉末(日本化学工業株式会社製)21.35gを秤量し、これを前記メノウ乳鉢に入れた。
さらに水20gを前記メノウ乳鉢に添加して、原料粉末を混合、粉砕した後乾燥して、酸化インジウムおよび酸化第二錫混合微粒子を作製した。
この蒸留水の量は、酸化インジウム粉末および酸化第二錫粉末の合量に対して質量比で0.2である。
次いで、フッ化アンモニウム(和光純薬工業(株)製:純度97%)0.02gおよび特級グレードの炭酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製)0.1gを2gの蒸留水に溶解させ、先に作製した酸化インジウムおよび酸化錫混合微粒子10gに添加し遊星ボールミルにて1時間混合し、混合粒子を得た。その後、さらになる混合、粉砕をするために、遊星ボールミルで6時間混合、粉砕し、混合粉体を得た。
この蒸留水の量は、酸化インジウムおよび酸化第二錫混合微粒子に対して質量比で0.2であり、上記式(2)のMSn/(MIn+MSn)は、0.2であり、上記式(3)のMF/(MIn+MSn)は、0.03である。
次に、焼成温度を600℃とした以外は実施例5と同様に実施し、灰褐色の粒子を得た。
この灰褐色の粒子の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'In/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'Sn/(M'F+M'In+M'Sn)]、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
その結果、この灰褐色の粒子であるインジウム錫酸化物微粒子は、平均粒子径が小さく、電気伝導度が高く、かつゼータ電位が高く、優れた導電性と分散性を有することがわかった。
実施例7
原料である純度99.99%の酸化インジウム粉末(アジア物性株式会社製)93.34gを秤量し、これを遊星ボールミル用ナイロンポットに入れ、さらに、フッ化アンモニウム(和光純薬工業(株)製:純度97%)0.2gおよび特級グレードの炭酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製)1gを10gの蒸留水に溶解させた溶液を加えて、遊星ボールミルにて1時間混合した。
この蒸留水の量は、酸化インジウム粉末に対して質量比で0.2である。
次いで、酸化錫8.1質量%分散液(山中産業株式会社製)6.29gを秤量し、これに水10gを加えた溶液を、先に混合した酸化インジウム原料に加えてさらに5時間混合、粉砕し、混合粉体を得た。
この蒸留水の量は、酸化インジウムおよび酸化第二錫の合量に対して質量比で0.11であり、上記式(2)のMSn/(MIn+MSn)は、0.005であり、上記式(3)のMF/(MIn+MSn)は、0.015である。
次に、焼成温度を600℃とした以外は実施例5と同様に実施し、灰色の粒子を得た。
この灰色の粒子の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'In/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'Sn/(M'F+M'In+M'Sn)]、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
その結果、この灰色の粒子であるインジウム錫酸化物微粒子は、平均粒子径が小さく、電気伝導度が高く、かつゼータ電位が高く、優れた導電性と分散性を有することがわかった。
実施例8
焼成雰囲気を窒素とした以外は実施例7と同様に実施し、灰色の粒子を得た。
この灰色の粒子の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'In/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'Sn/(M'F+M'In+M'Sn)]、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
その結果、この灰色の粒子であるインジウム錫酸化物微粒子は、平均粒子径が小さく、電気伝導度が高く、かつゼータ電位が高く、優れた導電性と分散性を有することがわかった。
比較例1
実施例1で作製したITO−Aを処理せずに、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を表1に示す。この粒子は粒子径が小さいものの、電気伝導性が悪かった。
比較例2
焼成温度を150℃にした以外は、実施例1と同様の条件で、薄褐色の粒子を得た。
この薄褐色の粒子の電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
その結果、この薄褐色の粒子であるインジウム錫酸化物粒子は、電気伝導度が1.5×100S/cmであり、導電性が原料のインジウム錫酸化物粒子よりは上昇しているものの、十分には高くはないものであった。
比較例3
焼成温度を900℃にした他は実施例1と同様の条件で青色の粒子を得た。この青色の粒子の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'In/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'Sn/(M'F+M'In+M'Sn)]、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
その結果、この粒子は導電性は良いものの、粒子径が大きくゼータ電位もマイナスとなり分散性が悪いものであった。
比較例4
シーアイ化成(株)製インジウム錫酸化物(商品名ITO−R)を処理せずに、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を表1に示す。この粒子は粒子径が小さいものの、電気伝導性が悪かった。
比較例5
フッ化アンモニウムとインジウム錫酸化物粒子を混合する際、水をインジウム錫酸化物粒子の1.5倍の重量の水を加えた他は実施例5と同様に処理を行った。
この粒子の[M'F/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'In/(M'F+M'In+M'Sn)]、[M'Sn/(M'F+M'In+M'Sn)]、電気伝導度(σ)、平均粒子径およびゼータ電位を測定した結果を加熱条件と共に表1に示す。
この粒子は粒子径が小さいものの導電性が十分には高くならなかった。
Figure 2011111351
本発明の実施例によれば、多大なエネルギーや煩雑なプロセスが不要であり、製造コストを低減することが可能であり、平均粒子径が小さく、電気伝導度およびゼータ電位が高く、優れた導電性と溶媒分散性を有する高導電性インジウム錫酸化物微粒子が得られた。
本発明の高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法によれば、高い導電性を有するインジウム錫酸化物微粒子を製造することができ、この製造方法により得られた高導電性インジウム錫酸化物微粒子は、透明導電性塗料、透明熱線反射塗料などの塗料、着色材、透明帯電防止材、静電気防止材、電磁波シールド材などの機能性材料の添加剤などとして用いることができる。

Claims (5)

  1. インジウム錫酸化物粉末とフッ素化合物と当該インジウム錫酸化物粉末に対して質量比で1.0以下の水とを、下記式(1)に示す割合のインジウム元素とフッ素元素となるように混合し、得られた混合物を不活性ガスまたは水素ガス雰囲気中で200〜750℃にて加熱することを特徴とする、高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法。
    F/MIn=0.001〜0.2 ・・・(1)
    ただし、MFおよびMInは、それぞれ、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子おけるフッ素元素の原子数およびインジウム元素の原子数を示す。
  2. 酸化インジウム粉末と酸化第二錫粉末とフッ素化合物とを下記式(2)および(3)の割合の錫元素とインジウム元素とびフッ素元素となるように混合し、得られた混合物を不活性ガスまたは水素ガス雰囲気中で200〜750℃にて加熱することを特徴とする、高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法。
    Sn/(MIn+MSn)=0.001〜0.3 ・・・(2)
    F/(MIn+MSn)=0.001〜0.2 ・・・(3)
    ただし、MSn、MInおよびMFは、それぞれ、得ようとする高導電性インジウム錫酸化物微粒子における錫元素の原子数、インジウム元素の原子数およびフッ素元素の原子数を示す。
  3. 前記高導電性インジウム錫酸化物微粒子の平均粒子径が1〜100nmである請求項1または2に記載の高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法。
  4. 前記フッ素化合物が、フッ化アンモニウムおよび/またはフッ化水素アンモニウムである請求項1〜3のいずれかに記載の高導電性インジウム錫酸化物微粒子の製造方法。
  5. 得られた高導電性インジウム錫酸化物微粒子におけるインジウム元素と錫元素とフッ素元素との原子数の比が下記式(4)に示す割合であり、9.81MPaの加圧時の電気伝導度が1.0×10S/cm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の高導電性インジウム錫酸化物超微粒子の製造方法。
    M'F/(M'F+M'In+M'Sn)=0.001〜0.2 ・・・(4)
    ただし、M'F、M'InおよびM'Snは、それぞれ、得られたインジウム錫酸化物微粒子におけるフッ素元素の原子数、インジウム元素の原子数および錫元素の原子数を示す。
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