JP2011110565A - アーク溶接用電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スパッタの発生要因となる負荷電流を効率よく低減することができるアーク溶接用電源装置を提供する。
【解決手段】アーク再点弧時を含む所定期間において、インバータ回路11の動作制限と共に、直流リアクトルL2にて生じる直流電力を交流電力に変換してトランスTの一次側に電力回生を行い、負荷電流を低減する電流低減手段(スイッチS5,S6及び制御回路21等)を備えた。つまり、アーク再点弧直後に負荷電流が大きいとアーク力が大となってスパッタが発生するため、その所定期間にインバータ回路11を停止してトランスTの二次側への電力伝達を停止し、またリアクトルL2にて生じる直流電力をスイッチS5,S6のオンオフ動作にて交流電力に変換してトランスTの一次側への電力回生を行い、リアクトルL2に蓄積された電磁エネルギーの消費、即ち負荷電流の低減が図られる。
【選択図】図1
【解決手段】アーク再点弧時を含む所定期間において、インバータ回路11の動作制限と共に、直流リアクトルL2にて生じる直流電力を交流電力に変換してトランスTの一次側に電力回生を行い、負荷電流を低減する電流低減手段(スイッチS5,S6及び制御回路21等)を備えた。つまり、アーク再点弧直後に負荷電流が大きいとアーク力が大となってスパッタが発生するため、その所定期間にインバータ回路11を停止してトランスTの二次側への電力伝達を停止し、またリアクトルL2にて生じる直流電力をスイッチS5,S6のオンオフ動作にて交流電力に変換してトランスTの一次側への電力回生を行い、リアクトルL2に蓄積された電磁エネルギーの消費、即ち負荷電流の低減が図られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、短絡とアークとが交互に繰り返される消耗電極式アーク溶接に用いるアーク溶接用電源装置に関するものである。
消耗電極式のアーク溶接においては、トーチに備えられるワイヤ電極の先端からアークを生じさせ被溶接物(母材)の溶接が行われるが、ワイヤ電極が溶接時に消耗することから、自動送り装置にてワイヤ電極の供給を随時行いながらの溶接となるため、被溶接物との間で短絡とアークとが交互に繰り返されることとなる。これに起因して、アーク再点弧直後の負荷電流(溶接電流)が過大でアーク力が大となるため、溶融金属が飛散する所謂スパッタが多く発生してしまう。
そこで、例えば特許文献1にて示されるアーク溶接用電源装置では、負荷電流を消費する抵抗と、負荷電流が過大となるタイミングでその抵抗側に電流経路を切り替えるスイッチ(IGBT等の半導体スイッチ)とが備えられ、アーク再点弧直後の所定期間に限り、スイッチの動作により抵抗を介した電流経路に切り替えられ、過大な負荷電流が抵抗で消費されるようにしている。これにより、アーク再点弧直後の負荷電流が低減され、スパッタの発生が抑制されるようになっている。
因みに、特許文献1では、アーク再点弧直後の負荷電圧の立ち上がりに基づいてその切り替えを図る構成であるが、特許文献2,3のように、アーク再点弧手前の所定タイミングを検出し、その検出に基づいて上記の切り替えを図ることも考えられる。
ところで、特許文献1のように、負荷電流を抵抗にて消費する構成とした場合、負荷電流を速やかに消費するために、前記抵抗の抵抗値を大きく設定することが望ましい。
しかしながら、例えば抵抗値を3[Ω]と設定した場合であっても、負荷電流が例えば600[A]にもなると、抵抗両端電圧は1800[V]となる。つまり、特許文献1の第6図のように、その抵抗と並列に設けたスイッチの両端には1800[V]もの高電圧が印加されることになるため、これに対応可能な高耐圧のスイッチを用いるのは現実的でない。一方で、スイッチの耐圧を低くするために前記抵抗の抵抗値を小さくすると当然、その抵抗での負荷電流の消費が鈍くなるため、望ましくない。
しかしながら、例えば抵抗値を3[Ω]と設定した場合であっても、負荷電流が例えば600[A]にもなると、抵抗両端電圧は1800[V]となる。つまり、特許文献1の第6図のように、その抵抗と並列に設けたスイッチの両端には1800[V]もの高電圧が印加されることになるため、これに対応可能な高耐圧のスイッチを用いるのは現実的でない。一方で、スイッチの耐圧を低くするために前記抵抗の抵抗値を小さくすると当然、その抵抗での負荷電流の消費が鈍くなるため、望ましくない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、スパッタの発生要因となる負荷電流を効率よく低減することができるアーク溶接用電源装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、スイッチング素子及び還流素子を用いたブリッジ回路で構成され、直流電源からの直流電力をそのスイッチング素子のオンオフ動作にて交流電力に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路からの交流電力を二次側に電力伝達するトランスと、整流素子及び直流リアクトルを用いて構成され、前記トランスの二次側に電力伝達された交流電力を整流し所定の直流電力として負荷側に出力する整流回路と、を備え、被溶接物との間で短絡とアークとを交互に繰り返す消耗電極式アーク溶接に用いるアーク溶接用電源装置であって、アーク再点弧時を含む所定期間において、前記インバータ回路の動作制限と共に、前記直流リアクトルに蓄積された電磁エネルギーに基づいて生じる直流電力を交流電力に変換して前記トランスの一次側に電力回生を行い、負荷電流を低減する電流低減手段を備えたことをその要旨とする。
この発明では、アーク再点弧時を含む所定期間において、インバータ回路の動作制限を行うと共に、直流リアクトルにて生じる直流電力を交流電力に変換してトランスの一次側に電力回生を行い、負荷電流を低減する電流低減手段が備えられる。つまり、アーク再点弧直後に負荷電流が大きいとアーク力が大となってスパッタが発生するため、電流低減手段はアーク再点弧時を含む所定期間に、インバータ回路の停止等の動作制限をしてトランス二次側への電力伝達を制限(停止)すると共に、直流リアクトルにて生じる直流電力を交流電力に変換してトランスの一次側に電力回生を行う。これにより、直流リアクトルに蓄積された電磁エネルギーが効率よく消費され、スパッタの発生要因となる負荷電流が好適に低減される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアーク溶接用電源装置において、前記電流低減手段は、前記整流回路の整流素子をスイッチで構成したそのスイッチのオンオフを制御し、前記トランスの二次側に電力伝達された交流電力の整流動作と、前記直流リアクトルにて生じる直流電力を交流電力に変換し前記トランスの一次側に電力回生する電力回生動作とを切替可能に構成されたことをその要旨とする。
この発明では、電流低減手段は、整流回路の整流素子をスイッチで構成したそのスイッチのオンオフを制御し、トランスの二次側に電力伝達された交流電力の整流動作に加え、直流リアクトルにて生じる直流電力を交流電力に変換しトランスの一次側に電力回生する電力回生動作に切替可能に構成される。これにより、スイッチにて整流動作と電力回生動作の両動作が可能に構成されるため、電源装置の構成の簡素化に寄与できる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のアーク溶接用電源装置において、前記スイッチは、直列接続の一対のスイッチ素子と各素子に逆接続されるダイオードとで構成され、該スイッチのオン時に一対のスイッチ素子が共にオンされることをその要旨とする。
この発明では、スイッチは、直列接続の一対のスイッチ素子と各素子に逆接続されるダイオードとで構成され、該スイッチのオン時に一対のスイッチ素子が共にオンされる。これにより、スイッチを一対のスイッチ素子及びダイオードで簡易に構成でき、またスイッチのオン時にその一対のスイッチ素子が共にオンすることで、該スイッチでの導通損失の低減が可能である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアーク溶接用電源装置において、前記電流低減手段は、アーク再点弧手前の短絡期間後期から電流低減動作に移行することをその要旨とする。
この発明では、電流低減手段は、アーク再点弧手前の短絡期間後期から電流低減動作に移行する。つまり、アーク再点弧時に負荷電流が好適な電流値となるように予めアーク再点弧手前から負荷電流の電流低減動作に移行することで、アーク再点弧直後に発生するスパッタをより確実に抑制できる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のアーク溶接用電源装置において、前記電流低減手段は、前記負荷電圧の電圧変化の検出に基づいて電流低減動作に移行することをその要旨とする。
この発明では、電流低減手段は、負荷電圧の電圧変化の検出に基づいて短絡期間後期の好適な時期を把握し、電流低減動作に移行する。つまり、短絡期間の後期ほど負荷電圧の電圧変化(微分値)が大きくなるため、それを検出することで短絡期間後期の好適な時期を容易かつ的確に把握でき、電流低減動作への移行を的確に行うことが可能となる。
本発明によれば、スパッタの発生要因となる負荷電流を効率よく低減することができるアーク溶接用電源装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)は、本実施形態のアーク溶接用電源装置10を示す。アーク溶接用電源装置10は、例えば消耗電極式のアーク溶接に用いられ、インバータ回路11、トランスT、整流回路12等を備えて構成されている。
図1(a)は、本実施形態のアーク溶接用電源装置10を示す。アーク溶接用電源装置10は、例えば消耗電極式のアーク溶接に用いられ、インバータ回路11、トランスT、整流回路12等を備えて構成されている。
インバータ回路11は、IGBTよりなる4個の第1〜第4のスイッチング素子S1〜S4を用いたブリッジ回路にて構成されている。スイッチング素子S1〜S4には、それぞれ還流ダイオードD1〜D4が逆接続されている。インバータ回路11の入力端子間には直流電源Eからの直流電力が入力され、出力端子間にはトランスTの一次側コイルTaが直列に接続されている。尚、L1は、トランスTの漏れインダクタンスである。
二次側の整流回路12は、トランスTの二次側コイルTbの両端がそれぞれ動作切替スイッチS5,S6を介して直流リアクトルL2の一端に接続され、直流リアクトルL2の他端は負荷Rの一端、例えばトーチ側のワイヤ電極に接続される。二次側コイルTbのセンタータップは、負荷Rの他端、例えば被溶接物(母材)側に接続される。
整流回路12に備えられる動作切替スイッチS5,S6は、逆阻止スイッチ若しくは双方向スイッチにて構成されている。具体的に図1(b)に示すように、動作切替スイッチS5,S6は、ソース共通の直列接続のMOSFET15,16と各FET15,16に逆接続されるダイオードD5,D6とから構成されており、FET15のドレインがトランスTの二次側コイルTbに、FET16のドレインが直流リアクトルL2にそれぞれ接続されている。因みに、動作切替スイッチS5,S6のオン、即ちトランスTの二次側コイルTb側から直流リアクトルL2側に電流を流す際にはFET15,16が共にオン、動作切替スイッチS5,S6のオフ、即ちその両方向の電流を阻止する際にはFET15,16が共にオフ、若しくはトランスTの二次側コイルTb側に向かう電流の阻止が必要な後述の通常動作時にはFET16のみがオフ、二次側コイルTb側からの電流の阻止が必要な後述の電力回生時にはFET15のみがオフされる。
インバータ回路11のスイッチング素子S1〜S4及び整流回路12の動作切替スイッチS5,S6は、制御回路21の制御に基づいてオンオフされる。即ち、制御回路21の制御に基づいて、インバータ回路11にて直流電源Eの直流電力が高周波交流電力に変換され、トランスTを介して電力伝達された二次側の高周波交流電力が整流回路12にて直流に変換され、この溶接用直流電力がアーク溶接を行う負荷Rに供給される。本実施形態の制御回路21は、アーク溶接を行うべくこのように溶接用直流電力を生成する[通常動作制御]に加え、アーク再点弧付近の所定期間にスパッタの発生抑制のための[電力回生制御]に切り替えて制御を行っている。
[通常動作制御]
制御回路21の通常動作制御について、図2(a)に示すように、インバータ回路11では、第1及び第4のスイッチング素子S1,S4の組みと第2及び第3のスイッチング素子S2,S3の組みとが所定周期で交互にオンオフされる。これに対し、整流回路12では、動作切替スイッチS5がそのスイッチング素子S2,S3のオン時にオフ、動作切替スイッチS6がそのスイッチング素子S1,S4のオン時にオフする。
制御回路21の通常動作制御について、図2(a)に示すように、インバータ回路11では、第1及び第4のスイッチング素子S1,S4の組みと第2及び第3のスイッチング素子S2,S3の組みとが所定周期で交互にオンオフされる。これに対し、整流回路12では、動作切替スイッチS5がそのスイッチング素子S2,S3のオン時にオフ、動作切替スイッチS6がそのスイッチング素子S1,S4のオン時にオフする。
即ち、スイッチング素子S1,S4のオン時には、スイッチング素子S1、一次側コイルTa(漏れインダクタンスL1)及びスイッチング素子S4を経由する経路で電流が生じ、トランスTの二次側に電力伝達がなされる。トランスTの二次側では、動作切替スイッチS5がオン、動作切替スイッチS6がオフしていることから、該スイッチS5及び直流リアクトルL2を経由する負荷電流が生じる。
次いでスイッチング素子S1,S4がオフし、次にスイッチング素子S2,S3がオンするまでの期間では、動作切替スイッチS5が継続してオンであるため、直流リアクトルL2に蓄積された電磁エネルギーにて負荷電流が継続して生じる。尚、スイッチング素子S1,S4のオフに基づいて動作切替スイッチS6がオンされる。
次いでスイッチング素子S2,S3のオン時には、スイッチング素子S3、一次側コイルTa(漏れインダクタンスL1)及びスイッチング素子S2を経由する経路で電流が生じ、トランスTの二次側に電力伝達がなされる。トランスTの二次側では、動作切替スイッチS6がオン、動作切替スイッチS5がオフしていることから、該スイッチS6及び直流リアクトルL2を経由する負荷電流が生じる。
次いでスイッチング素子S2,S3がオフし、次にスイッチング素子S1,S4がオンするまでの期間では、動作切替スイッチS6が継続してオンであるため、直流リアクトルL2に蓄積された電磁エネルギーにて負荷電流が継続して生じる。尚、スイッチング素子S2,S3のオフに基づいて動作切替スイッチS5がオンされる。
そして、この通常動作制御では上記のようなインバータ回路11のスイッチング素子S1〜S4のオンオフ動作と、それに付随した整流回路12のスイッチS5,S6のオンオフ動作とが繰り返されることで所定の負荷電流が生成され、またスイッチング素子S1〜S4のオン時間を長短する出力電流制御(デューティ制御)にてその負荷電流の調整が行われて、好適なアーク溶接が実施される。
ここで、本実施形態のような消耗電極式のアーク溶接では、ワイヤ電極が溶接時に消耗するため、自動送り装置にてワイヤ電極の供給を随時行いながら溶接がなされるものである。そのため、ワイヤ電極と被溶接物との間にアークが生じる期間と、ワイヤ電極と被溶接物とが溶融金属を介して互いに短絡する期間とが交互に繰り返される。従って、図3に示すように、負荷電圧(溶接電圧)はアーク期間に高く、短絡期間に低い電圧値となり、負荷電流(溶接電流)はアーク期間に小さく、短絡期間、その中でも後期になるほど大きな電流値となる。そして、負荷電流が大きなままアーク再点弧となりアーク期間に移行すると、そのアーク期間初期のアーク力が大となってスパッタを引き起こす要因となるため、本実施形態ではアーク再点弧付近の所定期間、後述の電力回生制御に切り替えられ、スパッタ発生の要因となるアーク再点弧付近の負荷電流の低減が図られる。
[電力回生制御]
制御回路21は、アーク再点弧直前から所定期間、上記の通常動作制御から電力回生制御に切り替える。このとき仮に、アーク再点弧時、即ち負荷電圧の急峻な立ち上がり時に応答して電力回生制御に切り替えると、負荷電流の立ち下がりに時間を要するため、アーク再点弧直後から十分な負荷電流の低減が図れない虞があるとし、本実施形態では、アーク再点弧よりも若干手前から電力回生制御に切り替えている。
制御回路21は、アーク再点弧直前から所定期間、上記の通常動作制御から電力回生制御に切り替える。このとき仮に、アーク再点弧時、即ち負荷電圧の急峻な立ち上がり時に応答して電力回生制御に切り替えると、負荷電流の立ち下がりに時間を要するため、アーク再点弧直後から十分な負荷電流の低減が図れない虞があるとし、本実施形態では、アーク再点弧よりも若干手前から電力回生制御に切り替えている。
具体的には、アーク期間前の短絡期間においては、ワイヤ電極と被溶接物とが溶融金属を介して接続されるが、短絡期間の後期ほど相互を接続する溶融金属の一部の径が縮径する所謂くびれが生じる。このくびれが生じるようになると負荷電圧の上昇度合い(微分値)が比較的大きく変化するようになることから、本実施形態の制御回路21は、検出回路22(図1参照)による負荷電圧の検出からその電圧変化(微分値)を算出し、微分値が所定値以上の電圧上昇となる短絡期間後期(アーク再点弧直前)を検出し、該検出に基づいて電力回生制御に切り替えるようにしている。
図2(b)に示すように、この電力回生制御時においては、インバータ回路11の第1〜第4スイッチング素子S1〜S4が全てオフされ、トランスTの一次側から二次側への電力伝達が停止されるとともに、二次側の動作切替スイッチS5,S6が交互にオンオフされる。
即ち、動作切替スイッチS5側がオンすると、直流リアクトルL2に蓄積された電磁エネルギーに基づく負荷電流がスイッチS5側から直流リアクトルL2に向かう方向に生じるが、この負荷電流に基づいてトランスTの一次側では、ダイオードD2、コイルTa(漏れインダクタンスL1)及びダイオードD3に電流が流れ、直流電源Eに電力が回収される。また、動作切替スイッチS6側がオンすると、直流リアクトルL2に蓄積された電磁エネルギーに基づく負荷電流がスイッチS6側から直流リアクトルL2に向かう方向に生じるが、この負荷電流に基づいてトランスTの一次側では、ダイオードD4、コイルTa(漏れインダクタンスL1)及びダイオードD1に電流が流れ、直流電源Eに電力が回収される。
こうして、スイッチS5,S6の交互のオンオフ動作により直流リアクトルL2にて生じる直流電力が交流電力に変換され、その電力がトランスTを介して直流電源E側に回収されることで、直流リアクトルL2に蓄積された電磁エネルギーが効率よく消費され、負荷電流が急減する。因みに、本実施形態では、インバータ回路11のスイッチング周波数を例えば50[kHz]とした場合、この電力回生制御は0.1〜0.2[ms]程度の期間に設定され、また負荷電流も400[A]から100[A]程度まで減少する設定となっている。尚、数値は一例であり、適宜変更可能である。
従って、図3に示すように、上記の電力回生制御によりアーク再点弧直後から十分に負荷電流が低減され、またこの電力回生制御から通常動作制御に復帰した後も、一旦十分に負荷電流が低減された後は、通常の出力電流制御(デューティ制御)にて負荷電流が小さく維持される。これにより、アーク期間初期においてアーク再点弧直後から十分にアーク力が抑制され、スパッタの発生が効率よく抑制されるようになっている。
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、アーク再点弧時を含む所定期間において、インバータ回路11の動作停止を行うと共に、直流リアクトルL2にて生じる直流電力を交流電力に変換してトランスTの一次側に電力回生を行い、負荷電流を低減する電流低減手段(動作切替スイッチS5,S6及び制御回路21等)が備えられている。つまり、アーク再点弧直後に負荷電流が大きいとアーク力が大となってスパッタが発生するため、制御回路21はアーク再点弧時を含む所定期間に、インバータ回路11を停止してトランスTの二次側への電力伝達を停止すると共に、直流リアクトルL2にて生じる直流電力をスイッチS5,S6のオンオフ動作にて交流電力に変換してトランスTの一次側に電力回生を行う。これにより、直流リアクトルL2に蓄積された電磁エネルギーが効率よく消費され、スパッタの発生要因となる負荷電流を好適に低減することができる。
(1)本実施形態では、アーク再点弧時を含む所定期間において、インバータ回路11の動作停止を行うと共に、直流リアクトルL2にて生じる直流電力を交流電力に変換してトランスTの一次側に電力回生を行い、負荷電流を低減する電流低減手段(動作切替スイッチS5,S6及び制御回路21等)が備えられている。つまり、アーク再点弧直後に負荷電流が大きいとアーク力が大となってスパッタが発生するため、制御回路21はアーク再点弧時を含む所定期間に、インバータ回路11を停止してトランスTの二次側への電力伝達を停止すると共に、直流リアクトルL2にて生じる直流電力をスイッチS5,S6のオンオフ動作にて交流電力に変換してトランスTの一次側に電力回生を行う。これにより、直流リアクトルL2に蓄積された電磁エネルギーが効率よく消費され、スパッタの発生要因となる負荷電流を好適に低減することができる。
また背景技術にあるように、負荷電流を抵抗で消費する態様に対して本実施形態では、直流電源Eに電力回生される構成のため、損失低減を図ることができる。また、その抵抗側に切り替える高耐圧のスイッチ(半導体スイッチ)を用いる態様に対して本実施形態では、低耐圧のスイッチS5,S6にて構成することができる。
(2)本実施形態では、整流回路12をスイッチS5,S6を用いて構成しそのスイッチS5,S6のオンオフを制御回路21にて制御し、トランスTの二次側に電力伝達された交流電力の整流動作(通常動作制御)に加え、直流リアクトルL2にて生じる直流電力を交流電力に変換しトランスTの一次側に電力回生する電力回生動作(電力回生制御)に切替可能に構成されている。これにより、スイッチS5,S6にて整流動作と電力回生動作の両動作が可能に構成されるため、電源装置10の構成の簡素化に寄与することができる。
(3)本実施形態では、スイッチS5,S6は、直列接続の一対のMOSFET15,16と各FET15,16に逆接続されるダイオードD5,D6とで構成され、該スイッチS5,S6のオン時に一対のFET15,16が共にオンされる。これにより、スイッチS5,S6を一対のFET15,16及びダイオードD5,D6で簡易に構成でき、またスイッチS5,S6のオン時にその一対のFET15,16が共にオンすることで、FET15,16の導通損失がダイオードと比較しても十分に小さいため、該スイッチS5,S6での導通損失の低減を図ることができる。
(4)本実施形態では、制御回路21は、アーク再点弧手前の短絡期間後期に電力回生制御に切り替え、負荷電流の電流低減動作に移行する。つまり、アーク再点弧時に負荷電流が好適な電流値となるように予めアーク再点弧手前から負荷電流の電流低減動作(電力回生制御)に移行する本実施形態では、アーク再点弧直後に発生するスパッタをより確実に抑制することができる。
(5)本実施形態では、制御回路21は、検出回路22を用いた負荷電圧の電圧変化の検出に基づいて短絡期間後期の好適な時期を把握し、電流低減動作(電力回生制御)に移行する。つまり、短絡期間の後期ほど負荷電圧の電圧変化(微分値)が大きくなるため、それを検出する本実施形態では短絡期間後期の好適な時期を容易かつ的確に把握でき、電流低減動作(電力回生制御)への移行を的確に行うことができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、動作切替スイッチS5,S6をそれぞれFET15,16とダイオードD5,D6とで構成したが、適宜変更してもよい。例えば、FET16を省略しダイオードD6を残した構成としてもよい。また、FET15,16以外のスイッチ素子、例えばIGBT等を用いて構成してもよい。
・上記実施形態では、動作切替スイッチS5,S6をそれぞれFET15,16とダイオードD5,D6とで構成したが、適宜変更してもよい。例えば、FET16を省略しダイオードD6を残した構成としてもよい。また、FET15,16以外のスイッチ素子、例えばIGBT等を用いて構成してもよい。
・上記実施形態では、アーク再点弧手前の短絡期間後期に電力回生制御に切り替わる態様としたが、適宜変更してもよい。例えば、アーク再点弧時、即ち負荷電圧の急峻な立ち上がりに基づいて切り替わる態様としてもよい。
・上記実施形態では、電力回生制御時にインバータ回路11を完全停止としたが、停止でなくその動作を最小限に制限する態様としてもよい。
10…アーク溶接用電源装置、11…インバータ回路、12…整流回路、15,16…MOSFET(スイッチ素子)、21…制御回路(電流低減手段)、D1〜D4…還流ダイオード(還流素子)、D5,D6…ダイオード、E…直流電源、L2…直流リアクトル、R…負荷、S1〜S4…第1〜第4のスイッチング素子、S5,S6…動作切替スイッチ(整流素子、電流低減手段、スイッチ)、T…トランス。
Claims (5)
- スイッチング素子及び還流素子を用いたブリッジ回路で構成され、直流電源からの直流電力をそのスイッチング素子のオンオフ動作にて交流電力に変換するインバータ回路と、
前記インバータ回路からの交流電力を二次側に電力伝達するトランスと、
整流素子及び直流リアクトルを用いて構成され、前記トランスの二次側に電力伝達された交流電力を整流し所定の直流電力として負荷側に出力する整流回路と、を備え、
被溶接物との間で短絡とアークとを交互に繰り返す消耗電極式アーク溶接に用いるアーク溶接用電源装置であって、
アーク再点弧時を含む所定期間において、前記インバータ回路の動作制限と共に、前記直流リアクトルに蓄積された電磁エネルギーに基づいて生じる直流電力を交流電力に変換して前記トランスの一次側に電力回生を行い、負荷電流を低減する電流低減手段を備えたことを特徴とするアーク溶接用電源装置。 - 請求項1に記載のアーク溶接用電源装置において、
前記電流低減手段は、前記整流回路の整流素子をスイッチで構成したそのスイッチのオンオフを制御し、前記トランスの二次側に電力伝達された交流電力の整流動作と、前記直流リアクトルにて生じる直流電力を交流電力に変換し前記トランスの一次側に電力回生する電力回生動作とを切替可能に構成されたことを特徴とするアーク溶接用電源装置。 - 請求項2に記載のアーク溶接用電源装置において、
前記スイッチは、直列接続の一対のスイッチ素子と各素子に逆接続されるダイオードとで構成され、該スイッチのオン時に一対のスイッチ素子が共にオンされることを特徴とするアーク溶接用電源装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアーク溶接用電源装置において、
前記電流低減手段は、アーク再点弧手前の短絡期間後期から電流低減動作に移行することを特徴とするアーク溶接用電源装置。 - 請求項4に記載のアーク溶接用電源装置において、
前記電流低減手段は、前記負荷電圧の電圧変化の検出に基づいて電流低減動作に移行することを特徴とするアーク溶接用電源装置。
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JP2009267523A JP2011110565A (ja) | 2009-11-25 | 2009-11-25 | アーク溶接用電源装置 |
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JP2009267523A JP2011110565A (ja) | 2009-11-25 | 2009-11-25 | アーク溶接用電源装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2011110565A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016127704A (ja) * | 2014-12-29 | 2016-07-11 | 株式会社京都ニュートロニクス | 高電圧パルス発生装置 |
CN112379226A (zh) * | 2020-11-02 | 2021-02-19 | 江苏师范大学 | 一种测定起弧及熄弧距离的实验装置与方法 |
-
2009
- 2009-11-25 JP JP2009267523A patent/JP2011110565A/ja active Pending
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CN112379226A (zh) * | 2020-11-02 | 2021-02-19 | 江苏师范大学 | 一种测定起弧及熄弧距离的实验装置与方法 |
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