(関連出願のクロスリファレンス)
本願は、米国特許仮出願第61/254,090号、2009年10月22日出願、発明の名称”Electrodes Including Collar Stop”に基づいて優先権を主張し、本願は、米国特許出願第12/392,525号、2009年2月25日出願、発明の名称”High Capacity Electrodes”の一部継続出願であり、この米国特許出願は、米国特許仮出願第61/067,018号、2008年2月25日出願、及び米国特許仮出願第61/130,679号、2008年6月2日出願に基づいて優先権を主張する。上記米国特許仮出願及び米国特許出願のすべてを、参考文献として本明細書に含める。
本発明は、電極技術の分野に属する。
米国特許仮出願第61/254,090号明細書
米国特許出願第12/392,525号明細書
米国特許仮出願第61/067,018号明細書
米国特許仮出願第61/130,679号明細書
本発明の種々の好適例は電極を含み、この電極は、基板と、この基板に接続された支持フィラメントと、この支持フィラメントの全長に沿って配置され、電気化学反応の反応物(例えば、イオン、電子、電荷ドナー及び/または電荷アクセプタ)を受容するように構成されたドナーアクセプタ材料を含む層間(インターカレーション)層とを具え、この層間層の上記基板に近接した領域は、この層間層の上記基板に対して遠位にある領域に比べて、より低量のドナーアクセプタ材料を含む。
本発明の種々の好適例は、電極を生産する方法を含み、この方法は、基板を受けるステップと、この基板に結合された、支持フィラメントの第1領域を成長させるステップと、この基板に対して遠位にある、支持フィラメントの第1領域の端部にカラーストップ(つば形止め具)を成長させるステップであって、このカラーストップは、第1領域に達するドナーアクセプタ材料の量を低減するように構成されるステップと、このカラーストップから支持フィラメントの第2領域を成長させるステップであって、この支持フィラメントの第2領域は、上記カラーストップより小さい径を有するステップと、上記支持フィラメントの第1領域に比べて大きい厚さのドナー材料が上記支持フィラメントの第2領域に堆積するように、上記支持フィラメントにドナーアクセプタ材料を付加するステップとを含む。
本発明の種々の好適例は、第1電極及び第2電極を具えた電池を含み、この第2電極は、基板と、この基板に結合された支持フィラメントと、この支持フィラメント上に配置され、電気化学反応の反応物を受容するように構成された層間層と、上記層間層の上記基板に対して遠位にある領域に比べて、より低量のドナーアクセプタ材料を含み、上記基板に近接した領域を生成する手段とを具えている。
本発明の種々の実施例による、支持キャップ付き電極の設計を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、支持カラー付き電極の設計を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、カラーストップ付き電極の設計を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、支持キャップ及び支持カラー付き電極の設計を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、支持キャップ及びカラーストップ付き電極の設計を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、支持カラー及びカラーストップ付き電極の設計を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、層間材料を含む電極を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、層間材料を含む電極を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、層間材料を含む電極を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、電極の延長部を作製する方法を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、測定した電荷容量対層間材料の厚さの関係を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、電池のサイクル寿命対温度及び層間材料の厚さを例示する図である。
本発明の種々の実施例による電池を例示する図である。
本発明の種々の実施例による、銅基板上に成長させたカーボンナノファイバーを例示する図である。
本発明の種々の実施例による、銅基板上に成長させカーボンナノファイバーを例示する図である。
本発明の種々の実施例による、銅基板上に成長させて層間材料で覆ったカーボンナノファイバーを例示する図である。
本発明の種々の実施例による、銅基板上に成長させて層間材料で覆ったカーボンナノファイバーを例示する図である。
本発明の種々の実施例による、図9及び図10のデータを収集するために使用した層間層750を有しない電極の断面を例示する図である。
発明の詳細な説明
図1に、支持フィラメント110を具えた電極を例示する。支持フィラメント110は支持キャップ150を含む。支持キャップ150は随意的に、支持フィラメント110の延長であり、支持フィラメントの径112より約1%、2.5%、10%、25%、40%、あるいは約60%まで大きい支持キャップ幅157を有する。支持フィラメントの高さ114は支持キャップの高さ155を含む。一部の実施例では、支持キャップの高さ155は少なくとも250nm、500nm、2000nm、あるいは5000nmである。他の実施例では、支持キャップの高さ155は、フィラメントの高さ114の少なくとも1%、5%、20%、30%、あるいは50%である。支持キャップ幅157は、開始位置分離距離126の少なくとも1%、5%、15%、40%、あるいは75%とすることができる。開始位置は、シード層122上の、支持フィラメントの成長を開始する箇所である。(図1に示す)支持キャップ150の断面形状は、長方形、三角形、正方形、円形、あるいは菱形とすることができる。他の形状も可能である。支持キャップ150は、層間(インターカレーション)層750(図7)が支持フィラメント110の未結合の端部から滑り落ちることを防止するように構成されている。
支持フィラメント110は、カーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nano Tube)、カーボンナノファイバー(CNF:Carbon Nano Fiber)、ナノワイヤー(NW:Nano Wire)、あるいは他のナノスケール構造とすることができる。CNTを含む材料は概ね炭素であり、CNTの成長中に原料ガス中に含まれる金属、半導体、及び絶縁体のような他の材料を含むことができる。これに加えて、CNTは単壁または複壁とすることができる。CNFを構成する材料は概ね炭素であり、CNFの成長中に原料ガス中に含まれる金属、半導体、及び絶縁体のような他の材料を含むことができる。CNTは一般に、少なくとも2nm、5nm、10nm、30nm、または50nmの径を有すると記されている。CNFは一般に、少なくとも30nm、50nm、150nm、250nm、または750nmの径を有すると記されている。ナノワイヤー(NW)は、(金、銅、またスズのような)金属、または(シリコン、ゲルマニウム、InP、GaN、GaP、ZnOのような)半導体、あるいははMnO2、酸化インジウムスズ、ZnO、SnO2、Fe2O3、In2O3、またはGa2O3のような酸化物で構成することができる。他の材料も可能である。
図2に、支持カラー210を含む支持フィラメント110を具えた電極を例示する。支持カラー210は随意的に支持フィラメント110の延長であり、支持フィラメントの径112より少なくとも1%、2.5%、10%、25%、40%、または60%大きい径を有する。一部の実施例では、支持カラーの高さ214は、少なくとも100nm、250nm、500nm、2000nm、または5000nmであり、あるいはより大きく、そして50nmまで小さく、あるいはより小さくすることができる。一部の実施例では、支持カラーの高さ214は、支持フィラメントの高さ114の少なくとも1%、5%、15%、40%、または75%である。支持カラーの幅212は、開始位置分離距離126の少なくとも1%、5%、15%、40%、または75%である。支持カラー210の形状は、長方形、正方形、円形、三角形、半円形、菱形、弓形、等にすることができる。他の形状も可能である。支持カラーのベース距離216は随意的に、支持フィラメントの高さ114の少なくとも半分である。支持カラーのベース距離216は、支持フィラメントの高さ114の10%、30%、または75%にすることもできる。ベース距離216は、初期位置120から、少なくとも延長500nm、1000nm、2500nm、5000nm、または12500nmとすることができる。これに加えて、ベース距離216は、フィラメントの延長端152から数ミクロン以内の所に終端させることができる。
図3に、カラーストップ310を含む支持フィラメント110を具えた電極を例示する。カラーストップ310は、支持フィラメント110における、支持フィラメント110の他の領域より大きい径によって特徴付けられる領域である。一部の実施例では、カラーストップ310の径は、支持フィラメント110の1つ以上の他の領域における支持フィラメント110の径(例えば支持フィラメントの径112)より少なくとも1%、2.5%、10%、25%、40%、または60%大きい。カラーストップ310の径及びカラーストップの間隔312は、トランク(幹部)350を生成するように制御されている。このトランク350は、低減されたドナーアクセプタ材料(DAM:Donor Acceptor Material)の領域を生じさせる。DAM低減領域は、支持フィラメントの他の領域に比べて層間材料の量が低減された領域であるが、必ずしも層間材料が完全に欠如していない。例えば、種々の実施例では、ドナーアクセプタ材料領域は、支持フィラメント110の他の領域に比べて、(支持フィラメント110の単位面積の当りの重量で)75%、50%、25%、10%、または5%以下の層間材料を含むことができる。(説明目的で、この層間材料は、電荷を供出するか受容するかのいずれかをして電極の外部回路を完成させる材料として定義される。この層間材料は、電荷担体、電荷ドナー、及び/または電荷アクセプタを、周囲の電解質と交換するように構成されている。この層間材料は、随意的にこれらの種のものに対する多孔質とすることができる。カラーストップの間隔312は、ほぼ0にするか、あるいは少なくとも初期位置間の距離126の10%、50%、75%、または95%とすることができる。カラーストップ310は、支持フィラメント110の全長のどこにでも成長させることができ、例えば、一部の実施例では、カラーストップ310は、初期位置120から10000nm、5000nm、2000nm、1000nm、750nm、250nm、100nm、25nm、または5nm以内の所に配置することができる。
カラーストップ310を作製する方法は概ね、支持カラー210または支持キャップ150を作製する方法と同様である。支持カラー210、支持キャップ150及び/またはカラーストップ310の径を制御する方法は、原料ガス、基板、または反応チャンバ(あるいはこれら3つの組合せ)の温度を変化させること、あるいは種々の原料ガスの流量を変化させることを含むことができる。例えば、支持フィラメント110の成長中に原料ガスの組成を変化させることによって、これらの径を制御することもできる。支持フィラメント110、カラーストップ310、支持カラー210、及び/または支持キャップ150の径を制御する他の方法は、静電界または動的電界を加えること、静磁界または動的磁界を加えること、あるいは電界と磁界の組合せを加えることである。これら径を制御する他の方法は、通常の当業者にとって明らかである。
カラーストップ310、支持カラー210、及び支持キャップ150は随意的に、支持フィラメント110と同じ材料製とすることができるが、実行する特定の処理に応じて、他の材料またはその比率を用いることができる。例えば、(CNT/CNF成長の場合は)メタンをアセチレン、エチレン、またはエタノールに置き換えるように、異なる原料ガスを異なる処理時刻に用いることができる。これに加えて、異なる処理ガスを異なる時刻に用いることができる。例えば、アンモニア、窒素、または水素のような処理ガスの代わりにアルゴンを用いることができる。異なるガス混合率も、望ましい効果に依存して使用できる。他の原料ガス及び処理ガスを用いることができることは、CNT/CNF成長の当業者にとって明らかである。
カラーストップの厚さ314は一般に数ミクロン以下であるが、支持フィラメントの高さ114の1%、5%、10%、26%、50%、または75%までにすることができる。一部の実施例では、カラーストップの厚さ314は、支持フィラメントの高さ114の40%、20%、5%、2%、または0.25%以下である。カラーストップ310の断面は、図3の平面に見られるように、支持フィラメント110の成長率に応じて、楕円形、菱形、または円形にすることができる。他の断面形状も可能である。これらの形状及び寸法は随意的に、支持キャップ150及び支持カラー210、並びにカラーストップ310によって持たせることができる。
カラーストップの径316は、カラーストップ310を作製するために選定した処理方法によって制御される。例えば、カラーストップ310の成長中には、反応チャンバの温度を変化させて、支持フィラメント110を作り出す反応を減速するか加速させ、これにより、支持フィラメント110において、支持フィラメント110の他の領域より大きい径を有する領域を作製することができる。例えば、支持フィラメント110は、相対的に大きい径を有するカラーストップ310によって分離された、より狭い径の領域を含むことができる。あるいはまた、支持フィラメントは、基板124とカラーストップ310との間に相対的に径の大きい領域を含み(カラーストップ310は、この領域に比べて小さいかほぼ同じ径にすることができる)、基板124に対する遠位に、より小さい径の領域を含むことができる。支持フィラメントの径112は、支持フィラメントにおける最小径として定義される。
カラーストップの間隔312は、開始位置分離距離126及びカラーストップの径316によって制御される。カラーストップ310の寸法は、基板124に対して遠位にある支持フィラメント110の領域に比べてDAMの付着の低減が、カラーストップ310と基板124の間に生じるように選択する。単一の支持フィラメント110は、2つ以上のカラーストラップ310及び/または2つ以上の支持カラー210を含むことができる。
例示する実施例では、トランク350は、実質的にドナーアクセプタ材料材の無い領域か、カラーストップ310の上方(基板に対して遠位)にある支持フィラメント110の部分に比べてDAMの量が低減された領域である。このことは、カラーストップの径316及びカラーストップの間隔312の適切な選定によって達成される。例えば、カラーストップの間隔312及びカラーストップの径316は、特定のカラーストップ310が、その最寄りに隣接するカラーストップに辛うじて接触して、0に等しいカラーストップの間隔312を効果的に作り出すように選定することができる。あるいはまた、カラーストップの間隔312は、0より大きくすることができる。カラーストップ310は、支持フィラメント110におけるカラーストップ310と基板124の間の領域に達するDAMの量を、支持フィラメント110の他の部分に比べて低減するバリアー(障壁)を形成する。
図4に本発明の種々の実施例を示し、これらの実施例では、フィフィラメント110が、支持キャップ150及び支持カラー210を有するが、カラーストップ310は有しない。
図5に本発明の種々の実施例を示し、これらの実施例では、フィフィラメント110が、支持キャップ150及びカラーストップ310を有するが、支持カラー210は有しない。
図6に本発明の種々の実施例を示し、これらの実施例では、フィフィラメント110が、支持カラー210及びカラーストップ310を有するが、支持キャップ150は有しない。図4〜6は、支持キャップ150、支持カラー210、及びカラーストップ310の任意の組合せを支持フィラメント110上に含めることができることを例示している。これら組合せは、これらの要素の1つ、2つ、3つ、あるいはそれ以上を含むことができる。単一の支持フィラメントの110が、2つ以上のカラーストップ310及び/または2つ以上の支持カラー210を含むことができる。支持カラー210及びカラーストップ310の位置は、支持フィラメント110の長さ方向に、この図に示す位置に対して上下に変化させることができる。カラーストップ310及び支持カラー210は一般に、支持フィラメント110の長軸について対称な円柱形である。
図7Aに、カラーストップ310、支持キャップ150、支持カラー210、及びDAMを含む層間層を例示する。この例示は、カラーストップ310についての基本機能を図式的に表現し、例えば、層間層750は、支持キャップ150とカラーストップ310との間にある支持フィラメント110の上部にほとんど堆積/成長するが、カラーストップ310の下方には堆積/成長せず(あるいはより少なく堆積/成長し)、こうして、層間材料が相対的に少ないかほとんど無いDAM低減領域720が作製される。カラーストップの径316及びカラーストップの間隔312の適切な選定によって、最小(またはより少ない)層間材料が基板に達するようなマスクが作製される。
DAM低減領域720は、支持フィラメント110における、層間層750の堆積を遮断された領域である。一般に、DAM低減領域720はシード層122に隣接している。
図7Aは、支持キャップ150及び支持カラー210の有用性も例証する。支持キャップ150及び支持カラー210は共に、支持フィラメント110の他の部分の径112より大きい径によって特徴付けられる。電極の動作中に層間層750が膨張するならば、一部の実施例では、層間層は支持フィラメント110の径から分離する。これらの実施例では、支持カラーの幅212及び/または支持キャップの幅157が、膨張した層間材料の内径より大きい限り、層間層750は支持フィラメント110に機械的に拘束され、これにより、層間材料が支持フィラメント110から分離しないことを保証する。
カラーストップ310と支持カラー210とは随意的に、同じサイズ及び/または形状である。カラーストップ310と支持カラー210との1つの違いは、支持カラー210は、層間層750の支持フィラメント110への付着を支援するような支持フィラメント110上の位置に配置されている(さもなければ、そのように構成されている)ことにある。例えば、支持カラー210は、層間層750が支持フィラメント110の未結合の端部から滑り落ちることを防止するように構成されている。これとは対照的に、カラーストップ310は、支持フィラメント110において、カラーストップ310と基板124との間の領域内に、支持フィラメント110の他の部分に比べて低減された層間層750の部分を生じさせるような、支持フィラメント110上の位置に配置されている(さもなければ、そのように構成されている)。支持カラー210も、より小さい度合いで低減された層間層750の領域を生じさせることができる。
自由層間材料710は、層間層750の堆積/成長中に、カラーストップ310によって停止されない材料である。層間層750の堆積/成長用の材料源は、図7A〜7Cに例示するように、概ね支持フィラメント110の上方(ページの最上部)から来るものと考えられる。
図7Cに、支持フィラメント110の代案実施例を示す。これらの実施例は、2つ以上の支持カラー及びテーパ形状を有する支持フィラメントの例を含む。図7B及び7Cに例示する支持フィラメント110の種々の異なる例は、通常は同じ電極上に見られない。電極は通常、すべての支持フィラメントが一緒に生成されるので、一種類の支持フィラメント110、支持カラー210、支持キャップ150、及びカラーストップ310を含む。本明細書に例示する変形例は、例示目的に過ぎない。図7A〜7Cに例示する層間層750の厚さも、例示目的に過ぎない。代表的な実施例では、層間層750は支持フィラメント110より大幅に厚い。層間層750の厚さも、荷電種が吸着及び脱着される際に変化する。また、本明細書に記載の層間層750の厚さは、層間層750によって吸着または脱着された荷電種が存在しない状態を称する。
図8に、層間層750を有する支持フィラメントを製造する方法を例示する。第1ステップ801は、基板124を受けることである。基板124は随意的に、陽極(アノード)の場合は銅、あるいは陰極(カソード)の場合はアルミニウムである。この基板は、所望の用途に応じて他の材料製とすることができる。例えば、ステンレス鋼またはグラファイト(黒鉛)を基板用に用いることができる。電池設計の当業者はさらに、所望の用途に応じて他の材料を指定することができる。
随意的な第2ステップ803は、基板を洗浄することである。基板を洗浄する(803)目的は、後の処理ステップにおける、その後の材料の堆積及び成長に備えた準備を基板に施すことにある。このことは、電流コレクタ上に存在するあらゆる有機物、酸化物、及び他の汚染物を除去することを意味する。基板を洗浄する方法は、(例えば、研磨剤を用いて、汚染物に曝された材料の薄層を除去する)物理的方法から、(アセトン、イソプロパノール、TEC、またはメタノールのような溶剤を用いる)化学的方法、及び/または化学的エッチング(銅の場合は、実際の基板の一部を溶解させるクエン酸浸漬/洗浄)まで、あるいは後続する処理ステップに備えた適切な準備を基板に施すための物理的方法と化学的方法とのあらゆる組合せまでに及び得る。
第3ステップ805は、随意的なシード層の堆積である。シード層の堆積805は、支持フィラメント110の成長用の基層またはシード層122を作製する処理ステップである。この処理ステップは、(物理的または化学的)気相堆積/成長法、液相堆積/成長法、または固相堆積/成長法、あるいはこれらの任意の組合せによって実現することができる。
(堆積させる材料を気相で材料源から基板に輸送する)物理的気相堆積技術は、熱蒸着、電子ビーム蒸着、DCスパッタリング、DCマグネトロン・スパッタリング、RFスパッタリング、パルスレーザー堆積、陰極アーク堆積、等を含むことができる。反応型物理的気相成長法を用いることもでき、この方法によって、成長プロセス(処理)中に「不純物ガス」をチャンバ内に注入し、これにより、層が成長すると共に「不純物ガス」が層内に取り込まれる。
(化学的前駆体を気相で表面に輸送し、その後にこの表面で化学反応を行う)化学的気相成長技術は、低圧化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、大気圧化学気相成長法、有機金属化学気相成長法、熱線化学気相成長法、超高周波プラズマ化学気相成長法、マイクロ波プラズマ化学気相成長法、等を含むことができる。
シード層122を形成するための液相成長技術は、メッキ、電解メッキ、または化学溶液堆積、等を含むことができる。固相成長技術は、集束イオンビーム堆積を含むことができる。成長法の他の可能性は、液体、及び電流コレクタ上に噴霧される適切なサイズの粒子の懸濁液を含む溶液であり、その後に基板が「硬化」して担体溶液が除去されて、基板の表面上に粒子がそのまま残る。
上記の処理ステップのあらゆる組合せを用いて、支持フィラメント110の成長用の開始位置を生成するための適切なシード層122を作製することができる。
この処理における第4ステップ815は、開始位置の生成である。このステップは、シード層122を作製するために選定した方法に依存する。例えば、開始位置分離距離126は、シード層の堆積805用に選定した厚さ及び材料によって決定することができる。例えば、3000オングストロームのニッケル/300オングストロームのクロムのシード層は、1平方センチメートル当りに何個かの開始位置を生成する。ニッケルの厚さが2000オングストロームに減少すれば、1平方センチメートル当りの開始位置の数は、3000オングストロームのニッケルにおける開始位置の数とは異なるであろう。ニッケルを鉄に置き換えるように他の材料を選定した場合も、結果的な1平方センチメートル当りの開始位置は異なるであろう。ステップ815は随意的に、ステップ805の一部である。
固層堆積技術は、1平方センチメートル当りの開始位置の制御を可能にする。この技術は集束イオンビーム堆積とすることができ、開始位置/cm2は、集束イオンビームがその材料を堆積させる場所によって、あるいはナノ粒子懸濁液によって直接制御することができ、ここで開始位置/cm2は、懸濁液の所定体積中に含まれるナノ粒子の数によって制御される。開始位置の数は、集束イオンビーム堆積位置のサイズ、あるいは溶液中のナノ粒子のサイズによって制御することもできる。
開始部位は一般に、その内部で電極が生産される反応容器が、適切な原料ガスの流れを伴って適切な温度に達する際に生成され、この原料ガスはシード層122と共に触媒作用を開始する。こうして開始位置が生成され、支持フィラメント110の成長が開始される。
第5ステップ820は、支持フィラメント110を成長させることである。支持フィラメント110を成長させるために利用可能な多数の成長プロセスが存在する。例えば、化学気相成長法、熱化学気相成長法、気相‐液相‐固相成長法(化学気相成長法の一種)、プラズマ化学気相成長法は、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)、及びナノワイヤー(NW)の成長が達成される処理である。他の利用可能な成長法が存在することは、フィラメント成長の当業者が認める所である。
CNT/CNFを成長させるために使用することのできる原料ガスの例は、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、等である。他の炭化水素または無機化合物も成長プロセス用に用いることができる。
興味深いものはプラズマ化学気相堆積(CVD)法である、というのは、支持フィラメント110の成長がプラズマの電界に整列し、これにより、縦に整列した支持フィラメント110の生産を可能にする、ということによる。熱CVDも、特定処理条件下で、縦に整列した支持フィラメント110を生産することができる。さらに、水添加CVDは、非常に高いアスペクト比(およそ1,000,000に等しい長さ/径)の縦に整列した支持フィラメントを可能にし、非常に背の高い支持フィラメントを可能にする。
適切に変性させたバクテリア及びウィルスがナノワイヤー構造を成長させていることも実証されている。こうした技術は、支持フィラメント110を作製するために用いることができる。
材料の適切な選定により、これらの技術のいくつかをまとめて同時に用いることもできる。例えば、印加された電界の存在下で、バクテリア/ウィルスを用いてCNT/CNF/NWを成長させて、縦に整列した支持フィラメントを生産することができる。支持フィラメント110を成長させる他の方法は、VLS成長中に電界及び/または磁界を印加して、成長するCNT/CNF/NWの軌跡を制御することであり、このことは支持フィラメント110の三次元形状を制御する。他の技術は、PECVDモードで動作中の反応容器でCNT/CNF/NWの支持フィラメント110の成長を開始し、指定時間後に、この反応容器を熱CVDモードに転換し、そして再び指定時間後に、この反応容器をPECVDモードに再転換することである。支持フィラメント110の適切な成長制御を可能にする他の可能な組合せが存在することは、CNT/CNF/NW成長の当業者にとって明らかである。
この支持フィラメント110の高さ114は一般に、成長プロセスの継続時間によって決まる。反応容器の温度、使用する原料ガス、及び印加する電界と磁界の組合せ及び強度(あるいはそれらの不在)は、フィラメント成長の速度及び量に影響し得る。
支持フィラメント110の径112は一般に、シード層122の厚さによって、あるいはシード層122を形成するためにナノ粒子懸濁液法を選定した場合は、懸濁液中に含まれるナノ粒子のサイズによって、あるいはシード層122を形成するために集束イオンビーム堆積法を選定した場合は、イオンビームのサイズによって決まる。反応容器の温度、使用する原料ガス、及び印加する電界と磁界の組合せ及び強度(あるいはそれらの不在)も、支持フィラメント110の径に影響し得る。
支持フィラメント110の成長ステップ820中にサブステップ820aを実行することができ、このサブステップでカラーストップ310を成長させる。このことは、反応容器の温度、使用する原料ガス及びその相対組成と流量、印加する電界及び磁界の方向及び強度(あるいはそれらの不在)を変更することによって達成することができる。この変更の継続時間が暗に、カラーストップの厚さ314及びカラーストップの径316を決定する。カラーストップの間隔は、前述したパラメーターの定常状態への変更の継続時間(及びこの変化自体の継続時間)によって、並びに開始位置分離距離126によって制御される。サブステップ820aは反復することができる。
支持フィラメント110の成長ステップ820中にサブステップ820bを実行することができ、このサブステップで支持カラー210を成長させ、サブステップ820aが発生する場合は、このサブステップはサブステップ820aの後に発生する。サブステップ820bは、反応容器の温度、使用する原料ガス及びその相対組成、印加する電界と磁界の組合せ及び強度(あるいはそれらの不在)を変更することによって達成される。支持カラー210の径、厚さ、及び高さは、前述したパラメーターの変更によって大幅に制御される。
支持フィラメント110の成長ステップ820中に、サブステップ820cを実行することができ、サブステップ820cで支持キャプ150を成長させ、サブステップ820bが発生する場合は、このサブステップはサブステップ820bの後に発生する。このサブステップは、反応容器の温度、使用する原料ガス及びその相対組成、印加する電界及び磁界の方向及び強度(あるいはそれらの不在)を変更することによって達成することができる。支持キャップ150の径、厚さ、及び高さは随意的に、前述したパラメーターの変更によって制御される。
3つのサブステップ820a、820b、及び820cのいずれも、他のサブステップ820a、820b、及び820cの存在または不在とは関係なしに実行することができる。例えば、サブステップ820aは、サブステップ820bまたはサブステップ820cなしに実行することができる。あるいはまた、サブステップ820bを実行せずにサブステップ820a及び820cを実行することができ、あるいは、サブステップ820aまたは820cを実行せずにサブステップ820bを実行することを決定することができる。これに加えて、サブステップ820a、820b、及び820cのいずれかを実行しないことを決定し、これにより、支持フィラメント110の長さ方向における径の変化が最小の支持フィラフィラメント110を作製することができる。
第6処理ステップ825は、DAM低減領域720を作製することであり、DAM低減領域720がトランク350に相当する、ということは全く無い。(要素350と720とを区別する理由は、DAM低減領域720は層間層750の堆積中に作製されるのに対し、トランク350は、支持フィラメント110の形状に関連して規定されることにある。層間層750が追加されると、トランク350はDAM低減領域720になる。具体的には、トランク350は支持フィラメント110の一部であるのに対し、DAM低減領域720は、層間材料750が低減されているか存在しない領域を称する。)DAM領域作製処理825はいくつかの方法によって達成することができ、これらの方法はカラーストップ310の使用を含むが、これに限定されない。こうした方法の例は、(蒸着またはイオンビーム堆積のような)層間材料の成長及び方向性堆積中に、支持フィラメント110のアスペクト比を制御することを含む。追加的な方法は、トランク350を絶縁するための、底部(ベース)層への電着及び無電解メッキを含む。マスキング層のスパッタリング/ライト(軽度の)エッチングを実行して、層間層750の成長/堆積に備えて支持フィラメント110を開くこともでき、あるいはまた、支持フィラメント110の成長パラメーターを修正して、(樹状構造のような)有利なアスペクト比を達成することもできる。このことは、成長中に使用する原料ガス及び処理ガスの組成を変更することによって達成することができる。DAM低減領域720を作製する他の可能な方法は、層間材料の堆積、及び方向性エッチバック(例えば反応性イオンエッチング)を実行して、支持フィラメント110から層間層750による被覆をなくすことである。DAM低減領域720の作製は、CNT/CNF/NWの成長用に選定した方法及び構造、並びに層間層の堆積用に選定した方法及び構造に依存し得る。例えば、層間層750を堆積させた後に、例えば反応性イオンエッチングまたは誘導結合プラズマエッチングのような適切な方向性エッチングによって、DAM低減領域720を作製することができる。
第8処理ステップ830は、層間層750を堆積/成長させることである。(なお、DAMは、電池セルの充電中及び放電中にイオンを供出するか受容する材料を称し、層間層750は、DAM、並びに接着力を生じさせる他の層、または増加した吸着力を与えることのできる層、あるいは導電率を向上させることのできる層を含む。これらの層の他の目的もあり得る。これらの追加的な層は、堆積させたDAMの上方または下方にすることができる。)
層間層750の成長は、(物理的または化学的)気相堆積/成長法、液相堆積/成長法、または固相堆積/成長法、あるいはこれらの任意の組合せによって実現することができる。
(堆積させる材料を気相で材料源から基板に輸送する)物理的気相成長法は、熱蒸着、電子ビーム蒸着、直流スパッタリング、直流マグネトロン・スパッタリング、高周波スパッタリング、パルスレーザー堆積、陰極アーク堆積、等を含むことができる。反応性の物理的気相成長法を用いることもでき、成長プロセス中に燃焼室内に注入された"混合ガス"による方法である、これによりこの層の形成に組み込まれる。
(化学的前駆体を気相で表面に輸送し、その後にこの表面で化学反応を行う)化学的気相堆積技術は、低圧化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法、大気圧化学気相成長法、有機金属化学気相成長法、熱線化学気相成長法、超高周波プラズマ化学気相成長法、マイクロ波プラズマ化学気相成長法、等を含むことができる。
なお、あらゆる堆積段階において、2つ以上の材料を同時に堆積させることができる。例えば、スズ(Sn)と金(Au)のような2つ(以上)の異なる種類の金属を同時に堆積/成長させることができ、シリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)のような2つ(以上)の異なる種類の半導体を堆積させることができ、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)とリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(Li(NiCoMn)O2)のような2つ(以上)の異なる種類の酸化物を成長/堆積させることができる。これに加えて、金属と半導体、または半導体と酸化物、または金属と酸化物、あるいは金属、半導体、及び酸化物のように、複数種類の材料を混合することができる。その例は、シリコン(Si)とリチウム(Li)の共析(共堆積)、シリコン(Si)とLiO2(またはSiO2)の共析、及びシリコン(Si)、リチウム(Li)、及びLiO2(またはSiO2)の共析を含む。酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)のような絶縁材料も共析させることが望ましいことがある。これに加えて、炭素(C)を共析させることが望ましいことがある。
層間層750は、無電解メッキまたは電気メッキのような液相プロセスによって随意的に作製される。バインダー溶媒マトリックス中に懸濁した(シリコン(Si)またはスズ(Sn)のような)層間材料を含む溶液で支持フィラメントを被覆(コーティング)することによって、層間層を作製することもできる。適切な処理の後に、この溶媒をマトリックスから除去してバインダー及び層間材料のみを残し、これにより、支持フィラメント110及び層間材料を含む電極を作製する。この技術は陰極にも適用することができる。この層間層はエーロゲルを含むことができる。層間層750を液体プロセスとして生成する際は、DAM低減領域720は随意的に、この液体をはじく材料をトランク350中に含めることによって生成される。例えば、水を使用する場合は、トランク350の領域内に疎水種を含めることができる。これらの種は、支持フィラメント110中に取り込むことも、支持フィラメント110の表面にコーティングすることもできる。
一部の実施例では、堆積及び成長技術を適切に選定することによって、層間層750の導電率を制御する。例えば、スパッタリングの場合に、強度にドーピングしたp+またはn+シリコンを用いることによって、非ドーピングのシリコンに比べて導電率の高いシリコン層間層が作製される。(例えば、強度にドーピングしたシリコンが何十Ωcmであるのに対し、純シリコンは何万Ωcmである。)シランを用いたCVDシリコン堆積の場合は、ホスフィンまたはアルシンの添加を随意的に用いて、堆積/成長したシリコンの導電率を増加させる。種々の実施例では、ドーパントは、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)、タリウム(Th)、及び/またはビスマス(Bi)を含む。他のドーパントも可能である。
一部の実施例では、層間層750の導電率は、シリコンを堆積/成長させている間に、金属(これらに限定されないが、例えば金(Au)、スズ(Sn)、銀(Ag)、リチウム(Li)、またはアルミニウム(Al))の堆積により増加する。一部の実施例では、層間層750の導電率を、イオン打ち込み(注入)によって制御する。これらの方法は、ゲルマニウム(Ge)のような、層間層750用に選定した他の材料でも可能である。種々の実施例では、結果的な層間層750の抵抗率は10Ωcm、500Ωcm、2000Ωcm、または12000Ωcm以下である。他の実施例では、抵抗率は12000Ωcm以上である。
一部の実施例では、ステップ830は、堆積させた層間層750の後処理を含む。この後処理によって、層間層750の結晶構造を変化させることができる。例えば、一部の実施例では、アモルファスシリコンを層間層750として堆積させ、後続する処理ステップは、このアモルファスケイ素を適切にアニール加熱し、これにより、ポリシリコン層及び/または層間層750上の表面を作製する。結果的な構造は、外表面上のポリシリコン層、及びこのポリシリコン層と支持フィラメント110の間のアモルファスシリコン層を含むことができる。両シリコン層は、層間層750の一部と考えられる。このアニール加熱処理は、高出力レーザー、あるいは他の何らかの高速高温熱源を用いることによって達成することができる。こうした堆積後の後処理アニール加熱の方法は、随意的に陰極及び/または陽極材料に適用する。
一部の実施例では、堆積させた層間層750にパッシベーションを施す。シリコンの場合は、このパッシベーションは、本明細書の他所で説明したアニール加熱によって、あるいは、およそ5nm、10nm、40nm、100nm、または250nm以下の酸化物、窒化物、及び/または炭化物(カーバイド)層の堆積によって達成することができる。この酸化物、炭化物、または窒化物層は、層間層750の一部と考えられ、支持フィラメントを成長させるステップ820の一部で生成することができる。この酸化物または窒化物は、熱的手段、並びに標準的なCVD及びPECVD技術によって成長または堆積させることができる。例えば、表面パッシベーションは、層間層750の表面上に炭化物を成長させることによって随意的に達成される。この成長は、シード層堆積のステップ805、開始位置の作製ステップ815、及び支持フィラメントを成長させるステップ820を実行することによって達成され、炭化物、酸化物、及び/または窒化物はステップ820で成長させる。一部の実施例では、層間層750上に成長させたCNT/CNF/NWの高さは最大でも数ミクロンであり、一般に250nm以下である。
支持フィラメント110、カラーストップ310、支持カラー210、及び支持キャップ150形状により、異なる量の層間材料を、支持フィラメント110の長さ方向における異なる位置に堆積させることができる。層間層750を作製するために用いる堆積/成長方法は随意的に、成長プロセスを開始して継続する表面反応に頼る。支持フィラメント110の表面に至る反応物の流量が減少すれば、これに応じた層間層750の堆積/成長速度の低下が生じる。
例として、そして図7A〜7Cを参照すれば、カラーストップの間隔312が0であれば、本質的に、カラーストップ310の下方にある支持フィラメント110の表面には、反応物が到達しないか最小限の反応物しか到達せず、これにより、支持フィラメント110の他の部分に比べて少量の層間層750を有するDAM低減領域720が作製される。
支持フィラメント110の長さ方向において異なる量の層間層750の堆積/成長を保証する他の方法は、支持フィラメントの高さ114対開始位置分離距離126の高いアスペクト比に頼る。このアスペクト比は、5:1、10:1、100:1、1000:1、10000:1、あるいは1000000:1に及ぶオーダーにすることができ、場合によってはより大きくすることができる。より大きいアスペクト比は、反応物が基板124に向かって移動すると共に、支持フィラメントの側面が、より小さく0に近い立体角を有することを意味するので、支持フィラメントに沿った成長の量はこれに応じて減少し、これにより、層間層750を少量しか、あるいは全く有しないDAM低減領域720を生成する。AM低減領域720を生成するためにカラーストップ310を必要としない。
ステップ840において、電極の製造を完了させることができる。この電極は随意的に電池内に含まれる。
図9Aと図9Bに、本明細書で説明した処理を用いて作製した陽極の容量の測定値を例示し、ここでは、支持フィラメント110はカーボンナノファイバーであり、層間層750はシリコンである。図9Aは、層間層750の厚さと共に電極の容量が増加することを例示する。図9Bでは、線910は、炭化物コーティングだけの容量の計算値を例示し、線920は、アモルファスとポリシリコンの混合物を用いた実験的結果を例示する。この測定値は半電池設定で行った。図9Bは、純粋なグラファイトベースの陽極に比べると、5〜7倍の電荷蓄積容量の向上を例示している。この向上の量は、層間層750の厚さ及び材料の種類に依存する。
図10に、本明細書で説明した処理を用いて作製した陽極を用いた電池の層間層750の厚さ及び温度に対するサイクル寿命の測定値を、工業規格の電極と比較して例示する。支持フィラメント110はカーボンナノファイバーであり、層間層750はシリコンである。測定は、全電池(フルセル)設定において2つの異なる温度で行い、サイクルはC/2のレートで実行した。このデータは、従来技術に比べて、高温における大幅に増強されたサイクル寿命を実証している。
図11に、本発明の種々の実施例による電池1100を例示する。電池1100は、本明細書の図1〜8に例示するもののような第1電極1110、及び第2電極1120を含む。第2電極1120は、図1〜8に例示する特徴を含むことも含まないこともできる。電池1100はさらに、電力を負荷に供給するように構成された回路内で第1電極1110と第2電極1120とを結合するように構成された導体(図示せず)を含む。これらの導体を構成することのできる方法は、通常の当業者にとって明らかである。電池1100は一般に、再充電可能(充電式)電池である。第1電極は、陽極または陰極として動作するように構成することができる。
図12Aは、支持フィラメント110の高さ114が3.5μmである電極の像である。図12Bは、支持フィラメント110の高さ114が17.5μmである電極の像である。図12A及び12Bの支持フィラメントは層間材料を含まない。
図13Aは、支持フィラメント110の高さ114が3.5μmであり、0.25μmのシリコンを層間層750として堆積させた電極の像である。データは、0.25μmの層間層750(シリコン)をコーティングした3.5μmの支持フィラメント110が非常に貧弱なサイクル寿命(<10サイクル)を有することを示している。
図13Bは、支持フィラメント110の高さ114が17.5μmであり、0.25μmのシリコンを層間層750として堆積させた電極の像である。データは、0.25μmの層間層750(シリコン)をコーティングした17.5μmの支持フィラメント110が非常に良好なサイクル寿命(>30サイクル、<20%の容量低下)を有することを示している。本発明の種々の実施例は、少なくとも17.5μm(17.5×10-6m)の高さ114を有する支持フィラメント110、及び少なくとも0.1μm、0.25μm、0.35μm、0.5μm、または0.75μmの層間層を含む。
図14は、支持フィラメントの高さ114が10μmであり、層間層750が存在しない電極の断面である。この電極の設計(直線的に測った層間材料の堆積の厚さが0.5μm、1.5μm、4.0μm)を試験し、図9及び10に示すデータが出ている。この結果は、高温における増強された容量及び改善されたサイクル寿命を示す(300サイクル、40%の容量低下、C/2のレート、60℃)。本発明の種々の実施例は、少なくとも10μm(10.0×10-6m)の高さ114、及び少なくとも0.1μm、0.25μm、0.35μm、0.5μm、または0.75μmの層間層750を有する支持フィラメントを含む。
本明細書では、いくつかの実施例を具体的に図示及び/または説明している。しかし、その変更及び変形は以上の教示によってカバーされ、特許請求の範囲内に入り、その意図する範囲から逸脱しないことは明らかである。例えば、本明細書で説明した電極は、電池以外の装置内で使用することができる。
本明細書で説明した実施例は、本発明の例示である。本発明のこれらの実施例は例示を参照して説明しているので、説明した方法及び/または具体的構造の種々の変更または適応は、当業者にとって明らかになり得る。本発明の教示に頼るこうした変更、適応、または変形のすべては、本発明の範囲内であると考えられる。従って、これらの説明及び図面は、限定的意味で考えるべきでなく、本発明は決して、例示する実施例のみに限定されないことは明らかである。