JP2011105874A - ポリカーボネート樹脂用帯電防止剤及びポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂用帯電防止剤及びポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリカーボネート樹脂に添加しても樹脂の透明性を下げないだけでなく、耐熱性が良好であって、ポリカーボネート樹脂に対して持続性のある優れた帯電防止性能を付与することができる、帯電防止剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されることを特徴とするポリカーボネート樹脂用帯電防止剤;但し、一般式(1)中のR及びRは、各々独立に炭素原子数1〜30のアルキル基、nは0又は1の数、mは0〜10の数、tは1又は2の数を表す。tが1のとき、Xはアルカリ金属イオン又は特定のホスホニウムイオンを表し、tが2のときはアルカリ土類金属イオン又は特定のホスホニウムイオンを表す。
Figure 2011105874

【選択図】なし

Description

本発明は帯電防止剤に関し、特に、ポリカーボネート樹脂に添加しても樹脂の透明性及び耐熱性を損なうことのない帯電防止剤、及び、該帯電防止剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は耐熱性、成形性、機械特性等に優れ、電気電子用部材、医療用部材、光学用部材、その他各種成形品として幅広く使用されており、他のプラスチックと同様に、電気絶縁性が高いという特徴がある。しかしながらそのために、かえって帯電した静電気が散逸しにくく、製品へのほこりの付着、作業者への電撃、計器類やICチップ類の誤動作といった問題が生じる。そこで、上記の問題を改善するために、従来、ポリカーボネート樹脂を含む各種のプラスチックに対して、帯電防止剤の研究がなされてきた。
帯電防止剤には、樹脂の中に練り込む練り込み型と樹脂製品の表面に塗布する塗布型とがあるが、塗布型は持続性に劣るだけでなく、表面に大量の有機物が塗布されるため、触れたものが汚染されるという問題があった。そこで従来は、主として練り込み型の帯電防止剤が検討されてきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、従来の練り込み型帯電防止剤をポリカーボネート樹脂に添加すると、樹脂の透明性が低下するという欠点があった。ポリカーボネート樹脂は透明性が高く、その透明性を生かした製品が多いため、透明性の低下は製品価値を下げることになる。また、ポリカーボネート樹脂は融点が高いため、熱を加えて成形する工程で帯電防止剤が熱によって分解されるという問題もあった。
また、合成樹脂に使用される練り込み型の帯電防止剤としては、従来、アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩等が使用されている。これらの中でも、アルキル(アリール)スルホン酸塩を利用した系はよく検討されており、制電効果の大きいものとして、例えば、アルカンのセカンダリー位をスルホン酸金属塩に置換したもの(特許文献4)、ホスホニウム塩を利用したもの(特許文献5)等が開示されている。しかしながら、このような従来のスルホン酸塩系の帯電防止剤を利用した場合には、制電効果は高いものの、拭いたり、水洗いしたりするとその効果が低下するという欠点があった。
また洗浄剤及び乳化剤として、高級第2級アルキルエーテル硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、(置換)アンモニウム塩が提案されている(特許文献6)。しかしながら、これらの文献にはポリカーボネート樹脂の帯電防止剤としての記載はなく、ポリカーボネート樹脂用の帯電防止剤という観点からは、何の知見も得ることはできない。
特開平7−292234号公報 特開2002−60734号公報 特開平9−176497号公報 特開平5−222241号公報 特開昭62−230835号公報 特開平10−251215号公報
従って、本発明の第1の目的は、ポリカーボネート樹脂に添加しても樹脂の透明性を下げないだけでなく、ポリカーボネート樹脂の加工温度にも耐えられる耐熱性を有し、持続的に優れた帯電防止性能を付与することのできる、ポリカーボネート樹脂用帯電防止剤を提供することにある。
本発明の第2の目的は、持続的な帯電防止効果と透明性に優れた成形品を得ることができる、ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、ポリカーボネート樹脂に添加しても樹脂の透明性を下げず、耐熱性が良好で、優れた帯電防止性能を有するポリカーボネート樹脂用帯電防止剤を新たに見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする、ポリカーボネート樹脂用帯電防止剤、及び、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、該ポリカーボネート樹脂用帯電防止剤を0.01〜20質量部添加してなるポリカーボネート樹脂組成物である。
Figure 2011105874

但し、上式中のR及びRは、各々独立に炭素原子数1〜30のアルキル基、nは0又は1の数、mは0〜10の数、tは1又は2の数を表す。tが1のとき、Xはアルカリ金属イオン又は下記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンを表し、tが2のときはアルカリ土類金属イオンを表す。
Figure 2011105874
但し、上式中のR、R、R及びRは、各々独立に、炭素原子数1〜18のアルキル基を表す。
本発明の帯電防止剤は、ポリカーボネート樹脂に添加しても樹脂の透明性を下げないだけでなく、耐熱性が良好であるので、ポリカーボネート樹脂に対して持続性のある、優れた帯電防止性能を付与することができる。
以下本発明について詳述する。
本発明の帯電防止剤は一般式(1)で表される化合物である。

Figure 2011105874
但し、上式中のR及びRは、各々独立に炭素原子数1〜30のアルキル基、nは0又は1の数、mは0〜10の数、tは1又は2の数を表す。tが1のとき、Xはアルカリ金属イオン又は下記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンを表し、tが2のときはアルカリ土類金属イオンを表す。
Figure 2011105874
但し、上式中のR、R、R及びRは、各々独立に炭素原子数1〜18のアルキル基を表す。
上記一般式(I)におけるR及びRで表される炭素原子数1〜30のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二級ブチル、第三級ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三級アミル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、2−ヘプチル、イソヘプチル、第三級ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三級オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ベヘニル、トリコシル等の、直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。
及びRは、帯電防止性と透明性の点から、炭素原子数4〜24のアルキル基であることが好ましく、6〜18であることがより好ましい。また、帯電防止性と透明性の点から、R及びRの炭素原子数の合計は8〜36であることが好ましく、10〜28であることがより好ましい。
また上記一般式(1)におけるnは0又は1の数であるが、帯電防止性と透明性の点から、n=0であることが好ましい。一方、上記一般式(1)におけるmは0〜10の数であるが、帯電防止性と透明性の点から、4〜10であることが好ましい。
更に、上記一般式(1)において、t=1のとき、Xはアルカリ金属イオン又は上記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンであるが、前記アルカリ金属イオンの例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
また、前記一般式(2)におけるR、R、R及びRで表される炭素原子数1〜18のアルキル基としては、例えば、前記R及びRで例示したアルキル基のうち、炭素原子数1〜18のものが挙げられる。尚、R、R、R及びRは、帯電防止性と透明性の観点から、炭素原子数2〜8のアルキル基であることが好ましい。
また、上記一般式(1)において、t=2のとき、Xはアルカリ土類金属イオンであるが、このアルカリ土類金属イオンの例としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
上記一般式(1)におけるXは、帯電防止性と透明性の点から、アルカリ金属イオン又は前記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンであることが好ましく、特に、上記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンであることが好ましい。
本発明の帯電防止剤の具体例としては、下記の化合物No.1〜No.18が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。

Figure 2011105874

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本発明の前記一般式(1)の構造を持つ帯電防止剤は公知の方法によって適宜製造することができる。例えばn=0の場合には、対応する第2級アルコール又は第2級アルコールエトキシレートを硫酸エステル化し、それを中和すればよい。またn=1の場合には、対応する分岐アルコール又は分岐アルコールエトキシレートを硫酸エステル化し、それを中和すればよい。
本発明のポリカーボネート樹脂用帯電防止剤は、そのままポリカーボネート樹脂に添加しても良いが、必要に応じて担体に含浸させてから添加しても良い。担体に含浸させることが好ましい場合は、本発明のポリカーボネート樹脂用帯電防止剤が常温で液体のときである。液体の場合には、ポリカーボネート樹脂に均一に混合することが困難になる場合があるからである。
本発明のポリカーボネート樹脂用帯電防止剤を担体に含浸させる場合には、そのまま加熱混合してもよいし、必要に応じて、有機溶媒に溶解してから担体に含浸させ、その後溶媒を除去する方法でもよい。このような担体としては、合成樹脂のフィラーや充填剤として知られているもの、あるいは常温で固体の難燃剤や光安定剤を使用することが使用でき、例えば、ケイ酸カルシウム粉末、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、あるいはこれら担体の表面を化学修飾したもの、及び、後記する難燃剤や酸化防止剤の中で固体のもの等が挙げられる。
これらの担体の中でも、本発明においては担体の表面を化学修飾したものが好ましく、シリカ粉末の表面を化学修飾したものがより好ましい。これらの担体としては、平均粒径が0.1〜100μmのものが好ましく、特に0.5〜50μmのものが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の帯電防止剤をポリカーボネート樹脂に添加・配合したものである。ここでいうポリカーボネート樹脂とは、ポリカーボネートが100%の樹脂だけでなく、ポリカーボネートと他の樹脂を混ぜ合わせた、いわゆるポリマーアロイも包含する概念である。このようなポリマーアロイとしては、例えば、ポリカーボネート/ABS樹脂、ポリカーボネート/AS樹脂、ポリカーボネート/ゴム系高分子化合物、ポリカーボネート/ABS樹脂/ゴム系高分子化合物、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ASA樹脂、ポリカーボネート/AES樹脂等が挙げられる。これらのポリマーアロイに含有されるポリカーボネートの割合は、ポリマーアロイ中の50〜98質量%であることが好ましい。
本発明に使用することのできるポリカーボネート100%の樹脂は、通常市販されているものでよく、例えば、1種以上のビスフェノール類とホスゲン又は炭酸ジエステルとを反応させたもの、あるいは1種以上のビスフェノール類とジフェニルカーボネート類とをエステル交換法によって反応させたもの等である。
上記ビスフェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシフェニル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−アルカン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロアルカン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、ビスフェノールフルオレン或いはこれらのアルキル置換体、アリール置換体、ハロゲン置換体等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
これらのポリカーボネートの中でも、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(所謂ビスフェノールA)を原料としたビスフェノールA系ポリカーボネートを使用することが、原料を市場で容易に入手することができるという点から好ましい。更に、これらのポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、10,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜50,000であることがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂に配合する本発明の帯電防止剤の量は、特に限定されることはない。しかしながら、あまり多量に配合するとポリカーボネート樹脂の機械的強度等の物性が低下するだけでなく、そもそも配合することが難しくなったりする場合があり、また、あまりに配合量が少ないと帯電防止効果が不十分となる場合があるので、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して本発明の帯電防止剤を0.01〜20質量部配合することが好ましく、特に0.1〜10質量部配合することが好ましく、0.5〜5質量部配合することが最も好ましい。
上記ポリカーボネート樹脂と本発明の帯電防止剤の配合方法は特に限定されず、通常使用されている方法を適宜用いることができる。具体的には、例えば、ロール混練り、バンパー混練り、押し出し機、ニーダー等を用いて、混合し、練りこんで配合すればよい。
また、本発明の帯電防止剤は、ポリカーボネート樹脂に配合するいわゆる練り込み型としての使用以外にも、ポリカーボネート樹脂成形品の表面に塗布する塗布型として使用することもできる。塗布する場合は、各種溶剤に溶解させた溶液として塗布すればよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、難燃剤を更に添加・配合することがポリカーボネート樹脂組成物の物性を向上させる上で好ましい。本発明において併用することができる難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、テトラブロモ無水フタル酸、塩素化ポリエチレン、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、クロレンド酸、テトラクロロ無水フタル酸等のハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、トリクレジルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリス(β−クロロエチル)フォスフェート、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスジクロロプロピルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、キシレニルジフェニルフォスフェート、フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(フェニルクレジルフォスフェート)、フェニレンビス(ジクレジルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシレニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジクレジルフォスフェート)等のリン系難燃剤;赤燐、酸化スズ、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒素化グアニジン等の無機系難燃剤が挙げられる。
上記の難燃剤のうち、ハロゲン系難燃剤や含ハロゲンリン系難燃剤等のハロゲンを含有する難燃剤は、燃焼時にダイオキシン類が発生する恐れがあるので好ましくない。また、本発明の帯電防止性組成物と併用ときに発熱して、カーボネート樹脂を着色させる難燃剤を使用することも好ましくない。したがって本発明では、下記一般式(3)で表わされるリン系化合物からなる難燃剤を使用することが好ましい。

Figure 2011105874

但し、上式中のR〜R10はアリール基、Yはアリーレン基を表し、a〜dは0若しくは1の数を表し、sは1〜5の数を表す。
上記一般式(3)において、R〜R10で表されるアリール基は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ベンジル基、キシリル基、フェネチル基、スチリル基、トリメチルフェニル基、クメニル基、クミル基、ヒドロシンナミル基、シンナミル基、テトラメチルフェニル基、チミル基、カルバクリル基、クミニル基、ネオフィル基、キセニル基、ベンズヒドリル基、トリフェニルメチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。本発明においては、これらの中でも、フェニル基、クレジル基、キシレニル基が好ましい。
また、Yはアリーレン基を表わす。アリーレン基は2価のフェノール類から水酸基を除いた残基である。このような2価フェノール類としては、例えば、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール等が挙げられる。a〜dは0又は1の数を表わし、それぞれ同一であっても異なっていても良い。sは繰り返し単位の平均値であり、1〜5の数を表わす。
上記一般式(3)で表わされるリン系化合物は、公知の方法(例えば、特開昭59−202240号公報)により製造することができる。これらの一般式(3)で表わされるリン系化合物の具体例としては、例えばフェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(フェニルクレジルフォスフェート)、フェニレンビス(ジクレジルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシレニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジクレジルフォスフェート)等が挙げられる。これらの難燃剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂の種類及び用途によって変化するため、一概には言えないが、概ね、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜25質量部であることがより好ましく、5〜20質量部であることが最も好ましい。
更に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲内で、公知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、フルオロオレフィン樹脂、その他の帯電防止剤、防曇剤、滑剤、可塑剤、着色剤、リン系以外の難燃剤、難燃助剤、防黴剤、結晶核剤、相溶剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、無機電解質、フィラー、充填剤、顔料、香料、シリコーンオイル、カップリング剤等のその他の合成樹脂添加剤を併用することができる他、カーボン繊維やステンレス繊維等の導電性物質を配合してもよい。本発明においては、これらの中でも酸化防止剤、フルオロオレフィン樹脂又は滑剤を併用することが好ましい。
このような酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert.−ブチルフェノール(以下tert.−ブチルをt−ブチルと略記する。)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2'−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルベンジル)4−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ステアリル,3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オレイル,3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ドデシル,3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル,テトラキス{3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチル}メタン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸グリセリンモノエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸とグリセリンモノオレイルエーテルとのエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ブチレングリコールエステル,3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸チオジグリコールエステル、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4(N,N'−ジメチルアミノメチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、トリス{(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル}イソシアヌルレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス{2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル}サルファイド、1,3,5−トリス(4−ジ−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラフタロイル−ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルサルファイド)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−{ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)}プロピオネート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−リン酸ジエステル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス{3,3'−ビス−(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジイソトリデシル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、1,1,3−ブチリジントリス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジイソトリデシル)ホスファイト、2,2−プロピリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジイソトリデシル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジホスホナイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシルオキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジオクチルチオジプロピオネート、ジデシルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリル−β,β'−チオジブチレート、(3−オクチルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−デシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ラウリルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ステアリルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−オレイルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ラウリルチオプロピオン酸)−4,4'−チオジ(3−メチル−5−t−ブチル−4−フェノール)エステル、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾールジスルフィド、ジラウリルサルファイド、アミルチオグリコール等が挙げられる。
これらの酸化防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂の種類及び用途によって変化するため一概に言えないが、概ね、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.001〜15質量部であることが好ましく、0.005〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜5質量部であることが最も好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、フルオロオレフィン樹脂を含有することが好ましい。フルオロオレフィン樹脂を配合した本発明のポリカーボネート樹脂組成物は溶融時の滴下が防止されるので、火災が発生した場合に着火又は燃焼し難くなる。ここでいうフルオロオレフィン樹脂とは、フルオロエチレン構造を含む重合体であり、例えば、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体等が挙げられる。
上記したフルオロオレフィン樹脂の中でも特に好ましい樹脂はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、平均分子量が50万以上のPTFEが更に好ましく、50万〜1000万のPTFEが特に好ましい。その具体例としては、例えばテフロン(登録商標)、6−J(三井・デュポンフロロケミカル社製の商品名)、ポリフロンD−1、ポリフロンFA−100、ポリフロンF−103、ポリフロンF−201、ポリフロンMPA(何れもダイキン工業社製の商品名)、CD076(旭アイシーアイフロロポリマーズ社製の商品名)、アルゴフロンF5(モンテフルオス社製の商品名)等が挙げられる。
フルオロオレフィン樹脂の配合量は、ポリカーボネート樹脂の種類及び用途によって変化するために一概には言えないが、概ね、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜2質量部がより好ましく、0.5〜1.5質量部であることが最も好ましい。
本発明に使用することのできる滑剤としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤;ステアリルアルコール、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪族系滑剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンステアリン酸アミド等のアミド系滑剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸バリウム/ステアリン酸亜鉛複合体、ステアリン酸亜鉛/ステアリン酸カルシウム複合体等の金属石鹸系滑剤;硬化油脂、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸ブチル、ペンタエリスリトールステアレート、ステアリン酸ステアリル等のエステル系滑剤が挙げられる。
これらの滑剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂の種類及び用途によって変化するため一概に言えないが、概ね、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.001〜15質量部であることが好ましく、0.005〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜5質量部であることが最も好ましい。
本発明に使用することのできる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、その他の紫外線吸収剤が挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2'−ヒドロキシ−3',5'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2'−ヒドロキシ−3'−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニルメタン)等が挙げられる。
その他の紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系;2−エトキシ−2'−エチルオキザリックアシッドビスアニリド等のオキザリックアシッド系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂の種類及び用途によって変化するため一概に言えないが、概ね、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.001〜15質量部であることが好ましく、0.005〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜5質量部であることが最も好ましい。
本発明に使用することのできるヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト−{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト−{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β',β'−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ},ジメチルサクシネート/4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール重合体、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、エチレンビス(2,2,6,6−テトラメチル−3−オキサ−4−ピペリジン)等が挙げられる。
本発明に使用することのできるその他の光安定剤としては、例えば、{2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)}−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、{2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)}−2−ブチルアミンニッケル(II)、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチレートニッケル錯体等のニッケル系光安定剤;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
これらの光安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂の種類及び用途によって変化するため一概に言えないが、概ね、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.001〜15質量部であることが好ましく、0.005〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜5質量部であることが最も好ましい。
本発明に使用できるその他の帯電防止剤としては、例えば、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ジエタノールアミン脂肪酸アミド、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、N−アルキルアンモニウムクロライド、アルキルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩等が挙げられるが、これらは耐熱性に劣るため、可能である限り使用量を少なくするか、使用を避けることが好ましい。
本発明に使用することのできるその他の添加剤としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸)アルミニウム、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム塩等の造核剤;フタル酸エステル、二塩基酸エステル、塩素化パラフィン、ポリエステル、エポキシ化エステル、リン酸エステル、トリメリット酸エステル等の可塑剤;金属石鹸、有機スズ、有機鉛、ホスファイト、エポキシド、β−ジケトン、ポリオール、過塩素酸塩、ハイドロタルサイト、ゼオライト化等の安定剤、チタン化合物等の着色剤、ケイ酸カルシウム粉末、シリカ粉末、タルク粉末、マイカ粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、ガラスフレーク等の充填剤等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明する。尚、以下の実施例等における%及びppmは、特に記載が無い限り質量基準である。
〔製造例〕
第二級アルコールエトキシレート(下記原料化合物−1)の16.83g(0.04mol)を100mlの四つ口ナスフラスコに入れ、110℃で1時間減圧乾燥した。その後、窒素気流下で70℃に降温させ、尿素0.2mgを加えて30分攪拌した。ここに、スルファミン酸5.1gを加え、110℃で4時間加熱攪拌を行って硫酸エステル化した。得られた無色透明な油状物に、テトラブチルホスホニウムブロマイド(17.9g)水溶液を滴下し、1時間室温で攪拌した。この反応溶液にクロロホルムを加え、抽出操作を行った。二層分離させて回収したクロロホルム溶液を水洗して、過剰なホスホニウムブロマイドを除去した。その後、溶媒の減圧留去を行い、目的物18gを得た。得られた無色油状物は、NMRにより化合物No.1であることが確認された。

Figure 2011105874

Figure 2011105874
また、同様にして、下記化合物No.5及び化合物No.9を合成した。

Figure 2011105874

Figure 2011105874
〔実施例1〜3、比較例1〕
下記の条件で、本発明の化合物No.1、化合物No.5及び化合物No.9を用いて試験片を作製し、下記の条件で性能評価を行った。結果を表1に示す。また比較として、下記比較化合物を用いて同様に試験し評価した。

Figure 2011105874
<加工条件>
120℃で4時間乾燥したポリカーボネート樹脂(ユーピロンS−3000 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製の商品名)100質量部に対して、表1に記載した本発明の化合物(120℃で4時間乾燥したもの)を2質量部加え、充分に混合し、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。
得られたポリカーボネート樹脂組成物を、東洋精機製作所製のラボプラストミルμ(単軸押出機2D25W付)を用い、単軸スクリューで260℃の条件で溶融混練してペレットを得た。
<試験片の作製(射出成形加工)>
縦型射出成形機(山城精機製作所 SA-60-52-CP)を用いて、以下の加工条件で成形を行い、試験片(100mm×100mm×3mm)を得た。
温度:260℃
金型温度:80℃
<表面固有抵抗値(SR値)>
上記で得られた試験片について、成形加工後直ちに、25℃で湿度60%の条件下で保存し、成形加工の1日後、1週間後及び2週間保存後に、同じ雰囲気下で、アドバンテスト社製、R8340抵抗計を用いて、印加電圧500V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。測定を5点について行い、その平均値を表1に示した。
<透明性評価>
上記で得られた試験片のヘイズ値を測定し、結果を表1に示した。
Figure 2011105874
表1の結果から明らかなように、本発明の帯電防止剤を使用したカーボネート樹脂組成物は、透明性が良好であるだけでなく、優れた帯電防止性能を持続することのできることが確認された。
本発明の帯電防止剤は、ポリカーボネート樹脂に添加しても樹脂の透明性を下げないだけでなく、耐熱性が良好であって、ポリカーボネート樹脂に対して持続性のある、優れた帯電防止性能を付与することができるので、産業上極めて有意義である。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とするポリカーボネート樹脂用帯電防止剤;
    Figure 2011105874

    但し、上式中のR及びRは、各々独立に炭素原子数1〜30のアルキル基、nは0又は1の数、mは0〜10の数、tは1又は2の数を表す。tが1のとき、Xはアルカリ金属イオン又は下記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンを表し、tが2のときはアルカリ土類金属イオンを表す;
    Figure 2011105874
    但し、上式中のR、R、R及びRは、各々独立に、炭素原子数1〜18のアルキル基を表す。
  2. 前記R及びRが炭素原子数4〜24のアルキル基であると共に、R及びRの炭素原子数の合計が8〜36である、請求項1に記載されたポリカーボネート樹脂用帯電防止剤。
  3. 前記R及びRが炭素原子数6〜18のアルキル基であると共に、R及びRの炭素原子数の合計が10〜28である、請求項2に記載されたポリカーボネート樹脂用帯電防止剤。
  4. 前記R、R、R及びRが炭素原子数2〜8のアルキル基である、請求項1〜3の何れかに記載されたポリカーボネート樹脂用帯電防止剤。
  5. 前記nが0で、mが4〜10の数である、請求項1〜4の何れかに記載されたポリカーボネート樹脂用帯電防止剤。
  6. 前記Xが前記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンである、請求項1〜5の何れかに記載されたポリカーボネート樹脂用帯電防止剤。
  7. ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、請求項1に記載されたポリカーボネート樹脂用帯電防止剤を0.01〜20質量部添加してなることを特徴とする、ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 更に難燃剤を含有してなる請求項7に記載されたポリカーボネート樹脂組成物。
  9. 前記難燃剤が、下記一般式(3)で表わされるリン系化合物からなる難燃剤である、請求項8に記載されたポリカーボネート樹脂組成物;

    Figure 2011105874

    但し、上式中のR〜R10はアリール基、Yはアリーレン基を表し、a〜dは0若しくは1の数を表し、sは1〜5の数を表す。
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