JP5348791B2 - ポリカーボネート樹脂用帯電防止剤及びそれを含有するポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂用帯電防止剤及びそれを含有するポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂用の帯電防止剤、及びポリカーボネート樹脂組成物に関し、特に、耐熱性が良好で、ポリカーボネート樹脂に添加しても樹脂の透明性を損なわないポリカーボネート樹脂用の帯電防止剤及び該帯電防止剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は耐熱性、成形性、機械特性等に優れ、電気電子用部材、医療用部材、光学用部材、その他各種成形品として幅広く使用されている。
ポリカーボネートも他のプラスチック同様、電気絶縁性が高いという特徴があるが、そのためにかえって静電気が散逸しにくく、製品にほこりが付着したり、作業者への電撃又は機器類意やICチップ類の誤動作が生じたりするという問題がある。
そのため、従来、これまでポリカーボネートを含め、各種のプラスチックの帯電防止剤が研究されてきた。
帯電防止剤には、練り込み型と塗布型があるが、塗布型は持続性に劣るばかりでなく、製品の表面に大量の有機物が塗布されるため、製品に触れたものが帯電防止剤により汚染されるという問題があった。
そこで、このような問題のない練り込み型の帯電防止剤が主として検討されてきた(特許文献1〜3)。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、高い透明性を生かした樹脂製品に多く使用されるため、従来の練り込み型の帯電防止剤は、ポリカーボネート樹脂に添加すると樹脂の透明性を低下させ、樹脂製品の価値を下げるという問題があった。
更に、ポリカーボネート樹脂は融点が高く、高温で加熱成形するために、帯電防止剤が熱によって分解するという問題や、帯電防止剤が原因となって樹脂が着色するという問題もあった。
従来、合成樹脂に使用される練り込み型の帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩等が使用されている。中でもアルキル(アリール)スルホン酸塩を利用した系はよく検討されており、帯電防止効果の大きいものとして、例えば、アルカンのセカンダリー位をスルホン酸金属塩に置換したもの(特許文献4)、ホスホニウム塩を利用したもの(特許文献5)が開示されている。
しかしながら、これらのスルホン酸塩系の帯電防止剤は、帯電防止効果は高いものの、その持続性や耐熱性が十分でない上、帯電防止剤が添加された樹脂の耐着色性等が十分でないという問題があった。
特開平7−292234号公報 特開2002−60734号公報 特開平9−176497号公報 特開平5−222241号公報 特開昭62−230835号公報
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、脂肪酸とN−メチルタウリンとのアミド化合物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は特定のホスホニウム塩は耐熱性が良好であり、これをポリカーボネート樹脂に添加することにより、樹脂を着色することがないだけでなく、樹脂の透明性を下げない上、優れた帯電防止性能を有するポリカーボネート樹脂が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の第1の目的は、ポリカーボネート樹脂に添加しても樹脂の透明性を下げることも、樹脂を着色することもなく、ポリカーボネート樹脂の加工温度にも耐えられる耐熱性を有する上、帯電防止効果の持続性にも優れたポリカーボネート樹脂用帯電防止剤を提供することにある。
本発明の第2の目的は、帯電防止効果の持続性、透明性及び耐着色性に優れた成形品を得ることができるポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
即ち、下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とする、ポリカーボネート樹脂用帯電防止剤、及びポリカーボネート樹脂100質量部に対して、前記ポリカーボネート樹脂用帯電防止剤を0.01〜20質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物である。
Figure 0005348791
但し、式(1)中のRは炭素原子数1〜30のアルキル基であり、Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は下記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンである。
Figure 0005348791
但し、式(2)中のR、R、R及びRは各々独立に、炭素原子数1〜18のアルキル基である。
本発明の帯電防止剤は、耐熱性及び帯電防止効果の持続性に優れるばかりでなく、ポリカーボネート樹脂に添加することによって、樹脂の帯電防止効果及び透明性を低下させることなく、耐着色性にも優れるポリカーボネート樹脂を提供することができる。
以下本発明について詳述する。
本発明の帯電防止剤は、一般式(1)で表される化合物からなる。
Figure 0005348791
但し、式(1)中のRは炭素原子数1〜30のアルキル基であり、Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は下記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンである。
Figure 0005348791
但し、式(2)中のR、R、R及びRは、各々独立に、炭素原子数1〜18のアルキル基である。
前記一般式(1)におけるRの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二級ブチル、第三級ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三級アミル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、2−ヘプチル、イソヘプチル、第三級ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三級オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ベヘニル、トリコシル等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。
の炭素原子数は、帯電防止性、透明性及び耐着色性の観点から、3〜21であることが好ましく、5〜17であることがより好ましく、8〜15であることが最も好ましい。
前記一般式(1)にけるMはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は前記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンであるが、帯電防止性、耐着色性、特に透明性の点から、前記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンであることが好ましい。前記アルカリ金属イオンの例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
前記一般式(2)におけるR、R、R、及びRの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二級ブチル、第三級ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三級アミル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、2−ヘプチル、イソヘプチル、第三級ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三級オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等が挙げられる。
、R、R及びRの炭素原子数は、帯電防止性と透明性、耐着色性の観点から、2〜8であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、下記の化合物1〜化合物11が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0005348791
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本発明の帯電防止剤は、公知の方法で製造することができ、特に製造方法の制限はない。例えば、Xが酸素原子である場合、対応する脂肪酸とイセチオン酸をエステル化し、それを中和してアルカリ金属塩、アンモニウム塩又はホスホニウム塩とすればよい。また、Xが−N(CH)−基である場合は、対応する脂肪酸とN−メチルタウリンをアミド化し、それを中和してアルカリ金属塩、アンモニウム塩又はホスホニウム塩とすればよい。
本発明のポリカーボネート樹脂用帯電防止剤は、そのままポリカーボネート樹脂に添加してもよいが、担体に含浸させてから添加してもよい。特に、本発明のポリカーボネート樹脂用帯電防止剤が常温で液体である場合には、ポリカーボネート樹脂に均一に混合することが困難なので、担体に含浸させてからポリカーボネート樹脂に添加することが好ましい。
担体に含浸させる場合には、そのまま加熱混合してもよいが、必要に応じて、有機溶媒で希釈してから担体に含浸させ、その後溶媒を除去してもよい。
担体としては、合成樹脂のフィラーや無機充填剤として知られているもの、あるいは常温で固体の難燃剤や光安定剤を使用することができる。
担体として使用できるものとしては、例えば、ケイ酸カルシウム粉、シリカ粉、タルク粉、アルミナ粉、酸化チタン粉、又はこれら担体の表面化学修飾したものの他、下記に挙げる難燃剤や酸化防止剤の中で固体のもの等が挙げられる。
これらの担体の中でも、担体の表面を化学修飾したものを使用することが好ましく、シリカ粉の表面をシランカップリング剤等によって化学修飾したものを使用することがより好ましい。
これらの担体の平均粒径は、0.1〜100μmであることが好ましく、0.5〜50μmであることがより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の帯電防止剤をポリカーボネート樹脂に添加・配合したものである。ここでいうポリカーボネート樹脂とは、ポリカーボネートが100%の樹脂だけでなく、ポリカーボネートと他の樹脂を混ぜ合わせた、いわゆるポリマーアロイも含まれる。このようなポリマーアロイとしては、例えば、ポリカーボネート/ABS樹脂、ポリカーボネート/AS樹脂、ポリカーボネート/ゴム系高分子化合物、ポリカーボネート/ABS樹脂/ゴム系高分子化合物、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ASA樹脂、ポリカーボネート/AES樹脂等が挙げられる。
これらのポリマーアロイに含有されるポリカーボネートの割合は、ポリマーアロイの質量に対し、50〜98質量部であることが好ましい。
前述したポリカーボネート100%の樹脂としては、例えば、1種以上のビスフェノール類とホスゲン又は炭酸ジエステルとの反応物、又は、1種以上のビスフェノール類とジフェニルカーボネート類とをエステル交換法による反応物等の、通常市販されているものが挙げられる。
ビスフェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシフェニル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−アルカン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロアルカン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、ビスフェノールフルオレン或いはこれらのアルキル置換体、アリール置換体、ハロゲン置換体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いられる。また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、10,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜50,000であることがより好ましい。
このようなポリカーボネートの中でも、市場で容易に入手できるという観点から、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、いわゆるビスフェノールAを原料としたビスフェノールA系ポリカーボネートを使用することが好ましい。
ポリカーボネート樹脂に配合する本発明の帯電防止剤の量は、多過ぎると、ポリカーボネート樹脂の機械的強度等の物性が低下したり、配合するのが難しくなったりする場合があり、少ないと帯電防止効果が不十分となる場合がある。よって、本発明の帯電防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることが特に好ましく、0.5〜5質量部であることが最も好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂における、帯電防止剤の配合方法は特に限定されず、例えば、ロール混練り、バンパー混練り、押し出し機、ニーダー等の、通常使用されている任意の方法により混合、練り込みすることができる。
また、本発明の帯電防止剤は、ポリカーボネート樹脂にいわゆる練り込み型として配合する以外に、ポリカーボネート樹脂成形品の表面に塗布する塗布型として使用することもできる。塗布する場合は、各種溶剤に溶解させて溶液として塗布すればよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性を向上させるために、本発明の帯電防止剤と供に、難燃剤を添加・配合することが好ましい。
併用することができる難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、テトラブロモ無水フタル酸、塩素化ポリエチレン、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、クロレンド酸、テトラクロロ無水フタル酸等のハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、トリクレジルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリス(β−クロロエチル)フォスフェート、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスジクロロプロピルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、キシレニルジフェニルフォスフェート、フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(フェニルクレジルフォスフェート)、フェニレンビス(ジクレジルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシレニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジクレジルフォスフェート)等のリン系難燃剤;赤燐、酸化スズ、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒素化グアニジン等の無機系難燃剤が挙げられる。
上記の難燃剤のなかでも、ハロゲン系難燃剤や含ハロゲンリン系難燃剤等のハロゲンを含有する難燃剤を配合した合成樹脂は、燃焼時にダイオキシン類が発生する恐れがあることから、近年では、ハロゲンを含有する難燃剤は敬遠される傾向にある。
また、難燃剤の中には本発明の帯電防止性組成物と併用すると、合成樹脂基材によっては、熱により合成樹脂が着色したり、耐熱性が低下したりするものもある。このような観点から、下記の一般式(3)で表わされるリン系化合物を難燃剤として使用することが好ましい。
Figure 0005348791
但し、式中、R〜Rはアリール基、Yはアリーレン基であり、a〜dは0若しくは1の数を表し、sは1〜5の数である。
一般式(3)におけるR〜Rはアリール基であり、これらは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。アリール基の例として、フェニル基、トリル基、ベンジル基、キシリル基、フェネチル基、スチリル基、トリメチルフェニル基、クメニル基、クミル基、ヒドロシンナミル基、シンナミル基、テトラメチルフェニル基、チミル基、カルバクリル基、クミニル基、ネオフィル基、キセニル基、ベンズヒドリル基、トリフェニルメチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。本発明においては、中でも、フェニル基、クレジル基、キシレニル基であることが好ましい。
前記Yのアリーレン基とは、2価フェノール類から水酸基を除いた残基である。該2価フェノール類の例としては、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール等が挙げられる。
a〜dは0又は1の数を表わし、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。sは繰り返し単位の平均値であり、1〜5の数を表わす。
尚、一般式(3)で表わされるリン系化合物は、例えば、特開昭59−202240号公報に開示されている方法等、公知の方法により製造することができる。
前記一般式(3)で表わされるリン系化合物の具体例としては、例えばフェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(フェニルクレジルフォスフェート)、フェニレンビス(ジクレジルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシレニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジクレジルフォスフェート)等が挙げられる。
これらの難燃剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂の種類及び用途によって変化するため一概に言えないが、概ねポリカーボネート樹脂に対して0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜25質量部であることがより好ましく、5〜20質量部であることが最も好ましい。
この他に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、公知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、フルオロオレフィン樹脂、その他の帯電防止剤、防曇剤、滑剤、可塑剤、着色剤、リン系以外の難燃剤、難燃助剤、防黴剤、結晶核剤、相溶剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、無機電解質、フィラー、充填剤、顔料、香料、シリコーンオイル、カップリング剤等のその他の合成樹脂添加剤を含有してもよく、更に、カーボン繊維やステンレス繊維等の導電性物質を含有してもよい。
これらの中でも、酸化防止剤、フルオロオレフィン樹脂又は滑剤を含有することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に使用することができる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert.−ブチルフェノール(以下tert.−ブチルをt−ブチルと略記する。)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−イソプロピレデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2'−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルベンジル)4−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ステアリル,3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オレイル,3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ドデシル,3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル,テトラキス{3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチル}メタン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸グリセリンモノエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸とグリセリンモノオレイルエーテルとのエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ブチレングリコールエステル,3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸チオジグリコールエステル、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4(N,N'−ジメチルアミノメチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、トリス{(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル}イソシアヌルレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス{2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル}サルファイド、1,3,5−トリス(4−ジ−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラフタロイル−ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルサルファイド)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−{ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)}プロピオネート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−リン酸ジエステル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス{3,3'−ビス−(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジイソトリデシル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、1,1,3−ブチリジントリス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジイソトリデシル)ホスファイト、2,2−プロピリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジイソトリデシル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジホスホナイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシルオキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジオクチルチオジプロピオネート、ジデシルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリル−β,β'−チオジブチレート、(3−オクチルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−デシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ラウリルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ステアリルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−オレイルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ラウリルチオプロピオン酸)−4,4'−チオジ(3−メチル−5−t−ブチル−4−フェノール)エステル、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾールジスルフィド、ジラウリルサルファイド、アミルチオグリコール等が挙げられる。
これらの酸化防止剤の含有量は、基材となるポリカーボネート樹脂によって変化するため、一概に言えないが、概ねポリカーボネート樹脂基材100質量部に対して0.001〜15質量部であることが好ましく、0.005〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜5質量部であることが最も好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、フルオロオレフィン樹脂を含有することが好ましい。フルオロオレフィン樹脂を配合した合成樹脂組成物は、溶融時に滴下が防止されるので、火災が発生した場合に着火又は燃焼し難くなる。フルオロオレフィン樹脂の含有量は、基材となる合成樹脂及び用途によって変化するために一概には言えないが、概ね合成樹脂基剤100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜2質量部であることがより好ましく、0.5〜1.5質量部であることが最も好ましい。
ここでいうフルオロオレフィン樹脂とは、フルオロエチレン構造を含む重合体であり、例えば、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使用することが好ましい。PTFEの平均分子量は50万以上であることが好ましく、50万〜1000万であることが特に好ましい。PTFEの具体例としては、テフロン(登録商標)6−J(三井・デュポンフロロケミカル社製)、ポリフロンD−1、ポリフロンFA−100、ポリフロンF−103、ポリフロンF−201、ポリフロンMPA(ダイキン工業社製)、CD076(旭アイシーアイフロロポリマーズ社製)、アルゴフロンF5(モンテフルオス社製)等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に使用できる滑剤としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤;ステアリルアルコール、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪族系滑剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンステアリン酸アミド等のアミド系滑剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸バリウム/ステアリン酸亜鉛複合体、ステアリン酸亜鉛/ステアリン酸カルシウム複合体等の金属石鹸系滑剤;硬化油脂、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸ブチル、ペンタエリスリトールステアレート、ステアリン酸ステアリル等のエステル系滑剤が挙げられる。
これらの滑剤の含有量は、基材となる合成樹脂によって変化するため一概に言えないが、概ね合成樹脂基材100質量部に対して0.001〜15質量部であることが好ましく、0.005〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜5質量部であることが最も好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に使用できる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、その他の紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2'−ヒドロキシ−3',5'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2'−ヒドロキシ−3'−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニルメタン)等が挙げられる。
その他の紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系;2−エトキシ−2'−エチルオキザリックアシッドビスアニリド等のオキザリックアシッド系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤の含有量は、基材となる合成樹脂によって変化するため一概に言えないが、概ね合成樹脂基材100質量部に対して0.001〜15質量部であることが好ましく、0.005〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜5質量部であることが最も好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に使用できるヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト−{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト−{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β',β'−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ},ジメチルサクシネート/4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール重合体、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、エチレンビス(2,2,6,6−テトラメチル−3−オキサ−4−ピペリジン)等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に使用できるその他の光安定剤としては、例えば、{2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)}−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、{2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)}−2−ブチルアミンニッケル(II)、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチレートニッケル錯体等のニッケル系光安定剤;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
これらの光安定剤の含有量は、基材となる合成樹脂によって変化するため一概に言えないが、概ね合成樹脂基材100質量部に対して0.001〜15質量部であることが好ましく、0.005〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜5質量部であることが最も好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に使用できるその他の帯電防止剤としては、例えば、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ジエタノールアミン脂肪酸アミド、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、N−アルキルアンモニウムクロライド、アルキルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩等が挙げられるが、これらは耐熱性に劣るので使用量を少なくすることが好ましく、使用を避けることが最も好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に使用できるその他の添加剤としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸)アルミニウム、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム塩等の造核剤;フタル酸エステル、二塩基酸エステル、塩素化パラフィン、ポリエステル、エポキシ化エステル、リン酸エステル、トリメリット酸エステル等の可塑剤;金属石鹸、有機スズ、有機鉛、ホスファイト、エポキシド、β−ジケトン、ポリオール、過塩素酸塩、ハイドロタルサイト、ゼオライト化等の安定剤、チタン化合物等の着色剤、ケイ酸カルシウム粉、シリカ粉、タルク粉、マイカ粉、アルミナ粉、酸化チタン粉、ガラスフレーク等の充填剤等が挙げられる。
以下本発明を実施例により、以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
尚、以下の実施例等において、%及びppmは特に記載が無い限り質量基準である。
〔製造例1〕参考化合物1の合成
ラウリン酸6.4g(0.032mol)とイセチオン酸70%水溶液5.72g(0.032mol)をトルエン100mlに加え、8時間還流脱水した。室温まで冷却した後、水酸化ナトリウム1.26gを水30mlに溶かした水溶液を反応系に加え、50℃で3時間攪拌した。
その後、テトラブチルホスホニウムブロマイド11.8g(0.032mol)を加え、80℃で2時間攪拌した。室温まで冷却した後水100mlを加え、酢酸エチルで抽出し、19.0gの下記参考化合物を得た。
Figure 0005348791
〔製造例2〕化合物の合成
ラウロイルメチルタウリンナトリウム8g(0.029mol)とテトラブチルホスホニウム9.8g(0.029mol)を水100mlに加え、80℃で2時間攪拌した。室温まで冷却した後酢酸エチルで抽出し、15.5gの下記化合物を得た。
Figure 0005348791
参考例1、実施例1、及び比較例1、2〕
下記の条件で、参考化合物と化合物を用いて試験片を作製し、下記の条件で性能評価を行った。結果を表1に示す。また比較例として、帯電防止剤を使用しない場合と、下記比較化合物−1を用いた場合を同様に試験して評価した。
Figure 0005348791
1.試験片作製
<ポリカーボネート樹脂組成物作製>
110℃で6時間乾燥したポリカーボネート樹脂(ユーピロンS−3000:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製の商品名)100質量部に対して、110℃で6時間乾燥した帯電防止剤を3質量部加え、充分に混合し、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。
得られたポリカーボネート樹脂組成物を、単軸押出機(ラボプラストミルμ2D25W:(株)東洋精機製作所製の商品名)を用い、260℃で溶融混練してペレットに成形した。
<射出成形加工による試験片作製>
前記ペレットを用いて、縦型射出成形機(SA‐60‐52‐CP:山城精機製作所の商品名)により、以下の加工条件で成形し、100mm×100mm×2mmの試験片を得た。
温度:270℃
金型温度:80℃
2.評価方法
<表面固有抵抗値(SR値)>
試験片を成形加工した後、直ちに25℃で湿度60%の条件下に保存し、1日後及び1週間後に、同じ雰囲気下で、R8340抵抗計(アドバンテスト社製の商品名)を用いて、印加電圧500V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。測定は試験片上の5点について行い、その平均値を求めた。
<透明性評価>
ヘイズ・ガードII((株)東洋精機製作所製の商品名)を用いて、試験片上の5点についてヘイズ値を測定し、その平均値を求めた。
<耐着色性評価>
色差計SC−P(スガ試験機(株)製の商品名)を用いて、試験片上の5点について黄色度(YI)を測定し、その平均値を求めた。
評価結果を下記表1に示す。
Figure 0005348791
表1から明らかなように、比較例1のポリカーボネート樹脂の表面固有抵抗が参考例1、実施例1及び比較例2の表面固有抵抗より高いことから、帯電防止剤が添加されていないポリカーボネート樹脂の帯電防止性が低いことが確認された。
また、比較化合物−1が帯電防止剤として添加されている比較例2のポリカーボネート樹脂は、表面固有抵抗が低く、帯電防止性が向上することは確認されたものの、製造後一週間経過すると表面固有抵抗が倍に上がるので、帯電防止効果の持続性に劣ることが確認された。更に、比較例2のポリカーボネート樹脂は、黄色度が高いので、耐着色性にも劣ることが確認された。
これらの結果に対し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、表面固有抵抗値の変化が少ない上、ヘイズ値及び黄色度も低いので、帯電防止性、帯電防止効果の持続性、透明性及び耐着色性全てに優れることが確認された。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、帯電防止効果の持続性が良好であるのみならず、透明性と耐着色性に優れているので、電気電子用部材、医療用部材、光学用部材、その他各種成形品として幅広い分野で有用である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とする、ポリカーボネート樹脂用帯電防止剤;
    Figure 0005348791
    但し、式(1)中のRは炭素原子数1〜30のアルキル基であり、Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は下記一般式(2)で表されるホスホニウムイオンである;
    Figure 0005348791
    但し、式(2)中のR、R、R及びRは、各々独立に、炭素原子数1〜18のアルキル基である。
  2. ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、請求項1に記載されたポリカーボネート樹脂用帯電防止剤を0.01〜20質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
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