JP7170946B1 - ポリカーボネート樹脂組成物、成形品およびポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物、成形品およびポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

ポリカーボネート樹脂およびドナーアクセプター系化合物を含有し、シリコーン系化合物およびホスホニウム塩系イオン液体のうち少なくとも1種を含有する、ポリカーボネート樹脂組成物。

Description

本開示は、ポリカーボネート樹脂組成物、成形品およびポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的物性、耐熱性等に優れる一方で、表面固有抵抗率が高い(1014Ω/sq以上)ため、成形品表面に埃やゴミ等の粉塵が付着しやすく、電気機器部品に利用した際に誤作動等の問題を引き起こすおそれがある。
このため、帯電防止性能の高いイオン液体や導電性の金属酸化物を添加した帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物が検討されている。しかし、帯電防止性能を上げるために、帯電防止剤を多く添加すると、変色や透明性の低下が起こるため、帯電防止性と透明性、機械的物性の並立が課題となっている。
透明性を確保しつつ帯電防止性を付与する方法として、4級アンモニウム塩やスルホン酸塩等の界面活性剤、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性ポリマー、酸化インジウムや酸化錫等の導電性金属酸化物を添加することが知られており、ポリカーボネート樹脂組成物への帯電防止性の付与は、帯電防止剤の単独添加から複数添加になっている。
例えば、特許文献1(特開2021-70736号公報)では、フッ素原子を含むスルホンイミドアニオンおよびスルホネートアニオンから選択されるアニオンならびにホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオンおよびイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンから構成される帯電防止剤と、シリコーンオイルとの組み合わせが開示されている。
また、特許文献2(特開2011-57757号公報)では、帯電防止剤としてスルホン酸ホスホニウム塩、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸のカリウム塩およびナトリウム塩ならびにパーフルオロアルカンスルホン酸のカリウム塩およびナトリウム塩から選択された金属塩が開示されている。
さらに、特許文献3(特開2015-199880号公報)および特許文献4(特開2020-33561号公報)では、帯電防止剤として、ドナーアクセプター系化合物が開示されている。
特開2021-70736号公報 特開2011-57757号公報 特開2015-199880号公報 特開2020-33561号公報
しかしながら、特許文献1に記載の帯電防止剤では、表面固有抵抗率が高く(1012Ω/sq~1013Ω/sq)、帯電防止性は十分でなかった。また、帯電防止性と粉塵付着性の間には高い相関性があるため、砂埃、埃等の親水性の粉塵汚れおよび煤、油煙等の疎水性の粉塵汚れのいずれに対しても効果が十分に認められなかった。
また、特許文献2に記載の帯電防止剤では、全光線透過率が高く透明性は確保されており、表面固有抵抗率も低く(1011Ω/sq~1012Ω/sq)、帯電防止性は十分であった。しかし、スルホン酸ホスホニウム塩を多量に添加することで、機械的物性値の低下やポリカーボネート樹脂の加水分解を促進するため、ポリカーボネート樹脂組成物が黄変するおそれがあった。
さらに、ドナーアクセプター系化合物は、ポリカーボネート樹脂に添加しても、表面固有抵抗率が高く、粉塵汚れに対して十分な効果を発揮しないおそれがある。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、透明性を確保しつつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いポリカーボネート樹脂組成物および成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂にドナーアクセプター系化合物と、シリコーン系化合物およびホスホニウム塩系イオン液体のうち少なくとも1種と、を組み合わせることによる相乗作用によって、透明性を確保しつつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いという防汚効果が得られることを見出した。
本開示は、以下のポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂およびドナーアクセプター系化合物を含有し、
シリコーン系化合物およびホスホニウム塩系イオン液体のうち少なくとも1種を含有する、ポリカーボネート樹脂組成物。
本開示によれば、透明性を確保しつつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いポリカーボネート樹脂組成物および成形品を提供することができる。
以下、本開示の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
<ポリカーボネート樹脂組成物>
本実施の形態のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)およびドナーアクセプター系化合物(B)を含有し、シリコーン系化合物(C)およびホスホニウム塩系イオン液体(D)のうち少なくとも1種を含有する。
本実施の形態のポリカーボネート樹脂組成物では、ポリカーボネート樹脂(A)およびドナーアクセプター系化合物(B)を含有し、シリコーン系化合物(C)およびホスホニウム塩系イオン液体(D)のうち少なくとも1種を含有することにより、透明性を確保しつつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いという防汚効果が奏される。以下、上記各成分を使用するに至った理由を説明する。
帯電防止性と粉塵付着性の間には高い相関性があることから、粉塵付着性を改善するために、帯電防止剤を添加して表面固有抵抗率を低くすることが一般的であった。しかし、基材であるポリカーボネート樹脂は、元々表面固有抵抗率が高い(1014Ω/sq以上)ため、帯電防止剤を加えても表面固有抵抗率が低くなりにくい傾向にあった。また、ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的物性、耐熱性等に優れるものの、帯電防止剤を添加した場合、白濁や機械的物性の低下等を引き起こしやすい傾向にもあった。そこで、本発明者らは、上記の問題を鑑みて、ポリカーボネート樹脂に種々の帯電防止剤を添加することを検討した。
まず、帯電防止剤としてドナーアクセプター系化合物を検討した。ドナーアクセプター系化合物は、ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂の帯電防止剤として多用されているが、ポリカーボネート樹脂に添加しても、表面固有抵抗率が高い(1014Ω/sq以上)ため、十分な帯電防止性は得られなかった。そこで、本発明者らは、ポリカーボネート樹脂は、他の樹脂に比べて、硬い材料であり、成形品表面への移行性が低いことから、成形時に成形品表面に帯電膜が形成されていないと考えた。
次に、ポリカーボネート樹脂およびドナーアクセプター系化合物に添加しても透明性を確保することができ、成形品表面への移行性を改善できる化合物の検討を行った。その結果、室温(25℃)において、液体であるシリコーン系化合物(動粘度20000mm/sec以下)やホスホニウム塩系イオン液体の添加により、表面固有抵抗率を低くすることができ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いポリカーボネート樹脂組成物が得られた。
シリコーン系化合物は、ドナーアクセプター系化合物の表面移行性を促進させる、すなわち、ドナーアクセプター系化合物の分散性を促進させる分散剤としての役割を有する。したがって、シリコーン系化合物の動粘度が高くなる(20000mm/sec超え)と、ドナーアクセプター系化合物の成形品表面への移行性、すなわち、分散性が著しく低下し、十分な粉塵付着防止性の効果が得られなくなる。また、シリコーン系化合物は、ホスホニウム塩系イオン液体に比べて、基材であるポリカーボネート樹脂に対する親和性が高いことから、長期間の使用による液体成分の染みだし(ブルーム性)に対しても優れている。
ホスホニウム塩系イオン液体も、シリコーン系化合物と同様に、ドナーアクセプター系化合物の分散性を促進させる分散剤としての役割を有する。また、ホスホニウム塩系イオン液体は、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム(30℃における粘度:13750mPas)のような高い粘度の液体においても、十分な粉塵付着防止性の効果が得られることから、帯電防止剤としての役割も有する。
なお、ポリカーボネート樹脂の帯電防止剤として知られるグリセリン脂肪酸エステルや永久帯電防止剤で知られるポリエーテルブロックアミド共重合体をポリカーボネート樹脂およびドナーアクセプター系化合物に添加したが、表面固有抵抗率が高い(1014Ω/sq以上)ため、粉塵付着率は改善されなかった。これは、グリセリン脂肪酸エステルは、室温(25℃)でペースト状(非流動性)であり、ポリエーテルブロックアミド共重合体は、室温(25℃)で固体であるから、成形時に成形品表面にドナーアクセプター系化合物の帯電膜が形成されないと考えられるためである。
以下、各成分について詳細に説明する。
(ポリカーボネート樹脂(A))
本開示のポリカーボネート樹脂組成物に含有されるポリカーボネート樹脂(A)としては、特に制限はなく、様々なものが挙げられる。例えば、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法(界面重縮合法)または溶融法(エステル交換法)により製造される芳香族ポリカーボネートを使用することができる。すなわち、2価フェノールとホスゲンとの界面重縮合法、2価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換法等により反応させて製造されたものを使用することができる。
2価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン等、または、これらのハロゲン置換体等が挙げられる。この他、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等も挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホルメート等であり、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等である。
ポリカーボネート樹脂(A)は、新材だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂も含まれる。また、市販されているグレードであればどれを使用しても問題ないが、高い透過率を有する光学グレードが望ましい。例えば、ユーピロンML200、ML300、ML400、HL3003、HL3503(三菱エンジニアリングプラスチックス(株))、SDポリカ303-10、303-30(住化ポリカーボネート(株))、レクサンLS-1、LS-2、LS-3(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社)、パンライトL-1225Z、L-1225ZL、LN-2250N(帝人(株))、タフロンLC1500、LC1700(出光興産(株))等が使用できる。
(ドナーアクセプター系化合物(B))
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、ドナーアクセプター系化合物(B)を含有する。ドナーアクセプター系化合物(B)を含有することにより、帯電防止性(粉塵付着防止性)を向上させることができる。
ここで、ドナーアクセプター系化合物(B)とは、ドナー性ユニットとアクセプター系ユニットが交互に配置された化合物を意味し、ドナー性ユニットは、電子供与性の構造単位を、アクセプター系ユニットは、電子受容性の構造単位を、それぞれ意味する。本開示におけるドナーアクセプター系化合物(B)としては、例えば、下記化学式1で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007170946000001
化学式1中、「δ+」は、分子内の共有結合中に極性が存在していることを、「(+)」は、酸素原子の電子供与性が強くなっていることを、「(-)」は、ホウ素原子の電子吸引性が強くなっていることを、「→」は、電子が引き付けられる経路を、「----」は、原子間結合力が弱められた状態を、それぞれ示す。
ドナーアクセプター系化合物(B)としては、例えば、ビオミセルBN-105(化学式:C4281B・C2348ON)((株)ボロン研究所)等が使用できる。
本開示におけるドナーアクセプター系化合物(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.5~5.0重量部であり、好ましくは0.5~4.0重量部であり、より好ましくは0.5~3.0重量部である。ドナーアクセプター系化合物(B)の含有量が5.0重量部を超える場合、透明性や機械的物性値が大幅に低下することがある。ドナーアクセプター系化合物(B)の含有量が0.5重量部未満の場合、粉塵付着防止性の低下が生じる。
(シリコーン系化合物(C))
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、シリコーン系化合物(C)およびホスホニウム塩系イオン液体(D)のうち少なくとも1種を含有する。シリコーン系化合物(C)およびホスホニウム塩系イオン液体(D)のうち少なくとも1種を含有することにより、帯電防止性(粉塵付着防止性)を向上させることができる。
本開示におけるシリコーン系化合物(C)は、下記化学式2で表される繰り返し単位からなるシリコーンオイルである。
Figure 0007170946000002
上記化学式2中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはアリールオキシ基である。
ここで、シリコーンオイルとは、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーである。また、側鎖、末端がすべてメチル基であるジメチルシリコーンオイル、側鎖の一部がフェニル基であるメチルフェニルシリコーンオイル、側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを総称してストレートシリコーンオイルである。さらに、側鎖および末端に有機基を導入したものが変性シリコーンオイルである。導入する有機基としてはアミノ基、エポキシ基、脂環式エポキシ基、ビニル基、カルビノール基、メタクリル基、ポリエーテル基、メルカプト基、カルボキシル基、フェノール基、シラノール基、メトキシ基、ジオール基、フェニル基、フルオロアルキル基、アラルキル基、長鎖アルキル基、水素等が挙げられる。また、シリコーンオイルを共重合させたコポリマーを用いてもよい。
シリコーン系化合物(C)は、室温(25℃)における動粘度が10~20000mm/secである。動粘度が20000mm/secを超える場合、ドナーアクセプター系化合物(B)の成形品表面への移行性が著しく低下し、十分な粉塵付着防止性の効果が得られない。動粘度が10mm/sec未満の場合、シリコーン系化合物(C)のみが成形品表面へ移行し、十分な粉塵付着防止性の効果が得られない。シリコーン系化合物(C)は、室温(25℃)における動粘度が20~2000mm/secであることが好ましく、37~200mm/secであることがより好ましい。
また、シリコーン系化合物(C)は、ナトリウムD線の波長589.3nmにおける屈折率がポリカーボネート樹脂(A)のナトリウムD線の波長589.3nmにおける屈折率の値である1.58に近い値であることが好ましい。シリコーン系化合物(C)の該屈折率の値が1.58よりも遠い値である場合、ポリカーボネート樹脂(A)の該屈折率とシリコーン系化合物(C)の該屈折率との差により散乱や屈折といった現象が発生し、透明性が低下するからである。透明性の観点から、シリコーン系化合物(C)の該屈折率の値は、1.50~1.74の範囲が好ましく、1.51~1.65の範囲がより好ましい。シリコーン系化合物(C)の該屈折率の値が1.50~1.74の範囲外の場合、ポリカーボネート樹脂(A)は白濁する。このようなシリコーン系化合物(C)としては、フェニル基が導入されていることが好ましい。
シリコーン系化合物(C)としては、例えば、KR-9218(動粘度:40mm/sec、屈折率:1.529)、KR-511(動粘度:100mm/sec、屈折率:1.518)、HIVAC F-5(動粘度:160mm/sec、屈折率:1.575)(全て信越化学工業(株))等が使用できる。
本開示におけるシリコーン系化合物(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、1.0~5.0重量部であり、好ましくは1.0~4.0重量部であり、より好ましくは1.0~3.0重量部である。シリコーン系化合物(C)の含有量が5.0重量部を超える場合、機械的物性値が大幅に低下することがある。シリコーン系化合物(C)の含有量が1.0重量部未満の場合、粉塵付着防止性の低下が生じる。
(ホスホニウム塩系イオン液体(D))
ホスホニウム塩系イオン液体(D)としては、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルペンチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリ-n-ブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート等が挙げられる。また、入手性の観点から、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムを使用することが好ましい。
トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとしては、例えば、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(富士フィルム和光純薬(株))、IL-AP3(広栄化学工業(株))等が、トリブチルドデシルホスホニウムブロミドとしては、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド(富士フィルム和光純薬(株))等が、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムとしては、エレカットS-418(竹本油脂(株))等が使用できる。
本開示におけるホスホニウム塩系イオン液体(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.5~5.0重量部であり、好ましくは0.5~4.0重量部であり、より好ましくは0.5~3.0重量部である。ホスホニウム塩系イオン液体(D)の含有量が5.0重量部を超える場合、高温での熱安定性が著しく低下し、黄変しやすくなるだけなく、機械的物性値が大幅に低下することがある。ホスホニウム塩系イオン液体(D)の含有量が0.5重量部未満の場合、粉塵付着防止性の低下が生じる。
(添加剤)
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、本開示の目的を阻害しない限り、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
[耐熱安定剤]
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、ホスホニウム塩系イオン液体(D)を含有することで、加水分解をもたらし、熱安定性が低下し、黄変することから、熱安定性を向上させるために、耐熱安定剤を含有してもよい。
耐熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤を用いることが好ましく、単独でまたは2種以上の混合物で用いてもよい。
本開示における耐熱安定剤の添加量は特に制限されるものではなく、また、2種以上混合する場合の構成比率も特に制限されるものではないが、必要となる物性によりその都度調整することが望ましい。
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ステアリルβ-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の公知のものが挙げられる。これらの中で、耐熱安定性の観点から、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ステアリルβ-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンが好ましい。
リン系の酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ペンタエリトリトールビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-フェニルホスファイト)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリ(モノノニルフェニル)ホスファイト、アルカノール(C=12~16)4,4’-イソプロピリデンジフェノールトリフェニルホスファイト重縮合物、ビス[2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル]エチルホスファイト、ペンタエリトリトールビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニルホスファイト)、トリアリルホスファイト、テトラキス(2,4-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニルジホスフォネート等の公知のものが挙げられる。これらの中で、耐熱安定性の観点から、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ペンタエリトリトールビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-フェニルホスファイト)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイトが好ましい。
イオウ系の酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル-3,3’-チオジプロピオネート等の公知ものが挙げられる。これらの中で、耐熱安定性の観点から、ペンタエリトリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
本開示における耐熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.05~3.0重量部である。
[紫外線吸収剤]
本実施のポリカーボネート樹脂組成物は、屋外製品に使用されることが多く、紫外線により黄変することから、紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシビス(ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール)、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン)等の公知のものが挙げられる。
上記の中でも、耐候安定性の観点から、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール)、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン)が好ましい。上記紫外線吸収剤は、単独でまたは2種以上の混合物で用いてもよい。
本開示における紫外線吸収剤の添加量は特に制限されるものではなく、また、2種以上混合する場合の構成比率も特に制限されるものではないが、必要となる物性によりその都度調整することが望ましい。
本開示における紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.05~3.0重量部である。
[光安定剤]
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、屋外製品に使用されることが多く、紫外線により黄変することから、光安定剤を含有してもよい。
光安定剤としては、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と、1,2,3,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールと、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート等の公知のものが挙げられる。
上記の中でも、耐候安定性の観点から、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と、1,2,3,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールと、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物が好ましい。上記光安定剤は、単独でまたは2種以上の混合物で用いてもよい。
本開示における光安定剤の添加量は特に制限されるものではなく、また、2種以上混合する場合の構成比率も特に制限されるものではないが、必要となる物性によりその都度調整することが望ましい。
本開示における光安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.05~3.0重量部である。
(その他の添加剤)
本開示で使用可能なその他の添加剤としては、本開示の目的を阻害しない限り、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料等を挙げることができる。
帯電防止剤としては、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルペンチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリ-n-ブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート等のホスホニウム塩系イオン液体(D)、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(FC-4400、スリーエムジャパン(株))等のアンモニウム塩系イオン液体、N-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CIL-312、日本カーリット(株))等のピリジニウム塩系イオン液体、イミダゾリウム塩系イオン液体、ピロリジニウム塩系イオン液体、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド/ポリエーテルポリオール(PEO-20R、三光化学工業(株))等の公知のものから任意に選択して用いることができる。また、側鎖に4級アンモニウム塩を有するポリマー型帯電防止剤(1SX-1090、1WX-1020-NS、大成ファインケミカル(株))も公知のものから任意に選択して用いることができる。
可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリアミドオリゴマー、エチレンビスステアロアマイド、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、ポリスチレンオリゴマー、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル、ミネラルオイル等の公知のものから任意に選択して用いることができる。
離型剤としては、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル、ステアリルホスファイト、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸金属塩、1価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル等の公知のものから任意に選択して用いることができる。
難燃剤としては、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスファイト)、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス-3-クロロプロピルホスフェート等のリン系難燃剤、2,2-ビス[4-(3,3-ジブロモプロポキシル)-3,5-ジブロモフェニル]プロパン、ビス(3,5-ジブロモ-4-ジブロモプロピルオキシフェニル)スルホン、エチレンビスペンタブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の水酸化物系難燃剤等の公知のものから任意に選択して用いることができる。
難燃助剤としては、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、その他のものから任意に選択して用いることができる。
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本開示のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、特に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、例えば、ポリカーボネート樹脂(A)と、ドナーアクセプター系化合物(B)と、シリコーン系化合物(C)およびホスホニウム塩系イオン液体(D)のうち少なくとも1種と、ならびに、必要に応じて配合される添加剤を混合し、混練を行う。混練の方法としては、例えば、溶融混練、溶媒キャストブレンド、ラテックスブレンド、ポリマーコンプレックス等のいずれかの物理的ブレンドを用いる方法により行うことができるが、溶融混練法が好ましい。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240~320℃の範囲である。
上記の混練に用いる装置としては、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、ロータリーミキサー、スーパーミキサー、リボンタンブラー、Vブレンダー等が用いられ、上記混練法によって混合成分を均一に分散させ、次いで、溶融混練した上で、ペレット化する。溶融混練ペレット化には単軸または多軸押出機を用いるのが一般的であるが、バンバリーミキサー、ローラ、コニーダ、ブラストミル、プラベンダーブラウトグラフ等を用いることもでき、これらを回分的または連続的に運転する。
また、溶融混練はせずに、樹脂ペレット、耐加水分解改善剤、その他添加剤それぞれを混ぜ合わせ、前記混合成分を成形用樹脂として使用し、成形機加熱筒内で溶融混練する、いわゆるモールドブレンドでの実施も可能である。
実施の形態2.
本実施の形態に係る成形品は、上記のポリカーボネート樹脂組成物からなる。本実施の形態に係る成形品では、上記のポリカーボネート樹脂組成物からなることにより、透明性を確保しつつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いという効果が奏される。
本実施の形態の成形品は、上述のポリカーボネート樹脂(A)と、ドナーアクセプター系化合物(B)と、シリコーン系化合物(C)およびホスホニウム塩系イオン液体(D)のうち少なくとも1種と、を含むポリカーボネート樹脂組成物を溶融混練した上でペレット化し、各種の成形法で成形することにより製造することができる。また、ペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、成形して製造することもできる。
成形品の形状としては、特に制限はないが、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状等が挙げられる。具体的には、自動車内装用パネル、自動車(二輪車)ヘッドランプレンズ、照明のカバー、装置の表示窓、筺体等や特殊な形状のもの等、各種形状のものが挙げられる。また、成形品表面に凹凸形状を転写させたものや、三次元曲面を有する立体的な形状のものであってもよい。さらに、シートやフィルム、板状等として使用する場合には、他の樹脂シートと積層した多層構造の積層体でもよい。
また、成形方法としては、特に制限されず、従来公知の成形方法を採用でき、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコ-ティング)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。
(全光線透過率)
本実施の形態の成形品は0.5~6.0mm程度の厚さにおいても透明性に優れるものであり、厚さ2.0mmの成形品の全光線透過率は86%以上であり、88%以上であることが好ましい。
ここで、全光線透過率とは、D65光源相当の光を測定対象に入射したときの、透過した全ての光のことをいい、D65光源とは、屋外の照明環境を再現した光のことをいう。試験片がない状態を100%として、数値が100%に近いほど透明であることを意味する。
全光線透過率は、例えば、JIS K7361-1:1997の「プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法-第1部:シングルビーム法」に準拠した測定方法により、厚さ2.0mmの成形品を用い、紫外可視近赤外(UV-Vis-NIR)分光光度計((株)島津製作所製 Solid Spec-3700 DUV)により温度23℃で測定することができる。
(ヘーズ)
本実施の形態の成形品において、厚さ2.0mmの成形品のヘーズは2%以下であり、1%以下であることが好ましい。
ここで、ヘーズとは、光の吸収がない材料においても材料の内部で光が散乱し、不透明になることがあり、この光の散乱の程度のことをいう。数値が低いほど透明であることを意味する。
ヘーズは、例えば、JIS K7136:2000の「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準拠した測定方法により、厚さ2.0mmの成形品を用い、ヘーズメータ(日本電色工業(株)製 NDH2000)により、D65光源にて温度23℃で測定することができる。
また、ヘーズは、下記式(1)によって算出することができる。
ヘーズ(%)=拡散光成分/全光線透過率×100・・・式(1)
全光線透過率に含まれる光には、平行光成分および拡散光成分があり、ヘーズは、全光線透過率における拡散光成分の割合を数値化したものである。
以下、実施例を挙げて本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
<評価方法>
評価は下記の方法により行った。なお、下記評価に用いる試験片は、平板試験片(縦100mm×横100mm×厚さ2.0mm)であり、温度23℃、湿度50%の環境で、一週間放置した後に評価したものである。
(1)透明性(全光線透過率)
JIS K7361-1:1997の「プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法-第1部:シングルビーム法」に準拠した測定方法により、上記平板試験片を用いて紫外可視近赤外(UV-Vis-NIR)分光光度計((株)島津製作所製 Solid Spec-3700 DUV)により温度23℃にて測定した。全光線透過率が86%以上を良好とした。
(2)透明性(ヘーズ)
JIS K7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準拠した測定方法により、上記平板試験片を用いてヘーズメータ(日本電色工業(株)製 NDH2000)により、D65光源にて温度23℃で測定した。ヘーズが2%以下を良好とした。
(3)帯電防止性(表面固有抵抗率)
上記平板試験片を用いて抵抗率計((株)三菱化学アナリテック製 Hiresta UP MCP-HT450)により以下の試験条件で測定した。数値が小さい程、帯電防止性に優れていることを示す。
[試験条件]
電圧:1000V
時間:60秒
温度:23℃
湿度:50%
(4)粉塵付着性
JIS Z8901:2006の「試験用粉体及び試験用粒子」に準拠した粉体を使用した。親水性の粉塵付着性評価には、関東ローム(JIS試験用紛体1の11種)を使用し、疎水性の粉塵付着性評価には、カーボンブラック(JIS試験用紛体1の12種)を使用した。
粉塵付着性の評価は、粉塵をエアーで成形品表面に一定量(5g)吹きつけた後の、成形品表面をデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス製 VHX-5000)により100倍で観察し、画像処理により粉塵付着率(粉塵付着面積割合)を求めた。なお、粉塵付着率が4%未満の場合を「A」、粉塵付着率が4%以上の場合を「B」と示した。
(5)総合判断
全光線透過率が86%以上、ヘーズが2%以下、表面固有抵抗率が1012Ω/sq未満、かつ、親水性および疎水性の粉塵付着率が4%未満の場合を「A」、上記のうちいずれか1項目でも満たさない場合を「B」と示した。
<実施例1~13、比較例1~11>
表1および2に示す組成の割合の各成分を混合し、二軸混練押出機(芝浦工業(株)製 TEX-26SX)を用い、280℃にて溶融混練することにより、3~5mmのポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。
得られたペレットは、電気式射出成形機(日精樹脂工業(株)製 NEX110IV-9EG)を用いて評価用の平板試験片(縦100mm×横100mm×厚さ2mm)(実施例1~13、比較例1~11)として成形された。射出成形の基本条件としては、樹脂温度280℃、金型温度80℃とした。
表1および2に示される各成分(記号表記の各成分)は、以下の通りである。
〔ポリカーボネート樹脂:A成分〕
A-1:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 ユーピロンHL3503
A-2:出光興産(株)製 タフロンLC1500
A-3:住化ポリカーボネート(株)製 SDポリカ303-30
A-4:帝人(株)製 パンライトL-1225ZL
A-5:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 ユーピロンHL3003
A-6:帝人(株)製 パンライトLN-2250N
〔ドナーアクセプター系化合物:B成分〕
(B-1)
ビオミセルBN-105〔(株)ボロン研究所製〕
〔シリコーン系化合物:C成分〕
(C-1)
KR-9218〔信越化学工業(株)製〕(動粘度:40mm/sec、屈折率:1.529)
(C-2)
KR-511〔信越化学工業(株)製〕(動粘度:100mm/sec、屈折率:1.518)
(C-3)
HIVAC F-5〔信越化学工業(株)製〕(動粘度:160mm/sec、屈折率:1.575)
〔ホスホニウム塩系イオン液体:D成分〕
(D-1)
トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〔富士フィルム和光純薬(株)製〕
(D-2)
ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム〔竹本油脂(株)製 エレカットS-418〕
(D-3)
トリブチルドデシルホスホニウムブロミド〔富士フィルム和光純薬(株)製〕
〔グリセリン脂肪酸エステル:E成分〕
(E-1)
ジグリセリンモノラウレート〔理研ビタミン(株)製 ポエムDL-100〕
〔ポリエーテルブロックアミド共重合体:F成分〕
(F-1)
ペレスタットNC6321〔三洋化成工業(株)製〕
得られた評価用の平板試験片(実施例1~13および比較例1~11)についての上記(1)~(4)の評価結果および(5)総合判断を表1および2に示す。
Figure 0007170946000003
Figure 0007170946000004
表1に示される評価結果から、本開示の構成要件を満たすポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品である実施例では、透明性に優れ、かつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いという防汚効果を示すポリカーボネート樹脂組成物が得られることが確認できる。
一方、比較例1は、B成分C成分およびD成分を含まないため、帯電防止性および粉塵付着性に劣っていた。比較例2および3は、B成分を含むが、C成分およびD成分を含まないため、比較例1と同様に帯電防止性および粉塵付着性に劣っていた。比較例4は、C成分を含むが、B成分を含まないため、比較例1と同様に帯電防止性および粉塵付着性に劣っていた。比較例5は、C成分およびD成分を含むが、B成分を含まないため、帯電防止性および親水性の粉塵付着性は改善されたが、疎水性粉塵の粉塵付着性に劣っていた。比較例6は、D成分を含むが、B成分を含まないため、帯電防止性および親水性の粉塵付着性は改善されたが、疎水性粉塵の粉塵付着性に劣っていた。これらの結果から、A~B成分を含み、かつ、C成分およびD成分のうち少なくとも1種を含むことが本開示において必要な構成要件であることが確認できる。
また、比較例7は、C成分およびD成分ではなく帯電防止剤であるグリセリン脂肪酸エステル(E-1)を、比較例8は、C成分およびD成分ではなく永久帯電防止剤であるポリエーテルブロックアミド共重合体(F-1)を、それぞれ含んでいたため、帯電防止性および疎水性粉塵の粉塵付着性に劣っていた。これらの結果から、従来既知のポリカーボネート樹脂の帯電防止剤であるグリセリン脂肪酸エステルおよびポリエーテルブロックアミド共重合体は本開示において不適であることが確認できる。
また、比較例9~11は、A~D成分を全て含むものの、比較例9はB成分の含有量が、比較例10はC成分の含有量が、比較例11はD成分の含有量が、それぞれ規定量よりも多いため、帯電防止性および粉塵付着性は改善されたが、透明性に劣っていた。これらの結果から、A~B成分を含み、C成分およびD成分のうち少なくとも1種を含み、かつ、それぞれの規定量含むことが本発明において必要な構成要件であることが確認できる。
なお、表1および2には示されていないが、実施例1および比較例1において機械的物性の評価(引張強度、引張破断伸び率およびシャルピー衝撃強度)を行ったところ、同等の評価結果が得られ、A成分にB~D成分を配合しても機械的物性の低下がみられないことが確認できる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (4)

  1. ポリカーボネート樹脂100重量部およびドナーアクセプター系化合物0.5~3.0重量部を含有し、
    シリコーン系化合物1.0~3.0重量部およびホスホニウム塩系イオン液体0.5~3.0重量部のうち少なくとも1種を含有し、
    前記ドナーアクセプター系化合物が、下記化学式1で表される化合物であり、
    前記シリコーン系化合物が、下記化学式2で表される繰り返し単位からなる化合物であり、25℃における動粘度が10~20000mm/secであり、
    前記ホスホニウム塩系イオン液体が、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミドおよびドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0007170946000005

    Figure 0007170946000006

    前記化学式2中、
    およびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはアリールオキシ基である。
  2. JIS K7361-1に準拠して測定した全光線透過率が86%以上である成形品が得られる、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
  4. 請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、
    ポリカーボネート樹脂と、ドナーアクセプター系化合物と、シリコーン系化合物およびホスホニウム塩系イオン液体のうち少なくとも1種とを溶融混練して得る、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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