JP7415078B2 - ポリカーボネート樹脂組成物、成形品およびポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物、成形品およびポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、ポリカーボネート樹脂組成物、成形品およびポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的物性、耐熱性等に優れる一方で、表面固有抵抗率が高い(1014Ω/sq以上)ため、成形品表面に埃やゴミ等の粉塵が付着しやすく、電気機器部品に利用した際に誤作動等の問題を引き起こすおそれがある。
このため、帯電防止性能の高いイオン液体や導電性の金属酸化物を添加した帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物が検討されている。しかし、帯電防止性能を上げるために、帯電防止剤を多く添加すると、変色や物性の低下が起こるため、帯電防止性と透明性、機械的物性の並立が課題となっている。
透明性を確保しつつ帯電防止性を付与する方法として、4級アンモニウム塩やスルホン酸塩等の界面活性剤、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性ポリマー、酸化インジウムや酸化錫等の導電性金属酸化物を添加することが知られており、ポリカーボネート樹脂組成物への帯電防止性の付与は、帯電防止剤の単独添加から複数添加になっている。
例えば、特許文献1(特許第4870256号)では、帯電防止剤としてスルホン酸ホスホニウム塩、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸のカリウム塩およびナトリウム塩ならびにパーフルオロアルカンスルホン酸のカリウム塩およびナトリウム塩から選択された金属塩が開示されている。また、特許文献2(特開2003-138123号公報)では、帯電防止剤としてベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩および脂肪酸エステル化合物が開示されている。さらに、特許文献3(特開2014-156536号公報)では、帯電防止剤としてホスホニウム塩およびパーフルオロアルキルスルホン酸塩が開示されている。
特許第4870256号 特開2003-138123号公報 特開2014-156536号公報
しかしながら、上記の帯電防止剤では、全光線透過率が高く透明性は確保されているが、表面固有抵抗率が高く(1012Ω/sq~1013Ω/sq)、帯電防止性は十分でなかった。また、帯電防止性と粉塵付着性の間には高い相関性があるため、砂埃、埃等の親水性の粉塵汚れおよび煤、油煙等の疎水性の粉塵汚れのいずれに対しても効果が十分に認められなかった。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、透明性を確保しつつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いポリカーボネート樹脂組成物および成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に導電性金属酸化物、ホスホニウム塩系イオン液体およびグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせることによる相乗作用によって、透明性を確保しつつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いという防汚効果が得られることを見出した。
本開示は、以下のポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂(A)100重量部と、導電性金属酸化物(B)0.01~0.09重量部と、ホスホニウム塩系イオン液体(C)0.5~5.0重量部と、グリセリン脂肪酸エステル(D)0.1~1.5重量部と、を含有する、ポリカーボネート樹脂組成物。
本開示によれば、透明性を確保しつつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いポリカーボネート樹脂組成物および成形品を提供することができる。
以下、本開示の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
<ポリカーボネート樹脂組成物>
本実施の形態のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部と、導電性金属酸化物(B)0.01~0.09重量部と、ホスホニウム塩系イオン液体(C)0.5~5.0重量部と、グリセリン脂肪酸エステル(D)0.1~1.5重量部と、を含有する。
本実施の形態のポリカーボネート樹脂組成物では、ポリカーボネート樹脂(A)、導電性金属酸化物(B)、ホスホニウム塩系イオン液体(C)およびグリセリン脂肪酸エステル(D)を含有することにより、透明性を確保しつつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いという防汚効果が奏される。以下、上記各成分を使用するに至った理由を説明する。
帯電防止性と粉塵付着性の間には高い相関性があることから、粉塵付着性を改善するために、帯電防止剤を添加して表面固有抵抗率を低くすることが一般的であった。しかし、ポリカーボネート樹脂は、元々表面固有抵抗率が高い(1014Ω/sq以上)ため、帯電防止剤を加えても表面固有抵抗率が低くなりにくい傾向にあった。また、ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的物性、耐熱性等に優れるものの、帯電防止剤を添加した場合、白濁や機械的物性の低下等を引き起こしやすい傾向にもあった。そこで、本発明者らは、上記の問題を鑑みて、ポリカーボネート樹脂に種々の帯電防止剤を添加することを検討した。
まず、帯電防止剤として導電性金属酸化物を検討した。導電性金属酸化物の添加により高い帯電防止性が得られたが、導電性金属酸化物は粉体であるため、光(入射光)の散乱が大きく、透明性が損なわれる結果となった。一方、導電性金属酸化物の添加量を下げることで、透明性を確保することができたが、十分な帯電防止性は得られなかった。
次に、本発明者らは、帯電防止剤としてイオン液体を検討した。イオン液体の添加により高い帯電防止性が得られたが、イオン液体は液体成分であるため、機械的物性が低下する結果となった。
これらを踏まえて、導電性金属酸化物とイオン液体を組み合わせて添加することを検討した。これらの少量添加により高い帯電防止性が得られたが、導電性金属酸化物の添加量が微量のため、粒子の凝集により、表面固有抵抗率のバラツキに伴う疎水性粉塵の付着率が高くなるという結果となった。
そこで、導電性金属酸化物の分散剤として、イオン液体より粘性の高いグリセリン脂肪酸エステルを添加することを検討した。グリセリン脂肪酸エステルの添加により、導電性金属酸化物の凝集を抑制し、表面固有抵抗率を低くすることができ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いポリカーボネート樹脂組成物が得られた。
以下、各成分について詳細に説明する。
(ポリカーボネート樹脂(A))
本開示のポリカーボネート樹脂組成物に含有されるポリカーボネート樹脂(A)としては、特に制限はなく、様々なものが挙げられる。例えば、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法(界面重縮合法)または溶融法(エステル交換法)により製造される芳香族ポリカーボネートを使用することができる。すなわち、2価フェノールとホスゲンとの界面重縮合法、2価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換法等により反応させて製造されたものを使用することができる。
2価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン等、または、これらのハロゲン置換体等が挙げられる。この他、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等も挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホルメート等であり、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等である。
ポリカーボネート樹脂(A)は、新材だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂も含まれる。また、市販されているグレードであればどれを使用しても問題ないが、高い透過率を有する光学グレードが望ましい。例えば、ユーピロンML200、ML300、ML400、HL3003、HL3503(三菱エンジニアリングプラスチックス(株))、SDポリカ303-10、303-30(住化ポリカーボネート(株))、レクサンLS-1、LS-2、LS-3(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社)、パンライトL-1225Z、L-1225ZL(帝人(株))、タフロンLC1500、LC1700(出光興産(株))等が使用できる。
(導電性金属酸化物(B))
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、導電性金属酸化物(B)を含有する。導電性金属酸化物(B)を含有することにより、帯電防止性(粉塵付着防止性)を向上させることができる。
本開示における導電性金属酸化物(B)は、透明系導電性金属酸化物であり、具体的には、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化インジウム錫(ITO)等が挙げられ、ATOおよびITOが好ましい。酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛は、結晶構造の酸素欠陥に起因する自由電子の移動により導電性を発現するn型半導体であり、ドーパント添加によりキャリア電子を増やすことで、さらに導電性を高めることができる。また、ATOは、酸化錫の5価のアンチモンをドープしたものであり、ITOは、酸化インジウムに4価の錫をドープしたものである。
また、導電性金属酸化物(B)は、一次粒子径が100nm以下のナノ粒子であり、透明性の観点から、60nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましい。形状は特に制限されないが、例えば、球状、棒状、筒状、環状、板状、板状積層体、中空球状、ポーラス粒子等がある。
ATOとしては、例えば、SN-100P(一次粒子径:10~30nm、石原産業(株))、FS-10P(一次粒子径:200~2000nm、短軸:10~20nm、石原産業(株))等が、ITOとしては、E-ITO(一次粒子径:30nm、三菱マテリアル電子化成(株))等が使用できる。
本開示における導電性金属酸化物(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01~0.09重量部であり、好ましくは0.02~0.08重量部であり、より好ましくは0.02~0.07重量部である。導電性金属酸化物(B)の含有量が0.09重量部を超える場合、ヘイズが上昇して透明性が得られないことがある。導電性金属酸化物(B)の含有量が0.01重量部未満の場合、粉塵付着防止性の低下が生じる。
(ホスホニウム塩系イオン液体(C))
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、ホスホニウム塩系イオン液体(C)を含有する。ホスホニウム塩系イオン液体(C)を含有することにより、帯電防止性(粉塵付着防止性)を向上させることができる。
ホスホニウム塩系イオン液体(C)としては、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルペンチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリ-n-ブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート等が挙げられる。また、入手性の観点から、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムを使用することが好ましい。
トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとしては、例えば、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(富士フィルム和光純薬(株))、IL-AP3(広栄化学工業(株))等が、トリブチルドデシルホスホニウムブロミドとしては、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド(富士フィルム和光純薬(株))等が、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムとしては、エレカットS-418(竹本油脂(株))等が使用できる。
本開示におけるホスホニウム塩系イオン液体(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.5~5.0重量部であり、好ましくは0.5~4.0重量部であり、より好ましくは0.5~3.0重量部である。ホスホニウム塩系イオン液体(C)の含有量が5.0重量部を超える場合、高温での熱安定性が著しく低下し、着色しやすくなるだけなく、機械的物性値が大幅に低下することがある。ホスホニウム塩系イオン液体(C)の含有量が0.5重量部未満の場合、粉塵付着防止性の低下が生じる。
(グリセリン脂肪酸エステル(D))
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、グリセリン脂肪酸エステル(D)を含有する。グリセリン脂肪酸エステル(D)を含有することにより、導電性金属酸化物(B)の凝集を抑制し、帯電防止性(粉塵付着防止性)を向上させることができる。
本開示におけるグリセリン脂肪酸エステル(D)は、炭素数12~18の脂肪酸と、グリセリンとのエステル化合物である。炭素数12~18の脂肪酸としては、ラウリン酸、トリデシル酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸等が挙げられる。グリセリンとしては、モノグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等が挙げられる。
本開示におけるグリセリン脂肪酸エステル(D)としては、例えば、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノステアレート等が挙げられ、ジグリセリンモノラウレートが好ましい。ジグリセリンモノラウレートとしては、例えば、ポエムDL-100(理研ビタミン(株))等が、ジグリセリンモノステアレートとしては、ポエムDS-100A(理研ビタミン(株))等が使用できる。
本開示におけるグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.1~1.5重量部であり、好ましくは、0.3~1.2重量部である。グリセリン脂肪酸エステル(D)の含有量が1.5重量部を超える場合、高温での熱安定性が著しく低下し、黄変することがある。グリセリン脂肪酸エステル(D)の含有量が0.1重量部未満の場合、導電性金属酸化物(B)の分散不良による粉塵付着防止性の低下が生じる。
(添加剤)
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、本開示の目的を阻害しない限り、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
[耐熱安定剤]
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、ホスホニウム塩系イオン液体(C)やグリセリン脂肪酸エステル(D)を含有することで、加水分解をもたらし、熱安定性が低下し、黄変することから、熱安定性を向上させるために、耐熱安定剤を含有してもよい。
耐熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤を用いることが好ましく、単独でまたは2種以上の混合物で用いてもよい。
本開示における耐熱安定剤の添加量は特に制限されるものではなく、また、2種以上混合する場合の構成比率も特に制限されるものではないが、必要となる物性によりその都度調整することが望ましい。
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ステアリルβ-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の公知のものが挙げられる。これらの中で、耐熱安定性の観点から、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ステアリルβ-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンが好ましい。
リン系の酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ペンタエリトリトールビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-フェニルホスファイト)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリ(モノノニルフェニル)ホスファイト、アルカノール(C=12~16)4,4’-イソプロピリデンジフェノールトリフェニルホスファイト重縮合物、ビス[2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル]エチルホスファイト、ペンタエリトリトールビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニルホスファイト)、トリアリルホスファイト、テトラキス(2,4--tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニルジホスフォネート等の公知のものが挙げられる。これらの中で、耐熱安定性の観点から、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ペンタエリトリトールビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-フェニルホスファイト)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイトが好ましい。
イオウ系の酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル-3,3’-チオジプロピオネート等の公知ものが挙げられる。これらの中で、耐熱安定性の観点から、ペンタエリトリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
本開示における耐熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.05~3.0重量部である。
[紫外線吸収剤]
本実施のポリカーボネート樹脂組成物は、屋外製品に使用されることが多く、紫外線により黄変することから、紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシビス(ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール)、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン)等の公知のものが挙げられる。
上記の中でも、耐候安定性の観点から、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール)、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン)が好ましい。上記紫外線吸収剤は、単独でまたは2種以上の混合物で用いてもよい。
本開示における紫外線吸収剤の添加量は特に制限されるものではなく、また、2種以上混合する場合の構成比率も特に制限されるものではないが、必要となる物性によりその都度調整することが望ましい。
本開示における紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.05~3.0重量部である。
[光安定剤]
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、屋外製品に使用されることが多く、紫外線により黄変することから、光安定剤を含有してもよい。
光安定剤としては、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と、1,2,3,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールと、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート等の公知のものが挙げられる。
上記の中でも、耐候安定性の観点から、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と、1,2,3,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールと、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物が好ましい。上記光安定剤は、単独でまたは2種以上の混合物で用いてもよい。
本開示における光安定剤の添加量は特に制限されるものではなく、また、2種以上混合する場合の構成比率も特に制限されるものではないが、必要となる物性によりその都度調整することが望ましい。
本開示における光安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.05~3.0重量部である。
(その他の添加剤)
本開示で使用可能なその他の添加剤としては、本開示の目的を阻害しない限り、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料等を挙げることができる。
帯電防止剤としては、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルペンチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリ-n-ブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート等のホスホニウム塩系イオン液体(C)、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(FC-4400、スリーエムジャパン(株))等のアンモニウム塩系イオン液体、N-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CIL-312、日本カーリット(株))等のピリジニウム塩系イオン液体、イミダゾリウム塩系イオン液体、ピロリジニウム塩系イオン液体等の公知のものから任意に選択して用いることができる。
可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリアミドオリゴマー、エチレンビスステアロアマイド、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、ポリスチレンオリゴマー、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル、ミネラルオイル等の公知のものから任意に選択して用いることができる。
離型剤としては、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル、ステアリルホスファイト、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸金属塩、1価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル等の公知のものから任意に選択して用いることができる。
難燃剤としては、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスファイト)、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス-3-クロロプロピルホスフェート等のリン系難燃剤、2,2-ビス[4-(3,3-ジブロモプロポキシル)-3,5-ジブロモフェニル]プロパン、ビス(3,5-ジブロモ-4-ジブロモプロピルオキシフェニル)スルホン、エチレンビスペンタブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の水酸化物系難燃剤等の公知のものから任意に選択して用いることができる。
難燃助剤としては、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、その他のものから任意に選択して用いることができる。
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本開示のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、特に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、例えば、ポリカーボネート樹脂(A)、導電性金属酸化物(B)、ホスホニウム塩系イオン液体(C)およびグリセリン脂肪酸エステル(D)、ならびに、必要に応じて配合される添加剤を混合し、混練を行う。混練の方法としては、例えば、溶融混練、溶媒キャストブレンド、ラテックスブレンド、ポリマーコンプレックス等のいずれかの物理的ブレンドを用いる方法により行うことができるが、溶融混練法が好ましい。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240~320℃の範囲である。
上記の混練に用いる装置としては、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、ロータリーミキサー、スーパーミキサー、リボンタンブラー、Vブレンダー等が用いられ、上記混練法によって混合成分を均一に分散させ、次いで、溶融混練した上で、ペレット化する。溶融混練ペレット化には単軸または多軸押出機を用いるのが一般的であるが、バンバリーミキサー、ローラ、コニーダ、ブラストミル、プラベンダーブラウトグラフ等を用いることもでき、これらを回分的または連続的に運転する。
また、溶融混練はせずに、樹脂ペレット、耐加水分解改善剤、その他添加剤それぞれを混ぜ合わせ、前記混合成分を成形用樹脂として使用し、成形機加熱筒内で溶融混練する、いわゆるモールドブレンドでの実施も可能である。
実施の形態2.
本実施の形態に係る成形品は、上記のポリカーボネート樹脂組成物からなる。本実施の形態に係る成形品では、上記のポリカーボネート樹脂組成物からなることにより、透明性を確保しつつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いという効果が奏される。
本実施の形態の成形品は、上述のポリカーボネート樹脂(A)、導電性金属酸化物(B)、ホスホニウム塩系イオン液体(C)およびグリセリン脂肪酸エステル(D)を含むポリカーボネート樹脂組成物を溶融混練した上でペレット化し、各種の成形法で成形することにより製造することができる。また、ペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、成形して製造することもできる。
成形品の形状としては、特に制限はないが、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状等が挙げられる。具体的には、自動車内装用パネル、自動車(二輪車)ヘッドランプレンズ、窓、筺体等や特殊な形状のもの等、各種形状のものが挙げられる。また、成形品表面に凹凸形状を転写させたものや、三次元曲面を有する立体的な形状のものであってもよい。さらに、シートやフィルム、板状等として使用する場合には、他の樹脂シートと積層した多層構造の積層体でもよい。
また、成形方法としては、特に制限されず、従来公知の成形方法を採用でき、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコ-ティング)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。
(全光線透過率)
本実施の形態の成形品は0.5~6.0mm程度の厚さにおいても透明性に優れるものであり、厚さ2.0mmの成形品の全光線透過率は85%以上であり、88%以上であることが好ましい。
ここで、全光線透過率とは、D65光源相当の光を測定対象に入射したときの、透過した全ての光のことをいい、D65光源とは、屋外の照明環境を再現した光のことをいう。試験片がない状態を100%として、数値が100%に近いほど透明であることを意味する。
全光線透過率は、例えば、JIS K7361-1:1997の「プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法-第1部:シングルビーム法」に準拠した測定方法により、厚さ2.0mmの成形品を用い、紫外可視近赤外(UV-Vis-NIR)分光光度計((株)島津製作所製 Solid Spec-3700 DUV)により温度23℃で測定することができる。
以下、実施例を挙げて本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
<評価方法>
評価は下記の方法により行った。なお、下記評価に用いる試験片は、平板試験片(縦100mm×横100mm×厚さ2.0mm)であり、温度23℃、湿度50%の環境で、一週間放置した後に評価したものである。
(1)透明性(全光線透過率)
JIS K7361-1:1997の「プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法-第1部:シングルビーム法」に準拠した測定方法により、上記平板試験片を用いて紫外可視近赤外(UV-Vis-NIR)分光光度計((株)島津製作所製 Solid Spec-3700 DUV)により温度23℃にて測定した。全光線透過率が85%以上を良好とした。
(2)帯電防止性(表面固有抵抗率)
上記平板試験片を用いて抵抗率計((株)三菱化学アナリテック製 Hiresta UP MCP-HT450)により以下の試験条件で測定した。数値が小さい程、帯電防止性に優れていることを示す。
[試験条件]
電圧:1000V
時間:60秒
温度:23℃
湿度:50%
(3)粉塵付着性
JIS Z8901:2006の「試験用粉体及び試験用粒子」に準拠した粉体を使用した。親水性の粉塵付着性評価には、関東ローム(JIS試験用紛体1の11種)を使用し、疎水性の粉塵付着性評価には、カーボンブラック(JIS試験用紛体1の12種)を使用した。
粉塵付着性の評価は、粉塵をエアーで成形品表面に一定量(5g)吹きつけた後の、成形品表面をデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス製 VHX-5000)により100倍で観察し、画像処理により粉塵付着率(粉塵付着面積割合)を求めた。なお、粉塵付着率が4%未満の場合を「A」、粉塵付着率が4%以上の場合を「B」と示した。
(4)総合判断
全光線透過率が85%であり、かつ、親水性および疎水性の粉塵付着率が4%未満の場合を「A」、上記のうちいずれか1項目でも満たさない場合を「B」と示した。
<実施例1~11、比較例1~10>
表1および2に示す組成の割合の各成分を混合し、二軸混練押出機(芝浦工業(株)製 TEX-26SX)を用い、280℃にて溶融混練することにより、3~5mmのポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。
得られたペレットは、電気式射出成形機(日精樹脂工業(株)製 NEX110IV-9EG)を用いて評価用の平板試験片(縦100mm×横100mm×厚さ2mm)(実施例1~11、比較例1~10)として成形された。射出成形の基本条件としては、樹脂温度280℃、金型温度80℃とした。
表1および2に示される各成分(記号表記の各成分)は、以下の通りである。
〔ポリカーボネート樹脂:A成分〕
A-1:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 ユーピロンHL3503
A-2:出光興産(株)製 タフロンLC1500
A-3:住化ポリカーボネート(株)製 SDポリカ303-30
A-4:帝人(株)製 パンライトL-1225ZL
A-5:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 ユーピロンHL3003
A-6:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 ユーピロンML300
〔導電性金属酸化物:B成分〕
(B-1)
アンチモンドープ酸化錫(ATO)〔石原産業(株)製 SN-100P〕
(B-2)
酸化インジウム錫(ITO)〔三菱マテリアル電子化成(株)製 E-ITO〕
(B-3)
アンチモンドープ酸化錫(ATO)〔石原産業(株)製 FS-10P〕
〔ホスホニウム塩系イオン液体:C成分〕
(C-1)
トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〔富士フィルム和光純薬(株)製〕
(C-2)
ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム〔竹本油脂(株)製 エレカットS-418〕
(C-3)
トリブチルドデシルホスホニウムブロミド〔富士フィルム和光純薬(株)製〕
(C-4)
トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〔広栄化学工業(株)製 IL-AP3〕
〔アンモニウム塩系イオン液体、ピリジニウム塩系イオン液体:C’成分〕
(C’-1)
トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド〔スリーエムジャパン(株)製 FC-4400〕
(C’-2)
N-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド〔日本カーリット(株)製 CIL-312〕
〔グリセリン脂肪酸エステル:D成分〕
(D-1)
ジグリセリンモノラウレート〔理研ビタミン(株)製 ポエムDL-100〕
(D-2)
ジグリセリンモノステアレート〔理研ビタミン(株)製 ポエムDS-100A〕
得られた評価用の平板試験片(実施例1~11および比較例1~10)についての上記(1)~(3)の評価結果および(4)総合判断を表1および2に示す。
Figure 0007415078000001
Figure 0007415078000002
表1に示される評価結果から、本開示の構成要件を満たすポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品である実施例では、透明性に優れ、かつ、親水性の粉塵汚れおよび疎水性の粉塵汚れのいずれも付着し難いという防汚効果を示すポリカーボネート樹脂組成物が得られることが確認できる。
一方、比較例1は、B成分、C成分およびD成分を含まないため、帯電防止性および粉塵付着性に劣っていた。比較例2は、B成分を含むが、C成分およびD成分を含まないため、比較例1と同様に帯電防止性および粉塵付着性に劣っていた。比較例3は、B成分およびC成分を含むが、D成分を含まないため、帯電防止性および親水性の粉塵付着性は改善されたが、疎水性粉塵の粉塵付着性に劣っていた。比較例6は、C成分およびD成分を含むが、B成分を含まないため、親水性の粉塵付着性は改善されたが、帯電防止性および疎水性粉塵の粉塵付着性に劣っていた。比較例7は、B成分およびD成分を含むが、C成分を含まないため、帯電防止性および粉塵付着性に劣っていた。これらの結果から、A~D成分を全て含むことが本開示において必要な構成要件であることが確認できる。
また、比較例8~10はA~D成分を全て含むものの、比較例8はB成分の含有量が、比較例9はC成分の含有量が、比較例10はD成分の含有量が、それぞれ規定量よりも多いため、帯電防止性および粉塵付着性は改善されたが、透明性に劣っていた。これらの結果から、A~D成分を全て含み、かつ、それぞれの規定量含むことが本開示において必要な構成要件であることが確認できる。
さらに、比較例4は、C成分ではなくアンモニウム塩系イオン液体(C’-1)を、比較例5は、C成分ではなくピリジニウム塩系イオン液体(C’-2)を、それぞれ含んでいたため、帯電防止性および疎水性粉塵の粉塵付着性に劣っていた。これらの結果から、イオン液体としてはホスホニウム塩系イオン液体(C成分)が最適であることが確認できる。
なお、表1および2には示されていないが、実施例1および比較例1において機械的物性の評価(引張強度、引張破断伸び率およびシャルピー衝撃強度)を行ったところ、同等の評価結果が得られ、A成分にB~D成分を配合しても機械的物性の低下がみられないことが確認できる。また、実施例1および比較例1において撥水性の評価(接触角)を行ったところ、実施例1の接触角は87°であり、比較例1の接触角が75°であったことから、撥水性が付与されていることも確認できる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部と、導電性金属酸化物(B)0.01~0.09重量部と、ホスホニウム塩系イオン液体(C)0.5~5.0重量部と、グリセリン脂肪酸エステル(D)0.1~1.5重量部と、を含有する、ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 前記導電性金属酸化物(B)が、アンチモンドープ酸化錫、酸化インジウム錫、酸化インジウム、酸化錫および酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記ホスホニウム塩系イオン液体(C)が、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミドおよびドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 前記グリセリン脂肪酸エステル(D)が、炭素数12~18の脂肪酸と、グリセリンとのエステル化合物である、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. JIS K7361-1に準拠して測定した全光線透過率が85%以上である成形品が得られる、請求項1から4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、
    ポリカーボネート樹脂(A)、導電性金属酸化物(B)、ホスホニウム塩系イオン液体(C)およびグリセリン脂肪酸エステル(D)を溶融混練して得られる、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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