JP2011105488A - エレベーターの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エレベーターのかごが所定位置に達したことを検出するための機械的装置を必要とせず、簡潔な構成であって、製作過程や保守作業等で手数がかからず安価であるエレベーターの制御装置を提供する。
【解決手段】かごの走行に対応したパルス計数値に基づいて目的階までの正規残距離を演算する正規残距離演算手段11を具備するエレベーターの制御装置において、最高速度から所定の低下速度へと昇降路の所定の速度低下位置において減速させるために、速度低下位置及び低下速度に基づいて仮想の階床である仮想階の位置を演算する仮想階演算手段12と、仮想階まで仮想残距離を演算する仮想残距離演算手段13と、正規残距離及び仮想残距離のうちいずれか一方の残距離を選択して出力する残距離選択手段14と、残距離選択手段により出力された残距離に基づいて速度指令を発生させる速度指令発生手段10と、を備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、エレベーターの制御装置に関するものである。
従来におけるエレベーターの制御装置においては、昇降路上下端部のクリアランスが不足する昇降路においてかご速度を一段階下の定格速度に下げて終端階に停止させるものとして、かごの側部に設けられたカム及び昇降路の内壁に固定されたリミットスイッチ等からなり、終端階よりも所定距離だけ手前側にかごが達したときに出力を発生する終端階ゾーン検出手段と、この終端階ゾーン検出手段の出力発生時にエレベーターの定格速度を昇降路端部のクリアランスに適合する速度に下げて走行させる速度指令信号制御手段と、この速度指令信号制御手段の出力に応じてかごの走行速度を制御する走行速度制御手段と、パルス発生器や計数回路等からなり、前記かごの現在位置を検出して出力するかご位置検出手段と、前記終端ゾーン検出手段の出力信号とかご位置検出手段の出力信号とを機能的に比較することにより両者の差から異常を検出してエレベーターの再起動を阻止する異常検出手段と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来における、昇降するかご内から屋外が展望可能に構成された展望用エレベーターにおいて、かごの最高速度を変更可能とするものとして、前記かごの最高速度を変更可能にする速度切替装置と、前記かご内に設けられ、前記速度切替装置を操作するための速度指令手段と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。なお、ここで、かご内に設けた速度指令装置を操作する代わりに、特許文献1に記載されているように、リミットスイッチ等を設けることにより、昇降路の所定区間内で低速走行を実現することも従来において行われている。
そして、従来における、エレベーターのかごの移動距離に対応して発生するパルス数を計数し、前記パルス数の計数値に応じてかごの移動速度の速度指令信号を発生するエレベーターの制御装置において、最高速度よりも低い速度で走行する場合でも減速時の乗り心地を良好にすることを目的とするものとして、前記かごがその最高速度になった後、停止予定階の所定距離手前に達したとき減速を開始する第1の速度指令信号を発生する手段と、前記最高速度より低い速度を最高値とし、前記第1の速度指令信号との差の差分値が所定値以下になると以後時間の経過とともに所定時間減速させる第2の速度指令信号を発生する手段と、前記所定時間減速後の前記第1の速度指令信号と前記第2の速度指令信号とから前記差分値を前記第1の速度指令信号の減少とともに減少させるとともに、前記第1の速度指令信号から前記差分値を減算させる第3の速度指令信号を発生する手段と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
図14は、従来のエレベーターの制御装置における速度指令値、速度指令値に対する加速度及び目的階の関係の一例を示す図である。この図の実線に示すように、従来のエレベーター制御装置においては、呼び登録等がなされると、まず滑らかに加速してエレベーターのかごを最高速度Vrで走行させ、かごを停止させる目的階Ft(n)が近づくと、最高速度Vrより低い速度である低下速度Vmまで滑らかに減速した後、所定時間の間この低下速度Vmで定速走行させてから目的階Ft(n)で停止するように、速度指令が出力される。
特開昭61−192684号公報 特開昭62−280173号公報 特開平01−308375号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に示された従来におけるエレベーターの制御装置においては、停止目的階よりも所定距離だけ手前側にかごが達したことを検出するため、リミットスイッチ等の機械的装置を必要とするため、構成が複雑化し、製作過程や保守作業等において手数や費用がかかってしまうという課題がある。
また、特許文献1に記載されたものにおいては、前記機械的装置の異常を検出する手段と異常検出時にエレベーターの再起動を阻止する手段とを設けることが必要であり、さらに構成の複雑化を招来してしまうという課題がさらにあり、特許文献2に記載されたものにおいては、前記機械的装置の故障発生等によりかごが所定位置に達したことが検出できない場合に、かごを低速走行に減速できなかったりあるいは常に低速走行となってしまったりという不具合が発生してしまうという課題がさらにある。
そして、特許文献3に示された従来におけるエレベーターの制御装置においては、図14に示す低下速度Vmに向かって減速中に現在の目的階Ft(n)より手前の階である例えばFt(n−1)が目的階として登録された場合に、この目的階Ft(n−1)へと滑らかに減速停止させるための距離が不足していると、図14の一点差線で示すように減速に伴う加速度の高い速度指令値となり乗り心地が悪化してしまうという課題がある。
これは、特許文献3の記載における速度指令VP1における減速に伴う加速度が高くなり、その結果として速度指令VP2における減速に伴う加速度も高くなってしまうことによるものである。
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、エレベーターのかごが所定位置に達したことを検出するための機械的装置を必要とせず、簡潔な構成であって、製作過程や保守作業等で手数がかからず安価であるエレベーターの制御装置を得るものである。
また、第2の目的は、かごを全ての目的階に対して滑らかに減速停止させることができ、乗り心地が良好であるエレベーターの制御装置を得るものである。
この発明に係るエレベーターの制御装置においては、エレベーターのかごの走行に対応して発生するパルス数を計数し、前記パルス数の計数値に基づいて前記かごの位置から目的階までの残距離である正規残距離を演算する正規残距離演算手段を具備するエレベーターの制御装置であって、前記かごの速度を最高速度から前記最高速度より低い所定の低下速度へと昇降路の所定の速度低下位置において減速させるために、前記速度低下位置及び前記低下速度に基づいて、仮想の階床である仮想階の位置を演算する仮想階演算手段と、前記パルス数の計数値に基づいて、前記かごの位置から前記仮想階演算手段が演算した前記仮想階までの残距離である仮想残距離を演算する仮想残距離演算手段と、前記正規残距離演算手段が演算した前記正規残距離及び前記仮想残距離演算手段が演算した前記仮想残距離のうち、いずれか一方の残距離を選択して出力する残距離選択手段と、前記残距離選択手段により出力された残距離に基づいて速度指令を発生させる速度指令発生手段と、を備えた構成とする。
この発明に係るエレベーターの制御装置においては、エレベーターのかごが所定位置に達したことを検出するための機械的装置を必要とせず、簡潔な構成であって、製作過程や保守作業等で手数がかからず安価であるという効果を奏する。
この発明の実施の形態1に係るエレベーターの制御装置の全体構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベーターの制御装置の速度指令値及び速度指令値に対する加速度の一例を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る正規残距離演算装置の動作の流れを示すフロー図である。 この発明の実施の形態1に係る仮想階演算装置の動作の流れを示すフロー図である。 この発明の実施の形態1に係るエレベーターの制御装置の速度指令値、目的階及び仮想階の関係の一例を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る仮想残距離演算装置の動作の流れを示すフロー図である。 この発明の実施の形態1に係る速度切替検知装置の動作の流れを示すフロー図である。 この発明の実施の形態1に係る速度指令発生装置の動作の流れを示すフロー図である。 この発明の実施の形態2に係る仮想階演算装置の動作の流れを示すフロー図である。 この発明の実施の形態2に係るエレベーターの制御装置の速度指令値、目的階及び仮想階の関係の一例を示す図である。 この発明の実施の形態3に係る低下速度超走行可否判定手段の動作の流れを示すフロー図である。 この発明の実施の形態3に係るエレベーターの制御装置の速度指令値、目的階及び仮想階の関係の一例を示す図である。 この発明の実施の形態4に係る減速停止抑制手段の動作の流れを示すフロー図である。 従来におけるのエレベーターの制御装置の速度指令値、速度指令値に対する加速度及び目的階の関係の一例を示す図である。
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
実施の形態1.
図1から図8は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1はエレベーターの制御装置の全体構成を示すブロック図、図2はエレベーターの制御装置の速度指令値及び速度指令値に対する加速度の一例を示す図、図3は正規残距離演算装置の動作の流れを示すフロー図、図4は仮想階演算装置の動作の流れを示すフロー図、図5はエレベーターの制御装置の速度指令値、目的階及び仮想階の関係の一例を示す図、図6は仮想残距離演算装置の動作の流れを示すフロー図、図7は速度切替検知装置の動作の流れを示すフロー図、図8は速度指令発生装置の動作の流れを示すフロー図である。
図において1はエレベーターの図示しない昇降路内に昇降自在に配置されたかごである。また、昇降路内には、このかご1にかかる荷重を補償するための釣合い重り2が昇降自在に配置されている。そして、昇降路の頂部には、かご1及び釣合い重り2の昇降を駆動するための巻上電動機3が配設されている。
かご1の上部には主ロープ5の一端が連結されており、この主ロープ5の中間が巻上電動機3の駆動綱車4に巻き掛けられた上で、主ロープ5の他端が釣合い重り2の上部に連結されることにより、かご1及び釣合い重り2は昇降路内につるべ状に吊持されている。
巻上電動機3は、制御装置本体6の制御の下、駆動綱車4を回転駆動することによりかご1(及び釣合い重り2)を昇降させる。かご1は、当該エレベーターが設置された建物の各階床7を目的階として巻上電動機3に駆動されて昇降路内を昇降する。当該建物には複数の階床があり、すなわち、目的階となり得る階床7は当該建物内に複数存在する。
巻上電動機3にはこの巻上電動機3の回転速度すなわち駆動綱車4の回転速度に比例して、換言すれば、かご1の走行に応じてパルス信号を発生するパルス発生器8が取付けられている。パルス発生器8で発生したパルス信号はパルス計数器9により計数される。
目的階となる当該建物の各階床7にかご1があるとき、さらに言えば昇降路内の任意の位置にかご1があるときにおけるパルス計数値は各階床について一意に定まる。このときの当該建物の各階床の位置(昇降路内のかご1の位置)とパルス計数値との対応は予め求められてデータとして記憶されている(以下このデータを「階床位置データ」という)。
そして、この階床位置データを参照することにより、パルス計数器9で計数された値からかご1の昇降路内における位置が求められる。
制御装置本体6は、速度指令発生装置10から出力される速度指令信号に従って巻上電動機3の回転駆動の制御を行っている。
速度指令発生装置10は、基本的には、図2の実線で示すような速度指令を発生させ、速度指令信号として出力する。すなわち、呼び登録等によりかご1の行先となる目的階が設定されると、まず滑らかに加速してかご1を最高速度Vrで走行させ、目的階Ft(n)が近づくと最高速度Vrより低い速度である所定の低下速度Vmまで滑らかに減速した後、所定時間の間この低下速度Vmで定速走行させてから目的階Ft(n)で停止するように、速度指令を発生させる。
この際、加速開始時及び加速終了時、並びに、減速開始時及び減速終了時においては、それぞれ所定の時限Tj及びTa、並びに、Td及びTm又はTlで速度指令に対する加速度が一定割合で増加又は減少するように速度指令値が演算される。
また、加速終了から減速開始まで(すなわち最高速度Vrで走行する時間)、及び、減速終了から次の減速開始まで(すなわち低下速度Vmで走行する時間)については、それぞれ所定の時限Tc及びTcmを少なくとも確保するように速度指令値が演算される。
呼び登録等によりかご1の行先となる目的階Ft(n)が設定されると、正規残距離演算装置11は、前記階床位置データを参照して、目的階Ft(n)の位置を求めるとともにパルス計数器9で計数された値からかご1の現在位置を求め、かご1の現在位置から目的階Ft(n)の位置までの距離である正規残距離の演算を行う。
また、目的階Ft(n)が設定されると、仮想階演算装置12は、前述の速度指令に対する時限の制限を満たしつつ当該目的階Ft(n)に滑らかに減速停止するために、低下速度Vmへの減速が完了している必要がある位置である所定の速度低下位置、低下速度Vmや前記階床位置データ等に基づいて、仮想階Fvの演算を行う。
そして、仮想残距離演算装置13は、前記階床位置データを参照してパルス計数器9で計数された値からかご1の現在位置を求め、かご1の現在位置から仮想階演算装置12が演算した仮想階Fvの位置までの距離である仮想残距離の演算を行う。
残距離選択装置14は、正規残距離演算装置11により演算された正規残距離と仮想残距離演算装置13により演算された仮想残距離のうち、どちらの残距離を速度指令発生装置10において速度指令を演算する際に用いる残距離とするかの選択を行い、選択した残距離を速度指令発生装置10へと出力する。
より具体的には、正規残距離と仮想残距離とを比較し値の小さい方(距離の短い方)を選択して速度指令発生装置10へと出力する。なお、仮想残距離演算装置13において仮想残距離が演算されない場合(後述するようにこれは速度切替検知装置15から速度切替信号が出力された後である)には、正規残距離を選択して速度指令発生装置10へと出力する。
速度切替検知装置15は、速度指令発生装置10からの速度指令値が、低下速度Vmへの減速中において速度指令値の加速度を負の最大値から0へと戻し始める速度である所定の切替速度にまで低下したことを検知するもので、速度指令発生装置10からの速度指令値が切替速度にまで低下したことを検知すると、速度切替信号を速度指令発生装置10及び仮想残距離演算装置13へと出力する。
図3のフロー図は、この実施の形態における正規残距離演算装置11の動作を示すものである。
すなわち、まず、ステップS301において、正規残距離演算装置11は、前記階床位置データを参照して目的階Ft(n)の位置データを抽出する。次に、ステップS302へと進み、パルス計数器9によるパルス計数値に基づいたかご1の現在位置の入力を受ける。
そして、続くステップS303において、ステップS301で求めた目的階位置とステップS302で求めた現在のかご位置との差を演算することにより正規残距離を算出し、残距離選択装置14へと出力する。
その後ステップS304へと移行し、エレベーター(のかご1)が停止したか否かの確認を行い、エレベーターが停止した場合にはステップS305へと至り一連の動作フローは終了する。一方、この確認においてエレベーターが停止していなかった場合には、エレベーターが停止するまでステップS302からS304の動作を繰り返す。
図4のフロー図は、この実施の形態における仮想階演算装置12の動作を示すものである。
まず、ステップS401において、仮想階演算装置12は、前記速度低下位置(図5のd’点)において低下速度Vmになるために最高速度Vrから減速を開始し(図5のb−c)、そのまま低下速度Vmでの定速走行に移行することなく減速停止した場合(図5のb−c−g’−h’)におけるかご1の停止位置である仮想階Fvの位置を演算すべく、図5におけるg’−h’−d’で囲まれる面積であるSg’h’d’を算出する。
ここで、図5のグラフにおける横軸は時間であり縦軸は速度指令値を表している。従って、g’−h’−d’で囲まれる面積であるSg’h’d’は、速度指令g’−h’によりかご1が仮想階Fvに減速停止するまでに移動する距離となる。なお、点線で示す速度指令g’−h’の形状は実線で示す速度指令g−hの形状と同一である。
そして、続くステップS402において、図5のd’点の位置から先のステップS401において算出した面積Sg’h’dの表す距離をかご1の進行方向へ加算した位置を求め、これを仮想階Fvとして仮想残距離演算装置13へと出力する。その後ステップS403へと至り一連の動作フローは終了する。
図6のフロー図は、この実施の形態における仮想残距離演算装置13の動作を示すものである。
すなわち、まず、ステップS601において、仮想残距離演算装置13は、前記階床位置データを参照して仮想階演算装置12が演算した仮想階Fvの位置データを抽出する。次に、ステップS602へと進み、パルス計数器9によるパルス計数値に基づいたかご1の現在位置の入力を受ける。
そして、続くステップS603において、ステップS601で求めた仮想階位置とステップS602で求めた現在のかご位置との差を演算することにより仮想残距離を算出し、残距離選択装置14へと出力する。
その後ステップS604へと移行し、速度切替検知装置15から速度切替信号の入力を受けたか否かの確認を行い、速度切替信号の入力を受けた場合にはステップS605へと至り一連の動作フローは終了する。一方、この確認において速度切替信号の入力を受けていなかった場合には、速度切替信号の入力を受けるまでステップS602からS604までの動作を繰り返す。
図7のフロー図は、この実施の形態における速度切替検知装置15の動作を示すものである。
まず、ステップS701において、速度切替検知装置15は、前記切替速度(図5の実線で示されたc点における速度指令値)の算出を行う。次に、ステップS702において、速度指令発生装置10から出力される速度指令信号の入力を受ける。
そして、続くステップS703において、先のステップS702で取得した速度指令信号の速度指令値が前記切替速度以下であるか否かについて確認を行う。この確認において、速度指令値が前記切替速度以下であることが確認された場合には、ステップS704へと移行して速度切替検知装置15は速度切替信号を速度指令発生装置10及び仮想残距離演算装置13へと出力した後、ステップS705へと至り一連の動作フローは終了する。
一方、ステップS703の確認において、速度指令値が前記切替速度以下であることが確認されなかった場合には、ステップS702へと戻り速度指令値が前記切替速度以下となるまでステップS702からS703までの動作を繰り返す。
図8のフロー図は、この実施の形態における速度指令発生装置10の動作を示すものである。
まず、ステップS801において、速度切替検知装置15からの速度切替信号の入力を受けたか否かについて確認を行う。この確認において、速度切替信号の入力を受けたことが確認された場合には、ステップS802へと移り現在の速度指令値が低下速度Vmを超えているか否かについて確認を行う。
このステップS802の確認において、現在の速度指令値が低下速度Vmを超えていることが確認された場合には、すなわち、現在の速度指令値は前記切替速度以下かつ低下速度を超えているということであり、図5の実線のc−dにおける速度指令値の演算を行った後、ステップS805へと移行する。
一方、ステップS801の確認において速度切替信号の入力を受けたことが確認されなかった場合、及び、このステップS802の確認において現在の速度指令値が低下速度Vmを超えていることが確認されなかった場合には、ステップS804へと移行して速度指令発生装置10は残距離選択装置14から出力された残距離に基づいて速度指令値の演算を行った後、ステップS805へと移行する。
そして、ステップS805において、速度指令発生装置10は、先のステップS803又はS804において演算された速度指令値を制御装置本体6及び速度切替検知装置15へと出力する。その後動作フローはステップS801へと戻り以上のステップS801からS806の動作を繰り返す。
以上のように構成されたエレベーターの制御装置においては、エレベーターのかごの走行に対応して発生するパルス数を計数し、パルス数の計数値に基づいてかごの位置から目的階までの残距離である正規残距離を演算する正規残距離演算手段を具備するエレベーターの制御装置であって、かごの速度を最高速度から最高速度より低い所定の低下速度へと昇降路の所定の速度低下位置において減速させるために、速度低下位置及び低下速度に基づいて、仮想の階床である仮想階の位置を演算する仮想階演算手段と、パルス数の計数値に基づいて、かごの位置から仮想階演算手段が演算した仮想階までの残距離である仮想残距離を演算する仮想残距離演算手段と、正規残距離演算手段が演算した正規残距離及び仮想残距離演算手段が演算した仮想残距離のうち、いずれか一方の残距離を選択して出力する残距離選択手段と、残距離選択手段により出力された残距離に基づいて速度指令を発生させる速度指令発生手段と、を備えたことで、エレベーターのかごが所定位置に達したことを検出するための機械的装置を必要とせず既存の設備を利用してソフトウェアの変更のみにより、滑らかに減速停止を行う速度制御が可能であり、簡潔な構成であって、製作過程や保守作業等で手数がかからず安価であるエレベーターの制御装置を得ることができる。
実施の形態2.
図9及び図10は、この発明の実施の形態2に係るもので、図9は仮想階演算装置の動作の流れを示すフロー図、図10はエレベーターの制御装置の速度指令値、目的階及び仮想階の関係の一例を示す図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成の仮想階演算装置において、まず目的階Fv(n)に対して実施の形態1と同様の手続で仮の仮想階Fv’を決定した後、この仮の仮想階Fv’に対して進行方向前後の最寄階Ft(n−1)及びFt(n−2)について、目的階Fv(n)への走行中にこれらの階床に対する呼び登録がなされた場合であっても適切に減速停止が可能なように仮想階Fvを決定・演算するようにしたものである。
すなわち、この実施の形態にあっては、仮想階演算装置12は、図9に示すフローに従って動作する。
まず、ステップS901において、仮想階演算装置12は、前記速度低下位置(図5のd’点)において低下速度Vmになるために最高速度Vrから減速を開始し(図5のb−c)、そのまま低下速度Vmでの定速走行に移行することなく減速停止した場合(図5のb−c−g’−h’)におけるかご1の停止位置である位置を演算すべく、図5におけるg’−h’−d’で囲まれる面積であるSg’h’d’を算出する。
次にステップS902において、図5のd’点の位置から先のステップS901において算出した面積Sg’h’dの表す距離をかご1の進行方向へ加算した位置を求め、これを仮の仮想階Fv’とする。
この仮の仮想階Fv’の位置を算出する過程は、実施の形態1において仮想階Fvの位置を算出する過程と同一である。
そして、続くステップS903において、仮想階演算装置12は最小移動距離Lmの算出を行う。
この最小移動距離Lmとは、前記切替速度にまでかご1の速度が下がってから低下速度Vmを経て滑らかに減速停止するために、図2における各時限Tm、Tcm、Td及びTlを確保した場合に、前記切替速度にまで下がった時点からこれら各時限を確保しつつ滑らかに減速停止するまでの間にかご1が移動する距離である。すなわち、最小移動距離Lmは、図5の実線で示す速度指令c−d−f−g−hを発するのに必要な距離であって、その値は図5においてc−d−f−g−h−i’で囲まれる面積を求めることにより算出することができる。
ステップS903において最小移動距離Lmの算出を行った後は、ステップS904へと移行して、仮想階演算装置12は、先のステップS902において算出した仮の仮想階Fv’から見てかご1の進行方向の最寄階Ft(n−1)と仮の仮想階Fv’との間の距離Siの算出を行う。
そして、ステップS905へと移り、先のステップS903で算出した最小移動距離LmとステップS904で算出した距離Siとの比較を行い、距離Siが最小移動距離Lmより小さいか否かの確認を行う。
この確認において、距離Siが最小移動距離Lmより小さいことが確認された場合にはステップS906へと移行して、仮想階演算装置12は、進行方向の最寄階Ft(n−1)からかご1の進行方向とは逆方向に最小移動距離Lmだけシフトした位置を仮想階Fvとした後、ステップS908へと進む。
一方、このステップS905の確認において、距離Siが最小移動距離Lmより小さいことが確認されなかった場合すなわち距離Siが最小移動距離Lm以上であることが確認された場合にはステップS907へと移行して、仮想階演算装置12は、仮の仮想階Fv’を仮想階Fvとした後、ステップS908へと進む。
ステップS908においては、仮想階演算装置12は、先のステップまでにおいて算出した仮想階Fvから見てかご1の進行方向とは逆方向の最寄階Ft(n−2)と先のステップまでにおいて算出した仮想階Fvとの間の距離の算出を行う。そして、この進行方向とは逆方向の最寄階Ft(n−2)と仮想階Fvとの間の距離と、最小移動距離Lmとの比較を行い、Ft(n−2)とFvとの間の距離が最小移動距離Lmより小さいか否かの確認を行う。
この確認において、Ft(n−2)とFvとの間の距離が最小移動距離Lmより小さいことが確認された場合にはステップS909へと移行して、仮想階演算装置12は、進行方向とは逆方向の最寄階Ft(n−2)を仮想階Fvとした後、ステップS910へと至り一連の動作フローは終了する。
一方、このステップS908の確認において、Ft(n−2)とFvとの間の距離が最小移動距離Lmより小さいことが確認されなかった場合すなわち当該距離が最小移動距離Lm以上であることが確認された場合にはステップS909へと移行することなく、ステップS908から直接ステップS910へと至り一連の動作フローは終了する。
なお、他の構成については実施の形態1と同様であり、その詳細説明は省略する。
以上のように構成されたエレベーターの制御装置においては、実施の形態1と同様の効果を奏することができるのに加えて、仮想階演算装置を、所定の最小移動距離を算出し、仮想階からかごの進行方向の最寄階までの距離を算出し、進行方向の最寄階までの距離と最小移動距離に基づいて仮想階を決定するようにしたことで、仮想階と進行方向の最寄階との距離を少なくとも最小移動距離Lmは確保することができ、この進行方向の最寄階を目的階とする呼びが登録された場合であっても、滑らかに減速停止することができる。
また、仮想階演算装置を、仮想階からかごの進行方向とは逆方向の最寄階までの距離を算出し、進行方向とは逆方向の最寄階までの距離にさらに基づいて仮想階を決定するようにしたことで、切替速度に達する前に仮想階から見て進行方向とは逆方向の最寄階を目的階とする呼びが登録された場合であっても、そのまま減速を継続して滑らかに減速停止することができる。
従って、かごを全ての目的階に対して滑らかに減速停止させることができ、乗り心地が良好である。
実施の形態3.
図11及び図12は、この発明の実施の形態3に係るもので、図11は低下速度超走行可否判定手段の動作の流れを示すフロー図、図12はエレベーターの制御装置の速度指令値、目的階及び仮想階の関係の一例を示す図である。
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1又は実施の形態2の構成に加えて、速度指令発生装置に、かごの出発位置から前記速度低下位置までの距離に基づいて、速度指令値が低下速度Vmを超えないように制限するか否かを判定する低下速度超走行可否判定手段を設けるようにしたものである。
すなわち、速度指令発生装置10には図示しない低下速度超走行可否判定手段が設けられており、この低下速度超走行可否判定手段は図11に示すフローに従って動作する。
まず、ステップS1101において、低下速度超走行可否判定手段は、かご1が走行を開始したか否かについて監視を行い、かご1が走行を開始したことが確認された場合に、ステップS1102へと移行する。
ステップS1102においては、かご1の出発位置から前記速度低下位置(図12のd’点)までの距離の算出を行う。
そして、ステップS1103へと移行し、出発位置から加速した後、前記速度低下位置において低下速度Vmへと滑らかに減速するために、図12における各時限Ta、Tc、Td及びTmを確保した場合に、出発位置から前記速度低下位置までのかご1の移動距離を算出する。当該距離は、図12においてo−c−d−d’で囲まれる面積であるSocdd’を算出することにより求めることができる。
続いて、面積Socdd’で求められる距離と先のステップS1102で算出した出発位置から前記速度低下位置までの距離との比較を行い、面積Socdd’で求められる距離が出発位置から前記速度低下位置までの距離より大きいか否かについて確認を行う。
この確認において、面積Socdd’で求められる距離が出発位置から前記速度低下位置までの距離より大きいことが確認された場合には、ステップS1104へと移行して低下速度超走行可否判定手段は、速度指令発生装置10により演算される速度指令値が低下速度Vm以下となるように制限する。その後ステップS1105へと至り一連の動作フローは終了する。
従って、この場合には、速度指令発生装置10が発生させる速度指令値は、図12の一点鎖線で示すものになる。
一方、ステップS1103の確認において、面積Socdd’で求められる距離が出発位置から前記速度低下位置までの距離より大きいことが確認されない場合、すなわち、面積Socdd’で求められる距離が出発位置から前記速度低下位置までの距離以下であることが確認された場合には、ステップS1104へは移行せずにステップS1103から直接ステップS1105へと至り一連の動作フローは終了する。
この場合には、速度指令発生装置10が発生させる速度指令値は、図12の実線や点線で示すものになる。
以上のように構成されたエレベーターの制御装置においては、実施の形態1や実施の形態2と同様の効果を奏することができるのに加えて、かごの出発位置から速度低下位置までの距離に基づいて、速度指令が低下速度を超えないように制限するか否かを判定する低下速度超走行可否判定手段をさらに備えたことで、所定の時限Ta、Tc、Td及びTmを確保することができ乗り心地が良好である。
実施の形態4.
図13は、この発明の実施の形態4に係るもので、減速停止抑制手段の動作の流れを示すフロー図である。
ここで説明する実施の形態4は、前述した実施の形態1から実施の形態3の構成に加えて、速度指令発生装置に、エレベーター(かご1)の走行中に呼び登録等により新たに目的階が設定された場合に、当該新たに設定された目的階に対して滑らかに減速停止を行うための距離が確保できないときは当該目的階への減速停止を抑制する減速停止抑制手段を設けるようにしたものである。
すなわち、速度指令発生装置10には図示しない減速停止抑制手段が設けられており、この減速停止抑制手段は図13に示すフローに従って動作する。
まず、ステップS1301において、減速停止抑制手段は、かご1の走行中に呼び登録等により新たに目的階が設定登録されたか否かについて監視を行っており、走行中に新たに目的階が登録されたことが確認されると、ステップS1302へと移行する。
このステップS1302においては、減速停止抑制手段は当該登録された目的階と仮想階との間の距離Sfを算出する。そして、ステップS13へと移って、先のステップS1302において算出した距離Sfと最小移動距離Lmとの比較を行い、距離Sfが最小移動距離Lmより大きいか否かについて確認を行う。
この確認において、距離Sfが最小移動距離Lmより大きいことが確認された場合には、減速停止抑制手段は当該登録された目的階への減速停止を禁止する。そして、ステップS1305へと至り一連の動作フローは終了する。
一方、ステップS1303の確認において、距離Sfが最小移動距離Lmより大きいことが確認されない場合、すなわち、距離Sfが最小移動距離Lm以下であることが確認された場合には、ステップS1304へは移行せずにステップS1303から直接ステップS1305へと至り一連の動作フローは終了する。
なお、ステップS1304において当該登録された目的階への減速停止を禁止された後、かご1が既に登録済みである目的階へ到着・停止した後に当該登録された目的階を対象とする減速停止の禁止が解除される。
以上のように構成されたエレベーターの制御装置においては、実施の形態1から実施の形態3と同様の効果を奏することができるのに加えて、かごの走行中に新たに目的階が設定された場合に、かごの現在位置から新たに設定された目的階までの距離と最小移動距離とに基づいて、新たに設定された目的階への減速停止を抑制するか否かを判定する減速停止抑制手段をさらに備えたことで、最小移動距離Lmを確保できない目的階への減速停止を禁止することができ、乗り心地悪化につながる速度指令を発生されることを未然に防止することが可能で、乗り心地が良好である。
1 かご
2 釣合い重り
3 巻上電動機
4 駆動綱車
5 主ロープ
6 制御装置本体
7 階床
8 パルス発生器
9 パルス計数器
10 速度指令発生装置
11 正規残距離演算装置
12 仮想階演算装置
13 仮想残距離演算装置
14 残距離選択装置
15 速度切替検知装置

Claims (6)

  1. エレベーターのかごの走行に対応して発生するパルス数を計数し、前記パルス数の計数値に基づいて前記かごの位置から目的階までの残距離である正規残距離を演算する正規残距離演算手段を具備するエレベーターの制御装置であって、
    前記かごの速度を最高速度から前記最高速度より低い所定の低下速度へと昇降路の所定の速度低下位置において減速させるために、前記速度低下位置及び前記低下速度に基づいて、仮想の階床である仮想階の位置を演算する仮想階演算手段と、
    前記パルス数の計数値に基づいて、前記かごの位置から前記仮想階演算手段が演算した前記仮想階までの残距離である仮想残距離を演算する仮想残距離演算手段と、
    前記正規残距離演算手段が演算した前記正規残距離及び前記仮想残距離演算手段が演算した前記仮想残距離のうち、いずれか一方の残距離を選択して出力する残距離選択手段と、
    前記残距離選択手段により出力された残距離に基づいて速度指令を発生させる速度指令発生手段と、を備えたことを特徴とするエレベーターの制御装置。
  2. 前記速度指令発生手段から出力される前記速度指令が前記低下速度にまで下がったことを検知すると速度切替信号を出力する速度切替検知手段をさらに備え、
    前記仮想残距離演算手段は、前記速度切替検知手段により出力された前記速度切替信号を受信した後は、前記仮想残距離の演算を停止し、
    前記速度指令発生手段は、前記残距離選択手段により出力された残距離及び前記速度切替検知手段により出力された前記速度切替信号に基づいて速度指令を発生させることを特徴とする請求項1に記載のエレベーターの制御装置。
  3. 前記仮想階演算装置は、所定の最小移動距離を算出し、前記仮想階から前記かごの進行方向の最寄階までの距離を算出し、前記進行方向の最寄階までの距離と前記最小移動距離に基づいて前記仮想階を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のエレベーターの制御装置。
  4. 前記仮想階演算装置は、前記仮想階から前記かごの進行方向とは逆方向の最寄階までの距離を算出し、前記進行方向とは逆方向の最寄階までの距離にさらに基づいて前記仮想階を決定することを特徴とする請求項3に記載のエレベーターの制御装置。
  5. 前記かごの出発位置から前記速度低下位置までの距離に基づいて、前記速度指令が前記低下速度を超えないように制限するか否かを判定する低下速度超走行可否判定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のエレベーターの制御装置。
  6. 前記かごの走行中に新たに目的階が設定された場合に、前記かごの現在位置から前記新たに設定された目的階までの距離と所定の最小移動距離とに基づいて、前記新たに設定された目的階への減速停止を抑制するか否かを判定する減速停止抑制手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のエレベーターの制御装置。
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