JP2011101846A - エンドトキシンの除去方法及びエンドトキシン吸着体 - Google Patents

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【課題】少量のエンドトキシン含有溶液からでもエンドトキシンの除去を簡便に高効率で行うことのできる方法を提供する
【解決手段】アパタイト/コラーゲン多孔体をエンドトキシン含有溶液と接触させることによりエンドトキシンを吸着除去する方法、及びアパタイト/コラーゲン多孔体からなり、湿潤状態でスポンジ状のブロック体であるエンドトキシン吸着体。
【選択図】なし

Description

本発明は、アパタイト/コラーゲン多孔体からなるエンドトキシン吸着体、及びそれを用いたエンドトキシンの除去方法に関する。
エンドトキシンはグラム陰性細菌の外膜構成成分であり、生体に対して多様な生理活性を示す。特に、エンドトキシンはパイロジェンの中でも比較的強い発熱原とされており、発熱、下痢、出血、白血球の変動等を引き起こすことが知られている。しかし、エンドトキシンに対する抗毒素は生体内で形成されにくく、形成されたとしてもエンドトキシンを必ずしも効果的に不活化することができない。
エンドトキシンの構造成分はリポポリサッカライドであり、例えば、医薬品の生産プロセス中に生息する細菌が菌体内に生産し死滅することによって混入する。エンドトキシンの除去方法としては、従来から活性炭やイオン交換体による吸着法、膜やメンブレンフィルター等を使う濾過法、高温・高圧処理又は酸・アルカリを使う分解法が知られている。
医薬品の製造過程等のような工業スケールでのエンドトキシン除去について、近年様々な吸着体及び方法が開示されている。例えば、特公平6-16843号(特許文献1)は、側鎖及び/又は主鎖の末端に脂肪族基及び/又はアリールを有する修飾基を含むポリアミノ酸より構成される吸着体を開示しており、特開平1-127039号(特許文献2)は、ポリアミノ酸球状粒子の担体にイミダゾール誘導体を結合させてなる吸着体を開示している。また、特開2002-263486号(特許文献3)は、塩基性物質を固定化した吸着体のポアサイズをコントロールしてエンドトキシンを選択的に吸着する方法を開示している。
しかしながら、これらの吸着体を用いたエンドトキシンの除去は、粒状の吸着体を充填したカラムに目的の溶液を流しエンドトキシンを吸着除去するクロマトグラフィー法、又は目的の溶液中に吸着体粒子を添加し攪拌後、前記吸着体粒子を濾過、遠心分離等の方法により分離除去するバッチ法で行われている。このような方法は工業的に行われるような大量の溶液を一度に処理する場合には便利だが、高価な装置や煩雑な操作が必要であるため、臨床現場で日常行われる少量の溶液(医療器具に使用する水等)の処理には向かず、簡便な方法が望まれている。
特公平6-16843号公報 特開平1-127039号公報 特開2002-263486号公報
従って、本発明の目的は、少量のエンドトキシン含有溶液からでもエンドトキシンの除去を簡便に高効率で行うことのできるエンドトキシン吸着体、及びエンドトキシンの除去方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、アパタイト/コラーゲン複合体繊維からなる多孔体がエンドトキシン吸着能に優れ、かつ吸着体として使用したときの取り扱いが簡便であることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明のエンドトキシンを吸着除去する方法は、アパタイト/コラーゲン多孔体をエンドトキシン含有溶液と接触させることを特徴とする。
前記アパタイト/コラーゲン多孔体をエンドトキシン含有溶液に浸漬し、エンドトキシンを前記多孔体に吸着させた後、前記多孔体を取り出すのが好ましい。
前記アパタイト/コラーゲン多孔体は5 mm×5 mm×5 mm〜50 mm×50 mm×50 mmの大きさを有するブロック体として使用するのが好ましい。
前記多孔体はガンマ線を照射されたものであるのが好ましい。
本発明のエンドトキシン吸着体は、アパタイト/コラーゲン多孔体からなり、湿潤状態でスポンジ状のブロック体であることを特徴とする。
前記ブロック体は5 mm×5 mm×5 mm〜50 mm×50 mm×50 mmの大きさを有するのが好ましい。
本発明のエンドトキシンを吸着除去する方法は、アバタイト/コラーゲン多孔体からなるスポンジ状のブロック体を吸着体として使用するため、エンドトキシン含有溶液を吸収・排出しやすく、少量の溶液からも簡単にエンドトキシンを除去することができる。また、カラムを使用するクロマトグラフィー法に比べて、高価な装置や煩雑な操作が不要である。
[1] アパタイト/コラーゲン多孔体
本発明ではエンドトキシンの吸着体として、アパタイト/コラーゲン多孔体を使用する。前記多孔体はアパタイト/コラーゲン複合体繊維からなり、気孔率90〜95%、平均気孔径10〜500μm程度であるのが好ましい。
アパタイト/コラーゲン多孔体は、未焼成のハイドロキシアパタイトであり、マグネシウムイオンやリン酸イオン等の交換機能を有し、エンドトキシンのリピドA部分のリン酸基がアパタイトに吸着するため優れたエンドトキシン吸着能を有している。アパタイト/コラーゲン多孔体は湿潤状態でスポンジ状であるためエンドトキシン含有溶液との接触面積が大きく、バッチ法でもエンドトキシンを効率よく除去することができる。
特に微量のエンドトキシン含有溶液を処理する場合、スポンジ状でない多孔体を吸着体として用いると、吸着体がエンドトキシン含有溶液の大半を吸収し、十分な溶液量を回収できない恐れがある。本発明の湿潤状態でスポンジ状の吸着体を用いた場合、一旦吸収したエンドトキシン含有溶液を、ブロック体を押し潰すことにより容易に排出可能であり、エンドトキシン除去後も十分な溶液量を確保できる。
アパタイト/コラーゲン多孔体はブロック体で使用するのが好ましい。ブロック体としては、エンドトキシン含有溶液から容易に回収できる大きさのものであれば良く、5 mm×5 mm×5 mm〜50 mm×50 mm×50 mmの大きさを有するものが好ましく、10 mm×10 mm×10 mm〜10 mm×20 mm×30 mmの大きさのものがより好ましい。ブロック体は、必ずしも立方体又は直方体である必要はなく、円柱、三角柱、六角柱等の形状、平板状、球状、楕円状等であっても良い。
[2] アパタイト/コラーゲン多孔体の製造方法
(1) アパタイト/コラーゲン複合体繊維
(a) 原料
アパタイト/コラーゲン複合体繊維は、コラーゲン、リン酸又はその塩、及びカルシウム塩を原料とする。コラーゲンとしては特に限定されず、動物等から抽出したものを使用できる。なお由来する動物の種、組織部位、年齢等は特に限定されない。一般的には哺乳動物(例えばウシ、ブタ、ウマ、ウサギ及びネズミ)や鳥類(例えばニワトリ)の皮膚、骨、軟骨、腱、臓器等から得られるコラーゲンが使用できる。また魚類(例えばタラ、ヒラメ、カレイ、サケ、マス、マグロ、サバ、タイ、イワシ及びサメ)の皮、骨、軟骨、ひれ、うろこ、臓器等から得られるコラーゲン様蛋白を使用してもよい。なおコラーゲンの抽出方法も特に限定されず、一般的な抽出方法によることができる。また動物組織から抽出したものではなく、遺伝子組み替え技術によって得られたコラーゲンを使用してもよい。
リン酸又はその塩(以下単に「リン酸(塩)」という)としてはリン酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム及びリン酸二水素カリウムが挙げられる。またカルシウム塩としては炭酸カルシウム、酢酸カルシウム及び水酸化カルシウムが挙げられる。リン酸塩及びカルシウム塩はそれぞれ均一な水溶液又は懸濁液の状態で添加するのが好ましい。
使用するアパタイト原料[リン酸(塩)及びカルシウム塩]とコラーゲンとの質量比により、生成物中のアパタイト/コラーゲンの質量比を制御できる。このため使用するアパタイト原料とコラーゲンとの質量比は、目的とするアパタイト/コラーゲン複合体繊維の組成比により適宜決定する。アパタイト/コラーゲン複合体繊維中のアパタイト/コラーゲンの比率は9/1〜6/4(質量比)であるのが好ましく、約8/2(質量比)であるのが特に好ましい。
(b) 溶液の調製
リン酸(塩)水溶液及びカルシウム塩水溶液の濃度は、リン酸(塩)とカルシウム塩とが所望の配合比にあれば特に限定されないが、後述する滴下操作の都合上、リン酸(塩)水溶液の濃度は50〜250 mM程度、カルシウム塩水溶液の濃度は200〜600 mM程度であるのが好ましい。コラーゲンは一般的にはリン酸水溶液の状態で、前述のリン酸(塩)水溶液にあらかじめ加える。コラーゲンのリン酸水溶液は、コラーゲンの濃度が0.5〜1質量%及びリン酸の濃度が10〜30 mMであるのが好ましい。さらに好ましくは、コラーゲンの濃度は0.8〜0.9質量%及びリン酸の濃度は15〜25 mMであり、特に好ましくは、コラーゲンの濃度は約0.85質量%及びリン酸の濃度は約20 mMである。
(c) アパタイト/コラーゲン複合体繊維の製造
添加すべきカルシウム塩水溶液の量とほぼ同量の(好ましくは添加すべきカルシウム塩水溶液の0.5〜2倍、より好ましくは0.8〜1.2倍)の水をあらかじめ反応容器に入れ、40℃程度に加熱する。そこに、コラーゲンを含有するリン酸(塩)水溶液及びカルシウム塩水溶液を同時に滴下する。滴下条件によって、合成するアパタイト/コラーゲン複合体繊維の長さを制御できる。滴下速度は10〜50 ml/min程度であるのが好ましく、反応溶液は50〜300 rpm程度で撹拌するのが好ましい。滴下中、反応溶液中のカルシウムイオン濃度を3.75 mM以下、かつリン酸イオン濃度を2.25 mM以下に維持するのが好ましい。これにより、反応溶液のpHは8.9〜9.1に保たれる。カルシウムイオン及び/又はリン酸イオンの濃度が上記範囲を超えると、複合体の自己組織化が妨げられる。本明細書中「自己組織化」とは、コラーゲン繊維に沿って、ハイドロキシアパタイト(アパタイト構造を有するリン酸カルシウム)が生体骨特有の配向をしていること、すなわちハイドロキシアパタイトのC軸がコラーゲン繊維に沿うように配向していることを意味する。以上の滴下条件により、アパタイト/コラーゲン複合体繊維は、多孔体の原料として好適な1 mm以下の長さで、自己組織化したものとなる。
滴下終了後、スラリー状になったアパタイト/コラーゲン複合体繊維の分散物を凍結乾燥する。凍結乾燥は、−10℃以下に凍結した状態で真空引きし、急速に乾燥させることにより行う。
(2) アパタイト/コラーゲン複合体繊維を含む分散物の調製
アパタイト/コラーゲン複合体繊維に水、リン酸水溶液等を加えて撹拌し、ペースト状の分散物を調製する。この分散物が含有する液体の含有量は、80〜99体積%であるのが好ましく、90〜97体積%であるのがより好ましい。つまり、複合体繊維の含有量は、1〜20体積%であるのが好ましく、3〜10体積%であるのがより好ましい。
製造する多孔体の気孔率P(%)は分散物中のアパタイト/コラーゲン複合体繊維と液体との体積比に依存し、下記式(1):
P = Y /(X+Y)×100 ・・・ (1)
[ただし、Xは分散物中のアパタイト/コラーゲン複合体繊維の体積、Yは分散物中の液体の体積を示す。]により表される。このため加える液体の量によって、多孔体の気孔率Pを制御することができる。液体を加えた後で分散物を撹拌することにより、アパタイト/コラーゲン複合体繊維が切断され繊維長の分布幅が大きくなるため、製造する多孔体の強度が向上する。
複合体の分散物にバインダーとなるコラーゲンを加え、さらに撹拌する。コラーゲンの添加量は、アパタイト/コラーゲン複合体繊維100質量%に対して、1〜10質量%であるのが好ましく、3〜6質量%であるのがより好ましい。複合体の場合と同様に、コラーゲンはリン酸水溶液の状態で加えるのが好ましい。コラーゲンのリン酸水溶液の濃度等は特に限定されないが、実用的にはコラーゲンの濃度が0.8〜0.9質量%(例えば0.85質量%)、リン酸の濃度が15〜25 mM(例えば20 mM)である。
(3) 分散物のゲル化
コラーゲンのリン酸(塩)水溶液の添加により酸性となっている分散物に、水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを約7に調節する。分散物のpHは6.8〜7.6とするのが好ましく、7.0〜7.4とするのがより好ましい。分散物のpHを6.8〜7.6とすることにより、バインダーとして加えたコラーゲンの繊維化を促進することができる。
分散物にリン酸緩衝溶液(PBS)の2.5〜10倍程度の濃縮液を加えて撹拌し、イオン強度を0.2〜0.8に調整する。より好ましいイオン強度は、PBSと同程度のイオン強度(0.2〜0.8程度)である。分散物のイオン強度を大きくすることにより、バインダーとして加えたコラーゲンの繊維化を促進することができる。
分散物を成形型に入れた後、35〜43℃の温度に保持することにより分散物をゲル化させる。保持温度は35〜40℃であるのがさらに好ましい。分散物を十分にゲル化させるため、保持する時間は0.5〜3.5時間であるのが好ましく、1〜3時間であるのがより好ましい。分散物の温度を35〜43℃に保持することにより、バインダーとして加えたコラーゲンが繊維化し、分散物がゲル状となる。分散物がゲル化することにより、アパタイト/コラーゲン複合体繊維が分散物中で沈降するのを防ぐことができ、均一な多孔体を製造することが可能となる。
(4) ゲル体の凍結及び乾燥
アパタイト/コラーゲン複合体繊維を含むゲル体を凍結させる。目的とするアパタイト/コラーゲン多孔体の平均気孔径は、ゲル体の凍結に要する時間に依存する。凍結する温度は−100〜0℃であるのが好ましく、−100〜−10℃であるのがより好ましく、−80〜−20℃であるのが特に好ましい。−100℃未満では、得られるアパタイト/コラーゲン多孔体の平均気孔径が小さ過ぎる。0℃超では、凍結しないか凍結に長時間を要する上、多孔体の平均気孔径が大き過ぎる。
凍結させたゲル体は、凍結乾燥により乾燥し多孔体とする。つまり、アパタイト/コラーゲン複合体繊維の場合と同様に、−10℃以下に凍結した状態で真空引きし、急速に乾燥させる。凍結乾燥は分散物が十分に乾燥するまで行えばよく時間は特に制限されないが、一般的には24〜72時間程度である。
(5) コラーゲンの架橋
コラーゲンの架橋は物理的架橋(ガンマ線、紫外線、熱脱水、電子線等を用いる方法)、化学的架橋(架橋剤や縮合剤を用いる方法)のいずれを用いてもよい。化学的架橋の場合、架橋剤の溶液に多孔体を浸すことにより行う。架橋剤としては、アルデヒド系架橋剤(グルタールアルデヒド及びホルムアルデヒド等)、イソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネート等)、カルポジド系架橋剤(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等)、ポリエポキシ系架橋剤(エチレングリコールジエチルエーテル等)、トランスグルタミナーゼ等が挙げられる。これらの架橋剤のうち、架橋度の制御しやすさや、得られる多孔体の生体適合性の面からグルタールアルデヒドが特に好ましい。
グルタールアルデヒドを用いて架橋する場合、グルタールアルデヒド溶液の濃度は、0.005〜0.015質量%であるのが好ましく、0.005〜0.01質量%であるのがより好ましい。グルタールアルデヒド溶液の溶媒としてエタノール等のアルコールを使用すると、コラーゲンの架橋と同時に多孔体の脱水を行うことができる。脱水を架橋と同時に行うことにより、アパタイト/コラーゲン複合体繊維が収縮した状態で架橋反応を起こさせ、生成する多孔体の弾性を向上させることができる。
架橋処理後、未反応のグルタールアルデヒドを除去するため2質量%程度のグリシン水溶液に多孔体を浸漬し、次いで水洗する。さらにエタノールに浸漬することにより多孔体を脱水した後、室温で乾燥させる。
熱脱水架橋は、凍結乾燥後の多孔体を100〜160℃及び0〜100 hPaの真空オーブン中に10〜12時間保持することにより行う。
(6)ガンマ線処理
動物由来のコラーゲンを使用したアパタイトコラーゲン多孔体は、それ自体にエンドトキシンを含んでいる可能性があるため、架橋後の多孔体に16〜35 kGy[単位はGy(グレイ)]の線量のガンマ線を照射するのが好ましい。ガンマ線照射によりエンドトキシンの活性を低下させることができる。ガンマ線線量が高ければ高いほど、エンドトキシンの活性を低下させることができるが、アパタイト/コラーゲン多孔体の弾力性がなくなってしまい、ブロック形状を保持できなくなる。そのため、照射線量は35 kGy以下であるのが好ましい。16 kGy未満の場合、エンドトキシンの不活性化が不十分となる。ガンマ線の照射線量は20〜30 kGyであるのがより好ましく、22〜25 kGyであるのがさらに好ましい。線源としてはコバルト60が一般的に用いられる。照射方法としては、ベルトコンベアーによって照射室に入り、一定時間後に外へ出て、そのまま再度照射室に入るという動作を一定の吸収線量になるまで繰り返すインクリメンタル照射や、照射室に置いて照射を受ける静置照射等がある。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(A) アパタイト/コラーゲン複合体の合成
120 mMのリン酸水溶液200 mlに、コラーゲンのリン酸水溶液(コラーゲン濃度:0.56質量%、リン酸濃度:20 mM)を2020 g加えて撹拌し、希釈コラーゲンリン酸水溶液を調製した。他方、400 mMの水酸化カルシウム懸濁液を1123 ml調製した。反応容器に200 mlの純水を入れ、38℃に加熱した。この反応容器に希釈コラーゲンリン酸水溶液と水酸化カルシウム懸濁液とをそれぞれ約30 ml/分の速度で同時に滴下し、得られた反応溶液を200 rpmで撹拌して、アパタイト/コラーゲン複合体繊維を含むスラリーを作製した。滴下中の反応溶液のpHは8.9〜9.1に保持した。アパタイト/コラーゲン複合体を含むスラリーは凍結乾燥した。生成したアパタイト/コラーゲン複合体の繊維長は概ね1 mm以下であった。アパタイト/コラーゲン複合体中のアパタイト/コラーゲンの配合比は、質量基準で8/2であった。
(B) アパタイト/コラーゲン架橋多孔体の作製
凍結乾燥したアパタイト/コラーゲン複合体1gにPBS(リン酸緩衝生理食塩水)6.3 mlを加えて撹拌し、ペースト状の分散物とした。このペースト状分散物にコラーゲンのリン酸水溶液1.7 gを加えて撹拌した後、1 NのNaOH水溶液をpHがほぼ7になるまで加え分散物を得た。分散物中のアパタイト/コラーゲン複合体の濃度は5体積%であった。
得られた分散物を成形型に入れ、37℃で2時間保持してゲル化させることにより、ゼリー状の成形体を得た。この成形体を−20℃で凍結し、次いで凍結乾燥機を用いて乾燥させた後、140℃で熱脱水架橋することにより、アパタイト/コラーゲン多孔体を得た。
(c)ガンマ線処理
得られたアパタイト/コラーゲン多孔体を10 mm×10 mm×10 mmの大きさのブロックに切り出し、25 kGyの線量のガンマ線を照射した。このブロック体は0.16 g(ハイドロキシアパタイト:0.128 g、コラーゲン:0.032 g)であった。
[エンドトキシン吸着除去試験]
アパタイト/コラーゲン多孔体のエンドトキシン吸着除去性能を測定した。エンドトキシン標準品を希釈して、1.0 EU/mlの濃度のエンドトキシン含有溶液を調整した。パイロジェンフリーのナイロン製の袋にこのエンドトキシン含有溶液を2 ml入れ、その中に前記ガンマ線照射したアパタイト/コラーゲン多孔体のブロック体を入れた。多孔体にエンドトキシン含有溶液を吸収させた後、袋の外側から多孔体を押しこみ、吸収させた溶液を排出する操作を5回繰り返し(合計時間5分間)、最終的に排出させた溶液を試験液とした。試験液のエンドトキシン濃度を、エンドトキシン測定装置(トキシノメーターET2000:和光純薬)を用いて測定した。結果を表1に示す。
比較例1
水酸化カルシウムとリン酸とを混合して合成したハイドロキシアパタイトを、700℃で4時間焼成しハイドロキシアパタイト粉末を得た。実施例1と同様にしてガンマ線処理したハイドロキシアパタイト粉末0.128 gを、実施例1と同様にして1.0 EU/mlの濃度に調節したエンドトキシン溶液に入れ、5分間攪拌した。その後、ハイドロキシアパタイト粉末をフィルターで除去し、回収した試験液のエンドトキシン濃度を実施例1と同様にして測定した。ハイドロキシアパタイト粉末を濾過する工程が加わったため、実施例1と比較して作業が煩雑であった。結果を表1に示す。
参考例1
50 kGyの線量のガンマ線を照射したアパタイト/コラーゲン多孔体(10 mm×10 mm×10 mm)を用いて実施例1と同様にしてエンドトキシン吸着除去試験を実施した。しかし、排出作業時にアパタイト/コラーゲン多孔体が崩壊し、測定不能であった。
Figure 2011101846

Claims (6)

  1. アパタイト/コラーゲン多孔体をエンドトキシン含有溶液と接触させることによりエンドトキシンを吸着除去する方法。
  2. 請求項1に記載のエンドトキシンの除去方法において、前記アパタイト/コラーゲン多孔体をエンドトキシン含有溶液に浸漬し、エンドトキシンを前記多孔体に吸着させた後、前記多孔体を取り出すことを特徴とするエンドトキシンの除去方法。
  3. 請求項1又は2に記載のエンドトキシンの除去方法において、前記アパタイト/コラーゲン多孔体は5 mm×5 mm×5 mm〜50 mm×50 mm×50 mmの大きさを有するブロック体として使用することを特徴とするエンドトキシンの除去方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエンドトキシンの除去方法において、前記多孔体はガンマ線を照射されたものであることを特徴とするエンドトキシンの除去方法。
  5. アパタイト/コラーゲン多孔体からなり、湿潤状態でスポンジ状のブロック体であることを特徴とするエンドトキシン吸着体。
  6. 請求項5に記載のエンドトキシン吸着体において、前記ブロック体が5 mm×5 mm×5 mm〜50 mm×50 mm×50 mmの大きさを有することを特徴とするエンドトキシン吸着体。
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