JP2011101548A - モータ模擬装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過渡時や磁気飽和によってインダクタンスが変化する場合においても、正確にモータを模擬することができるモータ模擬装置を提供すること。
【解決手段】被試験インバータ2の出力は、モータ模擬装置9の出力に接続される。モータ模擬装置9において、インバータ1の出力はフィルタ81とリアクトル3を介して出力される。フィルタ電圧指令生成器622は、電流検出器51及びモータ入力電圧検出器52の出力、モータ回転速度演算器616の出力ω、d軸位相演算器611の出力θ、モータパラメータ設定器623の出力、インダクタンス記憶器630の出力により、フィルタ81のコンデンサCの電圧指令vcdr、vcqrを求める。電圧制御器620は、電圧検出器53の出力、上記θ、電圧指令vcdr、vcqrによりフィルタ81のコンデンサCの電圧が上記電圧指令vcdr、vcqrになるようにインバータ1を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータを駆動するインバータを試験するための装置に関し、特に、インバータの負荷としてモータの代わりに接続され、モータを模擬するモータ模擬装置に関するものである。
モータを負荷とするインバータの試験のために、該インバータの負荷としてモータの代わりに接続されるモータ模擬装置が開発されている(例えば特許文献1参照)。このモータ模擬装置は、模擬するモータのパラメータの設定だけで、任意の特性を持つモータを任意の状態で模擬運転することができるため、前記インバータのさまざまな運転状態における試験が簡単な操作で可能となる。
永久磁石同期電動機を模擬するモータ模擬装置の従来技術の一例を図4に示し、この図に基づいて従来技術について説明する。
モータ模擬装置9の出力は、その端子台7を介して被試験インバータ2の出力に接続されている。モータ模擬装置9において、インバータ1の出力は、フィルタ81と、トランス82とリアクトル3を介して端子台7に接続され出力される。リアクトル3の電流を検出する電流検出器51の出力は電圧指令生成器621に入力される。モータパラメータ設定器623には、予め、R、Ld、Lq、φ(R:模擬するモータの巻線抵抗、Ld、Lq:模擬するモータの各軸のインダクタンス、φ:模擬するモータの永久磁石による電機子鎖交磁束)等の模擬するモータのパラメータ等が設定されている。
電圧指令生成器621では、モータパラメータ設定器623の出力のモータパラメータとリアクトル3のインダクタンスL2を用いて、以下の式1、式2により、d軸とそれに直交するq軸の電圧成分である回転座標上の電圧指令vcdr、vcqrを求めて出力する。なお、以下の式1、式2は、後述するように式3−式6から導かれた式である。
vcdr=R・id−ω・iq・(Lq−L2) ・・・式1
vcqr=R・iq+ω・id・(Ld−L2)+ω・φ・・・式2
ここで、Rは、模擬するモータの巻線抵抗であり、Ld、Lqは模擬するモータの各軸のインダクタンスであり、φは模擬するモータの永久磁石による電機子鎖交磁束であり、これらはモータパラメータ設定器623の出力である。
また、ωはモータ回転速度演算器616の出力であるモータ電気角角周波数、id,iqは電流検出器51の出力の電流を2軸に変換したia、ibをθで回転座標変換した、d軸とそれに直交するq軸の電流成分である。
上記θは、モータ回転速度演算器616の出力ωを時間積分するd軸位相演算器611の出力である。
上記θと、電圧指令生成器621が出力する電圧指令vcdr、vcqrは、電圧制御器620に与えられる。また、電圧検出器53で検出したリアクトル3とトランス82との接続点の電圧が2軸に変換され、この2軸に変換した電圧vca、vcbが電圧制御器620に与えられ、電圧制御器620は、リアクトル3とトランス82の接続点の電圧が式1、式2で示される電圧指令vcdr、vcqrになるように制御する。
上記式1、式2は次のように得られる。
回転座標上のモータの特性式である式3と式4を以下に示す。
vd=R・id+Ld・p(id)−ω・Lq・iq ・・・式3
vq=R・iq+Lq・p(iq)+ω・Ld・id+ω・φ ・・・式4
なお、R、Ld、Lqは、それぞれ上記した模擬するモータの巻線抵抗、模擬するモータの各軸のインダクタンスであり、φは模擬するモータの永久磁石による電機子鎖交磁束、ωはモータ電気角角周波数、id,iqは、前記2軸に変換した電流ia、ibをθで回転座標変換した電流である。また、P( )は( )内の時間微分を意味し、vd、vqは端子台7の電圧をθで回転座標変換したものである。
また、リアクトル3の特性式である式5、式6を、以下に示す。
vd=R2・id−ω・L2・iq+L2・p(id)+vcd・・・式5
vq=R2・iq+ω・L2・id+L2・p(iq)+vcq・・・式6
ここで、R2はリアクトル3の抵抗分であり、vcd、vcqはリアクトル3のトランス82側の電圧をθで回転座標変換したものである。
前記式1は、式3のvdに式5を代入し、時間微分項であるP( )の項を無視し、R2=0とし、vcdをvcdrと書き直して導き出されたものであり、前記式2は式4のvqに式6を代入して同様にして導出されたものである。
すなわち、式1、式2により演算される電圧vcdr、vcqrは、モータの特性式とリアクトル3の特性式から導き出された、リアクトル3とトランス82の接続点の電圧を示しており、電圧制御器620により、リアクトル3とトランス82の接続点の電圧が式1、式2で示される値になるように制御することにより、被試験インバータ2からモータ模擬装置9を見た特性を、模擬すべきモータが接続されたのと同様な特性とすることができる。
電圧制御器620では、図5に示されるように、回転座標変換器620aにおいて、上記電圧vca、vcbをθで回転座標変換して電圧vcd、vcqを得る。そして、この電圧vcd、vcqが、前記電圧指令vcdr、vcqrにそれぞれ追従するように、上記電圧vca、vcbと電圧指令vcdr、vcqrの偏差を例えばPID演算して増幅し、回転座標上の電圧指令vidr、viqrを求める。
この電圧指令vidr、viqrは逆回転座標変換器620bで逆回転座標変換されて静止座標に変換され、電圧指令viar、vibrとしてインバータ1へ出力される。
インバータ1は、電圧制御器620出力の上記電圧指令viar、vibr相当の電圧をフィルタ81に出力し、フィルタ81の出力はトランス82、リアクトル3を介して端子台7から出力される。
以上により、被試験インバータ2から端子台7をみれば、あたかも端子台7に模擬モータが接続されているのと等価と見なされるようになる。
特開2003−153547号公報
図4に示す従来技術において、被試験インバータ2により、例えば端子台7の電圧であるvdがΔVだけ急変した場合を考えると、模擬されるモータに流れる電流はΔV/Ld(Ld:模擬するモータのインダクタンス)の傾きで変化するが、模擬装置のリアクトル3に流れる電流はΔV/L2(L2:リアクトル3のインダクタンス)の傾きでしか変化しない。
従ってL2とLdの値が異なっていれば、模擬装置は模擬されるモータを過渡状態で模擬することができないことになる。その理由により従来技術のリアクトル3のインダクタンスL2は模擬されるモータのインダクタンスLdやLqに略等しい値としなければならず、もしモータパラメータ設定器623に設定するLdやLqの値を変更した場合はリアクトル3を交換する必要がある。
また、LdとLqの値は模擬するモータによっては大きくかけ離れた値を持つことがあるため両者に略等しいインダクタンスL2を選択することができなくなる場合もある。
リアクトル3のインダクタンスは磁気飽和によって流れる電流の大きさに応じて変化するが、式1や式2の演算にその代表値のみを用いたのであれば、実際のリアクトル3のインダクタンスを反映できていないことになるので、従来技術の模擬装置は定常状態でも模擬されるモータを正確に模擬できないことになる。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、モータを正確に模擬することができ、被試験インバータの出力電圧を急変された場合のような過渡状態時においても、その電圧変動を迅速に検出して、電圧指令に反映せることができるモータ模擬装置を提供することを目的とする。
本発明では、図1に示すように前記電圧指令生成器620に代えてフィルタ電圧生成器622を設け、被試験インバータ2が出力する電圧を急変させた場合のような過渡状態において、モータ模擬装置入力端子7の電圧を検出するモータ入力電圧検出器52の出力をフィルタ電圧指令生成器620に入力する。これにより、フィルタ電圧指令生成器620ではその電圧変動をいち早く検知して電圧指令に反映することが可能となる。
例えば、vdがΔVだけ急変した場合を考える。
その場合、模擬されるモータに流れる電流はΔV/Ldの傾きで変化する。模擬装置のリアクトル3に流れる電流も同じ傾きで変化させるには、ΔVの変化を受けてフィルタ電圧指令をΔVcだけ急変させればよい。そうするとリアクトル3に流れる電流の傾きは(ΔV−ΔVc)/L2となり、模擬されるモータに流れる電流の傾きΔV/Ldと一致させるには、ΔVc=ΔV・(1−L2/Ld)とすればよいことになる。
従って、リアクトル3のインダクタンスL2と模擬されるモータのパラメータであるところのLd,Lqとが大きくかけ離れた値であっても、過渡状態において正確にモータを模擬することが可能となる。
なお、従来技術の電圧指令を求めるための式1や式2の代りに、式3〜6より電流微分項を無視せずに導出した以下の式A、式Bを用いた場合でも、電流検出器51の検出遅れや電圧制御器620による電圧制御遅れの存在のために、過渡状態の模擬精度は改善するが、その改善効果が低いことがシミュレーションによって明らかになっている。
vcdr=(R−R2)・id−ω・(Lq−L2)・iq+(Ld−L2)・p(id) ・・・式A
vcqr=(R−R2)・iq+ω・(Ld−L2)・id+(Lq−L2)・p(iq)+ω・φ ・・・式B
例えば、p(id)>0でL2>Ldの場合、vcdはステップ的に負の方向に変化する必要があるが、前記制御遅れで変化が遅れる。
そうするとL2>Ldによりp(id)が小さくなり、vcdrの負の方向への変化が小さくなり、ますますvcdは負の方向への変化が遅くなり、ますますp(id)が小さくなるという悪循環となり、過渡状態の模擬精度の改善効果が低くなる。
本発明では、電流微分の代りにモータ入力電圧検出器の出力を用いることで、この悪循環を断ち切ることができて、過渡状態の模擬精度は制御遅れのみに依存することとなり、大きく改善する。
以上に基づき、本発明においては、前記問題点を次のように解決する。
(1)入力した電圧指令通りの電圧を出力するインバータと、該インバータの出力電圧を平滑化するフィルタと、該フィルタとモータ模擬装置入力端子間に接続されたリアクトルと、前記フィルタで平滑化された電圧の指令であるフィルタ電圧指令を出力するフィルタ電圧指令生成器と、前記フィルタの平滑化された電圧が前記フィルタ電圧指令に追従するような電圧指令を前記インバータに出力する電圧制御器とで構成され、前記モータ模擬装置入力端子から前記インバータ側をみた特性が模擬するモータと等価となるように動作するモータ模擬装置において、前記リアクトルの電流を検出する電流検出器と、前記モータ模擬装置入力端子の電圧を検出するモータ入力電圧検出器とを設ける。
前記フィルタ電圧指令生成器は、前記電流検出器の出力と前記モータ入力電圧検出器の出力とを入力し、前記リアクトルのインダクタンスと抵抗値、及び該電流検出器の出力と該モータ入力電圧検出器の出力を用いて、前記模擬するモータの電気的特性式に基づき前記フィルタ電圧指令を求める。
(2)上記(1)において、前記リアクトルのインダクタンスを記憶するインダクタンス記憶器を設け、前記フィルタ電圧指令生成器が、前記電流検出器の出力に応じて、該インダクタンス記憶器に記憶された前記リアクトルのインダクタンスを選択し、該インダクタンスを用いて前記フィルタ電圧指令を求める。
(3)上記(2)において、前記リアクトルのインダクタンスを該リアクトルに流れる電流の大きさに応じて計測するインダクタンス演算器を設け、該インダクタンス演算器出力を前記インダクタンス記憶器に記憶させる。
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)被試験インバータ2が出力する電圧を急変させた場合のような過渡状態において、その電圧変動をいち早く検知して、それをフィルタ電圧指令生成器において電圧指令に反映させているので、インバータの出力電圧を平滑化するフィルタとモータ模擬装置入力端子間に接続されたリアクトルのインダクタンスL2と模擬されるモータのパラメータであるところのLd、Lqとが大きくかけ離れた値であっても、正確にモータを模擬することが可能となる。
(2)電流値に応じて上記リアクトルのインダクタンスを記憶したインダクタンス記憶器を設け、電流値に応じてインダクタンス記憶器に記憶されたインダクタンス値を選択して出力するようにしたので、電流に応じたインダクタンス値を電圧指令演算に反映させることが可能となり、前記リアクトルのインダクタンスが磁気飽和などにより変化しても、正確にモータを模擬することができる。
(3)電流値に応じたインダクタンス値を上記インダクタンス記憶器に記憶させるため、インダクタンス記憶器に電流に応じたインダクタンスを計測して記憶させる必要がある。 本発明においては、模擬装置にインダクタンスを計測する機能を付加したので、前記リアクトルのインダクタンスを簡単に計測し記憶させることができる。
本発明の実施例のモータ模擬装置を示す図である。 フィルタ電圧指令生成器の演算ブロックを示す図である。 インダクタンスを計測し記憶する機能を示す説明図である。 従来のモータ模擬装置を示す図である。 電圧制御器の制御ブロックを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の1実施例のモータ模擬装置に被試験インバータを接続した図であり、以下はこの図に沿って説明する。
図1に示すモータ模擬装置9において、インバータ1の出力はフィルタ81とリアクトル3を介してモータ模擬装置入力端子7に接続されており、モータ模擬装置入力端子7には被試験インバータ2の出力が接続されている。モータ模擬装置9は、モータ模擬装置入力端子7からモータ模擬装置9をみた特性が模擬モータと等価となるように動作する。
以下、本発明の実施例のモータ模擬装置の動作原理について示す。
フィルタ81は、フィルタリアクトルL1とフィルタコンデンサCで構成され、電圧検出器53は前記フィルタコンデンサCの電圧を検出して2軸のvca、vcbに変換して出力する。
モータ回転速度演算器616はモータ電気角角周波数ωを求め、d軸位相演算器611でωを時間積分してd軸位相θを求める。
またモータパラメータ設定器623には、模擬するモータのパラメータであるR、Ld、Lq、φ(R:模擬するモータの巻線抵抗、Ld、Lq:模擬するモータの各軸のインダクタンス、φ:模擬するモータの永久磁石による電機子鎖交磁束)が予めユーザによって設定されている。
電流検出器51はリアクトル3の電流を検出して2軸のia、ibに変換して出力する。インダクタンス記憶器630は、リアクトル3に流れる電流の大きさに応じたリアクトル3のインダクタンスL2が記憶されており、電流検出器51の出力の電流値に応じたL2を出力する。
モータ入力電圧検出器52は、被試験インバータ2の出力電圧であるところのモータ模擬装置9の入力端子台7の電圧を検出して2軸のva、vbに変換して出力する。
フィルタ電圧指令生成器622は、モータ回転速度演算器616出力のωとd軸位相演算器611出力のθとモータパラメータ設定器623出力である上記R、Ld、Lq、φとインダクタンス記憶器630出力のL2と、電流検出器51出力のia、ibとモータ入力電圧検出器52出力のva、vb等を入力して、後述するようにフィルタコンデンサの電圧指令vcdr、vcqrを求めて電圧制御器620に出力する。
電圧制御器620には、電圧検出器53出力のvca、vcbと、d軸位相演算器611が出力する位相θと、フィルタ電圧指令生成器622が出力するフィルタコンデンサの電圧指令vcdr、vcqrが入力され、電圧制御器620は、フィルタ81のフィルタコンデンサCの電圧が上記電圧指令vcdr、vcqrになるようにインバータ1を制御する。
すなわち、電圧制御器は前記図5に示したように、回転座標変換器620aにおいて、上記電圧vca、vcbをθで回転座標変換して電圧vcd、vcqを得て、この電圧vcd、vcqと前記電圧指令vcdr、vcqrの偏差を例えばPID演算して増幅し、回転座標上の電圧指令vidr、viqrを求め、この電圧指令vidr、viqrを逆回転座標変換器620bで逆回転座標変換して、電圧指令viar、vibrとしてインバータ1へ出力する。
インバータ1は、前記したように、電圧制御器620出力の上記電圧指令viar、vibr相当の電圧をフィルタ81に出力し、フィルタ81の出力はリアクトル3を介して端子台7から出力される。
以下、上記フィルタ電圧生成器622における処理について説明する。
フィルタ電圧指令生成器622は、前述したようにモータ回転速度演算器616出力のωと、d軸位相演算器611出力のθと、モータパラメータ設定器623出力のR、Ld、Lq、φ(R:模擬するモータの巻線抵抗、Ld、Lq:模擬するモータの各軸のインダクタンス、φ:模擬するモータの永久磁石による電機子鎖交磁束)と、インダクタンス記憶器630出力のL2(リアクトル3のインダクタンス)と、電流検出器51出力のia、ibと、モータ入力電圧検出器52出力のva、vbと、R2(リアクトル3の抵抗分)と、に基づき、以下の式7、式8により、フィルタコンデンサの電圧指令vcdr、vcqrを求める。ここで、id、iqおよびvd、vqはそれぞれia、ibやva、vbをd軸位相θで回転座標変換したものである。
vcdr=vd−L2/Ld・vd+(R・L2/Ld−R2)・id−ω・(Lq・L2/Ld−L2)・iq ・・・・・・式7
vcqr=vq−L2/Lq・vq+(R・L2/Lq−R2)・iq+ω・(Ld・L2/Lq−L2)・id+ω・φ・L2/Lq ・・・・・・式8
なお、上記式7は式3をp(id)で解いて式5に代入してvcdで解いてvcdをvcdrと書き換えたものである。また、式8は式4と式6から同様に導出されたものである。すなわち、式3、式4をp(id)で解いくと、以下の式C,式Dが得られる。
pid=(vd−R・id+ω・Lq・iq)/Ld ・・・式C
piq=(vq−R・iq−ω・Ld・id−ω・φ)/Lq ・・・式D
この式Cのpidと式Dのpiqを前記式5、式6に代入し、vcd,vcqで解いて、vcd,vcqをそれぞれvcdr、vcqrと置き換えて整理することにより、上記式7、式8が得られる。
図2は、フィルタ電圧生成器622における処理をハードウェアで実現する場合の構成例を示すブロック図である。
同図において、M1〜M14は乗算器、D1〜D2は除算器、A1〜A7は加減算器、622aは電圧va,vbをθで回転座標変換して電圧vd,vqを得る回転座標変換器、622bは電流ia,ibをθで回転座標変換して電流id,iqを得る回転座標変換器である。
同図において、L2とLdが除算器D1に入力されてL2/Ldが演算され、L2/LdとRとR2と回転座標変換器622bが出力するIdが乗算器M1,M2、加減算器A1で演算され、式7の(R・L2/Ld−R2)・idの項が得られ、上記L2/Ldと、回転座標変換器622aが出力するvdが乗算器M5、加減算器A4で演算され、式7のvd−L2/Ld・vdの項が得られる。
さらに、上記L2/Ldと、Lq、ω、L2が乗算器M7、加減算器A5で演算され、その結果に回転座標変換器622bが出力するiq、ωが乗算器M8、M9で乗算されて式7のω・(Lq・L2/Ld−L2)・iqの項が得られ、これらが加減算器A3で加減算されて、電圧指令vcdrが出力される。
また、L2とLqが除算器D2に入力されてL2/Lqが演算され、L2/Lqと回転座標変換器622aが出力するvqが乗算器M6で演算されて、式8のL2/Lq・vqの項が得られ、
上記L2/Lqと、LdとL2が乗算器M10と加減算器A6が演算され、その結果と回転座標変換器622bが出力するidとωが乗算器M11,M12で演算されて式8のω・(Ld・L2/Lq−L2)・idの項が演算され、さらに、ω、φ、上記L2/Lqが乗算器M13、M14で演算され、式8のω・φ・L2/Lqの項が得られ、これらと、回転座標変換器622aが出力するvqが加減算器A7で加減算されて、電圧指令vcqrが出力される。
上記のように、本実施例では、モータ入力電圧検出器52出力のva、vbをフィルタ電圧指令生成器622に入力し、この電圧va,vbをθで回転座標変換して電圧vd,vqを得て、vd、vqの変動を、それぞれvd(1−L2/Ld)、vq(1−L2/Lq)として電圧指令vcdr、vcqrに反映させているので、リアクトル3に流れる電流の傾きを模擬されるモータに流れる電流の傾きと一致させることができる。
このため、前述したようにリアクトル3のインダクタンスL2と模擬されるモータのパラメータであるLd,Lqとが大きくかけ離れた値であっても、過渡状態において正確にモータを模擬することが可能となる。
フィルタ電圧生成器622において上記演算を行うためには、インダクタンス記憶器630に、リアクトル3に流れる電流の大きさに応じたリアクトル3のインダクタンスL2が記憶されている必要がある。
そのため、モータ模擬装置に、リアクトル3のインダクタンスを計測する機能を設けて、それによって計測されたインダクタンスをインダクタンス記憶器630に記憶させる機能を設けてもよい。
図3は、上述したインダクタンスを計測する機能を説明する図である。
図3において、インダクタンスを計測する際には、モータ模擬装置入力端子7の端子を全て短絡した状態とする。また、電圧制御器620の代わりにL2電流制御器631が用いられ、インバータ1はL2電流制御器631の出力の電圧指令viar、vibrで制御される。
L2電流制御器631は、電流検出器51出力のia、ibが所定角周波数ω0で所定振幅の交流となるようにインバータ1に入力される電圧指令viar、vibrを出力する。なお、上記所定振幅としては、複数の様々な大きさの振幅とする。
インダクタンス演算器632は、電流検出器51出力のia、ibと電圧検出器53出力のvca、vcbとを入力し、それらをそれぞれ所定角周波数ω0で回転するγδ座標に変換してiγ、iδとvcγ、vcδを求め、以下の式9、式10の演算を行って、リアクトル3の電流2乗値I2でのインダクタンスL2を求めて出力する。
I2=ia・ia+ib・ib ・・・式9
L2=(vcγ・iδ−vcδ・iγ)/(ω0・I2) ・・・式10
インダクタンス記憶器630は、電流検出器51出力のia、ibより式9によりリアクトル3の電流2乗値I2を求めて、I2に応じた記憶箇所に、上記インダクタンス演算器632で求めたインダクタンスL2を記憶する。
本発明により、被試験インバータ出力の電圧が急変する過渡状態や、リアクトルのインダクタンスが磁気飽和等によりそれに流れる電流に応じて変化する場合でも、正確にモータを模擬することができるモータ模擬装置を得ることができる。
1 インバータ
2 被試験インバータ
3 リアクトル
51 電流検出器
52 モータ入力電圧検出器
53 電圧検出器
611 d軸位相演算器
616 モータ回転速度演算器
621 電圧指令生成器
622 フィルタ電圧指令生成器
620 電圧制御器
623 モータパラメータ記憶器
630 インダクタンス記憶器
631 L2電流制御器
632 インダクタンス演算器
7 モータ模擬装置入力端子
81 フィルタ
82 トランス
9 モータ模擬装置

Claims (3)

  1. 入力した電圧指令通りの電圧を出力するインバータと、該インバータの出力電圧を平滑化するフィルタと、該フィルタとモータ模擬装置入力端子間に接続されたリアクトルと、前記フィルタで平滑化された電圧の指令であるフィルタ電圧指令を出力するフィルタ電圧指令生成器と、前記フィルタの平滑化された電圧が前記フィルタ電圧指令に追従するような電圧指令を前記インバータに出力する電圧制御器とで構成され、前記モータ模擬装置入力端子から前記インバータ側をみた特性が模擬するモータと等価となるように動作するモータ模擬装置であって、
    前記リアクトルの電流を検出する電流検出器と、前記モータ模擬装置入力端子の電圧を検出するモータ入力電圧検出器とを具備し、
    前記フィルタ電圧指令生成器は、前記電流検出器の出力と前記モータ入力電圧検出器の出力とを入力し、前記リアクトルのインダクタンスと抵抗値、及び該電流検出器の出力と該モータ入力電圧検出器の出力を用いて、前記模擬するモータの電気的特性式に基づき前記フィルタ電圧指令を求める
    ことを特徴とするモータ模擬装置。
  2. 前記リアクトルのインダクタンスを記憶するインダクタンス記憶器を備え、
    前記フィルタ電圧指令生成器は、前記電流検出器の出力に応じて、該インダクタンス記憶器に記憶された前記リアクトルのインダクタンスを選択し、該インダクタンスを用いて前記フィルタ電圧指令を求める
    ことを特徴とする請求項1記載のモータ模擬装置。
  3. 前記リアクトルのインダクタンスを該リアクトルに流れる電流の大きさに応じて計測するインダクタンス演算器を備え、
    該インダクタンス演算器出力を前記インダクタンス記憶器に記憶させる
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ模擬装置。
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