JP2011098646A - 自動車のウェザストリップ取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】中空なシール部14と、首部15と、取付部16より成り、弾性材料により構成されたウェザストリップ6を、カウルルーバ7に取り付けるウェザストリップ取付構造において、ウェザストリップ6の首部15と取付部16の一部を切除しなくとも、そのウェザストリップをカウルルーバ7に取り付けることができるようにする。
【解決手段】カウルルーバ7には、ウェザストリップ6の取付部16が挿入される凹溝17が形成されていると共に、取付部16の幅方向外側部23,24が係止される爪部21,22が形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、押出成形により細長く形成された弾性材料より成るウェザストリップを車両パネルに取り付ける自動車のウェザストリップ取付構造に関する。
自動車の車体、すなわちメインボデーには、フード、ラゲージドア、サイドドア或いはバックドアなどの各種の開閉体が回動開閉可能に支持されている。かかる開閉体を閉位置にもたらして、車体に形成された開口を閉じたとき、その内部のシール性を高めるために、開口のまわりの車両パネル部分に上述したウェザストリップが取り付けられている。かかるウェザストリップとして、閉位置を占めた開閉体が圧接するシール部と、そのシール部よりも幅狭に形成され、かつ一端がシール部に一体に接続された首部と、首部の他端に一体に接続され、かつ該首部よりも幅方向における両外方に突出した取付部とを有するウェザストリップが知られている(特許文献1参照)。この形式のウェザストリップを車両パネルに取り付けるには、首部と取付部を、該取付部をその幅が狭まる向きに弾性変形させながら、車両パネルに形成されたスリット状の取付孔に押し込んで取付孔を通過させ、その通過後に取付部を自由状態に弾性復帰させ、開拡した取付部の幅方向各端部を取付孔周辺の車両パネル面に係止させる。その際、車両パネルには、複数の取付孔が間隔をあけて形成されているので、その取付孔にウェザストリップを取り付ける前に、各取付孔の間の車両パネル部分に対応する首部と取付部をシール部から切除する必要がある。このようにすれば、切除されずに残された首部と取付部を支障なく取付孔に押し込んで、ウェザストリップを車両パネルに取り付けることができる。
ところが、上述のようにウェザストリップの一部の首部と取付部を切除する作業は、煩雑であり、その切除を手作業で行うと、当該作業に多大な時間がかかる。しかも、切除した首部と取付部を処理するための費用が必要となる。このような理由でウェザストリップのコストが上昇し、自動車のコストが高くなる欠点を免れない。
自動車には、開口のまわりの車両パネル部分以外にも各種のウェザストリップが取り付けられるが、かかるウェザストリップの取付構造も上述したところと同じ欠点を有している。
特開平11−235955号公報
本発明の目的は、上記従来の欠点を除去し、押出成形されたウェザストリップの首部と取付部の一部を切除することなく、そのウェザストリップを車両パネルに簡単に取り付けることのできる自動車のウェザストリップ取付構造を提供することにある。
本発明は、シール部と、該シール部よりも幅狭に形成され、かつ一端が当該シール部に一体に接続された首部と、該首部の他端に一体に接続され、かつ該首部よりも幅方向における外方に突出した取付部とを有していて、押出成形により細長く形成された弾性材料より成るウェザストリップを車両パネルに取り付ける自動車のウェザストリップ取付構造において、前記車両パネルには、前記ウェザストリップの取付部が挿入される細長く延びた凹溝が形成されていると共に、該凹溝に挿入された取付部が当該凹溝から抜け出ることを阻止すべく、前記取付部の幅方向の外側部が係止される爪部が形成されていることを特徴とする自動車のウェザストリップ取付構造を提案する(請求項1)。
その際、前記車両パネルは樹脂の成形品より成り、前記凹溝は、底壁と、該底壁の幅方向各端部から立ち上がった一対の側壁とによって区画され、少なくとも一方の側壁には、窓孔状の切欠が形成され、該切欠には、基端部が前記底壁に一体に固定され、かつ互いに凹溝の長手方向に離間した一対の支え壁が位置していて、その両支え壁の自由端側に前記爪部が一体に固定されていると有利である(請求項2)。
また、上記請求項1に記載の自動車のウェザストリップ取付構造において、前記車両パネルには、前記取付部の幅方向の各外側部がそれぞれ係止される一方の爪部と他方の爪部が形成され、かつ該車両パネルは樹脂の成形品より成り、前記凹溝は、底壁と、該底壁の幅方向各端部から立ち上がった一対の側壁とによって区画され、一方の側壁は、他方の側壁よりも外部から目視され難い位置を占め、他方の側壁は、一方の側壁よりも外部から目視され易い位置を占めていて、前記一方の側壁には、窓孔状の切欠が形成され、該切欠には、基端部が前記底壁に一体に固定され、かつ互いに前記凹溝の長手方向に離間した一対の支え壁が位置していて、その両支え壁の自由端側に前記一方の爪部が一体に固定され、前記底壁には、前記一対の支え壁の間の空間に連続した切欠が形成され、前記他方の側壁に、前記他方の爪部が形成されていると有利である(請求項3)。
さらに、上記請求項3に記載の自動車のウェザストリップ取付構造において、前記車両パネルには、該車両パネルに取り付けられたウェザストリップの長手方向各端部に当接して、該ウェザストリップの長手方向の位置決めをする位置決め壁が形成され、該位置決め壁には切欠が形成されていると有利である(請求項4)。
また、上記請求項3に記載の自動車のウェザストリップ取付構造において、前記車両パネルには、該車両パネルに取り付けられたウェザストリップの長手方向各端部の近傍に形成された係合溝が係合して、該ウェザストリップの長手方向の位置決めをする位置決め壁が形成され、該位置決め壁には切欠が形成されていると有利である(請求項5)。
本発明によれば、ウェザストリップの取付部が、車両パネルに形成された凹溝に挿入されるので、そのウェザストリップの首部と取付部の一部を切除する必要はない。このため、ウェザストリップの製造コストを低減することができる。しかも、そのウェザストリップの取付部が、車両パネルに形成された爪部に係止されるので、取付部が凹溝から抜け出ることを防止することができる。
エンジンルームのまわりの構成を示す斜視図である。 図1のA−A線拡大断面図である。 カウルルーバと、これに取り付けられたウェザストリップの平面図である。 カウルルーバと、これに取り付けられる前のウェザストリップを示す斜視図である。 カウルルーバと、これに取り付けられたウェザストリップの断面図である。 カウルルーバに形成された凹溝と、これに関連する構成の拡大斜視図である。 図3のD−D線に沿ってカウルルーバを切断した概略断面図である。 図1のF−F線拡大断面図である。 自動車の前部を示す側面図である。 図9のG−G線拡大断面図である。 図9のH−H線拡大断面図である。 爪部の他の配置状態を説明する、図3と同様な平面図である。 ウェザストリップの他の横断面形状を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
本発明に係るウェザストリップ取付構造は、自動車の各種の車両パネルにウェザストリップを取り付ける際に採用できるものであるが、ここでは先ずカウルトップを覆うカウルルーバより成る車両パネルにウェザストリップを取り付ける取付構造について説明する。
図1は、フードを除去した状態で、エンジンルームEと、その周辺の構成の概略を示した斜視図である。各図における矢印Frは自動車の前進方向を示し、矢印Wは車幅方向を示している。本明細書における「前」又は「後」なる文言は、自動車の前進方向Frを基準とした前後を意味する。
図1における符号2は車体1の側部を構成するフェンダパネルを示し、3は車室の上部を区画するルーフパネルを示している。また、符号4はフロントピラー、5はフロントウィンドシールドをそれぞれ示している。また、エンジンルームEの後方には、後述する態様でウェザストリップ6が取り付けられたカウルルーバ7が配設されている。カウルルーバ7は、ウェザストリップが取り付けられる車両パネルの一例を構成するものである。
図2は、図1のA−A線断面図であって、エンジンルームEを開閉するフード8を二点鎖線で追加して示した図である。このフード8は、図示していないヒンジを介して車体1に回動開閉可能に支持されている。また、図2における符号9は、左右のフロントピラー4に固定連結されて車幅方向Wに延びるカウルトップであり、このカウルトップ9は、互いに固着された鋼板より成るアウタパネル10とインナパネル11より成り、かかるカウルトップ9は車体1の骨格を構成する部材である。カウルトップ9は、前述のカウルルーバ7によって覆われており、そのカウルルーバ7の後端部に形成された二叉部12は、フロントウィンドシールド5の下端部に差し込まれている。フロントウィンドシールド5は、接着剤13を介して、カウルトップ9のアウタパネル10に固定されている。
カウルルーバ7を金属板により構成することもできるが、ここではカウルルーバ7が樹脂の成形品より成るものとする。ウェザストリップ6が取り付けられる車両パネルが、樹脂の成形品より成るのである。
図3はウェザストリップ6と、そのウェザストリップ6が取り付けられたカウルルーバ7を示す拡大平面図であり、図4は、カウルルーバ7と、そのカウルルーバ7に取り付けられる前のウェザストリップ6を示す斜視図である。また、図5はウェザストリップ6がカウルルーバ7に取り付けられた状態での、これらの断面図であり、図6はカウルルーバ7の一部を示す拡大斜視図である。
図1、図3及び図4から判るように、ウェザストリップ6は、押出成形により細長く形成された弾性材料、例えばエラストマーにより構成され、その全長に亘って同一の横断面形状を有している。ウェザストリップ6を構成する弾性材料は、常温でゴム状弾性を示す弾性物質である。なお、図3乃至図5から判るように、ウェザストリップ6の長手方向に直交する方向が、ウェザストリップ6の幅方向Pである。
図4及び図5に示すように、本例のウェザストリップ6は、内部が中空なシール部14と、そのシール部14よりも幅狭に形成され、かつ一端がシール部14に一体に接続された首部15と、その首部15の他端に一体に接続され、かつ該首部15よりも幅方向Pにおける外方に突出した取付部16とを有し、これらが押出成形により一体に成形されている。シール部14は、首部15と取付部16よりも軟質な弾性材料より成り、シール部14は、例えば発泡体ゴムにより構成され、首部15と取付部16は、例えばソリッドゴムにより構成されている。本例のウェザストリップ6の取付部16は、首部15よりも幅方向Pにおける両外方に突出していて、該首部15と取付部16の横断面形状は矢尻形に形成されている。
図2に二点鎖線で示したように、フード8が閉位置を占め、エンジンルームEの上部開口がフード8によって閉鎖されたとき、フード8がウェザストリップ6のシール部14に圧接して、そのシール部14が押し潰された状態に弾性変形する。これによってエンジンルームE内のシール性が保たれる。
上述のように形成されたウェザストリップ6を車両パネルの一例であるカウルルーバ7に取り付ける自動車のウェザストリップ取付構造は次のように構成されている。
図5の(a)は、ウェザストリップ6がカウルルーバ7に取り付けられた状態での、図4におけるB−B線断面図であり、図5の(b)は、同じくウェザストリップ6がカウルルーバ7に取り付けられた状態での、図4におけるC−C線断面図である。
図4、図5の(a)及び図6に示すように、カウルルーバ7には、細長く延びた凹溝17が形成され、その凹溝17は、底壁18と、その底壁18の幅方向各端部から立ち上がった一対の側壁19,20とによって区画されている。しかも、図4、図5及び図6に示すように、カウルルーバ7には、凹溝17を間にして、互いに対向した位置に一方の爪部21と他方の爪部22が一体に形成されている。図3にはその各爪部21,22の位置を簡略化して示してあるが、この図3と図4から判るように、爪部21,22は、凹溝17に沿って、例えば200mm程の間隔をあけて複数個形成されている。
図4に矢印Qで示したように、ウェザストリップ6の取付部16を凹溝17の上方からその凹溝17に押し込む。これにより、ウェザストリップ6の取付部16が図5の(a),(b)に示したように凹溝17に挿入される。しかも、この挿入時に、取付部16の幅方向の各外側部23,24が互いに対向した一方の爪部21と他方の爪部22を通るとき、取付部16は、その幅が狭められる向きに弾性変形し、各外側部23,24が各爪部21,22を通過した後、取付部16は図5の(b)に示したように自然状態に弾性復帰する。これにより、図5の(b)に示したように、取付部16の幅方向の各外側部23,24が、互いに対向した一方の爪部21と他方の爪部22に係止され、取付部16が凹溝17から抜け出ることが阻止される。図示した例では、取付部16の各幅方向最外端部である各外側部23,24が各爪部21,22に係止されるのである。
上述の如く、ウェザストリップ6が取り付けられる車両パネルの一例であるカウルルーバ7には、ウェザストリップ6の取付部16が挿入される細長く延びた凹溝17が形成されていると共に、その凹溝17に挿入された取付部16が凹溝17から抜け出ることを阻止すべく、取付部16の幅方向Pの各外側部23,24がそれぞれ係止される一方の爪部21と他方の爪部22とが形成され、図示した例では、各爪部21,22は、凹溝17の長手方向に沿って、互いに間隔をあけて複数個形成されている。
上述のように、本例のウェザストリップ取付構造においては、従来のように、ウェザストリップの取付部を、カウルルーバに間隔をあけて形成された取付孔に嵌着することにより、ウェザストリップをカウルルーバに取り付けるのではなく、カウルルーバ7に形成された凹溝17にウェザストリップ6の取付部16を挿入し、しかも互いに対向する一方の爪部21と他方の爪部22に、取付部16の各外側部23,24を係止させて、ウェザストリップ6がカウルルーバ7から離脱することを防止しているので、ウェザストリップ6の首部15と取付部16を一切切除する必要はない。押出成形機から押し出されたウェザストリップの素材を所定の長さにカットするだけで、そのウェザストリップ6をそのままカウルルーバ7に取り付けることができるのである。このため、ウェザストリップ6のコストを低減でき、ひいては自動車の製造コストを引き下げることができる。
しかも、一方の爪部21と他方の爪部22は、凹溝17の全長に亘って形成されているのではなく、複数の爪部21,22が凹溝17の長手方向に沿って間隔をあけて配設されているので、取付部16を凹溝17に小さな力で押し込むだけで、ウェザストリップ6をカウルルーバ7に取り付けることができる。
さらに、ウェザストリップ6をカウルルーバ7から外すには、そのウェザストリップ6を小さな力で上方に引っ張るか、又は小さな力で凹溝17の延在方向に引っ張るだけでよく、ウェザストリップ6を楽にカウルルーバ7から離脱して、これをリサイクル処理することができる。しかも、一方の爪部21と他方の爪部22が凹溝17に沿って間隔をあけて位置しているので、射出成形機の簡単な成形型で、爪部21,22を有するカウルルーバ7を成形することができる。
また、ウェザストリップ6の取付部16が凹溝17に挿入されているので、図3に矢印Sを付して示したようにウェザストリップ6が湾曲しているときも、その湾曲したウェザストリップ部分の取付部16が凹溝17によって保持され、ウェザストリップのカウルルーバ7への追従性を高めることができる。
なお、図3に示したように、ウェザストリップ6の取付部16が凹溝17から外れて、ウェザストリップ6が浮き上がることを防止するために、ウェザストリップ6の長手方向各端部29,30又はその近傍の取付部16の部分が、一方の爪部21と他方の爪部22に係止されるように、その各爪部21,22の位置を設定することが好ましい。
ところで、一方の爪部21と他方の爪部22は凹溝17を区画形成する側壁19,20に直接、突設するなどして形成することもできるが、本例のウェザストリップ取付構造においては、一方の爪部21が次のように形成されている。
図4及び図6に示すように、凹溝17を区画する一方の側壁19には、窓孔状に貫通した切欠25が形成され、その切欠25には、基端部26が底壁18に一体に固定され、かつ互いに凹溝17の長手方向に離間した一対の支え壁27が位置していて、その支え壁27の自由端側に、前述の一方の爪部21が一体に固定されている。このように一方の爪部21が一対の支え壁27の自由端側に固定連結されているので、図4に矢印Qで示したようにウェザストリップ6の取付部16を凹溝17に押し込んだとき、取付部16の一方の外側部23が一方の爪部21を加圧し、これにより、一方の爪部21と支え壁27が図6に矢印Rで示した方向に弾性変形する。このため、ウェザストリップ6の取付部16を一層容易に凹溝17に挿入することができる。
一方の爪部21に対向して位置する他方の爪部22も、上述した一方の爪部21と同じく、一対の支え壁の自由端側に固定することができる。このようにすれば、ウェザストリップ6の取付部16を凹溝17に押し込んだとき、他方の爪部22も、幅方向外方に逃がすことができるので、より一層容易に取付部16を凹溝17に挿入することができる。また、他方の爪部22だけを一対の支え壁の自由端側に固定連結することもできる。このように、一対の側壁19,20のうちの少なくとも一方の側壁に、窓孔状の切欠25が形成されていて、その切欠25には、基端部26が底壁18に一体に固定され、かつ互いに凹溝17の長手方向に離間した一対の支え壁27が位置していて、その両支え壁27の自由端側に爪部21,22が一体に固定されていると、ウェザストリップ6の取付部16を凹溝17に容易に押し込むことができるのである。
上述のように、いずれの爪部21,22も、一対の支え壁27の自由端側に固定連結することができるのであるが、本例のウェザストリップ取付構造においては、図6に示すように、他方の爪部22は、側壁20の自由端側に直に一体に固定されている。その理由は以下のとおりである。
図1、図2及び図6から明らかなように、凹溝17を区画する一方の側壁19は、他方の側壁20よりも後方に位置している。このため、ユーザがフード8を開いたとき、通常、そのユーザは一方の側壁19を目視することはない。逆に、他方の側壁20はユーザによって直接目視される。このように、一方の側壁19は、他方の側壁20よりも外部から目視され難い位置を占め、他方の側壁20は、一方の側壁19よりも外部から目視され易い位置を占めていて、その目視され難い一方の側壁19に、窓孔状の切欠25が形成され、その切欠25には、基端部26が底壁18に一体に固定され、かつ互いに凹溝17の長手方向に離間した一対の支え壁27が位置していて、その両支え壁27の自由端側に一方の爪部21が一体に固定されているのである。切欠25や支え壁27は複雑な形態を有しているので、これらが目視されてしまえば、自動車の見栄えが低下するのであるが、かかる切欠25や支え壁27は、元々目視され難い一方の側壁19の側に形成されているので、その切欠25や支え壁27が外部から目視されることはない。このため、自動車の見栄えが低下する不具合を阻止できる。
一方、一対の支え壁27に固定された一方の爪部21に対向して位置する他方の爪部22は、他方の側壁20に直に形成されていて、その側壁20には切欠は形成されていない。このため、他方の側壁20は、外部から目視され易い位置を占めているが、その見栄えが低下することはない。但し、このままではウェザストリップ6の取付部16を凹溝17に挿入するとき、他方の爪部22が実質的に幅方向外方に逃げることがないので、取付部16を凹溝17に挿入し難くなる。
そこで、図6及び図5の(b)に示すように、底壁18には、一対の支え壁27の間の空間SPに連続した切欠28が形成されている。このため、その切欠28の近傍の側壁20の部分が弾性変形しやすくなり、ウェザストリップ6の取付部16を凹溝17に挿入するとき、その取付部16の他方の外側部24が他方の爪部22に当ったとき、その爪部22は幅方向外方に逃げることができ、容易に取付部16を凹溝17に挿入することができる。
また、図6に示した爪部21,22を有するカウルルーバ7は、スライド型がなく、可動型と固定型だけの簡単な成形型を有する射出成形機によって成形することができる。かかる単純な成形型を用いてカウルルーバ7を成形できるので、その製造コストの上昇を抑えることができる。
図7の(a)は、図3のD−D線に沿ってカウルルーバ7を切断した概略断面図である。図7の(a)と、図3及び図4から判るように、車両パネルの一例であるカウルルーバ7には、そのカウルルーバ7に取り付けられたウェザストリップ6の長手方向各端部29,30に当接して、そのウェザストリップ6の長手方向の位置決めをする位置決め壁31,32がそれぞれ形成されている。ウェザストリップ6をカウルルーバ7に組み付ける際に、一方の位置決め壁31又は32にウェザストリップ6の一方の端部29又は30を押し当てて、その端部から順に取付部16を凹溝17に挿入すれば、そのウェザストリップ6を自動的に位置決めしながら、ウェザストリップ6をカウルルーバ7に組み付けることができる。
また、図7の(b)は、図7の(a)と同様な断面図であるが、この図7の(b)に示すように、カウルルーバ7に設けられた位置決め壁31,32が係合する係合溝40,41をウェザストリップ6に形成し、その各係合溝40,41を各位置決め壁31,32に係合させて、ウェザストリップ6の長手方向の位置決めをすることもできる。車両パネルの一例であるカウルルーバ7に、そのカウルルーバ7に取り付けられたウェザストリップ6の長手方向各端部29,30の近傍に形成された係合溝40,41が係合して、そのウェザストリップ6の長手方向の位置決めをする位置決め壁31,32を形成するのである。この構成によると、一方の係合溝40又は41を一方の位置決め壁31又は32に係合させて、その位置決め壁31又は32の側から順にウェザストリップ6の取付部16を凹溝17に挿入することができる。その際、ウェザストリップ6がその長手方向にずれ動くことがないので、楽に取付部16を凹溝17に挿入することができる。
図7の(b)に示した係合溝40,41は、押出成形機から押し出されたウェザストリップの素材を所定の長さにカットする際に、同時に形成することができるので、ウェザストリップ6の製造が複雑化したり、コストが上昇する欠点を抑えることができる。
図7の(a)に示したように、カウルルーバ7に位置決め壁31,32を形成することが好ましいのであるが、かかる位置決め壁31,32を設けると、ウェザストリップ6の取付部16を凹溝17に押し込んで挿入するとき、他方の側壁20が、幅方向外方に撓み難くなり、取付部16を凹溝17に挿入し難くなるおそれがある。そこで、図4に示したように、位置決め壁31の他方の側壁20寄りの部分に切欠33が形成されている。もう一方の位置決め壁32にも、全く同様に切欠が形成されている。このように位置決め壁31,32に切欠33を形成すると、ウェザストリップ6の取付部16の他方の外側部24が他方の爪部22に当ったとき、他方の側壁20が容易に幅方向Pの外方に弾性変形して、爪部22が外方に逃げることができるので、容易に取付部16を凹溝17に挿入することができる。
図7の(b)に示した位置決め壁31,32をカウルルーバ7に形成したときも、その位置決め壁31,32に、上述した切欠33と全く同様な切欠を形成することが好ましく、これによって上述したところと同じ作用効果を奏することができる。
以上、カウルルーバ7より成る車両パネルにウェザストリップ6を取り付ける取付構造について説明したが、本発明に係るウェザストリップ取付構造は、以下に説明するように、他の車両パネルにウェザストリップを取り付ける場合にも広く適用できるものである。
図1のF−F線拡大断面図である図8に示すように、車体1の前後方向に延びる骨格部材34と、フェンダパネル2は、取付部材35を介して固定連結され、その取付部材35は、樹脂製のカバー36によって覆われている。このカバー36はクリップ37により取付部材35に固定されている。図1に示すように、カバー36は、車体1の前後方向に延び、そのカバー36の上部にウェザストリップ6Aが取り付けられている。そのウェザストリップ6Aも前後に延びていて、図8に二点鎖線で追加して示したフード8が閉位置を閉めたとき、該フード8がウェザストリップ6Aのシール部に圧接してエンジンルームE内のシール性が確保される。このように、カバー36はウェザストリップ6Aが取り付けられる車両パネルを構成しており、そのウェザストリップ6Aの取付構造にも、前述の本発明に係る各構成を採用することができる。
また、図9は、自動車の前部を示す側面図であり、図10は図9のG−G線拡大断面図である。これらの図における符号42は、車体1の下部の側部を構成するロッカパネルを示し、符号43は、車体1の側部に回動開閉可能に支持されたサイドドアを示している。ロッカパネル42は、アウタパネル44と、これに固着されたインナパネル45より成り、サイドドア43もアウタパネル46と、これに固定されたインナパネル47を有し、そのインナパネル47に樹脂製のドアトリム48(図11には示さず)が固定されている。このドアトリム48にウェザストリップ6Bが取り付けられていて、サイドドア43を閉めたとき、ウェザストリップ6Bのシール部がロッカパネル42のアウタパネル44に圧接して、車室内のシール性が確保される。このように、ドアトリム48も、ウェザストリップ6Bが取り付けられる車両パネルを構成し、かかるウェザストリップ6Bの取付構造にも、前述の本発明に係る各構成を採用することができる。
また、図9のH−H線拡大断面図である図11に示すように、車体1を構成するフェンダパネル2と、サイドドア43との間には、隙間Iが形成され、フロントピラー4のアウタパネル49とフェンダパネル2との間にも隙間Jが形成されている。フロントピラー4のアウタパネル49は、インナパネル50に固着されている。
上述のように、隙間I,Jが形成されているので、これを放置したとすると、矢印Kで示したように、隙間Iから入り込んだ雨水が、隙間Jを通して車内側に流入するおそれがある。そこで、隙間Jは、樹脂製のカバー51によって閉鎖され、そのカバー51がフェンダパネル2とフロントピラー4のインナパネル49に、図示していないクリップによって固定されている。かかるカバー51に、ウェザストリップ6C,6Dが取り付けられていて、その各ウェザストリップ6C,6Dのシール部がフェンダパネル2とフロントピラー4のアウタパネル49に圧接し、車内側のシール性が確保されている。このように、カバー51も、ウェザストリップ6C,6Dが取り付けられる車両パネルを構成していて、そのウェザストリップ6C,6Dの取付構造にも、前述の本発明に係る各構成を採用することができる。
そのほか、図示していないバックドア或いはラゲージドアが圧接するウェザストリップが車体の板金に取り付けられているが、このようなウェザストリップの取付構造にも本発明を適用できる。この場合には、車体の板金が、ウェザストリップの取り付けられる車両パネルを構成する。
以上説明した一方の爪部21と他方の爪部22は、互いに対向して位置しているが、図12に示すように、一方の爪部21と他方の爪部22が、ウェザストリップ6の長手方向に交互に配置されていてもよい。
さらに、以上説明したウェザストリップ取付構造においては、一方の爪部21と他方の爪部22が、それぞれ複数設けられているが、ウェザストリップの長さが例えば50mm程度の短いものであるときは、一方の爪部21と他方の爪部22を1つずつ設けるだけであっても、そのウェザストリップを凹溝から抜け出ることなく保持することが可能である。
以上説明したウェザストリップ6は、その首部15と取付部16の横断面形状が矢尻形に形成されているが、ウェザストリップ6の横断面形状を他の形態に形成することもできる。例えば、図13の(a)に示すように、ウェザストリップ6の取付部16の横断面形状をほぼ円形、ないしは円形に近い形状にすることもできる。この場合も、その取付部16の幅方向各外側部23,24が、図5に示した一方の爪部21と他方の爪部22に係合して、取付部16が凹溝17から抜け出ることが防止される。
また、図2、図4及び図5に示したウェザストリップ6のシール部14は内部が中空に形成されているが、そのシール部14を他の形態に形成することもできる。例えば、図13の(b)に示すように、ウェザストリップ6のシール部14の横断面形状をほぼC字形に形成することができる。
さらに、図2、図4及び図5に示したウェザストリップ6のシール部14の幅は、取付部16の幅よりも大きく形成されているが、図13の(c)に示すように、ウェザストリップ6のシール部14の幅W1を取付部16の幅W2よりも小さく設定し、或いは両幅W1,W2を等しく設定することもできる。
また、以上説明したウェザストリップ取付構造においては、ウェザストリップの取付部16の幅方向Pにおける各外側部23,24がそれぞれ係止される一方の爪部21と他方の爪部22が、車両パネルに形成されているが、凹溝17の幅方向における一方の側にだけ爪部を形成するようにしてもよい。一方の爪部21又は他方の爪部22だけを車両パネルに設けるのである。この場合には、ウェザストリップの取付部16が、その幅方向Pの一方の側にだけ突出するように形成されていてもよい。このように、車両パネルには、ウェザストリップの取付部が挿入される細長く延びた凹溝が形成されていると共に、その凹溝に挿入された取付部が当該凹溝から抜け出ることを阻止すべく、該取付部の幅方向の外側部が係止される爪部が形成されているのである。
6,6A,6B,6C,6D ウェザストリップ
14 シール部
15 首部
16 取付部
17 凹溝
18 底壁
19,20 側壁
21,22 爪部
23,24 外側部
25 切欠
26 基端部
27 支え壁
28 切欠
29,30 端部
31,32 位置決め壁
33 切欠
40,41 係合溝
P 幅方向
SP 空間

Claims (5)

  1. シール部と、該シール部よりも幅狭に形成され、かつ一端が当該シール部に一体に接続された首部と、該首部の他端に一体に接続され、かつ該首部よりも幅方向における外方に突出した取付部とを有していて、押出成形により細長く形成された弾性材料より成るウェザストリップを車両パネルに取り付ける自動車のウェザストリップ取付構造において、前記車両パネルには、前記ウェザストリップの取付部が挿入される細長く延びた凹溝が形成されていると共に、該凹溝に挿入された取付部が当該凹溝から抜け出ることを阻止すべく、前記取付部の幅方向の外側部が係止される爪部が形成されていることを特徴とする自動車のウェザストリップ取付構造。
  2. 前記車両パネルは樹脂の成形品より成り、前記凹溝は、底壁と、該底壁の幅方向各端部から立ち上がった一対の側壁とによって区画され、少なくとも一方の側壁には、窓孔状の切欠が形成され、該切欠には、基端部が前記底壁に一体に固定され、かつ互いに凹溝の長手方向に離間した一対の支え壁が位置していて、その両支え壁の自由端側に前記爪部が一体に固定されている請求項1に記載の自動車のウェザストリップ取付構造。
  3. 前記車両パネルには、前記取付部の幅方向の各外側部がそれぞれ係止される一方の爪部と他方の爪部が形成され、かつ該車両パネルは樹脂の成形品より成り、前記凹溝は、底壁と、該底壁の幅方向各端部から立ち上がった一対の側壁とによって区画され、一方の側壁は、他方の側壁よりも外部から目視され難い位置を占め、他方の側壁は、一方の側壁よりも外部から目視され易い位置を占めていて、前記一方の側壁には、窓孔状の切欠が形成され、該切欠には、基端部が前記底壁に一体に固定され、かつ互いに前記凹溝の長手方向に離間した一対の支え壁が位置していて、その両支え壁の自由端側に前記一方の爪部が一体に固定され、前記底壁には、前記一対の支え壁の間の空間に連続した切欠が形成され、前記他方の側壁に、前記他方の爪部が形成されている請求項1に記載の自動車のウェザストリップ取付構造。
  4. 前記車両パネルには、該車両パネルに取り付けられたウェザストリップの長手方向各端部に当接して、該ウェザストリップの長手方向の位置決めをする位置決め壁が形成され、該位置決め壁には切欠が形成されている請求項3に記載の自動車のウェザストリップ取付構造。
  5. 前記車両パネルには、該車両パネルに取り付けられたウェザストリップの長手方向各端部の近傍に形成された係合溝が係合して、該ウェザストリップの長手方向の位置決めをする位置決め壁が形成され、該位置決め壁には切欠が形成されている請求項3に記載の自動車のウェザストリップ取付構造。
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