<全体構成>
図1に示すスロットマシン100は、本体101と、本体101の正面に取付けられ、本体101に対して開閉可能な前面扉102と、を備える。本体101の中央内部には、(図示省略)外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。これらのリール110乃至112はステッピングモータ等の駆動装置により回転駆動される。
本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形筒状の枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール110乃至112は複数種類の図柄の組合せを変動可能に表示する表示装置として機能する。なお、このような表示装置としてはリール以外にも液晶表示装置等の電子画像表示装置も採用できる。また、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
各々のリール110乃至112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部から成る光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間をリールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ライン114を示すランプである。有効となる入賞ラインは、遊技媒体としてベットされたメダルの数によって予め定まっている。入賞ライン114は5ラインあり、例えば、メダルが1枚ベットされた場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚ベットされた場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚ベットされた場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5ラインに限定されるものではなく、また、例えば、メダルが1枚ベットされた場合に、中段の水平入賞ライン、上段水平入賞ライン、下段水平入賞ライン、右下り入賞ラインおよび右上り入賞ラインの5ラインを入賞ラインとして有効としてもよい。
告知ランプ123は、例えば、後述する内部抽選において特定の入賞役(具体的には、ボーナス)に内部当選していること、または、ボーナス遊技中であることを遊技者に知らせるランプである。遊技メダル投入可能ランプ124は、遊技者が遊技メダルを投入可能であることを知らせるためのランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。リールパネルランプ128は演出用のランプである。
ベットボタン130乃至132は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダル(クレジットという)を所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、ベットボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、ベットボタン131が押下されると2枚投入され、ベットボタン132が押下されると3枚投入されるようになっている。以下、ベットボタン132はMAXベットボタンとも言う。なお、遊技メダル投入ランプ129は、投入されたメダル数に応じた数のランプを点灯させ、規定枚数のメダルの投入があった場合、遊技の開始操作が可能な状態であることを知らせる遊技開始ランプ121が点灯する。
メダル投入口141は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、ベットボタン130乃至132により電子的に投入することもできるし、メダル投入口141から実際のメダルを投入(投入操作)することもでき、投入とは両者を含む意味である。メダル投入口141に投入されたメダルは、スロットマシン100の内部に設けられた後述するメダルセレクタ336を通過し、正規メダルの選別がなされると共に、メダルの通過が検出される。
貯留枚数表示器125は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技情報表示器126は、各種の内部情報(例えば、ボーナス遊技中のメダル払出枚数)を数値で表示するための表示器である。払出枚数表示器127は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、および、払出枚数表示器127は、7セグメント(SEG)表示器とした。
スタートレバー135は、リール110乃至112の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口141に所望するメダル枚数を投入するか、ベットボタン130乃至132を操作して、スタートレバー135を操作すると、リール110乃至112が回転を開始することとなる。スタートレバー135に対する操作を遊技の開始操作と言う。
ストップボタンユニット136には、ストップボタン137乃至139が設けられている。ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール110乃至112に対応づけられている。以下、ストップボタン137乃至139に対する操作を停止操作と言い、最初の停止操作を第1停止操作、次の停止操作を第2停止操作、最後の停止操作を第3停止操作という。なお、各ストップボタン137乃至139の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン137乃至139の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。精算ボタン134は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口155から排出するためのボタンである。ドアキー孔140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。
ストップボタンユニット136の下部には、機種名の表示と各種証紙の貼付とを行うタイトルパネル162が設けられている。タイトルパネル162の下部には、メダル払出口155、メダルの受け皿161が設けられている。
音孔180はスロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。前面扉102の左右各部に設けられたサイドランプ144は遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。前面扉102の上部には演出装置160が配設されており、演出装置160の上部には音孔143が設けられている。この演出装置160は、水平方向に開閉自在な2枚の右シャッタ163a、左シャッタ163bからなるシャッタ(遮蔽装置)163と、このシャッタ163の奥側に配設された液晶表示装置157(図示省略、演出画像表示装置)を備えており、右シャッタ163a、左シャッタ163bが液晶表示装置157の手前で水平方向外側に開くと液晶表示装置157(図示省略)の表示画面がスロットマシン100正面(遊技者側)に出現する構造となっている。
なお、液晶表示装置でなくとも、種々の演出画像や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、複数セグメントディスプレイ(7セグディスプレイ)、ドットマトリクスディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、リール(ドラム)、或いは、プロジェクタとスクリーンとからなる表示装置等でもよい。また、表示画面は、方形をなし、その全体を遊技者が視認可能に構成している。本実施形態の場合、表示画面は長方形であるが、正方形でもよい。また、表示画面の周縁に不図示の装飾物を設けて、表示画面の周縁の一部が該装飾物に隠れる結果、表示画面が異形に見えるようにすることもできる。表示画面は本実施形態の場合、平坦面であるが、曲面をなしていてもよい。
<制御部>
図2は、スロットマシン100の制御部の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の進行を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて、主な演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、によって構成されている。
<主制御部>
まず、スロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えており、この基本回路302には、CPU304と、制御プログラムデータ、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等を記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく、この点は後述する第1副制御部400についても同様である。
この基本回路302のCPU304は、水晶発振器314が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。さらには、CPU304は、電源が投入されるとROM306の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ312に送信し、カウンタタイマ312は受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU304に送信する。CPU304は、この割込み要求を契機に各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、水晶発振器314が出力するクロック信号を8MHz、カウンタタイマ312の分周値を1/256、ROM306の分周用のデータを47に設定した場合、割り込みの基準時間は、256×47÷8MHz=1.504msとなる。WDT313はウォッチドッグタイマである。
基本回路302は、0〜65535の範囲で数値を変動させるハードウェア乱数カウンタとして使用している乱数発生回路316と、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路338を設けており、CPU304は、この起動信号出力回路338から起動信号を入力した場合に、遊技制御を開始する(後述する主制御部メイン処理を開始する)。
また、基本回路302には、センサ回路320を設けており、CPU304は、割り込み時間ごとに各種センサ318(ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、ベットボタン132センサ、後述するメダルセレクタ336の各メダル検出センサ、ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、ストップボタン139センサ、精算ボタン134センサ、メダル払出装置180から払い出されるメダルのメダル払出センサ、リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、リール112のインデックスセンサ、等)の状態を監視している。なお、センサ回路320がスタートレバーセンサのHレベルを検出した場合には、この検出を示す信号を乱数発生回路316に出力する。この信号を受信した乱数発生回路316は、そのタイミングにおける値をラッチし、抽選に使用する乱数値を格納するレジスタに記憶する。
スタートレバー135センサは、スタートレバー135内部に2個設置されており、遊技者によるスタート操作を検出する。ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、および、ストップボタン139は、各々のストップボタン137乃至139に設置されており、遊技者によるストップボタンの操作を検出する。
ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、および、ベットボタン132センサは、メダル投入ボタン130乃至132のそれぞれに設置されており、RAM308に電子的に貯留されているメダルを遊技への投入メダルとして投入する場合の投入操作を検出する。精算ボタン134センサは、精算ボタン134に設けられている。精算ボタン134が一回押されると、電子的に貯留されているメダルを精算する。メダル払出センサは、メダル払出装置180が払い出すメダルを検出するためのセンサである。なお、以上の各センサは、非接触式のセンサであっても接点式のセンサであってもよい。
リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、および、リール112のインデックスセンサは、各リール110乃至112の取付台の所定位置に設置されており、リールフレームに設けた遮光片が通過するたびにLレベルになる。CPU304は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。
主制御部300は、リール装置110乃至112に設けたステッピングモータを駆動する駆動回路322を設けており、投入されたメダルを選別するメダルセレクタ336に設けたソレノイドを駆動する駆動回路324を設けており、メダル払出装置180に設けたモータを駆動する駆動回路326を設けており、各種ランプ338(入賞ライン表示ランプ120、告知ランプ123、遊技メダル投入可能ランプ124、再遊技ランプ122、遊技メダル投入ランプ129は、遊技開始ランプ121、貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、払出枚数表示器127)を駆動する駆動回路328を設けている。
また、基本回路302には、情報出力回路334(外部集中端子板248)を接続しており、主制御部300は、この情報出力回路334を介して、外部のホールコンピュータ(図示省略)等が備える情報入力回路652にスロットマシン100の遊技情報(例えば、遊技状態)を出力する。
また、主制御部300は、第1副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェースを備えており、第1副制御部400との通信を可能としている。なお、主制御部300と第1副制御部400との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は第1副制御部400にコマンド等の信号を送信できるように構成しているが、第1副制御部400からは主制御部300にコマンド等の信号を送信できないように構成している。
<副制御部>
次に、スロットマシン100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主制御部300が送信した制御コマンドを入力インタフェースを介して受信し、この制御コマンドに基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402は、CPU404と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。基本回路402のCPU404は、水晶発振器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作し、第1副制御部400の全体を制御するための制御プログラム及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータ等が記憶されたROM406が設けている。
CPU404は、所定のタイミングでデータバスを介してROM406の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ412に送信する。カウンタタイマ412は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU404に送信する。CPU404は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
また、第1副制御部400には、音源IC418を設けており、音源IC418に出力インタフェースを介してスピーカ272、277を設けている。音源IC418は、CPU404からの命令に応じてアンプおよびスピーカ272、277から出力する音声の制御を行う。音源IC418には音声データが記憶されたS−ROM(サウンドROM)が接続されており、このROMから取得した音声データをアンプで増幅させてスピーカ272、277から出力する。
また、第1副制御部400には、駆動回路422が設けられ、駆動回路422に入出力インタフェースを介して各種ランプ420(上部ランプ、下部ランプ、サイドランプ144、タイトルパネル162ランプ、等)を設けている。
また、CPU404は、出力インタフェースを介して第2副制御部500へ信号の送受信を行う。スロットマシン100の第2副制御部500では、液晶表示装置157やシャッタ163の制御を行う。こうして遊技の進行に合わせて演出が実行される。
<図柄配列>
図3(a)を用いて、上述の各リール110乃至112に施される図柄配列について説明する。なお、同図は、各リール(左リール110、中リール111、右リール112)に施される図柄の配列を平面的に展開して示した図である。
各リール110乃至112には、同図の右側に示す複数種類(本実施形態では8種類)の図柄が所定コマ数(本実施形態では、番号0〜20の21コマ)だけ配置されている。また、同図の左端に示した番号0〜20は、各リール110乃至112上の図柄の配置位置を示す番号である。例えば、本実施形態では、左リール110の番号1のコマには「リプレイ」の図柄、中リール111の番号0のコマには「ベル」の図柄、右リール112の番号2のコマには「スイカ」の図柄、がそれぞれ配置されている。
<入賞役の種類>
次に、図3(b)を用いて、スロットマシン100の入賞役の種類について説明する。なお、同図は入賞役(作動役を含む)の種類、各入賞役に対応する図柄組合せ、各入賞役の作動または払出を示している。
本実施形態における入賞役のうち、ビッグボーナス(BB1、BB2)および、レギュラーボーナス(RB)はボーナス遊技に移行する役として、また、再遊技(リプレイ)は新たにメダルを投入することなく再遊技が可能となる役として、それぞれ入賞役とは区別され「作動役」と呼ばれる場合があるが、本実施形態における「入賞役」には、作動役である、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技が含まれる。また、本実施形態における「入賞」には、メダルの配当を伴わない(メダルの払い出しを伴わない)作動役の図柄組合せが有効ライン上に表示される場合も含まれ、例えば、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技への入賞が含まれる。
スロットマシン100の入賞役には、ビッグボーナス(BB1、BB2)と、レギュラーボーナス(RB)と、小役(チェリー、スイカ、ベル)と、再遊技(リプレイ)がある。なお、入賞役の種類は、これに限定されるものではなく、任意に採用できることは言うまでもない。
「ビッグボーナス(BB1、BB2)」(以下、単に、「BB」と称する場合がある)は、入賞により特別遊技であるビッグボーナス遊技(BB遊技)が開始される特別役(作動役)である。対応する図柄組合せは、BB1が「白7−白7−白7」、BB2が「青7−青7−青7」である。また、BB1、BB2についてはフラグ持越しを行う。すなわち、BB1、BB2に内部当選すると、これを示すフラグが立つ(主制御部300のRAM308の所定のエリア内に記憶される)が、その遊技においてBB1、BB2に入賞しなかったとしても、入賞するまで内部当選を示すフラグが立った状態が維持され、次遊技以降でもBB1、BB2に内部当選中となり、BB1に対応する図柄組み合わせ「白7−白7−白7」、BB2に対応する図柄組み合わせ「青7−青7−青7」が、揃って入賞する状態にある。
「レギュラーボーナス(RB)」は、入賞によりレギュラーボーナス遊技(RB遊技)が開始される特殊役(作動役)である。対応する図柄組合せは、「ボーナス−ボーナス−ボーナス」である。なお、RBについても上述のBBと同様にフラグ持越しを行う。但し、(詳細は後述するが)ビッグボーナス遊技(BB遊技)においては、レギュラーボーナス遊技(RB遊技)が内部当選することや、図柄組み合わせが入賞ライン上に表示されること、を開始条件とせずに、ビッグボーナス遊技の開始後からレギュラーボーナス遊技を開始し、1回のレギュラーボーナス遊技を終了した場合には次のレギュラーボーナス遊技をすぐに開始するような自動的にレギュラーボーナス遊技を開始させる設定としてもよい。
「小役(チェリー、スイカ、ベル)」(以下、単に、「チェリー」、「スイカ」、「ベル」と称する場合がある)は、入賞により所定数のメダルが払い出される入賞役で、対応する図柄組合せは、チェリーが「チェリー−ANY−ANY」、スイカが「スイカ−スイカ−スイカ」、ベルが「ベル−ベル−ベル」である。また、対応する払出枚数は同図に示す通りである。なお、「チェリー−ANY−ANY」の場合、左リール110の図柄が「チェリー」であればよく、中リール111と右リール112の図柄はどの図柄でもよい。
「再遊技(リプレイ)」は、入賞により次回の遊技でメダル(遊技媒体)の投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であり、メダルの払出は行われない。なお、対応する図柄組合せは、再遊技は「リプレイ−リプレイ−リプレイ」である。
<遊技状態の種類>
次に、スロットマシン100の遊技状態の種類について説明する。本実施例では、スロットマシン100の遊技状態は、通常遊技と、BB遊技と、RB遊技と、ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)の内部当選遊技と、に大別した。但し、通常遊技と、BB遊技と、RB遊技と、に大別するような区分けであってもよい。
<通常遊技>
通常遊技に内部当選する入賞役には、ビッグボーナス(BB)と、レギュラーボーナス(RB)と、再遊技(リプレイ)と、小役(チェリー、スイカ、ベル)がある。「ビッグボーナス(BB)」は、入賞により特別遊技であるビッグボーナス遊技(BB遊技)が開始される特別役(作動役)である。レギュラーボーナス(RB)」は、入賞によりレギュラーボーナス遊技(RB遊技)を開始する特殊役(作動役)である。「再遊技(リプレイ)」は、入賞により次回の遊技でメダルの投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であり、メダルの払出も行われない。「小役」は、入賞により所定数のメダルが払い出される入賞役である。
なお、各々の役の内部当選確率は、通常遊技に用意された抽選データから、各々の役に対応付けされた抽選データの範囲に該当する数値データを、内部抽選時に取得される乱数値の範囲の数値データ(例えば65535)で除した値で求められる。通常遊技に用意された抽選データは、予めいくつかの数値範囲に分割され、各数値範囲に各々の役やハズレを対応付けしている。内部抽選を実行した結果得られた乱数値が、何れの役に対応する抽選データに対応する値であったかを判定し、内部抽選役を決定する。この抽選データは少なくとも1つの役の当選確率を異ならせた設定1〜設定6が用意され、遊技店の係員等はいずれかの設定値を任意に選択し、設定することができる。
通常遊技は、内部抽選の結果が概ねハズレ(ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)、再遊技(リプレイ)および小役に当選していない)となる設定がされており、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数に満たない遊技状態になっている。よって、遊技者にとっては不利益となる遊技状態である。但し、予め定めた条件を満たした場合(例えば、特定の図柄組み合わせが表示された場合)には、再遊技の内部当選の確率を上昇させる変動をさせてもよい遊技状態であり、この場合、小役の入賞によって所定数のメダルが払い出されることにより、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数を超える遊技状態になり、遊技者にとっては利益となる遊技状態になる場合がある。
<BB遊技>
BB遊技は、遊技者にとっては利益となる遊技状態になるように設定されている。つまり、BB遊技は、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数を超える遊技状態となる。BB遊技は、本実施例では、ビッグボーナス(BB)の入賞により開始され、RB遊技(後述する)を連続して繰り返し実行可能になっており、遊技中に予め定められた一の数(例えば、465枚)を超えるメダルが獲得された場合に終了する。但し、BB遊技はRB遊技を連続して繰り返し実行可能とすることなく、RB遊技を開始する役(図柄組み合わせは例えば、リプレイ−リプレイ−リプレイ)を設定し、この役が内部当選した場合、または、入賞した場合に、RB遊技を開始するように設定してもよい。さらには、BB遊技は、BB遊技中のRB遊技を除くBB一般遊技を予め定めた回数(例えば、30回)実行した場合、または、BB遊技中に実行したRB遊技の回数が予め定めた回数に達した場合(例えば、3回)に終了するようにしてもよい。
<RB遊技>
RB遊技は、遊技者にとっては利益となる遊技状態になるように設定されている。つまり、RB遊技は、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数を超える遊技状態となる。RB遊技は、本実施例では、レギュラーボーナス(RB)の入賞により開始され、予め定めた一の役が内部当選の確率を上昇させる変動(例えば、「設定1」「通常遊技」に設定された「小役1」の内部当選確率1/15を、予め定めた一の値である内部当選確率1/1.2に上昇させる)をし、予め定めた一の数(例えば8回)の入賞があった場合に終了する。BB遊技は、予め定めた回数の入賞があった場合(例えば、8回)、または、RB遊技中に実行したRB遊技の回数が予め定めた回数に達した場合(例えば、8回)に終了するようにしてもよい。
<ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)の内部当選遊技>
ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)の内部当選遊技に内部当選する入賞役には、再遊技(リプレイ)と、小役がある。ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)は内部当選することはなく、ビッグボーナス(BB)かレギュラーボーナス(RB)に対応する図柄組み合わせを入賞させることが可能となっている遊技状態である。
但し、ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)に内部当選した次遊技から、再遊技の内部当選の確率を変動させてもよく、例えば、再遊技の内部当選の確率を上昇させる変動をさせて、ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)対応する図柄組み合わせが入賞するまでの間は、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数とほぼ同じとなる遊技状態とし、通常遊技と比べると遊技者にとっては利益となる遊技状態としてもよい。
<主制御部メイン処理>
図4を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部メイン処理について説明する。なお、同図は主制御部メイン処理の流れを示すフローチャートである。上述したように、主制御部300には、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路(リセット信号出力回路)338を設けている。この起動信号を入力した基本回路302のCPU304は、リセット割込によりリセットスタートしてROM306に予め記憶している制御プログラムに従って図4に示す主制御部メイン処理を実行する。
電源投入が行われると、まず、S1で各種の初期設定を行う。この初期設定では、CPU304のスタックポインタ(SP)へのスタック初期値の設定、割込禁止の設定、I/O310の初期設定、RAM308に記憶する各種変数の初期設定、WDT313への動作許可及び初期値の設定等を行う。
S2ではメダル投入・スタート操作受付処理を実行する。ここではメダルの投入の有無をチェックし、メダルの投入に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合は、前回の遊技で投入されたメダル枚数と同じ数のメダルを投入する処理を行うので、遊技者によるメダルの投入が不要となる。また、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタートレバー135の操作があればS3へ進む。
S3では投入されたメダル枚数を確定し、有効な入賞ラインを確定する。S4では乱数発生回路316で発生させた乱数を取得する。S5では、現在の遊技状態に応じてROM306に格納されている入賞役抽選テーブルを読み出し、これとS4で取得した乱数値とを用いて内部抽選を行う。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、その入賞役の内部当選フラグをONにする。S6では内部抽選結果に基づき、リール停止データを選択する。
S7では全リール110乃至112の回転を開始させる。S8では、ストップボタン137乃至139の受け付けが可能になり、いずれかのストップボタンが押されると、押されたストップボタンに対応するリール110乃至112の何れかをS6で選択したリール停止制御データに基づいて停止させる。リールの停止制御は、基本的には、内部当選した入賞役がある場合は、その入賞役に対応する図柄組み合わせが表示されることは許容し、ハズレ等の場合はいずれの役に対応する図柄組み合わせも表示されないように、いわゆる引き込み・蹴飛ばしといったリールの停止制御を行う。
全リール110乃至112が停止するとS9へ進む。S9では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、何らかの入賞役に対応する絵柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン上に「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならばベル入賞と判定する。また、フラグ持ち越しの場合を除き、内部当選フラグをリセットする。
S10では払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを入賞ライン数に応じて払い出す。S11では遊技状態制御処理を行う。遊技状態制御処理では、通常遊技、BB遊技、RB遊技、内部当選遊技、の各遊技状態の移行に関する処理を行い、それらの開始条件、終了条件の成立により、遊技状態を移行する。こうして本実施形態では、停止表示された図柄の組み合わせに基づいて遊技者に特典を付与している。以上により1ゲームが終了する。以降S2へ戻って上述した処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
<メダルセレクタ>
次に、前面扉102の背面に取り付けられるメダルセレクタ336について説明する。メダルセレクタ336はメダル投入口141から投入されたメダルが転動しながら通過するメダル通路を形成すると共に、正規のメダルの通過を検出する。なお、上流側、下流側とはメダルが流れる方向を基準とし、メダル投入口141側が上流側である。
図5はメダルセレクタ336の正面図である。メダルセレクタ336は、上流側の第1ユニット10と、下流側の第2ユニット20と、を備え、メダル投入口141から投入されたメダルは、第1ユニット10、第2ユニット20の順にこれらを通過する。まず、第2ユニット20の構成について説明する。
<第2ユニット>
図6(a)は第2ユニット20の分解斜視図である。第2ユニット20は、本体部21と、本体部21と着脱可能なガイド部材22と、本体部21の下部に着脱可能なカバー部材23と、を備え、固定部材24を介して前面扉102の背面に取り付けられる。固定部材24は、第2ユニット20を通過したメダルを不図示のメダル払出装置へ案内するレール部材24aを備える。
本体部21はガイド板部21aを備えており、ガイド部材22を本体部21に取り付けた状態では、ガイド部材22のガイド板部22aとガイド板部21aとが隙間を置いて対向して配置されてメダルの受け入れ部が形成される。第1ユニット10を通過したメダルはまず、この受け入れ部を通過する。本体部21には断面L字型の下側のガイドレール部21bと上側のガイドレール部21cとが設けられており、投入されたメダルはこれらのガイドレール部21b及び21cに沿って第2ユニット20内を転動して通過する。ガイド部材22には、メダルの通路に直交する方向に回動可能なガイド片22bが設けられ、通過するメダルの側面に当接してメダルがガイド部材22側へ傾倒しないようにメダルを案内する。
ガイドレール部21cは通過するメダルの上端の僅かな範囲を案内するように設定されており、正規のメダルよりも小径の非正規メダルが通過しようとすると、ガイドレール部21cに案内されずに脱落することになる。なお、メダル投入口141の穴は正規のメダルの直径と略ピッタリの大きさと成っているため、正規のメダルよりも大径の非正規メダルはメダル投入口141から投入することができない。
次に、本体部21にはメダルの通路に直交する方向に回動可能な可動片21dが設けられている。そして、メダル詰まりが生じた場合にはメダル返却ボタン133を押圧することで、可動片21dがメダル通路側へ回動して詰まったメダルが第2ユニット20から脱落することになる。
また、本体部21には、メダルの通路に直交する方向に回動可能なメダルブロッカ21eと、メダルブロッカ21eに回動力を付勢する電磁ソレノイド21fが設けられており、スタートレバー135の操作後等のメダルの投入が行われない状態ではメダルが通過できないようにメダルブロッカ21eを返却状態(メダルブロッカ21eがメダルの通路に突出してメダル通路が閉じられた状態)とする。
本体部21のメダルの通路の下流端にはセンサユニット21gが配置されている。図6(b)に示すようにセンサユニット21gは2つのメダル検出センサ320a及び320bが内蔵されている。メダル検出センサ320a及び320bは光学式のセンサであり、図6(c)に示すように受光素子と発光素子とを備え、これらの間をメダルが通過し、発光素子からの光が遮断されることでメダルの通過を検出する。図6(b)に示すように、メダル検出センサ320a及び320bはメダルの通路に沿って配置されており、メダル検出センサ320aが通路の上流側に、メダル検出センサ320bが通路の下流側に配設されている。なお、本実施形態では2つのメダル検出センサ320a及び320bを設けているが、これに限られず、一つでもよいし3以上設けてもよい。
<第1ユニット>
次に、第1ユニット10の構成について説明する。図5を参照して、第1ユニット10は、その表面を覆うカバー部材11、メダル検出センサ18を備える。カバー部材11は把持部11aを有し、第1ユニット10からカバー部材11を取り外す際に利用される。図7(a)はカバー部材11を省略した第1ユニット10の正面図である。
第1ユニット10は、カバー部材11がその正面に着脱自在に装着されるベース部材12を備える。ベース部材12は、その表側に、メダル通路を形成する上下方向に延びた凹部12aを有する。この凹部12aの底面とカバー部材11の背面とは、メダル通路の奥行き方向(メダルの厚み方向)の壁を形成する。
ベース部材12には、側壁形成部材13が固定されている。側壁形成部材13は板状をなし、その側面は、第1ユニット10を通過するメダルの周面が当接する、メダル通路の一方の側壁W1を形成する。側壁形成部材13には、取付孔13a、13bが形成されており、ベース部材12から突起した軸部材を取付孔13a、13bに挿入してかしめることで、側壁形成部材13をベース部材12に固定する。
取付孔13bは左右に延びる長孔となっており、側壁W1の向きないし位置を調整可能になっており、メダル検出センサ18との距離を微調整可能になっている。例えば、正規メダルを使用する遊技台からゲームセンター用ゲーム機として出荷する場合に、25mmから24mmの小さいサイズを正規メダルとして検知する必要があるが、この場合には側壁形成部材13を調整すれば良い。すなわち、遊技台とゲームセンター用ゲーム機との互換性を図ることができる場合がある。なお、本実施形態では側壁形成部材13とベース部材12とを別部材として両者を固定する構成としたが、これらを一体成形してもよい。
第1ユニット10は、軸部材15に回動自在に支持された可動部材14を備える。軸部材15はベース部材12又はカバー部材11のいずれかに支持される。軸部材15の中心軸線は、メダル通路の奥行き方向(メダルの厚み方向)と平行な方向であり、可動部材14は、メダル通路の奥行き方向と平行な軸線回りに回動する。図8(a)は背面側から見た可動部材14の斜視図である。
可動部材14は、他方側壁部14aと、セパレート部14bと、可動部材14の背面側に突出した突起片14cと、軸部材15が挿通する孔14dと、を備える。他方側壁部14の側面は、第1ユニット10を通過するメダルの周面が当接する、メダル通路の他方の側壁W2を形成する。セパレート部14bは、その周囲よりも側壁W1側に突起しており、半円形状をなしている。
本実施形態の場合、セパレート部14bは、可動部材14の回動中心(孔14dの中心)よりもメダル通路の上流側に位置し、他方側壁部14aはセパレート部14bよりもメダル通路の下流側に位置している。本実施形態の場合、特に、他方側壁部14aは可動部材14の回動中心よりも下流側に位置している。したがって、可動部材14が時計回りに回動すれば、セパレート部14bが側壁W1側へ進出し、他方側壁部14aは側壁W1から後退し、可動部材14が反時計回りに回動すれば、セパレート部14bが側壁W1から後退し、他方側壁部14aは側壁W1側へ進出する。
突起片14cは、ベース部材12に設けたスリット12bを通過してベース部材12の背面側に突出する。ベース部材12の背面側には回動検出センサ19が配置されている。図8(b)は回動検出センサ19の斜視図である。回動検出センサ19は、光学式のセンサであり、突起片14cが通過可能なスリット19aを有し、スリット19aの一方側に発光素子を有する発光素子部19bが、他方側に受光素子を有する受光素子部19cが、それぞれ設けられている。回動検出センサ19は、スリット19aを突起片14cが通過し、発光素子からの光が遮断されることで可動部材14の回動を検出する。回動検出センサ19は、可動部材14が図7(a)の初期位置から時計回りに所定角度以上回動すると、これを検出する。
図7(a)に戻り、第1ユニットは弾性部材16、17を備える。弾性部材16、17はカバー部材11の背面に設けた取付部16a、17aを介してカバー部材11の背面に支持されている。弾性部材16、17は本実施形態の場合、コイルスプリングであり、弾性部材16は可動部材14を反時計回りに回動する方向に付勢し、弾性部材17は可動部材14を時計回りに回動する方向に付勢する。
本実施形態の場合、これらの弾性部材16、17は可動部材14が、図7(a)に示す初期位置にあるように付勢する。つまり、図7(a)の状態において、弾性部材16、17から可動部材14へ付与される付勢力は釣り合っているか、或いは、共に付勢力が無い状態にある。なお、本実施形態では、このように弾性部材16、17を用いて可動部材14を図7(a)の初期位置に位置させる回動習性を与えるようにしたが、これらを用いない構成も可能である。例えば、初期位置において可動部材14の重心位置が、その回動中心を通る鉛直線上に位置するように可動部材14の重量配分を設定することで、可動部材14を初期位置に位置させる回動習性を与えることができる。
図7(a)に示す、メダルが非通過時の初期位置において可動部材14は、セパレート部14bが後述する通過規制位置から後退し、側壁W2が第1ユニット10を通過するメダルと側壁W2とが干渉するよう、側壁W1、W2間の最小離間距離がメダルの直径よりも小さい位置に位置している。
メダル検出センサ18は、可動部材14の回動中心よりもメダル通路の下流側に位置し、側壁W1から離間して側壁W1に対峙する位置に配置されている。図7(b)は図7(a)の線X−Xに沿うメダル検出センサ18の断面図である。メダル検出センサ18は、光学式のセンサであり、スリット18aを有し、スリット18aの一方側に発光素子18bが、他方側に受光素子18cが、それぞれ設けられている。メダル検出センサ18は、スリット18aを物体、つまり、メダルが通過し、発光素子18bからの光が遮断されることでメダルの通過を検出する。
メダル検出センサ18の検出位置は、発光素子18bと受光素子18cとを結ぶ仮想線L2である。図7(a)において、仮想円Cは、可動部材14の回動中心を中心とし、該回動中心から他方側壁部14aの下端部までの距離を半径とする円である。したがって、他方側壁部14aの下端部の移動軌跡は仮想円Cに含まれる。本実施形態の場合、他方側壁部14aの下端部の移動軌跡は、スリット18aを通過している。但し、メダル検出センサ18の検出位置は通過せず、検出位置の僅かに上方を通過する。
図7(a)を参照して、検出位置を示す仮想線L2と、側壁W1の距離D2について説明する。ここで、距離D2は側壁W1の法線方向の距離であり、側壁W1と仮想線L2との最短距離である。この距離D2は、正規メダルRMの直径D1以下であって、正規メダルRMよりも小径で、遊技メダルとして排除対象の非正規メダルIRMの直径D2を超えて設定されている。このため、メダルが側壁W1にぴったりと当接しながらメダル通路を移動する限り、正規メダルRMの通過はメダル検出センサ18によって検出されるが、非正規メダルIRMの通過は検出されないことになる。
次に、図9を参照して第1ユニット10の動作を説明する。図9は、2枚のメダルが連続して投入された場合の、第1ユニット10の動作説明図であり、第1ユニット10の挙動を状態T1〜T12に分けて示している。状態T1はメダルの投入待ちの状態を示しており、可動部材14は初期位置に位置している。状態T2は、メダル投入口141に投入されたメダルMが第1ユニット10に進入してきた状態を示す。状態T2は可動部材14のセパレート部14bにメダルMが当接し、可動部材14が反時計回りに若干回動した様子を示している。
状態T4は先行するメダルMが可動部材14の他方側壁部14aの側壁W2に当接し、連続して投入された後続のメダルMが第1ユニット10に進入してきた状態を示す。このとき、弾性部材17による付勢と先行するメダルMの自重とにより可動部材14には時計回りの回動力が付勢される。
状態T5は、先行するメダルMの通過により可動部材14が時計回りに回動した状態を示す。弾性部材16の働きにより可動部材14は初期位置に戻ろうとするため、状態T4から状態T5へ移行する間、側壁W1、W2間を通過するメダルMは側壁W2により側壁W1に押圧される一方、自重によりこの押圧に抗してメダルMが側壁W1、W2間を移動することにより、可動部材14には時計回りの回動が生じる。側壁W2は、通過中のメダルMの直径分、側壁W1から離間することになる。この時計回りの回動は回動検出センサ19で検出される。そして、この回動により、セパレート部14bが、先行する通過中のメダルMと後続のメダルMとの間の位置となる通過規制位置に進出する。
状態T6及びT7は先行するメダルMがメダル検出センサ18を通過し、後続のメダルMがセパレート部14bの存在により通路幅が狭くなった結果、その移動が規制された状態を示す。可動部材14の他方側壁部14aの下端はメダル検出センサ18のスリット18a内に入り込んでおり、メダルMがメダル検出センサ18を通過完了するぎりぎりまで、側壁W2がメダルMを側壁W1に押圧するようにしている。
そして、上記の通り、メダル検出センサ18を通過するメダルMが正規メダルRMである場合にはメダル検出センサ18によりその通過が検出され、非正規メダルIRMである場合には通過が検出されない。また、後続のメダルMがセパレート部14bにより移動が規制されることで、先行するメダルMとの一定以上の通過間隔が確保される。
状態T8乃至T12は、後続のメダルMが側壁W1、W2間を通過する状態を示し、可動部材14の挙動は状態T3〜T6と同様である。状態T7から状態T8へ移行する際、可動部材14は、反時計回りに回動するが、その際の力関係を図10を参照して説明する。
図10は状態T7の場合に可動部材14に作用する力関係の説明図である。メダルMから受ける力を鉛直方向の力F1、水平方向の力F2で分けて考え、それらの作用線と可動部材14の回動中心との垂線の距離をL11、L12とする。また、弾性部材16の付勢方向は水平方向とみなし、その作用線と可動部材14の回動中心との垂線の距離をL13とする。しかして、F1×L11+F3×L13>F2×L12が成立すれば、可動部材14は反時計回りに回動することになる。
このように本実施形態では、メダルMが連続投入されても、セパレート部14bにより先行するメダルMと後続のメダルMとに一定以上の通過間隔が確保されるので、メダル詰まりの発生が防止でき、小径の非正規メダルの誤検出を低減することができる。また、1つの可動部材14で、メダルMの側壁W1への押圧(幅寄せ)と、メダルの通過間隔の確保ができ、部品点数を減らすことができる。
<第1ユニット10の他の構成例>
図7に示した例では、凹部12aの幅を、略正規メダルの直径としているが、そうでない構成も採用できる。図17は第1ユニット10の他の構成例を示す図である。図17の例では凹部12aの上端の幅D4は、略正規メダルの直径としているが、その下流側は広くなっている(図7の例と比べると、凹部12aの右側の壁が無い。)。この例の場合、凹部12aの上端から、初期位置にある可動部材14のセパレート部14bまでの距離D5までの距離を正規メダルの直径未満とすることで、正規メダルが確実にセパレート部14bに当たるようにすることができる。
<メダルセレクタ全体のメダルの流れ>
次にメダルセレクタ336全体でのメダルの流れを図11を参照して説明する。図11はメダルセレクタ336におけるメダルの通過態様を示す図である。メダル投入口141に投入されたメダルは、まず、第1ユニット10に進入する(同図A)。第1ユニット10にメダルが進入すると、可動部材14が回動して正規、非正規を問わず、メダルの進入が回動検出センサ19により検出される。その後、正規メダルはメダル検出センサ18で検出される。
第1ユニット10を通過したメダルは第2ユニット20に進入する。第2ユニット20ではメダルは受け入れ部をまず通過し、ガイドレール部21b及び21cに案内されて第2ユニット20内を転動していく(同図B乃至D)。この際、非正規メダルは脱落し、メダル払出口155へ至り、遊技者に返却されることになる。正規メダルは同図のDの位置においてメダル検出センサ320a及び320bにより通過が検出され、その後、固定部材24のレール部24aに案内されてメダル払出装置へ落下することになる。
図12は、1枚の正規メダルがメダルセレクタ336を通過する際の各センサ(19、18、320a、320b)の検出タイミングを示す図である。メダルセレクタ336にメダルが進入すると、まず、第1ユニット10の可動部材14が回動するので、回動検出センサ19がこれを検出した状態となり、続いて、メダル検出センサ18、320a、320bが順次メダルの通過を検出する。非正規メダルが通過する場合は、メダル検出センサ18、320a、320bによりその通過が検出される場合はない。
<処理例>
メダルセレクタ336に関するCPU304の処理例について説明する。図13はS2のメダル投入・スタート操作受付処理のフローチャートである。S21では規定枚数を設定する。規定枚数とは、その遊技においてベット可能な最大のメダル数を意味する。規定枚数は、スロットマシン100の遊技の仕様によるが、例えば、通常遊技の場合は3枚に設定される。
S22ではメダル投入異常か否かが判定され、該当する場合はS23へ進み、そうでない場合はS24へ進む。メダル投入異常か否かは、後述する割り込み処理においてエラーが設定されたか否かに依存する。S24では、投入されたメダルの枚数が1枚以上か否かを判定する。該当する場合はS25へ進み、そうでない場合はS22へ戻る。S25ではスタートレバー135が操作されたか否かを判定する。該当する場合は一単位の処理を終了する。
S23ではエラー処理を行う。エラー処理の内容は種々選択できる。例えば、表示器126に所定のエラーコードを表示させ、遊技を中断する。この状態はスロットマシン100に設けられたリセットスイッチが操作されると解除される。なお、エラー処理の内容はこれに限られず、例えば、警報を発したり、或いは、ホールコンピュータにエラーが生じたことを示す情報を送信する、といったことが挙げられる。
<割り込み処理>
次に、図14(a)を参照してCPU304の割り込み処理の例について説明する。S31ではCPU304の各レジスタの情報をRAM308に退避する等の処理(現在処理中のデータの一時保存)を行う。S32では、I/Oインタフェース310の入力ポートのデータを取得し、RAM308の所定のエリアに保存する。保存するデータには、回動検出センサ19、メダル検出センサ18、320a、320bの各検出結果が含まれる。以下、これらのセンサの検出結果をセンサ状態ともいう。なお、RAM308の上記所定のエリアにはセンサ状態を含む複数回分の入力ポートのデータが保存され、S32では今回取得したデータを最も古いデータに上書きする。
S33では、現在のメイン処理が、メダル投入・スタート操作受付処理中であるか否かを判定する。該当する場合はS34へ進んで後述する遊技開始関連処理を行い、該当しない場合はS35で他の処理を行う。S36ではタイマカウンタを更新する処理を行う。タイマカウンタは後述するタイマ1及び2を含み複数種類存在する。タイマ1及び2の計時中は、このS36の処理にてカウント値をカウントアップする。S37ではS31で退避した各レジスタの情報を復帰する等の処理を行い、1単位の割り込み処理が終了する。
次に、図14(b)を参照してS34の遊技開始関連処理について説明する。S41では後述するメダル検出・エラー判定処理を行う。S42ではその他の処理を行う。
次に、図15及び図16を参照してS41のメダル検出・エラー判定処理を説明する。ここでは、メダル投入口141から投入されたメダルの投入数の管理や、メダルの投入に関わる不正行為を防止するための処理を行う。本実施形態では、メダル検出センサ18により、正規メダルの投入数をカウントし、回動検出センサ19やメダル検出センサ320a、320bは、不正行為の検出に用いる。
S51ではRAM308に保存してある前回のセンサ状態を取得する。S52ではRAM308に保存してある今回のセンサ状態を取得する。S53では、S51とS52で取得したセンサ状態に基づいて、メダル検出センサ18がOFFからONに変化したか否かを判定する。該当する場合はS60へ進み、該当しない場合はS54へ進む。
S60ではS52で取得したセンサ状態に基づいて、回動検出センサ19がON中か否かを判定する。該当する場合はS61へ進み、該当しない場合はS67へ進む。正規メダルの通過がメダル検出センサ18に検出される場合、回動検出センサ19はONのはずなので(図12)、ONでない場合は不正行為の蓋然性が高いとしてS67へ進む。
S61では、メダル検出センサ18のON時間を計時するタイマ1の計時を開始する。本実施形態では、メダル検出センサ18が長時間連続してONになっている場合(例えば、5秒以上)、不正行為の蓋然性が高いと判断すべく、タイマ1でON時間を計時する。
S62では、メダルの投入枚数が図13のS21で設定した規定枚数よりも少ないか否かを判定する。該当する場合はS64へ進み、ベット枚数として投入されたメダルを加算する。該当しない場合はS63へ進み、貯留枚数がその最大数である50よりも小さいか否かを判定する。該当する場合はS64へ進み、スロットマシン100に電子的に貯留されるクレジットのメダルとして投入されたメダルを加算する。該当しない場合は、メダル払出装置からメダルを1枚返却してS65へ進む。
S65では、エラー判別用のメダル数を1つ加算する。本実施形態では、メダル検出センサ18の検出数と、メダル検出センサ320a、320bの検出数とに所定数の差が生じた場合は不正行為の蓋然性が高いと判断する。このため、S66ではS65の加算後の値が規定値(例えば、4枚)を越えたか否かを判定する。該当する場合はS67へ進み、エラーを設定し、該当しない場合はS55へ進む。S67でエラーが設定されると、図13のS23でエラー処理がなされることになる。
S54では、S51とS52で取得したセンサ状態に基づいて、メダル検出センサ18がONからOFFに変化したか否かを判定する。該当する場合はS57へ進み、該当しない場合はS55へ進む。S57ではタイマ1が計時中であれば、その計時を終了する。
S55では、S51とS52で取得したセンサ状態に基づいて、回動検出センサ19がOFFからONに変化したか否かを判定する。該当する場合はS58へ進み、該当しない場合はS56へ進む。S57では回動検出センサ19のON時間を計時するタイマ2の計時を開始する。本実施形態では、回動検出センサ19が長時間連続してONになっている場合(例えば、1分以上)、不正行為の蓋然性が高いと判断すべく、タイマ2でON時間を計時する。
S56では、S51とS52で取得したセンサ状態に基づいて、メダル検出センサ19がONからOFFに変化したか否かを判定する。該当する場合はS59へ進み、該当しない場合はS68へ進む。S59ではタイマ2が計時中であれば、その計時を終了する。
S68では、S51とS52で取得したセンサ状態に基づいて、メダル検出センサ320a、320bの検出結果が変化したか否かを判定する。該当する場合はS71へ進み、該当しない場合はS69へ進む。
S71では正常通過判定データを取得する。正常通過判定データとは、投入されたメダルが正常にメダル検出センサ320a、320bを通過しているか否かを判定するためのデータでありROM306に格納される。図12に示した通り、メダルが正常に通過した場合は、メダル検出センサ320aがON→メダル検出センサ320bがON→メダル検出センサ320bがOFF→メダル検出センサ320bがOFFと推移する。正常通過判定データは、この推移を示すデータである。
S72では、S51とS52で取得したセンサ状態とS71で取得した正常通過判定データとを比較して、正常通過中であるか否かを判定する。正常通過中の場合はS73へ進み、そうでない場合はS70へ進む。S70ではエラーを設定する。S70でエラーが設定されると、図13のS23でエラー処理がなされることになる。
S73では、今回のメダル検出センサ320a、320bの変化によりメダルが正常に通過を完了したか否かを判定する。通過を完了したと判定した場合はS74へ進み、完了しておらず、正常通過途中であると判定した場合はS69へ進む。S74では、エラー判別用のメダル数を1つ減算する。S65とS74の処理により、エラー判別用のメダル数は、タイムラグがあるものの、正常にメダルが通過し、検出されておれば0に維持される。
S69では、タイマ1又はタイマ2がタイムオーバか否かを判定する。該当する場合はS70へ進み、エラー設定を行う。該当しない場合は一単位の処理を終了する。このように本実施形態では、メダル投入に関する不正行為を防止することもできる。