JP2011097324A - 画像読取装置,画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】原稿から画像データを読み取る際にメモリのオーバーフローが発生した場合に,原稿からの画像データの再読込を要することなく,且つ画質の低下をできるだけ抑制しながら,そのオーバーフローを自動的に解消して画像データの読み取りを継続することのできる画像読取装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像読取部21によって読み取られる原稿の所定領域ごとの画像データを記憶する複数の記憶領域221〜225と,JPEG圧縮部23で圧縮された後の所定領域ごとの画像データを記憶する複数の記憶領域241〜245とを備えてなり,JPEG圧縮部23による画像圧縮処理後の画像データのデータ量が記憶領域241〜245のデータ容量を超えた場合は,その記憶領域221〜225に記憶された画像データに対し,初期圧縮率から所定値ずつ増加させた圧縮率で画像圧縮処理を施すよう構成される。
【選択図】図3

Description

本発明は,原稿の画像を画像データとして読み取ってメモリに記憶する画像読取装置及びこれを備えてなる画像形成装置に関し,特に,原稿から読み取られた画像データに画像圧縮処理を施してからメモリに記憶するための技術に関するものである。
一般に,原稿から光電変換によって読み取った画像データに画像圧縮処理を施してからメモリに記憶し,そのメモリに記憶された画像データに基づいて画像形成処理を実行する画像記録装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
ここで,特許文献1にも開示されているように,基本的に原稿から読み取った画像データに施される画像圧縮処理における圧縮率は予め設定されている。そのため,画像圧縮処理後の画像データを記憶するためのメモリの容量もその圧縮率に応じて予め設定される。但し,原稿の画像内容(文字,図形,写真など)によっては,その原稿から読み取られた画像データがその画像圧縮処理によっても十分に圧縮されず,圧縮後の画像データを格納するために確保されたメモリのデータ容量を超えるオーバーフローが生じるおそれがある。
そこで,例えば特許文献1では,原稿から画像データを読み取る際にメモリにオーバーフローが生じた場合には,画像データの読み取りを中止して,自動的に画像データの圧縮率を高く変更し,原稿を一枚目に戻してもう一度一枚目の原稿から画像データの読み取りを行うことが提案されている。これにより,原稿から画像データを読み取る際にメモリのオーバーフローが発生しても,ユーザによる圧縮率の再設定や原稿をセットし直すという操作を要することなく,原稿の画像データの読み取りを正常に終了させることができる。
特開平8−65474号公報
しかしながら,前記特許文献1に係る構成では,原稿からの画像データの読み取りを再度行う必要があるため,その原稿を画像データの読み取りが可能な位置まで自動的に移動させる機械的構造が必要となり,更にその機械的構造について再読込時の原稿の位置合わせの精度も問題となる。
また,画像データの圧縮率を変更する度に原稿の画像データの読み取りが繰り返されるため,一連の画像読取処理が終了するまでの所要時間が長くなるという問題もある。特に,極力画質の低下を抑えるために自動的な圧縮率の上げ幅を小さくすると,何度もその原稿から画像データを読み取ることとなって処理時間の遅延が増大する。一方,その圧縮率の上げ幅を十分に大きくすると,必要以上に圧縮率が増加されることにより無駄に画質を低下させてしまうおそれがある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,原稿から画像データを読み取る際にメモリのオーバーフローが発生した場合に,原稿からの画像データの再読込を要することなく,且つ画質の低下をできるだけ抑制しながら,そのオーバーフローを自動的に解消して画像データの読み取りを継続することのできる画像読取装置及び画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,所定の画像読取手段によって読み取られる原稿の所定領域ごとの画像データを記憶する複数の第1の画像記憶部と,前記第1の画像記憶部各々に記憶された前記所定領域ごとの画像データに予め設定された初期圧縮率で画像圧縮処理を施す画像データ圧縮手段と,前記画像データ圧縮手段による画像圧縮処理後の前記所定領域ごとの画像データを記憶する複数の第2の画像記憶部とを備えてなり,前記画像データ圧縮手段が,前記所定領域の画像データの前記画像圧縮処理後のデータ量が前記第2の画像記憶部のデータ容量を超えた場合は,少なくとも該所定領域の画像データに対応する前記第1の画像記憶部に記憶された画像データに対し,圧縮後の画像データ量が前記第2の画像記憶部のデータ容量以下となるまで,前記初期圧縮率から所定値ずつ増加させた圧縮率で画像圧縮処理を施してなることを特徴として構成される。なお,複数の前記第2の画像記憶部は,個別に設けられた小容量のメモリであってもよいが,例えば一の画像記憶装置(メモリ)内で予め確保された複数の記憶領域であることも考えられる。
ここで,前記画像圧縮処理はJPEG方式による画像圧縮処理であることが考えられる。この場合,前記画像データ圧縮手段は,前記画像圧縮処理で用いられる量子化テーブルやハフマンテーブルのパラメータを変更することによって前記圧縮率を増加させることが可能である。なお,前記圧縮率とは,その値が高いほど圧縮後のデータ量が小さくなるものであるとする。
本発明によれば,前記画像データ圧縮手段による圧縮後の画像データのデータ量が前記第2の画像記憶部のデータ容量を超えるオーバーフローが生じた場合であっても,前記第1の画像記憶部に記憶された画像データに,自動的に増加させた圧縮率で再度の画像圧縮処理を施すことによって前記オーバーフローを解消することができるため,原稿からの画像データの再読込を要することなく,その原稿の画像データの読み取りを継続して行うことができる。また,前記第1の画像記憶部に記憶された画像データに対して変更後の圧縮率で画像圧縮処理を施しているため,できるだけ画質を劣化させないように前記圧縮率の増加量を小さくして数回の画像圧縮処理を実行させたとしても,原稿からの画像データの読取処理を繰り返す場合に比べればその画像圧縮処理に要する時間は短縮することができる。
ところで,前記画像圧縮処理における圧縮率を高めるほど,読み取られた画像データによって再現される画質が低下することとなるため,前記画像データ圧縮手段が,前記圧縮率の増加を予め設定された上限値以下の範囲で行うものであることが考えられる。これにより,予め前記上限値を適切に設定しておけば,前記画像圧縮処理における圧縮率が高くなりすぎることを防止し,過度に画質が低下した画像読取処理が実行されることを防止することができる。
なお,ユーザが画質を問わない運用を望む場合も考えられる。そのため,前記画像データ圧縮手段が,前記圧縮率が前記上限値を超える場合には,該圧縮率の増加の許否の問い合わせを所定の表示手段に表示させ,所定の入力手段による入力結果に応じて前記圧縮率の増加を継続し若しくは中止するものであることも考えられる。これにより,通常は前記上限値以下の範囲で自動的な圧縮率の変化により画像データの読み取りの継続を実現しつつも,圧縮率が増加し過ぎて画質が著しく低下するおそれがある場合には,その画質が低下する状態での画像読取処理の実行の許否をユーザに判断させることが可能となり,ユーザの所望の処理結果を得ることができる。
また,原稿から画像データを読み取る際,前記第2の画像記憶部のオーバーフローが1回又は複数回生じた場合には,その原稿の読み取りを継続すると,その後も前記第2の画像記憶部のオーバーフローが発生する可能性がある。そこで,前記画像データ圧縮手段が,予め設定された数の前記所定領域の画像データについて圧縮後のデータ量が前記第2の画像記憶部のデータ容量を超えたことを条件に,当該原稿についてそれ以降に読み取られる前記所定領域ごとの画像データの前記画像圧縮処理における前記初期圧縮率を該初期圧縮率よりも高い第2の初期圧縮率に設定するものであることが考えられる。これにより,前記第2の画像記憶部のオーバーフローが生じるおそれを未然に低減することができ,複数の前記所定領域の画像データについて複数回の画像圧縮処理が実行される場合に比べて画像読取処理の所要時間の短縮を図ることができる。また,一つの原稿において前記所定領域ごとの画質が何度も変化することを防止し,読み取られた画像データにより再現される画像の違和感をなくすことができる。
このとき,前記第2の初期圧縮率は,当該原稿の画像データの読み取りにおいて変更された後の最大の圧縮率であることが考えられる。これにより,それ以降の前記所定領域の画像データについて前記第2の画像記憶部のオーバーフローの発生率を極力抑制することができる。
また,本発明は,このように構成された前記画像読取装置を備えてなり,前記第2の画像記憶部各々に記憶された画像データに基づいて画像形成処理を実行する画像形成装置の発明として捉えることもできる。
このように構成された画像形成装置では,前記画像データ圧縮手段による圧縮後の画像データのデータ量が前記第2の画像記憶部のデータ容量を超えるオーバーフローが生じた場合であっても,前記第1の画像記憶部に記憶された画像データに,自動的に増加させた圧縮率で再度の画像圧縮処理を施すことによって前記オーバーフローを解消することができるため,原稿からの画像データの再読込を要することなく,その原稿の画像データの読み取りを継続させ,該画像データに基づく画像形成処理を継続して行うことができる。
本発明によれば,前記画像データ圧縮手段による圧縮後の画像データのデータ量が前記第2の画像記憶部のデータ容量を超えるオーバーフローが生じた場合であっても,前記第1の画像記憶部に記憶された画像データに,自動的に増加させた圧縮率で再度の画像圧縮処理を施すことによって前記オーバーフローを解消することができるため,原稿からの画像データの再読込を要することなく,その原稿の画像データの読み取りを継続して行うことができる。また,前記第1の画像記憶部に記憶された画像データに対して変更後の圧縮率で画像圧縮処理を施しているため,できるだけ画質を劣化させないように前記圧縮率の増加量を小さくして数回の画像圧縮処理を実行させたとしても,原稿からの画像データの読取処理を繰り返す場合に比べればその画像圧縮処理に要する時間は短縮することができる。
本発明の実施の形態に係る複合機Xの概略構成を示すブロック図。 本発明の実施の形態に係る画像読取装置2の概略構成を示すブロック図。 本発明の実施の形態に係る複合機Xの画像読取装置2で実行される画像読取処理の手順の一例を説明するフローチャート。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず,図1のブロック図を用いて,本発明の実施の形態に係る複合機(MFP)Xの概略構成について説明する。なお,前記複合機Xは,本発明に係る画像形成装置の一例に過ぎず,例えば複写機,ファクシミリ装置なども本発明に係る画像形成装置に該当する。また,本発明は,後述の画像読取装置2を有するスキャナ装置などの画像読取装置の発明として捉えてもよい。
図1に示すように,前記複合機Xは,操作表示部1,画像読取装置2,データ記憶部3,画像処理部4,画像形成部5,及びこれらを統括的に制御する制御部6などを備えて概略構成されている。
前記制御部6は,CPUやROM,RAM等からなり,該CPUがROMに格納された制御プログラムに従った処理を実行することにより当該複合機Xを統括的に制御するものである。具体的に,前記制御部6は,前記操作表示部1に対するユーザの操作入力により該操作表示部1から入力される操作信号に従って前記各構成要素を制御することにより,当該複合機Xにおいて複写機能,プリンタ機能,スキャナ機能,ファクシミリ機能などの各種機能を実現する。
前記操作表示部1は,液晶パネルやタッチパネル,操作ボタンなどを有するユーザインターフェースであり,前記複合機Xにおける各種の情報表示及びユーザ操作が行われる。
前記画像読取装置2は,不図示の原稿台やADF(自動搬送装置)にセットされた原稿の画像データを読み取り,その読み取った画像データを前記データ記憶部3又は前記画像処理部4に出力する。本発明の実施の形態に係る前記複合機Xは,前記画像読取装置2の構成及び動作に特徴を有しており,この点については後段で詳述する。
前記データ記憶部3は,ハードディスクやEPROMなどの読み書き可能な情報記憶手段であって,前記画像読取装置2から入力された画像データを記憶する。なお,前記複合機XがLAN等のネットワークを介してパソコン等の情報処理装置と接続可能なものである場合は,その情報処理装置から転送された画像データも前記データ記憶部3に格納される。
前記画像処理部4は,前記画像読取装置2又は前記データ記憶部3から入力される画像データに対して各種の画像処理を施すことにより,その画像データを前記画像形成部5の印刷形式に対応した画像データ(YMCKデータ)に変換して該画像形成部5に出力する。
前記画像形成部5は,前記画像処理部4から入力された画像データに応じた可視像(例えばトナー像)を記録紙に転写させて定着させる画像形成処理を実行するものである。具体的に,前記画像形成部5には,感光体ドラム,該感光体ドラムの表面を所定電位に一様に帯電させる帯電装置,前記感光体ドラムの表面を露光走査して静電潜像を形成するLSU,前記静電潜像にトナーを付着させて現像する現像装置,現像されたトナー画像を記録紙に転写する転写装置,転写されたトナー像を記録紙に定着させる定着装置など,電子写真方式の画像形成装置が備える周知の各種装置が設けられている。
以下,図2を用いて,前記画像読取装置2について詳説する。
図2に示すように,前記画像読取装置2は,画像読取部21(所定の画像読取手段の一例),入力メモリ22(第1の画像記憶部の一例),JPEG圧縮部23(画像データ圧縮手段の一例),出力メモリ24(第2の画像記憶部の一例),画像読取制御部25などを有している。前記入力メモリ22及び前記出力メモリ24は,データの読み書きが可能なSRAMやDRAMなどの半導体メモリである。
前記画像読取制御部25は,MPUやRAM,ROMなどを有しており,該MPUによって所定の制御プログラムが実行されることにより前記画像読取装置2の各構成要素を制御する。もちろん,前記画像読取制御部25は,ASICなどの集積回路で構成されたものであってもよい。
前記画像読取部21は,不図示の原稿台にセットされた原稿やADFによって搬送される原稿の画像を光電変換によって読み取るCCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等のイメージセンサを有している。前記画像読取制御部25は,前記画像読取部21を制御して前記原稿の画像をライン毎に読み取らせ,読み取り後のRGB形式の画像データをYUV形式の画像データに変換して前記入力メモリ22に記憶させる。
ここに,前記入力メモリ22は,図2に示すように,内部の記憶容量を5つに分割した記憶領域221〜225を有しており,該記憶領域221〜225には,前記画像読取部21で読み取られる原稿の所定領域ごとの画像データが順次記憶される。
具体的に,前記記憶領域221〜225各々には,前記画像読取部21によって読み取られた画像データが,128ラインを1バンドとしたバンド毎の画像データD1,D2,…Dnとして順次記憶される。例えば,A4サイズの原稿の画像データはその副走査方向に54バンド程度からなるため,5つの前記記憶領域221〜225各々に11回繰り返して画像データの書き込みが行われることとなる。なお,前記記憶領域221〜225各々のデータ容量は,前記画像読取部25で読み取られた画像圧縮処理前の1バンドの画像データを格納し得るものとして確保しておく必要がある。
前記JPEG圧縮部23は,前記画像読取部21で読み取られて前記入力メモリ22の記憶領域221〜225に記憶されるバンド毎の画像データに対して,予め設定された初期圧縮率でJPEG方式による画像圧縮処理を施し,その圧縮後のバンド毎の画像データ(以下「JPEGデータ」という)を前記出力メモリ24に記憶させる。
ここに,前記出力メモリ24は,図2に示すように,内部の記憶容量を5つに分割した記憶領域241〜245を有しており,該記憶領域241〜245には,前記JPEG圧縮部23による画像圧縮処理後のバンド毎の画像データが順次記憶される。例えば,A4サイズの原稿の画像データが読み取られる場合には,54バンドに対応するJPEGデータが,5つの前記記憶領域241〜245各々に11回繰り返して書き込まれるととなる。
ここで,前記出力メモリ24における前記記憶領域241〜245各々の記憶容量は,予め設定されたものであって,例えば前記JPEG圧縮部23の画像圧縮処理における圧縮率として予め設定された初期圧縮率で画像データが圧縮された場合のJPEGデータを格納し得る記憶容量として確保される。なお,前記記憶領域241〜245各々は,前記記憶領域221〜225各々に記憶された画像データが前記JPEG圧縮部23で圧縮された後の画像データが記憶されるものであるため,該記憶領域241〜245のデータ容量は,前記記憶領域221〜225のデータ容量よりも小さいものである。即ち,前記出力メモリ24は,前記入力メモリ22に比べて小規模なメモリであってよい。
前記JPEG圧縮部23は,その内部メモリに量子化テーブルT1及びハフマンテーブルT2を記憶しており,該量子化テーブルT1及びハフマンテーブルT2に基づいてYUV形式の画像データを圧縮し,JPEG形式の画像データに変換する。
このとき,前記JPEG圧縮部23における画像データの圧縮率は,前記量子化テーブルT1及び前記ハフマンテーブルT2の各パラメータに依存することが一般に知られている。そして,前記量子化テーブルT1及び前記ハフマンテーブルT2の各パラメータを変更することで,前記JPEG圧縮部23における画像データの圧縮率を変更することが可能である。なお,画像データの圧縮率が高いほど圧縮後のデータ量は小さくなるが,その画像データにより再現される画像の画質は低下する。
そして,例えば前記複合機Xにおいて複写処理が実行される場合,前記画像読取制御部25は,前記画像読取部21で順に読み取られて前記JPEG圧縮部23で圧縮され,前記出力メモリ24に記憶された後のJPEGデータを,該出力メモリ24の記憶領域241〜245から順次前記画像処理部4に出力させる。
その後,前記画像処理部4は,前記出力メモリ24の記憶領域241〜245から読み出される前記JPEGデータ各々を前記画像形成部5に適したデータ形式の画像データ(YMCKデータ)に変換して該画像形成部5に順次入力する。これにより,前記画像形成部5によって,前記画像処理部4から入力された画像データ各々に基づいて画像形成処理が実行され,前記複合機Xにおける原稿の複写処理が実現される。
なお,前記複合機Xにおいてスキャン処理が実行される場合には,前記画像読取制御部25は,前記出力メモリ24の記憶領域241〜245に記憶されたJPEGデータを順次前記データ記憶部3に出力することにより,該データ記憶部3に記憶させる。また,前記複合機Xにおいてネットワークスキャン処理を実行する場合,前記制御部6は,その後,前記データ記憶部3に記憶されたJPEGデータを,不図示の通信インターフェースを介して外部のパソコンなどの情報処理装置に転送する。
ところで,前記複合機Xにおいて読み取られる原稿の内容や前記JPEG圧縮部23における初期圧縮率の設定値などによっては,前記JPEG圧縮部23における画像圧縮処理後のJPEGデータのデータ量が,前記出力メモリ24の記憶領域241〜245のデータ容量よりも大きくなり,オーバーフローが発生するおそれがある。
これに対し,本発明の実施の形態に係る前記画像読取装置2は,前記画像読取制御部25によって後述の画像読取処理(図3のフローチャート参照)を実行することにより,前記出力メモリ24のオーバーフローが発生した場合であっても,そのまま画像データの読み取りを継続するよう構成されている。これにより,前記複合機Xにおいて当該画像読取処理後に実行される画像形成処理も継続して行われる。
以下,図3のフローチャートに従って,前記複合機Xにおいて前記画像読取装置2の画像読取制御部25によって実行される画像読取処理の手順の一例について説明する。なお,図中のS1,S2,…は処理手順(ステップ)の番号を表している。また,当該画像読取処理の各処理工程は,前記画像読取制御部25に代えて前記制御部6によって実行されるものであってもよい。
(ステップS1,S11)
まず,前記複合機Xの稼働時,前記画像読取制御部25は,ステップS1において,前記操作表示部1に対するユーザ操作により前記JPEG圧縮部23における画像圧縮処理の初期圧縮率の設定要求がなされたか否かを判断する。例えば,前記画像読取制御部25は,前記制御部6からの制御指示によって前記初期圧縮率の設定要求の有無を判断する。なお,前記初期圧縮率は,例えば前記複合機Xの生産時や出荷時などに初期設定されている値である。
ここで,前記初期圧縮率の設定要求がなされたと判断されると(S1のYes側),処理はステップS11に移行し,前記初期圧縮率の設定要求がされなければ,処理はステップS2に移行する。ステップS11では,前記画像読取部25は,前記操作表示部1に対する操作入力に従って前記初期圧縮率を設定,変更するための処理を実行する。
(ステップS2)
そして,ステップS2では,前記画像読取制御部25は,前記画像読取処理の開始要求の有無を判断する。例えば,前記複合機Xにおいて,複写処理,ファクシミリ処理,スキャナ処理などの各種の動作が要求された場合に,画像読取処理の開始要求がなされたと判断する。なお,前記画像読取処理の開始要求は前記制御部6から前記画像読取制御部25に与えられる。
ここで,前記画像読取処理の開始要求がされていないと判断されると(S2のNo側),処理は前記ステップS1に戻される。一方,前記画像読取処理の開始要求がなされたと判断されると(S2のYes側),処理はステップS3に移行する。
(ステップS3)
ステップS3において,前記画像読取制御部25は,前記画像読取部21による原稿の画像データを読み取る画像読取処理を実行する。
これにより,前記画像読取装置2では,前述したように,前記画像読取部21で順次読み取られる原稿の画像データが,前記入力メモリ22の記憶領域221〜225に1バンド毎に記憶され,その1バンド毎の画像データが前記JPEG圧縮部23における画像圧縮処理によって圧縮される。このときの前記JPEG圧縮部23における画像圧縮処理では前記初期圧縮率が用いられる。そして,前記JPEG圧縮部23で圧縮された後のJPEGデータは,前記出力メモリ24の記憶領域241〜245に順次記憶される。なお,前記画像読取制御部25は,前記複合機Xで実行される処理が複写処理である場合には前記出力メモリ24の記憶領域241〜245のJPEGデータを前記画像処理部4に出力し,スキャン処理である場合には前記データ記憶部3に出力する。
(ステップS4,S41〜S42)
一方,前記画像読取制御部25は,前記ステップS3における画像読取処理の開始後,前記JPEG圧縮部23によるバンド毎の画像データの画像圧縮処理後のデータ量が前記出力メモリ24の記憶領域241〜245のデータ容量を超えたか否か,即ち前記出力メモリ24の記憶領域241〜245のいずれかでオーバーフローが生じたか否かを監視している(S4)。
ここで,オーバーフローが生じていない間は(S4のNo側),処理はステップS41に移行し,オーバーフローが生じたと判断された場合は(S4のYes側),処理はステップS5に移行する。
前記出力メモリ24のオーバーフローが生じていない場合,ステップS41では,前記画像読取制御部25によって,前記ステップS2で要求された画像読取処理が終了したか否かが判断される。そして,前記画像読取処理が終了するまで(S41のNo側),処理は前記ステップS3に戻され,前記画像読取処理が終了すると(S41のYes側),処理は前記ステップS42に移行する。
ステップS42では,前記画像読取制御部25によって,後述のステップS61で変更される可能生のある前記初期圧縮率がリセット(当該画像読取処理における変更がクリア)され,処理は前記ステップS1に戻される。
(ステップS5)
前記出力メモリ24のオーバーフローが生じた場合,続くステップS5では,前記画像読取制御部25は,前記初期圧縮率を予め設定された所定値だけ増加させた圧縮率(以下「増加後圧縮率」という)を算出する。
例えば,前記増加後圧縮率は,当該ステップS5の実行ごとに5%ずつ増加されるものであることが考えられる。これにより,前記初期圧縮率が70%である場合,前記増加後圧縮率は,前記ステップS5が実行されるごとに75%,80%,85%…のように順次増加することとなる。
(ステップS6)
そして,前記画像読取制御部25は,ステップS6において,前記ステップS5で算出された前記増加後圧縮率が予め設定された上限値を超えているかを判断する。ここに,前記上限値は,例えばユーザが所望の最低限の画質を確保するために,前記操作入力部1を操作することによって予め設定するものである。なお,通常,この設定処理は,圧縮率の設定ではなく,画質(高画質(低圧縮率),標準,低画質(高圧縮率)など)を設定するための処理として行われる。もちろん,前記上限値は,前記複合機Xにおける所定の画像読取性能を確保するために初期設定されたものであってもよい。
ここで,前記増加後圧縮率が前記上限値を超えていると判断された場合には,該増加後圧縮率で前記画像圧縮処理を実行すると,ユーザが望む最低限度の画質が得られない。
そのため,前記増加後圧縮率が前記上限値を超えている場合には(S6のYes側),処理はステップS7に移行する。そして,ステップS7では,例えば前記操作表示部1に対するエラー表示や当該画像読取処理の中止などのエラー処理が実行され,当該画像読取処理は終了される。このように,前記画像読取装置2では,前記増加後圧縮率の増加が前記上限値以下の範囲で行われるため,ユーザにとって不本意な画像形成処理などが前記複合機Xにおいて実行されることを防止することができる。
一方,前記増加後圧縮率が前記上限値を超えていないと判断された場合には(S6のNo側),処理はステップS61に移行する。
(ステップS61)
ステップS61では,前記画像読取制御部25は,前記JPEG圧縮部23における画像圧縮処理で用いられる前記初期圧縮率を前記増加後圧縮率に変更するように,前記量子化テーブルT1及び前記ハフマンテーブルT2のいずれか一方又は両方のパラメータを変更する。
なお,前記JPEG圧縮部23における画像圧縮処理の圧縮率を増加させる手法としては,ここで説明したように前記量子化テーブルT1や前記ハフマンテーブルT2のパラメータを変更するものに限らず,例えば圧縮率の異なる複数の画像圧縮回路を備えており,そのいずれを用いて画像圧縮処理を実行するかを切り替えることも他の実施例として考えられる。また,本実施の形態では,画像圧縮形式の一例としてJPEG方式を用いる場合を例に挙げて説明するが,画像の圧縮率を変更し得る形式であれば,JPEG方式に限らず他の方式を用いても良い。
(ステップS62)
その後,ステップS62において,前記画像読取制御部25は,前記JPEG圧縮部23に対し,前記オーバーフローが生じたときの前記画像データについて,前記増加後圧縮率で再度画像圧縮処理を実行させる。
これにより,前記JPEG圧縮部23は,前記画像読取制御部25からの制御指示に応じて,オーバーフローが生じたときの前記画像データが記憶された前記入力メモリ22の記憶領域221〜225のいずれかから該画像データを読み出し,前記増加後圧縮率により画像圧縮処理を実行する。係る処理を実現するため,前記画像読取装置2において,前記入力メモリ22の記憶領域221〜225には,少なくとも前記ステップS4で前記記憶領域221〜225に記憶された画像データを圧縮した後のJPEGデータが前記出力メモリ24の記憶領域241〜245の記憶容量を超えていないと判断されるまでの間,該画像データが保持される。
このように,前記画像読取装置2では,前記JPEG圧縮部23が,前記出力メモリ24の記憶領域241〜245のいずれかでオーバーフローが生じた場合は,その後,前記増加後圧縮率が前記上限値を超えない限り,圧縮後の画像データ量が前記出力メモリ24の記憶領域241〜245のデータ容量以下となるまで,そのオーバーフローの対象となった画像データに対して,少しずつ増加させた前記増加後圧縮率で画像圧縮処理を施す。これにより,前記記憶領域241〜245のいずれかについてのオーバーフローが自動的に解消されることとなり,原稿の画像データを再度読み取ることなく,その原稿についての画像読取処理を継続させることができる。
また,前記画像読取装置2では,一度でも前記JPEG圧縮部23による画像圧縮処理後のJPEGデータが前記出力メモリ24の記憶領域241〜245のデータ容量を超えた場合には,それ以降,前記ステップS3では,当初の初期圧縮率よりも高い前記増加後圧縮率(第2の初期圧縮率に相当)を用いて画像圧縮処理が実行されることとなる。これにより,その後のバンド毎の画像データの読み取りについてオーバーフローが生じる可能性を低減することができ,当該画像読取処理の迅速化を図ることができる。また,原稿のバンド毎の画質が差異が抑制されるため,全体として違和感の少ない画像の再現性を維持することができる。
特に,前記画像読取処理では,前記増加後圧縮率が前記ステップS5において随時更新されることとなっているため,前記JPEG圧縮部23による画像圧縮処理で用いられる圧縮率は,当該原稿の画像データの読み取りにおいて変更された後の最大の圧縮率となる。そのため,その後,当該原稿からの画像読み取りについて前記出力メモリ24のオーバーフローが生じる可能生を極力低減することができ,該画像読取処理の迅速化を図ることができる。もちろん,複数枚の原稿の読み取りが行われる場合に,その一連の画像読取処理の間,前記増加後圧縮率を維持してもよい。なお,前記複合機Xにおいて,前記オーバーフローが発生する頻度を測定しておき,該頻度によって前記初期圧縮率の初期値を自動的に増減させることも考えられる。これにより,例えば前記複合機Xの使用態様により,オーバーフロー回数が多い場合には前記初期圧縮率を高めてオーバーフロー回数を低減させ,オーバーフロー回数が少ない場合には前記初期圧縮率を低くして画質を向上させることも可能となる。
また,ここでは一度でもオーバーフローが生じた場合には,それ以降の画像圧縮処理においても前記増加後圧縮率が用いられる場合を例に挙げているが,例えば予め設定されたバンド数(例えば1〜5バンド程度)の画像データについて圧縮後のデータ量が前記出力メモリ24の記憶領域241〜245のデータ容量を超えたことを条件に,初めて当該原稿についてそれ以降に読み取られる画像データについても同様にオーバーフローが生じる可能性が高いと判断し,前記JPEG圧縮部23の画像圧縮処理における前記初期圧縮率を当初の該初期圧縮率よりも高い前記増加後圧縮率(第2の初期圧縮率に相当)に設定することが考えられる。なお,このとき設定される前記初期圧縮率は,該初期圧縮率よりも高ければ,前記増加後圧縮率に限らず予め設定された他の値(第2の初期圧縮率に相当)であってもよい。
さらに,本実施の形態では,前記画像読取処理(図3参照)のステップS6において,前記増加後圧縮率が前記上限値を超えていると判断された場合には(S6のYes側),読み取り後の画像データによって再現される画質が低くなり過ぎることを考慮して前記エラー処理(S7)を実行することを例に挙げている。一方,ユーザによっては画像読み取りの画質を問わない運用を望む場合も考えられる。
そこで,前記増加後圧縮率が前記上限値を超える場合には,前記画像読取制御部25が,前記エラー処理(S7)に代えて,その圧縮率の増加の許否の問い合わせを所定の表示手段に表示させることも他の実施例として考えられる。そして,この場合,前記画像読取制御部25は,その後の前記操作入力部1(所定の入力手段の一例)による入力結果に応じて,許可が選択された場合には圧縮率を増加させ,その増加後の前記増加後圧縮率による画像圧縮処理を継続し,拒否が選択された場合には前記増加後圧縮率による画像圧縮処理を中止することが考えられる。これにより,ユーザの判断により,画質が劣化する場合であってもその画像読取処理を継続させることが可能となる。
1:操作表示部
2:画像読取装置
3:データ記憶部
4:画像処理部
5:画像形成部
6:制御部
21:画像読取部(所定の画像読取手段)
22:入力メモリ(第1の画像記憶部)
23:JPEG圧縮部(画像データ圧縮手段)
24:出力メモリ(第2の画像記憶部)
25:画像読取制御部
S1,S2,…S7:処理手順(ステップ)番号
X:複合機(画像形成装置の一例)

Claims (8)

  1. 所定の画像読取手段によって読み取られる原稿の所定領域ごとの画像データを記憶する複数の第1の画像記憶部と,前記第1の画像記憶部各々に記憶された前記所定領域ごとの画像データに予め設定された初期圧縮率で画像圧縮処理を施す画像データ圧縮手段と,前記画像データ圧縮手段による画像圧縮処理後の前記所定領域ごとの画像データを記憶する複数の第2の画像記憶部とを備えてなり,
    前記画像データ圧縮手段が,前記所定領域の画像データの前記画像圧縮処理後のデータ量が前記第2の画像記憶部のデータ容量を超えた場合は,少なくとも該所定領域の画像データに対応する前記第1の画像記憶部に記憶された画像データに対し,圧縮後の画像データ量が前記第2の画像記憶部のデータ容量以下となるまで,前記初期圧縮率から所定値ずつ増加させた圧縮率で画像圧縮処理を施してなることを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記画像圧縮処理がJPEG方式による画像圧縮処理であって,
    前記画像データ圧縮手段が,前記画像圧縮処理で用いられる量子化テーブル及び/又はハフマンテーブルのパラメータを変更することによって前記圧縮率を増加させるものである請求項1に記載の画像読取装置。
  3. 前記画像データ圧縮手段が,前記圧縮率の増加を予め設定された上限値以下の範囲で行うものである請求項1又は2のいずれかに記載の画像読取装置。
  4. 前記画像データ圧縮手段が,前記圧縮率が前記上限値を超える場合には,該圧縮率の増加の許否の問い合わせを所定の表示手段に表示させ,所定の入力手段による入力結果に応じて前記圧縮率の増加を継続し若しくは中止するものである請求項3に記載の画像読取装置。
  5. 前記画像データ圧縮手段が,予め設定された数の前記所定領域の画像データについて圧縮後のデータ量が前記第2の画像記憶部のデータ容量を超えたことを条件に,当該原稿についてそれ以降に読み取られる前記所定領域ごとの画像データの前記画像圧縮処理における前記初期圧縮率を該初期圧縮率よりも高い第2の初期圧縮率に設定するものである請求項1〜4のいずれかに記載の画像読取装置。
  6. 前記第2の初期圧縮率が,当該原稿の画像データの読み取りにおいて変更された後の最大の圧縮率である請求項5に記載の画像読取装置。
  7. 複数の前記第2の画像記憶部が,一の画像記憶装置内で予め確保された複数の記憶領域である請求項1〜6のいずれかに記載の画像読取装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の画像読取装置を備えてなり,前記第2の画像記憶部各々に記憶された画像データに基づいて画像形成処理を実行する画像形成装置。
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