JP2011096595A - 燃焼装置、燃料電池システム及び燃焼部の着火判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃焼部に供給する燃料を炭化水素系燃料から水素含有ガス(オフガス又は水素リッチ改質ガス)へ移行させるときに、移行時から周期的な着火判定タイミングまでの間における燃焼部の最低温度Tminを求める(S207)。そして、着火判定タイミングでの温度Tから最低温度Tminを減算した値が閾値ΔTを上回ったときに着火成功を判定する(S208→S209)。また、着火判定の検出開始から最大判定時間が経過した時点である判定終了タイミングにおいて(S204)、最低温度Tminが、水素含有ガスの供給状態での下限燃焼温度Thよりも高い場合には、着火成功を判定する(S210→S209)。
【選択図】図4
Description
また、特許文献2のように、温度の上昇率・低下率に基づいて着火・失火の判定を行う場合、外因による温度変動の影響を受け易いため、誤検知の可能性があった。
しかし、混焼状態を短くすると、移行直後は水素含有ガスの供給が不安定であるため、失火することがあり、更に、失火中に一時的に着火し直ぐに失火してしまう場合もある。
従って、燃焼部に供給する燃料を、炭化水素系燃料から水素含有ガスに移行させる場合には、温度が一様に変化せず、増減を繰り返すことになってしまい、温度上昇率・低下率(変化速度)に基づく着火判定では、高精度に着火判定を行わせることは難しかった。
かかる構成では、炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行時から周期的な着火判定タイミングまでの間における燃焼部の温度の最低値を求め、周期的な着火判定タイミング毎に、そのときの温度とそれまでの最低値とを比較し、着火判定タイミングにおける温度が最低値よりも閾値を超えて高い場合、換言すれば、着火判定タイミングにおける温度が最低値よりも高く、かつ、その差が閾値を超えている場合に、水素含有ガスの着火に成功したものと判定する。
かかる構成では、判定終了タイミングに至るまでの間に着火成功の判定がなされなかった場合には、所定の最大時間だけ着火動作を継続させても着火成功に至らなかったものと判断し、着火失敗(タイムアウト)を判定する。
かかる構成では、判定終了タイミングまでの間に、最低値と検出温度との比較に基づいて着火成功が判定されなかったとしても、判定終了タイミングに達したときの最低値が、水素含有ガスの供給状態での下限燃焼温度よりも高い場合、即ち、炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行時から判定終了タイミングに達するまでの間において、検出温度が下限燃焼温度よりも低くなることがなかった場合には、水素含有ガスの供給状態での着火成功を判定する。
かかる構成では、燃焼部の温度が最低値よりも閾値を超えて高いと判断されなくても、水素含有ガスの供給状態での下限燃焼温度よりも高い状態が所定時間を越えて連続すれば、水素含有ガスの供給状態での着火成功を判定する。
かかる構成では、着火判定タイミングにおいてそのときの温度が最低値よりも閾値を超えて高いと判断されるようになっても直ちに着火成功を判定せず、その後も所定時間を越えて、温度が最低値よりも閾値を超えて高いと判断され続けた場合、換言すれば、所定回以上連続して、温度が最低値よりも閾値を超えて高いと判断され続けた場合に、着火成功を判定する。
かかる構成では、炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行開始前に予め点火装置の点火動作を開始させておき、着火判定部が着火成功を判定した後に遅れて点火装置の点火動作を停止させる。
かかる構成によると、改質装置に設けた触媒の加熱用としての燃焼部に対する燃料として、炭化水素系燃料から、燃料電池から排出されるオフガスへの移行がなされ、このオフガスの供給状態での着火判定を、前記最低値に基づいて行わせる。
かかる構成によると、改質装置に設けた触媒の加熱用としての燃焼部に対する燃料として、炭化水素系燃料から、炭化水素系燃料を改質装置で改質して生成した水素リッチ改質ガスへの移行がなされ、この水素リッチ改質ガスの供給状態での着火判定を、前記最低値に基づいて行わせる。
かかる構成では、炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行時から周期的な着火判定タイミングまでの間における燃焼部の最低温度を求め、周期的な着火判定タイミング毎に、そのときの温度とそれまでの最低温度とを比較し、着火判定タイミングにおける温度が最低温度よりも閾値を超えて高い場合、換言すれば、着火判定タイミングにおける温度が最低温度よりも高く、かつ、その差が閾値を超えている場合に、水素含有ガスの着火に成功したものと判定する。
図1は、本発明に係る燃焼装置を含む燃料電池システムを示す構成ブロック図である。
本実施形態における燃料電池システムは、原燃料として灯油などの炭化水素系燃料を用いて発電を行なうものである。
脱硫器2は、外部から供給される炭化水素系燃料から硫黄分を除去するものである。この脱硫器2は、脱硫触媒及びヒータを備え、脱硫触媒は、ヒータによって例えば220℃〜230℃に加熱され、炭化水素系燃料の脱硫処理に用いられる。
改質器7は、脱硫処理後の炭化水素系燃料と水蒸気とを改質触媒で水蒸気改質反応させて、水素を含有する水蒸気改質ガスを生成する。
バーナ燃焼器8は、改質器7の改質触媒を加熱することで、水蒸気改質反応に必要な熱量を供給する。
また、選択酸化器11は、変成器9が生成したシフト改質ガスを、空気の供給によって選択酸化反応させて一酸化炭素COの濃度を更に低下させ、PEFCスタック4における発電反応に用いる改質ガス(水素リッチ改質ガス)を生成する。
インバータ5は、前記PEFCスタック4が出力するDC電流をAC電流に変換する。
筐体6は、その内部に、前述の脱硫器2、FPS3、PEFCスタック4及びインバータ5をモジュール化して収容する。
尚、本実施形態においては、前記炭化水素系燃料として灯油を用いる。
燃料ラインL1は、脱硫器2の下流側において、炭化水素系燃料を改質器7に供給する燃料ラインL11と、炭化水素系燃料をバーナ燃焼器8に供給する燃料ラインL12とに分岐する。
また、燃料ラインL11及び燃料ラインL12には、改質器7及びバーナ燃焼器8への炭化水素系燃料の供給量を調整する電磁バルブ12,13を設けてある。
この水ラインL2は水タンク15に連結し、また、水ラインL2には、改質器7への水の供給量を調整する電磁バルブ14を設けてある。
また、水タンク15には、筐体6の外部から水タンク15に水を供給する水ラインL21、及び、PEFCスタック4で反応により生成したプロセス水を回収する回収水ラインL22が連結されている。
前記回収水ラインL23を介した燃焼ガスからの水の回収は、バーナ燃焼器8において水素含有ガス(オフガス又は水素リッチ改質ガス)が燃焼される場合に行われるようになっている。
これは、バーナ燃焼器8において炭化水素系燃料を燃焼させた場合の燃焼ガスに比べて、水素含有ガスを燃焼させた場合の燃焼ガスには油成分が少なく、不純物の少ない水を回収できるためである。
尚、オフガスは、前記PEFCスタック4から排出される未反応水素を含む水素含有ガスであり、水素リッチ改質ガスは、前記FPS3で炭化水素系燃料を改質して生成された水素含有ガスである。
また、PEFCスタック4は、改質ガス供給ラインL4を介してFPS3と接続されており、PEFCスタック4に対し、前記改質ガス供給ラインL4を介して改質ガス(水素リッチ改質ガス)が供給される。
また、PEFCスタック4には、筐体6の外部から空気を導入するための空気導入ラインL32が接続され、この空気導入ラインL32には、PEFCスタック4への空気の供給量を調整する電磁バルブ17を設けてある。
上記のように、バーナ燃焼器8(燃焼部)には、炭化水素系燃料、オフガス(水素含有ガス)、水素リッチ改質ガス(水素含有ガス)のいずれかを、電磁バルブ13,18,26,27を制御することで、選択的に供給できるようになっている。
尚、バーナ用改質ガス供給ラインL14及び電磁バルブ26,27を備えないシステムであってもよく、この場合、炭化水素系燃料とオフガス(水素含有ガス)とのいずれかを選択的にバーナ燃焼器8(燃焼部)に供給することになる。
また、水素含有ガスの供給ラインとして、L14又はL5の少なくともいずれか一方を有していればよく、炭化水素系燃料と水素リッチ改質ガスとのいずれかを選択的にバーナ燃焼器8(燃焼部)に供給する構成とすることができる。
また、オフガスや改質ガスには炭化水素ガスであるメタンが含有される場合があるが、炭化水素を含有しているガスであっても、L14又はL5からバーナ燃焼器8に導入されるガスは水素含有ガスであるものとする。
また、炭化水素系燃料から水素含有ガス(オフガス及び/又は水素リッチ改質ガス)への移行は、主燃料が炭化水素系燃料から水素含有ガスに移行する構成であればよく、例えば、水素含油ガスに移行した後も、炭化水素燃料が量を減じて継続的にバーナ燃焼器8に供給される場合も、炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行に含まれるものとする。
図2は、図1に示した改質器7及びバーナ燃焼器8の一部断面図である。
この図2に示すように、バーナ燃焼器(燃焼部)8は、バーナ燃料(炭化水素系燃料、オフガス、水素リッチ改質ガス)を空気と共に噴射するバーナ部19、及び、バーナ燃焼を行うための燃焼筒21を有している。
灯油などの液体の炭化水素系燃料を用いる場合、燃料ラインL12又はバーナ燃焼器内部に気化器(図示省略)を配置してあり、灯油などの液体の炭化水素系燃料は、この気化器による気化後に燃焼筒21に供給される。
燃焼筒21は、バーナ燃焼空間Sを画定し、この燃焼筒21内で燃焼が行われる。また、この燃焼筒21には、該燃焼筒21内の温度T(燃焼部の温度)を検出する温度センサ(熱電対)23が備えられている。
触媒収容空間SCには、環状に形成された改質触媒容器25が、改質器筐体24の内周面及び燃焼筒21の外周面に対してそれぞれに隙間SR1,SR2を有して挿置され、かつ、改質触媒容器25のバーナ燃焼器8側の端面と、改質器筐体24のバーナ燃焼器8側の端面との間にも隙間SREが形成される。
改質触媒容器25内には、改質触媒容器25内の環状空間を内外に隔成する仕切り壁25bが形成され、原料ガスは、改質触媒容器25の下方端から仕切り壁25bの内側に導入され、仕切り壁25bの内側の改質触媒25a中を下方から上方に向けて通過した後、バーナ燃焼器8側の端部で方向を転じて仕切り壁25aの外側の改質触媒25a中を上方から下方に向けて通過し、最終的に、改質触媒容器25の下方端から水蒸気改質ガスとして取り出される。
上記のようにして、燃焼筒21(燃焼部)で発生した高温の燃焼ガスが、改質触媒容器25の内周面及び外周面に沿って流れることで、改質触媒容器25内の改質触媒25a及び原料ガスが、前記改質触媒25aにおける吸熱反応に必要な温度(例えば700℃〜800℃)に加熱される。
前記制御装置30は、マイクロプロセッサを含んで構成され、電磁バルブ13,16,18,26,27を制御することで、バーナ燃焼器8に対する燃料(炭化水素系燃料、オフガス、水素リッチ改質ガス)及び空気の供給をそれぞれ制御し、また、電磁バルブ12,14を制御することで、改質器7に対する炭化水素系燃料及び原料水の供給量をそれぞれ制御する。
尚、図3のフローチャートに示す処理手順は、バーナ燃焼器8に対して供給する燃料として、炭化水素系燃料とオフガス(水素含有ガス)とのいずれかを選択的に用いる場合を示す。
図3のフローチャートに示す制御処理は、例えば、起動スイッチ31のオン操作信号が制御装置30に入力されることで開始される。
まず、電磁バルブ13,16を制御して、バーナ燃焼器8に炭化水素系燃料及び空気を供給し(S101)、イグナイタ22によって着火燃焼させる。これにより、バーナ燃焼器8の燃焼排ガスが改質触媒25aを加熱するようになる。
燃料電池システム1の起動時には、炭化水素系燃料が燃焼することで、燃焼部の温度Tが常温から急激に上昇し、かつ、燃料としての炭化水素系燃料を安定して供給できるので、着火判定は、燃焼部温度の上昇速度が判定速度を超えたことや、燃焼部温度が着火判定温度を超えたことなどに基づいて高精度に行える。
前記原料ガスの供給によって、FPS3により改質ガス(水素リッチ改質ガス)が生成され、生成された改質ガス(水素リッチ改質ガス)を、改質ガス供給ラインL4を介してPEFCスタック4に供給させる。
PEFCスタック4への発電用空気の供給の開始は、改質器7に対する原料ガスの供給開始前、又は、改質器7に対する原料ガスの供給開始と同時であってもよい。
その後、PEFCスタック4が所定の温度まで昇温された後、PEFCスタック4から電流を取り出すことにより、PEFCスタック4による発電が開始される。このとき、PEFCスタック4からはオフガスが排出される。
尚、電磁バルブ18を制御してオフガスの供給を開始し、続いて電磁バルブ13を制御して炭化水素系燃料の供給を停止させてもよい。
また、制御装置30(点火制御部)は、バーナ燃料の炭化水素系燃料からオフガスへの移行時は、移行開始前から、イグナイタ22による短周期での火花点火動作を開始させ、オフガス(水素含有ガス)をバーナ燃料とする状態で着火成功を判定すると、その後にイグナイタ22による短周期での火花点火動作を停止させるようになっている。
また、前記炭化水素系燃料から水素リッチ改質ガス(水素含有ガス)へ移行させることもでき、係るバーナ燃料の移行処理を行わせる場合の処理手順を、図4のフローチャートに従って説明する。
そして、まず、電磁バルブ13,16を制御して、バーナ燃焼器8に炭化水素系燃料及び空気を供給し(S111)、イグナイタ22によって着火燃焼させる。これにより、バーナ燃焼器8の燃焼排ガスが改質触媒25aを加熱するようになる。
燃料電池システム1の起動時には、炭化水素系燃料が着火燃焼することで、燃焼部の温度Tが常温から急激に上昇し、かつ、燃料としての炭化水素系燃料を安定して供給できるので、着火判定は、燃焼部温度の上昇速度が判定速度を超えたことや、燃焼部温度が着火判定温度を超えたことなどに基づいて高精度に行える。
前記原料ガスの供給によって、FPS3により改質ガス(水素リッチ改質ガス)が生成されるようになると、バーナ燃料を炭化水素系燃料から改質ガス(水素リッチ改質ガス)に移行させるために、まず、電磁バルブ13を制御して、バーナ燃焼器8への炭化水素系燃料の供給を停止し(S113)、続いて電磁バルブ26,27を制御してバーナ燃焼器8に改質ガス(水素リッチ改質ガス)を供給させる(S114)。
尚、電磁バルブ26、27を制御してオフガスの供給を開始し、続いて電磁バルブ13を制御して炭化水素系燃料の供給を停止させてもよい。
次いで、電磁バルブ17を制御して、PEFCスタック4のカソードに空気を供給する(S115)。PEFCスタック4への発電用空気の供給の開始は、改質器7に対する原料ガスの供給開始前、又は、改質器7に対する原料ガスの供給開始と同時であってもよい。
尚、前記炭化水素系燃料から改質ガス(水素リッチ改質ガス)への移行処理においても炭化水素系燃料の供給停止に先立って改質ガス(水素リッチ改質ガス)の供給を開始させ、その後、炭化水素系燃料の供給を停止させることで、炭化水素系燃料と改質ガス(水素リッチ改質ガス)との双方をバーナ燃焼器8に供給させる混焼工程を、炭化水素系燃料を燃焼させる工程とオフガスを燃焼させる行程との間に設定することができる。
まず、バーナ燃料の移行処理に伴う温度変化の検出を開始させるタイミング(炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行時)であるか否かを判断する(ステップS201)。
温度変化の検出開始タイミングになると(換言すれば、炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行時であると判断されると)、そのときに前記温度センサ23で検出された燃焼筒21内の温度(燃焼部の温度)Tを読み込む(ステップS202)。
次いで、前記検出開始タイミングからの経過時間が最大判定時間(例えば4分〜10分程度)に達しているか否か、換言すれば、炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行後に設定した判定終了タイミングに達しているか否かを判断する(ステップS204)。
前記検出開始タイミングから最大判定時間が経過した時点を、着火判定の終了タイミングとするものであり、前記検出開始タイミングからの経過時間が最大判定時間に達していなければ、水素含有ガス(オフガス又は水素リッチ改質ガス)の供給状態で着火に成功したか否かを判断させるべく、前記温度センサ23で検出された(最新の)燃焼筒21内の温度(燃焼部の温度)Tを読み込む(ステップS205)。
これにより、失火による温度降下中であれば、最低温度Tminは周期的に最新の検出温度に更新されることになる。
換言すれば、今回の着火判定タイミングにおいて温度センサ23で検出された燃焼部の温度Tがそれまでの最低温度(最低値)Tminよりも閾値ΔT以上に高いか否かを判断する。
これにより、最大判定時間に達するまでは、微小時間間隔(一定周期)の着火判定タイミング毎に、前回までの最低温度Tminと今回検出した燃焼部の温度Tとを比較して、最低温度Tminの更新処理、更に、Tmin≦Tであった場合には最低温度Tminと今回検出した燃焼部の温度Tとの比較が繰り返される。
そして、今回検出した燃焼部の温度Tから前回までの最低温度Tminを減算した温度(最低温度Tminからの最新温度の上昇分)が、閾値ΔT以上であると判断された場合には、水素含有ガス(オフガス又は水素リッチ改質ガス)の供給状態での着火成功を判定する(ステップS209)。
着火成功を判定すると、その後遅れてイグナイタ22の点火動作を停止させ、停止指令が発生するまで燃料電池システムの運転を継続させる。
前記下限燃焼温度Thは、水素含有ガス(オフガス又は水素リッチ改質ガス)を燃焼させたときの燃焼部温度Tの下限値であり、水素含有ガスが継続して燃焼していれば、燃焼部の温度Tが下回ることがない温度である。
ここで、前述のように、下限燃焼温度Thは、水素含有ガスが継続して燃焼していれば、燃焼部の温度Tが下回ることがない温度であるから、最大判定時間だけ下限燃焼温度Th以上の温度を維持していた場合には、水素含有ガスの供給状態で着火に成功し、安定した燃焼状態を維持しているものと推定されるので、水素含有ガス(オフガス又は水素リッチ改質ガス)の供給状態での着火成功を判定する(ステップS209)。
着火失敗(タイムアウト)を判定すると、アラーム(警告)を発し、空気・炭化水素系燃料・原料水などの供給を停止させて燃料電池システムをリセットする。
図6のタイムチャートは、バーナ燃料を、炭化水素系燃料から水素含有ガスに移行させたときの温度変化の一例を示す。
尚、図6では、バーナ燃料を炭化水素系燃料(灯油)とする工程を工程1とし、その後のバーナ燃料を水素含有ガス(オフガス又は水素リッチ改質ガス)とする工程を工程2として示してある。
時刻t2において、炭化水素系燃料の供給を停止させ、略同時に水素含有ガスの供給を開始させ、炭化水素系燃料から水素含有ガスへ移行させる(切り替える)と、直後は、炭化水素系燃料と水素含有ガスとの混焼状態となり、燃焼部の温度は、切り替え以前の炭化水素系燃料の燃焼時における温度(例えば750℃程度)よりも一時的に上昇する場合がある。図6に示す例では、時刻t2から時刻t3までの間が、混焼による温度上昇期間である。
炭化水素系燃料の供給停止に先立って水素含有ガスの供給を開始させ、水素含有ガスの燃焼が安定化するのを待って、炭化水素系燃料の供給停止を行えば、過渡的な失火を回避してバーナ燃料の切り替えを行えるが、この場合、混焼時間が長くなることで、過剰な温度上昇を招くことになってしまう。
上記のような失火による温度降下の間も、イグナイタ22による点火動作は継続され、また、時間経過に伴って水素含有ガスの供給安定性が改善されるため、途中で着火に成功し、そのまま水素含有ガスの安定燃焼状態に移行する場合があるが、一時的に着火したものの直ぐに失火状態に戻ってしまう場合もあり、図6に示す例では、時刻t4で着火による温度上昇に転じたものの直ぐに失火し、時刻t5から再度温度が降下し始める場合を示す。
本実施形態の着火判定では、最低温度Tminに対する上昇分が閾値ΔT以上の場合に着火判定を行う構成であり、例えば、図6に示す例では、前記最低温度Tminは、時刻t3までは、炭化水素系燃料をバーナ燃料とする場合の燃焼部の温度(例えば750℃程度)に保持されることになり、バーナ燃料の移行に伴う混焼状態で温度上昇すると、燃焼部の温度Tは最低温度Tminを超える温度になる。
前記混焼状態の後で、水素含有ガスの供給が滞ることで、燃焼部の温度Tが降下すると、これに応じて最低温度Tminもより低い温度に更新され、一時的な着火による温度上昇が発生する直前の時刻t4の時点では、この時刻t4での検出温度が最低温度Tminにセットされることになる。
そして、前記一時的な着火状態から失火状態に戻り、温度Tが漸減すると、これに応じて最低温度Tminをより低い温度に更新し、時刻t6の時点では、そのときの検出温度Tを最低温度Tminに設定する。
換言すれば、前記閾値ΔTは、混焼や一時的な着火による温度上昇で着火成功を判定することがなく、かつ、失火状態から安定した燃焼状態に移行し順調に温度上昇して初めて着火成功を判定するように、予め適合してある。
このように、最低温度Tminからの上昇分に基づいて着火判定する構成であるから、例えば、時刻t2,時刻t4,時刻t6直後の温度上昇率(温度上昇速度)が同程度であったとしても、時刻t2,時刻t4からの温度上昇では、最終的に到達する最高温度と時刻t2,時刻t4での温度Tとの偏差が閾値ΔT未満であり、着火成功は判定されない。
換言すれば、実際に着火に成功したことに基づいて順調に温度上昇すれば、仮に、温度上昇勾配が、混焼による温度上昇や一時的な着火による温度上昇時よりも緩やかであったとしても、着火成功を判定することができる。
一方、炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行時に、失火することなく水素含有ガスの安定燃焼状態になった場合には、図6中に一点鎖線で示すように、下限燃焼温度Th以上の温度域で燃焼部の温度Tが変化し、判定終了タイミングにおける最低温度Tminが、下限燃焼温度Th以上であると判断することで、着火成功を判定する。
図8のフローチャートにおいて、ステップS221〜227の各ステップでは、図5のフローチャートのステップS201〜207と同様な処理を実行するので、詳細な説明は省略する。
そして、今回検出した燃焼部の温度Tが前記下限燃焼温度Th以上の場合には、このT≧Thの状態が所定時間以上継続しているか否かを判断し(ステップS230)、T≧Thの状態が所定時間以上継続していれば、水素含有ガス(オフガス又は水素リッチ改質ガス)をバーナ燃料とする燃焼における着火成功を判定する(ステップS231)。
また、最大判定時間(判定終了タイミング)に達していない状態であると判断され(ステップS224)、前記温度センサ23で検出された燃焼筒21内の温度(燃焼部の温度)Tを読み込み(ステップS225)、Tmin>Tであると判断すると(ステップS226)、今回検出した燃焼部の温度Tから前回までの最低温度Tminを減算した温度(最低温度Tminからの最新温度の上昇分)が、閾値ΔT(例えば5℃〜10℃程度)以上であるか否か(ΔT≦T−Tminが成立するか否か)を判断する(ステップS229)。
そして、今回ΔT≦T−Tminが成立していると判断されても、ΔT≦T−Tminの継続時間が前記所定時間に満たない場合(ΔT≦T−Tminであると判断された着火判定タイミングの連続回数が所定回に満たない場合)には、着火成功を判定することなく、最大判定時間が経過しているか否かを判断するステップ(ステップS224)に戻る。
上記構成によると最低温度Tminよりも閾値ΔT以上に高い温度を所定時間以上維持しないと着火成功を判定しないから、より着火判定の精度を向上させることができ、また、第1実施形態に比べて閾値ΔTをより小さい値に設定しても判定精度を維持することが可能である。
燃焼部温度Tの上昇変化速度が遅い場合には、燃焼が不安定で失火に至る可能性が高いと推定できるため、判定精度を確保するために、前記所定時間を長くする。逆に、燃焼部温度Tの上昇変化が速い場合には、水素含有ガス(オフガス又は水素リッチ改質ガス)の安定した燃焼で順調に温度上昇しているものと推定できるため、前記所定時間を短くして判定処理の応答を高める。
また、第1実施形態を示す図5のフローチャートにおいて、T≧Thの状態が所定時間以上継続したときに着火成功を判定させることができ、逆に、第2実施形態を示す図8のフローチャートにおいて、判定終了タイミングにおける最低温度Tminが、下限燃焼温度Th以上の場合に着火成功を判定させることができる。
尚、図7は、下限燃焼温度Thは炭化水素系燃料供給時の燃焼部温度より低い場合の例であるが、下限燃焼温度Thが炭化水素系燃料供給時の燃焼部温度よりも高い場合は、図8のステップS230で判定する所定時間を、混焼による一時的な温度上昇の時間よりも長くなるように設定することで同様の判定が可能である。
例えば、上記実施形態では、バーナ燃焼器8(燃焼部)に用いる炭化水素系燃料として灯油を例示したが、この他、ガソリン、ナフサ、軽油、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、バイオマスを利用したバイオ燃料を用いてもよく、更に、炭化水素系燃料は液体燃料に限定されず、都市ガスなどの気体燃料であってもよい。
また、燃焼部の温度は、燃焼部に供給する燃料だけでなく温度センサ23の取り付け位置(センシング位置)によっても異なるため、図6及び図7に記載の温度変遷傾向に限定されない。
また、上記実施形態では、PEFCスタック4を備えた燃料電池システム1としたが、固体酸化物形燃料電池(SOFC)スタックを備えた燃料電池システムでもよい。
また、バーナ燃焼器8が、変成器9に備えられるシフト触媒(例えばFe−Crの混合酸化物)の加熱用として用いられるものであってもよい。
Claims (9)
- 燃料として炭化水素系燃料と水素含有ガスとが選択的に供給される燃焼部と、
前記燃焼部の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出信号を受けて前記燃焼部における着火判定を行う着火判定部と、
を含み、
前記着火判定部が、
前記炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行時から周期的な着火判定タイミングまでの間における前記燃焼部の温度の最低値を、前記温度センサの検出信号に基づいて検出し、前記着火判定タイミングにおいて前記温度センサで検出された前記燃焼部の温度が前記最低値よりも閾値を超えて高い場合に、前記水素含有ガスの供給状態での着火成功を判定する燃焼装置。 - 前記着火判定部が、前記炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行後に設定した判定終了タイミングまでの間に着火成功を判定しなかった場合に、前記水素含有ガスの供給状態での着火失敗を判定する請求項1記載の燃焼装置。
- 前記着火判定部が、前記判定終了タイミングに達したときの前記最低値が、前記水素含有ガスの供給状態での下限燃焼温度よりも高い場合に、前記水素含有ガスの供給状態での着火成功を判定する請求項2記載の燃焼装置。
- 前記着火判定部が、前記燃焼部の温度が前記水素含有ガスの供給状態での下限燃焼温度よりも高い状態が、所定時間を越えて連続した場合に、前記水素含有ガスの供給状態での着火成功を判定する請求項1又は2記載の燃焼装置。
- 前記着火判定部が、前記燃焼部の温度が前記最低値よりも閾値を超えて高い状態が、所定時間を越えて連続した場合に、前記水素含有ガスの供給状態での着火成功を判定する請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃焼装置。
- 前記燃焼装置が、
前記燃焼部に設けた点火装置と、
前記炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行開始前に、前記点火装置の点火動作を開始させ、かつ、前記着火判定部が着火成功を判定した後に、前記点火装置の点火動作を停止させる点火制御部と、
を更に備える請求項1〜5のいずれか1つに記載の燃焼装置。 - 請求項1〜6のいずれか1つに記載の燃焼装置における燃焼部を、改質装置に設けた触媒の加熱用として備え、
前記燃焼部に供給する水素含有ガスとして、燃料電池から排出されるオフガスを用いる燃料電池システム。 - 請求項1〜6のいずれか1つに記載の燃焼装置における燃焼部を、改質装置に設けた触媒の加熱用として備え、
前記燃焼部に供給する水素含有ガスとして、前記改質装置が前記炭化水素系燃料を改質して生成した水素リッチ改質ガスを用いる燃料電池システム。 - 燃料として炭化水素系燃料と水素含有ガスとが選択的に供給される燃焼部における着火判定を行う着火判定方法であって、
前記炭化水素系燃料から水素含有ガスへの移行時から周期的な着火判定タイミングまでの間における前記燃焼部の最低温度を求め、
前記着火判定タイミングにおける燃焼部の温度が前記最低温度よりも閾値を超えて高い場合に前記水素含有ガスの供給状態における着火成功を判定する燃焼部の着火判定方法。
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