以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置の一例を示す外観図、図2は、本実施形態に係る表示装置に表示される画面の一例を説明する説明図である。
表示装置100は、例えばタブレットPCや電子ブック、PDAであり、システムメモリ10(図5参照)に記憶されている画像や文字などのデータを表示画面50に表示する。表示画面50には白から黒の階調表示が可能なメモリ性表示素子である電気化学表示素子1(図3参照)が用いられている。操作部42にはメカニカルスイッチからなる順送りボタン43と逆送りボタン44が設けられている。例えば、ユーザが順送りボタン43を押すと表示画面50に表示されているデータの次のページのデータをシステムメモリ10から読み出して表示する。同様に、ユーザが逆送りボタン44を押すと表示画面50に表示されているデータの前のページのデータをシステムメモリ10から読み出して表示する。
また、図1において、表示画面50の上層はタッチパネル40になっている。ユーザは、タッチパネル40への入力操作により、手書きモードへの切換を行った後、画面上の位置または領域を指定し、手書き入力を行う。タッチパネル40への入力操作はスタイラスペンを用いても良いし、直接指などでタッチパネル40を操作しても良い。
図2(a)は、本実施形態に係る表示装置に表示される画面の一例である。本実施形態では、表示画面50の周辺部にタッチパネル40への入力操作を行うためのアイコンやタブなどのGUIを表示するGUI領域75bを設け、画像や文字などのデータを表示するデータ表示領域75aはGUI領域75bの内側に設けている。図2(a)の例では、GUI領域75bに枠線77とタブ76a、76b、76cが表示され、データ表示領域75aには文書データ71が表示されている。ユーザが3つのタブ76の何れかに触れると、そのタブ76に対応するデータがシステムメモリ10から読み出され、表示画面50に表示される。
図2(b)は、システムメモリ10に記憶されている文書データ71とGUIデータ73を読み出して、フレームメモリ60のメモリ空間74に合成することを模式的に示した説明図である。フレームメモリ60に記憶されているデータは所定のタイミングで表示画面50に表示される。
図3は、表示装置100に用いられるED方式の電気化学表示素子1の基本的な構成を示す概略断面図である。図3(a)は電気化学表示素子1により黒を表示している状態であり、図3(b)は白を表示している状態である。
図3に示すED方式の電気化学表示素子1は、透明なITO(錫ドープ酸化インジウム)電極32と、銀電極30との間に電解質31を保持している。ITO電極32と銀電極30には電源34が接続されている。なお、ユーザはITO電極32側から電気化学表示素子1を観察する。
図3(a)のように電源34から銀電極30に対しITO電極32に負の電圧を印加すると図中の矢印方向に電流が流れ、ITO電極32側で電解質31中に含まれる銀の析出反応が生じる。以降ITO電極32に印加する負の電圧を書き込み電圧と呼ぶ。
35は析出した銀であり、析出した銀35は光を吸収するので、ITO電極32側から見た電気化学表示素子1の濃度が高くなる。36は溶解した銀を模式的に示しており、銀電極30側では析出していた銀が電解質31中に溶解する現象が生じる。
図3(b)のように電源34から銀電極30に対しITO電極32に正の電圧を印加すると、図中の矢印方向に電流が流れ、ITO電極32側では銀の溶解反応が生じる。以降ITO電極32に印加する正の電圧を消去電圧と呼ぶ。図3(a)の状態においてITO電極32側に析出していた銀は電解質31中に溶解し、一定時間消去電圧を印加すると、電解質31に混入された光拡散物質(例えば、酸化チタン粒子)の作用によってITO電極32側から見た電気化学表示素子1は初期状態の白色になる。
電気化学表示素子1に含まれる電解質31は、例えば銀塩水溶液より非水系銀塩溶液に銀を転相させることにより調製できる。このような銀塩水溶液は、公知の銀塩を水に溶解して調製することができる。
図4は、電気化学表示素子1に書き込み電圧を印加する時間と表示濃度Dとの関係を説明する図である。
図4の横軸はTxは書き込み電圧を印加する時間、縦軸は表示濃度の値Dである。0は電気化学表示素子1の最小表示濃度(白)、Dmaxは電気化学表示素子1の最大表示濃度(黒)であり本実施形態では0から15までの16段階の階調を表示するものとする。図4に示すように本実施形態の電気化学表示素子1では所定の書き込み電圧を印加すると書き込み時間Txに応じて表示濃度Dが増していく。
図5は、本実施形態における表示装置100の電気的構成を示す図、図6は、第1の実施形態における表示装置100の制御部11の内部構成を示すブロック図である。
図5では説明の簡略化のために3行×3列の画素だけの構成を示すが、表示画面50に画像表示を行うためには、より多くのn行×m列の画素が用いられる。例えば、XGAの表示画面50を構成する場合であれば、画素数は1024×768となる。図5は制御部11の内部構成を説明するための図である。
図5において、各画素は、電気化学表示素子1、駆動トランジスタ2、スイッチングトランジスタ4とを有する。図5ではn行×m列の画素の電気化学表示素子1をそれぞれPnmと表記している。例えば1行1列目の画素の電気化学表示素子1はP11、1行2列目の画素の電気化学表示素子1はP12、というように順に表記している。
符号5a、5b、5cは走査線で、行方向に並んだ画素それぞれのスイッチングトランジスタ4のゲートと、ゲートドライバ12とを互いに接続する。符号8a、8b、8cは信号線で、列方向に並んだ画素それぞれのスイッチングトランジスタ4のソースと、ソースドライバ14とを互いに接続する。ゲートドライバ12は、制御部11の制御に基づいて、走査線5a、5b、5cに出力電圧G1、G2、G3を選択的に出力することにより、スイッチングトランジスタ4のオン/オフの制御を行い、駆動トランジスタ2に制御電圧を印加する行を選択する。駆動トランジスタ2のドレインは各画素の電気化学表示素子1の銀電極30に接続され、ソースはGNDバス6によって接地されている。
ソースドライバ14は、信号線8a、8b、8c毎にドライバ回路を有し、制御部11の制御に基づいて、信号線8a、8b、8cに出力電圧S1、S2、S3を出力する。ソースドライバ14のドライバ回路はオン、オフの2値ドライバであり、制御部11の制御に基づいてソースドライバ14に入力された制御電圧Vsまたはオフ電圧である0Vを出力する。
制御電圧電源15は、制御部11の制御に基づいて制御電圧Vsを出力しソースドライバ14に供給する。
バスライン7a、7b、7cは、それぞれ1行ごとの各画素の電気化学表示素子1のITO電極32と接続され、またその一端はコモン電源13に接続されている。コモン電源13は制御部11の指令により正極性または負極性の電圧であるコモン電圧Vcを出力する。
ソースドライバ14の出力電圧S1、S2、S3がオン電圧であるVsのとき、スイッチングトランジスタ4がオンになると、駆動トランジスタ2のゲートにVsが印加され、駆動トランジスタ2はオンになり電気化学表示素子1にはコモン電圧Vcが印加される。その後、スイッチングトランジスタ4がオフになってもゲートの浮遊容量により、駆動トランジスタ2はオン状態を保持する。
ソースドライバ14の出力電圧S1、S2、S3がオフ電圧である0Vのとき、スイッチングトランジスタ4がオンになると、駆動トランジスタ2のゲートに0Vが印加され、駆動トランジスタ2はオフになる。
システムメモリ10は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの記録媒体から構成されている。
フレームメモリ60は、表示画面50の画素数に対応する記憶領域を有する1画面分のフレームメモリである。フレームメモリ60は、電気化学表示素子1によって次回に表示画面50に表示する第1の画像データとして表示濃度の値を記憶する。図面上ではフレームメモリ60をFM1と表記する。
タッチパネルコントローラ41は、制御部11の指令によりタッチパネル40を駆動し、またタッチパネル40から読みとった入力位置情報を制御部11に送信する。
制御部11は、CPUなどから構成され、プログラムに基づいて表示装置100全体を制御する。
制御部11の内部構成は図5を用いて説明する。
制御部11は、CPU98(中央処理装置)とRAM97(Random Access Memory)、ROM96(Read Only Memory)等から構成され、不揮発性の記憶部であるROM96に記憶されているプログラムをRAM97に読み出し、当該プログラムに従って表示装置100の各部を制御する。
図6において、CPU98内に記載されている画素書換回数カウンタ80、画素書換回数判定部81、部分書換回数カウンタ82、部分書換回数判定部83、及び書換制御部84は、それぞれCPU98によるプログラムの実行により実現される機能を機能ブロックとして示している。なお、本実施形態ではこれらの機能ブロックをソフトウェアにより実現するものとしたが、ハードウェアにより実現するようにしてもよい。
書換制御部84は、所定の電気化学表示素子に対して消去電圧を印加して画像を消去した後、表示すべき画像の濃度に応じた期間の間、書き込み電圧を印加する画像書換を行って画像を表示させる。
画素書換回数カウンタ80は、書換制御部84が、一部の領域の電気化学表示素子1に複数回画像書換を行う場合において、書換制御部84が画像書換を行わなかったそれぞれの電気化学表示素子1について、当該電気化学表示素子1と隣接する位置に配列された少なくとも一つの電気化学表示素子1に書換制御部84が画像書換を行った回数を計数する。
画素書換回数カウンタ80は、画像書換時に電気化学表示素子1に消去電圧または書き込み電圧を印加したことにより隣接する位置に配列された画素の表示が劣化する影響を予測するために設けられている。そのため、画素書換回数カウンタ80は、画像書換を行った電気化学表示素子1の回数は0とし、画像書換を行った電気化学表示素子1に隣接する位置に配列された電気化学表示素子1の書換回数を計数する。
画素書換回数判定部81は、画素書換回数カウンタ80の計数した書換回数がそれぞれ所定の書換回数を超えているか否かを判定する。
部分書換回数カウンタ82は、書換制御部84がデータ表示領域75aなどの一部の領域の電気化学表示素子1に画像書換を行った回数を計数する。
部分書換回数判定部83は、部分書換を行った回数が所定の回数を超えているか否かを判定する。
本実施形態では、データ表示領域75aを書き換える毎にGUI領域75bのデータ表示領域75aと隣接する部分は影響を受け表示が劣化する。部分書換回数カウンタ82により計数した部分書換を行った回数が、部分書換回数判定部83により所定の回数を超えていると判定されると、制御部11は全画素の書換を行う。
次に、図7を用いて本実施形態の表示装置100に画像を表示させるときの制御を説明する。
図7は電気化学表示素子1によって画像を表示するときの各部の電圧の変化を示すタイムチャートである。
以下の説明では、事前に画像が消去され全ての電気化学表示素子1が表示濃度0(白)となっている状態から、電気化学表示素子1の表示濃度を変化させることにより画像を書き込む例を説明する。
以下、図7のタイムチャートを用いて1行目の電気化学表示素子P11、P12、P13に印加される電圧VP11、VP12、VP13について説明する。
なお、画像の書き込みはフレーム期間の単位で行われ、フレーム期間をFWN(Nはフレーム番号)で表す。また、図7のタイムチャートでは図面を簡略化するためフレームFW5までしか表示していない。
本例では、フレームFW1のときのソースドライバ14の出力S1、S2、S3はVsである。
フレームFW1ではP11には書き込み電圧−Vcbが印加され電流i11が流れる。また、P12に書き込み電圧−Vcb印加され電流i12が流れ、P13に書き込み電圧−Vcbが印加され同様に電流i13が流れる。図7の例ではP11の表示濃度の値は4であり、フレームFW4までP11に−Vcbが印加されている。
また、図7には図示していないが、G2が‘H’になったタイミングでP21に電流i21、G3が‘H’になったタイミングでP31に電流i31が流れる。
図7の例では、フレームFW1からフレームFW4までは全ての電気化学表示素子1に書き込み電圧−Vcbが印加され、フレームFW5ではP11、P21、P31以外の電気化学表示素子1に電流が流れる。
書き込み電圧を印加する時間と表示濃度の関係が図4のように表示濃度0から最高表示濃度Dmaxまで1000msとし、またフレーム期間を例えば10msとすると、表示濃度0から最高表示濃度Dmaxまで100フレームの書き込みを行うことになる。
次に、図8を用いて本実施形態の表示装置100に表示している画像を消去するときの制御を説明する。
図8は電気化学表示素子1によって表示されている画像を消去するときの各部の電圧の変化を示すタイムチャートである。
1行目の電気化学表示素子P11、P12、P13に印加される電圧VP11、VP12、VP13について説明する。
なお、画像の書き込みはフレーム期間の単位で行われ、フレーム期間をFWN(Nはフレーム番号)で表す。なお、図8のタイムチャートでは図面を簡略化するためフレームFW5までしか表示していない。
本例ではP11、P12、P13の開始フレーム番号FS11は1である。そのため、フレームFW1のときのソースドライバ14の出力S1、S2、S3はVsである。
フレームFW1ではP11には消去電圧Vcaが印加され図5に矢印で示す方向と逆方向に電流i11が流れる。また、P12にも消去電圧Vca印加され図5に矢印で示す方向と逆方向に電流i12が流れ、P13に消去電圧Vca印加され同様に図5に矢印で示す方向と逆方向に電流i13が流れる。
また、図8には図示していないが、G2が‘H’になったタイミングでP21に電流i21、G3が‘H’になったタイミングでP31に電流i31が流れる。
図8の例では、フレームFW1からフレームFW5まで全ての電気化学表示素子1に−消去電圧Vcaが印加され、全ての電気化学表示素子1に電流が流れる状態を示している。画面全体を消去して更新する場合は、フレームFW5以降も例えばフレームFW100まで全画素に消去電圧Vcaを印加する。
次に、図9、図10、図11、図12を用いて本実施形態の表示装置100が一部分の領域の画像書換を行うときの処理を説明する。
図9は、一部分の領域の画像書換を行うときのメモリ空間74のデータと表示画面50に表示される画像の変化を説明する説明図である。
図9(a)は、システムメモリ10に記憶されている文書データ71、文書データ72とGUIデータ73を模式的に示した図である。図9(b)は、フレームメモリ60のメモリ空間74を模式的に示す図、図9(c)は、表示画面50に表示される画像を示す図である。
図9(b−1)、図9(c−1)は電源を投入した後の初期状態であり、フレームメモリ60のメモリ空間74に記憶されている表示濃度の値は全て0であり、表示画面50は全面に白が表示されている。表示画面50は、図9(c−1)のように文書データ等を表示するデータ表示領域75aとタブやアイコンなどを表示するGUI領域75bに区分されている。
ユーザが例えば順送りボタン43を押すと、書換制御部84はシステムメモリ10から文書データ71とGUIデータ73を読み出し、フレームメモリ60に書き込む。図9(b−2)は、メモリ空間74に記憶されている文書データ71とGUIデータ73を模式的に示している。
書換制御部84は、各画素の表示濃度に応じたフレームの間、図7で説明した手順により電気化学表示素子1にそれぞれ書き込み電圧を印加する。書き込みのフレーム期間が終了すると表示画面50には図9(c−2)のようにGUI領域75bには枠線77、タブ76a、76b、76cが表示され、GUI領域75bの内側のデータ表示領域75aには文書データ71が表示される。
次に、ユーザが図9(c−2)の状態から例えばタブ76bをタップし、データ表示領域75aに文書データ72を表示させる場合を説明する。
このような場合は、図9(c−1)のように表示画面を全画面白にしてからタブ76a、76b、76cと文書データ72を書き込んで表示させると、タブ76a、76b、76cの表示が一旦消えるのでユーザは不自然に感じる。そのため、本実施形態ではGUI領域75bの表示は変更せず、データ表示領域75aだけを書き換える部分書換を行う。
部分書換を行うと、ユーザが操作部42やGUI領域75bを操作してデータ表示領域75aに表示するデータを更新する際も、GUI領域75bに表示したタブ76やアイコンは消えないので使い勝手が良い。
部分書換の場合、制御部11は、最初に図9(b−3)のようにメモリ空間74の文書データ領域74aの表示濃度の値を0に書き換える。なお、フレームメモリ60のGUIデータ領域74bの表示濃度の値はいくらでも良い。
書換制御部84は、データ表示領域75aの各画素を表示濃度0にするフレーム回数の間、図7で説明した手順により電気化学表示素子1にそれぞれ消去電圧を印加する。すると、表示画面は図9(c−3)のようにGUI領域75bのタブ76a、76b、76cが表示されたまま文書データ71が消去され、データ表示領域75aが白く表示される。
次に、書換制御部84は、システムメモリ10から文書データ72を読み出して、図9(b−4)のようにフレームメモリ60の文書データ領域74aに文書データ72を書き込む。なお、フレームメモリ60のGUIデータ領域74bには書き込みを行わない。
書換制御部84は、次にデータ表示領域75aの各画素の表示濃度に応じたフレームの間、図7で説明した手順により電気化学表示素子1にそれぞれ書き込み電圧を印加する。書き込みのフレーム期間が終了すると表示画面50には図9(c−4)のように、枠線77とタブ76a、76b、76cが表示されているGUI領域75bの内側のデータ表示領域75aに文書データ72が表示される。
以降、操作部42やGUI領域75bを操作すると、同様の手順で部分書換が行われデータ表示領域75aに新たなページが表示される。ところが、部分書換を繰り返すとGUI領域75bのデータ表示領域75aと隣接する画素が影響を受けて画像がにじむなど表示が劣化する現象が起こる。
本実施形態では、このような表示劣化が目立たないように画像書換を行わなかった電気化学表示素子1と隣接する電気化学表示素子1が画像書換を行った回数を電気化学表示素子1毎にカウントし、所定回数を越えた電気化学表示素子1に画像書換を行って元の画像を再表示させる。このようにすると、部分書換を行っても表示する画像の劣化を目立たなくすることができる。
図10を用いて、本実施形態の部分書換を行っても画像の劣化が目立たなくする手順を説明する。
図10は、複数回部分書換を行う4つの電気化学表示素子1に隣接する画素の劣化を目立たなくする手順を説明する図である。
図10(a)〜(j)は、表示画面50の右上角からGUI領域75bとデータ表示領域75aとの境界付近の4×4画素を抜き出して各画素の表示濃度の変化を示している。図10では4×4画素の左上の画素を1行1列目の画素、右下の画素を4行4列目の画素とする相対アドレス(l,m)で画素の説明をする。(l,m)のlは行を、mは列を表す。また、図10(1)〜(6)は、図10(a)〜(j)の画素の電気化学表示素子1に対応する画素書換回数K(l,m)の行列を表している。
図10の(3,1)、(3,2)、(4,1)、(4,2)の4つの画素はデータ表示領域75aの画素であり、それ以外の12の画素はGUI領域75bの画素である。
図10(a)、(b)は、図9(C−2)のように表示している状態から、ユーザーによって新たなページを表示する操作がなされ、部分書換を行ってデータ表示領域75aにページ1の表示を行った状態である。なお、部分書換は図10(a)の状態までには行われていなかったものとする。
図10(a)は、部分書換を行うためデータ表示領域75aの画像を消去した状態であり、データ表示領域75aの4つの画素は白く(例えば表示濃度の値0)表示され、GUI領域75bの12の画素は黒(例えば表示濃度の値15)に表示されている。図10(1)の画素書換回数K(l,m)の値は全て0である。
図10(b)は、データ表示領域75aの4つの画素に部分書き込みを行って黒(例えば表示濃度の値15)を表示している状態である。GUI領域75bの画素は、書換られていない。図10(2)の画素書換回数K(l,m)の値は、部分書換を行った画素に隣接する5つの画素の画素書換回数K(2,1)、K(2,2)、K(2,3)、K(3,3)、K(3,4)の値が1になっている。
図10(c)、(d)を用いて、同様の手順で2回の部分書換を行ってデータ表示領域75aにページ2の表示を行った状態を説明する。
図10(c)は、部分書換を行うためデータ表示領域75aの画像を消去した状態であり、データ表示領域75aの4つの画素は白く(例えば表示濃度の値0)表示され、GUI領域75bの12の画素は黒(例えば表示濃度の値15)に表示されている。図10(1)の画素書換回数K(l,m)の値は全て0である。
図10(d)は、データ表示領域75aの4つの画素に部分書き込みを行って黒(例えば表示濃度の値15)を表示している状態である。GUI領域75bの画素は、書き換えられていない。図10(3)の画素書換回数K(l,m)の値は、部分書換を行った画素に隣接する5つの画素の画素書換回数K(2,1)、K(2,2)、K(2,3)、K(3,3)、K(3,4)の値が2になっている。
図10(e)、(f)を用いて、同様の手順で10回の部分書換を行ってデータ表示領域75aにページ10の表示を行った状態を説明する。
図10(e)は、部分書換を行うためデータ表示領域75aの画像を消去した状態であり、データ表示領域75aの4つの画素は白く(例えば表示濃度の値0)表示されている。GUI領域75bの部分書換を行った画素に隣接するデータ表示領域75aの5つの画素(2,1)、(2,2)、(2,3)、(3,3)、(3,4)の表示濃度は図10(e)のように図10(a)より薄くなっている。
図10(f)は、図10(e)の状態からデータ表示領域75aの4つの画素に部分書き込みを行って黒(例えば表示濃度の値15)を表示している状態である。GUI領域75bの画素は、図10(a)の状態から書換られていないが、GUI領域75bに隣接するデータ表示領域75aの5つの画素は当初より薄くなっている。図10(4)の画素書換回数K(l,m)の値は、部分書換を行った画素に隣接する5つの画素の画素書換回数K(2,1)、K(2,2)、K(2,3)、K(3,3)、K(3,4)の値が10になっている。部分書換を行った画素と、部分書換を行った画素に隣接する5つの画素以外のGUI領域75bの画素の画素書換回数は0である。
本実施形態では、このように部分書換を10回行った画素に隣接する書換を行わない画素は、画像の劣化が目立つようになるものとする。
図10(g)は、部分書換を10回行った画素に隣接する画像の劣化が目立つ5つの画素(2,1)、(2,2)、(2,3)、(3,3)、(3,4)を部分書換し、再描画するため一旦消去電圧を印加し、白を表示させた状態である。
図10(h)は、5つの画素(2,1)、(2,2)、(2,3)、(3,3)、(3,4)を部分書換し、当初の黒(例えば表示濃度の値15)を表示させた状態である。
このように、画像の劣化が目立つ画素だけを再描画しているので、再描画される画素は最小限であり、ユーザにあまり違和感を与えることなく更新できる。
図10(5)の画素書換回数K(l,m)の値は、部分書換を行った画素の画素書換回数K(2,1)、K(2,2)、K(2,3)、K(3,3)、K(3,4)の値が0になり、部分書換を行った画素に隣接する画素の画素書換回数は1になっている。
図10(i)、(j)は、同様の手順で部分書換を行ってデータ表示領域75aにページ11の表示を行った状態である。
図10(i)は、部分書換を行うためデータ表示領域75aの画像を消去した状態であり、データ表示領域75aの4つの画素は白く(例えば表示濃度の値0)表示され、GUI領域75bの12の画素は黒(例えば表示濃度の値15)に表示されている。
図10(j)は、データ表示領域75aの4つの画素に部分書き込みを行って黒(例えば表示濃度の値15)を表示している状態である。
図10(6)の画素書換回数K(l,m)の値は、部分書換を行った画素の画素書換回数K(3,1)、K(3,2)、K(4,2)の値が0になり、部分書換を行った画素に隣接する5つの画素の画素書換回数K(2,1)、K(2,2)、K(2,3)、K(3,3)、K(3,4)の値が1になっている。
以上のように画素毎に隣接した画素が書換られた回数を計数し、所定の回数以上の画素の書換を行うので、部分書換を行っても画像の劣化が目立たないようにできる。
ところで、図10で説明した手順で画素書換を所定回数以上行うと、データ表示領域75aに隣接する5つの画素(2,1)、(2,2)、(2,3)、(3,3)、(3,4)は、ページ送りを10回行う毎に書換られるが、これら5つの画素に隣接する7つの画素(1,1)、(1,2)、(1,3)、(1,3)、(1,4)、(2,4)、(3、4)、(4,4)はページ送りを100回行う毎しか書換られない。書換られるまでの間、これらの7つの画素の画像の劣化は許容できるレベルではあるが、長期間劣化した画像を表示することになるので望ましくない。
次に、このような劣化した画像をできるだけ長期間表示しないようにする手順を図11と図12のフローチャートで説明する。
図11は、部分書換によりページ更新をするメインルーチンの手順を説明するフローチャート、図12は、部分書換ルーチンの手順を説明するフローチャートである。
最初に、図11のメインルーチンの手順を説明する。
なお、電源投入時など初期状態では全ての電気化学表示素子1に消去電圧を印加し、画面全体が白く表示されているものとする。
S11:ページを更新した回数Bを0にするステップである。
部分書換回数カウンタ82は、ページを更新した回数Bを0にしてシステムメモリ10に記憶される。
S12:ページ更新の操作の有無を判定するステップである。
書換制御部84は、操作部42やタッチパネル40からページ更新の操作がされたか、否かを判定する。
ページ更新の操作無しの場合、(ステップS12;No)、ステップS12に戻る。
ページ更新の操作有りの場合、(ステップS12;Yes)、ステップS13に進む。
S13:部分書換を行うステップである。
書換制御部84は、後に説明する部分書換ルーチンをコールし、所定のページの画像をデータ表示領域75aに表示させる。
S14:ページを更新した回数BをB+1にするステップである。
部分書換回数カウンタ82は、システムメモリに記憶されているページを更新した回数BをB+1にする。
S15:ページを更新した回数Bが所定の回数Uを越えるか、否かを判定するステップである。
部分書換回数判定部83は、回数Bが予め設定した所定の回数Uを越えるか、否かを判定する。
B≦Uの場合、(ステップS15;No)、ステップS12に戻る。
B>Uの場合、(ステップS15;Yes)、ステップS16に進む。
S16:画面全体を更新するステップである。
書換制御部84は、全ての電気化学表示素子1に画像書換を行ってそれまでに表示していた画像を再度表示させ、ステップS11に戻る。
メインルーチンの説明は以上である。
例えばUを25に設定すると、ページ送りの回数が25回を越えると画面全体が更新されるので、ページ送り25回毎に隣接する電気化学表示素子1の影響により画像の劣化した電気化学表示素子1を全て無くすことができる。
次に、部分書換ルーチンの手順を図12のフローチャートで説明する。
図12は、本実施形態における部分書換ルーチンの手順を説明するためのフローチャートである。以下、メインルーチンから部分書換ルーチンがコールされてからの手順を説明する。
S101:部分書換を行うステップである。
書換制御部84は、フレームメモリ60のデータ表示領域75aに対応する領域の表示濃度の値を0に書き換える。
次に、書換制御部84は、データ表示領域75aの各画素を表示濃度0にするフレーム回数の間、データ表示領域75aの各電気化学表示素子1に消去電圧を印加する。
次に、書換制御部84は、システムメモリ10から新たなページのデータを読み出して、フレームメモリ60のデータを書き込む。
次に、書換制御部84は、次にデータ表示領域75aの各画素の表示濃度に応じたフレームの間、電気化学表示素子1にそれぞれ書き込み電圧を印加する。
S102:画素書換回数K(i,j)を更新するステップである。
画素書換回数K(i,j)は、システムメモリ10に記憶されているi行j列の電気化学表示素子1であるPijの画素書換回数を記憶する変数である。
画素書換回数カウンタ80は、それぞれの電気化学表示素子Pijについて、隣接する電気化学表示素子1の何れか一つが画像書換を行った場合は画素書換回数K(i,j)に1を加え、電気化学表示素子Pij自身が画像書換を行った場合は画素書換回数K(i,j)を0にする。なお、複数の隣接する電気化学表示素子1が画像書換を行ってもK(i,j)に加える値は1である。
S103:画素書換回数K(i,j)が所定回数以上の画素を抽出するステップである。
画素書換回数判定部81は、K(i,j)が所定回数以上の画素を抽出する。図10(4)の例では10回以上の画素(2,1)、(2,2)、(2,3)、(3,3)、(3,4)を抽出する。
S104:画素書換回数が所定回数以上の画素の有無を判定するステップである。
画素書換回数判定部81は、画素書換回数が所定回数以上の画素の有無を判定する。
所定回数以上の画素無しの場合、(ステップS104;No)、元のルーチンに戻る。
所定回数以上の画素有りの場合、(ステップS104;Yes)、ステップS105に進む。
S105:抽出した画素を再描画するステップである。
書換制御部84は、抽出した画素書換回数が所定回数以上の電気化学表示素子1に画像書換を行ってそれまでに表示していた画像を再度表示させ、画像書換を行った画素の画素書換回数を0にする。
処理を終了すると元のルーチンに戻る。
なお、これまでの説明した例では隣接する画素の何れかが画像書換を行った場合、画素書換回数K(i,j)に1を加えていたが、画素間の距離に応じて重み付けをしても良い。
図13を用いて、画素間の距離に応じて画素書換回数に重み付けをする例を説明する。
図13は、7行7列の画素書換回数K(i,j)の値を示している。行番号は−3〜3、列番号は−3〜3とし、それぞれの枠内に画素書換回数K(i,j)の値を記している。
図13は、中心の画素だけが1回書換られ画素書換回数K(0,0)が0になった状態である。隣接する画素は画素書換回数K(−1、−1)、K(−1、0)、K(−1、1)、K(0、−1)、K(0、1)、K(1、−1)、K(1、0)、K(1、1)の値は2である。さらにその外側を囲む画素の画素書換回数Kの値は1である。
すなわち、隣接する画素の画素書換回数Kは、その外側を囲む画素の画素書換回数Kの2倍に重み付けされている。
このように重み付けをすると、周辺の画素の書換による画像劣化をさらに精度良く予測することができる。
次に、第2の実施形態について図14、図15を用いて説明する。
図14は、第2の実施形態における表示装置の構成を示す図である。
第1の実施形態との違いは、第2の実施形態では画素毎の書換回数の計数を行わず、データ表示領域75aの部分書換回数に基づいて処理を行う点である。そのため、画素書換回数カウンタ80、画素書換回数判定部81は有さない。その他の機能要素については第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
図15は、第2の実施形態において、部分書換によりページ更新をするメインルーチンの手順を説明するフローチャートである。
図15のメインルーチンの手順を説明する。
なお、電源投入時など初期状態では全ての電気化学表示素子1に消去電圧を印加し、画面全体が白く表示されているものとする。
S20:ページを更新した回数Bを0にするステップである。
部分書換回数カウンタ82は、ページを更新した回数Bを0にしてシステムメモリ10に記憶される。
S21:ページ更新の操作の有無を判定するステップである。
書換制御部84は、操作部42やタッチパネル40からページ更新の操作がされたか、否かを判定する。
ページ更新の操作無しの場合、(ステップS12;No)、ステップS21に戻る。
ページ更新の操作有りの場合、(ステップS12;Yes)、ステップS22に進む。
S22:ページを更新した回数Bと所定の回数Yを判定するステップである。
部分書換回数判定部83は、ページを更新した回数Bと所定の回数Yが等しいか、否かを判定する。
B≠Yの場合、(ステップS12;No)、ステップS23に進む。
S23:データ表示領域75aの部分書換を行うステップである。
書換制御部84は、フレームメモリ60のデータ表示領域75aに対応する部分の表示濃度の値を0に書き換える。
次に、書換制御部84は、データ表示領域75aの各画素を表示濃度0にするフレーム回数の間、電気化学表示素子1にそれぞれ消去電圧を印加する。
次に、書換制御部84は、システムメモリ10から新たなページのデータを読み出して、フレームメモリ60のデータを書き込む。
次に、書換制御部84は、次にデータ表示領域75aの各画素の表示濃度に応じたフレームの間、電気化学表示素子1にそれぞれ書き込み電圧を印加する。
B=Yの場合、(ステップS12;Yes)、ステップS24に進む。
S24:データ表示領域75aおよびデータ表示領域75aの周囲の電気化学表示素子1の画像書換を行うステップである。図10の例では、データ表示領域75aの周囲の電気化学表示素子1は、隣接する5つの画素(2,1)、(2,2)、(2,3)、(3,3)、(3,4)の電気化学表示素子1である。
書換制御部84は、フレームメモリ60のデータ表示領域75aおよびデータ表示領域75aの周囲の画素に対応する部分の表示濃度の値を0に書き換える。
次に、書換制御部84は、データ表示領域75aの電気化学表示素子1、およびデータ表示領域75aの周囲の電気化学表示素子1を表示濃度0にするフレーム回数の間、これらの電気化学表示素子1にそれぞれ消去電圧を印加する。
次に、書換制御部84は、システムメモリ10から新たなページのデータを読み出して、フレームメモリ60のデータを書き込む。なお、データ表示領域75aに隣接する周囲の画素の画像データはフレームメモリ60に残っているものとする。
次に、書換制御部84は、データ表示領域75aの電気化学表示素子1、およびデータ表示領域75aに隣接する周囲の電気化学表示素子1の表示濃度に応じたフレームの間、これらの電気化学表示素子1にそれぞれ書き込み電圧を印加する。
S25:ページを更新した回数BをB+1にするステップである。
部分書換回数カウンタ82は、システムメモリに記憶されているページを更新した回数BをB+1にする。
S26:ページを更新した回数Bが所定の回数Uを越えるか、否かを判定するステップである。
部分書換回数判定部83は、回数Bが予め設定した所定の回数Xを越えるか、否かを判定する。
B≦Xの場合、(ステップS15;No)、ステップS12に戻る。
B>Xの場合、(ステップS15;Yes)、ステップS16に進む。
S16:画面全体を更新するステップである。
書換制御部84は、全ての電気化学表示素子1に画像書換を行い、それまでに表示していた画像を再度表示させてステップS11に戻る。
メインルーチンの説明は以上である。
例えばYを10に、Xを19に設定すると、ページ送りの回数が10回になるとデータ表示領域75aに隣接する周辺の画素も含めて更新され、ページ送りの回数が19回になると画面全体が更新される。
第2の実施形態では、第1の実施形態のように画素毎に書換回数を計数する場合より少ないメモリの使用量で、部分書換を行っても画像の劣化が目立たないようにすることができる。
なお、本実施形態の例に限らず、例えばページ送りを10回行う毎にデータ表示領域75aに隣接する周辺の画素も含めて更新し、ページ送りの回数が例えば25回になると画面全体が更新されるようにしても良い。
以上のように、本実施形態によれば、部分書換を行っても画像の劣化が目立たない表示装置を提供することができる。