JP2011095115A - 体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】標準器を用いて、固体の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法において、標準器が、線膨張係数が8.8〜12.5×10-6/℃である材料からなることを特徴とする体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法を構成とする。
【選択図】図2
Description
測定原理は、ダイヤルゲージなどを用いて標準器の長さとセメントコンクリート硬化体の供試体の長さの差から、長さ変化率を算定するものである。
まず、標準器と、試料であるセメントコンクリート硬化体の供試体について測長し、基長とする。材齢i日に、標準器と供試体の測長を行い、長さ変化率は式(1)により算出する。
また、標準器として、例えば、線膨張係数が16×10-6/℃程度のSUS304を用いているなど、標準器と供試体との線膨張係数の差により、基長時と測長時に温度変化が生じた場合、標準器と供試体との温度変化による長さ変化の差が誤差として生じる。
すなわち、本発明は、(1)標準器を用いて、固体の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法において、標準器が、線膨張係数が8.8〜12.5×10-6/℃である材料からなることを特徴とする体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法であり、(2)前記標準器が、線膨張係数が8.8〜11.5×10-6/℃である材料からなることを特徴とする(1)に記載の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法であり、(3)前記固体が、拘束を受ける固体であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法であり、(4)前記固体が、セメントコンクリート硬化体であることを特徴とする(1)〜(3)のうちのいずれか1に記載の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法である。
JIS A 1129は、モルタル又はコンクリートの供試体の長さ変化を試験する方法を規定するもので、コンパレータを用いる場合は、「モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法−第1部:コンパレータ方法」のJIS A 1129-1、コンタクトゲージを用いる場合は、「モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法−第2部:コンタクトゲージ方法」のJIS A 1129-2、及びダイヤルゲージを用いる場合は、「モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法−第3部:ダイヤルゲージ方法」のJIS A 1129-3の3つの規定がある。
JIS A 1129-1、JIS A 1129-2、及びJIS A 1129-3は、測定治具が異なるだけで、それ以外は同じであり、標準器に関しては、熱膨張率の小さい標準尺を備えていること、標準尺は、インバー鋼を用いるのが望ましいと規定されている。
しかしながら、インバー鋼の線膨張係数は、1.0×10-6/℃程度であり、コンクリート硬化体の線膨張係数10.0×10-6/℃程度とは大きく異なり、それによる誤差も大きくなる。
さらに、図2に基づいて説明する。
まず、標準器(標準尺)とモルタル又はコンクリートの供試体を測定して、基長として、xとyとし、材齢i日の標準器と供試体の長さを測定してx’とy’とし、次の式3に基づいて、材齢i日における長さ変化率εiを求めるものである。
モルタルの膨張性試験は附属書1による。コンクリートの一軸拘束状態における膨張性試験は附属書2によるとされており、いずれも、ダイヤルゲージを用いるものであり、測長は、温度20±2℃に保った室内で行うと規定され、測長器、標準器、及び拘束器具は、測長前3時間以上、温度20±2℃の場所に置くと規定されている。
また、標準器は、「材質は鋼製とする」と規定しているだけで、具体的にどのようなものを使用するか規定されていない。
附属書2では、膨張だけを対象とした試験方法としてA法、膨張及び収縮を対象とした試験方法としてB法の2種類が記載されている。
さらに、図3に基づいて説明する。
まず、標準器、拘束器具の長さを測定し、基長としてxとyとし、材齢i日の標準器と、拘束器具を使用したモルタル又はコンクリートの供試体の長さを測定してx’とy’とし、同様に、材齢i日における長さ変化率εiを求めるものである。
JIS A 6202では、拘束端版やゲージプラグが付随しているため、この部分を考慮する必要がある。
なお、拘束器具を基長とせず、供試体を基長とし、材齢i日の供試体の長さを測定することも可能である。
本発明で使用する標準器の線膨張係数は、8.8〜12.5×10-6/℃であり、8.8〜11.5×10-6/℃が好ましい。
標準器は、線膨張係数が、8.8〜12.5×10-6/℃であれば、特に限定されるものではなく、炭素鋼、クロム鋼、ニッケルクロム合金、フェライト系ステンレス鋼、及びマルテンサイト系ステンレス鋼等の鋼材、並びに、鋳鉄やチタンなどが挙げられ、鋼材が好ましく、18Cr フェライト系ステンレス鋼やSUS410などのマルテンサイト系ステンレス鋼がより好ましい。
JIS A 6202 附属書2 B法に基づいて実験を行った。
水185kg/m3、セメント540kg/m3、砂666kg/m3、砂利976kg/m3、及び混和剤16.2kg/m3の各単位量のコンクリート配合を用いて、コンクリートを調製し、JIS A 6202 附属書2に基づいて供試体を作成した。
表1に示す各種の標準器を使用し、標準器、供試体の測長温度を20℃±2℃内の異なる温度で測定し、式(10)に基づいて、標準器、供試体の各測長温度での温度誤差を得た。結果を表1に併記する。
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品
砂 :姫川水系産川砂
砂利 :姫川水系産川砂利
混和剤 :高性能AE減水剤、市販品
標準器A :インバー鋼製試作品、線膨張係数1.0(×10-6/℃)
標準器B :SUS410製試作品、線膨張係数10.4(×10-6/℃)
標準器C :鉄製試作品、線膨張係数12.0(×10-6/℃)
標準器D :SUS304製、市販品、線膨張係数16.0(×10-6/℃)
JIS A 6202 附属書2 B法において、表2に示す標準器を使用したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
なお、社団法人 土木学会では、収縮補償コンクリートの定義として、JIS A 6202 附属書2に示す方法で、長さ変化率が「150×10-6以上、250×10-6以下」のコンクリートと記載されているため、その中央値である長さ変化率200×10-6に対する温度誤差を百分率で示す。
標準器a :チタン合金製試作品、線膨張係数8.7×10-6/℃
標準器b :チタン合金製試作品、線膨張係数8.8×10-6/℃
標準器c :鉄製試作品、線膨張係数11.5×10-6/℃
標準器d :鉄製試作品、線膨張係数12.5×10-6/℃
標準器e :鉄製試作品、線膨張係数12.6×10-6/℃
Claims (4)
- 標準器を用いて、固体の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法において、標準器が、線膨張係数が8.6〜12.5×10-6/℃である材料からなることを特徴とする体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法。
- 前記標準器が、線膨張係数が8.6〜11.5×10-6/℃である材料からなることを特徴とする請求項1に記載の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法。
- 前記固体が、拘束を受ける固体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法。
- 前記固体が、セメントコンクリート硬化体であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法。
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