JP2018105766A - 膨張コンクリートの膨張率の推測方法 - Google Patents

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【課題】膨張コンクリートの膨張率を、簡便かつ安価な手段で、早期に推測できる方法を提供する。【解決手段】膨張コンクリートのJIS A 6202に準じて測定される膨張率の推測方法であって、膨張コンクリートの脱型強度を式〔I〕に代入して、前記膨張率を推測することを特徴とする、膨張コンクリートの膨張率の推測方法。式〔I〕 E = α(1/F) + βF:膨張コンクリートの脱型強度(単位:N/mm2)E:膨張コンクリートの膨張率(単位:×10−6)α、βは実験係数【選択図】図1

Description

本発明は、膨張コンクリートの膨張率を推測する方法に関する。
膨張コンクリートの膨張率の測定方法がJISによって規定されている(JIS A 6202)。しかしながら、この測定方法には、次のような要件がみられる。(1)測定手順が複雑であり、測定者には高い技術力が必要。(2)厳密に温度管理がされる場所でなければ、正確な測定結果が得られない。(3)専用の設備が必要。
このように、上記JISに規定される方法は、所定の技術や設備、経費等がかかり、広く一般的に実施できる測定法とは言いがたい。
そして、この方法は、最短でも材齢7日の試験体の膨張率を測定する方法であるので、測定ごとに試験体を7日間水中養生させる必要がある。よって、(4)膨張率を測定するのに時間がかかり、適正な膨張率を有する膨張コンクリートが製造されているかどうかを早期に判定できない。
また、膨張率の測定は、膨張コンクリートを製造する生コン工場で実施されることが多いが、上記のとおり、JISによる測定方法は技術や設備、手間がかかる測定法であることから、一般には零細企業である生コン工場において実施することが難しく、実体として外部試験期間に委託する場合がほとんどであり、経費負担も大きいのが実状である。
このため、生コン工場関係者からは、より簡便な手法で、しかも早期に、膨張コンクリートの膨張率を把握できる方法が求められてきた。
しかしながら、このような目的を達成できる実用的な方法は、本発明者らが知る限りではこれまで提案されていない。
本発明は、生コン工場等で実施される膨張コンクリートの膨張率の測定に手間と時間を要するという課題を解決するものであり、より簡便かつ安価な手段で、早期に膨張コンクリートの膨張率を推測する方法を提供するものである。ここで、「膨張コンクリート」とは、「混和材として膨張材を用いたコンクリート」をいう。
本発明者らは、前記課題解決のため、材齢7日の膨張率を推測するための各種物性因子を鋭意検討した結果、膨張コンクリートの脱型強度と材齢7日の膨張率との間に強い相関性を見出したため、材齢1日の脱型強度を測定することによって、材齢7日の膨張率を推測することができる方法を確立して、本発明を完成した。
従って、本発明による膨張コンクリートのJIS A 6202に準じて測定される膨張率の推測方法であって、
膨張コンクリートの脱型強度を式Iに代入して、前記膨張率を推測することを特徴とする、膨張コンクリートの膨張率の推測方法。
式〔I〕 E = α(1/F) + β
F:膨張コンクリートの脱型強度(単位:N/mm
E:膨張コンクリートの膨張率(単位:×10−6
α、βは実験係数
このような本発明による膨張コンクリートの膨張率の推測方法は、好ましい態様として、下記の[式〔I〕の作成]に従って式〔I〕を作成するもの、を包含する。
[式〔I〕の作成]
(イ)脱型強度の異なる複数の膨張コンクリートの硬化物試料を作製する。それぞれの硬化物試料の脱型強度と、JIS A 6202に準じて測定される膨張率を求める。
(ロ)(イ)で求めた膨張率を目的変数とし、脱型強度の逆数を説明変数とし回帰分析を行い、実験係数αおよびβを決定する。
このような本発明による膨張コンクリートの膨張率の推測方法は、好ましい態様として、膨張率を推測する膨張コンクリート(A)に含有される膨張材と、実験係数αおよびβを決定するために作製した硬化物試料の膨張コンクリート(a)に含有される膨張材とが、同一種類のものであるもの、を包含する。
このような本発明による膨張コンクリートの膨張率の推測方法は、好ましい態様として、前記の膨張コンクリート(A)は、その膨張率の数値が150×10−6〜250×10−6の範囲内であるもの、を包含する。
本発明によれば、簡便かつ安価な方法で、JIS A 6202で定められる膨張コンクリートの膨張率の値をほぼ正確に推測できる。したがって、例えば、個々の生コン工場であっても、外部試験期間に委託することなく、各々独自に膨張率を求めることができる。よって、経費負担が小さく、容易に自工場の膨張コンクリートの膨張率を把握することができる。
そして、本発明によれば、上記JISで定められる膨張率(材齢7日の膨張率)の値を早期に推測することができる。例えば、仮に膨張率が所定のものになっていないと推測される場合には、迅速に配合の再調整等の対処をすることができるので、より効率良く所望の膨張コンクリートを提供できる。
これらによって、生コン工場や各々のコンクリート製造現場において、多大な費用や時間を要することなく、膨張コンクリートの品質管理がし易くなり、適切な膨張率を発現する信頼性の高い膨張コンクリートを迅速に提供できる。また、目的外のコンクリートが無駄に生産されることが避けられるので、省資源であり環境への負荷を著しく低減することができる。
膨張コンクリートの脱型強度の逆数と膨張率との相関関係を示す図。 本発明の方法で得られた推測値と、JIS A 6202によって測定された実測値との関係を示す図。
本発明者らは、材齢7日における膨張率を推測する因子として、種々の物性値の相関性を検討した結果、脱型時の圧縮強度(以下、脱型強度)の逆数と高い相関性を示すことを見出した。しかも、いずれのセメントを用いた場合でも相関性が高いことが分かった。
理由として、コンクリート試験体は脱型した後に水中養生すると、膨張材の水和反応が促進され、大きな膨張力が発生される。この際に、膨張材粒子の周囲にあるセメント硬化物の強度が高ければ、膨張力を抑制する力が大きくなり、膨張率が低くなることが推察されるが、いずれのセメントを用いた場合でも、脱型強度を測定するだけで、高い精度で膨張コンクリートの膨張率を推測することができることは思いもよらない知見であった。
〔膨張コンクリートの膨張率の推測方法〕
本発明による膨張コンクリートの膨張率の推測は、式〔I〕を利用して行う。
式〔I〕 E = α(1/F) + β
F:膨張コンクリートの脱型強度(単位:N/mm
E:膨張コンクリートの膨張率(単位:×10−6
α、βは実験係数
実験係数α、βは、式〔I〕において、膨張コンクリートの膨張率を目的変数とし、脱型強度の逆数を説明変数として回帰分析を行うことにより求まる実験係数である。
本発明による膨張コンクリートの膨張率を推測する方法は、まず、あらかじめ、所定の式〔I〕を作成しておき、この式〔I〕に、膨張率を求めようとする膨張コンクリート(A)の脱型強度(F)(単位:N/mm)の数値の逆数を代入することで、膨張コンクリート(A)の材齢7日における膨張率を算出するものである。この式〔I〕に基づいて得られる値は、当該膨張コンクリート(A)をJIS(JIS A 6202)で規定された方法で得られる膨張率の値と、高い相関を有している。
従って、所定の式〔I〕を一度作成しておけば、膨張コンクリート(A)については、上記JISのように複雑な方法を実施することなく、かつ7日間の期間を必要とすることなく、脱型後にJISに準じた膨張率を推測することができる。
[対象となる膨張コンクリート]
本発明によれば、上記の通りに、膨張コンクリートの膨張率を推測することができる。
特に、膨張コンクリートに要求される諸特性(例えば、長期における収縮低減や、ひび割れ抑制)を効果的に発揮する、膨脹率が収縮補償の範囲内(即ち、150×10−6〜250×10−6の範囲内)の膨張コンクリートについて、十分な精度で膨張率を求めることができる。
本発明による膨張コンクリートの配合は、特に限定されるものではなく、通常の膨張コンクリートの配合であれば構わない。各構成要素について、以下にそれぞれ説明する。
[セメント]
本発明に用いるセメントとしては、種々のものを使用することができ、例えば、ポルトランドセメントや混合セメントなどを使用することができる。そのようなポルトランドセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントセメント、超早強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントからなる群から選ばれたもの挙げることができ、混合セメントとしては、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム、石灰石微粉末からなる群から選ばれた混合材を用いてなる混合セメントを挙げることができる。本発明では、いずれか1種を選択して使用することができるし、各群内あるいは各群間で選ばれた2種以上のセメントを組み合わせて使用することもできる。
本発明による膨張コンクリートのセメントの配合量は、使用するセメントの種類および単位水量によって適宜設定することができるが、通常単位量で270〜600kg/m、好ましくは300〜500kg/m、の範囲内である。
[膨張材]
本発明に用いられる膨張材は、コンクリート用膨張材として一般に使用されているJIS適合の膨張材であれば、何れの膨張材を用いることができる。具体的には水和反応により、水酸化カルシウムやエトリンガイトを生成するものであればよく、好ましい膨張材としては、(1)遊離生石灰を有効成分とする膨張材(生石灰系膨張材)、(2)カルシウムサルフォアルミネートを有効成分とする膨張材(エトリンガイト系膨張材)、(3)生石灰−エトリンガイト複合系膨張材などが挙げられる。
膨脹材の配合量は、収縮補償(150×10−6〜250×10−6)を目的とした標準添加量の範囲に設定することができる、膨張材の標準添加量としては、通常は15〜35kg/m、好ましくは20〜30kg/mの範囲内である。
ここで、本発明においては、膨張コンクリート(A)に含まれる膨張材と、実験係数αおよびβを決定するために作製した試験体の膨張コンクリート(a)に含まれる膨張材とは、同一種類のものであることが好ましい。このことによって、精度よく、膨張コンクリート(A)の膨張率を求めることができる。ここで、「同一種類」とは、上記の(1)〜(3)で分類された膨張材において、同じ分類の膨張材を言う。例えば、膨張コンクリート(A)に含まれる膨張材が、(1)に分類される膨張材であるならば、膨張コンクリート(a)に含まれる膨張材も同じく(1)に分類される膨張材を用いることが好ましい。
[骨材]
本発明に用いられる骨材は、特に制限されるものではなく、通常のコンクリートの製造に使用される細骨材および粗骨材を何れも使用することができる。そのような細骨材および粗骨材として、例えば川砂、海砂、山砂、砕砂、石灰石砂、人工細骨材、スラグ細骨材、再生細骨材、珪砂、石灰石粗骨材、川砂利、陸砂利、砕石、人工粗骨材、スラグ粗骨材および再生粗骨材等が挙げられる。これらの骨材は、いずれか1種を選択して使用することもできるが、2種以上の骨材を組み合わせて使用してもよい。
骨材の配合量は適宜設定できるが、通常は単位量で1500〜2000kg/m、好ましくは1600〜1900kg/m、の範囲内である。
また、細骨材率(s/a)も適宜設定できるが、通常は30〜60%、好ましくは40〜50%、である。
本発明においては、膨張コンクリート(A)に含まれる骨材と、実験係数αおよびβを決定するために作製した試験体の膨張コンクリート(a)に含まれる骨材とは、同一種類のものであることが好ましい。このことによって、精度よく、膨張コンクリート(A)の膨張率を求めることができる。ここで、「同一種類」とは、その成分、密度、弾性係数等が類似の骨材であることをいう。特に、密度や弾性係数が大きく異なる骨材を使用した場合は、膨張率を精度よく求めることができなくなる虞がある。
具体的には、例えば、実験係数αおよびβを決定するために作製した試験体の膨張コンクリート(a)の骨材が、通常使用される川砂、山砂、川砂利および陸砂利であった場合、膨張率を推測する膨張コンクリート(A)に含まれる骨材として石灰石骨材を用いる場合が挙げられる。このように弾性係数が大きく異なる骨材を使用した場合、精度良く膨張率を推測することができない虞がある。
[水]
本発明による膨張コンクリートの水の配合量(単位水量)は、150〜250kg/mとすることが好ましい。混練には、コンクリートミキサを用いることが好ましい。
水とセメント+膨張材との重量比率は、通常は37〜70%、好ましくは40〜65%、である。
[その他の成分等]
この他に、分散剤等任意の混和剤を、必要に応じて添加することができる。分散剤としては、一般的にモルタルやコンクリートの製造に使用されるセメント用の分散剤を使用できる。そのような分散剤としては、例えば、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤および流動化剤等が挙げられる。具体的には、メラミンスルホン酸系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤およびナフタレンスルホン酸系分散剤等の分散剤が挙げられる。
[式〔I〕の作成]
本発明における式〔I〕は、下記のようにして作成することができる。
[式〔I〕の作成]
(イ)脱型強度の異なる複数の膨張コンクリートの硬化物試料を用意する。それぞれの硬化物試料の脱型強度と、JIS A 6202に準じて測定される膨張率を求める。
(ロ)(イ)で求めた膨張率を目的変数とし、脱型強度の逆数を説明変数とし回帰分析を行い、実験係数αおよびβを決定する。
[式〔I〕の作成における(イ)]
上記(イ)においては、それぞれ膨張コンクリート(a)からなり、脱型強度が異なる複数の硬化物試料を用意する。硬化物試料の数は、3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上、である。膨張率の推測値の精度を高めるには硬化物試料の数が多いほど好ましい。
生コン工場においては、例えば、最初5つの硬化物試料を作製して式〔I〕を作成し、その後の膨張コンクリートのデータを追加し、式〔I〕を更新していくことによって、より高い精度で膨張率を求めることができる。
但し、骨材は、セメントや上述の[その他の成分等]に比べて、その種類によっては膨張性に差が観察される場合があるので、膨張率の測定精度にあまり影響を与えない骨材の選定、組み合せを採用することが好ましい。
脱型時の圧縮強度が異なる複数の硬化物試料の作製方法としては、例えば、(1)脱型時間を変えて複数の硬化物試料を作製する方法、(2)脱型時の圧縮強度が異なるようにセメントの種類を変えて複数の硬化物試料を作製する方法、(3)脱型時の圧縮強度が異なるように、上記各成分の配合量ないし配合比率を変えて複数の硬化物試料を作製する方法などを挙げることができる。
この中で、簡便かつ精度良く膨張率を推測するために好適な作製方法としては、(1)脱型時間を変えて作製する方法である。例えば、普通セメントを用いた標準的な膨張コンクリートについて、例えば7つの硬化物試料を取得しようとする場合について示せば、脱型時間を12時間、15時間、18時間、21時間、24時間、27時間、30時間に変えて、合計7試料作製することができる。
次いで、それぞれの硬化物試料の脱型強度(単位:N/mm)をそれぞれ測定し、それぞれの脱型強度の数値の逆数を取得する。
脱型強度は、脱型後、速やか測定を行い、5〜20分以内に行うことが好ましく、遅くとも30分以内に行なうことが好ましい。ここで、圧縮強度の測定は、JIS A 1108に準じて行うことができる。
膨張率についても、脱型強度を測定した硬化物試料と同様の試料を用い、JIS A 6202に準じた試験方法にて測定する。
本発明よる膨張コンクリートの膨張率の推測方法において、より高精度に膨張率を求めようとする場合には、膨張コンクリート(a)と膨張コンクリート(A)とは、その構成成分の種類ならびに配合量に関し同一ないし類似していることが好ましい。特に、膨張材と骨材については、上記のとおり、同一種類の材料を用いることが好ましい。
一方、セメント種、水とセメント+膨張材の比率、細骨材率(s/a)等の違いについては、本発明の方法に対する影響が小さく、多少の違いがあっても許容できる。具体的には、生コン工場での通常製造されているJIS規格のコンクリートの範囲における変動要因については許容できる範囲である。
[式〔I〕の作成における(ロ)]
式〔I〕の作成における(ロ)では、上記(イ)で取得された、それぞれの硬化物試料の脱型強度の数値と膨張率の数値とから、膨張率を目的変数とし、脱型強度の逆数を説明変数とし回帰分析を行い、実験係数αおよびβを決定する。
本発明の式〔I〕において相関性を表す決定係数(R)は、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.85以上、特に好ましくは0.9以上、である。決定係数(R)が高いほど、膨張コンクリートの膨張率をより精度よく推定することができ、より信頼性が高い推測値を得ることができる。
[膨張コンクリートの膨張率の推測]
本発明による膨張コンクリートの膨張率の推測方法では、式〔I〕を作成したうえで、この式〔I〕に基づき、膨張コンクリート(A)(すなわち、膨張率を求めようとする膨張コンクリート)の脱型時(通常は24時間後に脱型)の圧縮強度(F)(単位:N/mm)の数値の逆数から、上記膨張コンクリート(A)の7日後の推測膨張率(E)を算出する。
この膨張コンクリート(A)の推測膨張率(E)は、前述の式〔I〕に上記の脱型強度(F)を代入することによって、算出することができる。
この推測膨張率(E)は、150×10−6〜250×10−6の範囲内のものであることが好ましい。一方、推測膨張率(E)がこの範囲を逸脱するときは、この膨張コンクリート(A)を従来通りにJIS A 6202で規定された方法で測定した際に、膨張率(実測値)も150×10−6〜250×10−6の範囲を逸脱する可能性が大きい。このような範囲を逸脱する膨張コンクリートでは、必要な膨張率が得られにくく、例えば構造物の乾燥収縮抑制、ひび割れ抑制などを達成困難になる。
推測膨張率(E)が上記好ましい範囲内である膨張コンクリート(A)は、例えはコンクリート構造物用の膨張コンクリートとして適したものである。
以下、本発明の好ましい実施形態についてさらに詳細に示すが、本発明はこれらの具体的に示された範囲内に限定されるものではない。
本実施例では、種々の脱型強度が得られるように、セメントの種類を用いて、また異なる脱型時間および水セメント比において、それぞれ脱型強度、材齢7日における膨張率を測定した。脱型強度(圧縮強度)についてはJIS A 1108に準じて、膨張率についてはJIS A 6202に準じてそれぞれ測定を実施した。
セメントは、普通セメント、早強セメント、高炉セメントB種、中庸熱セメントの4種類を使用した。使用材料を表1に、コンクリート配合を表2に示す。
Figure 2018105766
Figure 2018105766
脱型時間は18〜48時間の範囲で設定した。
実施した結果を表3に示す。
これらの結果を用いて回帰分析を行い、作成した相関図を図1に示す。また、本結果をもとに作成した膨張率の推測値と実測値の関係を表わすものとして、図2を示す。
回帰分析の結果、相関性を表す式〔I〕は、E=89.414(1/F)+211.33となった。
相関性を表す決定係数(R)は、0.8804と十分高く、脱型強度を測定することによって、高い精度で材齢7日における膨張率を推測できることが判る。
Figure 2018105766

Claims (4)

  1. 膨張コンクリートのJIS A 6202に準じて測定される膨張率の推測方法であって、
    膨張コンクリートの脱型強度を式〔I〕に代入して、前記膨張率を推測することを特徴とする、膨張コンクリートの膨張率の推測方法。
    式〔I〕 E =α(1/F) + β
    F:膨張コンクリートの脱型強度(単位:N/mm
    E:膨張コンクリートの膨張率(単位:×10−6
    α、βは実験係数
  2. 下記の[式〔I〕の作成]に従って式〔I〕を作成することを特徴とする請求項1に記載の膨張コンクリートの膨張率の推測方法。
    [式〔I〕の作成]
    (イ)脱型強度の異なる複数の膨張コンクリートの硬化物試料を作製する。それぞれの硬化物試料の脱型強度と、JIS A 6202に準じて測定される膨張率を求める。
    (ロ)(イ)で求めた膨張率を目的変数とし、脱型強度の逆数を説明変数とし回帰分析を行い、実験係数αおよびβを決定する。
  3. 膨張率を推測する膨張コンクリート(A)に含有される膨張材と、実験係数αおよびβを決定するために作製した硬化物試料の膨張コンクリート(a)に含有される膨張材とが、同一種類のものである、請求項1または2に記載の膨張コンクリートの膨張率の推測方法。
  4. 前記の膨張コンクリート(A)は、その膨張率の数値が150×10−6〜250×10−6の範囲内のものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の膨張コンクリートの膨張率の推測方法。
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