JP2011095114A - 温度変化による誤差を補正して固体の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】標準器と固体の供試体の温度を測定し、特定の式に基づいて、標準器と固体の供試体の温度変化による誤差をそれぞれ算定して、温度変化による固体の体積変化率及び/又は長さ変化率の誤差を補正する固体の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法を構成とする。
【選択図】図2
Description
測定原理は、ダイヤルゲージなどを用いて標準器の長さとセメントコンクリート硬化体の供試体の長さの差から、長さ変化率を算定するものである。
まず、標準器と、試料であるセメントコンクリートの供試体について測長して基長とする。材齢i日に、標準器と供試体の測長を行い、長さ変化率は式(1)により算出する。
また、標準器は、例えば、線膨張係数が16×10-6/℃程度のSUS304を用いており、標準器と、線膨張係数が大体10×10-6/℃程度のセメントコンクリート硬化体等の供試体との線膨張係数の差により、基長時と測長時に温度変化が生じた場合、標準器と供試体との温度変化による長さ変化の差が誤差として生じる。
JIS A 1129は、モルタル又はコンクリートの供試体の長さ変化を試験する方法を規定するもので、コンパレータを用いる場合は、「モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法−第1部:コンパレータ方法」のJIS A 1129-1、コンタクトゲージを用いる場合は、「モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法−第2部:コンタクトゲージ方法」のJIS A 1129-2、及びダイヤルゲージを用いる場合は、「モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法−第3部:ダイヤルゲージ方法」のJIS A 1129-3の3つの規定がある。
JIS A 1129-1、JIS A 1129-2、及びJIS A 1129-3は、測定治具が異なるだけで、それ以外は同じであり、測定温度に関しては、「測定器,標準尺,はかり及び供試体は,測定時に,その試験ごとに定めた温度になるようにしなければならない。特に温度を定めないときは,20±1℃とする。」と規定されている。
まず、標準器(標準尺)とモルタル又はコンクリートの供試体の長さを測定して、基長xとyとし、材齢i日の標準器と供試体の長さを測定してx’とy’とし、次の式(1)に基づいて、材齢i日における長さ変化率εiを求めるものである。
ただし、ことわりがない限り、本発明では、膨張側を正、収縮側を負とする。図2を参照。
モルタルの膨張性試験は附属書1による、コンクリートの一軸拘束状態における膨張性試験は附属書2によるとされており、いずれも、ダイヤルゲージを用いるものであり、測長は、温度20±2℃に保った室内で行うと規定され、測長器、標準器、及び拘束器具は、測長前3時間以上、温度20±2℃の場所に置くと規定されている。
附属書2では、膨張だけを対象とした試験方法としてA法、膨張及び収縮を対象とした試験方法としてB法の2種類が記載されている。
まず、標準器、拘束器具の長さを測定し、基長としてxとyとし、材齢i日の標準器と、拘束器具を使用したモルタル又はコンクリートの供試体の長さを測定してx’とy’とし、同様に、材齢i日における長さ変化率εiを求めるものである。
ただし、ことわりがない限り、本発明では、JIS A 6202の拘束器具を用いる場合において、拘束器具を使用したモルタル又はコンクリートの供試体の基長の対象は拘束器具を指し、材齢i日の測長は、拘束器具を使用したモルタル又はコンクリートの供試体が対象となる。また、拘束器具を使用したモルタル又はコンクリートの供試体の基長をモルタル又はコンクリートを打ち込んだ後とした場合には、拘束器具を使用したモルタル又はコンクリートの供試体の基長の対象は、拘束器具ではなく、拘束器具を使用したモルタル又はコンクリートの供試体が対象となる。
以下、拘束器具を使用したモルタル又はコンクリートの供試体の基長は、コンクリートを打ち込む前の拘束器具とし、材齢i日の測長は、拘束器具を使用したモルタル又はコンクリートの供試体を対象として説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
JIS A 6202では、拘束端版やゲージプラグが付随しているため、この部分を考慮する必要がある。
これ以外においても、温度変化による変形の適合条件を組み立て、これを式(1)に代入し、整理することで、測長時において、標準器や供試体に基長時との温度変化がある場合の温度誤差を除いた長さ変化率を測定できる。
JIS A 6202 附属書2 B法に基づいて実験を行った。
水185kg/m3、セメント540kg/m3、砂666kg/m3、砂利976kg/m3、及び混和剤16.2kg/m3の各単位量のコンクリート配合を用いて、コンクリートを調製し、JIS A 6202 附属書2 B法に基づいて供試体を作成した。
表1に示す各種の標準器を使用し、標準器、供試体の測長温度を20℃±2℃内の異なる温度で測定し、下記式(9)に基づいて、標準器、供試体の各測長温度での温度誤差と温度誤差の補正量を得た。結果を表1に併記する。
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品
砂 :姫川水系産川砂
砂利 :姫川水系産川砂利
混和剤 :高性能AE減水剤、市販品
標準器A :インバー鋼製試作品、線膨張係数1.0(×10-6/℃)
標準器B :SUS410製試作品、線膨張係数10.4(×10-6/℃)
標準器C :鉄製試作品、線膨張係数12.0(×10-6/℃)
標準器D :SUS304製、市販品、線膨張係数16.0(×10-6/℃)
また、補正式によりこれを補正することで、温度誤差を定量評価でき、その影響を除外することができる。
JIS A 6202 附属書2 B法において、意図的に基長時と測長時の環境温度を変え、実験例1と同様、長さ変化率を測定した。
なお、温度変化の範囲は、JIS
A 6202に規定されている20℃±2℃の範囲内とした。
また、コンクリートは、膨張側の挙動と収縮側の挙動を明確にするため、単位結合材量の多い普通コンクリートの配合と、これに膨張材を混和した膨張コンクリートの2水準とした。コンクリート配合を表2に示し、長さ変化率の結果を表3に示す。
表4に示すコンクリート配合を用いて、表5に示す温度で測長したこと以外は実験例2と同様に実験を行った。結果を表5に併記し、図5に示す。
Claims (3)
- 標準器と固体の供試体の温度を測定し、次の式9に基づいて、標準器と固体の供試体の温度変化による誤差をそれぞれ算定して、温度変化による固体の体積変化率及び/又は長さ変化率の誤差を補正することを特徴とする固体の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法。
- 前記固体が拘束を受ける固体であることを特徴とする請求項1に記載の固体の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法。
- 前記固体が、セメントコンクリート硬化体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体の体積変化率及び/又は長さ変化率を測定する方法。
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