本発明の表面に3次元模様を有するポリマーシートの製造方法によれば、ポリマーシートの片面上に、該ポリマーシートが吸収可能な少なくとも1種の重合性モノマーを含むモノマー混合物又はその部分重合物を必須成分とする重合性組成物を塗布し、表面形状を3次元的に変化させた後、重合硬化させて、表面に3次元模様を形成することにより、3次元模様を有するポリマーシートを得ることができる。なお、本発明において「シート」という場合には、テープ状のもの、即ち、「テープ」も含まれるものとする。また、ポリマーシートの片面上に、重合性組成物を塗布することにより形成され、塗布直後の重合性組成物の塗布層を、「重合性組成物塗布層」と称する場合がある。以下、「本発明の表面に3次元模様を有するポリマーシートの製造方法」を単に「本発明の製造方法」と称する場合がある。
本発明の製造方法は、ポリマーシートの少なくとも片面側に、該ポリマーシートが吸収可能な少なくとも1種の重合性モノマーを含むモノマー混合物又はその部分重合物を必須成分とする重合性組成物を塗布して、重合性組成物を塗布した側の面の表面形状を3次元的に変化させる工程[工程(i)]、重合に付して、表面に3次元模様を形成する工程[工程(ii)]を必須の工程として含む。
(ポリマーシート)
ポリマーシートは、単層のポリマー層からなるシートであり、重合性組成物の重合性モノマーのうち少なくとも一種を重合性組成物から吸収することができる。つまり、本願にいう「ポリマーシート」は、モノマー吸収層として作用するシート形状あるいはフィルム形状のポリマーのことをいう。前記のモノマー吸収層とは、重合性モノマーのうち少なくとも一種との間で相互作用を生じ、該重合性モノマーを吸い、層内部まで移動させることが可能な層(層内部に取り込むことが可能な層)のことをいう。また、ポリマーシートにおいて、モノマー吸収層により提供される面は、重合性モノマーを吸収する面、すなわちモノマー吸収面である。
なお、ポリマーシートは、後述の支持体(ポリマーシート用支持体)の少なくとも一方の面側に設けられたモノマー吸収層として存在していてもよい。つまり、ポリマーシートは、ポリマーシートと後述の支持体とから構成される積層シート中のモノマー吸収層であってもよい。なお、積層シートとすると、取り扱い性や作業性の点で有利である。
ポリマーシートと重合性モノマーとの関係において、ポリマーシートがその重合性モノマーに対してモノマー吸収層に該当するか否かは、下記の条件を満たすか否かにより、判断される。ポリマーシートを過剰量(重量でポリマーシートの300倍以上)の重合性モノマー中へ25℃で75秒間漬け込んだ場合に、ポリマーシートの重量が初期重量の2倍以上になり、且つポリマーシートを過剰量(重量でポリマーシートの300倍以上)の重合性モノマー中へ25℃で3日間漬け込んだ場合に、溶解により消失することなく、ポリマーシートの重量が初期重量の2倍以上になるか否かにより、判断される。ポリマーシートと重合性モノマーとの関係において、この条件を満たす場合、すなわち前記の両方の場合においてポリマーシートの重量が初期重量の2倍以上になる場合、本発明では、そのポリマーシートは、その重合性モノマーに対するモノマー吸収層として組み合わせて使用することができる。
モノマー吸収層としてのポリマーシート(モノマー吸収層としてのポリマー層)は、公知・慣用の方法を用いて形成することができ、例えば、後述の支持体(ポリマーシート用支持体)やセパレーターの離型処理された面などの適宜な支持体の所定の面上に、モノマー吸収層としてのポリマーシート(モノマー吸収層としてのポリマー層)を形成する組成物を塗布して、必要に応じて、乾燥、重合等を行うことにより形成することができる。なお、モノマー吸収層としてのポリマーシート(モノマー吸収層としてのポリマー層)を形成する組成物を「モノマー吸収層形成組成物」と称する場合がある。
モノマー吸収層形成組成物は、特に限定されず、例えば、ポリマーを必須成分とするモノマー吸収層形成組成物、ポリマーを形成するモノマーの混合物(モノマー混合物)又はその部分重合物を必須成分とするモノマー吸収層形成組成物などが挙げられる。具体的には、前者としては、例えば、いわゆる溶剤型のモノマー吸収層形成組成物が挙げられ、後者としては、例えば、いわゆる活性エネルギー線硬化型のモノマー吸収層形成組成物が挙げられる。なお、モノマー吸収層形成組成物には、必要に応じて、架橋剤やその他の各種添加剤が用いられていてもよい。
ポリマーシートを構成するポリマーとしては、重合性組成物の形成成分である重合性モノマーのうち少なくとも一種を吸収できる限り特に制限されず、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ウレタン系ポリマー、フッ素系ポリマー、エポキシ系ポリマーなどから適宜選択して用いることができる。上記の中でも、吸収可能なモノマーの選択範囲が広いこと、強度などの機械的性質が軟らかいものから硬いものまで広範囲であること、透明性や耐候性に優れるなどの観点から、アクリル系ポリマーが特に好ましい。すなわち、モノマー吸収層であるポリマーシートとしては、アクリル系ポリマーシートが好ましい。なお、上記ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、モノマー吸収層としてのポリマーシートは、上記のポリマーをベースポリマーとする粘着剤層(感圧性接着剤層)であってもよい。このような粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤などが挙げられる。すなわち、モノマー吸収層であるポリマーシートは、粘着シート(感圧性接着シート)であってもよい。ポリマーシートが粘着剤層である場合、本発明の製造方法で得られた表面に3次元模様を有するポリマーシートにおいて、粘着性を発揮することが可能である。
前記のアクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー成分とするアクリル系ポリマー、特に主たるモノマー成分(モノマー主成分)が(メタ)アクリル酸アルキルエステルであるアクリル系ポリマーが好適に用いられる。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。なお、上記の「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を表し、他も同様である。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。中でも、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なお、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルはアクリル系ポリマーのモノマー主成分として用いられているので、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、例えば、アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して60重量%以上(好ましくは80重量%以上)であることが重要である。
前記アクリル系ポリマーでは、モノマー成分として、極性基含有モノマーや多官能性モノマーなどの各種共重合性モノマーが用いられてもよい。モノマー成分として共重合性モノマーを用いることにより、例えば、凝集力を高めることができる。なお、共重合性モノマーは単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。極性基含有モノマーとしてはアクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその無水物が好適である。
極性基含有モノマーの使用量としては、アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して30重量%以下(例えば1〜30重量%)であり、好ましくは3〜20重量%である。極性基含有モノマーの使用量が30重量%を超えると、凝集力が高くなりすぎ、例えば、柔軟性の点で不具合を生じる場合がある。また、極性基含有モノマーの使用量が少なすぎると(例えばアクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して1重量%未満であると)、得られるポリマーの凝集力が低下し、高い強度が得られないおそれがある。また、ポリマーシートしての取り扱いが難しくなる場合がある。
前記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
多官能性モノマーの使用量としては、アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して20重量%以下(例えば、0.01〜20重量%)であり、好ましくは0.02〜1重量%である。多官能性モノマーの使用量がアクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して20重量%を超えると、例えばアクリル系ポリマーの凝集力が高くなりすぎ、モノマー吸収性が損なわれるおそれがある。また、多官能性モノマーの使用量が少なすぎると(例えばアクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して0.01重量%未満であると)、例えば、アクリル系ポリマーの凝集力が低下したり、重合性モノマーへ溶解してしまうおそれがある。
また、極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の共重合性モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
モノマー吸収層としてのポリマーシートを構成するポリマーとしては、特に制限されないが、下記の重合性組成物の重合性モノマーのうち少なくとも1種を構成単位とするポリマーが好ましい。構成単位が共通すると、重合性モノマーのポリマーシートへの吸収がより生じやすくなり、表面の3次元模様をより形成しやすくなるためである。
後述のように、重合性組成物としては、アクリル系モノマーを主モノマーとするアクリル系モノマー混合物又はその部分重合物を必須成分とする重合性アクリル系組成物が好ましいので、ポリマーシートは、かかる点からも、アクリル系ポリマーシート(アクリル系ポリマー層)であることが好ましい。
上記のアクリル系ポリマーは、公知乃至慣用の重合方法によりモノマー成分を重合(共重合)させることにより調製することができる。このような重合方法としては、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、活性エネルギー線の照射による重合法(活性エネルギー線重合法、光重合法)などが挙げられる。中でも、有機溶剤を用いることなく、省エネルギーで、さらに比較的厚いポリマー層(ポリマーシート)を得やすいことから、活性エネルギー線重合法が好ましく、特に紫外線の照射による紫外線重合法が好ましい。
アクリル系ポリマーの調製に際しては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を用いることができる。上述のように、ポリマー層の調製には活性エネルギー線重合法が好ましいので、モノマー吸収層形成組成物は光重合開始剤を含んでいることが好ましい。なお、重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、特に制限されず、例えばベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。光重合開始剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
具体的には、ケタール系光重合開始剤には、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン[例えば、商品名「イルガキュア651」(チバ・ジャパン社製)など]等が含まれる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[例えば、商品名「イルガキュア184」(チバ・ジャパン社製)など]、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、商品名「ルシリンTPO」(BASF社製)などが使用できる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分100重量部に対して、0.01〜5重量部(好ましくは0.05〜3重量部)の範囲から選択することができる。
上記の活性エネルギー線の照射による重合法で用いられる活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外線が好適である。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に制限されず、光重合開始剤を活性化させて、重合反応を生じさせることができればよい。
なお、熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤[例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど]、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤(例えば有機過酸化物/バナジウム化合物;有機過酸化物/ジメチルアニリン;ナフテン酸金属塩/ブチルアルデヒド、アニリンあるいはアセチルブチロラクトン等の組み合わせなど)などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。なお、レドックス系重合開始剤を熱重合開始剤として用いれば、常温で重合させることが可能である。
アクリル系ポリマーを溶液により重合させる際に用いられる溶剤としては、公知慣用の有機溶剤を用いることができる。例えば、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤;シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤などが使用できる。これらの有機溶剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
モノマー吸収層形成組成物には、架橋剤が添加されていてもよい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。中でも、取り扱い性の点から、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−トなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられ、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども用いられる。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。
また、モノマー吸収層形成組成物には、必要に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤(例えば、イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(顔料や染料など)などが挙げられる。これらの添加剤の量は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜選択することができる。
また、モノマー吸収層形成組成物は、重合性モノマーの移行のしやすさに伴う表面3次元模様の形成しやすさの点や作業性の点から、後述の重合性組成物と同一又は近似する組成を有していることが好ましい。
モノマー吸収層形成組成物が重合性組成物と近似する組成を有している場合の具体例としては、例えば、重合性モノマーの少なくとも一種を形成成分として有しているモノマー吸収層形成組成物、重合性組成物の重合性モノマーの少なくとも一種と、モノマーを特徴づける部分構造(例えば、アクリル系モノマーのアクリレート構造部、エポキシ系モノマーのエポキシ構造部など)が共通するモノマーを形成成分として有しているモノマー吸収層形成組成物などが挙げられる。
上述のように、本発明の製造方法では、モノマー吸収層としてのポリマーシートを構成するポリマーとしてはアクリル系ポリマーが好ましいので、モノマー吸収層形成組成物は、アクリル系ポリマーを形成するアクリル系モノマー吸収層形成組成物であること好ましい。
モノマー吸収層としてのポリマーシートの形成方法は、特に制限されず、公知・慣用の方法を適宜選択することができる。
具体的には、アクリル系ポリマーを必須成分とするモノマー吸収層形成組成物(モノマー吸収層形成組成物溶液など)の場合には、モノマー吸収層形成組成物を所定の面上(例えば、下記のポリマーシート用支持体の少なくとも片側の面上など)に、乾燥後の厚さが所定の厚さになるように塗布し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化させる方法(直写法)、適当な剥離ライナー上にモノマー吸収層形成組成物を、乾燥後の厚さが所定の厚さになるように塗布し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化させてポリマーシートを形成した後、該ポリマーシートを所定の面上(例えば、下記のポリマーシート用支持体の少なくとも片側の面上など)に転写(移着)させる方法(転写法)などが挙げられる。
また、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の混合物(モノマー混合物)又はその部分重合物を必須成分とするモノマー吸収層形成組成物の場合には、モノマー吸収層形成組成物を所定の面上(例えば、下記のポリマーシート用支持体の少なくとも片側の面上など)に塗布し、活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化によりポリマーシートを形成する方法(直写法)、適当な剥離ライナー上にモノマー吸収層形成組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化によりポリマーシートを形成した後、該ポリマーシートを所定の面上(例えば、下記のポリマーシート用支持体の少なくとも片側の面上など)に転写(移着)させる方法(転写法)などが挙げられる。さらに、必要に応じて、乾燥工程を加えてもよい。
特に、有機溶剤を用いることなく、省エネルギーで、比較的厚いポリマーシートを得ることができる点から、活性エネルギー線硬化によるポリマーシートの形成方法が好ましい。
モノマー吸収層形成組成物の塗布に際しては、例えば、慣用のコーター(例えば、コンマロールコーター、ダイロールコーター、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなど)を用いることができる。
モノマー吸収層としてのポリマーシートの厚み(重合性組成物を塗布する前のポリマーシートの厚み)としては、3次元模様の形成の容易さから、重合性組成物塗布層(ポリマーシートの片面上に重合性組成物を塗布することにより形成され、塗布直後の重合性組成物の層)/ポリマーシートの比が、0.51〜100であることが好ましく、特に1〜50であることが好ましい。前記の比が0.51未満であると3次元模様が形成されず、また100を越えると3次元模様が表面にまで表れない。具体的な厚みとしては、取り扱い性などの点から、1〜1000μmが好ましく、好ましくは2〜500μmであり、特に好ましくは5〜200μmである。
前述のように、モノマー吸収層としてのポリマーシートは、支持体(ポリマーシート用支持体)の少なくとも一方の面側に設けられていてもよいが、このような場合の支持体(ポリマーシート用支持体)としては、例えば、紙などの紙系支持体;布、不織布、ネットなどの繊維系支持体;金属箔、金属板などの金属系支持体;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系支持体;ゴムシートなどのゴム系支持体;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体[例えば、プラスチック系支持体と他の支持体との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など]等の適宜な薄葉体を用いることができる。支持体としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系支持体を好適に用いることができる。このようなプラスチックのフィルムやシートにおける素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマーとするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、支持体として、プラスチック系支持体が用いられている場合は、延伸処理等により伸び率などの変形性を制御していてもよい。また、支持体としては、ポリマーシートが活性エネルギー線による硬化により形成される場合は、活性エネルギー線の透過を阻害しないものを使用することが好ましい。
支持体の表面は、ポリマー層との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤や剥離剤等によるコーティング処理等が施されていてもよい。
支持体の厚さは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、例えば、一般的には1000μm以下(例えば、1〜1000μm)、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm程度であるが、これらに限定されない。なお、支持体は、単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
なお、モノマー吸収層としてのポリマーシートが前記支持体(ポリマーシート用支持体)の少なくとも一方の面側に設けられる場合、ポリマーシートと支持体との間には、第三の層を設けてもよい。例えば、第三の層としては、接着性を高めることを目的とする接着層、帯電防止性を付与する導電層などが挙げられる。
(重合性組成物)
重合性組成物は、重合性モノマーを含むモノマー混合物又はその部分重合物を必須成分とする組成物である。重合性組成物は、前記のモノマー吸収層としてのポリマーシート上に塗布される。なお、「モノマー混合物」はモノマー成分のみからなる混合物を意味し、また1つのモノマー成分のみからなる場合を含むものとする。また、「部分重合物」はモノマー混合物のうち1つ又は2つ以上の成分が部分的に重合している組成物を意味する。
重合性モノマーは、ラジカル重合やカチオン重合などの反応機構を問わず、光エネルギーや熱エネルギーを利用して重合可能な化合物であることが重要である。本発明の製造方法では、重合性モノマーとしては、モノマー吸収層としての前記ポリマーシートとの間で相互作用を生じ、該ポリマーシートに吸われ、層内部まで移動可能なものを、少なくとも一種選択して用いることが重要である。
このような重合性モノマーとしては、例えば、アクリル系ポリマーを形成するアクリル系モノマー等のラジカル重合性モノマー;エポキシ系樹脂を形成するエポキシ系モノマー、オキセタン系樹脂を形成するオキセタン系モノマー、ビニルエーテル系樹脂を形成するビニルエーテル系モノマー等のカチオン重合性モノマー;ウレタン系樹脂を形成するポリイソシアネートとポリオールとの組み合わせ;ポリエステル系樹脂を形成するポリカルボン酸、ポリオールとの組み合わせ等が挙げられる。なお、重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、本発明の製造方法では、比較的にマイルドな反応条件(例えば、温度や照度)
でも、高い重合速度が得られるという点から、重合性モノマーとしてはアクリル系モノマーが好ましい。すなわち、重合性組成物は、アクリル系モノマーを主成分とするモノマー混合物又はその部分重合物(アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物)を必須成分とする重合性アクリル系組成物(アクリル系重合性組成物)であることが好ましい。
前記アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、特にアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)を好適に用いることができる。なお、上記の「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を表し、他も同様である。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。中でも、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
重合性組成物が重合性アクリル系組成物である場合、(メタ)アクリル酸エステル[特にアルキル基(例えば、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、環状のアルキル基)を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル]は、アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物の全形成モノマー成分のうち、60重量%以上(好ましくは90重量%以上)を占めることが重要である。
前記重合性アクリル系組成物では、アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物の形成成分として、主の形成成分であるアクリル系モノマーの他に、極性基含有モノマーや多官能性モノマーなどの各種共重合性モノマーが用いられてもよい。共重合性モノマーを用いることにより、例えば、凝集力を高めることができる点で有利である。なお、共重合性モノマーは、単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。極性基含有モノマーとしてはアクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその無水物が好適である。
極性基含有モノマーの使用量としては、アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物の形成成分としてのモノマー成分全量に対して30重量%以下(例えば1〜30重量%)であり、好ましくは3〜20重量%である。極性基含有モノマーの使用量が30重量%を超えると、凝集力が高くなりすぎ、例えば、柔軟性の点で不具合を生じる場合がある。また、極性基含有モノマーの使用量が少なすぎると(例えばアクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して1重量%未満であると)、得られるポリマーの凝集力が低下し、高い強度が得られないおそれがある。
前記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
多官能性モノマーの使用量としては、特に制限されず、本発明の効果を損なわない範囲で用いられる。
また、極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の共重合性モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
また、上記極性基含有モノマー以外の共重合性モノマーとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;極性基含有モノマー以外の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
本発明では、重合性組成物を塗布した側の面の表面形状を3次元的に変化させた後、短時間でスムーズに重合させる必要があることから、熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を用いた熱や活性エネルギー線による硬化反応を利用することが好ましい。特に、厚手のポリマーシートの得やすさの点、作業性の点、加熱や冷却のために多量のエネルギーを必要としない点から、光重合開始剤を用いた活性エネルギー線による硬化反応を利用することが好ましい。すなわち、本発明では、重合性組成物としては光重合性組成物が好ましく、特に光重合性アクリル系組成物が好ましい。
なお、本発明の製造方法では、重合性組成物中の重合性モノマーが、モノマー吸収層としてのポリマーシートに吸収される点から、重合性組成物及びポリマーシートのうち、少なくとも一方が光重合開始剤を含んでいればよい。また、モノマー吸収層としてのポリマーシートでは、光重合開始剤を含むモノマー吸収層形成組成物により形成され、その結果、該ポリマーシートに光重合開始剤が含まれていてもよい。
光重合開始剤としては、特に制限されず、例えばベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
具体的には、ケタール系光重合開始剤には、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン[例えば、商品名「イルガキュア651」(チバ・ジャパン社製)など]等が含まれる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[例えば、商品名「イルガキュア184」(チバ・ジャパン社製)など]、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、商品名「ルシリンTPO」(BASF社製)などが使用できる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、重合性組成物が光重合性アクリル系組成物である場合、その必須成分であるアクリル系モノマー混合物又はその部分重合物100重量部に対して、0.01〜5重量部(好ましくは0.05〜3重量部)の範囲から選択することができる。
上記の活性エネルギー線による硬化反応に際して照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外線が好適である。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に制限されず、光重合開始剤を活性化させて、重合反応を生じさせることができればよい。
なお、熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤[例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど]、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤(例えば有機過酸化物/バナジウム化合物;有機過酸化物/ジメチルアニリン;ナフテン酸金属塩/ブチルアルデヒド、アニリンあるいはアセチルブチロラクトン等の組み合わせなど)などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。なお、レドックス系重合開始剤を熱重合開始剤として用いれば、常温で重合させることが可能である。
重合性組成物には、架橋剤が添加されていてもよい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−トなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられ、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども用いられる。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。
架橋剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、重合性組成物が光重合性アクリル系組成物である場合、硬化後の着色や脆性、あるいは光吸収により重合を妨げないようにする点から、その必須成分であるアクリル系モノマー混合物又はその部分重合物100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
また、重合性組成物には、必要に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤(例えば、イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(顔料や染料など)などが挙げられる。これらの添加剤の量は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜選択することができる。
また、重合性組成物は、少なくとも1つの「ポリマーシート(モノマー吸収層としてのポリマーシート)に吸収されない物質」を形成成分として含んでいてもよい。
「ポリマーシートに吸収されない物質」とは、モノマー吸収層としてのポリマーシートを形成するモノマーに対して溶解する、溶解しないで判別できる。具体的に、ある物質が「ポリマーシートに吸収されない物質」に該当するか否かは、ある物質とポリマーシートを形成するモノマー(形成するモノマーが複数である場合は、形成するモノマーの混合物)と1:1の割合(重量比)で混合することにより判断される。例えば、ポリマーシートを形成するモノマーに対して全く溶解しない場合は、「ポリマーシートに吸収されない物質」である。また、混合しても、常温(25℃程度)で1時間以内に両者が分離する場合、「ポリマーシートに吸収されない物質」である。さらに、混合しても、白濁状態で安定する場合には、「ポリマーシートに吸収されない物質」である。白濁状態とは、目視で、透明ではなく、白濁していると判断される状態をいう。なお、分子量が10万以上の高分子化合物は、ポリマーシートに吸収されない物質である。
「ポリマーシート(モノマー吸収層としてのポリマーシート)に吸収されない物質」は、特に制限されず、有機物であってもよいし、無機物であってもよい。また、固形物であってもよいし、流動性を有していてもよい。さらには、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
重合性組成物に、モノマー吸収層としてのポリマーシートに吸収されない物質が形成成分として含まれていると、表面に3次元模様を有するポリマーシートにおいて、表面の機能、例えば、硬度、柔軟性、接着性、光学特性等を付与することが可能となる。
このような物質としては、特に制限されないが、シリカ、シリコーン(シリコーンパウダー)、炭酸カルシウム、クレー、酸化チタン、タルク、層状ケイ酸塩、粘土鉱物、金属粉、ガラス、ガラスビーズ、ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックバルーン、チタン白、カーボンブラック、活性炭、チタン酸バリウムなどの無機粒子;ポリエステルビーズ、ナイロンビーズ、シリコンビーズ、ウレタンビーズ、塩化ビニリデンビーズ、アクリルバルーンなどの有機粒子;架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂、ナイロン樹脂などの樹脂粒子;無機−有機ハイブリット粒子などの粒子が好ましい。なお、粒子は、中実体、中空体(バルーン)のいずれであってもよい。
上記粒子の粒径(平均粒子径)としては、特に制限されないが、例えば、0.5〜500μm(好ましくは 1〜300μm、さらに好ましくは3〜100μm)の範囲から選択することができる。また、粒子の形状は、特に制限されず、真球状や楕円球状などの球状、不定形状、針状、棒状、平板状などのいずれの形状であってもよい。さらにまた、上記粒子は、その表面に、孔や突起などを有していてもよい。上記粒子の表面には、各種表面処理(例えば、シリコーン系化合物やフッ素系化合物等による低表面張力化処理など)が施されていてもよい。
さらに、モノマー吸収層としてのポリマーシートに吸収されない物質の具体例としては、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、シリコーン、天然ゴム、合成ゴム[特に、スチレン−イソプレン−スチレンゴム(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム(SEBS)などスチレン成分を含有する合成ゴム]などのポリマー類やそのオリゴマー類;ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂などタッキファイヤー類(粘着付与樹脂類);界面活性剤、酸化防止剤、有機顔料、可塑剤、溶剤(有機溶剤)などの液体などが挙げられる。さらに、水や水溶液(例えば、塩水溶液、酸水溶液など)も挙げられる。
特に、モノマー吸収層としてのポリマーシートに吸収されない物質として上記物質が用いられていると、表面に3次元模様を有するポリマーシートの3次元模様に上記物質が本来備える性質(例えば、ゴムを用いた場合の柔軟性、粘着付与樹脂を用いた場合の粘着性、顔料を用いた場合の着色性、水や水溶液を用いた場合の含水性など)を付与することができる。
モノマー吸収層としてのポリマーシートを形成するポリマーとしてアクリル系ポリマーを用いる場合、そのポリマーシートの吸収されない物質としては、具体的には、前記の粒子、SEBS、ポリエステル、シリコーンなどを好ましく用いることができる。
モノマー吸収層としてのポリマーシートを形成するポリマーとしてアクリル系ポリマーを用い、そのポリマーシートの吸収されない物質として粒子を用いる場合、本発明の製造方法で得られる表面に3次元模様を有するポリマーシートにおいて、3次元模様が形成された表面付近に粒子が濃縮する効果を生じる。特に、粒子として、架橋アクリル粒子、層状ケイ酸塩、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタンなどを用いると、例えば、表面の硬度を高める等の表面の機能付与が容易に可能となる。
重合性組成物にポリマーシートに吸収されない物質を形成成分として含む場合の使用量としては、特に制限されないが、例えば、重合性組成物が光重合性アクリル系組成物である場合、その必須成分であるアクリル系モノマー混合物又はその部分重合物100重量部に対して、0.01〜50重量部が好ましく、好ましくは0.1〜20重量部である。50重量部を越えると、表面に3次元模様を有するポリマーシートの作製が困難となる場合や強度の問題が生じる場合があり、一方、0.01重量部未満であると、その物質を添加した効果が得られない場合がある。
本発明の製造方法では、重合性組成物は、重合性モノマーの移行のしやすさに伴う表面3次元模様の形成しやすさの点や作業性の点から、前述のモノマー吸収層形成組成物と同一又は近似する組成を有することが好ましい。具体的には、モノマー吸収層形成組成物を形成する主モノマー成分の少なくとも一種を重合性モノマーとして有している重合性組成物、モノマー吸収層形成組成物を形成する主モノマー成分のモノマーを特徴づける部分構造(例えば、アクリル系モノマーのアクリレート構造部、エポキシ系モノマーのエポキシ構造部など)が共通するモノマーを重合性モノマーとして有している重合性組成物などが挙げられる。
例えば、モノマー吸収層としてのポリマーシートを構成するポリマーとしてアクリル系ポリマーを用いる場合、重合性組成物の重合性モノマーとしては、アクリル系モノマーを用いることが好ましい。
重合性組成物は、上記各成分均一に混合・分散させることにより、調製することができる。この重合性組成物は、通常、モノマー吸収層としてのポリマーシート上に塗布するなどしてシート状に成形するので、塗布作業に適した適度な粘度を持たせておくのがよい。重合性組成物の粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマーを配合することや、光の照射や加熱などにより一部重合させることにより調整することができる。なお、望ましい粘度は、BH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数10rpm、測定温度:30℃の条件で設定された粘度として、5〜50Pa・s、より好ましくは10〜40Pa・sである。粘度が5Pa・s未満であると、塗布したときに液が流れてしまい、50Pa・sを超えていると、粘度が高すぎて塗布が困難となる。
(表面に3次元模様を有するポリマーシートの製造方法)
本発明によれば、表面に3次元模様を有するポリマーシートは、モノマー吸収層としてのポリマーシートの片面に、重合性組成物を塗布し、重合性組成物を塗布した側の面の表面形状を3次元的に変化させる工程[工程(i)]、重合に付して、表面に3次元模様を形成する工程[工程(ii)]を経て形成される。
工程(i)では、モノマー吸収層としてのポリマーシートの片面上、すなわちポリマーシートのモノマー吸収面上に、重合性組成物を塗布する。重合性組成物が塗布されると、ポリマーシートに重合性組成物を塗布した側の面上において、平滑形状から3次元立体形状への変化が生じる。つまり、重合性組成物を塗布した側の面で、塗布した直後は平滑であるものの、経時で3次元形状の模様が形成される。そして、本発明の製造方法では、この3次元形状の模様を形成後に重合に付され、この構造を維持しつつ硬化することにより、表面に3次元模様を形成する。
工程(i)では、モノマー吸収層としてのポリマーシートに重合性組成物を塗布することにより、ポリマーシートと重合性モノマーのうちの少なくとも一種との間で相互作用が生じて、該相互作用の生じた重合性モノマーが少なくとも部分的にポリマーシート内部へ吸収され、ポリマーシートの体積増加(膨潤)とともに、塗布された重合性組成物の体積変化や移動(形状変化)が生じると推定される。
また、工程(i)では、モノマー吸収層としてのポリマーシートに重合性組成物を塗布することにより得られる構造物を、重合性組成物を塗布した側の面の表面形状を変化させて、所望の3次元構造が得られるまで放置する。
放置される環境は、通常、重合が進むと硬化し、所望の3次元構造が得られないおそれがあるので、あまり重合反応が進まない環境や全く重合反応が生じない環境であることが好ましい。
本発明のポリマーシートの製造方法において、放置の時間(ポリマーシート上に重合性組成物を塗布してから重合に付すまでの時間)は、特に制限されないが、生産性と3次元構造の形成の点から、1分以上が好ましく、好ましくは2分以上であり、さらに好ましくは3分以上である。なお、工程(ii)の時間は、通常、1時間以内(好ましくは30分以内)である。あまりに長く放置すると、重合性組成物の揮発が生じるからである。
工程(i)では、通常、カバーフィルムを用いることはない。モノマー吸収層としてのポリマーシートに重合性組成物を塗布した後、この塗布面にカバーフィルムを貼付すると、カバーフィルムが表面の3次元模様の形成を阻害するからである。すなわち、本発明のポリマーシートの製造方法では、ポリマーシートの片面上に、該ポリマーシートが吸収可能な少なくとも1種の重合性モノマーを含むモノマー混合物又はその部分重合物を必須成分とする重合性組成物を塗布し、該塗布面にカバーフィルムを貼付することなく、表面形状を3次元的に変化させた後、重合硬化させて、表面に3次元形状を形成することが好ましい。なお、本発明の製造方法により、表面に3次元模様を有するポリマーシートを作製した後、該表面に3次元模様を有するポリマーシートを保護する目的でカバーフィルムを用いてもよい。
工程(ii)では、工程(i)で得られた構造物(モノマー吸収層としてのポリマーシートに重合性組成物を塗布することにより得られる構造物を放置して、重合性組成物を塗布した側の面で所望の3次元構造を形成させたもの)を、重合に付して硬化させることにより、表面に3次元模様を有するポリマーシートの3次元模様(立体模様)が形成される。
前記重合としては、例えば、熱重合開始剤を含む重合性組成物を用いた場合の熱重合や、光重合開始剤を含む重合性組成物を用いた場合の光重合などが挙げられる。上述のように、厚手のポリマーシートの得やすさの点、作業性の点、加熱や冷却のために多量のエネルギーを必要としない点から、光重合法を用いることが好ましい。
なお、重合・硬化によりポリマーの3次元模様(立体模様)が形成される限り、光源や熱源、照射エネルギーや熱エネルギー、照射方法や加熱方法、照射時間や加熱時間、照射や加熱の開始時期、照射や加熱の終了時期等について、特に制限されることはない。また、光重合法を用いる場合、片面から活性エネルギー線を照射してもよいし、両面から活性エネルギー線を照射してもよい。
上記光重合に際して照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、作業性の点から紫外線が好適である。
工程(ii)で、紫外線照射による光重合法により重合に付す場合の方法としては、例えば、ブラックライトランプ、ケミカルランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどによる紫外線の照射が挙げられる。また、加熱により重合に付す場合の方法としては、例えば公知の加熱方法(例えば、電熱ヒーターを用いた加熱方法、赤外線等の電磁波を用いた加熱方法など)が挙げられる。
このような表面に3次元模様を有するポリマーシートの製造方法は、簡便であり、作業性よく、表面に3次元模様を有するポリマーシートを作製できる。また、表面積をより大きくすることができる。さらに、光重合法を採用している場合、重合促進のための加熱工程や暴走反応を抑制するための冷却工程等を設ける必要がなく、省エネルギー性にすぐれる。
(表面に3次元模様を有するポリマーシート)
本発明の製造方法により作製された表面に3次元模様を有するポリマーシートは、少なくとも一方の表面に、3次元模様を有する。このため、意匠性に優れている。さらに、表面積が大きい。
表面に3次元模様を有するポリマーシートの三次元模様は、不特定の形状であり、例えば、ひだ状山部(ひだ状物、畝状物、畝状山部)と窪んだ谷部(窪み部)からなり、ひだ状山部が不規則に相互に交差する不規則立体網目状、植物のマスクメロンの表面のメロンネット形状などの形状を有する(図2〜6、10、11参照)。
表面に3次元模様を有するポリマーシートにおいて山部となっている部分の高さは、特に制限されないが、例えば、10〜2000μm程度であり、好ましくは100〜500μm程度である。なお、高さは、谷部のもっとも深い部分と山部の最も高い部分との差で表される。
表面に3次元模様を有するポリマーシート全体の厚さは、特に制限されないが、例えば、50〜3000μm程度であり、好ましくは200〜1000μm程度である。なお、該全体の厚さは、前記のモノマー吸収層としてのポリマーシート及び重合性組成物から形成される構造物を重合に付すことにより得られるポリマー部分の厚さに相当し、表面に3次元模様を有するポリマーシート全体で最も厚い部分の厚さのことである。なお、表面に3次元模様を有するポリマーシートにおいて、前記のモノマー吸収層としてのポリマーシートが支持体(ポリマーシート用支持体)の少なくとも一方の面側に設けられたモノマー吸収層として存在する場合、表面に3次元模様を有するポリマーシート全体の厚さに、支持体の厚さは含まれない。
このような表面に3次元模様を有するポリマーシートは、例えば、表面形状を活かした意匠デザイン、滑り止めなどの用途に、あるいは表面積を活かした物質の吸着や吸収あるいは放出などの用途に用いることができ、テーブルクロスや床材、天井材、壁紙、自動車の内装材、携帯電話などの携帯電子機器の外装材などに用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
(光重合性シロップの調製例1)
モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート:90重量部、およびアクリル酸:10重量部が混合されたモノマー混合物と、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・ジャパン社製):0.1重量部とを、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、冷却管を備えた4つ口のセパラブルフラスコ中で均一になるまで攪拌した後、窒素ガスによりバブリングを1時間行って溶存酸素を除去した。その後、ブラックライトランプにより紫外線をフラスコ外側より照射して重合し、適度な粘度になった時点でランプを消灯、窒素吹き込みを停止して、重合率7%の一部が重合した組成物(シロップ)(「光重合性シロップ(A)」と称する場合がある)を調製した。
(光重合性シロップの調製例2)
モノマー成分としてのブチルアクリレート:100重量部と、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・ジャパン社製):0.1重量部とを、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、冷却管を備えた4つ口のセパラブルフラスコ中で均一になるまで攪拌した後、窒素ガスによりバブリングを1時間行って溶存酸素を除去した。その後、ブラックライトランプにより紫外線をフラスコ外側より照射して重合し、適度な粘度になった時点でランプを消灯、窒素吹き込みを停止して、重合率7%の一部が重合した組成物(シロップ)(「光重合性シロップ(B)」と称する場合がある)を調製した。
(光重合性シロップの調製例3)
モノマー成分としてのイソボルニルアクリレート:100重量部と、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・ジャパン社製):0.1重量部とを、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、冷却管を備えた4つ口のセパラブルフラスコ中で均一になるまで攪拌した後、窒素ガスによりバブリングを1時間行って溶存酸素を除去した。その後、ブラックライトランプにより紫外線をフラスコ外側より照射して重合し、適度な粘度になった時点でランプを消灯、窒素吹き込みを停止して、重合率7%の一部が重合した組成物(シロップ)(「光重合性シロップ(C)」と称する場合がある)を調製した。
(光重合性組成物の調製例1)
光重合性シロップ(A):100重量部に、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(商品名「NKエステルA-HD」新中村化学社製):0.1重量部を混合して、光重合性組成物(「光重合性組成物(A)」と称する場合がある)を調製した。
(光重合性組成物の調製例2)
光重合性シロップ(A):100重量部に、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・ジャパン社製):2重量部、架橋剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「カヤラッドDPHA」日本化薬社製):0.3重量部を溶解・混合して、光重合性組成物(「光重合性組成物(B)」と称する場合がある)を調製した。
(光重合性組成物の調製例3)
光重合性シロップ(B):100重量部に、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・ジャパン社製):2重量部、架橋剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「カヤラッドDPHA」日本化薬社製):0.3重量部を溶解・混合して、光重合性組成物(「光重合性組成物(C)」と称する場合がある)を調製した。
(光重合性組成物の調製例4)
光重合性シロップ(C):100重量部に、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(商品名「NKエステルA-HD」新中村化学社製):0.1重量部を混合して、光重合性組成物(「光重合性組成物(D)」と称する場合がある)を調製した。
(光重合性組成物の調整例5)
光重合性シロップ(A):100重量部に、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・ジャパン社製):2重量部、架橋剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「カヤラッドDPHA」日本化薬社製):0.3重量部、平均粒径5μmの架橋ポリマー粒子(商品名「MX−500」綜研化学社製):5重量部を混合して、光重合性組成物(「光重合性組成物(E)」と称する場合がある)を調製した。
(カバーフィルム)
カバーフィルムは、片面がシリコーン系離型処理剤(剥離剤)により離型処理された、厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRN38」三菱樹脂社製、あるいは「MRF38」三菱樹脂社製)を用いた。
(PET基材付きポリマーシートの作製例1)
光重合性組成物(A)を、PET基材(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ルミラーS10」東レ社製)の片面に、硬化後の厚さが30μmとなるように塗布し塗布層を形成して、該層上に離型処理された面が接する形態でカバーフィルムを貼り合わせた。次に、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm2)を3分間照射し、該層を硬化させ、ポリマーシートを得た。その後、カバーフィルムを剥がして除去することにより、PET基材上に設けられたポリマーシート(「PET基材付きポリマーシート(A)」と称する場合がある)を作製した。
(PET基材付きポリマーシートの作製例2)
光重合性組成物(D)を、PET基材(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ルミラーS10」東レ社製)の片面に、硬化後の厚さが30μmとなるように塗布し塗布層を形成して、該層上に離型処理された面が接する形態でカバーフィルムを貼り合わせた。次に、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm2)を3分間照射し、該層を硬化させ、ポリマーシートを得た。その後、カバーフィルムを剥がして除去することにより、PET基材上に設けられたポリマーシート(「PET基材付きポリマーシート(B)」と称する場合がある)を作製した。
(PET基材付きポリマーシートの作製例3)
光重合性シロップ(A)を、PET基材(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ルミラーS10」東レ社製)の片面に、硬化後の厚さが50μmとなるように塗布し塗布層を形成して、該層上に離型処理された面が接する形態でカバーフィルムを貼り合わせた。次に、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm2)を3分間照射し、該層を硬化させ、ポリマーシートを得た。その後、カバーフィルムを剥がして除去することにより、PET基材上に設けられたポリマーシート(「PET基材付きポリマーシート(C)」と称する場合がある)を作製した。
(PET基材付きポリマーシートの作製例4)
光重合性組成物(A)を、PET基材(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ルミラーS10」東レ社製)の片面に、硬化後の厚さが100μmとなるように塗布し塗布層を形成して、該層上に離型処理された面が接する形態でカバーフィルムを貼り合わせた。次に、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm2)を3分間照射し、該層を硬化させ、ポリマーシートを得た。その後、カバーフィルムを剥がして除去することにより、PET基材上に設けられたポリマーシート(「PET基材付きポリマーシート(D)」と称する場合がある)を作製した。
(PET基材付きポリマーシートの作製例5)
光重合性組成物(A)を、PET基材(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ルミラーS10」東レ社製)の片面に、硬化後の厚さが200μmとなるように塗布し塗布層を形成して、該層上に離型処理された面が接する形態でカバーフィルムを貼り合わせた。次に、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm2)を3分間照射し、該層を硬化させ、ポリマーシートを得た。その後、カバーフィルムを剥がして除去することにより、PET基材上に設けられたポリマーシート(「PET基材付きポリマーシート(E)」と称する場合がある)を作製した。
(実施例1)
PET基材付きポリマーシート(A)のポリマーシート上に、光重合性組成物(B)を、厚さが100μmとなるように塗布した。塗布から10分間放置したところ、塗布面の表面に3次元模様が形成された。次に、塗布面を上にしたまま、コンベア付きのUV照射装置(UVランプとしてフュージョンHバルブを備える)を用いて、紫外線照射を行った。該紫外線照射により3次元模様を固定化し、シート表面に3次元模様を形成したポリマーシートを得た。
なお、紫外線照射は、コンベア速度3.5m/分で、コンベア付きのUV照射装置に5回通過させることにより行った。1回あたりのUV照度は290mW/cm2であり、1回あたりの光量は830mJ/cm2であった。
なお、光重合性組成物(B)と同じ組成のモノマー溶液(2−エチルヘキシルアクリレート:90重量部とアクリル酸:10重量部)の過剰量に、PET基材付きポリマーシート(A)から取り出したポリマーシートを25℃で浸漬したとき、該ポリマーシートは、75秒後に初期重量の4.2倍、3日後に初期重量の12.6倍に重量増加した。
(実施例2)
PET基材付きポリマーシート(A)のポリマーシート上に、光重合性組成物(B)を厚さが200μmとなるように塗布した。塗布から5分間放置したところ、塗布面の表面に3次元模様が形成された。次に、塗布面を上にしたまま、コンベア付きのUV照射装置(UVランプとしてフュージョンHバルブを備える)を用いて、紫外線照射を行った。該紫外線照射により3次元模様を固定化し、シート表面に3次元模様を形成したポリマーシートを得た。
なお、紫外線照射は、コンベア速度3.5m/分で、コンベア付きのUV照射装置に5回通過させることにより行った。1回あたりのUV照度は290mW/cm2であり、1回あたりの光量は830mJ/cm2であった。
(実施例3)
PET基材付きポリマーシート(A)のポリマーシート上に、光重合性組成物(B)を厚さが400μmとなるように塗布した。塗布から3分間放置したところ、塗布面の表面に3次元模様が形成された。次に、塗布面を上にしたまま、コンベア付きのUV照射装置(UVランプとしてフュージョンHバルブを備える)を用いて、紫外線照射を行った。該紫外線照射により3次元模様を固定化し、シート表面に3次元模様を形成したポリマーシートを得た。
なお、紫外線照射は、コンベア速度3.5m/分で、コンベア付きのUV照射装置に5回通過させることにより行った。1回あたりのUV照度は290mW/cm2であり、1回あたりの光量は830mJ/cm2であった。
(実施例4)
PET基材付きポリマーシート(B)のポリマーシート上に、光重合性組成物(C)を厚さが100μmとなるように塗布した。塗布から10分間放置したところ、塗布面の表面に3次元模様が形成された。次に、塗布面を上にしたまま、コンベア付きのUV照射装置(UVランプとしてフュージョンHバルブを備える)を用いて、紫外線照射を行った。該紫外線照射により3次元模様を固定化し、シート表面に3次元模様を形成したポリマーシートを得た。
なお、紫外線照射は、コンベア速度3.5m/分で、コンベア付きのUV照射装置に5回通過させることにより行った。1回あたりのUV照度は290mW/cm2であり、1回あたりの光量は830mJ/cm2であった。
なお、光重合性組成物(C)と同じ組成のモノマー溶液(アクリル酸ブチル:10重量部)の過剰量に、PET基材付きポリマーシート(B)から取り出したポリマーシートを25℃で浸漬したとき、該ポリマーシートは75秒後に初期重量の5.7倍、3日後に初期重量の11.2倍に重量増加した。
(実施例5)
PET基材付きポリマーシート(A)のポリマーシート上に、光重合性組成物(E)を厚さが100μmとなるように塗布した。塗布から10分間放置したところ、塗布面の表面に3次元模様が形成された。次に、塗布面を上にしたまま、コンベア付きのUV照射装置(UVランプとしてフュージョンHバルブを備える)を用いて、紫外線照射を行った。該紫外線照射により3次元模様を固定化し、シート表面に3次元模様を形成したポリマーシートを得た。
なお、紫外線照射は、コンベア速度3.5m/分で、コンベア付きのUV照射装置に5回通過させることにより行った。1回あたりのUV照度は290mW/cm2であり、1回あたりの光量は830mJ/cm2であった。
また、光重合性組成物(E)に含まれる平均粒径5μmの架橋ポリマー粒子は、ポリマーシートに吸収されない物質である。
(実施例6)
PET基材付きポリマーシート(A)のポリマーシート上に、光重合性組成物(B)を厚さが100μmとなるように塗布した。塗布から10分間放置したところ、塗布面の表面に3次元模様が形成された。次に、塗布面を上にしたまま、コンベア付きのUV照射装置(UVランプとしてフュージョンHバルブを備える)を用いて、紫外線照射を行った。該紫外線照射により3次元模様を固定化し、シート表面に3次元模様を形成したポリマーシートを得た。
なお、紫外線照射は、コンベア速度3.5m/分で、コンベア付きのUV照射装置に5回通過させることにより行った。1回あたりのUV照度は290mW/cm2であり、1回あたりの光量は830mJ/cm2であった。
(比較例1)
PET基材(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ルミラーS10」東レ社製)の一方の面に、実施例1と同様に、光重合性組成物(B)を、厚さが100μmとなるように塗布した。塗布から1時間経っても、塗布面の表面に3次元模様は形成されなかった。
なお、光重合性組成物(B)と同じ組成のモノマー溶液(2−エチルヘキシルアクリレート:90重量部とアクリル酸:10重量部)の過剰量に、PET基材を25℃で浸漬したとき、PET基材は75秒後に初期重量の1.1倍、3日後に初期重量の1.1倍に重量増加した。
(比較例2)
PET基材(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ルミラーS10」東レ社製)の一方の面に、実施例2と同様に、光重合性組成物(B)を、厚さが200μmとなるように塗布した。塗布から1時間経っても、塗布面の表面に3次元模様は形成されなかった。
(比較例3)
PET基材(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ルミラーS10」東レ社製)の一方の面に、実施例3と同様に、光重合性組成物(B)を、厚さが400μmとなるように塗布した。塗布から1時間経っても、塗布面の表面に3次元模様は形成されなかった。
(比較例4)
PET基材(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ルミラーS10」東レ社製)の一方の面に、実施例4と同様に、光重合性組成物(C)を、厚さが100μmとなるように塗布した。塗布から1時間経っても、塗布面の表面に3次元模様は形成されなかった。
なお、光重合性組成物(C)と同じ組成のモノマー溶液(アクリル酸ブチル:100重量部)の過剰量に、PET基材を25℃で浸漬したとき、PET基材は75秒後に初期重量の1.1倍、3日後に初期重量の1.1倍に重量増加した。
(比較例5)
PET基材(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ルミラーS10」東レ社製)の一方の面に、実施例5と同様に、光重合性組成物(E)を、厚さが100μmとなるように塗布した。塗布から1時間経っても、塗布面の表面に3次元模様は形成されなかった。
(比較例6)
PET基材付きポリマーシート(C)のポリマーシート上に光重合性組成物(B)を厚さ200μmで塗布した。塗布から1時間経っても、塗布面の表面に3次元模様は形成されなかった。
なお、光重合性組成物(B)と同じ組成のモノマー溶液(2−エチルヘキシルアクリレート:90重量部とアクリル酸:10重量部)の過剰量に、PET基材付きポリマーシート(C)から取り出したポリマーシートを25℃で浸漬したとき、ポリマーシートは75秒後に初期重量の3.8倍に重量増加したが、3日後にはほとんど溶解しており、初期重量の0.03倍まで重量減少した。
(比較例7)
PET基材付きポリマーシート(D)のポリマーシート上に光重合性組成物(B)を厚さ50μmで塗布した。塗布から1時間経っても、塗布面の表面に3次元模様は形成されなかった。
(比較例8)
PET基材付きポリマーシート(E)のポリマーシート上に光重合性組成物(B)を厚さ50μmで塗布した。塗布から1時間経っても、塗布面の表面に3次元模様は形成されなかった。
(評価)
実施例及び比較例について、目視や走査型電子顕微鏡(SEM)(装置名「S−4800」株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により、表面構造や断面構造を観察した。その結果を図1〜12に示した。
実施例では、加熱工程や冷却工程を設ける必要がなく、多量のエネルギーを使用することはなかった。また、加熱工程、冷却工程、離型処理工程などの工程を設ける必要がなく、簡便な方法で、作業性よく、表面に3次元模様を有するポリマーシートを得ることができた。