JP2011173414A - ポリマー部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重合性モノマー及び非相溶性物質を含有する非相溶性物質含有重合性組成物により形成された非相溶性物質含有重合性組成物層を、モノマー吸収層に積層して積層体(X)にする工程(1)、及び、前記積層体(X)を加熱する工程(2)によって、非相溶性物質含有重合性組成物層中の重合性モノマーをモノマー吸収層に吸収させるとともに、非相溶性物質偏在重合性組成物層を得た後、前記非相溶性物質偏在重合性組成物層及び前記モノマー吸収層中の前記重合性モノマーを重合する工程(3)を施して、非相溶性物質偏在ポリマー層と硬化したモノマー吸収層との積層体(Y)を有するポリマー部材を得ることを特徴とするポリマー部材の製造方法。
【解決手段】非相溶性物質の分布を制御して、非相溶性物質偏在ポリマー層中での非相溶性物質の偏在化を高密度化することができるポリマー部材の製造方法を提供すること。
【選択図】図1

Description

本発明は、非相溶性物質の偏在構造を有するポリマー層を有するポリマー部材の製造方法に関する。かかる本発明の製造方法により得られたポリマー部材は、非相溶性物質を選択することで各種用途に適用される各種部材として用いることができ、例えば、非相溶性物質としてガスバリア性物質を用いた場合には、ガスバリア性部材として好適に用いられる。特に、水蒸気ガスバリア用、酸素ガスバリア用のガスバリア性部材として好適である。また、非相溶性物質として粒子を用いた場合には、表面に当該粒子に起因する凹凸を形成した表面凹凸部材として好適に用いられる。その他、本発明のポリマー部材は、導電部材、光拡散部材等に用いられる。
基材表面に基材と異なる物質を偏在させた複合基材は、光学的、電気的等の新しい機能を付加した基材として期待される。しかしながら、基材となるシートやフィルムなどの表面に、例えば微粒子を有する層を形成させることは容易ではない。例えば、基材表面への微粒子層(微粒子を含む層)の形成は、ポリマー成分をバインダーとして有機溶剤に溶かした溶液中に微粒子を分散させて、微粒子を分散させた溶液を得てから、この溶液を基材にコーティングして、さらに有機溶剤を熱乾燥で揮発させることで行なうことができる。しかし、この方法は、基材が有機溶剤などで溶けてしまう場合や、基材の耐熱性が低く熱乾燥で溶融、変形しやすい場合には困難であり、また基材表面が粘着剤層のように粘着性に富む場合には、基材表面に前記微粒子を分散させた溶液をコーティングすることは困難である。さらには、前記溶液を用いる場合には有機溶剤を乾燥しなければならず、また前記溶液の代わりに水分散液を用いたとしても水を乾燥しなければならず、前記微粒子層の形成方法は、環境や省エネルギーの観点からも好ましくない。また前記微粒子層の形成に用いる溶液中のポリマー成分が、基材と異なる材料の場合には、密着性が十分でないと、微粒子層が基材との界面で剥離するおそれがある。
また、基材表面への微粒子層の形成は、離型処理したフィルムに微粒子層を形成して、これを母材シートに転写することでも行なうことができるが、基材と微粒子層との親和性、相溶性が低い場合には、基材層と微粒子層との接着性が乏しく、層間で剥がれるなどの問題が生じやすい。さらに、基材と微粒子層の双方に接着性がほとんどない場合には、両者を貼り合わせることが困難であり、どちらか一方、あるいは両方に接着剤などを塗布してから貼り合わせる必要が出てくる。
またガスバリア性は、例えば包装材料において内容物の品質劣化を防ぐ機能として特に重要である。たとえば、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムは、加工性、機械的強度、透明性に優れ包装用フィルムとして一般的に用いられる。しかしながら、例えば食品包装用にこれらフィルムを用いる場合、酸素やその他のガスのガスバリア性が十分でないため、食品の変質要因となる場合があった。
このため、フィルムのガスバリア性を高める方法として、フィルム中に層状ケイ酸塩などを分散させることでガスバリア性を高める方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、層状物質が、フィルム厚さ方向に分散して存在するために、層状物質の添加量を多くする必要があり、溶融粘度の上昇や粒状欠陥の発生などというフィルムの製膜性を低下させる、あるいは、ガスバリア性だけでなくフィルムの機械的性質も大きく変化してしまう問題がある。
このような問題に対して、膨潤性層状ケイ酸塩の分散液をフィルム表面に塗布することでガスバリア性を高める方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この方法によれば、フィルム表面へ膨潤性層状ケイ酸塩の分散液を塗布して薄膜を形成させるために水や有機溶剤といった溶媒を用いて分散液を作成しなくてはならない。溶媒を用いた場合には塗工後にはその溶媒の乾燥除去が必要となり、多大な熱エネルギーが必要になる。また、溶媒に有機溶剤を用いた場合は、有機溶剤は環境負荷物質であるため蒸発後に回収あるいは燃焼等の後処理が必要である。さらに溶媒に水を用いた場合は、フィルム表面に対して塗布液の塗布ムラ、ハジキ、ピンホールを発生しやすく、フィルム表面にコロナ処理や下塗り処理などによる親水化処理が必要となる場合がある。
本発明者らは先に、重合性モノマー及び重合性モノマーを重合して得られるポリマーに対して非相溶な非相溶性物質を含有する非相溶性物質含有重合性組成物層を、前記重合性モノマーを吸収可能なモノマー吸収層の少なくとも一方の面に設ければ、非相溶性物質含有重合性組成物層内で非相溶性物質が移動し、非相溶性物質偏在重合性組成物層が得られ、当該非相溶性物質偏在重合性組成物層を重合することにより、非相溶性物質偏在ポリマー層とモノマー吸収層との積層構造を有するポリマー部材が得られることを見出した。また、非相溶性物質として粒子を用いることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層のモノマー吸収層との界面に対しての反対面表面において、粒子による凹凸を形成できることを見出した(特許文献3)。また前記ポリマー部材に係る手法と同様の手法により、非相溶性物質としてガスバリア性物質を用いることで、ガスバリア性物質が非相溶性物質偏在ポリマー層の界面近傍に偏って分布する形態を特徴とするガスバリア性部材を提案している(特許文献4)。
しかしながら、前記方法では非相溶性物質偏在ポリマー層中で偏在化させた非相溶性物質(粒子やガスバリア性物質等)の分布をある程度制御できるが、当該非相溶性物質偏在ポリマー層における非相溶性物質が偏在化した部分には、非相溶性物質の他に多くの重合性モノマー由来のポリマーが混入するため、偏在化した非相溶性物質の高密度化が困難であり、非相溶性物質由来の機能が生じにくいという問題があった。また、非相溶性物質を高密度にできないため、非相溶性物質偏在ポリマー層の薄層化も困難であるという問題があった。
特開平6−93133号公報 特開2000−336303号公報 特開2008−6817号公報 特開2009−132030号公報
本発明は、非相溶性物質の分布を制御して、非相溶性物質偏在ポリマー層中での非相溶性物質の偏在化を高密度化することができるポリマー部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、下記の製造方法よって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、重合性モノマー、及び当該重合性モノマーを重合して得られるポリマーに対して非相溶な非相溶性物質を含有する非相溶性物質含有重合性組成物により形成された非相溶性物質含有重合性組成物層を、
前記重合性モノマーを吸収可能なモノマー吸収層の少なくとも一方の面に積層して積層体(X)にする工程(1)、及び、前記積層体(X)を加熱する工程(2)によって、
非相溶性物質含有重合性組成物層中の重合性モノマーをモノマー吸収層に吸収させるとともに、非相溶性物質含有重合性組成物層内で非相溶性物質を移動させて、非相溶性物質がモノマー吸収層とは反対側の界面又は当該界面近傍に偏って分布している非相溶性物質偏在重合性組成物層を得た後、
前記非相溶性物質偏在重合性組成物層及び前記モノマー吸収層中の前記重合性モノマーを重合する工程(3)を施して、
非相溶性物質偏在ポリマー層と硬化したモノマー吸収層との積層体(Y)を有するポリマー部材を得ることを特徴とするポリマー部材の製造方法、に関する。
前記ポリマー部材の製造方法において、前記工程(2)を経た後の前記積層体(X)のモノマー吸収層の重量が、非相溶性物質含有重合性組成物層が含有する重合性モノマーを吸収することにより、前記工程(1)に用いるモノマー吸収層の重量の1.1倍以上になっていることが好ましい。
ポリマー部材の製造方法において、前記積層体(X)における、非相溶性物質含有重合性組成物層の厚みが、モノマー吸収層の厚みに対して300%以下の厚みであることが好ましい。
前記ポリマー部材の製造方法において、前記積層体(Y)の非相溶性物質偏在ポリマー層において、非相溶性物質が偏在する界面近傍の厚みが、前記非相溶性物質含有重合性組成物層の厚みに対して、80%以下であることが好ましい。
前記ポリマー部材の製造方法において、前記加熱工程(2)の加熱温度が、25℃以上200℃以下であることが好ましい。
前記ポリマー部材の製造方法において、前記加熱工程(2)の加熱時間が、1秒以上120分以下であることが好ましい。
前記ポリマー部材の製造方法において、モノマー吸収層が、ポリマーを含有してなるモノマー吸収ポリマー層であることが好ましい。
前記ポリマー部材の製造方法において、モノマー吸収ポリマー層のポリマーを構成するモノマー成分が、非相溶性物質含有重合性組成物の重合性モノマーの少なくとも1つと共通することが好ましい。
前記ポリマー部材の製造方法において、非相溶性物質含有重合性組成物としては、非相溶性物質含有粘着剤組成物が好適に用いられる。
前記ポリマー部材の製造方法において、非相溶性物質含有重合性組成物は、重合性モノマー100重量部に対して、非相溶性物質0.001〜300重量部を含有することが好ましい。
前記ポリマー部材の製造方法において、前記重合工程(3)を、光照射により行なうことが好ましい。
前記ポリマー部材の製造方法において、非相溶性物質含有重合性組成物層は、モノマー吸収層を積層する面とは反対側の面にカバーフィルムが積層されていることが好ましい。当該カバーフィルムは、剥離性を有するものが好適である。
前記ポリマー部材の製造方法において、非相溶性物質として、粒子を用いることができる。
前記ポリマー部材の製造方法において、非相溶性物質として、ポリマーを用いることができる。
前記ポリマー部材の製造方法において、非相溶性物質として、ガスバリア性物質を用いることができる。
前記ガスバリア性物質としては、少なくとも1種類の無機物を含むことが好ましい。無機物としては、層状粘土鉱物、シリカ及び酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の物質が好ましい。また、層状粘土鉱物としては、スメクタイト、バーミキュライト、ベントナイト、カネマイト、ケニアナイト、並びにマカナイトから選ばれるいずれか少なくいとも一種が好ましい。さらに、層状粘土鉱物は、有機化処理されているものが好ましい。
前記非相溶性物質として、ガスバリア性物質として層状粘土鉱物を含有する場合には、
非相溶性物質含有重合性組成物に対する、層状粘土鉱物の使用量が、5重量%以上50重量%以下であることが好ましい。
前記非相溶性物質として、ガスバリア性物質を含有する場合には、
非相溶性物質含有重合性組成物は、重合性モノマー及びガスバリア性物質の他に、1種類以上のポリマー(但し、ポリマーはガスバリア性物質以外の非相溶性物質である)を含むことが好ましい。前記少なくとも1種類のポリマーとしては、イソブチレン骨格を有するポリマーが好ましい。
前記ポリマー部材の製造方法において、重合性モノマーが、アクリル系モノマーを含有することが好ましい。
前記ポリマー部材の製造方法において、ポリマー部材の形態はテープ状又はシート状の形態が好適である。
上記の通り、本発明のポリマー部材の製造方法は、積層工程(1)、加熱工程(2)及び重合工程(3)を有する。まず、積層工程(1)では、非相溶性物質含有重合性組成物層とモノマー吸収層を接する形態で積層して積層体(X)を得る。積層体(X)では、非相溶性物質含有重合性組成物層の重合性モノマーがモノマー吸収層に吸収されるとともに、積層体(X)において、非相溶性物質が非相溶性物質含有重合性組成物層中で移動して、非相溶性物質がモノマー吸収層と反対側の界面又は該界面近傍に層状に偏って分布し、非相溶性物質が積層直後の非相溶性物質含有重合性組成物層とモノマー吸収層との界面には存在しない偏在構造を有する非相溶性物質偏在重合性組成物層が得られる。そして、非相溶性物質偏在重合性組成物層及び重合性モノマーを吸収したモノマー吸収層に、最終的に、重合工程(3)を施すことで、非相溶性物質偏在重合性組成物層の偏在構造を維持しつつ、重合性モノマーを硬化させることにより非相溶性物質偏在ポリマー層と硬化したモノマー吸収層を形成して、当該非相溶性物質偏在ポリマー層と前記モノマー吸収層との積層体(Y)を得る。
本発明では、前記積層工程(1)で積層体(X)を得た後、重合工程(3)の前に、積層体(X)に対して加熱工程(2)を施すことで、非相溶性物質の偏在を促進し、高密度化した非相溶性物質の偏在構造を有する非相溶性物質偏在重合性組成物層を得ることができる。加熱工程(2)によって、積層体(X)に対する温度制御、さらには当該温度制御に係る時間制御がなされる。かかる加熱工程(2)により、積層工程(1)を単に行なった場合に比べて、積層体(X)は、モノマー吸収層が、非相溶性物質含有重合性組成物層中の重合性モノマーをより多く吸収するようになり、非相溶性物質が、非相溶性物質含有重合性組成物層とモノマー吸収層との界面には存在しない偏在構造が顕著になる。このように、加熱工程(2)により、高密度化した非相溶性物質の偏在構造が得られるため、非相溶性物質偏在重合性組成物層、さらには非相溶性物質偏在ポリマー層が薄層である場合にも、効率よく、非相溶性物質を偏在化できるため、薄層化した非相溶性物質偏在ポリマー層を有する積層体(Y)、即ち、ポリマー部材を得ることができる。
また、非相溶性物質含有重合性組成物層中の重合性モノマーは、その一部がモノマー吸収層に吸収された後に、重合工程(3)が施されるため、密着性に優れている非相溶性物質偏在ポリマー層とモノマー吸収層との積層構造を有するポリマー部材を得ることができる。
また、非相溶性物質含有重合性組成物層の非相溶性物質として、ガスバリア性物質を用いた場合には、少ないガスバリア性物質含有量でガスバリア性を発揮するガスバリア性物質偏在ポリマー層を有するガスバリア部材を得ることができる。当該ガスバリア性物質偏在ポリマー層は、ガスバリア性物質として層状物質を用いた場合には、ガスバリア性物質の分布を制御して、平行に分布させることで、ガスバリア性物質が分布する領域を、より高密度化することができる。
さらには、本発明のポリマー部材の製造方法によれば、非相溶性物質含有重合性組成物に含まれる揮発性成分(例えば、有機溶剤や有機化合物など)の蒸発除去を必要としないため、環境への負荷を低減でき、環境面で有利である。
本発明のポリマー部材の製造方法を示す概略断面図の一例である。 非相溶性物質として、ガスバリア性物質である層状粘土鉱物を用いた場合について、(1):加熱工程(2)を有する場合(例えば、実施例9)と(2):加熱工程(2)を有しない場合(例えば、比較例6)における、非相溶性物質偏在ポリマー層における層状粘土鉱物の偏在化を概念的に示す一例である。 実施例1のポリマーシートの非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部付近における断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1のポリマーシート全体の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2のポリマーシートの非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部付近における断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例3のポリマーシートの非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部付近における断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例4のポリマーシートの非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部付近における断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例5のポリマーシート全体の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例8のポリマーシートの非相溶性物質偏在ポリマー層(粒子含有偏在ポリマー層)の粒子偏在部付近における断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1のポリマーシートの非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部付近における断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1のポリマーシート全体の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例2のポリマーシートの非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部付近における断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例3のポリマーシートの非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部付近における断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例4のポリマーシートの非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部付近における断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例5のポリマーシートの非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部付近における断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例9のポリマーシート(ガスバリア性部材)の非相溶性物質偏在ポリマー層のガスバリア性物質偏在部を全体的に示す透過型電子顕微鏡写真である。 実施例9のポリマーシート(ガスバリア性部材)の非相溶性物質偏在ポリマー層のガスバリア性物質偏在部を部分的に示す透過型電子顕微鏡写真である。 比較例6のポリマーシート(ガスバリア性部材)の非相溶性物質偏在ポリマー層のガスバリア性物質偏在部を全体的に示す透過型電子顕微鏡写真である。
[ポリマー部材の製造方法]
以下に、本発明のポリマー部材の製造方法を、図1を参照しながら、説明する。本発明のポリマー部材の製造方法では、まず、積層工程(1)で、非相溶性物質含有重合性組成物層(A)とモノマー吸収層(B)を積層して積層体(X)を得る。非相溶性物質含有重合性組成物層(A)は、非相溶性物質(f)及び重合性モノマー(図示せず)を含有する。前記非相溶性物質含有重合性組成物層(A)はモノマー吸収層(B)の少なくとも一方の面に積層できるが、図1では、モノマー吸収層(B)の片面にのみ積層する場合が記載されている。図1は、非相溶性物質含有重合性組成物層(A)には、モノマー吸収層(B)に積層しない側に、カバーフィルム(C)が設けられている場合である。また、モノマー吸収層(B)は基材フィルム(D)に設けられており、基材付きモノマー吸収性シート(E)として用いられている場合である。
前記積層工程(1)によって得られる積層体(X)では、非相溶性物質含有重合性組成物層(A)中の重合性モノマーの一部がモノマー吸収層(B)に吸収される(図示せず)。一方、非相溶性物質含有重合性組成物層(A)内では非相溶性物質(f)が移動して、非相溶性物質(f)がモノマー吸収層(B)とは反対側の界面又は当該界面近傍に偏って分布して、非相溶性物質偏在部(A11)と非相溶性物質非存在部(A12)とを有する非相溶性物質偏在重合性組成物層(A1)が得られる。即ち、非相溶性物質含有重合性組成物層(A)を、モノマー吸収層(B)に積層することで、非相溶性物質含有重合性組成物層(A)中の重合性モノマーが、モノマー吸収層(B)に吸収されて、非相溶性物質(f)が偏在することで、非相溶性物質偏在重合性組成物層(A1)が得られる。
当該非相溶性物質偏在重合性組成物層(A1)における非相溶性物質(f)の偏在の現象は、モノマー吸収層(B)の膨潤によるものと推察される。即ち、モノマー吸収層(B)が重合性モノマーのみを吸収して膨張し、一方、非相溶性物質(f)はモノマー吸収層(B)には吸収されないため、非相溶性物質(f)が、非相溶性物質含有重合性組成物層(A)中に残存するような形で偏在していくものと考えられる。従って、重合性モノマーを吸収しない基材を用いた場合は、重合性モノマーに対して基材が膨潤しないため、当該基材に非相溶性物質含有重合性組成物層(A)を積層したとしても、非相溶性物質(f)は偏在を起こさず、非相溶性物質偏在重合性組成物層(A1)は得られない。
さらに本発明のポリマー部材の製造方法では、前記積層体(X)に加熱工程(2)が施されることで、非相溶性物質偏在部(A11)が高密度に偏在化した非相溶性物質偏在重合性組成物層(A1)が得られる。前記積層体(X)におけるモノマー吸収層(B1)は、モノマー吸収層(B)が重合性モノマーを吸収して膨潤した状態にある。なお、上記の通り、前記積層体(X)では、モノマー吸収層(B1)は、重合性モノマーを吸収して膨潤しているため、非相溶性物質偏在重合性組成物層(A1)の非相溶性物質非存在部(A12)とモノマー吸収層(B1)の界面は確認できないが(これらの複合箇所を図1ではAB1として示している)、図1では、便宜上、膨潤前の状態を破線で示している。
次いで、加熱工程(2)が施された積層体(X)に、重合工程(3)を施して、非相溶性物質偏在重合性組成物層(A1)中の前記重合性モノマーを重合して、前記偏在構造が維持されたまま硬化した、非相溶性物質偏在ポリマー層(A2)が形成された積層体(Y)を得る。非相溶性物質偏在ポリマー層(A2)では、非相溶性物質偏在部(A21)と非相溶性物質非存在部(A22)を有する。なお、モノマー吸収層(B1)には重合性モノマーが吸収されているため、重合工程(3)によって、モノマー吸収層(B1)は、前記重合性モノマーが硬化したモノマー吸収層(B2)になる。なお、積層体(Y)でも、非相溶性物質偏在ポリマー層(A2)の非相溶性物質非存在部(A22)と硬化したモノマー吸収層(B2)の界面は確認できないが(これらの複合箇所を図1、2ではAB1、AB2として示している)、図1、2では、上記同様に、便宜上、膨潤前の状態を破線で示している。
[積層工程(1)]
積層工程(1)では、非相溶性物質含有重合性組成物層を、モノマー吸収層の少なくとも一方の面に積層して、モノマー吸収層/非相溶性物質含有重合性組成物層、の構造を有する積層体(X)を作製する。
(非相溶性物質含有重合性組成物)
非相溶性物質含有重合性組成物は、重合可能な重合性モノマー、及び非相溶性物質を少なくとも含んでいる。非相溶性物質含有重合性組成物には適宜に重合開示剤を含有することができる。また、重合性モノマーを光硬化させる場合には、非相溶性物質含有重合性組成物は、重合開始剤として光重合開始剤を含む非相溶性物質含有光重合性組成物として用いることができる。なお、非相溶性物質含有光重合性組成物は、取り扱い性、塗工性等の点から、重合性モノマーの一部分が重合した部分重合組成物であってもよい。
重合性モノマーは、ラジカル重合やカチオン重合などの反応機構を問わず、光エネルギーや熱エネルギーを利用して重合可能な化合物であることが重要である。このような重合性モノマーは、例えば、アクリル系ポリマーを形成するアクリル系モノマー等のラジカル重合性モノマー;エポキシ系樹脂を形成するエポキシ系モノマー、オキセタン系樹脂を形成するオキセタン系モノマー、ビニルエーテル系樹脂を形成するビニルエーテル系モノマー等のカチオン重合性モノマー;ウレタン系樹脂を形成するポリイソシアネートとポリオールとの組み合わせ;ポリエステル系樹脂を形成するポリカルボン酸、ポリオールとの組み合わせ等が挙げられる。なお、重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性モノマーとしては、重合速度が速く、生産性に優位である点から、アクリル系モノマーが好適に用いられる。即ち、本発明では、非相溶性物質偏在ポリマー層を構成するポリマーは、アクリル系ポリマーであること好ましい。
このように本発明では重合性モノマーとしてアクリル系モノマーが好適に用いられるため、非相溶性物質含有重合性組成物としては、非相溶性物質含有アクリル系重合性組成物が好ましい。
また、前記アクリル系ポリマー、エポキシ樹脂、オキセタン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂は、それぞれアクリル系感圧性接着剤(粘着剤)のベースポリマー、エポキシ系感圧性接着剤のベースポリマー、オキセタン系感圧性接着剤のベースポリマー、ビニルエーテル系感圧性接着剤のベースポリマー、ウレタン系感圧性接着剤のベースポリマー、ポリエステル系感圧性接着剤のベースポリマー等として機能する。このため、非相溶性物質含有重合性組成物は、粘着剤組成物であってもよい(以下、非相溶性物質を含有する粘着剤組成物は「非相溶性物質含有粘着剤組成物」と称する)。本発明では重合性モノマーとしてアクリル系モノマーが好適に用いられるため、非相溶性物質含有粘着剤組成物としては、非相溶性物質含有アクリル系粘着剤組成物が好適に用いられる。従って、非相溶性物質含有重合性組成物が非相溶性物質含有粘着剤組成物の場合には、非相溶性物質偏在ポリマー層として非相溶性物質偏在粘着剤層が形成される。なお、「粘着剤組成物」には「粘着剤組成物を形成する組成物」の意味を含むものとする。
前記非相溶性物質含有重合性組成物としては、例えば、非相溶性物質、重合性モノマーに加えて光重合開始剤を少なくとも含む非相溶性物質含有光重合性組成物が好ましく、さらには、非相溶性物質含有粘着剤組成物が好適に用いられる。本発明では重合性モノマーとしてアクリル系モノマーが好適に用いられるため、非相溶性物質含有光重合性粘着剤組成物としては、非相溶性物質含有光重合性アクリル系粘着剤組成物が好適に用いられる。
アクリル系モノマーとしては、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを好適に用いることができる。なお、上記の「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を表し、他も同様である。
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのいずれも好適に用いることができる。
直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。中でも、アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはアルキル基の炭素数が2〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルはアクリル系ポリマーの主たるモノマー成分(モノマー主成分)として用いられているので、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのモノマー割合(重合性モノマー成分中の含有量)は、ポリマー部材の非相溶性物質偏在ポリマー層に粘着が求められる用途で、前記ポリマー部材を用いる場合、例えば、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量に対して70重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上である。つまり、非相溶性物質含有重合性組成物において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、重合性モノマー全量に対して70重量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは80重量%以上である。
また非相溶性物質含有重合性組成物には、重合性モノマーとして、極性基含有モノマーや多官能性モノマーなどの各種の共重合性モノマーが用いられていてもよい。例えば、非相溶性物質含有アクリル系重合性組成物(例えば、非相溶性物質含有アクリル系粘着剤組成物)に、共重合性モノマーを用いることにより、例えば、非相溶性物質偏在ポリマー層(非相溶性物質偏在アクリル系粘着剤層)の被着体への接着力を向上させたり、前記ポリマー層の凝集力を高めたりすることができる。共重合性モノマーは単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどの水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、上記の中でも、カルボキシル基含有モノマー又はその無水物が好適であり、アクリル酸が特に好適である。
極性基含有モノマーの使用量としては、得られるポリマー部材の目的、用途によって適宜調整することができるが、例えばポリマー部材の非相溶性物質偏在ポリマー層に粘着性が求められる用途で、前記ポリマー部材を用いる場合、重合性モノマー全量に対して30重量%以下が好ましく、さらには1〜30重量%が好ましく、さらには2〜20重量%が好ましい。極性基含有モノマーの割合が30重量%を超えると、得られるポリマーの凝集力が高くなりすぎ、例えば、非相溶性物質偏在ポリマー層が硬くなりすぎ、密着性が低下するおそれがある。また、重合性モノマーの使用量が少なすぎると重合性モノマー全量に対して1重量%未満であると、得られるポリマーの凝集力が低下し、高いせん断力が得られないおそれがある。
前記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
多官能性モノマーは得られるポリマー部材の目的、用途によって適宜調整することができ、得られるポリマー層に凝集力を付与したり、形状維持したりする場合に好適である。ポリマー部材の非相溶性物質偏在ポリマー層に粘着性が求められる用途で、前記ポリマー部材を用いる場合、多官能性モノマーの割合は、例えば、非相溶性物質含有アクリル系重合性組成物では、重合性モノマー全量に対して2重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜2重量%、さらに好ましくは0.02〜1重量%である。多官能性モノマーの割合が、重合性モノマー全量に対して2重量%を超えると、得られるポリマーの凝集力が高くなりすぎ、脆くなりすぎる点で不具合を生じる場合がある。また、重合性モノマーの割合が少なすぎると(重合性モノマー全量に対して0.01重量%未満であると)、前記多官能性モノマーを用いる目的を達成できない場合がある。
また、ポリマー部材の非相溶性物質偏在ポリマー層に硬い物性が求められる用途(例えば、フィルム用途やハードコート用途など)で、前記ポリマー部材を用いる場合、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのモノマー割合(モノマー成分中の含有量)は、例えば、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量に対して95重量%以下が好ましく、さらには0.01〜95重量%が好ましく、さらには1〜70重量%が好ましい。
また、ポリマー部材の非相溶性物質偏在ポリマー層に硬い物性が求められる用途で、前記ポリマー部材を用いる場合、前記極性基含有モノマーの割合は、重合性モノマー全量に対して95重量%以下が好ましく、さらには0.01〜95重量%が好ましく、さらには1〜70重量%が好ましい。極性基含有モノマーの使用量が95重量%を超えると、例えば耐水性などが十分でなくなり、ポリマー部材として使用環境(湿気、水分など)に対する品質変化が大きくなるおそれがある。また、極性基含有モノマーの割合が少なすぎると(例えば0.01重量%以下)、硬い物性を得る場合には、ガラス転移温度(Tg)の高い(メタ)アクリル酸エステル(例えばイソボルニルアクリレートなど)や多官能性モノマーの添加量が多くなり、得られたポリマー部材が脆くなりすぎるおそれがある。
また、ポリマー部材の非相溶性物質偏在ポリマー層に硬い物性が求められる用途で、前記ポリマー部材を用いる場合、多官能性モノマーの割合は、重合性モノマー全量に対して95重量%以下が好ましく、さらには好ましくは0.01〜95重量%であり、さらに好ましくは1〜70重量%である。多官能性モノマーの使用量が重合性モノマー全量に対して95重量%を超えると、重合時の硬化収縮が大きくなり均一なフィルム状あるいはシート上のポリマー部材を得られなくなるおそれや、得られたポリマー部材が脆くなりすぎるおそれがある。また、多官能性モノマーの使用量が少なすぎると(例えば0.01重量%以下であると)、十分な耐溶媒性や耐熱性を有するポリマー部材を得られなくなるおそれがある。
また、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに用いることができる、上記の極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の共重合性モノマーとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
重合開始剤は、必要に応じて用いることができる。重合開始剤は、重合工程(3)に応じて、例えば熱重合開始剤や光重合開始剤を選択して用いることができる。重合開始剤を用いると、積層工程(1)及び加熱工程(2)により形成された、非相溶性物質偏在重合性組成物層の偏在構造を維持したまま、当該組成物中の重合性モノマーを容易に硬化させることができる。
光重合開始剤としては、特に制限されず、例えばベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。光重合開始剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
具体的には、ケタール系光重合開始剤には、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン[例えば、商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)など]等が含まれる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[例えば、商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)など]、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、商品名「ルシリンTPO」(BASF社製)などが使用できる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
光重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、非相溶性物質含有重合性組成物中の重合性モノマー100重量部に対して5重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜3重量部である。
なお、熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤[例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど]、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤(例えば有機過酸化物/バナジウム化合物;有機過酸化物/ジメチルアニリン;ナフテン酸金属塩/ブチルアルデヒド、アニリンあるいはアセチルブチロラクトン等の組み合わせなど)などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。なお、レドックス系重合開始剤を熱重合開始剤として用いれば、常温で重合させることが可能である。熱重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、非相溶性物質含有重合性組成物中の重合性モノマー100重量部に対して5重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜3重量部である。
(非相溶性物質)
非相溶性物質としては、モノマー吸収層及び前記非相溶性物質偏在ポリマー層を構成するポリマー成分に対して相溶しない(溶解しない)物質である限り特に限定されず、無機物(無機物質)であっても有機物(有機物質)であってもよい。また、非相溶性物質は、固体であってもよいし、流動性を有していてもよい。
あるポリマーに対してある物質が非相溶性物質であるか否かの判断は、目視、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線回析などにより、本発明によらない一般的な方法(例えば、ある物質を重合性モノマーに溶解させ、重合性モノマーを重合してポリマー化して判断する方法;ポリマーをそのポリマーを溶解する溶媒に溶解し、そこへ物質を添加し、攪拌後溶媒を除去して判断する方法;ポリマーが熱可塑性ポリマーであればポリマーを加熱溶解して、そこへ物質を配合し、冷却後判断する方法など)において、そのポリマー中の物質又はその集合体がどの程度の大きさで分散しているかにより判断することができる。その判断基準は、物質又はその集合体が、球や立方体、不定形状などの球体状に近似できる場合には5nm以上の直径を有すること、また棒状や薄層状、直方体状などの柱体状に近似できる場合には最も長い辺の長さが10nm以上であることである。
より具体的なポリマー中に物質又はその集合体を分散させる方法としては、例えば、ポリマーを構成する重合性モノマー:100重量部、光重合開始剤:0.5重量部、物質又はその集合体:50重量部を添加あるいは均一分散させた後、PETフィルム上に10〜500μm程度の厚さにコーティングして、窒素などの不活性ガス中あるいはカバーフィルムで酸素の影響を排除してブラックライトによる紫外線照射で重合させる方法;予めポリマーを溶液重合や紫外線重合など任意の方法で作製しておき、該ポリマーを溶剤に溶解させた溶媒系に、ポリマー100重量部に対して50重量部に相当する量の物質又はその集合体を添加、攪拌などにより均一分散して、PET上に塗布して乾燥による溶剤除去後の厚さを10〜500μm程度とする方法などが挙げられる。
物質をポリマー中に分散した際において、そのポリマー中の物質又はその集合体が、球や立方体、不定形状などの球体状に近似でき、該球体状の物質又はその集合体が5nm以上の直径を有する場合にはそのポリマーに対する非相溶性物質であるとみなすことができ、またそのポリマー中の物質又はその集合体が、棒状や薄層状、直方体状などの柱体状に近似でき、該柱体状の物質又はその集合体の最も長い辺の長さが10nm以上であるにはそのポリマーに対する非相溶性物質であるとみなすことができる。
非相溶性物質としての無機物としては、例えば、下記で例示する粒子(微粒子、微粒子粉末)等が挙げられる。
非相溶性物質である粒子は、非相溶性物質として粒子を用いたポリマー部材において非相溶性物質偏在ポリマー層表面の粒子による表面凹凸の形成に寄与することができたり、表面凹凸シート利用面表面での凹凸構造の形成に寄与することができる。無機物である粒子としては、例えば、シリカ、シリコーン(シリコーンパウダー)、炭酸カルシウム、クレー、酸化チタン、タルク、層状ケイ酸塩、粘土鉱物、金属粉(例えばニッケル粉末、アルミニウム粉末、鉄粉末、マグネシウム粉末、銅粉末など)、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、ガラス、ガラスビーズ、ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックバルーン、チタン白、カーボンブラックなどの無機粒子;ポリエステルビーズ、ナイロンビーズ、シリコンビーズ、ウレタンビーズ、塩化ビニリデンビーズ、アクリルバルーンなどの有機粒子;架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂、ナイロン樹脂などの樹脂粒子;無機−有機ハイブリット粒子などが挙げられる。なお、粒子は、中実体、中空体(バルーン)のいずれであってもよい。また、粒子は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子の粒径(平均粒子径)としては、特に制限されないが、例えば、レーザー散乱法や動的光散乱法におけるメジアン径で0.01〜500μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜200μm、さらに好ましくは0.1〜100μmの範囲である。また、粒子は、粒径の異なる粒子を2種以上組み合わせて用いてもよい。
粒子の形状は、真球状や楕円球状などの球状、不定形状、針状、棒状、平板状などのいずれの形状であってもよい。一般的には、粒子は、非相溶性物質偏在ポリマー層表面の粒子による表面凹凸の凹凸構造や表面凹凸シートの利用面表面の凹凸構造の形状が揃いやすい真球状や真球状に近い高球形度のものが好ましい。また、粒子は、その表面に、孔や突起などを有していてもよい。また、粒子は、1種の形状のみを選択して用いてもよいし、形状の異なる粒子を2種以上組み合わせて用いてもよい。
なお、粒子の表面には、各種表面処理(例えば、シリコーン系化合物やフッ素系化合物等による低表面張力化処理など)が施されていてもよい。
また、非相溶性物質としての有機物としては、例えばアクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、シリコーン、天然ゴム、合成ゴム[特に、スチレン−イソプレン−スチレンゴム(SIS)、スチレン−イソブチレン−スチレンゴム(SIBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)又はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム(SEBS)などスチレン成分を含有する合成ゴム]などのポリマー類やそのオリゴマー類;ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂などタッキファイヤー類(粘着付与樹脂類)などが挙げられる。さらに、水や水溶液(例えば、塩水溶液、酸水溶液など)も非相溶性物質として用いられる。なお、前記有機物は前記無機物と同様に粒子として用いることができる。
≪ガスバリア性物質≫
非相溶性物質として、ガスバリア性物質を用いることで、ガスバリア性物質偏在ポリマー層を得ることができる。この場合、得られるポリマー部材はガスバリア性部材として用いることができる。
ガスバリア性物質としては、ポリマー部材(ガスバリア部材)の非相溶性物質偏在ポリマー層(ガスバリア性物質偏在ポリマー層)で偏って分布することにより、ガスバリア性物質偏在ポリマー層を透過しようとするガスが内部拡散しにくい構造を形成するものである限り特に制限されないが、通常は無機物が使用される。なお、ガスバリア性物質は、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ガスバリア性物質としての無機物としては、例えば、シリカ、シリコーン(シリコーンパウダー)、炭酸カルシウム、クレー、酸化チタン、タルク、層状ケイ酸塩、粘土鉱物、金属粉、ガラス、ガラスビーズ、ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックバルーン、チタン白、カーボンブラックなどの粒子(微粒子、微粒子粉末)、中でも、シリカ、酸化アルミニウム、粘土鉱物が好ましく、特に粘土鉱物が好ましい。なお、粒子は、中実体、中空体(バルーン)のいずれであってもよい。
そして、ガスバリア性物質としての無機物としては、粘土鉱物の中でも特に層状粘土鉱物が好ましい。このような層状粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、スチーブンサイト等のスメクタイト;バーミキュライト;ベントナイト;カネマイト、ケニアナイト、マカナイト等の層状ケイ酸ナトリウム等が挙げられる。このような層状粘土鉱物は、天然の鉱物として産するもの、あるいは化学合成法によって製造されたものも制限なく使用することができる。
また、無機物は、前記重合性モノマーに膨潤、分散しやすくする加工を施したものを用いてもよい。このような無機物としては、例えば、その陽イオン交換特性を利用して、有機カチオン性化合物とイオン交換し、層状ケイ酸塩の層間に有機カチオンを導入する事によって、アクリル系モノマーに膨潤、分散しやすくした層状粘土鉱物(例えば、商品名「ルーセンタイトSPN」,コープケミカル株式会社製など)等が挙げられる。
ガスバリア性物質に係る粒子の粒径(平均粒子径)としては、特に制限されないが、良好なガスバリア特性を得る観点から、ガスバリア部材のガスバリア性物質偏在ポリマー層におけるガスバリア性物質が分布する部分(ガスバリア性物質偏在部)では、なるべく粒子が緻密に詰まっている方が好ましく、例えば、一次粒子径としては、レーザー散乱法や動的光散乱法におけるメジアン径で5nm〜5μmが好ましく、さらに好ましくは6nm〜1μm、さらに好ましくは7nm〜0.5μmの範囲である。なお、粒子は、粒径の異なる粒子を2種以上組み合わせて用いてもよい。
ガスバリア性物質に係る粒子の形状は、真球状や楕円球状などの球状、不定形状、針状、棒状、平板状などのいずれの形状であってもよい。また、粒子は、その表面に、孔や突起などを有していてもよい。粒子の形状としては、ガスバリア性物質偏在ポリマーにおいて密な構造を有するガスバリア性物質偏在部を得る観点からは球状以外の形状が好ましく、中でも、平板状が好ましい。
なお、ガスバリア性物質に係る粒子は、1種の形状のみを選択して用いてもよいし、形状の異なる粒子を2種以上組み合わせて使用してもよい。例えば、平板状の形状を有する粒子と球状の形状を有する粒子を組み合わせて使用してもよい。
ガスバリア性物質に係る粒子の表面には、各種表面処理(例えば、シリコーン系化合物やフッ素系化合物等による低表面張力化処理、4級アンモニウム塩による有機化処理など)が施されていてもよい。特に、ガスバリア性物質としては、有機化処理された層状粘土鉱物が重合性モノマーと相溶性が良い点から好ましい。
また、非相溶性物質としてガスバリア性物質を用いる場合、非相溶性物質含有重合性組成物(ガスバリア性物質含有重合性組成物)においては、ガスバリア性を有さない物質であるが、非相溶性物質偏在ポリマー層(ガスバリア性物質偏在ポリマー層)を形成後にガスバリア性を有するように制御できる物質を用いてもよい。このように、物性の変化するガスバリア性物質としては、例えば、シラノール、アルコキシシランなどを用いることができる。シラノール、アルコキシシラン等は、ガスバリア性物質偏在ポリマー層を形成後に、ガスバリア性物質偏在部をゾル‐ゲル反応でガラス化することにより、ガスバリア性部材がガスバリア性を有するようにすることもできる。
なお、本発明おいて、非相溶性物質は、ポリマー部材中の非相溶性物質偏在ポリマー層において、モノマー吸収層と反対の界面付近に層状形態で偏って分布している。このような非相溶性物質が分布する部分(前記層状分布部分)の厚みは、非相溶性物質の使用量を調整することにより制御することができる。
非相溶性物質含有重合性組成物は、重合性モノマー及び非相溶性物質を含有し、その割合は特に制限されないが、重合性モノマー100重量部に対して、非相溶性物質0.001〜300重量部であるのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜200重量部、さらに好ましくは0.1〜100重量部である。非相溶性物質の割合が300重量部を超えるような使用量であると、ポリマー部材の作製が困難となる場合や作製後のポリマー部材で強度の問題が生じることがある。なお、0.001重量部未満であると、積層工程(1)において積層体(X)を得た後にも、非相溶性物質偏在重合性組成物層、さらには非相溶性物質偏在ポリマー層を得難くなる。非相溶性物質としてガスバリア性物質を用いる場合には、ガスバリア性を得にくくなる。
非相溶性物質の最適な使用量は、非相溶性物質に応じて適宜に設定することができる。例えば、非相溶性物質として粒子を使用する際の粒子の使用量としては、非相溶性物質含有重合性組成物の重合性モノマー成分100重量部に対して0.001〜70重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜60重量部、さらに好ましくは0.1〜50重量部である。なお、粒子の使用量が、非相溶性物質含有重合性組成物の重合性モノマー成分に対して0.001重量部未満となるような使用量であると、表面凹凸シートの利用面表面に全体的に平均して凹凸構造を付与することが難しくなる場合がある。また、70重量部を超えるような使用量であると、表面凹凸シートの製造中に粒子の脱落が生じたり、表面凹凸シートの強度の問題が生じる場合がある。
非相溶性物質として、ガスバリア性物質のなかでも層状粘土鉱物を用いる場合には、非相溶性物質含有重合性組成物(ガスバリア性物質含有重合性組成物)に対する、層状粘土鉱物の使用量が、5重量%以上50重量%以下であることが好ましく、さらには5重量%以上30重量%以下であることが好ましい。前記層状粘土鉱物の使用量が、30重量%を超えると、ガスバリア部材が良好に分散しないため、ダマが発生しやすく、均一に分散した非相溶性物質偏在ポリマー層(ガスバリア性物質偏在ポリマー層)を作製することが困難となる。なお、5重量%未満であると、ガスバリア性物質偏在ポリマー層の表面又は表面近傍(モノマー吸収層との界面とは反対側の界面又は該界面近傍)に平均的に分散してガスバリア性物質を分布させることが困難となる場合がある。
また、非相溶性物質としてガスバリア性部材を用いる場合には、非相溶性物質含有重合性組成物(ガスバリア性物質含有重合性組成物)は、重合性モノマー及びガスバリア性物質の他に、1種類以上のポリマー(但し、ポリマーはガスバリア性物質以外の非相溶性物質である)を含有することが好ましい。当該ポリマーの割合は、ガスバリア性物質に対して0.1重量%以上30重量%以下の組成であることが好ましい。0.1%重量%未満の場合、前記ポリマーとしての機能を十分に果たさないおそれがあり、30重量%より多い場合は、前記ポリマーがガスバリア性物質の配列や機能を阻害し、ガスバリア性低下のおそれがある。
特に、ガスバリア性物質として有機化粘土(有機化処理されている層状粘土鉱物)を用いる際には、少なくとも1種類以上の前記ポリマーを加えることが好ましい。前記ポリマーとしては、例えばセルロイド、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ユリア樹脂、酢酸セルロース、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリウレタン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル、ケイ素樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−イソブチレン−スチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボナート、ポリアセタール、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタラート、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミドのうちの1種以上であることが好ましい。特に、スチレン−イソブチレン−スチレン樹脂等のイソブチレン骨格を有するポリマーが高水蒸気バリア性を有する点から好ましい。
非相溶性物質含有重合性組成物には、必要に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤(例えば、イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(顔料や染料など)、溶剤(有機溶剤)などが挙げられる。
例えば、非相溶性物質偏在ポリマー層の意匠性、光学特性等の観点から、光重合反応等の重合反応を阻害しない程度の顔料(着色顔料)を使用することができる。黒色が望まれる場合には、着色顔料として、カーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックの使用量としては、着色度合いや上記光重合反応を阻害しない観点から、例えば、非相溶性物質含有重合性組成物の重合性モノマー100重量部に対して0.15重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.15重量部、さらには好ましくは0.02〜0.1重量部である。
非相溶性物質含有重合性組成物は、上記各成分を均一に混合・分散させることにより調製することができる。この非相溶性物質含有重合性組成物は、通常、基材上に塗布するなどしてシート状に成形するので、塗布作業に適した適度な粘度を持たせておくのがよい。非相溶性物質含有重合性組成物の粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマーを配合することや、非相溶性物質含有重合性組成物中の重合性モノマーを光の照射や加熱などにより一部重合させることにより調整することができる。なお、望ましい粘度は、BH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数10rpm、測定温度:30℃の条件で設定された粘度として、5〜50Pa・s、より好ましくは10〜40Pa・sである。粘度が5Pa・s未満であると、基材上に塗布したときに液が流れてしまい、50Pa・sを超えていると、粘度が高すぎて塗布が困難となる。
(非相溶性物質含有重合性組成物層)
非相溶性物質含有重合性組成物層は、非相溶性物質含有重合性組成物により形成される層である。
非相溶性物質含有重合性組成物層の厚みは、特に制限されないが、モノマー吸収層の厚みに対する厚み比率が300%以下であることが好ましく、より好ましくは200%以下、さらに好ましくは100%以下である。前記厚み比率が300%を超えるような厚みであると、ポリマー部材の作製が困難となる場合や作製後のポリマー部材で強度の問題が生じることがある。厚み比率が小さい方が、非相溶性物質が偏在しやすく、非相溶性物質偏在重合性組成物層において非相溶性物質をより高密度に偏在させることができる。なお、前記厚み比率は1%以上とするのが均一に製膜できる点から好ましい。
非相溶性物質含有重合性組成物層の具体的な厚みとしては、例えば1〜3000μmであるのが好ましく、より好ましくは10〜1000μm、より好ましくは20〜500μmである。1μm未満であると均一な塗工ができない場合があり、一方、3000μmを超えるとポリマー部材にうねりが発生し、平滑なポリマー部材が得られない場合がある。
(モノマー吸収層)
モノマー吸収層は、非相溶性物質含有重合性組成物層を積層する層であって、非相溶性物質含有重合性組成物層から重合性モノマーの少なくとも1つを吸収する層である。このようなモノマー吸収層は、非相溶性物質含有重合性組成物中の少なくとも一つの重合性モノマー成分を吸収することできるモノマー吸収面を有する。
なお、モノマー吸収層における重合性モノマーの吸収は、積層工程(1)により、モノマー吸収層のモノマー吸収面に非相溶性物質含有重合性組成物層が積層され、積層体(X)が形成された時点で生じる。また、モノマー吸収層における重合性モノマーの吸収は、加熱工程(2)において、より有効で生じる。なお、モノマー吸収層における重合性モノマーの吸収は、重合工程(3)より前の段階に限らず、重合工程(3)の段階で生じていてもよい。
モノマー吸収層としては、モノマー吸収層を少なくとも一つ有し、且つ該モノマー吸収層のモノマー吸収面が非相溶性物質含有重合性組成物層と接することができる構成を有するシート(以下、「モノマー吸収性シート」という)におけるモノマー吸収層を用いることができる。モノマー吸収性シートとしては、例えば、モノマー吸収層のみで構成されたモノマー吸収性シート(以下、「基材レスモノマー吸収性シート」という)、基材上にモノマー吸収層を設けたモノマー吸収性シート(以下、「基材付きモノマー吸収性シート」という)が挙げられる。なお、モノマー吸収性シートが基材レスモノマー吸収性シートの場合、モノマー吸収面としてはどちらの面を用いてもよく、一方、基材付きモノマー吸収性シートの場合、モノマー吸収層表面がモノマー吸収面となる。
このようなモノマー吸収層を形成するものとしては、例えば紙製シート(例えば、クラフト紙やクレープ紙、和紙など);繊維系シート(例えば、布、不織布、ネットなど);多孔質フィルム;ポリマー(例えばアクリル系ポリマー、ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂など);天然ゴム;合成ゴムなどが挙げられる。なお、モノマー吸収層は、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、重合性モノマーとの親和性が高く、吸収速度が速い点から、モノマー吸収層を形成するものとしてはポリマーを好適に用いることができる。つまり、モノマー吸収層は、ポリマーを含有するモノマー吸収ポリマー層を好適に用いることができる。またモノマー吸収ポリマー層は、ポリマーを構成するモノマー成分が、非相溶性物質含有重合性組成物の重合性モノマーの少なくとも1つと共通することが好ましい。このようなポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、非相溶性物質含有重合性組成物として非相溶性物質含有アクリル系重合性組成物が用いられている場合、モノマー吸収層を形成するポリマーとしては、アクリル系ポリマーが好ましい。
また、モノマー吸収層は、非相溶性物質含有重合性組成物から非相溶性物質を除いた以外は同様の組成を有する重合性組成物を重合して得られるポリマー層で構成されていてもよい。例えば、非相溶性物質含有重合性組成物が、光重合性の場合には、光重合性組成物から非相溶性物質を除いた以外は同様の組成を有する光重合性組成物を硬化して得られるポリマー層で構成されていてもよい。
また、上述のように、モノマー吸収層としては非相溶性物質含有重合性組成物で用いられている重合性モノマーのうち少なくとも一つを吸収することができる限り特に制限されないため、モノマー吸収層の弾性率も特に制限されない。ゆえに、モノマー吸収層としては、非相溶性物質含有重合性組成物で用いられている重合性モノマーのうち少なくとも一つを吸収することができる限り、粘着剤層、ポリマー層などの弾性率の低いものや、プラスチックシート、ハードコート層、着色塗膜層などの弾性率の高いもののいずれも用いることができる。
またモノマー吸収層は、前記工程(2)を経た後の前記積層体(X)のモノマー吸収層の重量が、非相溶性物質含有重合性組成物層が含有する重合性モノマーを吸収することにより、前記積層工程(1)に用いるモノマー吸収層の重量の1.1倍以上を示すことが、非相溶性物質を偏在化させる点から好ましい。前記モノマー吸収層の重合性モノマーの吸収による重量の増加は、2倍以上、3倍以上、さらには4倍以上を示すものが好ましい。この重量増加率を測定するためには、モノマー吸収層(又はモノマー吸収性シート)を、重合性モノマー中に浸し、非相溶性物質含有重合性組成物をモノマー吸収層に積層してから、重合工程(3)を施す前までと同じ温度で同じ時間(積層工程(1)と加熱工程(2)と同様の条件)経過後に、モノマー吸収層(又はモノマー吸収性シート)の重量を測定し、吸収前の重さに対する吸収後の重さの割合で算出することができる。なお、前記モノマー吸収層の重合性モノマーの吸収による重量の増加は、モノマー吸収層の平滑性維持の点から50倍以下にするのが好ましい。
モノマー吸収層の体積は、重合性モノマーの吸収前と後とで比較して、一定であってもよいし、変化していてもよい。例えば、モノマー吸収層が高分子物質[例えば、上記のポリマー(アクリル系ポリマー、ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂等)や非相溶性物質含有重合性組成物から非相溶性物質を除いた以外は同様の組成を有する重合性組成物を重合することにより形成されるポリマーなど]により形成される層である場合、モノマー吸収層である高分子物質の層の体積は、非相溶性物質含有重合性組成物層から重合性モノマーを吸収することで、通常増加する。つまり、モノマー吸収層を形成する前記高分子物質は、重合性モノマーを吸収することにより膨潤する。従って、モノマー吸収層は、重合性モノマーを吸収することで体積が増加するモノマー膨潤層であってもよい。
さらに、本発明では、モノマー吸収層としてポリマーを含有するモノマー吸収ポリマー層を用いる場合、そのゲル分率は特に制限されない。このため、モノマー吸収ポリマー層において、ゲル分率を98%程度まで架橋していても、又は、ほとんど架橋していなくても(ゲル分率:10%以下)、ポリマー部材を得ることができる。例えば、モノマー吸収層としてモノマー吸収ポリマー層を用いる場合やモノマー吸収性シートとしてポリマー層を有するシートを用いる場合には、ポリマー層のゲル分率を98%程度まで架橋していても、又は、ほとんど架橋していなくても(ゲル分率:10%以下)、ポリマー部材を製造することができる。このため、ポリマー層に高い架橋度(例えば、ゲル分率が90%以上)を持たせることにより、得られたポリマー部材において、モノマー吸収層としてのポリマー層に耐熱性や耐溶剤性を付与することができる。さらに、ポリマー層に低い架橋度(例えば、ゲル分率が10%以下)を持たせることにより、得られたポリマー部材において柔軟性や応力緩和性を付与することができる。
さらに本発明ではモノマー吸収層が硬い層であれ、軟らかい層であれ、ポリマー部材を得ることができる。このため、モノマー吸収層として硬い層(例えば、100%モジュラスが100N/cm以上である層)を用いると、得られたモノマー吸収層を支持体(基材)として用いることができる場合がある。さらに、モノマー吸収層として軟らかい層(例えば、100%モジュラスが30N/cm以下である層)を用いると、得られたモノマー吸収層を粘着層として用いることができる場合がある。
重合性モノマーを吸収する前のモノマー吸収層の厚みとしては、特に制限されず、例えば、1〜3000μmが好ましく、さらに好ましくは2〜2000μm、さらに好ましくは5〜1000μmの範囲である。また、モノマー吸収層は、単層、積層の何れの形態を有していてもよい。1μm未満であると多量の重合性モノマーを吸収してシートが変形する恐れや十分な重合性モノマーの吸収が行われない場合があり、一方、3000μmを超えるとシート形状と巻取りにくく、取り扱い性が悪い場合がある。
モノマー吸収層が例えば前記高分子物質の層である場合、モノマー吸収層は、例えば下記の基材やカバーフィルムの離型処理された面などの適宜な支持体の所定の面上に、上記慣用のコーターで前記高分子物質や前記高分子物質を重合により形成する重合性組成物(以下、「モノマー吸収層形成組成物」という)を塗布することにより形成される。なお、支持体上に設けられたモノマー吸収層形成組成物は、通常、必要に応じて乾燥及び/又は硬化(例えば、光による硬化)される。また、モノマー吸収層形成組成物は、適宜な支持体の所定の面上に塗布される際、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマーを配合することや、モノマー成分を加熱や光照射などにより一部重合させることにより塗布に適した粘度に調整されていてもよい。
モノマー吸収性シートが基材付きモノマー吸収性シートである場合に用いられる基材(モノマー吸収性シート用基材)としては、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体[例えば、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など]等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。このようなプラスチックのフィルムやシートにおける素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、モノマー吸収性シート用基材として、プラスチック系基材が用いられている場合は、延伸処理等により伸び率などの変形性を制御していてもよい。また、モノマー吸収性シート用基材としては、モノマー吸収層が活性エネルギー線による硬化により形成される場合は、活性エネルギー線の透過を阻害しないものを使用することが好ましい。
モノマー吸収性シート用基材の表面は、モノマー吸収層との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤や剥離剤等によるコーティング処理等が施されていてもよい。
モノマー吸収性シート用基材の厚みは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、特に制限はないが、例えば、一般的には1000μm以下が好ましく、さらに好ましくは1〜1000μm、さらに好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μmである。なお、基材は単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
≪積層体(X)≫
前記積層体(X)は、例えば、モノマー吸収層のモノマー吸収面に非相溶性物質含有重合性組成物を塗布して非相溶性物質含有重合性組成物層を積層させることや、適当な支持体上に非相溶性物質含有重合性組成物を塗布して非相溶性物質含有重合性組成物層を得てから、モノマー吸収層上に当該非相溶性物質含有重合性組成物層を転写することで作製することができる。なお、モノマー吸収層により提供される面をモノマー吸収面という。
なお、非相溶性物質含有重合性組成物の塗布に際しては、例えば、慣用のコーター(例えば、コンマロールコーター、ダイロールコーター、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなど)を用いることができる。
(カバーフィルム)
前記積層体(X)の作製にあたり、非相溶性物質含有重合性組成物層には、適当な支持体としては、カバーフィルムを用いることができる。カバーフィルムは、剥離性を有していてもよいし、あるいは剥離性を有していなくてもよい。なお、得られるポリマー部材において、非相溶性物質含有重合性組成物層から得られる非相溶性物質偏在ポリマー層の表面は、カバーフィルムで保護されていてもよい。ポリマー部材を使用する際、カバーフィルムは、剥がされてもよいし、あるいは剥がされることなくそのままの状態を維持し、ポリマー部材の一部を構成していてもよい。なお、本発明において、光重合法を用いる場合、空気中の酸素により反応が阻害されるため、重合工程(3)では、カバーフィルムで空気中の酸素と遮断することが好ましい。
このようなカバーフィルムとしては、酸素を透過し難い薄葉体であれば特に制限されないが、光重合反応を用いる場合は透明なものが好ましく、例えば慣用の剥離紙などを使用することができる。具体的には、カバーフィルムとしては、例えば離型処理剤(剥離処理剤)による離型処理層(剥離処理層)を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。なお、低接着性基材では、両面が離型面と利用することができ、一方、離型処理層を有する基材では、離型処理層表面を離型面(離型処理面)として利用することができる。
カバーフィルムとしては、例えば、カバーフィルム用基材の少なくとも一方の面に離型処理層が形成されているカバーフィルム(離型処理層を有する基材)を用いてもよいし、カバーフィルム用基材をそのまま用いてもよい。
このようなカバーフィルム用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)等が挙げられる。カバーフィルム用基材としては、透明性の高いプラスチック系基材フィルム(特に、ポリエチレンテレフタレートフィルム)が用いられたカバーフィルム用基材を好適に用いることができる。
離型処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系離型処理剤、フッ素系離型処理剤、長鎖アルキル系離型処理剤などを用いることができる。離型処理剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。なお、離型処理剤により離型処理が施されたカバーフィルムは、例えば、公知の形成方法により、形成される。
カバーフィルムの厚みは、特に制限されないが、取り扱い易さと経済性の点から、例えば、12〜250μmが好ましく、さらに好ましくは20〜200μmの範囲である。なお、カバーフィルムは単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
[加熱工程(2)]
本発明では、モノマー吸収層に非相溶性物質含有重合性組成物層を積層して得られる、上記積層体(X)に、重合工程(3)を施す前に加熱工程(2)を施す。加熱工程(2)により非相溶性物質偏在重合性組成物層内での非相溶性物質の偏在化をより高度に行なうことができ、非相溶性物質偏在ポリマー層における非相溶性物質の分布をより高密度にしたポリマー部材を得ることができる。加熱温度は、25℃以上200℃以下の範囲が好ましい。温度の上限としては200℃以下が好ましいが、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。なお、温度の上限としては、90℃以下であってもよく、80℃以下であってもよい。また、温度の下限としては、25℃以上が好ましいが、好ましくは30℃以上、さらに好ましくは40℃以上、特に好ましくは50℃以上である。また、加熱工程(2)の時間は、1秒間以上120分間以下が好ましく、さらに好ましくは10秒間以上60分間以下、さらに好ましくは1分間以上30分間以下である。特に、上記温度範囲内において高温であるほど、また、所要時間が長いほど、高密度化したポリマー部材を得ることができる。25℃未満であると、重合性モノマーがモノマー吸収層に十分に吸収されない恐れがあり、200℃を超えるような条件であると、重合性モノマーの揮発や引火、カバーフィルムが変形する恐れがある。また、その温度条件下における時間も、1秒間未満であると作業性が困難になる恐れがあり、120分間を超えるような条件であるとポリマー部材にうねりが発生し、平滑なポリマー部材が得られない場合がある。なお、非相溶性物質含有性組成物層とモノマー吸収層は積層工程(1)の前から上記温度条件を有していてもよい。また、非相溶性物質含有重合性組成物も上記温度条件を有していてもよい。
加熱工程(2)に係る積層体(X)の加熱方法としては、特に制限されることはないが、例えば、オーブンによる加熱方法や、電熱ヒーターを用いた加熱方法や、赤外線等の電磁波を用いた加熱方法などの公知の方法が挙げられる。
上記の通り、前記積層工程(1)及び加熱工程(2)によって、積層体(X)において、非相溶性物質含有重合性組成物層内で非相溶性物質を移動させて、非相溶性物質が積層直後の非相溶性物質含有重合性組成物層とモノマー吸収層との界面には存在せず、厚み方向に層状に偏って分布させている。即ち、非相溶性物質がモノマー吸収層とは反対側の界面又は当該界面近傍に偏って分布している非相溶性物質偏在重合性組成物層を得る。本発明では、加熱工程(2)を設けることで、非相溶性物質の偏在を促進し、高密度化した非相溶性物質の偏在構造を得ることができる。即ち、モノマー吸収層における重合性モノマーの吸収は、モノマー吸収面に非相溶性物質含有重合性組成物層が形成された時点で生じる。なお、非相溶性物質含有重合性組成物層内での非相溶性物質の偏在化は、加熱工程(2)から重合工程(3)の間に生じていてもよいし、重合工程(3)において生じていてもよい。
[重合工程(3)]
本発明では、前記非相溶性物質偏在重合性組成物層及び前記モノマー吸収層中の前記重合性モノマーを重合する工程(3)を施して、非相溶性物質偏在ポリマー層と硬化したモノマー吸収層との積層体(Y)、即ち、ポリマー部材を得る。重合工程(3)は、例えば、光照射により行なうことができる。光照射は、非相溶性物質偏在重合性組成物層が重合・硬化され、非相溶性物質偏在ポリマー層が得られる限り、光源、照射エネルギー、照射方法、照射時間等について、特に制限されることはない。
光照射に用いる活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好適である。なお、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは、非相溶性物質偏在重合性組成物層を硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成することができる限り、特に制限されることはない。
活性エネルギー線の照射としては、例えばブラックライトランプ、ケミカルランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどによる紫外線の照射が挙げられる。
また、重合工程(3)を加熱により行なうことができる。加熱は、例えば公知の加熱方法(例えば、電熱ヒーターを用いた加熱方法、赤外線等の電磁波を用いた加熱方法など)が挙げられる。
[ポリマー部材]
本発明の製造方法で得られるポリマー部材は、上記のように、モノマー吸収層上に非相溶性物質偏在ポリマー層を有する積層体(Y)を有する。ポリマー部材における非相溶性物質偏在ポリマー層の偏在構造は、非相溶性物質がモノマー吸収層と反対側の界面に層状に偏って分布する構造である。
ポリマー部材において、非相溶性物質偏在ポリマー層やモノマー吸収層の表面は、カバーフィルムで保護されていてもよい。なお、カバーフィルムは、剥離性を有していてもよいし、あるいは剥離性を有さなくてもよい。
前記積層体(Y)の非相溶性物質偏在ポリマー層において、非相溶性物質が偏在する界面又は当該界面近傍(非相溶性物質偏在部)の厚みが、前記非相溶性物質含有重合性組成物層(積層前)の厚みに対して、80%以下であることが好ましい。
非相溶性物質偏在部の厚みは、前記非相溶性物質含有重合性組成物層の厚みに対する厚み比率は80%以下が好ましく、さらに好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。80%を超えるような厚みであると、モノマー吸収層との密着性に問題が生じる恐れや、非相溶性物質偏在ポリマー層の強度に問題を生じるおそれがある。
非相溶性物質偏在ポリマー層における非相溶性物質が分布する部分(非相溶性物質偏在部)の厚み(層表面から厚み方向の全厚みに対する、非相溶性物質が分布する内部領域の層表面からの厚み方向への高さ;モノマー吸収層とは反対側の界面から厚み方向の全厚みに対する、非相溶性物質が分布する内部領域のモノマー吸収層とは反対側の界面からの厚み方向への高さ)は、非相溶性物質偏在ポリマー層に含ませる非相溶性物質の量を調整することにより制御することができる。従って、非相溶性物質の使用量を調整することにより、ポリマー部材の特性(例えばガス透過性)を制御することができる。
ポリマー部材の非相溶性物質偏在ポリマー層において、非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質が分布する部分である非相溶性物質偏在部では、非相溶性物質と非相溶性物質偏在ポリマー層のポリマー成分とが混在している。また、ポリマー部材の非相溶性物質偏在ポリマー層において、非相溶性物質が分布する部分(非相溶性物質偏在部)と非相溶性物質が分布しない部分(以下、「非相溶性物質非存在部」という)とは、非相溶性物質偏在部が層状の形態を有するので区別できる(例えば、図3、図4等参照)。
またポリマー部材の非相溶性物質偏在ポリマー層では、非相溶性物質偏在部では、非相溶性物質が層状形態で偏って分布しており、一方、非相溶性物質非存在部はモノマー吸収層に接しており、ポリマー部材は、モノマー吸収層と非相溶性物質偏在ポリマー層との密着性が優れている。
なお、ポリマー部材において、使用するモノマー吸収層と重合性モノマーとの組み合わせによっては、非相溶性物質が非相溶性物質非存在部に微量分散する場合がある。しかし、このような非相溶性物質非存在部に微量分散している非相溶性物質は、ポリマー部材の特性に影響を与えることはない。本発明のポリマー部材は、非相溶性物質が非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部に緻密に存在することによって、特性を発揮するためである。
ポリマー部材の全体の厚さは、モノマーを吸収してシートが変形する恐れや十分なモノマーの吸収が行われない場合、シート形状として巻取りにくく、取り扱い性が悪い場合がある点から、3〜9000μmが好ましく、好ましくは10〜5000μm、さらに好ましくは30〜2500μmである。なお、ポリマー部材の全体の厚さは、非相溶性物質偏在ポリマー層の厚みと、モノマー吸収層の厚みとの合計を意味する。
ポリマー部材中の非相溶性物質偏在ポリマー層(特にガスバリア性物質偏在ポリマー層)の厚さは、シート形状として巻取りにくく、取り扱い性が悪い場合がある点から、1〜3000μmが好ましく、好ましくは5〜1000μm、さらに好ましくは10〜500μmである。なお、非相溶性物質偏在ポリマー層の厚さは、上記ポリマー部材全体の厚さからモノマー吸収層の厚みを除くことにより求められる理論値である。
ポリマー部材における非相溶性物質(特にガスバリア性物質)が分布する部分の厚みは、シート形状として巻取りにくく、取り扱い性が悪い場合がある点から、0.1〜500μmが好ましく、好ましくは0.5〜300μm、さらに好ましくは1〜100μmである。なお、ポリマー部材における非相溶性物質が分布する部分を「非相溶性物質偏在部」と称する場合がある。特にガスバリア性物質が分布する部分を「ガスバリア性物質偏在部」と称する場合がある。
なお、非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部では、非相溶性物質と非相溶性物質偏在ポリマー層のポリマー成分とが混在している。このため、当該部分では、非相溶性物質偏在ポリマー層のポリマー成分に基づく特性、非相溶性物質が元来有する特性、非相溶性物質が非相溶性物質偏在ポリマー層内で偏在することに基づく特性を発揮することができる。
非相溶性物質偏在ポリマー層のポリマー成分に基づく特性としては、柔軟性、ハードコート性、粘着性、応力緩和性、耐衝撃性などが挙げられる。例えばポリマー成分として粘着剤成分を用いた際の粘着性(感圧接着性)などが挙げられる。非相溶性物質が元来有する特性としては、特定の機能(例えば、膨張性、収縮性、吸収性、発散性、導電性等)を有する非相溶性物質を用いた際の該特定の機能が挙げられる。非相溶性物質が非相溶性物質偏在ポリマー層内で偏在することに基づく特性とは、例えば、ポリマー成分として粘着剤成分を用いた際の非相溶性物質の含有量を調整することによる粘着性(感圧接着性)の制御、着色などの意匠性、非相溶性物質として粒子を用いた際の表面凹凸の付与や該表面凹凸に基づく特性(例えば、再剥離性、アンチブロッキング性、アンチグレア特性、意匠性、光散乱性など)などが挙げられる。また、膨張性、収縮性、吸収性、発散性、導電性等の性質を保持したまま、基材の特性、例えば、柔軟性、ハードコート性、粘着性、応力緩和性、耐衝撃性などを有することが挙げられる。
より具体的な例としては、例えば、非相溶性物質偏在ポリマー層のポリマー成分として粘着剤成分を用い、非相溶性物質として粒子を用いれば、非相溶性物質偏在ポリマー層表面で粒子による凹凸を有し、非相溶性物質偏在ポリマー層の表面で粘着性(タック性)及び剥離性(アンチブロッキング性)を発揮するポリマー部材を得ることができる。該ポリマー部材では、含有させる粒子量を調整することにより、非相溶性物質偏在ポリマー層表面の粘着性を制御できる。また粘着性を非常に弱くしたり、粘着性を生じなくすることもできる。
ポリマー部材における非相溶性物質偏在ポリマー層が粒子を含む場合における非相溶性物質偏在ポリマー層表面の凹凸の大きさや形状は、例えば粒子の粒径、非相溶性物質偏在ポリマー層の厚さ、重合方法、重合の開始時期や終了時期等を調整することにより制御される。例えば、表面凹凸シートの利用面表面の凹凸の大きさや形状は、例えば粒子の粒径、光重合硬化層の厚さ、前記特定の積層体に対する光照射の方法、光照射の開始時期や終了時期等を調整することにより、制御される。なお、非相溶性物質偏在ポリマー層が粒子を含む場合における層中の粒子(例えば粒子偏在光重合硬化層に含まれる粒子)は、層内に粒子全体が包含される形態で存在していてもよいし、粒子の一部分が層外に露出する形態(例えば粒子の頭が層外に現れる形態など)で存在していてもよい。つまり、粒子は、ポリマー部材の非相溶性物質偏在ポリマー層表面や表面凹凸シートにおける利用面表面において粒子自体の一部分が露出していてもよい。
ポリマー部材の形態は、特に制限されず、通常シート状やテープ状の形態を有する。なお、モノマー吸収層として粘着剤層(感圧性接着剤層)を用いた場合、ポリマー部材の最外層をモノマー吸収層とすることにより、ポリマー部材を粘着テープ又はシート(「テープ又はシート」を単に「テープ」あるいは「シート」と称する場合がある)として用いることができる。
また、ポリマー部材に公知の粘着剤(感圧性接着剤)(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤など)による粘着剤層(感圧性接着剤層)を設けることでも、ポリマー部材を粘着テープ又はシートとして用いることができる。
ポリマー部材は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
本発明のポリマー部材は、非相溶性物質の種類やその量、非相溶性物質偏在ポリマー層のポリマーの種類やその厚さ等を調整することにより、様々な特性を発揮するため、広範な分野で用いることができる。例えば、光学シート、バリアシート、電子回路、パワーエレクトロニクス材料、粘着テープ、医療分野用途などで好適に用いることができる。
特に本発明において、非相溶性物質としてガスバリア性物質を用いた場合に、ガスバリア部材が得られ有用である。ガスバリア部材におけるガスバリア性物質の偏在構造は、ガスバリア性物質含有ポリマー層において、ガスバリア性物質がモノマー吸収層との界面には存在せず、モノマー吸収層と反対側の界面に層状に偏って分布する構造を有する。本発明の製造方法によればガスバリア性物質を層状に分布させることで高密度化が可能であり、従来の製造方法のように、ガスバリア性物質を界面で凝集させる程度の偏在に比して高度なガスバリア性物質の偏在化が可能である。
ガスバリア部材は、ガスバリア性物質が層状分布しているガスバリア性物質含有偏在ポリマー層を有していることにより、ポリマー部材内部を拡散して透過しようとするガスがガスバリア性物質の層状分布構造によりポリマー部材内部に拡散しにくくなり透過が阻害されるので、良好なガスバリア特性を発揮する。
このことにより、厚さ、ガスバリア性物質の種類及び使用量、モノマー成分が共通する、ガスバリア性物質偏在ポリマー層とガスバリア性物質分散ポリマー層(ガスバリア性物質が厚み方向に分散して存在するポリマー層)とを比較すると、ガスバリア性物質偏在ポリマー層は、ガスバリア性物質分散ポリマー層に比べて良好なガスバリア特性を発揮する。さらに、前記同様に、ガスバリア性物質偏在ポリマー層とガスバリア性物質分散ポリマー層とを比較すると、ガスバリア性物質偏在ポリマー層は、ガスバリア性物質分散ポリマー層ではガス透過を阻害する特性が生じない少ない量のガスバリア性物質の含有量でガスバリア特性を発揮することができる。
ガスバリア性物質偏在ポリマー層において、ガスバリア性物質偏在部(ガスバリア性物質が分布する部分、前記層状分布部分)の厚み(モノマー吸収層とは反対側の界面からの厚み方向の高さ)は、ガスバリア性物質の使用量を調整することにより制御することができる。従って、ガスバリア性物質の使用量を調整することにより、ガスバリア部材のガス透過性を制御することができる。
本発明のガスバリア部材が良好なガスバリア特性を発揮するガスとしては、特に制限されないが、例えば、水蒸気ガス、酸素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、空気、香気ガスなどが挙げられる。本発明のガスバリア部材は、中でも、水蒸気ガス、酸素ガス、などに対して有用である。
本発明のガスバリア部材のガス透過性は、透過を抑制しようとするガスに応じて、ガスバリア性物質の種類、形状、大きさ、含有量等、モノマー吸収層の組成、ガスバリア性物質偏在ポリマー層のポリマー成分の組成等、ガスバリア部材におけるガスバリア性物質偏在ポリマー層及びモノマー吸収層の厚さ(全体の厚さ)などを制御することにより、所望のガス透過性に制御することができる。
本発明のガスバリア部材は、例えば、様々な分野の包装材や保管用の袋等に用いることができる。例えば、食品、化粧品、医薬品、衛生関連、精密部品、電子部品などの分野が挙げられる。
なお、ガスバリア性物質偏在ポリマー層のガスバリア性物質偏在部ではガスバリア性物質とガスバリア性物質偏在ポリマー層のポリマー成分とが混在しているため、ガスバリア性物質が分布するガスバリア性物質偏在ポリマー層のモノマー吸収層との界面とは反対側の界面又は該界面近傍(表面又は表面近傍)では、ガスバリア性物質偏在ポリマー層のポリマー成分に基づく特性、ガスバリア性物質が元来有する特性、ガスバリア性物質がガスバリア性物質偏在ポリマー層内で偏在することに基づく特性を発揮することができる。
ガスバリア性物質偏在ポリマー層のポリマー成分に基づく特性としては、例えばポリマー成分として粘着剤成分を用いた際の粘着性(感圧接着性)などが挙げられる。ガスバリア性物質が元来有する特性としては、ガスバリア性のほか、例えば、親水性、耐熱性が挙げられる。ガスバリア性物質がガスバリア性物質偏在ポリマー層内で偏在することに基づく特性とは、例えばポリマー成分として粘着剤成分を用いた際のガスバリア性物質の含有量を調整することによる粘着性(感圧接着性)の制御、着色などの意匠性、ガスバリア性物質として粒子を用いた際の表面凹凸の付与や該表面凹凸に基づく特性(例えば、再剥離性、アンチブロッキング性、アンチグレア特性、意匠性、光散乱性など)などが挙げられる。
従って、本発明によれば、ガスバリア部材を製造する際、ガスバリア性物質含有重合性組成物を用いても、ガスバリア性物質含有重合性組成物に含まれる揮発性成分(例えば、有機溶剤や有機化合物など)の蒸発除去をせずに、ガスバリア性物質偏在ポリマー層を有するガスバリア部材を製造することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、以下の各例で用いた、カバーフィルム、基材フィルムは、いずれも、片面がシリコーン系離型処理された、厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRN38」,三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製)を用いた。
(光重合性シロップの調製例1)
2−エチルヘキシルアクリレート:90重量部、及びアクリル酸:10重量部と、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.05重量部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.05重量部を、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、冷却管を備えた4つ口のセパラブルフラスコ中で均一になるまで攪拌した後、窒素ガスによりバブリングを1時間行って溶存酸素を除去した。その後、ブラックライトランプにより紫外線をフラスコ外側より照射して重合し、適度な粘度になった時点でランプを消灯、窒素吹き込みを停止して、重合率7%の一部が重合した組成物(シロップ)(以下、これを「光重合性シロップ(A)」という)を調製した。
(光重合性シロップの調製例2)
シクロヘキシルアクリレート:100重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.1重量部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.1重量部を、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、冷却管を備えた4つ口のセパラブルフラスコ中で均一になるまで攪拌した後、窒素ガスによりバブリングを1時間行って溶存酸素を除去した。その後、ブラックライトランプにより紫外線をフラスコ外側より照射して重合し、適度な粘度になった時点でランプを消灯、窒素吹き込みを停止して、重合率7%の一部が重合した組成物(シロップ)(以下、これを「光重合性シロップ(B)」という)を調製した。
(光重合性シロップの調製例3)
テトラヒドロフルフリルアクリレート:100重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.1重量部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.1重量部を、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、冷却管を備えた4つ口のセパラブルフラスコ中で均一になるまで攪拌した後、窒素ガスによりバブリングを1時間行って溶存酸素を除去した。その後、ブラックライトランプにより紫外線をフラスコ外側より照射して重合し、適度な粘度になった時点でランプを消灯、窒素吹き込みを停止して、重合率7%の一部が重合した組成物(シロップ)(以下、これを「光重合性シロップ(C)」という)を調製した。
(非相溶性物質含有光重合性組成物の調製例1)
ブチルアクリレート:100重量部に、非相溶性物質としてSIBS(スチレン−イソブチレン−ブチレン−スチレン)(商品名「SIBSTAR102T」,カネカ社製):30重量部、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.1重量部を溶解させ、さらに光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」,(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.4重量部、及び商品名「イルガキュア184」,(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.4重量部を溶解させ、均一な状態で透明な粘調液(シロップ)(以下、これを「非相溶性物質含有光重合性組成物(A)」という)を調製した。
(非相溶性物質含有光重合性組成物の調製例2)
シクロヘキシルアクリレート:100重量部に、非相溶性物質としてSIBS(スチレン−イソブチレン−ブチレン−スチレン)(商品名「SIBSTAR102T」カネカ社製):30重量部、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.1重量部を溶解させ、さらに光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.4重量部、商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.4重量部を溶解させ、均一な状態で透明な粘調液(シロップ)(以下、これを「非相溶性物質含有光重合性組成物(B)」という)を調製した。
(非相溶性物質含有光重合性組成物の調製例3)
2−エチルヘキシルアクリレート:100重量部に、非相溶性物質としてSIBS(スチレン−イソブチレン−ブチレン−スチレン)(商品名「SIBSTAR102T」カネカ社製):30重量部、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.1重量部を溶解させ、さらに光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.4重量部、商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.4重量部を溶解させ、均一な状態で透明な粘調液(シロップ)(以下、これを「非相溶性物質含有光重合性組成物(C)」という)を調製した。
(非相溶性物質含有光重合性組成物の調製例4)
光重合性シロップ(A):100重量部に、非相溶性物質として平均粒径8μmの燐片状窒化ホウ素微粒子(商品名「PT620」,堺化学工業社製):100重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.2重量部、及び光重合開始剤として商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.3重量部を均一に混合して、粒子含有光重合性組成物(以下、これを「非相溶性物質含有光重合性組成物(D)」という)を調製した。
(基材付きモノマー吸収性シートの作製例1)
光重合性シロップ(A):100重量部に1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.1重量部を均一に混合した光重合性シロップ組成物を、上記基材フィルムの一方の面(剥離処理面)に、硬化後の厚さが30μmとなるように塗布し、光重合性シロップ組成物層を形成させた。そして、該層上に、離型処理された面が接する形態で上記カバーフィルムを貼り合わせ、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm)を3分間照射し、該層を硬化させてモノマー吸収層を形成させることにより、モノマー吸収層表面が上記カバーフィルムで保護されている基材付きモノマー吸収性シート(以下、これを「基材付きモノマー吸収性シート(A)」という)を作製した。
(基材付きモノマー吸収性シートの作製例2)
光重合性シロップ(B):100重量部に1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.1重量部を均一に混合した光重合性シロップ組成物を、上記基材フィルムの一方の面(剥離処理面)に、硬化後の厚さが100μmとなるように塗布し、光重合性シロップ組成物層を形成させた。そして、該層上に、離型処理された面が接する形態で上記カバーフィルムを貼り合わせ、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm)を3分間照射し、当該層を硬化させてモノマー吸収層を形成させることにより、モノマー吸収層表面が上記カバーフィルムで保護されている基材付きモノマー吸収性シート(以下、これを「基材付きモノマー吸収性シート(B)」という)を作製した。
(基材付きモノマー吸収性シートの作製例3)
光重合性シロップ(C):100重量部に1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.1重量部を均一に混合した光重合性シロップ組成物を、上記基材フィルムの一方の面(剥離処理面)に、硬化後の厚さが100μmとなるように塗布し、光重合性シロップ組成物層を形成させた。そして、該層上に、離型処理された面が接する形態で上記カバーフィルムを貼り合わせ、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm)を3分間照射し、該層を硬化させてモノマー吸収層を形成させることにより、モノマー吸収層表面が上記カバーフィルムで保護されている基材付きモノマー吸収性シート(「基材付きモノマー吸収性シート(C)」と称する場合がある)を作製した。
<ポリマー部材に関する実施例>
(実施例1)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(A)を塗布して非相溶性物質含有光重合性組成物層(厚さ:100μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(B)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、当該該積層体を、70℃条件下で75秒間加熱して非相溶性物質偏在光重合性組成物層にしたのち、両面から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
(実施例2)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(B)を塗布して非相溶性物質含有光重合性組成物層(厚さ:100μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(B)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、当該積層体を、70℃条件下で15秒間加熱して非相溶性物質偏在光重合性組成物層にしたのち、両面から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
(実施例3)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(B)を塗布して非相溶性物質含有光重合性組成物層(厚さ:50μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(B)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、当該積層体を、70℃条件下で75秒間加熱して非相溶性物質偏在光重合性組成物層にしたのち、両面から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
(実施例4)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(B)を塗布して非相溶性物質含有光重合性組成物層(厚さ:100μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(C)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、当該積層体を、70℃条件下で75秒間加熱して非相溶性物質偏在光重合性組成物層にしたのち、両面から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
(実施例5)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(A)を塗布して非相溶性物質含有光重合性組成物層(厚さ:100μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(A)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、当該積層体を、40℃条件下で75秒間加熱して非相溶性物質偏在光重合性組成物層にしたのち、両面から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
(実施例6)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(B)を塗布して非相溶性物質含有光重合性組成物層(厚さ:100μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(B)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、当該該積層体を、130℃条件下で75秒間加熱して非相溶性物質偏在光重合性組成物層にしたのち、両面から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
(実施例7)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(B)を塗布して非相溶性物質含有光重合性組成物層(厚さ:100μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(B)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、当該該積層体を、130℃条件下で15秒間加熱して非相溶性物質偏在光重合性組成物層にしたのち、両面から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
(実施例8)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(D)を塗布して非相溶性物質含有配合光重合性組成物層(厚さ:30μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(A)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、該積層体を、60℃条件下で195秒間加熱して非相溶性物質偏在光重合性組成物層にしたのち、両面から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
(比較例1)
積層体形成後の温度条件を室温(20℃)条件下で行った事以外は(実施例1)と同様にしてポリマーシートを作製した。
(比較例2)
積層体形成後の温度条件を室温(20℃)条件下で行った事以外は(実施例2)と同様にしてポリマーシートを作製した。
(比較例3)
積層体形成後の温度条件を室温(20℃)条件下で行った事以外は(実施例3)と同様にしてポリマーシートを作製した。
(比較例4)
積層体形成後の温度条件を室温(20℃)条件下で行った事以外は(実施例4)と同様にしてポリマーシートを作製した。
(比較例5)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(C)を塗布して非相溶性物質含有光重合性組成物層(厚さ:100μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(C)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、該積層体を、室温(20℃)条件下で75秒間放置して、非相溶性物質偏在光重合性組成物層にした、両面から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
<非相溶性物質としてガスバリア性物質を用いたポリマー部材に関する実施例>
(光重合性シロップの調製例4)
ブチルアクリレート:100重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.1重量部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.1重量部を、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、冷却管を備えた4つ口のセパラブルフラスコ中で均一になるまで攪拌した後、窒素ガスによりバブリングを1時間行って溶存酸素を除去した。その後、ブラックライトランプにより紫外線をフラスコ外側より照射して重合し、適度な粘度になった時点でランプを消灯、窒素吹き込みを停止して、重合率7%の一部が重合した組成物(シロップ)(以下これを、「光重合性シロップ(D)」という)を調製した。
(非相溶性物質含有光重合性組成物の調製例5)
シクロヘキシルアクリレート:95.6重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.2重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.2重量部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.2重量部からなるモノマー混合物に、層状粘土鉱物(商品名「ルーセンタイトSPN」,コープケミカル社製,形状:平板状):10重量部を加え、室温(25℃)で24時間静置することによって、層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物(白濁)を得た。
その後、当該層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物に、超音波分散機(日本精機社製)により、500mWの照射強度で超音波を3分間照射した。なお、該超音波処理により、該層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物は透明になった。
超音波処理後の層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物に、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(商品名「SIBSTAR102T」,カネカ社製):1重量部を加えて、小型ディスパー(商品名「T.K.ロボミックス」,プライミックス社製)にて1000rpmで10分間攪拌して、ガスバリア性物質含有光重合性組成物を得た(以下、これを「非相溶性物質含有光重合性組成物(E)」という)。
(非相溶性物質含有光重合性組成物の調製例6)
ブチルアクリレート:40重量部、アクリル酸:10重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:0.1重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.1重量部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.1重量部からなるモノマー混合物に、層状粘土鉱物(商品名「ルーセンタイトSPN」コープケミカル社製,形状:平板状):10重量部を加え、室温(25℃)で24時間静置することによって、層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物(白濁)を得た。
その後、該層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物に、超音波分散機(日本精機社製)により、500mWの照射強度で超音波を3分間照射した。なお、該超音波処理により、該層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物は透明になった。
超音波処理後の層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物に、光重合性シロップ(D)を50重量部加えて、小型ディスパー(商品名「T.K.ロボミックス」プライミックス社製)にて1000rpmで5分間攪拌して、ガスバリア性物質含有重合性組成物を得た(以下、これを「非相溶性物質含有光重合性組成物(F)」という)。
(実施例9)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(E)を塗布して非相溶性物質含有光重合性組成物層(厚さ:100μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(B)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、当該積層体を、55℃条件下で315秒間加熱して非相溶性物質偏在光重合性組成物層にしたのち、両面から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
(比較例6)
カバーフィルムの離型処理された面に非相溶性物質含有光重合性組成物(F)を塗布して非相溶性物質含有光重合性組成物層(厚さ:43μm)を形成させたものを、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シート(B)に、モノマー吸収層と非相溶性物質含有光重合性組成物層とが接する形態で、貼り合わせて、積層体を形成した。
次に、当該積層体を、室温(20℃)条件下で60秒間放置して、非相溶性物質偏在光重合性組成物層にしたに、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm)を両面から同時に5分間照射し、非相溶性物質偏在光重合性組成物層を光硬化させて、非相溶性物質偏在ポリマー層を形成させることにより、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)とモノマー吸収層(B層)が設けられているポリマーシートを製造した。
実施例及び比較例で得られたポリマーシートについて下記評価を行なった。結果を表1に示す。
(評価1)
走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名「S−4800」株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で、それぞれの部材(ポリマーシート)の断面を観察した。実施例1〜6、比較例1〜5の断面の非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部(実施例5では非相溶性物質が粒子であり粒子が偏析している偏析部)の走査型電子顕微鏡写真(SEM像)を、それぞれ、図3〜図13に示す。なお、図3Aは実施例1、図7は実施例5、図9は比較例1のポリマーシート全体の走査型電子顕微鏡写真(SEM像)に係る。各図中において、A21:非相溶性物質偏在部、AB2:非相溶性物質非存在部とモノマー吸収層が複合化した硬化層、Y:ポリマーシート、である。
(評価2)
透過型電子顕微鏡(TEM)で実施例9及び比較例6の部材(ポリマーシート)の非相溶性物質偏在ポリマー層の非相溶性物質偏在部の断面を観察した。実施例9の断面図の全体写真及び部分写真を図14、14Aに、比較例6の断面図の全体写真を図15に示す。部材の断面の観察は、部材を−100℃で凍結切断してから、2%ルテニウム酸水溶液で3分間染色処理したものについて、加速電圧:100Vの測定条件により行った。なお、透過型電子顕微鏡として、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H−7650」を使用した。
(評価3)
前記走査型電子顕微鏡(SEM)及び光学顕微鏡で部材の断面を観察することや、基材付きモノマー吸収性シート及び部材の厚さの1/1000ダイヤルゲージを用いた測定により、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)の厚さ(厚さ:A)、モノマー吸収層(B層)の厚さ(厚さ:B)、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)における非相溶性物質が偏在している部分[非相溶性物質偏在部]の厚さ(厚さ:C)を求めた。これらの厚さを表1に示す。
(モノマー吸収度)
下記の(偏在率の算出方法)により偏在率を求め、さらに下記の(モノマー吸収度の算出方法)により、積層してから重合に付するまでの時間あたりにおけるモノマー吸収量を求めて、そこからモノマー吸収度を算出した。これら偏在率及びモノマー吸収度の値を表1に示す。
モノマー吸収層の厚さ(厚さ:B)については、基材付きモノマー吸収性シートの厚さ(基材フィルム、モノマー吸収層及びカバーフィルムの厚さ)を測定し、該基材付きモノマー吸収性シートの厚さから、基材フィルムの厚さ及びカバーフィルムの厚さを除くことにより求めた。
モノマー吸収層(B層)と非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)との積層構造の厚さ(厚さ:A+B,全体の厚さ)については、部材の厚さを測定し、当該部材の厚さ[基材付きモノマー吸収性シート、及び非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)の厚さ]から、基材付きモノマー吸収性シートの基材フィルムの厚さを除くことにより求めた。
非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)の厚さ(厚さ:A)は、前記全体の厚さ(厚さ:A+B)から前記モノマー吸収層の厚さ(厚さ:B)を除くことにより求めた。
なお、非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)の厚さ(厚さ:A)は、測定値ではなく、理論値である。
非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)中の非相溶性物質が分布する部分[非相溶性物質偏在部]の非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)における厚み方向での高さ(厚さ)(厚さ:C)は、走査型電子顕微鏡による断面の走査型電子顕微鏡写真から求めた。
なお、厚さ:Cは、走査型電子顕微鏡による断面の走査型電子顕微鏡写真から測定した平均の値である。
(偏在率の算出方法)
非相溶性物質偏在ポリマー層(A層)中の非相溶性物質偏在部(C)の偏在率は下記式より算出した。
偏在率(%)=(1−C/A)×100
(モノマー吸収度の算出方法)
モノマー吸収性シートを30mm×30mmの正方形に切り出し、50mm×50mmのメッシュに乗せて予め秤量しておく。メッシュの両端をクリップに挟んで所定温度、および所定時間(具体的には、各例と同じ時間)、各例で用いた重合性モノマーに含浸して膨潤させたものを取り出し、キムタオル(日本製紙クレシア社製)で出来る限りモノマーを拭き取ってメッシュとサンプルを秤量した。メッシュとサンプルを130℃のオーブンに1時間入れて乾燥させ、乾燥したサンプルを測定し、モノマー吸収度を下記式より算出した。
モノマー吸収度[−]=(吸収後のサンプル重量)/(吸収前のサンプル重量)
(評価4)
実施例9及び比較例6については、下記の水蒸気透過度測定方法により、水蒸気透過度を測定した。この結果を表1に示す。
(水蒸気透過度測定方法)
カバーフィルムを剥がしてガスバリア性物質含有光重合硬化層表面を露出させた部材について、水蒸気透過率測定装置(モコン社製)により、40℃、80%RHの条件で、水蒸気透過率を測定した。なお、該水蒸気透過度測定方法はモコン法に準拠する。
水蒸気透過度測定より、実施例は比較例に比べておよそ1桁水蒸気バリア性が向上していることが確認できた。
Figure 2011173414
評価1及び2から、有機溶剤等の揮発性成分の蒸発除去を行わずに、部材を得ることができた。
実施例及び比較例の断面の走査型顕微鏡写真、例えば、実施例1(図3、3A)と比較例1(図9、9A)を比較すると、加熱工程(2)を有する実施例の方が非相溶性物質偏在部の厚みが薄くなり、偏在率が向上していることが確認できた。また、同様にして実施例2〜4と比較例2〜4をそれぞれ比較しても、同様に加熱工程(2)による非相溶性物質偏在部の偏在化の向上が確認できた。モノマー吸収度が高い条件の方が非相溶性物質偏在部が高い傾向が確認できた。実施例5においても、加熱工程(2)による非相溶性物質偏在部の偏在化の向上が確認できた。比較例5の重合性モノマーとモノマー吸収層の組合せでは、モノマー吸収度が1.6であり、重量増加率が2倍以下であり、偏在率も小さくなっていることが確認できた。同様に、実施例6及び7においても加熱工程(2)による非相溶性物質偏在部の偏在化の向上が確認できた。実施例8では、非相溶性物質が粒子の場合にも、非相溶性物質偏在ポリマー層で、粒子が偏析していることを確認できた。
実施例9の部材のガスバリア性物質偏在部を全体的に示す透過型電子顕微鏡写真(倍率:10000倍)を図14、実施例9の部材のガスバリア性物質偏在部を部分的に示す透過型電子顕微鏡写真(倍率:50000倍)を図14A、比較例6のガスバリア性物質偏在部を全体的に示す透過型電子顕微鏡写真(倍率:50000倍)を図15に示す。図14及び図15の該透過型電子顕微鏡写真は、ガスバリア性物質含有光重合硬化層におけるガスバリア性物質が偏在している部分と、ガスバリア性物質含有光重合硬化層におけるガスバリア性物質が偏在してない部分との界面の様子も示しており、図14Aの該透過型電子顕微鏡写真は、図2(1)のガスバリア性物質偏在ポリマー層(A2)におけるガスバリア性物質(f1)が偏在している部分の様子を示している。
なお、図2(1)は実施例9、図2(2)比較例6の透過型電子顕微鏡による概略断面図である。実施例及び比較例の部材の断面の観察から、実施例9では、ガスバリア性物質偏在ポリマー層(A21)において層状粘土鉱物であるガスバリア性物質(f1)が、層表面やその近傍に偏って分布しており、さらに界面に略平行に分布していることが確認できた。一方、比較例6では、ガスバリア性物質偏在ポリマー層(A21)においてガスバリア性物質(f1)が層表面やその近傍に偏って分布しているが、凝集しており、さらにランダムに分布していることが確認できた。図2(1)では、図(2)に比べて、層状粘土鉱物(f1)が、高密度で偏在し、非相溶性物質偏在部(A21)を薄くできている。
A 非相溶性物質含有重合性組成物層
A1 非相溶性物質偏在重合性組成物層
A2 非相溶性物質偏在ポリマー層
A11、A21 非相溶性物質偏在部
A12、A22 非相溶性物質非存在部
B モノマー吸収層
C カバーフィルム
D 基材フィルム
E 基材付きモノマー吸収性シート
X 積層体:重合工程(3)の前
Y 積層体:重合工程(3)の後
f 非相溶性物質
f1 層状粘土鉱物

Claims (25)

  1. 重合性モノマー、及び当該重合性モノマーを重合して得られるポリマーに対して非相溶な非相溶性物質を含有する非相溶性物質含有重合性組成物により形成された非相溶性物質含有重合性組成物層を、
    前記重合性モノマーを吸収可能なモノマー吸収層の少なくとも一方の面に積層して積層体(X)にする工程(1)、及び、前記積層体(X)を加熱する工程(2)によって、
    非相溶性物質含有重合性組成物層中の重合性モノマーをモノマー吸収層に吸収させるとともに、非相溶性物質含有重合性組成物層内で非相溶性物質を移動させて、非相溶性物質がモノマー吸収層とは反対側の界面又は当該界面近傍に偏って分布している非相溶性物質偏在重合性組成物層を得た後、
    前記非相溶性物質偏在重合性組成物層及び前記モノマー吸収層中の前記重合性モノマーを重合する工程(3)を施して、
    非相溶性物質偏在ポリマー層と硬化したモノマー吸収層との積層体(Y)を有するポリマー部材を得ることを特徴とするポリマー部材の製造方法。
  2. 前記工程(2)を経た後の前記積層体(X)のモノマー吸収層の重量が、非相溶性物質含有重合性組成物層が含有する重合性モノマーを吸収することにより、前記工程(1)に用いるモノマー吸収層の重量の1.1倍以上になっていることを特徴とする請求項1記載のポリマー部材の製造方法。
  3. 前記積層体(X)において、非相溶性物質含有重合性組成物層の厚みが、モノマー吸収層の厚みに対して300%以下の厚みであることを特徴とする請求項1又は2記載のポリマー部材の製造方法。
  4. 前記積層体(Y)の非相溶性物質偏在ポリマー層において、非相溶性物質が偏在する界面近傍の厚みが、前記非相溶性物質含有重合性組成物層の厚みに対して、80%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー部材の製造方法。
  5. 前記加熱工程(2)の加熱温度が、25℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー部材の製造方法。
  6. 前記加熱工程(2)の加熱時間が、1秒以上120分以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリマー部材の製造方法。
  7. モノマー吸収層が、ポリマーを含有してなるモノマー吸収ポリマー層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリマー部材の製造方法。
  8. モノマー吸収ポリマー層のポリマーを構成するモノマー成分が、非相溶性物質含有重合性組成物の重合性モノマーの少なくとも1つと共通することを特徴とする請求項7記載のポリマー部材の製造方法。
  9. 非相溶性物質含有重合性組成物が、非相溶性物質含有粘着剤組成物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれ記載のポリマー部材の製造方法。
  10. 非相溶性物質含有重合性組成物は、重合性モノマー100重量部に対して、非相溶性物質0.001〜300重量部を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれ記載のポリマー部材の製造方法。
  11. 前記重合工程(3)を、光照射により行なうことを特徴とする請求項1〜10のいずれ記載のポリマー部材の製造方法。
  12. 非相溶性物質含有重合性組成物層は、モノマー吸収層を積層する面とは反対側の面にカバーフィルムが積層されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリマー部材の製造方法。
  13. カバーフィルムが、剥離性を有することを特徴とする請求項12記載のポリマー部材の製造方法。
  14. 非相溶性物質が、粒子であることを特徴とする請求項1〜13のいずれ記載のポリマー部材の製造方法。
  15. 非相溶性物質が、ポリマーであることを特徴とする請求項1〜14のいずれ記載のポリマー部材の製造方法。
  16. 非相溶性物質が、ガスバリア性物質であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のポリマー部材の製造方法。
  17. ガスバリア性物質が、少なくとも1種類の無機物を含むことを特徴とする請求項16記載のポリマー部材の製造方法。
  18. 無機物が、層状粘土鉱物、シリカ及び酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の物質であることを特徴とする請求項17記載のポリマー部材の製造方法。
  19. 層状粘土鉱物が、スメクタイト、バーミキュライト、ベントナイト、カネマイト、ケニアナイト、並びにマカナイトから選ばれるいずれか少なくいとも一種である請求項18記載のポリマー部材の製造方法。
  20. 層状粘土鉱物が、有機化処理されていることを特徴とする請求項18又は19に記載のポリマー部材の製造方法。
  21. 非相溶性物質が、ガスバリア性物質として層状粘土鉱物を含有する場合、
    非相溶性物質含有重合性組成物に対する、層状粘土鉱物の使用量が、5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載のポリマー部材の製造方法。
  22. 非相溶性物質が、ガスバリア性物質を含有する場合、
    非相溶性物質含有重合性組成物は、重合性モノマー及びガスバリア性物質の他に、1種類以上のポリマー(但し、ポリマーはガスバリア性物質以外の非相溶性物質である)を含むことを特徴とする請求項16〜21のいずれかに記載のポリマー部材の製造方法。
  23. 少なくとも1種類のポリマーが、イソブチレン骨格を有するポリマーであることを特徴とする請求項22に記載のポリマー部材の製造方法。
  24. 重合性モノマーが、アクリル系モノマーを含有することを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載のポリマー部材の製造方法。
  25. テープ状又はシート状の形態を有するポリマー部材を得る請求項1〜24のいずれかに記載のポリマー部材の製造方法。
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