JP2010247482A - 光学部材成形用型の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 成形型の成形面に微細な凹凸加工を大面積で容易に施すことができる光学部材成形用型を得ることができる光学部材成形用型の製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明の光学部材成形用型の製造方法は、重合性モノマーを吸収可能なモノマー吸収層の少なくとも一方の面に、少なくとも重合性モノマー及び粒子から形成される粒子含有重合性組成物層を設けてから、重合に付して、粒子がモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の界面又は該界面近傍に偏って分布している構造を有するポリマー部材を得る工程(i)、及び、ポリマー部材のモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の界面又は該界面近傍の粒子をマスクとして、粒子が存在しない部分のエッチングを行い、凹部を形成する工程(ii)を含むことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学部材成形用型の製造方法に関する。さらに詳しくは、例えば、マイクロレンズシート、集光シート、光拡散シートなどの光学部材を成形する際に使用される光学部材成形用型の製造方法に関する。
マイクロレンズシートなどの光学部材は、透明樹脂を成形型で成形することによって製造されている。成形された光学部材の表面に微細な凹凸形状を形成させるために、一般に、光学部材の成形用型の成形面に微細な凹凸形状が形成されている。
光学部材の成形用型の成形面に微細な凹凸形状を形成させる方法としては、(A)切削工具を用いて凹凸形状を形成させる方法(例えば、特許文献1参照)、(B)透明材料の表面にレーザーを照射することにより、表面微細加工を施す方法(例えば、特許文献2参照)、(C)基材表面に、電子ビーム露光法により露光後、エッチングし、この基材を金型に加工する方法(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
特開2003−121612号公報 特開2004−168016号公報 特開平9−254161号公報
しかしながら、前記(A)の方法には、切削工具の刃先が使用されている間に摩耗し、新たな刃先と交換しなければならないため、経済的ではないのみならず、煩雑な切削加工を必要するという欠点がある。一方、前記(B)の方法には、透明材料の表面にレーザーを照射したときに、炭化物などの異物が発生するため、微細な凹凸形状を精密に加工することが困難であるという欠点がある。また、(C)の方法は、加工時間が長く、非常に高価な装置が必要であるという欠点がある。さらに、前記(A)、(B)および(C)のいずれの方法にも、加工速度が遅いため、成形面の面積が広い成形型を工業的に生産するのに適しているとはいえない。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、成形型の成形面に微細な凹凸加工を大面積で容易に施すことができる光学部材成形用型の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、特定の製造方法を用いて得られ、粒子が偏って分布しているポリマー部材について、粒子をマスクとして、粒子の存在しない部分のエッチングを行い凹部を形成すれば、成形型の成形面に微細な凹凸加工を容易に施すことが可能な光学部材成形用型が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、重合性モノマーを吸収可能なモノマー吸収層の少なくとも一方の面に、少なくとも重合性モノマー及び粒子から形成される粒子含有重合性組成物層を設けてから、重合に付して、粒子がモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の界面又は該界面近傍に偏って分布している構造を有するポリマー部材を得る工程(i)、及び、ポリマー部材のモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の界面又は該界面近傍の粒子をマスクとして、粒子が存在しない部分のエッチングを行い、凹部を形成する工程(ii)を含むことを特徴とする光学部材成形用型の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記粒子が無機物である前記の光学部材成形用型の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記粒子が金属である前記の光学部材成形用型の製造方法を提供する。
本発明の光学部材成形用型の製造方法によれば、前記構成を有しているので、成形型の成形面に微細な凹凸加工を、成形面の面積の大小にかかわらず、特に成形面の面積が大きくても、容易に施すことができる光学部材成形用型を得ることができる。
図1は、本発明の工程(i)で得られるポリマー部材の一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明により製造される光学部材成形用型の一例を示す概略断面図である。
本発明の光学部材成形用型の製造方法は、重合性モノマーを吸収可能なモノマー吸収層の少なくとも一方の面に、少なくとも重合性モノマー及び粒子から形成される粒子含有重合性組成物層を設けてから、重合に付して、粒子がモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の界面又は該界面近傍に偏って分布している構造を有するポリマー部材を得る工程(i)(以下、単に「工程(i)と称する場合がある)、及び、ポリマー部材のモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の界面又は該界面近傍に偏って分布している粒子をマスクとして、ポリマー部材の粒子が存在しない部分のエッチングを行い、凹部を形成する工程(ii)(以下、単に「工程(ii)と称する場合がある)を含むことを特徴とする。なお、工程(i)のポリマー部材において、ポリマー部材の表面は、成形面に相当し、モノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の面である。また、本願では、重合性モノマーは、ポリマー部材において、粒子含有重合性組成物層により得られるポリマーを形成するモノマー成分を意味する。
[工程(i)]
工程(i)は、工程(ii)でエッチングされるポリマー部材を得る工程である。工程(i)では、ポリマー部材を、重合性モノマーを吸収可能なモノマー吸収層の片面又は両面に、重合性モノマー及び粒子から形成される粒子含有重合性組成物層を設けてから、重合に付すことにより得る。
このようにして得られるポリマー部材は、粒子が、モノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層とは反対側の界面、すなわちポリマー部材の表面又は該表面近傍に偏って分布している構造を有する。従って、ポリマー部材は、表面で微細凹凸構造を有している。
ポリマー部材では、光学部材成形用型として利用される際、少なくとも1層のポリマー部材表面が成形面として用いられる。
ポリマー部材が、このような粒子の偏在構造を有するのは、下記の(a)〜(c)による。
(a)粒子含有重合性組成物層がモノマー吸収層と接する形態で設けられると、粒子含有重合性組成物層中の重合性モノマーがモノマー吸収層に吸収されること
(b)粒子含有重合性組成物層からモノマー吸収層への重合性モノマーの移行により、粒子が移動して、粒子がモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の面又は該面近傍に層状に偏って分布する構造が得られること
(c)重合に付すことにより、上記(b)の粒子の偏在構造を維持しつつ硬化して、ポリマー部材が形成されること
粒子含有重合性組成物層をモノマー吸収層上に設ける方法としては、例えば、重合性モノマー及び粒子を少なくとも含む組成物(粒子含有重合性組成物)をモノマー吸収層上に塗布することや、適当な支持体上に設けられた粒子含有重合性組成物層をモノマー吸収層上に転写することなどが挙げられる。
重合は、粒子含有重合性組成物層が重合・硬化され、ポリマー部材が得られる限り、光源や熱源、照射エネルギーや熱エネルギー、照射方法や加熱方法、照射時間や加熱時間、照射や加熱の開始時期、照射や加熱の終了時期等について、特に制限されることはない。
重合法として光重合を採用する場合に用いられる活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好適である。
活性エネルギー線の照射としては、例えばブラックライトランプ、ケミカルランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどによる紫外線の照射が挙げられる。
また、加熱としては、例えば公知の加熱方法(例えば、電熱ヒーターを用いた加熱方法、赤外線等の電磁波を用いた加熱方法など)が挙げられる。
重合に付す際、空気中の酸素等により重合反応が阻害されるおそれがあることから、カバーフィルムで粒子含有重合性組成物層を覆うことが好ましい。なお、このカバーフィルムは、通常、工程(ii)でエッチングする際には剥がされる。
(モノマー吸収層)
モノマー吸収層は、重合性モノマーの少なくとも一つを吸収可能な層であり、ポリマー部材を構成する。なお、モノマー吸収層は、基材の少なくとも一方の面にモノマー吸収層を有するシート(「基材付きモノマー吸収性シート」と称する場合がある)のモノマー吸収層であってもよい。
モノマー吸収層では、モノマー吸収層上に粒子含有重合性組成物層が設けられると、粒子含有重合性組成物層からモノマー吸収層への重合性モノマーの移行が生じる。本発明では、この重合性モノマーの移行により、粒子が積層直後のモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の面方向への移動し、粒子が積層直後のモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の面の表面又は該表面近傍に偏在した状態で重合に付されることから、ポリマー部材で粒子が表面又は該表面近傍に偏って分布している構造を得ることができる。
モノマー吸収層を形成するものとしては、特に制限されないが、例えば、クラフト紙、クレープ紙、和紙などの紙製シート;布、不織布、ネットなどの繊維系シート;多孔質フィルム;アクリル系ポリマー、エポキシ樹脂、オキセタン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、合成ゴムなどのポリマーが挙げられる。また、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、モノマー吸収層を形成するものとしては、重合性モノマーの移行の生じやすさの点から、ポリマーを好適に用いることができる。つまり、モノマー吸収層としては、ポリマー層が好ましい。
特に、モノマー吸収層を構成するモノマー単位と重合性モノマーとが共通すると、より重合性モノマーの移行が生じやすいことから、下記の粒子含有重合性組成物層を形成する重合性モノマーの少なくとも一種を構成単位とするポリマーが好ましい。
例えば、ポリマー部材において、重合性モノマーの主成分がアクリル系モノマーである場合、モノマー吸収層としてのポリマー層は、アクリル系ポリマー層であることが好ましい。また、モノマー吸収層としてのポリマー層は、粒子含有重合性組成物層を形成する組成物(粒子含有重合性組成物)から粒子を除いたこと以外は同一の組成物により形成されるポリマー層であってもよい。
本発明においては、モノマー吸収層としてのポリマーは、従来公知の重合方法(例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、光重合など)により得ることができる。
モノマー吸収層としてのポリマー層を形成する組成物(「モノマー吸収層形成組成物」と称する場合がある)は、ポリマーに必要に応じて添加剤等が添加された組成物であってもよいし、モノマー混合物又はその部分重合物に、必要に応じて添加剤等が添加された組成物であってもよい。なお、添加剤としては、特に制限されないが、例えば、界面活性剤、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤、重合開始剤、増粘剤などが挙げられる。添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で添加される。
モノマー吸収層としてのポリマー層は、モノマー吸収層形成組成物を適当な支持体(例えば、下記基材、カバーフィルムなど)に塗布して、必要に応じて乾燥や硬化を行うことにより、形成する。
重合性モノマーを吸収する前のモノマー吸収層の厚みとしては、特に制限されず、例えば、1〜3000μmであり、好ましくは2〜2000μm、さらに好ましくは5〜1000μmである。また、モノマー吸収層は、単層、積層のいずれの形態を有していてもよい。
本発明では、モノマー吸収層は、基材付きモノマー吸収性シートのモノマー吸収層であってもよい。工程(i)において、基材付きモノマー吸収性シートを用いると、作業性の点で有利である。基材付きモノマー吸収性シートの基材としては、特に制限されないが、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体[例えば、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など]等の適宜な薄葉体を用いることができる。特に、基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。このようなプラスチックのフィルムやシートにおける素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、基材として、プラスチック系基材が用いられている場合は、延伸処理等により伸び率などの変形性を制御していてもよい。また、基材としては、モノマー吸収層が活性エネルギー線による硬化により形成される場合は、活性エネルギー線の透過を阻害しないものを使用することが好ましい。
基材の表面は、モノマー吸収層との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤や剥離剤等によるコーティング処理等が施されていてもよい。
基材の厚みは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、例えば、一般的には1000μm以下(例えば、1〜1000μm)、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm程度であるが、これらに限定されない。なお、基材は単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
(粒子含有重合性組成物層)
粒子含有重合性組成物層は、重合性モノマー及び粒子から得られる層であり、モノマー吸収層上に設けられてから重合に付される。このように、モノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との積層構造を得た後、重合に付されることから、粒子の偏在構造を有するポリマー部材が得られる。
粒子含有重合性組成物層は、光や熱により重合可能な重合性モノマー及び粒子を少なくとも含む組成物(粒子含有重合性組成物)により形成される層である。
重合性モノマーは、ラジカル重合やカチオン重合などの反応機構を問わず、光エネルギーや熱エネルギーを利用して重合可能な化合物であることが重要である。このような重合性モノマーは、例えば、アクリル系ポリマーを形成するアクリル系モノマー等のラジカル重合性モノマー;エポキシ系樹脂を形成するエポキシ系モノマー、オキセタン系樹脂を形成するオキセタン系モノマー、ビニルエーテル系樹脂を形成するビニルエーテル系モノマー等のカチオン重合性モノマー;ウレタン系樹脂を形成するポリイソシアネートとポリオールとの組み合わせ;ポリエステル系樹脂を形成するポリカルボン酸、ポリオールとの組み合わせ等が挙げられる。なお、重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、ポリマー部材において、工程(ii)でのエッチング速度、及び低価格の点から、粒子含有重合性組成物層を重合に付すことにより得られるポリマーとしてはアクリル系ポリマーが好ましいことから、重合性モノマーとしてはアクリル系モノマーが好適に用いられる。すなわち、粒子含有重合性組成物としては、アクリル系モノマーをモノマー主成分とする粒子含有アクリル系重合性組成物が好ましい。
アクリル系モノマーとしては、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを好適に用いることができる。中でも、アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはアルキル基の炭素数が2〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。なお、上記の「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を表し、他も同様である。
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのいずれも好適に用いることができる。
直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アクリル系モノマーは単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、粒子含有アクリル系重合性組成物では、上記アクリル系モノマーは主成分として用いられることから、その割合は、全モノマー成分に対して60重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上である。
また重合性モノマーとしては、極性基含有モノマーや多官能性モノマーなどの各種の共重合性モノマーが用いられていてもよい。例えば、粒子含有アクリル系重合性組成物に、共重合性モノマーを用いることにより、例えば、ポリマーの凝集力を高めたりすることができる。共重合性モノマーは単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、共重合性モノマーの使用量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限されない。
前記極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどの水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、上記の中でも、カルボキシル基含有モノマー又はその無水物が好適である。
前記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
また、上記の極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の共重合性単量体としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
工程(i)において、重合に付して、ポリマー部材を形成する際には、粒子の偏在構造を維持しつつ、短時間でスムーズに重合させる必要があることから、熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を用いた熱や活性エネルギー線による硬化反応を利用することが好ましい。特に、厚手のものの得やすさや作業性の点からは、光重合開始剤を用いた活性エネルギー線による硬化反応を利用することが好ましい。このため、粒子含有重合性組成物には、重合開始剤(例えば熱重合開始剤や光重合開始剤など)が含まれていることが好ましい。
光重合開始剤としては、特に制限されず、例えばベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。光重合開始剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
具体的には、ケタール系光重合開始剤には、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン[例えば、商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)など]等が含まれる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[例えば、商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)など]、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、商品名「ルシリンTPO」(BASF社製)などが使用できる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、粒子含有重合性組成物を構成する全モノマー成分100重量部に対して0.01〜5重量部(好ましくは0.05〜3重量部)の範囲から選択することができる。
なお、熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤[例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど]、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤(例えば有機過酸化物/バナジウム化合物;有機過酸化物/ジメチルアニリン;ナフテン酸金属塩/ブチルアルデヒド、アニリンあるいはアセチルブチロラクトン等の組み合わせなど)などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。なお、レドックス系重合開始剤を熱重合開始剤として用いれば、常温で重合させることが可能である。
粒子としては、特に制限されないが、例えば、シリカ、シリコーン(シリコーンパウダー)、炭酸カルシウム、クレー、酸化チタン、タルク、層状ケイ酸塩、粘土鉱物、金属粉(例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、鉄などの金属の粉末)、ガラス、ガラスビーズ、ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックバルーン、チタン白、カーボンブラックなどの無機粒子などが挙げられる。なお、粒子は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子の粒径(平均粒子径)としては、特に制限されないが、得ようとする光学部材の設計に応じて、適宜、選択する。
粒子の形状は、真球状や楕円球状などの球状、不定形状、針状、棒状、平板状などのいずれの形状であってもよい。また、粒子は、その表面に、孔や突起などを有していてもよい。一般的には、粒子は、表面の凹凸構造の形状が揃いやすい真球状や真球状に近い高球形度のものが好ましい。また、粒子は、1種の形状のみを選択して用いてもよいし、形状の異なる粒子を2種以上組み合わせて用いてもよい。
なお、粒子の表面には、各種表面処理(例えば、シリコーン系化合物やフッ素系化合物等による低表面張力化処理など)が施されていてもよい。
粒子の含有量としては、特に制限されず、例えば粒子含有重合性組成物を構成する全モノマー成分100重量部に対して、光学部材成形用型の成形面で微細な凹凸形状を得る観点から、30〜70重量部が好ましい。70重量部を超えると、粒子が脱落するおそれがある。一方、30重量部未満であると、光学設計に応じた微細な凹凸形状を形成しにくい傾向がある。
なお、ポリマー部材中の粒子は、粒子含有ポリマー層の表面又は該表面近傍に層状形態で偏って分布している。このような粒子が分布する部分(前記層状分布部分)の厚みは、粒子の使用量を調整することにより制御することができる。
粒子含有重合性組成物には、必要に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤(例えば、イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(顔料や染料など)などが挙げられる。
粒子含有重合性組成物は、上記各成分均一に混合・分散させることにより調製することができる。この粒子含有重合性組成物は、通常、シート状に成形されるので、塗布作業に適した適度な粘度を持たせておくのがよい。粒子含有重合性組成物の粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマーを配合することや、粒子含有重合性組成物中の重合性モノマーを光の照射や加熱などにより一部重合させることにより調整することができる。なお、望ましい粘度は、BH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数10rpm、測定温度:30℃の条件で設定された粘度として、5〜50Pa・s、より好ましくは10〜40Pa・sである。粘度が5Pa・s未満であると、塗布したときに液が流れてしまい、50Pa・sを超えていると、粘度が高すぎて塗布が困難となる。
(カバーフィルム)
カバーフィルムとしては、酸素を透過し難い薄葉体であれば特に制限されないが、光重合反応を用いる場合は透明なものが好ましい。このようなカバーフィルムとしては、例えば慣用の剥離紙などを使用することができる。具体的には、カバーフィルムとしては、例えば離型処理剤(剥離処理剤)による離型処理層(剥離処理層)を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。なお、低接着性基材では、両面が離型面として利用することができ、一方、離型処理層を有する基材では、離型処理層表面を離型面(離型処理面)として利用することができる。
カバーフィルムとしては、例えば、カバーフィルム用基材の少なくとも一方の面に離型処理層が形成されているカバーフィルム(離型処理層を有する基材)を用いてもよいし、カバーフィルム用基材をそのまま用いてもよい。
このようなカバーフィルム用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)等が挙げられる。カバーフィルム用基材としては、透明性の高いプラスチック系基材フィルム(特に、ポリエチレンテレフタレートフィルム)が用いられたカバーフィルム用基材を好適に用いることができる。
離型処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系離型処理剤、フッ素系離型処理剤、長鎖アルキル系離型処理剤などを用いることができる。離型処理剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。なお、離型処理剤により離型処理が施されたカバーフィルムは、例えば、公知の形成方法により、形成される。
カバーフィルムの厚みは、特に制限されないが、取り扱い易さと経済性の点から、例えば、12〜250μm(好ましくは、20〜200μm)の範囲から選択することができる。なお、カバーフィルムは単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
(ポリマー部材)
工程(i)のポリマー部材は、モノマー吸収層の片面又は両面に、粒子含有重合性組成物層を設けてから、重合に付すことにより得られる部材であり、粒子が、ポリマー部材の表面又は該表面近傍に偏って分布している構造を有している部材である。
図1は、工程(i)で得られるポリマー部材の一例を示す概略断面図である。図1において、1はポリマー部材であり、2は粒子である。
工程(ii)では、該ポリマー部材の粒子の偏在構造が生じている表面でエッチング加工が施される。
なお、ポリマー部材において、粒子は、内部に粒子全体が包含される形態で存在していてよいし、粒子の一部分が層外に露出する形態(例えば、粒子の頭が層外に現れる形態など)で存在していてもよい。
ポリマー部材は、このような構造を有しているので、表面において粒子に起因する微細な凹凸構造を有する。
また、ポリマー部材の表面又は該表面近傍では、ポリマーと粒子とが混在している。
[工程(ii)]
工程(ii)では、工程(i)で作製したポリマー部材の該ポリマー部材の粒子の偏在構造が生じている表面(粒子による微細凹凸構造が生じている表面)側からエッチングを行うことにより、凹部(穴部)を形成する。具体的には、ポリマー部材の表面又は該表面近傍の粒子をマスクとして、ポリマー部材の粒子が存在しない部分、すなわちポリマー部分のエッチングを行い、凹部を形成する。
工程(ii)では、工程(i)で作製したポリマー部材にエッチング加工が施されることにより凹部が形成され、表面に微細凹凸構造を有する光学部材用成形型が形成される。図2は、このようにして得られる光学部材成形用型の一例を示す概略断面図である。図2において、2は粒子であり、3は光学部材成形用型である。
本発明では、通常、反応性イオンエッチング装置を用いた異方性のドライエッチングにより、穴が開けられる。異方性エッチングでは、粒子の下にまわりこんで幅方向(横方向)へもエッチングが進行する等方性エッチングとは異なり、ポリマー部材の厚み(縦方向)の一方向にのみエッチングが進行するので、光学部材成形用型の凹凸形状の加工に適している。なお、図2の光学部材用成形型3は、工程(i)で得られるポリマー部材(例えば図1のポリマー部材1など)を異方性エッチングすることにより得られる。
異方性ドライエッチングの加工条件(真空度、電力、時間など)は、特に制限されず、エッチング速度に併せて、適宜設定することができる。
エッチングガスとしては、特に制限されず、異方性エッチングに用いられる公知のガスを用いることができる。例えば、CF4、SF6、CF3、O2、Cl2などが挙げられる。
工程(ii)において、エッチング深さは、特に制限されないが、凹凸形状の加工精度の観点から、ポリマー部材に存在する粒子の平均粒径の0.5〜1.5倍である。なお、該エッチング深さは、表面の粒子に加えて、表面近傍の粒子もマスクとなることから、マスク粒子の存在しない部分の最大深さの意味である。
工程(ii)では、ポリマー部材表面の面積の大小にかかわらず、特に面積が大きくても、ポリマー部材表面全体についてポリマー部分のエッチングを行い、凹部を形成することができる。
[光学部材成形用型の製造方法]
本発明の光学部材成形用型の製造方法は、工程(i)及び工程(ii)を含む。本発明では、工程(i)で得られるポリマー部材を、工程(ii)において、表面又はその近傍の粒子をマスクとして、ポリマー部分のエッチングを行っていることから、異物が発生することはなく、微細な凹凸形状を精密に加工することでき、さらには成形面の面積が広い成形型を容易に得ることができる。
[光学部材成形用型]
工程(i)及び工程(ii)を経て得られる光学部材成形用型は、表面に微細な凹凸構造を有する。この光学部材成形用型は、光学部材の成形金型を作製するためのマスター型(母型)となる。
光学部材の成形金型は、公知の方法で作製することができる。例えば、光学部材の成形金型は、(1)光学部材成形用型における微細凹凸構造を有する表面に金属層を形成し、(2)該金属層をマスター型としての光学部材成形用型から剥離することにより得ることができる。
(1)の工程では、金属層は、例えば、電解めっき等によって形成される。金属層の厚さは、成形金型の使用時のハンドリングの点から、通常150〜1000μm程度である。また、金属としては、例えば、ニッケル、銅などが挙げられる。
(1)の工程では、あらかじめ、光学部材成形用型における微細凹凸構造を有する表面上に、金属薄膜を形成させておくことが好ましい。形成された金属薄膜は、電解めっきの際の導体としての役目を果たすためである。このような金属薄膜は、例えば、スパッタリング装置や真空蒸着装置などにより形成される。また、金属薄膜の厚さは、通常、0.01〜1μm程度である。
すなわち、光学部材の成形金型は、前記光学部材成形用型の微細凹凸構造を有する表面に、公知のスパッタリング装置あるいは真空蒸着装置により金属薄膜を形成し、さらに金属膜に通電して電解めっきを行い金属層を形成して、そして該金属層をマスター型から剥離することにより得ることが好ましい。
上記のようにして得られる光学部材の成形金型は、マスター型である光学部材成形用型に対して、凹凸構造が逆転している。
さらに、必要により、このような凹凸構造が逆転している光学部材の成形金型の表面に離型処理(例えば、酸化皮膜の形成など)をした後、電解めっきにより金属層を形成して剥離することにより、マスター型としての光学部材成形用型と同じ凹凸構造を有する光学部材の成形金型を作製することも可能である。
[光学部材]
光学部材は、前記光学部材の成形金型を用いて形成することができる。このため、光学部材は、光学部材の成形金型の凹凸形状が精密に転写された構造を有する。
例えば、光学部材は、樹脂シートと光学部材の成形金型とを重ね合わせてプレス成形することや、光学部材の成形金型に溶融した樹脂を流し込み固化させてから剥離すること等により形成することができる。
樹脂としては、特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレンなどが挙げられる。
光学部材の厚さとしては、特に制限されないが、板状、フィルム状、シート状等の形態を有する場合、50〜500μm程度である。
本発明において、光学部材とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有する部材をいう。光学部材としては、光学的特性を有する部材であれば、特に限定されないが、例えば、マイクロレンズシート、集光シート、光拡散シート、無反射シートなどが挙げられる。また、表示装置(画像表示装置)、入力装置等の機器を構成する部材又はこれらの機器に用いられる部材が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルムなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護フィルム、プリズム、カラーフィルター、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材が挙げられる。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態をも含むものとし、例えば、「偏光板」は「偏光フィルム」、「偏光シート」も含むものとする。
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどが挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネルなどが挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
[ポリマー部材の作製]
(光重合性シロップの調製)
ブチルアクリレート95重量部、アクリル酸5重量部からなるモノマー混合物、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.35重量部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.35重量部を、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、冷却管を備えた4つ口のセパラブルフラスコ中で均一になるまで攪拌した後、窒素ガスによりバブリングを1時間行って溶存酸素を除去した。その後、ブラックライトランプにより紫外線をフラスコ外側より照射して重合し、適度な粘度になった時点でランプを消灯、窒素吹き込みを停止して、重合率が7%の一部が重合した組成物(シロップ状組成物)を得た。
(粒子配合光重合性組成物の調製)
前記光重合性シロップ100重量部に、平均粒径500nmの銅粒子50重量部、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.1重量を加えて、均一に混合し、粒子配合光重合性組成物を得た。
(カバーフィルム)
カバーフィルムは、片面がシリコーン系離型処理剤で離型処理された、厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRN38」三菱化学ポリエステルフィルム社製)を用いた。
(基材付きモノマー吸収性シートの作製)
反応容器に、アクリル酸ブチル:88重量部、アクリル酸:5重量部、シクロヘキシルメタクリレート:5重量部、リン酸エステル誘導体モノマー(商品名「PAM200」ローディア日華社製):2重量部、及び3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(商品名「KBM−503」信越化学工業社製):0.03重量部を加えて混合し、モノマー混合物を調製した。該モノマー混合物:627gに、反応性乳化剤(商品名「アクアロンHS−10」第一工業製薬社製):13g及びイオン交換水:360gを加え、ホモジナイザー(プライミクス社製)を用いて、5分間、5000(1/min)で攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。
次に、冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、調製したモノマープレエマルションのうちの200g、イオン交換水:330gを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換し、2,2−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物(商品名「VA−057」和光純薬工業社製)0.2gを添加して、60℃で1時間重合した。次いで、調製したモノマープレエマルションのうちの800gを、反応容器に3時間かけて滴下し、滴下終了後さらに3時間重合した。その後、窒素置換しながら、60℃で3時間重合し、固形分48%の水分散型アクリルポリマーエマルション溶液を得た。次いで、これを室温(23℃)まで冷却し、10%アンモニア水を添加して、pHを8に調整することにより、水分散型アクリルポリマー組成物を得た。
この水分散型アクリルポリマー組成物を、厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、アクリル系ポリマー層形成後の厚さが27μmとなるように塗布して、熱風乾燥機を用いて130℃で5分間乾燥させることにより、アクリル系ポリマー層を形成させた。そして、該アクリル系ポリマー層上に、離型処理された面が接する形態で上記カバーフィルムを貼り合わせることにより、モノマー吸収層表面が上記カバーフィルムで保護されている基材付きモノマー吸収性シートを得た。
(ポリマー部材の作製)
粒子配合光重合性組成物を、カバーフィルムを剥がしてモノマー吸収層を露出させた基材付きモノマー吸収性シートのモノマー吸収層上に塗布して、塗布層を形成し、該塗布層上にカバーフィルムを貼り合わせて積層体を得た。次に、積層体形成後1分後に、該積層体のカバーフィルム面側及び基材付きモノマー吸収性シートの基材面側の両側から、光源としてブラックライトランプを用い、紫外線(照度:5mW/cm2)を10分間照射し、前記塗布層を光硬化させて、ポリマー部材を得た。なお、該ポリマー部材において、モノマー吸収層と、前記塗布層を光硬化することにより得られた層との積層構造の厚さは、110μmであった。該ポリマー部材では、前記塗布層を光硬化することにより得られた層側のポリマー部材表面又はその表面近傍に銅粒子が図1に示すように偏在していた。
[光学部材成形用型の作製]
得られたポリマー部材の表面又は表面近傍に存在する銅粒子をマスクとして、反応性イオンエッチング装置(装置名「RIE−10NR」サムコ社製)を用いて、下記の条件で、異方性エッチングを行い、深さ500nmの穴(凹部)を形成し、シート状の成形用型(マスター型)を作製した。
(反応性イオンエッチングの条件)
酸素ガス:40sccm
電力:50W
真空度:6.7Pa
時間:40sec
次に、このマスター型表面にスパッタ装置(装置名「CFS−4ES−231」芝浦メカトロニクス社製)でニッケルスパッタリングにより厚み50nmのニッケル薄膜を作製し、その作製したニッケル薄膜上に、電解ニッケルめっき装置(装置名「APE01」ノベルテクノロジー社製)にて厚み150μmのニッケルめっき層を形成し、マスター型から剥離して、光学部材成形用型(光学部材作製用型)を得た。
1 ポリマー部材
2 粒子
3 光学部材成形用型

Claims (3)

  1. 重合性モノマーを吸収可能なモノマー吸収層の少なくとも一方の面に、少なくとも重合性モノマー及び粒子から形成される粒子含有重合性組成物層を設けてから、重合に付して、粒子がモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の界面又は該界面近傍に偏って分布している構造を有するポリマー部材を得る工程(i)、及び、ポリマー部材のモノマー吸収層と粒子含有重合性組成物層との界面とは反対側の界面又は該界面近傍の粒子をマスクとして、粒子が存在しない部分のエッチングを行い、凹部を形成する工程(ii)を含むことを特徴とする光学部材成形用型の製造方法。
  2. 前記粒子が無機物である請求項1記載の光学部材成形用型の製造方法。
  3. 前記粒子が金属である請求項1記載の光学部材成形用型の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015136830A (ja) * 2014-01-21 2015-07-30 綜研化学株式会社 インプリント用モールドの製造方法

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