液晶表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)に比べて薄くて軽量であり、低電圧で駆動できて消費電力が小さいという利点がある。そのため、液晶表示装置は、テレビ受像機、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)、ディスクトップ型PC、PDA(携帯端末)及び携帯電話など、種々の電子機器に使用されている。
一般的に、液晶表示装置は、2枚の基板と、これらの基板間に封入された液晶とにより構成されている。一方の基板には画素毎に画素電極及び薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTという)等が形成され、他方の基板にはカラーフィルタと、各画素共通のコモン(共通)電極とが形成されている。以下、画素電極及びTFTが形成された基板をTFT基板と呼び、TFT基板に対向して配置される基板を対向基板と呼ぶ。また、TFT基板と対向基板との間に液晶を封入してなる構造物を液晶パネルと呼ぶ。
従来は、2枚の基板間に水平配向型液晶(誘電率異方性が正の液晶)を封入し、液晶分子をツイスト配向させるTN型(Twisted Nematic )型液晶表示装置が広く使用されていた。しかし、TN型液晶表示装置には視野角特性が悪く、画面を斜め方向から見たときにコントラストや色調が大きく変化するという欠点がある。このため、視野角特性が良好なMVA(Multi-domain Vertical Alignment )型液晶表示装置が開発され、実用化されている。
ところで、従来のMVA型液晶表示装置では、画面を斜め方向から見たときに白っぽくなる現象が発生する。図1は、横軸に印加電圧(V)をとり、縦軸に透過率をとって、画面を正面から見たときのT−V(透過率−電圧)特性と、上60°の方向から見たときのT−V特性とを示す図である。この図1に示すように、しきい値電圧よりも若干高い電圧を画素電極に印加したとき(図中丸で囲んだ部分)には、斜め方向から見たときの透過率が正面から見たときの透過率よりも高くなる。また、印加電圧がある程度高くなると、斜め方向から見たときの透過率は、正面から見たときの透過率よりも低くなる。このため、斜め方向から見たときには赤色画素、緑色画素及び青色画素の輝度差が小さくなり、その結果前述したように画面が白っぽくなる現象が発生する。この現象は、白茶け(Wash out)と呼ばれている。白茶けは、MVA型液晶表示装置だけでなく、TN型液晶表示装置でも発生する。
米国特許第4840460号の明細書には、1つの画素を複数の副画素に分割し、それらの副画素を容量結合したTN型液晶表示装置が提案されている。このような液晶表示装置では、各副画素の容量比によって電位が分割されるため、各副画素に相互に異なる電圧を印加することができる。従って、見かけ上、1つの画素にT−V特性のしきい値が異なる複数の領域が存在することになる。このように1つの画素にT−V特性のしきい値が異なる複数の領域が存在すると、それらの領域のT−V特性が平均化されて、正面から見たときの透過率よりも斜め方向から見たときの透過率が高くなる現象が抑制される。その結果、斜め方向から見たときに画面が白っぽくなる現象(白茶け)も抑制される。このように1つの画素をT−V特性が相互に異なる複数の領域に分割して表示特性を改善する方法は、HT(ハーフトーングレースケール)法と呼ばれている。
図2はHT法を実現する従来の液晶表示装置の一例を示す平面図、図3は図2のI−I線による断面図である。なお、図2は、液晶表示装置の1画素分の領域を示している。
TFT基板のベースとなるガラス基板51の上には、水平方向(X方向)に伸びる複数のゲートバスライン52と、垂直方向(Y方向)に伸びる複数のデータバスライン55とが形成されている。これらのゲートバスライン52及びデータバスライン55により区画される矩形の領域がそれぞれ画素領域である。また、ガラス基板51の上には、ゲートバスライン52と平行に配置され、各画素領域の中央を横断する補助容量バスライン53が形成されている。
ゲートバスライン52及び補助容量バスライン53とデータバスライン55との間には第1の絶縁膜54が形成されており、この第1の絶縁膜54によりゲートバスライン52及び補助容量バスライン53とデータバスライン55との間が電気的に分離されている。
各画素領域には、TFT56と、制御電極57と、補助容量電極58と、副画素電極61a,61bとが形成されている。この例では、図2に示すように、TFT56はゲートバスライン52の一部をゲート電極としている。また、図3に示すように、TFT56の活性層となる半導体膜56aはゲートバスライン52の上方に形成されており、この半導体膜56aの上にはチャネル保護膜56bが形成されている。
図2に示すように、TFT56のドレイン電極56dはデータバスライン55に接続しており、ソース電極56sはゲートバスライン52を挟んでドレイン電極56dに対向する位置に配置されている。また、補助容量電極58は第1の絶縁膜54を挟んで補助容量バスライン53に対向する位置に形成されている。更に、制御電極57は、配線59を介してソース電極56sと補助容量電極58とに電気的に接続されている。
これらのデータバスライン55、TFT56、制御電極57、補助容量電極58及び配線59は第2の絶縁膜60に覆われており、副画素電極61a,61bは第2の絶縁膜60の上に形成されている。副画素電極61aは、第2の絶縁膜60を挟んで制御電極57(配線59のうち副画素電極61aの下方の部分を含む)と容量結合している。また、副画素電極61bは、第2の絶縁膜60に形成されたコンタクトホール60aを介して補助容量電極58と電気的に接続している。副画素電極61a,61bの表面は配向膜62に覆われている。
一方、図3に示すように、対向基板のベースとなるガラス基板71の一方の面側(図3では下側)にはカラーフィルタ72が形成されており、このカラーフィルタ72の上(図3では下側)にはコモン電極73が形成されている。このコモン電極73の表面は配向膜74により覆われている。
これらのTFT基板及び対向基板はスペーサ(図示せず)を挟んで配置され、TFT基板と対向基板との間には液晶80が封入されて液晶パネルとなっている。この液晶パネルの厚さ方向の両側には偏光板が配置されており、駆動回路及びバックライト(いずれも図示せず)が取り付けられて液晶表示装置となっている。
このように構成された液晶表示装置において、ゲートバスライン52に供給される走査信号がアクティブ(“1”)になるとTFT56がオンになり、データバスライン55に供給された表示信号が制御電極57及び副画素電極61bに伝達される。制御電極57に供給された表示信号は、容量結合を介して副画素電極61aに伝達される。この場合、副画素電極61aの電圧は、副画素電極61bの電圧よりも容量結合の分だけ低い値となる。従って、見かけ上、1つの画素領域にT−V特性が相互に異なる2つの領域が存在しており、斜め方向から見たときに画面が白っぽくなる現象が抑制される。
しかしながら、図2に示す従来の液晶表示装置では、フォトリソグラフィ工程で制御電極57及び配線59のサイズのばらつきが発生すると、制御電極57(配線59のうち副画素電極61aの下方の部分を含む)と副画素電極61aとの間の容量値が変化するため表示むらが発生するという問題点がある。
また、図2に示す従来の液晶表示装置では、焼き付きが発生するという問題点もある。例えば、画面全体に白黒のチェッカーパターンを一定時間連続して表示した後に中間階調表示を行うと、焼き付きによりチェッカーパターンが薄く見えてしまう。
通常、液晶表示装置の焼き付きは、ゲートバスライン及びデータバスライン等に流れる信号に直流電圧成分が存在することと、白表示時と黒表示時とで液晶層のCR値(液晶容量及び液晶抵抗の値)が変化することとが原因で発生する。以下に、図2,図3に示すような液晶表示装置で焼き付きが発生する理由について説明する。
図4はHT法を実現する液晶表示装置の1画素を示す平面図であり、図5(a)は図4のII−II線の位置における模式断面図、図5(b)は図4のIII −III 線の位置における模式断面図、図5(c)は図4のIV−IV線の位置における模式断面図、図5(d)は図4のV−V線の位置における模式断面図である。
図4に示す液晶表示装置においては、図5(a)に示すように、副画素電極61aとコモン電極73との間に、CLC2 とRLC2 とが並列に接続されているとみなすことができる。ここで、CLC2 は副画素電極61aとコモン電極73との間の容量であり、RLC2 は副画素電極61aとコモン電極73との間の抵抗である。
また、副画素電極61aとゲートバスライン52との間にも、Cgpx2とRgoffとが並列に接続されているとみなすことができる。ここで、Cgpx2は副画素電極61aとゲートバスライン52との間の容量であり、Rgoffは副画素電極61aとゲートバスライン52との間の抵抗である。
一方、副画素電極61bとコモン電極73との間にも、図5(b)に示すように、CLC1 とRLC1 とが並列に接続されているとみなすことができる。ここで、CLC1 は副画素電極61bとコモン電極73との間の容量であり、RLC1 は副画素電極61bとコモン電極73との間の抵抗である。
また、副画素電極61bとゲートバスライン52との間には、Cgpx1とRgpx1とが並列に接続されているとみなすことができる。ここで、Cgpx1は副画素電極61bとゲートバスライン52との間の容量であり、Rgpx1は副画素電極61bとゲートバスライン52との間の抵抗である。
ゲートバスライン52には、1垂直同期期間(1フィールド期間)の殆どの時間(走査信号が非アクティブの期間)、TFT56をオフ状態に維持するために−5〜−10V程度の直流電圧(Vgoff)が印加される。この直流電圧に応じた電荷が、容量Cgpx2と抵抗Rgoff、又は容量Cgpx1と抵抗Rgpx1とを介して副画素電極61a,61bに蓄積される。
通常、各ゲートバスライン52に供給される走査信号は、1垂直同期期間毎に1回づつ順番にアクティブになるので、このときTFT56がオンになって副画素電極61bとデータバスライン55とが電気的に接続される。このため、副画素電極61bでは、TFT56がオフの期間に蓄積された電荷がデータバスライン55に流れ、直流電圧成分は残留しない。一方、副画素電極61aでは、TFT56がオンになっても副画素電極61aに蓄積された電荷はそのまま保持される。このため、副画素電極61aには直流電圧成分が残留する。
また、図5(c)に示すように、副画素電極61aとデータバスライン55との間には、Cdpx2とRdpx2とが並列に接続されているとみなすことができる。ここで、Cdpx2は副画素電極61aとデータバスライン55との間の容量であり、Rdpx2は副画素電極61aとデータバスライン55との間の抵抗である。
更に、図5(d)に示すように、副画素電極61bとデータバスライン55との間にも、Cdpx1とRdpx1とが並列に接続されているとみなすことができる。ここで、Cdpx1は副画素電極61bとデータバスライン55との間の容量であり、Rdpx1は副画素電極61bとデータバスライン55との間の抵抗である。
データバスライン55には、フィールドスルー電圧を補償するために、コモン電極73の電位に対し1〜2V程度高い直流電圧を表示信号(交流信号)に重畳させている。この直流電圧に応じた電荷も、容量Cdpx2と抵抗Rdpx2、又は容量Cdpx1と抵抗Rdpx1とを介して副画素電極61a,61bに蓄積される。
前述したように、1垂直同期期間毎に1回づつTFT56がオンになって、副画素電極61bとデータバスライン55とが電気的に接続される。このとき、副画素電極61bに蓄積された電荷がデータバスライン55に流れ、副画素電極61bには直流電圧成分が残留しない。一方、副画素電極61aでは、TFT56がオンになっても、副画素電極61aに蓄積された電荷はそのまま保持される。このため、副画素電極61aには直流電圧成分が残留する。
このように、TFT56を介して一定の周期でデータバスライン55に電気的に接続される副画素電極61bでは直流電圧成分の蓄積は殆どないのに対し、制御電極57と容量結合した副画素電極61aでは電荷が蓄積されて直流電圧成分が残留する。
次に、副画素電極61aに蓄積された電荷と焼き付きとの関係について説明する。
副画素電極61aの面積をS、セル厚をdとすると、副画素電極61aとコモン電極73との間の容量(液晶容量)CLC2 は、CLC2 =ε(S/d)で表される。ここで、εは液晶の誘電率である。液晶分子が基板面に垂直に配向しているときの誘電率と水平に配向しているときの誘電率とは異なるため、チェッカーパターンの白部分を表示している画素と黒部分を表示している画素では液晶容量の値が異なり、その結果液晶層に印加される直流電圧成分の値も異なる。チェッカーパターンの表示から中間階調の表示に切り替えても液晶層に残留する直流電圧成分は直ぐには変化しないため、白を表示していた画素と黒を表示していた画素とでは液晶層に印加される電圧が異なる。このため、白を表示していた画素と黒を表示していた画素とでは光の透過率が異なり、焼き付きが発生する。なお、このような原因で発生した焼き付きは副画素電極と制御電極及びコモン電極との間の時定数に応じた時間で減少するが、表示品質を向上させるためには焼き付きをできるだけ少なくすることが必要である。
以上から、本発明の目的は、白茶けが抑制されるとともに表示むらや焼き付きの発生を回避できて、表示品質が良好な液晶表示装置を提供することである。
上記した課題は、相互に対向して配置された第1の基板及び第2の基板と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間に封入された液晶とにより構成され、マトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置において、各画素に走査信号を供給する複数のゲートバスラインと、各画素に表示信号を供給する複数のデータバスラインと、各画素毎に形成された第1及び第2の副画素電極と、各画素毎に形成されたバッファ容量と、n番目(nは整数)のゲートバスラインの走査信号により駆動され、オンの期間にm番目(mは整数)のデータバスラインの表示信号をn行m列目の画素の前記第1の副画素電極に伝達する第1のトランジスタと、前記n番目のゲートバスラインの走査信号により駆動され、オンの期間に前記m番目のデータバスラインの表示信号を前記n行m列目の画素の前記第2の副画素電極に伝達する第2のトランジスタと、前記n行m列目の画素の前記第1の副画素電極と前記バッファ容量との間に接続され、n+1番目のゲートバスラインの走査信号により駆動される第3のトランジスタとを有し、前記バッファ容量が、前記第3のトランジスタのドレインと一体的に形成された第1の容量電極と、絶縁膜を介して前記第1の容量電極に対向する位置に形成された第2の容量電極とにより構成され、前記第2の容量電極が、m+1番目のデータバスラインに接続されていることを特徴とする液晶表示装置により解決する。
また、上記した課題は、相互に対向して配置された第1の基板及び第2の基板と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間に封入された液晶とにより構成され、マトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置において、各画素に走査信号を供給する複数のゲートバスラインと、各画素に表示信号を供給する複数のデータバスラインと、各画素毎に形成された第1及び第2の副画素電極と、各画素毎に形成されたバッファ容量と、n番目(nは整数)のゲートバスラインの走査信号により駆動され、オンの期間にm番目(mは整数)のデータバスラインの表示信号をn行m列目の画素の前記第1の副画素電極に伝達する第1のトランジスタと、前記n番目のゲートバスラインの走査信号により駆動され、オンの期間に前記m番目のデータバスラインの表示信号を前記n行m列目の画素の前記第2の副画素電極に伝達する第2のトランジスタと、前記n行m列目の画素の前記第1の副画素電極と前記バッファ容量との間に接続され、n+1番目のゲートバスラインの走査信号により駆動される第3のトランジスタとを有し、前記バッファ容量が、前記第3のトランジスタのドレインと一体的に形成された第1の容量電極と、絶縁膜を介して前記第1の容量電極に対向する位置に形成された第2の容量電極とにより構成され、前記第2の容量電極が、前記m番目のデータバスラインに接続されていることを特徴とする液晶表示装置により解決する。
更に、上記した課題は、相互に対向して配置された第1の基板及び第2の基板と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間に封入された液晶とにより構成され、マトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置において、各画素に走査信号を供給する複数のゲートバスラインと、各画素に表示信号を供給する複数のデータバスラインと、各画素毎に形成された第1及び第2の副画素電極と、各画素毎に形成されたバッファ容量と、n番目(nは整数)のゲートバスラインの走査信号により駆動され、オンの期間にm番目(mは整数)のデータバスラインの表示信号をn行m列目の画素の前記第1の副画素電極に伝達する第1のトランジスタと、前記n番目のゲートバスラインの走査信号により駆動され、オンの期間に前記m番目のデータバスラインの表示信号を前記n行m列目の画素の前記第2の副画素電極に伝達する第2のトランジスタと、前記n行m列目の画素の前記第1の副画素電極と前記バッファ容量との間に接続され、n+1番目のゲートバスラインの走査信号により駆動される第3のトランジスタとを有し、前記ゲートバスライン、前記データバスライン、前記第1の副画素電極、前記第2の副画素電極、並びに前記第1、第2及び第3のトランジスタがいずれも前記第1の基板上に形成され、前記第2の基板には各画素の前記第1の副画素電極及び前記第2の副画素電極に対向するコモン電極が形成され、前記バッファ容量が、前記第1の基板に形成された容量電極と、前記コモン電極と、それらの間の液晶とにより構成されることを特徴とする液晶表示装置により解決する。
本発明の液晶表示装置においては、画素毎に、第1の副画素電極と、第2の副画素電極と、バッファ容量と、第1〜第3のトランジスタとを有している。第1の副画素電極は第1のトランジスタ及び第3のトランジスタに接続され、第2の副画素電極は第2のトランジスタに接続されている。また、バッファ容量は、第3のトランジスタと、例えばn+1番目のゲートバスライン、m番目のデータバスライン、m+1番目のデータバスライン又はコモン電極との間に接続されている。ここでは、説明を簡単にするために、バッファ容量が第3のトランジスタとn+1番目のゲートバスラインとの間に接続されているものとする。
第1及び第2のトランジスタは、n番目のゲートバスラインに供給される走査信号がアクティブになるとオンになり、第1の副画素電極及び第2の副画素電極にそれぞれ表示信号が伝達される。その後、n番目のゲートバスラインに供給される走査信号が非アクティブになって第1及び第2のトランジスタはオフになるが、このとき第1の副画素電極及び第2の副画素電極には同じ電圧が保持される。
次に、n+1番目のゲートバスラインに供給される走査信号がアクティブになって第3のトランジスタがオンになると、n+1番目のゲートバスラインからバッファ容量及び第3のトランジスタを介して第1の副画素電極に電荷が注入され、第1の副画素電極の電圧が若干変化する。これにより、第1の副画素電極と第2の副画素電極との電圧が異なり、前述のHT法と同様に、見かけ上1つの画素領域にT−V特性が相互に異なる2つの領域が存在していることになり、画面を斜め方向から見たときに白っぽくなる現象(白茶け)が抑制される。
バッファ容量をn番目のゲートバスラインに接続する替りに、m番目のデータバスライン、m+1番目のデータバスライン又はコモン電極に接続した場合も、n+1番目のゲートバスラインの走査信号がアクティブになると、第1の副画素電極の電圧が変化する。これにより、画面を斜め方向から見たときに白っぽくなる現象(白茶け)が抑制される。
また、本発明おいては、n番目のゲートバスラインに供給される走査信号がアクティブになると、第1の副画素電極及び第2の副画素電極がいずれもデータバスラインに接続されるため、第1及び第2のトランジスタがオフの期間にゲートバスライン及びデータバスラインに流れる信号に起因して第1の副画素電極及び第2の副画素電極に蓄積された直流電圧成分の電荷が、第1及び第2のトランジスタを介してデータバスラインに流れる。これにより、焼き付きの発生を防止することができる。
なお、特開2002−333870号公報には、1画素内に複数の副画素電極と複数のトランジスタとを有する液晶表示装置が記載されている。しかし、この特開2002−333870号公報に記載された液晶表示装置は、デジタル/アナログ変換回路を設けることなくデジタルの画像信号に基づいて階調表示を行うものであり、各副画素電極にはデジタル値に応じた電圧が個別に印加される。従って、特開2002−333870号公報に記載された液晶表示装置では、本発明の液晶表示装置と異なり、白茶けを抑制することはできない。
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図6は、本発明の第1の実施の形態の液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。なお、本実施形態は、本発明をMVA(Multi-domain Vertical Alignment )型液晶表示装置に適用した例を示している。
本実施形態の液晶表示装置100は、制御回路101、データドライバ102、ゲートドライバ103及び液晶パネル104により構成されている。この液晶表示装置100には、コンピュータ等の外部装置(図示せず)からデジタル表示信号RGB、水平同期信号Hsync及び垂直同期信号Vsync等の信号が供給される。
液晶パネル104には、複数の画素105がマトリクス状に配列されている。また、液晶パネル104には、垂直方向に伸びる複数のデータバスライン115と、水平方向に伸びる複数のゲートタバスライン111とが設けられている。本実施形態の液晶表示装置においては、ゲートバスライン111及びデータバスライン115が各画素105の境界となっている。画素105の詳細については後述する。
制御回路101は、水平同期信号Hsync及び垂直同期信号Vsyncを入力し、1水平同期期間の開始時にアクティブになるデータスタート信号DSI と、1水平同期期間を一定の間隔に分割するデータクロックDCLKと、1垂直同期期間の開始時にアクティブになるゲートスタート信号GSI と、1垂直同期期間を一定の間隔に分割するゲートクロックGCLKとを出力する。
データドライバ102は、外部装置から入力したデジタル表示信号RGBをアナログ表示信号に変換し、制御回路101から入力したデータスタート信号DSI 及びデータクロックDCLKに基づくタイミングで1水平同期期間毎に各データバスライン115にアナログ表示信号を供給する。このアナログ表示信号は、例えば1フレーム(1垂直同期期間)毎に極性が反転する交流信号である。
一方、ゲートドライバ103は、制御回路101から入力したゲートスタート信号GSI 及びゲートクロックGCLKに基づいて、1垂直同期期間内に、各ゲートバスライン111に供給する走査信号を順番にアクティブにする。走査信号が非アクティブのときの電圧は−5〜−10V程度であり、アクティブのときの電圧は15〜30V程度である。
図7は本実施形態の液晶表示装置の1画素を示す平面図、図8は図7のVI−VI線の位置における断面図、図9は図7のVII −VII 線の位置におけるTFT基板の断面図である。なお、図9では配向膜の図示を省略している。
図8に示すように、液晶パネル104は、TFT基板110と、対向基板130と、それらの間に封入された誘電率異方性が負の液晶140とにより構成されている。液晶パネル104の裏面側(図8では下側)には第1の偏光板141aが配置され、前面側(図8では上側)には第2の偏光板141bが配置されている。これらの偏光板141a,141bは、吸収軸が相互に直交するように配置されている。また、液晶パネル104の裏面側には、バックライト(図示せず)が配置されている。
TFT基板110には、図7に示すように、水平方向に伸びる複数のゲートバスライン111と、垂直方向に伸びる複数のデータバスライン115とが形成されている。これらのゲートバスライン111及びデータバスライン115により区画される矩形の領域がそれぞれ画素領域である。また、TFT基板110には、ゲートバスライン111に平行に配置されて画素領域の中央を横断する補助容量バスライン112が形成されている。
ゲートバスライン111及び補助容量バスライン112はTFT基板110のベースとなるガラス基板110aの上に形成されている。これらのゲートバスライン111及び補助容量バスライン112の上には第1の絶縁膜113が形成されており、データバスライン115は第1の絶縁膜113の上に形成されている。
更に、TFT基板110には、各画素領域毎に、TFT116,117,118と、補助容量電極120と、副画素電極122a,122bと、バッファ容量下部電極111bと、バッファ容量上部電極118cとが形成されている。本実施形態では、図7に示すように、TFT116,117はn(nは整数)番目のゲートバスライン111の一部をゲート電極としており、TFT118はn+1番目のゲートバスライン111から伸びる配線111aをゲート電極としている。また、バッファ容量下部電極111bは、n+1番目のゲートバスライン111に接続している。
ゲートバスライン111及び配線111aの所定の領域の上方にはTFT116,117,118の活性層となる半導体膜(シリコン膜等)114aが形成されており、それらの半導体膜114aのチャネルとなる領域の上にはチャネル保護膜114b,114cが形成されている。TFT116のドレイン電極116a及びソース電極116bはチャネル保護膜114bを挟んで相互に対向する位置に配置されており、これと同様にTFT117のドレイン電極117a及びソース電極117bもチャネル保護膜114bを挟んで相互に対向する位置に配置されている。また、TFT118のドレイン電極118a及びソース電極118bは、チャネル保護膜114cを挟んで相互に対向する位置に配置されている。更に、TFT116,117のドレイン電極116a,117aはいずれもm番目(mは整数)のデータバスライン115に接続されている。
補助容量電極120は第1の絶縁膜113を挟んで補助容量バスライン112に対向する位置に配置されている。補助容量電極120と、補助容量バスライン112と、それらの間の第1の絶縁膜113とにより、補助容量を構成している。この補助容量電極120は、配線119を介してTFT116のソース電極116bに接続されている。
また、バッファ容量上部電極118cは、第1の絶縁膜113を挟んでバッファ容量下部電極111bに対向する位置に配置され、TFT118のドレイン電極118aと接続されている。このバッファ容量上部電極118cと、バッファ容量下部電極111bと、それらの間の第1の絶縁膜113とによりバッファ容量126を構成している。
データバスライン115、TFT116,117,118、配線119、補助容量電極120及びバッファ容量上部電極118cの上には第2の絶縁膜121が形成されており、この第2の絶縁膜121の上に副画素電極122a,122bが形成されている。副画素電極122a,122bはITO(Indium-Tin Oxide)等の透明導電体により形成されており、スリット124により相互に分離されている。スリット124はデータバスライン115に対し斜め方向に伸びる部分とデータバスライン115に平行に伸びる部分とを有し、且つゲートバスライン111に平行な画素の中心線を軸として上下対称に形成されている。このスリット124は、電圧印加時に液晶分子が倒れる方向を制御する配向制御用構造物として機能する。
副画素電極122aは第2の絶縁膜121に形成されたコンタクトホール121a,121cを介してTFT117のソース電極117b及びTFT118のソース電極118bに電気的に接続されている。また、副画素電極122bは、第2の絶縁膜121に形成されたコンタクトホール121bを介して補助容量電極120に電気的に接続されている。これらの副画素電極122a,122bの上には、ポリイミド等からなる垂直配向膜125が形成されている。
一方、対向基板130は、図8に示すように、ベースとなるガラス基板130aと、ガラス基板130aの一方の面側(図8では下側)に形成されたブラックマトリクス(遮光膜)131、カラーフィルタ132、コモン電極133及び突起134とにより構成されている。ブラックマトリクス131は、TFT基板110側のゲートバスライン111、データバスライン115及びTFT116,117,118に対向する位置に配置されている。ブラックマトリクス131の幅は、ゲートバスライン111及びデータバスライン115の幅よりも若干広く設定されている。
カラーフィルタ132には赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3種類があり、各画素毎に赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のいずれか一色のカラーフィルタ132が配置されている。本実施形態では、水平方向に隣接する赤色画素、緑色画素及び青色画素の3つにより1つのピクセルを構成し、種々の色の表示を可能としている。
カラーフィルタ132の表面は、ITO等の透明導電体からなるコモン電極133により覆われている。そして、図8に示すように、コモン電極133上(図8では下側)には配向制御用構造物として土手状の突起134が形成されている。この突起134は例えばフォトレジスト等の誘電体材料により形成され、図7に二点鎖線で示すように、スリット124から離れた位置に、スリット124にほぼ平行に配置されている。コモン電極133及び突起134の表面は、ポリイミドからなる垂直配向膜135に覆われている。
以下、本実施形態の液晶表示装置の動作について説明する。但し、ここでは図7に示すn行m列目の画素の動作について説明している。初期状態(副画素電極122a,122bに電圧が印加されていない状態)では、液晶分子は配向膜125,135の表面に対し垂直な方向に配向している。
本実施形態の液晶表示装置において、n番目のゲートバスライン111に供給される走査信号がアクティブになると、TFT116,117がオンになって、m番目のデータバスライン115に供給された表示信号が補助容量電極120及び副画素電極122a,122bに伝達される。その後、走査信号が非アクティブになってTFT116,117がオフになると、副画素電極122a,122bには表示信号に応じた電圧が保持される。そして、液晶分子は、副画素電極122a,122bの電圧に応じた角度で傾斜し、液晶分子の傾斜角度に応じた量の光が画素を透過する。この場合、スリット124及び突起134の両側では液晶分子の倒れる方向が逆となり、いわゆる配向分割(マルチドメイン)が達成されて、良好な視野角特性が得られる。
次に、n+1番目のゲートバスライン111に供給される走査信号がアクティブになると、TFT118がオンになり、副画素電極122aにはn+1番目のゲートバスライン111からバッファ容量126及びTFT118を介して電荷が注入される。これにより、副画素電極122aの電圧が副画素電極122bの電圧よりも若干高くなる。その結果、前述のHT法と同様に、1画素内にT−V特性が相互に異なる2つの領域(副画素電極122aが配置された領域と副画素電極122bが配置された領域)が存在することになり、斜め方向から見たときに画面が白っぽくなる現象(白茶け)が抑制される。なお、副画素電極122aの電圧上昇量は、表示信号の電圧とバッファ容量126の容量値とに依存する。
図2に示す従来の液晶表示装置では、制御電極57(配線59のうち副画素電極61aの下方の部分を含む)と副画素電極61aとの間の容量を介して副画素電極61aに電圧を印加するため、制御電極57の大きさを比較的大きくすることが必要である。一方、本実施形態の液晶表示装置では、TFT117を介して副画素電極122aに表示信号(表示電圧)を印加し、その後TFT118及びバッファ容量126により副画素電極122aの電圧を若干変化させるだけであるので、図2に示す液晶表示装置の制御電極57(配線59のうち副画素電極61aの下方の部分を含む)に比べてバッファ容量の電極(下部電極111b及び上部電極118c)のサイズが小さくてよい。従って、図2に示す従来の液晶表示装置に比べて開口率が大きくなり、明るい表示が可能になるという利点もある。また、本実施形態の液晶表示装置は、バッファ容量126の容量値のばらつきによる副画素電極122aの電圧の変化が比較的小さいので、図2に示す従来の液晶表示装置に比べてフォトリソグラフィ工程に起因する表示むらの発生が抑制されるという利点もある。
ところで、本実施形態においても、TFT116,117がオフの間に、ゲートバスライン111及びデータバスライン115に供給される信号により、副画素電極122a、122bには直流電圧成分の電荷が蓄積される。しかし、本実施形態においては、1フレーム(1垂直同期期間)毎にTFT116,117がオンになって副画素電極122a、122bがいずれもデータバスライン115に電気的に接続されるため、副画素電極122a,122bに蓄積された直流電圧成分の電荷がデータバスライン115に流れ、焼き付きが回避される。これにより、良好な表示品質が得られるという効果を奏する。
以下、本実施形態の液晶表示装置の製造方法について説明する。
まず、図7及び図10,図11を参照してTFT基板110の製造方法について説明する。なお、図10,図11は図7のVII −VII 線の位置における断面を示している。
まず、TFT基板110のベースとなるガラス基板110aの上に、スパッタ法により、例えばAl(アルミニウム)−MoN(窒化モリブデン)−Mo(モリブデン)の積層構造を有する第1の金属膜を形成する。そして、この第1の金属膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、図7及び図10(a)に示すように、ゲートバスライン111、配線111a、バッファ容量下部電極111b及び補助容量バスライン112を形成する。
次に、図10(b)に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition )法により、ガラス基板110aの上側全面に例えばSiO2 からなる第1の絶縁膜(ゲート絶縁膜)113を形成する。そして、この第1の絶縁膜113の所定の領域上に、TFT116,117,118の活性層となる半導体膜114aを形成する。その後、ガラス基板110aの上側全面に例えばSiN膜を形成し、このSiN膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、半導体膜114aのチャネルとなる領域の上にチャネル保護膜114b,114cを形成する。
次に、ガラス基板110aの上側全面に例えばTi(チタン)−Al−Tiの積層構造を有する第2の金属膜を形成し、この第2の金属膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、図7及び図10(c)に示すように、データバスライン115と、ドレイン電極116a,117a,118aと、ソース電極116b,117b,118bと、バッファ容量上部電極118cと、配線119と、補助容量電極120とを形成する。
次に、図11(a)に示すように、ガラス基板110aの上側全面に例えばSiO2 、SiN又は樹脂等からなる第2の絶縁膜121を形成する。そして、フォトリソグラフィ法により第2の絶縁膜121に、TFT117のソース電極117bに通じるコンタクトホール121aと、補助容量電極120に通じるコンタクトホール121bと、TFT118のソース電極118bに通じるコンタクトホール121cとを形成する。
次に、スパッタ法により、ガラス基板110aの上側全面にITO膜(又はその他の導電体膜)を形成する。その後、このITO膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、図7及び図11(b)に示すように、副画素電極122a,122bを形成する。副画素電極122aは、コンタクトホール121a,121cを介してTFT117のソース電極117b及びTFT118のソース電極118bに電気的に接続される。また、副画素電極122bは、コンタクトホール121bを介して補助容量電極120に電気的に接続される。
次いで、ガラス基板110aの上側全面に例えばポリイミドを塗布して、副画素電極122a,122bの表面を覆う垂直配向膜125を形成する。これにより、TFT基板110が完成する。
次に、対向基板130の製造方法について、図8を参照して説明する。まず、対向基板130のベースとなるガラス基板130aの上(図8では下側)に、Cr等の金属又は黒色樹脂によりブラックマトリクス131を形成する。このブラックマトリクス131は、TFT基板110側のゲートバスライン111、データバスライン115及びTFT116,117,118に対向する位置に、ゲートバスライン111及びデータバスライン115の幅よりも若干太く形成する。
次に、赤色感光性樹脂、緑色感光性樹脂及び青色感光性樹脂を使用して、ガラス基板130aの上にカラーフィルタ132を形成する。各画素領域には、赤色、緑色及び青色のいずれか1色のカラーフィルタ132を配置する。
次に、スパッタ法により、カラーフィルタ132の上(図8では下側)にITO等の導電体からなるコモン電極133を形成する。その後、コモン電極133の上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜を所定の露光マスクを介して露光し、その後現像処理を施して突起134を形成する。
次いで、ガラス基板130aの上側全面に例えばポリイミドを塗布して、コモン電極133及び突起134の表面を覆う垂直配向膜135を形成する。これにより、対向基板130が完成する。
このようにして製造されたTFT基板110と対向基板130とをスペーサ(図示せず)を挟んで相互に対向させて配置し、両者の間に誘電率異方性が負の液晶140を封入して液晶パネル104とする。次いで、液晶パネル104の両側に偏光板141a,141bを接合し、更に駆動回路及びバックライト(図示せず)を取り付ける。このようにして、本実施形態の液晶表示装置が完成する。
(第2の実施形態)
図12は本発明の第2の実施形態の液晶表示装置を示す平面図、図13は図12のVIII−VIII線の位置における断面図である。なお、本実施形態が第1の実施形態と異なる点はバッファ容量の構造が異なることにあり、その他の構成は基本的に第1の実施形態と同様であるので、図12,図13において図7,図9と同一物には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
本実施形態においては、バッファ容量210が、TFT118のドレイン電極118aと一体的に形成されたバッファ容量下部電極211と、副画素電極122a,122bと同時に形成されたITO等の透明導電体からなるバッファ容量上部電極212と、それらの間に介在する第2の絶縁膜121とにより構成されている。バッファ容量上部電極212は、第2の絶縁膜121に形成されたコンタクトホール213を介してm+1番目のデータバスライン115に接続されている。
以下、本実施形態の液晶表示装置の動作について説明する。なお、液晶表示装置を駆動する場合に、例えば図14(a)に示すように水平方向に並んだ画素には同極性の表示信号を供給し、垂直方向に隣接する画素には逆極性の表示信号を供給する方法や、図14(b)に示すように、水平方向及び垂直方向に隣接する画素に逆極性の表示信号を供給する方法など、種々の駆動方法がある。また、通常は、図14(a),(b)に示すように、1フレーム毎に各画素に供給する表示信号の極性を反転させている。本実施形態では、図14(a)に示すように、水平方向に並んだ画素には同極性の表示信号を供給し、垂直方向に隣接する画素には逆極性の表示信号を供給するものとする。
本実施形態の液晶表示装置において、n番目のゲートバスライン111に供給される走査信号がアクティブになると、第1の実施形態と同様に、TFT116,117がオンになって、m番目のデータバスライン115に供給された表示信号が補助容量電極120及び副画素電極122a,122bに伝達される。ここでは、m番目のデータバスライン115には正極性の表示信号が供給されているものとする。
その後、走査信号が非アクティブになってTFT116,117がオフになると、副画素電極122a,122bには表示信号に応じた正極性の電圧が保持される。
次に、n+1番目のゲートバスライン111に供給される走査信号がアクティブになると、TFT118がオンになる。このとき、m+1番目のデータバスライン115には負極性の表示信号が供給されている。このため、副画素電極122aに蓄積された電荷がTFT118及びバッファ容量210を介してデータバスライン115に流れ、副画素電極122aの電圧が若干低下する。その結果、前述したHT法と同様に、1画素内にT−V特性が相互に異なる2つの領域が存在することになり、斜め方向から見たときに白っぽくなる現象(白茶け)が抑制される。
なお、副画素電極122aの電圧低下量はバッファ容量210の容量値とm+1番目のデータバスライン115の供給される表示信号の電圧とに依存する。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に1フレーム毎にTFT116,117がオンになって副画素電極122a,122bがいずれもデータバスライン115に電気的に接続される。このため、TFT116,117がオフの期間にゲートバスライン111及びデータバスライン115に供給される信号により副画素電極122a,122bに蓄積された直流電圧成分の電荷が、TFT116,117を介してデータバスライン115に流れて、焼き付きが回避される。また、本実施形態の液晶表示装置においても、第1の実施形態と同様に、図2に示す従来の液晶表示装置に比べてフォトリソグラフィ工程に起因する表示むらの発生が抑制されるとともに、開口率が大きくなって明るい表示が可能になるという利点もある。
なお、本実施の形態ではバッファ容量上部電極212とm+1番目のゲートバスライン115とがコンタクトホール213を介して直接電気的に接続されている場合について説明したが、バッファ容量上部電極212とm+1番目のゲートバスライン115とが容量結合していてもよい。
また、図14(b)に示すように、垂直方向及び水平方向に隣接する画素に逆極性の表示信号を供給する場合は、バッファ容量上部電極212をm番目のデータバスライン115に接続すればよい。
更に、図15に平面図、図16に図15のIX−IX線の位置における断面図を示すように、バッファ容量220の下部電極221をゲートバスライン111及び配線111aと同時に形成し、上部電極222をTFT118のドレイン電極118bと一体的に形成してもよい。この場合、バッファ容量220は、下部電極221と、上部電極222と、それらの間の第1の絶縁膜113とにより構成される。図15,図16ではバッファ容量下部電極221とm+1番目のデータバスライン115とが容量結合している場合を示しているが、バッファ容量下部電極221とm+1番目のデータバスライン115とをコンタクトホールを介して直接電気的に接続してもよい。
(第3の実施形態)
図17は本発明の第3の実施形態の液晶表示装置を示す平面図、図18は図17のIX−IX線の位置における断面図である。なお、本実施形態が第1の実施形態と異なる点はバッファ容量の構造が異なることにあり、その他の構成は基本的に第1の実施形態と同様であるので、図17,図18において図7,図9と同一物には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。また、図18では、ブラックマトリクス、カラーフィルタ及び配向膜等の図示を省略している。
本実施形態においては、TFT118のソース電極118a及びドレイン電極118bが、n+1番目のゲートバスライン111を挟んで相互に対向する位置に配置されている。また、TFT118のソース電極118aは、第2の絶縁膜121に形成されたコンタクトホール232を介して、n+1行目の画素領域内に配置されたバッファ容量電極231に電気的に接続されている。このバッファ容量電極231はITO等の透明導電体により副画素電極112a,122bと同時に形成される。本実施形態においては、図18に示すように、バッファ容量電極231と、コモン電極133と、それらの間の液晶130とによりバッファ容量230を構成している。
以下、本実施形態の液晶表示装置の動作について説明する。
本実施形態の液晶表示装置においても、n番目のゲートバスライン111に供給される走査信号がアクティブになると、TFT116,117がオンになって、m番目のデータバスライン115に供給された表示信号が補助容量電極120及び副画素電極122a,122bに伝達される。
その後、走査信号が非アクティブになってTFT116,117がオフになると、副画素電極122a,122bには表示信号に応じた電圧が保持される。液晶分子は、副画素電極122a,122bの電圧に応じた角度で傾斜し、液晶分子の傾斜角度に応じた量の光が画素を透過する。
次に、n+1番目のゲートバスライン111に供給される走査信号がアクティブになると、TFT118がオンになり、副画素電極122aに蓄積された電荷がTFT118及びバッファ容量230を介してコモン電極133に流れ、副画素電極122aの電圧が若干低下する。その結果、前述したHT法と同様に、斜め方向から見たときに白っぽくなる現象(白茶け)が抑制される。なお、副画素電極122aの電圧低下量は表示信号の電圧とバッファ容量230の容量値に依存する。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に1フレーム毎にTFT116,117がオンになって副画素電極122a,122bがいずれもデータバスライン115に電気的に接続される。このため、TFT116,117がオフの期間にゲートバスライン111及びデータバスライン115に供給される信号により副画素電極122a,122bに蓄積された直流電圧成分の電荷が、TFT116,117を介してデータバスライン115に流れて、焼き付きが回避される。また、本実施形態の液晶表示装置においても、第1の実施形態と同様にフォトリソグラフィ工程に起因する表示むらの発生が抑制されるとともに、開口率が大きくなって明るい表示が可能になるという利点もある。