本発明者らは、高速化を進めた電子写真装置において、帯電器のワイヤー汚染と正電荷像担持体(感光体)表面の酸化及び削れを抑制する為に、シリカ微粒子と水素化アモルファス炭化珪素(a−SiC)感光体に着目し、検討を行った。
その結果、シリカ微粒子としては、シリコーンオイルの固定化率を制御し、a−SiC感光体においては、ある一定以上の原子密度の表面層を有した感光体を用いることで、上記課題を解決するに至った。
本発明において、上記のような効果が得られる理由は、必ずしも明確ではないが、感光体とシリカ微粒子及びシリコーンオイルとの間に相互作用が効果的に働き、帯電器へ飛翔するシリカ微粒子やシリコーンオイルの揮発を抑制できるためであると考えられる。
すなわち本発明は、感光体の表面層の珪素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和が6.60×1022原子/cm3以上であることを特徴とし、好ましくは6.81×1022原子/cm3以上であることが良い。
a−SiC感光体の表面層の珪素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和が6.60×1022原子/cm3以上という高い密度を有すると、シリカ微粒子及びシリコーンオイルと接触する単位面積あたりの原子数が多くなる。シリカ微粒子及びシリコーンオイルを構成している原子とa−SiC感光体表面層を構成している原子(Si及びC)は本質的に同じ原子であり、二つの間には引力が働くことが考えられる。単位面積あたりの原子数が多くなるということはそれだけ強い相互作用が働くことになり、a−SiC感光体表面に残存したシリカ微粒子の遊離及びシリコーンオイルの揮発を抑制していると考えられる。
a−SiC感光体の表面層を構成する珪素原子及び炭素原子の原子密度の和が6.60×1022原子/cm3以下となると、帯電工程により感光体表面の炭素原子の酸化及び脱離が生じて、珪素原子との結合が切断されやすくなる。その結果生じたダングリングボンドに酸化物質が反応することでa−SiCの表面層の酸化反応が生じ、珪素原子と炭素原子の密度が粗になると考えられる。その結果シリコーンオイル処理をしたシリカ微粒子と単位面積当たりに接触する原子数が減少し、感光体とシリカ微粒子との間で相互作用が働き難くなり、ワイヤー汚染が発生すると考えられる。よって、a−SiC感光体の表面層の珪素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和は6.60×1022原子/cm3以上が必要となる。
また、感光体の表面層を構成する、珪素原子の原子数、炭素原子の原子数及び水素原子の原子数の和に対する水素原子の原子数の比(以下、「H原子比」と称する。)が0.30以上0.45以下であることで更に効果的にワイヤー汚染を抑制することが可能となる。
原子密度の高いa−SiC表面層において、H原子比が0.30より少ない場合、光学的バンドギャップが狭くなり、感光体の感度が悪化する場合がある。その結果、所望の電位を得るためには、更に高いコロナ放電電流を必要とする場合があり、ワイヤーの汚染を加速することが考えられる。これにより、H原子比は0.30より大きくすることが好ましい。
また、H原子比が0.45より大きい場合、a−SiC表面層中には、メチル基のような水素原子の多い終端基が増加する傾向が見られる。すなわち、周囲に存在する原子間の結合にひずみを生じさせる。その結果、シリカ微粒子との相互作用が弱くなり、ワイヤー汚染を発生する場合が考えられる。このような理由により、H原子比は0.45以下とすることが好ましい。
次に本発明の感光体の製造方法の一例について説明する。図1は、本発明のa−Si系感光体を作製するための高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による感光体の堆積装置の一例を模式的に示したものである。
この装置は大別すると、反応容器1110を有する堆積装置1100、原料ガス供給装置1200、および、反応容器1110内を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。
堆積装置1100中の反応容器1110内にはアースに接続された導電性基体1112、導電性基体加熱用ヒーター1113、および、原料ガス導入管1114が設置されている。さらにカソード電極1111には高周波マッチングボックス1115を介して高周波電源1120が接続されている。
原料ガス供給装置1200は、SiH4,H2,CH4,NO,B2H6等の原料ガスボンベ1221乃至1225、バルブ1231乃至1235、圧力調整器1261乃至1265、流入バルブ1241乃至1245、流出バルブ1251乃至1255およびマスフローコントローラ1211乃至1215から構成されている。各原料ガスを封入したガスのボンベは補助バルブ1260を介して反応容器1110内の原料ガス導入管1114に接続されている。
次にこの装置を使った堆積膜の形成方法について説明する。まず、あらかじめ脱脂洗浄した導電性基体1112を反応容器1110に受け台1123を介して設置する。次に、排気装置(図示せず)を運転し、反応容器1110内を排気する。真空計1119の表示を見ながら、反応容器1110内の圧力がたとえば1Pa以下の所定の圧力になったところで、基体加熱用ヒーター1113に電力を供給し、導電性基体1112を例えば50℃から350℃の所望の温度に加熱する。このとき、ガス供給装置1200より、Ar、He等の不活性ガスを反応容器1110に供給して、不活性ガス雰囲気中で加熱を行うこともできる。
次に、ガス供給装置1200より堆積膜形成に用いるガスを反応容器1110に供給する。すなわち、必要に応じバルブ1231乃至1235、流入バルブ1241乃至1245、流出バルブ1251乃至1255を開き、マスフローコントローラ1211乃至1215に流量設定を行う。各マスフローコントローラの流量が安定したところで、真空計1119の表示を見ながらメインバルブ1118を操作し、反応容器1110内の圧力が所望の圧力になるように調整する。所望の圧力が得られたところで高周波電源1120より高周波電力を印加すると同時に高周波マッチングボックス1115を操作し、反応容器1110内にプラズマ放電を生起する。その後、速やかに高周波電力を所望の電力に調整し、堆積膜の形成を行う。
所定の堆積膜の形成が終わったところで、高周波電力の印加を停止し、バルブ1231乃至1235、流入バルブ1241乃至1245、流出バルブ1251乃至1255、および補助バルブ1260を閉じ、原料ガスの供給を終える。同時に、メインバルブ1118を全開にし、反応容器1110内を1Pa以下の圧力まで排気する。
以上で、堆積層の形成を終えるが、複数の堆積層を形成する場合、再び上記の手順を繰り返してそれぞれの層を形成すれば良い。原料ガス流量や、圧力等を光導電層形成用の条件に一定の時間で変化させて、接合領域の形成を行うこともできる。
すべての堆積膜形成が終わったのち、メインバルブ1118を閉じ、反応容器1110内に不活性ガスを導入し大気圧に戻した後、導電性基体1112を取り出す。
本発明の電子写真感光体は、従来周知の電子写真感光体の表面層に比べてa−SiCを構成している珪素原子及び炭素原子の原子密度を上げて、原子密度の高い膜構造の表面層を形成している。上述したように、本発明の原子密度の高いa−SiC表面層を作製する場合には、表面層作成時の条件にもよるが、一般的に、ガス量と高周波電力とのバランスが重要である。すなわち、反応容器に供給するガス量が少ない方が良く、高周波電力は高い方が良く、反応容器内の圧力が高い方が良く、更に、導電性基板の温度が高い方が良い。
まず、反応容器内に供給するガス量を減らし、且つ高周波電力を上げることにより、ガスの分解を促進させることができる。これにより、珪素原子供給源(例えば、SiH4)よりも分解し難い炭素原子供給源(例えば、CH4)を効率良く分解することができる。その結果、水素原子の少ない活性種が生成され、基体上に堆積した膜中の水素原子が減少するため原子密度の高いa−SiC表面層が形成可能となる。
また、反応容器内の圧力を高めることで、反応容器内に供給された原料ガスの滞留時間が長くなり、また、原料ガスの分解により生じた水素原子により弱結合水素の引き抜き反応が生じるために、珪素原子と炭素原子のネットワーク化が促進したためだと考えている。
更に、導電性基板の温度を上げることにより、導電性基板に到達した活性種の表面移動距離が長くなり、より安定した結合をつくることができる。その結果、a−SiC表面層として、より構造的に安定した配置に各原子が結合しているためであると考えている。
Si+C原子密度、C原子比及びH原子比の測定方法について以下に示す。
まず、表1の電荷注入阻止層及び光導電層のみを積層させたリファレンス電子写真感光体を作製し、任意の周方向における長手方向の中央部を15mm四方で切り出し、リファレンス試料を作製した。次に、電荷注入阻止層、光導電層及び表面層を積層させた電子写真感光体を同様に切り出し、測定用試料を作製した。リファレンス試料と測定用試料を分光エリプソメトリー(J.A.Woollam社製:高速分光エリプソメトリー M−2000)により測定し、表面層の膜厚を求めた。
分光エリプソメトリーの具体的な測定条件は、入射角:60°、65°、70°、測定波長:195nmから700nm、ビーム径:1mm×2mmである。
まず、リファレンス試料を分光エリプソメトリーにより各入射角で波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係を求めた。
次に、リファレンス試料の測定結果をリファレンスとして、測定用試料をリファレンス試料と同様に分光エリプソメトリーにより各入射角で波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係を求めた。
そして、電荷注入阻止層及び光導電層、表面層を順次積層し、最表面に表面層と空気層の体積比が8:2となる粗さ層を有する層構成を計算モデルとして用いて、解析ソフト:J.A.Woollam Co.,Inc.製 WVASE32により各入射角における波長とΨ及びΔの関係を計算により求めた。更に、この計算により求めた波長とΨ及びΔの関係と、測定用試料を測定して求めた波長とΨ及びΔの関係の平均二乗誤差が最小となるときの表面層の膜厚を算出し、この値を表面層の膜厚とした。
分光エリプソメトリーによる測定が終了した後、上記測定用試料をRBS(ラザフォード後方散乱法)(日新ハイボルテージ(株)製:後方散乱測定装置 AN−2500)により、RBSの測定面積における表面層中の珪素原子及び炭素原子の原子数を測定し、C/(Si+C)を求めた。次に、RBSの測定面積から求めた珪素原子及び炭素原子の原子数に対し、分光エリプソメトリーにより求めた表面層の膜厚を用いて、珪素原子の原子密度、炭素原子の原子密度及びSi+C原子密度を求めた。
RBSと同時に、上記測定用試料をHFS(水素前方散乱法)(日新ハイボルテージ(株)製:後方散乱測定装置 AN−2500)により、HFSの測定面積における表面層中の水素原子の原子数を測定した。HFSの測定面積から求めた水素原子の原子数と、RBSの測定面積から求めた珪素原子の原子数及び炭素原子の原子数により、H原子比を求めた。次に、HFS測定面積から求めた水素原子数に対し、分光エリプソメトリーにより求めた表面層の膜厚を用いて、水素原子の原子密度を求めた。
RBS及びHFSの具体的な測定条件は、入射イオン:4He+、入射エネルギー:2.3MeV、入射角:75°、試料電流:35nA、入射ビーム経:1mmであり、RBSの検出器は、散乱角:160°、アパーチャ径:8mm、HFSの検出器は、反跳角:30°、アパーチャ径:8mm+Slitで測定を行った。
以上のように、強い遠心力を受けてもシリカ微粒子の遊離を抑え、ワイヤー汚染を抑制する感光体について述べてきた。しかしながら、感光体の表面層の珪素原子と炭素原子の原子密度を高くしただけでは、完全にワイヤー汚染を抑制することは困難であり、効果的に感光体と相互作用するシリカ微粒子が必須である。
すなわち、シリカ微粒子は、少なくともシリコーンオイルによる処理が施されており、且つ該シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率が30質量%以上95質量%以下、好ましくは60質量%以上90質量%以下であることを特徴とする。
シリコーンオイルの固定化率が30質量%より少ない場合、シリカ微粒子の表面に付着しているシリコーンオイルはシリカ微粒子との付着力が弱いことが考えられる。そのために感光体上とシリカ微粒子の表面のシリコーンオイルが相互作用しても、シリカ微粒子が遊離する場合がある。更にはシリコーンオイルが過剰に感光体上に残ることでシリコーンオイルの揮発成分も増加し、ワイヤー汚染を発生させる。更に感光体上に過剰に残存したシリコーンオイルはクリーニングの際に感光体の削れを増加させる傾向にあり、耐久安定性に影響を及ぼす場合がある。
また、シリコーンオイルの固定化率が95質量%より大きくする方法としては、シリコーンオイルの添加量を相対的に少なくする必要がある。すなわち、シリコーンオイルの固定化率は高くなるが、シリカ微粒子の表面を均一に処理できていない状態となる場合がある。その結果、シリカ微粒子表面の処理状態に微小なムラが生じる為に、感光体表面とシリカ微粒子表面との相互作用が弱くなり、ワイヤー汚染を発生させる。
シリコーンオイルの固定化率の測定方法について以下に示す。
(遊離シリコーンオイルの抽出)
1.ビーカーにシリカ微粒子0.5g、クロロホルム40mlを入れ、2時間攪拌する。
2.攪拌を止めて、12時間静置する。
3.サンプルをろ過して、クロロホルム40mlで3回洗浄する。
(炭素量測定)
酸素気流下で1100℃で試料を燃焼させ、発生したCO、CO2量をIRの吸光度により測定して、試料中の炭素量を測定する。シリコーンオイルの抽出前後でのカーボン量を比較して、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率を計算する。
1.試料2gを円筒金型に入れプレスする。
2.プレスした試料0.15gを精秤し、燃焼用ボードに乗せ、堀場製作所EMA−11 0で測定する。
3.100−(抽出前の炭素量−抽出後の炭素量)/抽出前の炭素量×100
をシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率とする。
本発明のシリカ微粒子を得るのに用いられるシリカ微粒子の原体としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された乾式法またはヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び、水ガラス等から製造される湿式シリカの両方が挙げられる。本発明では表面及び内部にあるシラノール基が少なく、製造残渣のない乾式シリカの方が好ましい。
本発明に用いられるシリカ微粒子は硬度に疏水化処理されている必要があり、疏水化処理するには、シリカ原体と化学吸着あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で処理する方法が挙げられる。本発明の効果を得るには、少なくともシリコーンオイルによる処理が必要である。
本発明のシリカ微粒子は、処理前のシリカ原体のBET比表面積が50m2/g以上400m2/g以下であることが均一にシリコーンオイル処理をする上で好ましい。
本発明のシリカ微粒子を得るのに必要なシリコーンオイル処理の方法は、シリカ微粒子の原体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合しても良いし、シリカ微粒子の原体へシリコーンオイルを噴射する方法によっても良い。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粒子の原体とを混合し、溶剤を除去して作製しても良い。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等が使用できる。中でもジメチルシリコーンオイルが好ましく、且つ、シリコーンオイルの粘度は25℃において、300mm2/s以下が好ましい。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、シリカ原体100質量部に対して5質量部以上30.0質量部以下、好ましくは10.0質量部以上28.0質量部以下のシリコーンオイルによって処理されているのが好ましい。
シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率は、シリコーンオイルがシリカ原体表面に科学的に結合していると、炭素量基準の固定化率は高くなる。そのため添加するシリコーンオイル量が多くなるほど、シリカ原体表面と化学的に結合できないものも多くなるため、シリコーンオイルの処理量が30.0質量部より多くなると、遊離シリコーンオイルが増え過ぎて、帯電器のワイヤー汚染が起こり易い。
シリコーンオイルの処理量が5.0質量部未満だと、シリカ微粒子表面の処理状態にムラが生じ、本発明の効果が得られにくくなる。
シリコーンオイルによるシリカ原体の表面処理方法には、公知の技術が用いられ、この処理の際、シリコーンオイルのシリカ原体への最適な固定化率を達成する為に、加熱しながら処理することが好ましい。
処理温度としては150℃以上350℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは150℃以上250℃以下であることが望ましい。
この処理温度範囲に設定することで、ムラなく均一にオイル処理ができ、更にシリコーンオイルのシリカ原体表面への固定化率を高めやすい。
本発明において、トナー粒子100質量部に対して上記シリコーンオイル固定化率を有するシリカ微粒子の含有量が0.01質量部以上3.00質量部以下の範囲において、優れた効果が得られる。3.00質量部を超える場合は、トナー粒子表面のシリカ微粒子の割合が多く成り過ぎ、シリカ微粒子自体の遊離が発生しやすくなり、帯電器のワイヤー汚染を促進する場合がある。
更に、シリカ微粒子はシリコーンオイルで表面処理した後に、シラン化合物及び/またはシラザン化合物で表面処理した疎水性シリカ微粒子であることがより好ましい。シリコーンオイル処理のみでは反応しきれないシリカ微粒子の表面を更にシラン化合物及び/またはシラザン化合物で補うことにより、シリカ微粒子表面と結合する処理剤の密度が高くなる。その結果、感光体表面との相互作用がより効果的に発現し、帯電器のワイヤー汚染を更に抑制する場合がある。
本発明で用いられるシラン化合物としては、メトキシシラン,エトキシシラン,プロポキシシラン等のアルコキシシラン類、クロルシラン,ブロモシラン,ヨードシラン等のハロシラン類、ハイドロシラン類、アルキルシラン類、アリールシラン類、ビニルシラン類、アクリルシラン類、エポキシシラン類、シリル化合物類、シロキサン類、シリルウレア類、シリルアセトアミド類、及びこれらのシラン化合物類が有する異種の置換基を同時に有するシラン化合物類があげられる。これらのシラン化合物を用いることにより、流動性,転写性,帯電安定化が得られる。これらのシラン化合物は複数用いても良い。
具体例として、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種或いは2種以上の混合物として用いても良い。
本発明で用いられるシラザン化合物は、分子中にSi‐N結合を有する化合物の総称である。具体的には、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、テトラエチルテトラメチルシクロテトラシラザン、テトラフェニルジメチルジシラザン、ジプロピルテトラメチルジシラザン、ジブチルテトラメチルジシラザン、ジヘキシルテトラメチルジシラザン、ジオクチルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザンなどが挙げられる。また、これらシラザン化合物を部分的にフッ素などで置換した、有機含フッ素シラザン化合物などを用いてもよい。特に本発明では、ヘキサメチルジシラザンが好ましく用いられる。
シラン化合物及び/またはシラザン化合物で処理する方法には公知の技術が用いられる。例えば、シリコーンオイルで処理されたシリカ微粒子を処理槽に投入して、処理槽内を撹拌翼の如き撹拌部材で撹拌混合しながら、シラン化合物及び/またはシラザン化合物を所定量滴下或いは噴霧して充分に混合する。このとき、シラン化合物及び/またはシラザン化合物をアルコールの如き溶媒で希釈して処理することもできる。混合分散した処理剤を含むシリカ微粒子を、窒素雰囲気中で処理温度150℃以上350℃以下(好ましくは150℃以上250℃以下)に加熱し、0.5乃至5時間、撹拌しながら還流する。
好ましい製法としては、シリコーンオイルで処理されたシリカ微粒子を処理槽に投入し、処理するシラン化合物及び/またはシラザン化合物の沸点以上、分解温度以下の温度に処理槽を保持する。ここに水蒸気を吹き込み、シリカ微粒子表面の水酸基がシラン化合物またはシラザン化合物と反応しやすい状態にしておく。さらにシラン化合物及び/またはシラザン化合物を投入し、気相反応でシリカ微粒子表面を処理することが好ましい。その後、必要に応じて余剰の処理剤の如き余剰物を除去することも可能である。
また、シラン化合物及び/またはシラザン化合物を処理する前に、解砕処理を行うことが均一な処理を行う上で好ましい。
これらアルコキシシランまたはシラザンの好ましい処理量は、シリカ原体100質量部に対して2.0質量部以上30.0質量部以下である。
更に該シリカ微粒子のメタノール濡れ性が、透過率が90%のときのメタノール濃度をD90(体積%)、透過率が70%のときのメタノール濃度をD70(体積%)としたとき、下記式(1)の関係を満たすと更に好ましい。
D70−D90≦5.0 (1)
すなわち、波長780nmの光の透過率90%のときのメタノール濃度をD90(体積%)、透過率が70%のときのメタノール濃度をD70(体積%)としたときの、その差分が5.0体積%以下であることを特徴とする。
D70−D90の値が小さいほど、シリコーンオイルはシリカ微粒子の表面に均一に存在していることを表している。D70−D90の値が5.0よりも大きくなると、シリコーンオイルの存在の不均一さから、感光体表面との相互作用にムラが生じ、遊離したシリカ微粒子が発生し易くなって、ワイヤー汚染を発生させる場合がある。
メタノール濡れ性の測定方法について以下に示す。
シリカ微粒子のメタノール濡れ性は、メタノール滴下透過率曲線を用いて測定する。具体的には、その測定装置として、例えば、粉体濡れ性試験機WET−100P(レスカ社製)を用い、下記の条件及び手順で測定したメタノール滴下透過率曲線を利用する。
まず、メタノール60体積%と水40体積%とからなる含水メタノール液70mlを、直径5cm、厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に入れ、その測定用サンプル中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。
この中に検体であるシリカ微粒子を0.1g精秤して添加し、シリカ微粒子の疎水特性を測定するためのサンプル液を調製する。そして、測定用サンプル液を粉体濡れ性試験機WET−100P(レスカ社製)にセットする。この測定用サンプル液を、マグネティックスターラーを用いて、6.7s-1(400rpm)の速度で攪拌する。尚、マグネティックスターラーの回転子として、フッ素樹脂コーティングされた、長さ25mm、最大胴径8mmの紡錘型回転子を用いる。
次に、この測定用サンプル液中に、上記装置を通して、メタノールを1.3ml/minの滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定し、図2に示したようなメタノール滴下透過率曲線を作成する。
本発明に用いられるシリカ微粒子のBET比表面積は100m2/g以上400m2/g以下であるのが好ましい。シリカ微粒子のBET比表面積が400m2/gより大きい場合は、シリカ微粒子同士の付着力が大きくなりすぎて凝集しやすくなる為、トナー粒子表面に均一に分散させることが難しくなる。一方、シリカ微粒子のBET比表面積が100m2/gより小さい場合は、トナーの流動性が低下してしまう場合がある。
また、トナー粒子からの外添剤遊離度を以下のように設計することが、本発明の効果を得る上で好ましい。
トナー粒子表面に存在するシリカ微粒子を含む外添剤粒子は、現像器内の攪拌等のメカニカルなシェアを受けることで遊離しやすい傾向がある。
しかしながら本発明の効果を最大限に発揮させるには、トナー粒子からの外添剤の遊離はできる限り少量にとどめることが好ましい。
そのためには、トナー化時の外添工程が非常に重要となってくる。つまり、トナー粒子にシリカ微粒子を含む外添剤粒子をできる限り均一にしかも、最適な物理吸着力で付着させる必要がある。
例えば、従来のヘンシェルミキサー等の混合機において、低速回転で外添させた後、高速回転で再度外添させるような、複数回に分け、混合することが、均一でしかも最適な付着力を得られるので、好ましい。
このように作製されたトナーの外添剤遊離度は以下の手法で測定される。
(外添剤遊離度の測定)
[サンプルの調整]
1.ガラス製200mlビーカーに電解水溶液50mlを入れ、この中に分散剤としてコンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
2.発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器Ultrasonic Dispension System Tetora150(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
3.前記1.のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
4.前記3.のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子0.2gを前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
5.60秒後、ビーカーを取り出し、すぐに磁石(例えば、ネオジ磁石 30φ×15mm アズワン社製)の上に静置し、30秒経過後、マイクロピペッターで10mlを上澄み部分から採取する。
[外添剤遊離度の測定]
外添剤遊離度は、たとえば島津自記分光光度計UV3100PC(島津製作所社製)と、光路長1cmの石英セルを用いて測定を行うことができる。
得られた上澄み溶液を光路長1cmの石英セルに入れて装置にすばやくセッティングし、入射光の波長500nmにおける上澄み溶液の透過率Tを測定する。このとき対照セルにはトナーを溶解していない電解水溶液を入れておく。
この透過率Tを外添剤遊離度と定義し、この値が大きいほど、遊離成分が少なく、トナー粒子から外添剤が遊離し難いことを表す。
このUV測定による透過率が55.0%以上、好ましくは70.0%以上、より好ましくは80.0質量%以上であることが好ましい。
透過率55.0%以上であることは、トナー粒子に外添剤が最適な強度で付着していることを示し、本発明の効果をより得られやすくなる。
一方、外添剤遊離度が55.0質量%よりも小さいことは、現像器内の攪拌等のメカニカルなシェアによって、トナー粒子から外添剤が遊離しやすいことを示す。特に、シリカ微粒子の処理が不均一である場合や、シリコーンオイルが遊離し過ぎる場合には、物理付着力が弱くなり、シリカ微粒子自体が遊離しやすくなる。その結果、遊離外添剤として帯電器のワイヤー汚染を促進する場合がある。
更に、該トナー担持体として、第一トナー担持体と第二トナー担持体とを具備し、該静電荷像担持体の回転方向における上流側の第一トナー担持体が下流側の第二トナー担持体上のトナー量を所定量に規制すること画像形成方法を用いると更に好ましい。
上記構成では、第一トナー担持体にて感光体上にトナー像を形成し、第二トナー担持体にてトナー像のトリートメントを行うことが可能となる。すなわち、第一トナー担持体にて形成したトナー像の中で、付着力の弱いシリカ微粒子は、第二トナー担持体にて引き戻されて、複写機内を飛翔しなくなると考えられる。その結果、ワイヤー汚染を抑制する効果を有する。
本発明の最大の特徴は、上記感光体とトナーを組み合わせることで、感光体とシリカ微粒子の相互作用により、更なる高速化を目指した電子写真装置においても、トナーやシリカ微粒子による帯電器のワイヤー汚染が問題にならないことを見出したことである。更に、感光体表面の酸化及び削れを抑制し、高耐久安定性を有したトナー及び画像形成方法を提供することが可能となり、本発明を完成するに至った。
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。中でも好ましく用いられる樹脂として、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、または両者が一部反応した、ハイブリッド樹脂。
本発明においては、トナー粒子に対するシリカ微粒子の付着を制御する点で、過粉砕が起こりにくいポリエステル樹脂が好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂の成分は以下の通りである。
2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、2、3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(1)で表されるビスフェノール及びその誘導体:
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0乃至10である。)
および式(2)で示されるジオール類。
これら中でも、トナー粒子の帯電制御及びガラス転移温度の維持において、ビスフェノール及びその誘導体が好ましい。
2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル。特にテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
本発明においては、トナーに離型性を与えるために必要に応じて離型剤(ワックス)を用いることができる。該ワックスとしては、トナー粒子中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。必要に応じて一種または二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
使用できる具体的な例としては、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業株式会社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学株式会社);サゾール H1、H2、C80、C105、C77(サゾールワックス社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精蝋株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODA)。
該離型剤(ワックス)を添加するタイミングは、トナーの製造中の溶融混練時において添加しても良いが結着樹脂の製造時であっても良く、既存の方法から適宜選ばれる。また、これらの離型剤は単独で使用しても併用しても良い。
該離型剤は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。1質量部未満の場合は望まれる離型効果が十分に得られにくく、20質量部を超える場合はトナー中での分散も悪く、静電荷像担持体へのトナー付着や、現像部材やクリーニング部材の表面汚染が起こりやすく、トナー画像が劣化し易い。
本発明のトナーは磁性トナーであっても非磁性トナーであっても良いが、高速機における耐久安定性などの点から磁性トナーであることが好ましい。
本発明で用いられる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトなどの酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bf,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。従来、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(Cd3Fe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が知られている。特に好適な磁性材料は四三酸化鉄又はγ三二酸化鉄の微粉末である。また上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組合せで選択使用することもできる。
該磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下添加するのが好ましい。
非磁性トナーとして用いる場合には、着色剤として以下のような顔料または染料を用いることができる。
着色剤としては、カーボンブラックやその他、従来より知られているあらゆる顔料や染料の一種又は二種以上を用いることができる。
染料としては、C.I.ダイレクトレッド1,C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1,C.I.べーシックレッド1,C.I.モーダントレッド30,C.I.ダイレクトブルー1,C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15,C.I.べーシックブルー3,C.I.べーシックブルー5,C.I.モーダントトブルー7,C.I.ダイレクトグリーン6,C.I.べーシックグリーン4、C.I.べーシックグリーン6等がある。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
本発明のトナーをフルカラー画像形成用トナーとして使用する場合には、次の様な着色剤が挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
上記マゼンタ顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料を併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28などの塩基性染料が挙げられる。
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45などである。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,35,73,83、C.I.バットイエロー1,3,20などが挙げられる。
着色剤は樹脂成分100.0質量部に対して、0.1質量部以上60.0質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上50.0質量部以下である。
本発明のトナーには、その摩擦帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることができる。電荷制御剤は、その種類や他のトナー粒子構成材料の物性によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1質量部以上10.0質量部以下含まれることが好ましく、0.1質量部以上5.0質量部以下含まれることがより好ましい。このような電荷制御剤としては、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナーを負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属錯体(モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩。その他にも、トナーを負帯電性に制御するものとしては、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体が挙げられる。この中でも特に、安定な帯電性能が得られる芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体又は金属塩が好ましく用いられる。
また、電荷制御樹脂も用いることができ、上述の電荷制御剤と併用することもできる。
本発明のトナーには、必要に応じてシリカ微粒子以外の外部添加剤を併用して添加しても良い。このような外部添加剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子が挙げられる。
滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられ、中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。また研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。流動性付与剤としては、酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末が挙げられ、中でも疎水化処理したものが好ましい。導電性付与剤としては、カーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化アンチモン粉末が挙げられる。
またさらに、逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
シリカ微粒子及びシリカ原体のBET比表面積の測定を以下に示す。
シリカ微粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
尚、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、シリカ微粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)とシリカ微粒子の窒素吸着量Va(モル・g-1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g-1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、シリカ微粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g-1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm2)から、下記の式に基づいて、シリカ微粒子のBET比表面積S(m2・g-1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10-18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル-1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約0.1gのシリカ微粒子を入れる。
シリカ微粒子を入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、シリカ微粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差からシリカ微粒子の正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内のシリカ微粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、シリカ微粒子が入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してシリカ微粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したようにシリカ微粒子のBET比表面積を算出する。
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤を、ヘンシェルミキサー又は、ボールミルの如き混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後粉砕及び分級を行いトナー粒子を得、更にトナー粒子にシリカ微粒子をヘンシェルミキサーの如き混合機により十分混合し、本発明のトナーを得ることが出来る。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、本発明は何らこれに限定されるものではない。
<a−SiC感光体の製造例>
図1に示す、周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体(直径80mm、長さ358mm、厚さ3mmの鏡面加工を施した円筒状のアルミニウム基体)上に下記表1に示す条件でプラス帯電a−Si感光体を作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、表面層の順に成膜を行った。なお、表1中の「※」は可変の値であることを示し、表面層作製時の高周波電力、SiH4流量及びCH4流量を下記表2に示す条件とした。
上記方法により作製した電子写真感光体について、Si+C原子密度、H原子比、C原子比の評価を前述の条件で行った。その結果を表3に示す。
本実施例で用いたシリカ微粒子の製法を以下に示す。シリカ原体には、BET比表面積300m2/gのものを使用した。
<シリカ微粒子1の製造例>
シリカ原体100質量部に対し、20質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)を噴霧し、30分間攪拌を続けた後、攪拌しながら200℃まで昇温させてさらに2時間攪拌して、反応を終了した。反応終了後、解砕処理を行った。続いてシリカ原体100質量部に対し、5質量部のヘキサメチルジシラザンを内部に噴霧し、シリカ微粒子の流動化状態でシラン化合物処理を行なった。この反応を60分間継続した後、反応を終了し本発明で使用したシリカ微粒子B−1を得た。得られたシリカ微粒子1の物性を表4に示す。なお、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率は、オイル処理後の中間体及び、シリカ微粒子両方の固定化率を測定し、算出した。
<シリカ微粒子2の製造例>
ジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)の処理量を15質量部とした以外は、シリカ微粒子B−1と同様にしてシリカ微粒子B−2を得た。得られたシリカ微粒子B−2の物性を表4に示す。
<シリカ微粒子3の製造例>
ジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)の処理量を25質量部とした以外は、シリカ微粒子B−1と同様にしてシリカ微粒子B−3を得た。得られたシリカ微粒子B−3の物性を表4に示す。
<シリカ微粒子4の製造例>
ジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)の処理量を26質量部とし、ヘキサメチルジシラザンに変えてジメチルジクロロシランを15質量部用いた以外は、シリカ微粒子B−1と同様にしてシリカ微粒子B−4を得た。得られたシリカ微粒子B−4の物性を表4に示す。
<シリカ微粒子5の製造例>
シリカ原体100質量部に対し、7質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)を噴霧し、30分間攪拌を続けた後、攪拌しながら200℃まで昇温させてさらに2時間攪拌して、反応を終了した。反応終了後、更に6質量部のジメチルシリコーンオイルを噴霧し、同様に反応を行い、反応終了後、解砕処理を行った。
続いてシリカ原体100質量部に対し、15質量部のジメチルジクロロシランを内部に噴霧し、シリカ微粒子の流動化状態でシラン化合物処理を行なった。この反応を60分間継続した後、反応を終了し本発明で使用したシリカ微粒子B−5を得た。得られたシリカ微粒子B−5の物性を表4に示す。
<シリカ微粒子6の製造例>
ジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)の処理量を25質量部とし、処理温度を150℃とした以外は、シリカ微粒子B−1と同様にしてシリカ微粒子B−6を得た。得られたシリカ微粒子B−6の物性を表4に示す。
<シリカ微粒子7の製造例>
シリカ原体100質量部に対し、12質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=50mm2/s)を噴霧し、30分間攪拌を続けた後、攪拌しながら150℃まで昇温させてさらに2時間攪拌して、反応を終了し、本発明で使用したシリカ微粒子B−7を得た。得られたシリカ微粒子B−7の物性を表4に示す。
<シリカ微粒子8の製造例>
ジメチルシリコーンオイル(粘度=50mm2/s)の処理量を26質量部とした以外は、シリカ微粒子B−7と同様にしてシリカ微粒子B−8を得た。得られたシリカ微粒子B−8の物性を表4に示す。
<シリカ微粒子9の製造例>
シリカ原体100質量部に対し、5質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=1000mm2/s)を噴霧し、30分間攪拌を続けた後、攪拌しながら200℃まで昇温させてさらに2時間攪拌して、反応を終了した。続けて5質量部のジメチルシリコーンオイルで同様に処理を行い、反応終了後、更に5質量部のジメチルシリコーンオイルで反応を行い、本発明で使用したシリカ微粒子B−9を得た。得られたシリカ微粒子B−9の物性を表4に示す。
<シリカ微粒子10の製造例>
ジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)の処理量を30質量部とし、処理温度を100℃とし、更にヘキサメチルジシラザンを15質量部とした以外はシリカ微粒子B−1と同様にしてシリカ微粒子B−10を得た。得られたシリカ微粒子B−10の物性を表4に示す。
<シリカ微粒子11の製造例>
シリカ原体100質量部に対し、30質量部のヘキサメチルジシラザンを内部に噴霧し、シリカ微粒子の流動化状態でシラン化合物処理を行った。この反応を60分間継続した後、反応を終了した。
続いてシリカ原体100質量部に対し、10質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=50mm2/s)を噴霧し、30分間攪拌を続けた後、攪拌しながら150℃まで昇温させてさらに2時間攪拌して、反応を終了し、本発明で使用したシリカ微粒子B−11を得た。得られたシリカ微粒子B−11の物性を表4に示す。
<樹脂(C−1)製造例>
・ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物 34.0mol%
(平均付加mol数:2.2mol)
・ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物 19.5mol%
(平均付加mol数:2.2mol)
・イソフタル酸 23.5mol%
・n−ドデセニルコハク酸 13.5mol%
・トリメリット酸 9.5mol%
上記モノマーとジブチル錫オキシドを全酸成分に対して0.03質量部添加し窒素気流下、22.0℃にて6時間攪拌しつつ反応させポリエステル樹脂(C−1)を得た。
<トナー1の製造例>
結着樹脂C−1 100質量部
磁性酸化鉄粒子(平均粒径0.15μm) 75質量部
フィッシャートロプシュワックス 4質量部
電荷制御剤(下式構造式2) 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.8μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。トナー粒子100質量部に対し、シリカ微粉子B−1を0.8質量部、及びチタン酸ストロンチウム(個数平均粒径1.2μm)3.0質量部を外添混合し目開き150μmのメッシュで篩い、負摩擦帯電性のトナー1を得た。
<トナー2乃至11の製造例>
表5に示すように、シリカ微粒子を変えた以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2乃至11得た。
[実施例1]
評価に用いたマシンとしては、市販の複写機(iR−5075 キヤノン製)のプロセススピードを600mm/secに改造して用いた。転写材には普通紙である「オフィスプランナーSK64g紙 キヤノン製」を用いた。この評価機に感光体1をとりつけ、トナー1を充填し、常温常湿環境(23℃、50%RH)で印字比率5%のテストチャートを用いて、普通紙を連続片面通紙で50万枚耐久を行った。この際、感光体の暗部電位が一定になるようにコロナ帯電器の放電電流を調整して耐久を行い、以下に示す項目について評価を行った。
(ワイヤー汚染の評価)
新品のワイヤーの径と、耐久後のシリカの薄膜が形成したワイヤーの径とを比較し、耐久後のシリカの薄膜によるワイヤーの太さを比率で数値化した。ワイヤーの測定は一次帯電器と転写前帯電器の2種類を測定した。尚、測定に用いた顕微鏡はKH−3000Vハイスコープアドバンスト(HiROX社製)を用いて、200倍の倍率で測定を行った。評価結果を表6に示す。
A(非常に良い) 110%未満
B(良い) 110%以上120%未満
C(普通) 120%以上130%未満
D(やや悪い) 130%以上140%未満
(ハーフトーン画像の縦スジ評価)
初期のハーフトーン画像と50万枚耐久後のハーフトーン画像を目視で評価し、帯電器のワイヤー汚染に起因する縦スジの発生の有無を評価した。評価結果を表6に示す。
A(非常に良い) 縦スジが全く見られない
B(良い) 注意して見ると、少し縦スジが発生している
C(普通) わずかに縦スジによるムラがあるが、画像上問題にならない
D(やや悪い) 縦スジによるムラが分かる
(感光体削れ)
感光体削れの評価方法は、作製直後の感光体の表面層膜厚を任意の周方向で長手方向9点(電子写真感光体の長手方向中央を基準として、0mm、±50mm、±90mm、±130mm、±150mm)及び前記任意の周方向から180°回転させた位置での長手方向9点、合計18点を測定し、その18点の平均値により削れ量を算出した。
測定方法は、2mmのスポット径で電子写真感光体表面に垂直に光を照射し、分光計(大塚電子製:MCPD−2000)を用いて、反射光の分光測定を行う。得られた反射波形をもとに表面層膜厚を算出した。このとき、波長範囲を500nmから750nm、光導電層の屈折率は3.30とし、表面層の屈折率は前述したSi+C原子密度測定の際に行った分光エリプソメトリーの測定より求まる値を用いた。
A(非常に良い) 100Å以下
B(良い) 100Å以上250Å以下
C(普通) 250Å以上400Å以下
D(やや悪い) 400Å以上
[実施例2乃至12]
表6に記載の感光体とトナーの組み合わせにおいて、実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表6に示す。
[実施例13]
現像装置を図3に示すものに変える以外は、実施例1と同様に評価した。
この現像装置は、トナーを収容する現像容器2200(現像装置本体)と、感光体2100に対向して上下に設置された第一トナー担持体2310、及び第二トナー担持体2320と、トナーホッパー3000の下方に配され、トナーを各トナー担持体2310、2320近傍まで搬送する攪拌部材2800、2900を備えている。
この現像装置は、感光体2100の回転方向上流側に位置する第一トナー担持体2310に対してトナー規制部材として磁性ドクターブレード2600を備えており、これにより第一トナー担持体2310のトナーコート規制を行う。これに対し第二トナー担持体は磁性ドクターブレードを備えておらず、第一トナー担持体2310と第二トナー担持体2320の間隙部での磁気的拘束力等により、トナーコート規制が行われる。トナー担持体が1本の場合に比べ、現像機会が増すため、軽印刷用途のような、高画質現像には好適に用いられる。
[比較例1乃至5]
表6に記載の感光体とトナーの組み合わせにおいて、実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表6に示す。