JP2011088468A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】サイプによる排水効果を維持しつつ、サイプからのクラック抑制効果を得ることができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】本発明による空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる周方向溝2〜4と、トレッド幅方向に延びる横溝5〜6と、これらの周方向溝2〜4および横溝5〜6によって区画される複数の陸部ブロック7と、がトレッド部に設けられ、前記陸部ブロック7には、端部が周方向溝2〜4および横溝5〜6の少なくともいずれかに連通するサイプ8が、トレッド面からタイヤ径方向内側に向けて所定深さ位置まで形成された空気入りタイヤである。前記複数のサイプ8の少なくとも一つは、タイヤ径方向内側端に拡径部10を有するとともに、この拡径部10の径は、陸部ブロック7の側壁に近づくにつれて大きくなるように形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は空気入りタイヤに関し、特に、陸部ブロックに複数のサイプを形成した空気入りタイヤに関する。
従来から、トレッド部に周方向溝と横溝とが形成され、これらの周方向溝と横溝とによって複数の陸部ブロックが区画された空気入りタイヤが知られている。そして、氷上性能を向上させるために、陸部ブロックにサイプ(細溝)を多数設けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載されたサイプは、陸部ブロックのトレッド面から径内方向に延びて、サイプ深さの20%〜90%の範囲に拡径部を設けている。
特開2006−298057号公報
しかしながら、前記従来構造のサイプでは、サイプ深さの20%〜90%の範囲に拡径部を設けているため、氷路面上を走行する際に氷路面からタイヤのサイプに吸収される水を排出する除水機能が低下するおそれがあった。
そこで、本発明の目的は、サイプのクラック抑制効果を維持しつつ高い除水機能を有する空気入りタイヤを提供することにある。
本発明の第1の特徴は、タイヤ周方向に延びる周方向溝(周方向溝2〜4)と、トレッド幅方向に延びる横溝(横溝5〜6)と、前記周方向溝および前記横溝によって区画される複数の陸部ブロック(陸部ブロック7)と、がトレッド部に設けられ、前記陸部ブロックには、端部が前記周方向溝および前記横溝の少なくともいずれかに連通するサイプ(サイプ8)が、トレッド面からタイヤ径方向内側に向けて所定深さ位置まで形成された空気入りタイヤであって、前記複数のサイプの少なくとも一つは、タイヤ径方向内側端に拡径部(拡径部10)を有するとともに、前記拡径部の径は、陸部ブロックの側壁に近づくにつれて大きくなるように形成されていることを要旨としている。
このような特徴によれば、サイプの深さ方向途中部でなく、径方向内側の端部に拡径部が形成されているため、タイヤ転動時にサイプに荷重が入力された場合におけるクラック発生を抑制すると共に、氷路面を走行する際の排水効果を得ることができる。また、拡径部の径の大きさは、陸部ブロックの側壁に近づくにつれて大きくなるため、拡径部の長手方向端部から排水する排水効果が高まる。このように、本発明によれば、サイプによる排水効果とサイプからのクラック抑制効果との両立を図ることができる。
その他の特徴では、前記サイプ(サイプ8)は、トレッド幅方向に延びることを要旨としている。
その他の特徴では、前記サイプは、タイヤ周方向に延びることを要旨としている。
本発明に係る空気入りタイヤによれば、サイプのクラック抑制効果を維持しつつ高い除水機能を得ることができる。
本発明の第1実施形態による空気入りタイヤのトレッドパターンである。 本発明の第1実施形態によるサイプを形式的に示す斜視図である。 図2のA−A線による断面図である。 図2のB−B線による断面図である。 本発明の第2実施形態によるサイプを形式的に示す斜視図である。 図5のA−A線による断面図である。 図5のB−B線による断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの詳細を図面に基づいて説明する。但し、図面は模式的なものであり、各材料層の厚みやその比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態による空気入りタイヤのトレッドパターンである。
図1に示すように、空気入りタイヤ1のトレッド部には、タイヤ周方向に延びる周方向溝2,3,4と、トレッド幅方向に延びる横溝5,6とがそれぞれ複数設けられており、これらの周方向溝2〜4と横溝5,6とによって陸部ブロック7が複数区画されている。これらの陸部ブロック7のそれぞれには、トレッド幅方向に延びるサイプ8が複数配設されている。本実施形態では、サイプ8は、一つの陸部ブロック7についてトレッド幅方向に沿って且つタイヤ周方向に等間隔に4本配列されている。また、サイプ8の幅方向両端8a,8bは、陸部ブロック7の側壁にまで至っており、周方向溝2に連通している。
図2は本発明の第1実施形態によるサイプを形式的に示す斜視図、図3は図2のA−A線による断面図、および、図4は図2のB−B線による断面図である。
ここで、サイプ8は、正確には実体のない空間であるため、図2は実際にはサイプ8を成形する際のブレード(歯)の形状である。しかし、サイプの形状を明確にするため、形式的に図2および図5のように示すこととする。
図2に示すように、サイプ8は、径外端9からタイヤ径方向内側端の拡径部10に至るまでタイヤ径方向(深さ方向)に沿って形成されている。図2,3に示すように、サイプ8の径外端は、陸部ブロック7のトレッド面の位置に対応しており、サイプ8は、径外側に配設した本体部11と、該本体部11のタイヤ径方向内側端に形成した拡径部10と、から一体形成されている。
前記拡径部10の径の大きさは、トレッド幅方向中央部の拡径部10aが最も小さく、幅方向両側に向かうにつれて徐々に且つなだらかに径が拡大し、陸部ブロック7の側壁部分で最も大きくなっている。そして、幅方向両端の拡径部10bは、陸部ブロック7に隣接する周方向溝2に連通している。なお、拡径部10のうち径が大きい幅方向両側の範囲は、拡径部10の長手方向の両端から拡径部10の全長の10〜35%の範囲に設定することが好ましい。
また、図3に示すように、本体部11の厚さtは、例えば0.4mmが好ましく、拡径部10bの径d1は、1.2t〜3.0tが好ましい。さらに、拡径部10aの径d2は、1.0t〜1.2tが好ましい。
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
本実施形態による空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる周方向溝2〜4と、トレッド幅方向に延びる横溝5〜6と、これらの周方向溝2〜4および横溝5〜6によって区画される複数の陸部ブロック7と、がトレッド部に設けられ、前記陸部ブロック7には、端部が周方向溝2〜4および横溝5〜6の少なくともいずれかに連通するサイプ8が、トレッド面からタイヤ径方向内側に向けて所定深さ位置まで形成された空気入りタイヤである。前記複数のサイプ8の少なくとも一つは、タイヤ径方向内側端に拡径部10を有するとともに、この拡径部10の径は、陸部ブロック7の側壁に近づくにつれて大きくなるように形成されている。
本実施形態によれば、サイプ8の深さ方向途中部でなく、径方向内側の端部に拡径部10が形成されているため、サイプ8に荷重が入力された場合におけるクラック発生を抑制すると共に、氷路面を走行する際の排水効果を得ることができる。また、拡径部10の径の大きさは、陸部ブロックの側壁に近づくにつれて大きくなるため、拡径部10の長手方向端部から排水する効果が高まる。
即ち、拡径部10の長手方向中央部の径を両端側よりも細くすることにより、サイプ8が水を吸収する際に長手方向中央部の水圧が両端側よりも高くなる。従って、拡径部10に吸収された水は、両端側に向けて流れて排出されるので、氷上性能が向上する。このように、本実施形態によれば、サイプによる排水効果を維持しつつ、サイプからのクラック抑制効果を得ることができる。
サイプ8は、トレッド幅方向に延びているため、走行時にサイプ8の径外端が開き、その径外端から排水する排水効果が更に高まる。
[第2の実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態と同一構造の部位には同一符号を付してその説明を省略する。
図5は本発明の第2実施形態によるサイプを形式的に示す斜視図、図6は図5のA−A線による断面図、および、図7は図5のB−B線による断面図である。
本実施形態に係るサイプ108は、第1実施形態のサイプ8に対して、幅方向中央部の拡径部と幅方向両側の拡径部との境界部分がなだらかに湾曲しておらず、側面視で略直線状に屈曲して形成されている。
本実施形態においても、サイプ108は、径外端109からタイヤ径方向内側端に至るまでタイヤ径方向(深さ方向)に沿って形成されている。図5〜7に示すように、サイプ108の径外端は、陸部ブロック7のトレッド面の径方向位置に対応し、径外側に配設した本体部111と、該本体部111のタイヤ径方向内側端に形成した拡径部110と、から一体形成されている。
前記拡径部110は、トレッド幅方向中央部の径が小さい細径部110aと、幅方向両側の径が太い太径部110bと、から一体形成されている。
本実施形態によっても、サイプによる排水効果を維持しつつ、サイプからのクラック抑制効果を得ることができる。
なお、前述した実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
例えば、前記第1および第2実施形態では、サイプはトレッド幅方向に沿って形成したが、タイヤ周方向に沿って形成しても良い。また、一つの陸部ブロックにおけるサイプの数も4本に限定されず、これ以外でも良く、少なくとも一本のサイプに拡径部が設けられていれば良い。
なお、タイヤ周方向に沿ってサイプを形成することにより、タイヤ転動時の荷重入力方向がサイプの延在方向と直交するため、サイプ数を増やしても陸部ブロック7の剛性を維持しつつ、高い排水効果を得ることができる。
次いで、本発明を実施例を通してさらに具体的に説明する。
従来例、比較例および本発明例について、サイズが195/65R15である空気入りタイヤを供試タイヤとした。ブロック列は、トレッド幅方向に5列並列されており、それぞれの陸部ブロックは平面視長方形である。この陸部ブロックをタイヤ周方向に沿って60個ずつ並べて配置してある。各陸部ブロックには、3本のサイプがトレッド幅方向に沿って延びており、陸部ブロックの全幅に亘って延びている。サイプの深さは10mmで、サイプ深さは7mmである。また、従来例に係るサイプは、径方向に沿って厚さが同一寸法に形成された従来型のサイプである。比較例に係るサイプは、断面円形状の拡径部がタイヤ径方向内側端に設けられており、拡径部の径は本体部の2倍(200%)に設定されている。本発明例に係るサイプは、図5に示した形状のサイプであり、長手方向両端部の太径部の径寸法は0.7mmであり、長手方向中央部の細径部の径寸法(0.42mm)に対して1.75倍(175%)に設定されており、長手方向中央部の細径部の径寸法は、本体部の径寸法の105%に設定されている。
これらの供試タイヤを、リム幅15×6Jインチのリムホイールに装着し、内圧が210kPaになるように空気を充填したのち、試験車両(車名:トヨタカローラ(商標))に組み付けた。この車両を走行させて、初速度20km/hのときにブレーキをロックさせて制動距離を測定した。速度、制動距離を補正したのち、摩擦抵抗係数に換算して指数化した結果を表1に示す。ここで、「太径部の両端の範囲」とは、図5に示した太径部110bの長手方向に沿った長さを全長で割ったときの割合(%)である。
Figure 2011088468
これらの結果より、本発明例の方が従来例および比較例よりも、制動摩擦係数指数が大きくなり、氷上性能が向上することが確認することができた。
2〜4 周方向溝
5,6 横溝
7 陸部ブロック
8,108 サイプ
10,110 拡径部

Claims (3)

  1. タイヤ周方向に延びる周方向溝と、トレッド幅方向に延びる横溝と、前記周方向溝および前記横溝によって区画される複数の陸部ブロックと、がトレッド部に設けられ、前記陸部ブロックには、端部が前記周方向溝および前記横溝の少なくともいずれかに連通するサイプが、トレッド面からタイヤ径方向内側に向けて所定深さ位置まで形成された空気入りタイヤであって、
    前記複数のサイプの少なくとも一つは、タイヤ径方向内側端に拡径部を有するとともに、
    前記拡径部の径は、前記陸部ブロックの側壁に近づくにつれて大きくなるように形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記サイプは、トレッド幅方向に延びることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記サイプは、タイヤ周方向に延びることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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