JP2011087366A - リニアモータ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】渦電流の発生を抑制できるリニアモータを提供する。
【解決手段】リニアモータ1は、コイル7と、コイル7と同心状の環状に設けられ、半径方向に磁化され、コイル7に対して軸CA方向に移動可能な磁石13と、コイル7と同心状に設けられた筒状の外ヨーク9と、を有する。そして、外ヨーク9は、絶縁膜27b及び接着剤29を介在させつつ軸CA回りに積層的に配列された、強磁性を示す複数の板状部材27を有する。
【選択図】図2
【解決手段】リニアモータ1は、コイル7と、コイル7と同心状の環状に設けられ、半径方向に磁化され、コイル7に対して軸CA方向に移動可能な磁石13と、コイル7と同心状に設けられた筒状の外ヨーク9と、を有する。そして、外ヨーク9は、絶縁膜27b及び接着剤29を介在させつつ軸CA回りに積層的に配列された、強磁性を示す複数の板状部材27を有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、リニアモータ及びその製造方法に関する。
コイルと、コイルと同心状の環状に形成され、半径方向に磁化された磁石とを有するリニアモータが知られている。このようなリニアモータにおいては、磁石の磁束を効率的にコイルに鎖交させるために、コイルや磁石と同心状の筒状に形成され、コイル又は磁石に固定されるヨークが設けられている。なお、ヨークは、磁石の磁束を軸方向に通過させる。
磁石がヨークに対して移動すると渦電流が発生する。また、コイルの構成によっては、コイルがヨークに対して移動すると、ヨークにより形成された磁界が移動して渦電流が発生する。そして、渦電流の発生は、発熱及び駆動効率の低下を招く。
本発明の目的は、渦電流の発生を抑制できるリニアモータ及びその製造方法を提供することにある。
本発明のリニアモータは、コイルと、前記コイルと同心状の環状に設けられ、半径方向に磁化され、前記コイルに対して軸方向に移動可能な磁石と、前記コイルと同心状に設けられた筒状のヨークと、を有し、前記ヨークは、絶縁層を介在させつつ前記コイルの軸回りに積層的に配列された、強磁性を示す複数の板状部材を有する。
好適には、前記ヨークは、前記複数の板状部材を含み、前記コイルの軸回りに配列された複数の分割ヨークを有し、各分割ヨークにおいて、前記複数の板状部材は、前記コイルの軸方向に見て、前記コイルの軸から当該分割ヨークを通過する放射線に直交する直線方向へ積層されている。
好適には、前記各分割ヨークは、隣接する分割ヨークと、前記コイルの軸回り方向における端面同士が平行に対向している。
好適には、前記複数の分割ヨークは、円環を、前記コイルの軸から延びる放射線で均等な間隔で切断した形状となっている。
好適には、前記複数の板状部材それぞれは、前記コイルの軸方向に見て、前記コイルの軸から各板状部材を通過する放射線に平行に配置されている。
好適には、本発明のリニアモータは、筒状に形成され、外周面に前記磁石を保持し、前記コイルに対して軸方向に移動可能に挿通された保持部材を更に有し、前記ヨークは、前記保持部材に対して軸方向に移動可能に挿通されている。
好適には、前記ヨークは、前記コイルに対して固定されており、前記コイルの前記磁石とは反対側に配置され、前記コイルと同心状のコイル側筒状部と、前記コイルの、当該コイルの軸方向両側において前記磁石側に突出するコイル側コアと、を有し、前記複数の板状部材は、前記筒状部を構成し、前記コイル側コアは、前記複数の板状部材とは別体の部材により構成されている。
好適には、本発明のリニアモータは、前記磁石に対して固定された磁石側ヨークを更に有し、前記磁石側ヨークは、前記磁石の前記コイルとは反対側に配置され、前記コイルと同心状の磁石側筒状部と、前記磁石の、前記コイルの軸方向両側において前記コイル側に突出する磁石側コアと、を有する。
本発明の別の観点のリニアモータは、コイルと、前記コイルの内周面又は外周面に対向し、前記コイルの半径方向に磁化され、前記コイルに対して前記コイルの軸方向に移動可能な磁石と、前記コイルの前記磁石とは反対側又は前記磁石の前記コイルとは反対側に設けられたヨークと、を有し、前記ヨークは、絶縁層を介在させつつ前記コイルの軸回りに積層的に配列された、強磁性を示す複数の板状部材を有する。
本発明のリニアモータの製造方法は、コイルと、前記コイルと同心状の環状に設けられ、半径方向に磁化され、前記コイルに対して軸方向に移動可能な磁石と、ヨークとを有するリニアモータの製造方法であって、強磁性を示す複数の板状部材を、絶縁層を介在させつつ積層して互いに固定し、前記複数の板状部材の積層体を形成する工程と、前記積層体の、積層方向の端部を部分的に除去する加工を行い、前記積層体を、前記積層方向に直交する第1方向に見て、前記積層方向及び前記第1方向に直交する第2方向の一方側が他方側よりも小さい形状に整形する工程と、複数の、加工された前記積層体を、前記第1方向に平行な所定の軸に対して、前記第2方向の前記一方側を向けて、前記軸回りに配列し、前記ヨークを形成する工程と、を有する。
本発明によれば、渦電流の発生を抑制できる。
以下、図面を参照して、本発明の複数の実施形態について説明する。なお、複数の実施形態において、互いに同様・類似の構成については、同一符号を付して説明を省略することがある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るリニアモータ1の軸CAに平行な断面図である。図2は、リニアモータ1を軸CA方向に見た正面図である。なお、図2は、断面図ではなく、複数の斜線は、断面を示すハッチングではないことに注意されたい。
図1は、本発明の第1実施形態に係るリニアモータ1の軸CAに平行な断面図である。図2は、リニアモータ1を軸CA方向に見た正面図である。なお、図2は、断面図ではなく、複数の斜線は、断面を示すハッチングではないことに注意されたい。
リニアモータ1は、軸CA方向に駆動力を発揮するモータとして構成されている。すなわち、リニアモータ1は、固定子3と、固定子3に対して軸CA方向へ移動可能な可動子5とを有している。
固定子3は、コイル7A及び7B(以下、A、Bを省略することがある。)と、コイル7に固定された外ヨーク9と、不図示の部材を介して外ヨーク9と固定された内ヨーク11とを有している。可動子5は、磁石13A及び13B(以下、A、Bを省略することがある。)と、磁石13に固定された保持部材15とを有している。
2つのコイル7は、互いに同一の形状である。コイル7は、軸CAを中心とする概ね円形の環状に形成されている。コイル7の断面形状は、図1において模式的に示すように、例えば、矩形である。なお、2つのコイルは、互いに接続されていなくてもよいし、互いに接続されていてもよい。
外ヨーク9は、主として磁性体により形成されている。外ヨーク9は、軸CAを軸とする円筒状に形成されている。外ヨーク9の内周面とコイル7の外周面とは、樹脂(接着剤)等の固定部材により固定されている。
内ヨーク11は、主として磁性体により形成されている。内ヨーク11は、軸CAを軸とする円筒状に形成されている。
外ヨーク9と内ヨーク11とは、不図示の連結部材により互いに固定される。なお、連結部材は、リニアモータ1の一部として設けられるものであってもよいし、リニアモータ1により駆動される機器の一部として設けられるものであってもよい。
2つの磁石13は、互いに同一の形状である。磁石13は、軸CAを中心とする円形の環状に設けられている。磁石13の断面形状は、図1において模式的に示すように、例えば、矩形である。
磁石13の軸CA方向の大きさは、コイル7と概ね同等である。2つの磁石13の軸CA方向における間隔は、概ね2つのコイル7の間隔と同等である。磁石13の外周面は、コイル7の内周面と半径方向において比較的小さい間隔で対向する。
磁石13は、半径方向において磁化されている。2つの磁石13の磁極の向きは互いに逆方向である(図6参照)。
磁石13は、図2に示すように、複数の分割磁石17が軸CA回りに配列されることにより構成されている。複数の分割磁石17は、互いに同一の形状である。分割磁石17は、軸CA方向に見て、軸CAを中心とする円弧状に形成されている。なお、磁石13は、環状に一体形成されたものであってもよい。
保持部材15は、軸CAを軸とする円筒状に形成されている。保持部材15は、磁性体により構成されてもよいし、非磁性体により構成されてもよい。保持部材15の外周面には、複数の分割磁石17が樹脂(接着剤)等の固定部材により固定されている。
保持部材15及び磁石13は、コイル7に対して軸CA方向に移動可能に挿通されている。内ヨーク11は、保持部材15に対して軸CA方向に移動可能に挿通されている。内ヨーク11、保持部材15、磁石13、コイル7及び外ヨーク9は、軸CAを中心として、同心状に配置されている。
図2に示すように、外ヨーク9は、複数の外分割ヨーク19が軸CA回りに配列されることにより構成されている。複数の外分割ヨーク19は、互いに同一の形状である。外分割ヨーク19は、軸CA方向に見て、軸CAを中心とする円弧状に形成されている。
より具体的には、軸CA方向に見て、外分割ヨーク19は、軸CAを中心とし、半径方向に幅を有する円環を、軸CAから延びる放射線N2により所定間隔毎に区切った形状である。従って、外分割ヨーク19は、軸CA方向に見て、軸CAを中心とする円弧状の内周面19aと、内周面19aと同心円となる円弧状の外周面19bと、軸CAから延びる放射線状の端面19cとを有している。
外ヨーク9と同様に、内ヨーク11は、複数の内分割ヨーク21が軸CA回りに配列されることにより構成されている。複数の内分割ヨーク21は、互いに同一の形状である。内分割ヨーク21は、軸CA方向に見て円弧状に形成されている。
より具体的には、軸CA方向に見て、内分割ヨーク21は、軸CAを中心とし、半径方向に幅を有する円環を、軸CAから延びる放射線N2により所定間隔毎に区切った形状である。従って、内分割ヨーク21は、軸CA方向に見て、軸CAを中心とする円弧状の内周面21aと、内周面21aと同心円となる円弧状の外周面21bと、軸CAから延びる放射線状の端面21cとを有している。
図3は、外分割ヨーク19の製造方法を説明する図である。具体的には、図3(a)及び図3(b)は、外分割ヨーク19となる積層体23を示し、図3(c)及び図3(d)は、外分割ヨーク19を示している。図3(a)及び図3(c)は、積層体23又は外分割ヨーク19を軸CA方向に見た図である。図3(b)及び図3(d)は、積層体23又は外分割ヨーク19を軸CA側から見た図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、まず、複数の板状部材25が積層されるとともに接着され、積層体23が形成される。そして、図3(c)及び図3(d)に示すように、積層体23が切断により整形されることにより、外分割ヨーク19が形成される。なお、積層体23に含まれていた複数の板状部材25は、切断されて複数の板状部材27になる。
積層体23に含まれる複数の板状部材25は、互いに同一の形状である。板状部材25の平面形状は、例えば、一方向(軸CA方向、図3(a)の紙面貫通方向、図3(b)の上下方向)に長い矩形に形成されている。板状部材25の厚さ(複数の板状部材25の積層方向における大きさ)は、全面に亘って一様になっている。そして、複数の板状部材25を、その平面形状の輪郭を一致させて積層することにより、積層体23は、直方体状に形成されている。
直方体の積層体23は、軸CAに平行な切断が行われることにより、軸CA方向に見て円弧状に形成される。これにより、内周面19a、外周面19b及び端面19cが形成される。換言すれば、内周面19a、外周面19b及び端面19cは、切断面により形成されている。
切断は、例えば、軸CA方向に延びるワイヤーに電圧を印加するワイヤーカット放電加工、軸CA方向に延びる糸鋸を用いた切断など、軸CAに平行な切断面を軸CAに直交する方向へ広げていく切断加工により行われる。
なお、図3(a)において2点鎖線で示すように、外分割ヨーク19は、例えば、材料節約の観点から、積層体23における最大の大きさで切り出される。また、積層体23は、軸CAに直交する切断は行われない(軸CA方向の寸法は変化しない。)。
外分割ヨーク19に含まれる複数の板状部材27は、軸CA回りに積層されている。より具体的には、図3(c)に示すように、複数の板状部材27は、軸CA方向に見て、軸CAから延びて外分割ヨーク19の軸CA回りの中央を通過する放射線N1に対して直交する直線方向に積層されている。また、複数の板状部材27は、互いに異なる形状となっている。
図4は、図2の領域IVの拡大図である。
特に図示しないが、積層体23に含まれる板状部材25は、例えば、磁性体により形成された板状の本体部と、絶縁体により形成され、本体部の主面又は表面全体に成膜された絶縁膜とを有している。磁性体は、例えば、珪素鋼であり、絶縁体は、例えば、セラミックや樹脂である。なお、絶縁膜によりコーティングされた珪素鋼板は、市場において容易に入手可能である。
従って、切断後の板状部材27も、磁性体により形成された板状の本体部27aと、絶縁体により形成され、本体部27aの主面に成膜された絶縁膜27bとを有している。板状部材27(25、本体部27a)の厚さは、例えば、0.1mm〜0.5mmである。絶縁膜27bの厚さは、例えば、0.1μm〜5μmである。
なお、本願の図は模式図であり、板状部材27は外分割ヨーク19の大きさに対して厚く図示されており、また、絶縁膜27bは、本体部27aに対して厚く図示されている。
板状部材27の切断面においては、切断前の板状部材25において絶縁膜が形成されていたか否かに関わらず、絶縁膜27bは配置されていない。ただし、切断後に切断面に絶縁膜を形成する処理がなされてもよい。
複数の板状部材27は、例えば、主面(互いの対向面)に配置された接着剤29により接着されている。接着剤29は、例えば、絶縁性の樹脂により形成されており、また、板状部材27(25)の主面の全面に亘って配置されている。
隣接する外分割ヨーク19は、例えば、端面19cに配置された接着剤31により接着されている。接着剤31は、例えば、絶縁性の樹脂により形成されており、また、端面19cの全面に亘って配置されている。
図2に示すように、内分割ヨーク21も、外分割ヨーク19と同様に、複数の板状部材33が軸CA回りに積層されることにより形成されている。内分割ヨーク21の製造方法、構成材料及び形状(寸法は除く)は、外分割ヨーク19と同様であり、説明は省略する。
図5は、図1の領域Vを拡大して示す模式的な断面図である。
コイル7は、線材35が軸CA回りに複数回巻かれることにより構成されている。線材35は、例えば、銅等の導電性の材料が樹脂等の非導電性の材料により被覆されて構成されている。また、線材35の断面形状は、概ね矩形状に形成されている。すなわち、線材35は、いわゆる平角線である。線材35の断面において、長手方向及び短手方向の径は適宜に設定されてよい。
線材35は、線材35により形成される輪が軸CA方向及び半径方向において配列されるように巻かれている。すなわち、線材35は、整列巻きされている。また、線材35は、平角線の一平面を同一方向(軸CA)に向けて巻かれている。従って、線材35により形成される輪と輪との間には、隙間が殆ど生じない。なお、図5では、線材35により形成される輪の軸CA方向の位置が、内側と外側とで一致する場合を例示しているが、当該位置は内側と外側とでずれていてもよい。線材35の巻き回数は適宜に設定されてよい。
図6は、リニアモータ1の動作を説明する図である。具体的には、図1の紙面上方側部分を示している。
リニアモータ1では、磁石13により磁界が形成される。具体的には、磁石13A及び13Bは、半径方向に磁化されるとともに、磁化の方向が互いに逆向きであるから、矢印y1で示すように、一方の磁石13(図6では磁石13A)から出た磁力線は外ヨーク9を通過して他方の磁石13(図6では磁石13B)に入る。また、矢印y2で示すように、他方の磁石13(図6では磁石13B)から出た磁力線は内ヨーク11を通過して他方の磁石13(図6では磁石13A)に入る。なお、保持部材15が磁性体により形成されている場合には、矢印y3で示すように、保持部材15においても内ヨーク11と同様に磁力線が通過する。
矢印y1で示す磁力線は、コイル7を半径方向へ通過する。従って、コイル7に電力を供給すると、フレミングの左手の法則により、コイル7には、磁石13に対する、軸CA方向の推力が生じる。なお、コイル7は固定子3を構成することから、矢印y4で示すように、磁石13が軸CA方向へ移動することになる。
矢印y1で示す磁力線は、コイル7Aを通過するときとコイル7Bを通過するときとで、半径方向の向きが逆である。図6では、矢印y1で示す磁力線が、コイル7Aにおいては内周側から外周側へ通過し、コイル7Bにおいては外周側から内周側へ通過する場合を例示している。従って、コイル7A及びコイル7Bに対して円周方向において逆向きの電力を供給することにより、コイル7A及びコイル7Bにおいて、磁石13に対する、軸CA方向の同一の向きの推力が生じる。また、コイル7A及び7Bに交流電力を供給すれば、交流電力の周波数で双方向の推力が交互に生じる。図6では、コイル7Aにおいて紙面手前側への電力が供給され、コイル7Bにおいて紙面奥手側への電力が供給され、磁石13が矢印y4で示す向きへ移動する場合を例示している。
以上の実施形態によれば、リニアモータ1は、コイル7と、コイル7と同心状の環状に設けられ、半径方向に磁化され、コイル7に対して軸CA方向に移動可能な磁石13と、コイル7と同心状に設けられた筒状の外ヨーク9と、を有する。そして、外ヨーク9は、絶縁膜27b及び接着剤29を介在させつつ軸CA回りに積層的に配列された、強磁性を示す複数の板状部材27を有する。
従って、磁石13が外ヨーク9に対して移動することにより外ヨーク9において生じる可能性のある渦電流は、絶縁膜27b及び接着剤29により、軸CA回りの経路が遮断され、発生が抑制される。その一方で、複数の板状部材27は、軸CAに平行に延びるとともに、軸CAに対して概ね放射状に配置されているから、図6において矢印y1で示す磁力線の経路は遮断されず、磁力線を効率的にコイル7に通過させることができる。
外ヨーク9は、複数の板状部材27を含み、軸CA回りに配列された複数の外分割ヨーク19を有する。各外分割ヨーク19において、複数の板状部材27は、軸CA方向に見て、軸CAから当該外分割ヨーク19を通過する放射線N1に直交する直線方向へ積層されている。従って、後述する第3実施形態(図8参照)に比較して、複数の板状部材27を隙間なく積層することができる。その結果、外ヨーク9の磁気経路を形成する機能が向上する。
各外分割ヨーク19は、隣接する外分割ヨーク19と、軸CA回り方向における端面19c同士が平行に対向している。従って、後述する第2実施形態(図7参照)に比較して、外分割ヨーク19間の隙間を少なくすることができる。その結果、外ヨーク9の磁気経路を形成する機能が向上する。
複数の外分割ヨーク19は、円環を、軸CAから延びる放射線N2で均等な間隔で切断した形状となっている。従って、互いに同一の形状の外分割ヨーク19により、上述のような、軸CA回りにおいて隙間のない外ヨーク9が構成されることになる。その結果、製造コストが縮小される。
なお、外ヨーク9について本実施形態の作用及び効果を述べたが、内ヨーク11についても、同様の作用及び効果が奏される。
また、リニアモータ1は、筒状に形成され、外周面に磁石13を保持し、コイル7に対して軸CA方向に移動可能に挿通された保持部材15を更に有する。内ヨーク11は、保持部材15に対して軸CA方向に移動可能に挿通されている。
一般に、内ヨークは磁石を保持し、可動子を構成しており、可動子の軽量化のために内ヨークを小さくすると、内ヨークを通過可能な磁束が減り、磁気飽和が生じやすくなる。しかし、本実施形態では、磁石13を保持する部材(15)と、磁石13の磁気経路を構成する部材(11)とが別部材として設けられていることから、可動子5の軽量化と磁気飽和の抑制とを両立できる。
本実施形態のリニアモータ1の製造方法は、強磁性を示す複数の板状部材25を、絶縁膜27b及び接着剤29を介在させつつ積層して固定し、複数の板状部材25の積層体23を形成する工程を有する。また、当該製造方法は、積層体23の、積層方向の端部を切断して、積層体23(外分割ヨーク19)を、積層方向に直交する第1方向(図3(c)の紙面貫通方向)に見て、積層方向及び前記第1方向に直交する第2方向の一方側(図3(c)の下方側)が他方側(図3(c)の上方側)よりも小さい形状に整形する工程を有する。さらに、当該製造方法は、複数の、切断された積層体(外分割ヨーク19)を、前記第1方向に平行な軸CAに対して、前記第2方向の前記一方側(図3(c)の下方側)を向けて、軸CA回りに配列し、外ヨーク9を形成する工程を有する。
従って、互いに同一形状の複数の板状部材25を用いて、軸CA回りに積層的に配列された複数の板状部材27を有するとともに、軸CAからの放射線状の端面19cを有する外分割ヨーク19を形成することができる。その結果、上述のように、渦電流の発生を抑制しつつ、磁束密度を高くすることができ、且つ、後述する第2実施形態に比較して軸CA回りに隙間のない若しくは隙間の少ない外ヨーク9を形成することができる。
外ヨーク9の分割数(外分割ヨーク19の数)は、多くなると、積層体23の切断回数や接着回数が増加し、生産効率が低下する。その一方、分割数が少なくなると、各外分割ヨーク19における弧の中心角が増大し、外分割ヨーク19の端部において、複数の板状部材27の積層方向が半径方向に近くなってしまい、渦電流の抑制や磁束密度向上の効果が減じられる。
従って、外ヨーク9の分割数は、生産性と、渦電流抑制等の種々の効果とを比較考量して、適宜に設定されることが好ましい。例えば、重さが50kg程度のモータでは、分割数は、4〜12であることが好ましい。内ヨーク11についても同様であり、分割数は、4〜12であることが好ましい。なお、外ヨーク9の分割数と、内ヨーク11の分割数とは互いに異なっていてもよい。
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態のリニアモータ101の図2に対応する正面図である。なお、リニアモータ101の断面図は、図1と同様である。
図7は、第2実施形態のリニアモータ101の図2に対応する正面図である。なお、リニアモータ101の断面図は、図1と同様である。
リニアモータ101は、外ヨーク109及び内ヨーク111の構成が、第1実施形態のリニアモータ1の外ヨーク9及び内ヨーク11の構成と相違する。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。具体的には、以下のとおりである。
外ヨーク109は、第1実施形態と同様に、軸CA回りに配列された複数の外分割ヨーク119を有している。また、外分割ヨーク119は、第1の実施形態と同様に、軸CA回りに積層的に配列された複数の板状部材127を有している。
ただし、第1の実施形態の外分割ヨーク19の端面19cは、軸CAからの放射線状に整形され、複数の板状部材27の縁部により形成されていたのに対し、外分割ヨーク119の軸CA回り方向の端面119cは、整形されておらず、端部に位置する板状部材127の主面により構成されている。そして、外分割ヨーク119間には、隙間が生じている。
なお、外分割ヨーク119の内周面119a及び外周面119bは、切断により整形されていてもよいし、整形されていなくてもよい。なお、図7では、整形されている場合を例示している。しかし、板状部材127が十分に薄ければ、整形しなくても内周面119a及び外周面119bは滑らかな円弧状となる。
また、整形しない場合、外分割ヨーク119に関して一切の切断工程を省略することができる。ただし、外分割ヨーク119の中央における板状部材127の幅x1と、端部における板状部材127の幅x2とは異なるから、複数の異なる幅の板状部材127を用意する必要がある。
内ヨーク111も、外ヨーク109と同様である。すなわち、内ヨーク111は、複数の板状部材133により構成される複数の内分割ヨーク121を有し、内分割ヨーク121の軸CA回りの端面121cは整形されていない。
以上の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、外ヨーク109及び内ヨーク111において、渦電流の発生を抑制しつつ、磁束を効率的に通過させることができる。
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態のリニアモータ201の図2に対応する正面図である。なお、リニアモータ201の断面図は、図1と同様である。
図8は、第3実施形態のリニアモータ201の図2に対応する正面図である。なお、リニアモータ201の断面図は、図1と同様である。
リニアモータ201は、外ヨーク209及び内ヨーク211の構成が、第1実施形態のリニアモータ1の外ヨーク9及び内ヨーク11の構成と相違する。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。具体的には、以下のとおりである。
外ヨーク209は、第1実施形態と同様に、軸CA回りに積層的に配列された複数の板状部材227を有している。ただし、第1の実施形態の複数の板状部材27は、直線方向に積層されていたのに対し、第2の実施形態の複数の板状部材227は、軸CA回りの円周方向に積層されている。換言すれば、複数の板状部材227それぞれは、軸CA方向に見て、軸CAから各板状部材227を通過する放射線に平行に配置されている。
内ヨーク211も、外ヨーク209と同様である。すなわち、内ヨーク211は、軸CA方向に見て、軸CAから各板状部材233を通過する放射線に平行に配置され、軸CA回りの円周方向に積層された複数の板状部材233を有している。
以上の第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、外ヨーク209及び内ヨーク211において、渦電流の発生を抑制しつつ、磁束を効率的に通過させることができる。
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態のリニアモータ301の図1に対応する断面図である。
図9は、第4実施形態のリニアモータ301の図1に対応する断面図である。
第1実施形態のリニアモータ1は、磁石13を保持する保持部材15と、保持部材15に挿通される内ヨーク11とを有していたのに対し、第4実施形態のリニアモータ301は、磁石13を保持する内ヨーク311を有している。
内ヨーク311は、磁石13を保持する機能と、磁束を通過させるヨークとしての機能とを兼ねている。内ヨーク311は、磁石13とともに可動子305を構成し、外ヨーク9及びコイル7により構成される固定子303に対して軸CA方向に移動する。
ここで、内ヨーク311は、磁石13に対して移動しないから、磁石13の磁界による渦電流は発生しない。また、2つのコイル7は、図6を参照して説明したように、互いに逆向きに電圧が印加されるから、2つのコイル7の形成する磁界は相殺される。従って、内ヨーク311においては、リニアモータ301の駆動による渦電流は発生しにくい。
そこで、第1実施形態の内ヨーク11は、磁石13による渦電流を抑制するために複数の板状部材33により形成されていたのに対し、第4実施形態の内ヨーク311は、複数の板状部材33によっては形成されていない。内ヨーク311は、例えば、環状に一体形成された磁性体により、又は、内分割ヨーク21と同一形状に一体形成された複数の磁性体により、構成されている。
以上の第4実施形態によれば、外ヨーク9に関して、第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、外ヨーク9において、渦電流の発生を抑制しつつ、磁束を効率的に通過させることができる。
なお、第1実施形態は、可動子を軽量化できるメリットがあり、第4実施形態は、内ヨークの構成を簡素にできるメリットがある。用途に応じていずれかの形態が選択されてよい。
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態に係るリニアモータ401の図1に対応する断面図である。
図10は、第5実施形態に係るリニアモータ401の図1に対応する断面図である。
第1実施形態のリニアモータ1は、2組のコイル7及び磁石13を有したのに対し、第5実施形態のリニアモータ401は、1組のコイル7及び磁石13を有している。また、第5実施形態の内ヨーク411は、第4実施形態の内ヨーク311と同様に、磁石13を保持している。
従って、第5実施形態においては、外ヨーク409は、第1実施形態と同様に、磁石13の磁界による渦電流の発生が抑制されることが望ましい。また、内ヨーク411は、コイル7の磁界による渦電流の発生が抑制されることが望ましい。
さらに、第5実施形態のリニアモータ401の外ヨーク409及び内ヨーク411は、外コア409b及び内コア411bを有しており、これにより、動作原理が第1実施形態のリニアモータ1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
外ヨーク409は、円筒状に形成された外筒状部409aと、外筒状部409aの、軸CA方向両側において、内側(磁石13側)へ突出する外コア409bとを有している。
外筒状部409aの構成は、第1実施形態の外ヨーク9の構成と同様である。すなわち、外筒状部409aは、複数の板状部材27が軸CA回りに積層的に配列されることにより形成されている。
外コア409bは、軸CA回りに環状に延びる突条に形成されている。外コア409bは、環状に一体形成された磁性体により、又は、円弧状に一体形成され、環状に配列された複数の磁性体により構成されている。磁性体は、例えば、鉄(SS400等)である。
外筒状部409aと外コア409bとは、例えば、ボルト等の適宜な固定部材により互いに固定されている。なお、外筒状部409aと外コア409bとの界面には、樹脂(接着剤)などの非磁性体が介在しないことが好ましい。また、コイル7は、2つの外コア409b間に嵌合している。
内ヨーク411は、円筒状に形成された内筒状部411aと、内筒状部411aの、軸CA方向両側において、内側(磁石13側)へ突出する内コア411bとを有している。
内筒状部411aの構成は、第1実施形態の内ヨーク11の構成と同様である。すなわち、内筒状部411aは、複数の板状部材33が軸CA回りに積層的に配列されることにより形成されている。
内コア411bの構成は、寸法、位置及び突出方向を除いて、外コア409bの構成と同様である。すなわち、内コア411bは、軸CA回りに環状に延びる突条に形成されている。また、内コア411bは、環状に一体形成された磁性体により、又は、円弧状に一体形成され、環状に配列された複数の磁性体により構成されている。
内筒状部411a及び内コア411bは、外筒状部409a及び外コア409bと同様に、ボルト等の適宜な固定部材により互いに固定されている。また、内筒状部411aと内コア411bとの界面には非磁性体が介在しないことが好ましい。磁石13は、2つの内コア411b間に、内コア411bから離間して配置されている。
コイル7は、磁石13よりも軸CA方向において大きく形成されている。外コア4099b及び内コア411bは、軸CA方向の大きさが互いに概ね同等になるように形成されている。2つの内コア411bの中心間距離L2は、2つの外コア409bの中心間距離L1よりも大きく設定されている。
図11は、第5実施形態のリニアモータ401の動作を説明する断面図(図10の紙面上方側部分に相当する図)である。図11(a)は、リニアモータ401が中立位置にあるときを示している。図11(b)は、可動子405が固定子403に対して紙面左側へ駆動された状態を示している。
中立位置(図11(a))においては、コイル7の軸CA(図11では不図示。図10参照)方向の中心位置と、磁石13の軸CA方向の中心位置とは一致している。また、内コア411bの軸CA方向の中心位置は、外コア409bの軸CA方向の中心位置よりも軸CA方向の外側にずれている。
リニアモータ401においては、磁石13により、矢印y11で示す磁界が形成される。具体的には、磁石13のN極から出た磁力線は、コイル7を半径方向に貫通し、外筒状部409aを軸CA方向両側へ進み、外コア409bを通過する。そして、当該磁力線は、内コア411bに入り、内筒状部411aを軸CA方向中央側へ進み、磁石13のS極に入る。
従って、コイル7に電流が流されると、第1実施形態と同様に、フレミングの左手の法則により、図11の紙面左右方向(軸CAの方向)の力が生じる。例えば、図11のコイル7の断面において紙面手前側から紙面奥手側へ電流が流れるときには、図11(b)に示すように、可動子405を固定子403に対して紙面左側へ移動させる力が生じる。なお、矢印y13は、相対移動の方向を示している。
このように、リニアモータ401は、いわゆるコアレスモータの機能を有する。さらに、リニアモータ401は、磁界による吸引力を利用する、いわゆるコア付きモータの機能も有する。具体的には、以下のとおりである。
コイル7に電流が流されると、いわゆる右ねじの法則に従って、矢印y12で示す磁界が形成される。例えば、図11のコイル7の断面において紙面手前側から紙面奥手側へ電力が流れるときには、磁力線が、内筒状部411a(コイル7内側)を紙面左側へ進み、外筒状部409a(コイル7外側)を紙面右側へ進む磁界が形成される。
このとき、矢印y12で示す磁界により、紙面右側においては、外コア409bにN極が、内コア411bにS極が形成され、紙面左側においては、内コア411bにN極が、外コア409bにS極が形成される。
一方、磁石13により形成される、矢印y11で示す磁界によっては、紙面両側において、外コア409bにN極が、内コア411bにS極が形成されている。
従って、紙面右側においては、磁石13の磁界によっても、コイル7の磁界によっても、外コア409bにN極が、内コア411bにS極が形成される。その結果、外コア409bと内コア411bとの間で吸引力が生じる。
一方、紙面左側の各コアにおいては、磁石13の磁界及びコイル7の磁界によって形成される磁極は互いに異種となり、各コアにおける磁極としての機能は低下する。その結果、見掛け上、磁石13の磁界による吸引力と、コイル7の磁界による吸引力とは打ち消し合う。
そして、紙面右側において生じる吸引力は、紙面左側において生じる吸引力よりも大きくなる。この吸引力の差により、可動子405は、固定子403に対して、紙面右側の外コア409b及び内コア411bを吸着させる方向(紙面左側)、すなわち、外コア409bの軸CA方向の中心位置と、内コア411bの軸CA方向の中心位置とを一致させる方向に移動する。
コイル7に流れる電流の向きを逆にすれば、同様の原理により、可動子405は固定子403に対して反対方向へ移動する。また、コイル7に流れる電流を増減すれば、フレミングの法則に従う力が増減するとともに、紙面右側の吸引力と紙面左側の吸引力との差が増減し、リニアモータ401の推力が増減される。
なお、いわゆるコア付きモータにおいては、磁石13がコイル7よりも軸CA方向において大きく形成されるとともに、内コア411bは設けられない。そして、外コア409bに形成された磁極は、磁石13に対して反発力又は吸引力を生じる。すなわち、いわゆるコア付きモータは、本実施形態と同様に、電磁石の吸引力を利用可能であるが、本実施形態とは構成及び作動原理が相違する。
以上の第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、外ヨーク409及び内ヨーク411において、渦電流の発生を抑制しつつ、磁束を効率的に通過させることができる。
さらに、外コア409b及び内コア411bを設けることにより、フレミングの法則に基づく駆動力に加えて、電磁石の吸着力に基づく駆動力を得ることができる。また、外コア409b及び内コア411bを、板状部材27又は板状部材33とは別個の部材により構成していることから、加工が容易である。
例えば、外ヨーク409全体を積層体23(図3(a),図3(b))の切断により形成することを考える。この場合、軸CA方向(図3(a)の紙面貫通方向)に見て、外筒状部409aの内周面(内周面19a)は外コア409bに隠れてしまうから、軸CA方向に延びるワイヤーや鋸を用いて内周面19aを形成することはできない。また、内周面19aは、軸CAを中心とする弧状に湾曲しているから、積層方向(図3(a)の左右方向)に延びるワイヤーや鋸を用いて内周面19aを形成することもできない。しかし、本実施形態によれば、そのような問題は生じない。
(第6実施形態)
図12は、第6実施形態に係るリニアモータ501の図1に対応する断面図である。
図12は、第6実施形態に係るリニアモータ501の図1に対応する断面図である。
第1実施形態では、コイル7は外ヨーク9及び内ヨーク11に対して固定されて固定子3を構成し、磁石13は可動子5を構成した。これに対し、第6実施形態では、磁石13が外ヨーク509及び内ヨーク11に対して固定されて固定子503を構成し、コイル7が可動子を構成している。
従って、第6実施形態においては、コイル7の磁界による渦電流の発生が抑制されることが望ましい。特に、内ヨーク11における渦電流の発生が抑制されることが望ましい。そこで、内ヨーク11は、第1実施形態と同様に、複数の板状部材27により構成されている。
なお、外ヨーク509は、軸CA方向の一方側が塞がれた筒状に形成されており、例えば、一体形成された磁性体により、又は、所定の形状に一体形成されて組み合わされた複数の磁性体により、構成されている。
以上の第6実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、内ヨーク11において、渦電流の発生を抑制しつつ、磁束を効率的に通過させることができる。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
上述の複数の実施形態は、適宜に組み合わされてよい。例えば、第2実施形態や第3実施形態における複数の板状部材の配置方法は、第4〜第6実施形態に適用されてよい。また、例えば、第1実施形態の保持部材と内ヨークとを設ける構成は、第5実施形態に適用されてよい。
リニアモータは、電磁石の吸引力及び反発力のみを利用するコア付きモータであってもよい。また、リニアモータは、コイルと環状の磁石とが同心状に配置されたいわゆるボイスコイルモータに限定されない。磁石は、コイルの内周又は外周に対して、全周に亘って対向する必要はない。すなわち、磁石は、環状である必要はない。ヨークについても同様である。従って、例えば、磁石等は、直方体状であってもよい。
リニアモータが、ボイスコイルモータである場合、コイル、磁石及びヨークは、軸方向に見て円形のもの(円筒含む)に限定されない。例えば、軸方向に見て矩形や楕円形であってもよい。なお、本願では、環状及び筒状の語は、所定の軸を囲む形状をいい、軸方向に見て円形であるものに限定されないものとする。また、同心状の語は、中心(軸)が完全に一致する状態に限定されず、一方の環(筒)内に他方の環(筒)が位置する状態をいうものとする。
磁石は、コイルの内側に配置されてもよいし、コイルの外側に配置されてもよい。また、磁石及びコイルのいずれが固定子又は可動子であってもよい。可動子及び固定子は、いずれが内周側又は外周側に配置されてもよい。磁石は、N極及びS極のいずれがコイルに対向してもよい。
複数の強磁性を示す板状部材を有するヨークは、第1実施形態のように内ヨーク及び外ヨークの双方であってもよいし、第4実施形態のように外ヨークだけであってもよいし、第6実施形態のように内ヨークだけであってもよい。
複数の分割ヨークは、互いに同一の形状である必要はない。例えば、図7の上下に配置された2つの外分割ヨーク119は、その端面119cが図7の左右方向に平行になるように、図7の左右に配置された2つの外分割ヨーク119とは異なる形状で、積層体から切り出されてよい。
また、上記の例で理解されるように、分割ヨークの、軸(CA)回りにおいて互いに平行に対向する端面は、軸から延びる放射線(N2)に沿っている必要はない。ただし、端面が軸から延びる放射線に沿っている場合、複数の分割ヨークを同一形状にすることができ、好ましい。
複数の板状部材は、接着剤以外の方法により互いに固定されてもよい。例えば、かしめやボルトにより固定されてもよい。複数の板状部材が所定の部材に固定されることにより、複数の板状部材が間接的に互いに固定されてもよい。
実施形態では、図4を参照して説明したように、本体部27aの表面にコーティングされた絶縁膜27bと、複数の板状部材27を接着する接着剤29とが別個に設けられた。しかし、接着剤として機能し得る樹脂により絶縁膜27bを形成し、接着剤29を省略してもよい。逆に、本体部27a同士は、接着剤29によって絶縁されるから、本体部27aのみにより板状部材27が形成されてもよい。
複数の板状部材が第1実施形態のように各分割ヨークにおいて直線方向に積層される場合、その積層方向は、各分割ヨークの中央を通過する放射線(N1)に直交する方向に限定されない。例えば、分割ヨークの端部を通過する放射線(N2)に対して直交する方向であってもよい。ただし、上述のように、積層方向は、各分割ヨークの中央を通過する放射線(N1)に直交する方向であることが好ましい。
ヨークの製造方法は、複数の板状部材の積層体を整形する方法に限定されない。ヨークは、整形された複数の板状部材を積層することにより製造されてもよい。また、ヨークが積層体の整形により製造される場合、積層体から一部を除去する方法は、切断に限定されない。例えば、エンドミルなどを用いた切削加工によって一部が除去されてもよい。なお、この場合、第5実施形態のコア付きヨーク全体を積層体から形成することも可能である。
本願において複数の板状部材が積層的に配列とは、例えば、隣接する板状部材同士が対向するように配列されていることをいい、隣接する板状部材同士が互いに平行であるか否か、互いに当接しているか否かを問わない。また、複数の板状部材が軸回りに積層的に配列とは、例えば、軸から延びて複数の板状部材の所定位置(板中央又は外周側の端部など)を通過する複数の放射線において、複数の板状部材の積層順と、軸回りの角度順とが一致する状態をいう。また、例えば、複数の板状部材が軸方向に積層されておらず、また、複数の板状部材が半径方向に積層されていない状態をいう。
1…リニアモータ、7…コイル、13…磁石、9…外ヨーク、27…板状部材、27b…絶縁膜(絶縁層)、29…接着剤(絶縁層)。
Claims (10)
- コイルと、
前記コイルと同心状の環状に設けられ、半径方向に磁化され、前記コイルに対して軸方向に移動可能な磁石と、
前記コイルと同心状に設けられた筒状のヨークと、
を有し、
前記ヨークは、絶縁層を介在させつつ前記コイルの軸回りに積層的に配列された、強磁性を示す複数の板状部材を有する
リニアモータ。 - 前記ヨークは、前記複数の板状部材を含み、前記コイルの軸回りに配列された複数の分割ヨークを有し、
各分割ヨークにおいて、前記複数の板状部材は、前記コイルの軸方向に見て、前記コイルの軸から当該分割ヨークを通過する放射線に直交する直線方向へ積層されている
請求項1に記載のリニアモータ。 - 前記各分割ヨークは、隣接する分割ヨークと、前記コイルの軸回り方向における端面同士が平行に対向している
請求項2に記載のリニアモータ。 - 前記複数の分割ヨークは、円環を、前記コイルの軸から延びる放射線で均等な間隔で切断した形状となっている
請求項3に記載のリニアモータ。 - 前記複数の板状部材それぞれは、前記コイルの軸方向に見て、前記コイルの軸から各板状部材を通過する放射線に平行に配置されている
請求項1に記載のリニアモータ。 - 筒状に形成され、外周面に前記磁石を保持し、前記コイルに対して軸方向に移動可能に挿通された保持部材を更に有し、
前記ヨークは、前記保持部材に対して軸方向に移動可能に挿通されている
請求項1〜5のいずれか1項に記載のリニアモータ。 - 前記ヨークは、前記コイルに対して固定されており、
前記コイルの前記磁石とは反対側に配置され、前記コイルと同心状のコイル側筒状部と、
前記コイルの、当該コイルの軸方向両側において前記磁石側に突出するコイル側コアと、
を有し、
前記複数の板状部材は、前記筒状部を構成し、
前記コイル側コアは、前記複数の板状部材とは別体の部材により構成されている
請求項1〜6のいずれか1項に記載のリニアモータ。 - 前記磁石に対して固定された磁石側ヨークを更に有し、
前記磁石側ヨークは、
前記磁石の前記コイルとは反対側に配置され、前記コイルと同心状の磁石側筒状部と、
前記磁石の、前記コイルの軸方向両側において前記コイル側に突出する磁石側コアと、
を有する
請求項7に記載のリニアモータ。 - コイルと、
前記コイルの内周面又は外周面に対向し、前記コイルの半径方向に磁化され、前記コイルに対して前記コイルの軸方向に移動可能な磁石と、
前記コイルの前記磁石とは反対側又は前記磁石の前記コイルとは反対側に設けられたヨークと、
を有し、
前記ヨークは、絶縁層を介在させつつ前記コイルの軸回りに積層的に配列された、強磁性を示す複数の板状部材を有する
リニアモータ。 - コイルと、前記コイルと同心状の環状に設けられ、半径方向に磁化され、前記コイルに対して軸方向に移動可能な磁石と、ヨークとを有するリニアモータの製造方法であって、
強磁性を示す複数の板状部材を、絶縁層を介在させつつ積層して互いに固定し、前記複数の板状部材の積層体を形成する工程と、
前記積層体の、積層方向の端部を部分的に除去する加工を行い、前記積層体を、前記積層方向に直交する第1方向に見て、前記積層方向及び前記第1方向に直交する第2方向の一方側が他方側よりも小さい形状に整形する工程と、
複数の、加工された前記積層体を、前記第1方向に平行な所定の軸に対して、前記第2方向の前記一方側を向けて、前記軸回りに配列し、前記ヨークを形成する工程と、
を有するリニアモータの製造方法。
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