JP2011086403A - コンバージョン型イオン検出ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】イオンを電子に変換し、該変換された電子を増幅する機構を有するイオン検出ユニットにおいて、迷光に起因するノイズを低減可能なコンバージョン型イオン検出ユニットを提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態に係るイオン検出ユニット101は、該イオン検出ユニット101内にイオン束107を入射させるための開口としてのアパーチャ113aと、該アパーチャ113aから入射されたイオン束を電子に変換するコンバージョン電極103と、該変換された電子109を増幅する2次電子増倍管102とを備えている。さらに、コンバージョン電極103のイオンが照射される面積は、アパーチャ113aの面積の同等以下である。
【選択図】図1A

Description

本発明は、質量分析装置においてイオン、特に質量数の大きなイオンを高いS/N(シグナル/ノイズ比)で検出するコンバージョン型イオン検出ユニットに関するものである。
混合試料を構成する各成分を質量の違いにより定性・定量する分析装置である質量分析装置は、質量ごとに分別されたイオンを検出するイオン検出ユニットを備えている。該ユニットは、板形状のコンバージョン電極、例えば15段程度の2次電子増倍電極(Secondary Electron Multiplier;SEM、以降SEMとも呼ぶ)、およびコレクタなどを備えている。(広義の)SEMには多くの種類があり、非特許文献1における図3(3.2章)の(狭義の)SEM、および図6(3.4章)のコンバージョンダイノード+SEM/CEN(コンバージョン型イオン検出ユニットとも呼ぶ)の二つが一般的である。特に、後者のコンバージョン型イオン検出ユニットは、質量数の大きなイオンに対して感度劣化が少ないことが特長となり、高性能な質量分析装置にとってより重要となっている。
上記コンバージョン型イオン検出ユニットにおいては、質量分別されたイオンがコンバージョン電極(電子イオン変換電極)にほぼ垂直に衝突する。その際、コンバージョン電極に-10kVが印加されていれば衝突エネルギーはほぼ10keVとなり、このエネルギーによりコンバージョン電極の表面から電子が発生し、イオン/電子変換が行なわれる。この収率(効率)は0.5程度であり、高質量のイオンでも収率の低下が比較的少ない。コンバージョン電極への印加電圧は-6kV〜-20kVの範囲で選ぶ場合もあるが、-6kV以下では十分な変換効率が得られず、-20kV以上では変換効率の向上は飽和気味になるとともにアース電位である周辺電極との放電の問題が急増することが知られている。なお、イオンとしては正(陽)イオン、負(陰)イオンの両方に適用可能であるが、正イオンが一般的なので以下すべて正イオンとして説明する。
コンバージョン電極から発生した電子は通常-2kV程度の電圧が印加されているSEMの初段電極に入射すると、初段電極は2次電子を増幅して放出する。SEMを構成する各電極には初段電極から最終段電極まで100〜200V程度の電位差で順に電圧が印加されており、各電極にて電子の増幅が行われる。通常、最終電極はアース電位(0V)とするので、各電極に印加された電圧の合計が初段電極に印加する電圧と等しくなる。また、経時変化によって各電極の表面が劣化して全体の増幅率が低下してくるので、最初(新品)では初段電極の電圧は-1kV程度でよいが最終的(交換前)には-3kVまで大きくする必要がある。したがって、初段電極の電圧は平均としては-2kV程度であるが、可変範囲としては-1〜-3kVとなっている。なお、-1kV以上では十分な増幅率が得られず、-3kV以下では変換効率の向上は飽和気味となるとともに各電極間での放電の問題が急増することが知られている。すなわち、コンバージョン電極には-6kV〜-20kV、SEMの初段電極には-1kV〜-3kVが印加される。したがって、コンバージョン型イオン検出ユニットを特徴づけるものは、コンバージョン電極と2次電子増倍管が独立して設置され、コンバージョン電極に印加する電圧が2次電子増倍管に印加する電圧の2倍以上であることとなる。
これらの電極は、アース電位であるケースに囲まれており、該ケースには初段電極に電子が入射するための開口が設けられている。
しかしながら、コンバージョン電極には検出して信号とするべき本来のイオンのみでなくノイズの原因となる光も到来する。コンバージョン電極では光もイオン同様に電子に変換される(光電効果によって光電子が発生する)ので、該光により生じた電子もSEMでシグナルと同じように増幅されてノイズとなる。また、SEMの初段電極に直接光が到来しても同じようにノイズとなる。印加電圧を増加し電子増幅率を高くしても、これらのノイズも増加するので信号(シグナル)とノイズの割合、すなわちS/Nは改善されない。質量分析装置では9桁(ppb)程度の濃度差を持つ混合試料を分析する必要があるため、S/Nも9桁程度の値が求められ、如何にノイズを抑えるかがその性能を決定付ける重要な要素となる。
質量分別をするにあたっては、まず測定する成分である中性分子をイオン化する必要がある。代表的なイオン化法は電子イオン化であり、イオン源のフィラメントから発生させた熱電子を用いて中性分子にエネルギーを与えて外殻電子を除去しイオン化する(電子イオン化の他にも、プラズマや電界などを用いる数多くの方法がある)。しかし、この過程でイオン化までには到らず励起されただけの分子も多く発生し、これらはしばらくして数〜十数eVのエネルギーを持つ真空紫外光を放出して安定化する。この真空紫外光は電荷を持たないために質量分別機能では分別されずにコンバージョン電極に到来するのである。
また、中性分子をイオン化させなかった熱電子が高速で電極に衝突すると、該電極からもノイズの原因となる光が放出される可能性が知られている。さらに、質量分析計として最も代表的な四重極質量分析計においては、マイナスの高電圧が印加された四重極電極にイオンが衝突することにより、真空紫外光よりもエネルギーの高い軟X線が発生する。
このようにして発生した真空紫外光と軟X線とは、質量分析装置にとってノイズの原因となるので“迷光”と呼ばれている。迷光は質量分析装置のS/Nを低下させることでその基本的性能を大きく低下させるため、SEMとしてはイオンのみを電子に変換し、迷光をできるだけ電子に変換しないようにする工夫が特許文献1〜6に記載されているが、必ずしも充分ではない。
特開平5−217547号公報 特開平5−325888号公報 特開平10−188878号公報 特開2001−351565号公報 特開2002−329474号公報 特開2007−258179号公報
大村 孝幸、山口 晴久、「質量分析計の検出器−二次電子増倍管」J.Vac.Soc.Jpn. (真空) Vol.50、No.4, p.258-263 (2007)
イオンの検出装置であるイオン検出ユニットが迷光をノイズとして検出しないようにするため、従来では以下のような工夫がなされている。
図15Aは、従来の質量分析装置の全体を示す模式図であり、図15Bは、図15Aに示す質量分析装置のイオン検出ユニット(コンバージョン型イオン検出ユニット)付近の拡大図である。また、図15Cと図15Dは、迷光によるノイズ発生メカニズムの説明図である。
図15Aにおいて、真空容器1a内に配置された質量分析装置1は、イオン源2、質量分別機構3、およびイオン検出ユニット4を備えている。
イオン源2は、フィラメント5を有し、該フィラメントにより発生した熱電子6を用いて測定対象の分子を含む中性分子をイオン化し、該生成されたイオンを質量分別機構3へと導入する。
質量分析機構3は、4本の円柱状電極からなる四重極電極7を有している。四重極電極7のうち対向する電極セットを電気的に結合し、それぞれの電極セットに直流電圧と高周波交流電圧とを印加することにより、各電圧、周波数等に応じた質量数を有するイオンのみを、四重極電極7の長軸方向に通過させるようにしている。また、質量分析機構3の出口部分には、四重極出口電極としての、アパーチャ82が形成された質量アパーチャ板8が配置されている。質量アパーチャ板8は、所定の電位に設定されるが、通常グランド電位(アース電位、0V)となっている。
イオン検出ユニット4は、コンバージョン電極10と、2次電子増倍管(SEM)11とを有している。図15Aにおいて、2次電子増倍管11は、複数の電極、およびコレクタ12を有している。上記コンバージョン電極10には−10kVの電位が印加されている。また、2次電子増倍管11の初段電極には−2kVの電位が印加されている。
このような構成において、イオン源2にて発生したイオンが質量分別機構3に入射されると、所定の質量数を有するイオン13が質量分別機構3を通過し、該イオン13が質量アパーチャ板8を経てイオン検出ユニット4に入射される。イオン検出ユニット4に入射したイオン13は、コンバージョン電極10による強い引き込み電界によってコンバージョン電極10側へとその軌道を変化させる。コンバージョン電極10にイオン13が10keVのエネルギーで衝突すると、該コンバージョン電極10にてイオン/電子変換により電子15(本来の信号となる有効電子:イオンから変換された電子)が発生する。マイナス極性に変わった該電子15は該コンバージョン電極10から押し出されて2次電子増倍管11の初段電極に8keVのエネルギーで衝突し、該電極にて発生した2次電子が後段の電極にて順次増幅されてコレクタ12に入射する。コレクタ12では入射された2次電子に応じた信号14を出力する。
このような質量分析の際には、上述のようにイオン源2から質量分別機構3にはイオンの他に真空紫外光といった迷光16が入射することがある。
上述のように質量アパーチャ板8の電位は通常グランド電位(アース電位:0V)であり、イオン検出ユニット4はこの質量アパーチャ板8のアパーチャ82から射出したイオンを検出する。イオンの検出だけを考えればイオン検出ユニット4におけるイオン/電子変換を行うコンバージョン電極10は質量アパーチャ板8のアパーチャ82と同じ軸上に位置するのが効率的ではあるが、それではコンバージョン電極10は迷光16をまともに受けてしてしまう。そこで、図15A,15Bに示すように、コンバージョン電極10を上記アパーチャ82から外した位置に設置する。すなわち、コンバージョン電極10の電界によりイオン13の軌道のみを曲げることにより、コンバージョン電極10にてイオンをあまり損失無く検出することができる一方で、迷光16がコンバージョン電極10に直接照射しない構造になっている。この構造はOff-Axis構造として広く普及している。
迷光16が2次電子増倍管11に直接照射しても光電効果によって電子を放出しノイズとなるので、当然ながら2次電子増倍管11もOff-Axis構造となっている。しかし、コンバージョン電極10と2次電子増倍管11とは電位差が大きいので距離を取る必要があることから、従来では両者は質量アパーチャ板8を間にして上下(左右)に分かれて設置されている。
このようにOff-Axis構造を採用することで迷光16の影響を低減することができるが、該迷光16が周辺の電極や壁で反射して生じる迷光(以下、反射迷光と呼ぶ)17が生じることがある。従来、この反射迷光17はその存在が否定されていた訳ではないが、ノイズ発生への影響については軽視、あるいはほとんど無視されていた。しかし、本願発明者はこの反射迷光17の影響について詳しく検討し、従来例では電気ノイズなどの他原因によるノイズよりも反射迷光17によるノイズの方が支配的となっているケースが多いことを見出し、その解決法を検討・創案した。
以下、反射迷光17の影響について詳しく説明する。まず、図15Aに示されているようにイオン検出ユニットは必ずハウジング20などによって囲まれているので、最終的にはコンバージョン電極10に反射迷光17が入射する。しかも、反射迷光17の元となっている真空紫外光や軟X線の反射率は20〜30%なので、数回反射した程度では1/100程度に減衰するだけである。すなわち、反射による減衰はあまり期待できない。さらに、四重極電極7や質量アパーチャ板8でも迷光が反射されるので、質量アパーチャ板8から斜め方向に射出される反射迷光17も存在する。いずれにしろ質量分析装置としては9桁ものS/Nが求められるので、上記Off-Axis構造は直進する迷光16には有効であってもこのような反射迷光17には十分有効にはなっていない。
しかも従来では反射迷光17の影響についての認識が弱いので、イオン13の衝突効率や電極の固定などの理由から、コンバージョン電極10はその面積は大きく、しかも板状となっている。衝突効率とは、アパーチャ82から射出したイオン13がコンバージョン電極10に捕集されて衝突する効率であり、これを出来るだけ高くする(コンバージョン電極10に衝突せずに無駄となってしまうイオン13を発生させない)ためにコンバージョン電極10は板状で面積を大きくしているのである。実際、従来例ではコンバージョン電極10の面積は、イオン13が射出する質量アパーチャ板8のアパーチャ82の数倍から10倍以上にもなっている。
しかしながら、コンバージョン電極10の面積が増加すると、コンバージョン電極10に照射される反射迷光17の量も増加し、コンバージョン電極10において反射迷光17により発生する光電子151も増加する。その光電子151は本来のイオン13から変換された電子15と同じ動きをして2次電子増倍管11で増幅されノイズとなってしまう。そのためコンバージョン電極10の面積の増加はS/Nの改善にならないだけでなく、多くの場合逆にS/Nの劣化を引き起こしている。ここで、イオン13はコンバージョン電極10の強い電界によってコンバージョン電極10の中心部に集束されているが迷光16は電界には無関係で全く集束されていない。従って、コンバージョン電極10を大きくした場合、イオン13よりも反射迷光17の方がコンバージョン電極10への照射量増加率は大きくなる。よって、コンバージョン電極10の面積を増加することは、むしろS/Nを劣化する原因となるのである。さらに、コンバージョン電極10の中心から離れた所で発生した光電子151も質量アパーチャ板8で軟X線171に変換されて2次電子増倍管11の初段電極に入るルートもある。これらの状況が図15C、Dに示されている。
なお、図15Dにおいて、符号D1は、2次電子増倍管11の初段電極であり、符号D2は、初段電極D2の次段に設けられている電極であり、符号D3は、電極D2の次段に設けられている電極である。
以上は、反射迷光17がコンバージョン電極10に照射される場合であったが、この他に反射迷光17が2次電子増倍管11の初段電極に照射されてもノイズとなる。したがって、上記で示したコンバージョン電極10の面積とノイズとの関係が、そのまま2次電子増倍管11の初段電極の面積とノイズとの関係となる。
これら反射迷光によるノイズの問題は、最新の質量分析装置にとってはS/Nの改善を阻む大きな問題になっており、さらに迷光の影響を減らすことが求められていた。すなわち、コンバージョン型イオン検出ユニットに入射された迷光16については、上述のOff-Axis構造等により、コンバージョン電極および2次電子増倍管の初段電極への入射を抑制することができる。しかしながら、コンバージョン型イオン検出ユニット内にて発生した反射迷光17について従来は意識されておらず、十分な対策がなされていなかった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、イオンを電子に変換し、該変換された電子を増幅する機構を有するイオン検出ユニットにおいて、迷光に起因するノイズを低減可能なコンバージョン型イオン検出ユニットを提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明は、イオン検出ユニットであって、前記イオン検出ユニット内にイオンを入射させるための第1の開口と、前記第1の開口から入射されたイオンを電子に変換するコンバージョン電極と、前記コンバージョン電極にて変換された前記電子を増幅する2次電子増倍管とを備え、前記コンバージョン電極の前記イオンが照射される面積が、前記第1の開口の面積の同等以下であることを特徴とする。
本発明によれば、イオンを電子に変換するイオン/電子変換電極としてのコンバージョン電極を有するコンバージョン型イオン検出ユニットにおいて、該イオン/電子変換電極に入射する迷光を低減することができ、S/N比の向上を実現することができる。
本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 図2Aに示したコンバージョン型イオン検出ユニットの集束レンズを説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 図4Aに示したコンバージョン型イオン検出ユニットのコンバージョン電極の詳細図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 図5Aに示したコンバージョン型イオン検出ユニットの集束レンズを説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 図6Aに示したコンバージョン型イオン検出ユニットの集束レンズを説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 図7Aに示したコンバージョン型イオン検出ユニットのイオン入射口付近を囲むケースを示す図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図であり、(b)は、(a)のA−A′線断面図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示す図であり、(b)は、(a)のB−B′線断面図である。 従来の質量分析装置の全体を示す模式図である。 図15Aに示す質量分析装置のコンバージョン型イオン検出ユニット付近の拡大図である。 従来の質量分析装置における、迷光によるノイズ発生メカニズムの説明図である。 従来の質量分析装置における、迷光によるノイズ発生メカニズムの説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する図面で、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
本発明の実施形態は、限定ではないが主に3つのグループに分類される。第一のグループは反射迷光がコンバージョン電極10を照射して発生するノイズを低減するものであり、その全体配置から<軸対向型>と名付けることが出来、第1から第3の実施形態がこれに属する。第二のグループは反射迷光が2次電子増倍管11を照射して発生するノイズを低減するものであり、<同列型>と名付けることが出来、第4から第7の実施形態がこれに属する。第三のグループは反射迷光の反射・回り込みを低減して、コンバージョン電極10と2次電子増倍管11の両方によるノイズを低減するものであり、<密閉ケース付き>と名付けることが出来、第8から第14の実施形態がこれに属する。
<軸対向型>
(第1の実施形態)
図1Aは本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出(質量分析)ユニットを示した図であり、図1Bは本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットの変形例を示した図である。
図1Aにおいて、四重極電極112、および質量分別機構の出口電極としての、アパーチャ113aが形成された質量アパーチャ板113を有する質量分別機構111の後段に、コンバージョン型イオン検出ユニット101が設けられている。また、イオン検出ユニット101は、図15Aのハウジング20のようなハウジング(不図示)によって囲まれている。なお、上記質量アパーチャ板113に形成されたアパーチャ113aを介して所定のイオンがイオン検出ユニット101内に入射(導入)されるので、上記アパーチャ113aが、イオン検出ユニット101にイオンを入射させるための入射口となる。
イオン検出ユニット101は、イオンを電子に変換するコンバージョン電極103と、16段の電極を有する2次電子増倍管102と、2次電子増倍管から出力された電子を検出するコレクタ114と、2次電子増倍管102およびコレクタ114とを囲むケース104とを備えている。本実施形態では、コンバージョン電極103は板状電極である。該ケース104には、コンバージョン電極103から発生した電子109が2次電子増倍管102の初段電極D1に入射するように、開口部104aが設けられている。
本実施形態では、2次電子増倍管102は、該2次電子増倍管の初段に配置された初段電極D1、該初段電極D1の次段に配置された電極D2、・・・最終段に配置された電極D16を有している。なお、図1Aにおいては、図面を見やすくするために、電極D3〜D15の表記を省略している。すなわち、2次電子増倍管101においては、初段電極D1と二段目に配置された電極D2とは対向して配置され、k番目の電極Dk(kは、2以上の整数)は、その前段の電極k−1番目の電極Dk-1とその後段の電極k+1番目の電極Dk+1に対して対向して配置されている。
このような構成において、電極D1〜D16の各々は、初段電極D1に電子109が衝突することにより生じた電子が後段の電極D2に入射して該電極D2にて増幅された2次電子を発生させ、該増幅された2次電子を後段の電極(D3〜D16)に順次入射させて更なる増幅が行われるように配置されている。これら電極D1〜D26には、上記増幅が行われるような電圧、例えば、前段の電極と後段の電極との間に電位差が100Vとなるような電圧が印加されている。すなわち、図1Aに示すように、電極D1には−2.0kVの電位が印加され、電極D2には−1.9kVの電位が印加され、電極D3には−1.8kVの電位が印加され、電極D4には−1.7kVの電位が印加されている。電極D4〜D16についても、同様に電圧が印加されている。
このように、二次電子増倍管102が有する複数の電極の初段に位置する電極(初段電極D1)は、コンバージョン電極103から入射された電子109により生じた2次電子を後段の2段目の電極(D2)に出射し、かつ2段目以降の各々は、前段の電極から入射された2次電子を増幅して後段の電極に出射するように、電極D1〜D16が構成されている。
このような構成において、質量分析機構111からアパーチャ113aを介して導入されたイオン束107について、コンバージョン電極103に印加された-10kVの電位による電界の作用によりその軌道がコンバージョン電極103側へと変化する。イオン束107がコンバージョン電極103に入射すると、イオン/電子変換によりコンバージョン電極103にて電子109が発生する。マイナス極性に変わった該電子109は、該コンバージョン電極103から押し出され、開口部104aを介して-2kVの電位となっている2次電子増倍管101の初段電極D1に8keVのエネルギーで衝突し、該電極にて発生した2次電子109が後段の電極D2〜D16にて順次増幅されてコレクタ12に入射する。コレクタ12では入射された2次電子に応じた信号115を出力する。
本実施形態でのコンバージョン電極103は、従来のコンバージョン電極、例えば図15Aに記載のコンバージョン電極10に比べるとその面積が大幅に縮小されており、アパーチャ113aとほぼ同じ面積となっている。なお、図1Bの変形例においては、コンバージョン電極103自身の面積は従来と同じであるが、コンバージョン電極103を囲むケース800の開口801の面積は小さくなっている。いずれにしろコンバージョン電極においてイオン束107が照射される面積が重要なのであって、その面積が従来のコンバージョン電極と比べると大幅に縮小されている。
本実施形態では、コンバージョン電極103の面積は小さくなっているので、アパーチャ113aから射出したイオン束107がコンバージョン電極103に捕集され衝突する効率(衝突確率)は低下すると懸念されるかも知れないが、実際には衝突確率はほとんど低下しない。これは、コンバージョン電極103の周辺はグランド電位(0V)であり、その中でコンバージョン電極103だけにマイナスの高電位が印加されているためである。すなわち、イオン束107はコンバージョン電極103による電界に引き付けられるとともに、周辺のグランド電位によるコンバージョン電極103に向けた斥力によって、イオン束107はコンバージョン電極103に集束しながら衝突するからである。
このように本実施形態では、コンバージョン電極103へのイオン束107の衝突確率はほとんど低下しないが、反射迷光108(イオン検出ユニット101外から入射した迷光116等によりイオン検出ユニット101内で発生した迷光)のコンバージョン電極103への照射量は大幅に低減する。
その理由の1つは、反射迷光108は、電荷を持っていないため電界による引き込み効果や集束効果が全くないことである。すなわち、コンバージョン電極103に入射させたいイオン束107については、上述のようにコンバージョン電極103からの電界により引き付けられるので、コンバージョン電極の面積が小さくなっても、イオンのコンバージョン電極103への照射量の低減を極力抑えることができる。これに対して、コンバージョン電極に入射させたくない反射迷光108は、コンバージョン電極103からの電界に引き込まれることは無い。従って、コンバージョン電極103の面積を小さくする程、コンバージョン電極103において反射迷光108が照射される面積が小さくなるので、コンバージョン電極103にて反射迷光108から変換される電子数を低減することができる。
また、上記大幅な低減の他の理由は、反射迷光108は、もともとイオン検出ユニット101内の各所で散乱、反射されたものであるため比較的一様な強度分布となっていることである。すなわち、散乱源、反射源にて生じた反射迷光108は、コンバージョン電極103に向かって散乱、反射されるわけでは無いので、コンバージョン電極103に関係無く比較的一様にイオン検出ユニット101内に存在することになる。よって、コンバージョン電極103の面積を小さくすれば、その面積を小さくした分だけコンバージョン電極103へ入射する反射迷光108の量を低減することができる。
したがって、本実施形態では、反射迷光108によるコンバージョン電極103でのノイズ発生を低減しながら、本来の信号量を維持することが出来るので、S/Nの改善が実現できる。
本発明では、上述のように、従来ではほとんど意識されていなかった反射迷光108に着目し、該反射迷光108によるノイズを低減するために、コンバージョン電極103の、イオンが照射される面積(イオン照射面積)を小さくすることを特徴としている。
従来では、コンバージョン電極へのイオンの入射効率、およびコンバージョン電極の設置の容易さ考慮すると、コンバージョン電極の面積を大きくしていた。
また、通常用いられるイオン検出ユニットが備える2次電子増倍管は、そのサイズが大きく、またコンバージョン電極に比べてもそのサイズが非常に大きい。従って、イオン検出ユニットのサイズにおいては2次電子増倍管のサイズが支配的であり、例えコンバージョン電極のサイズを小さくしてもイオン検出ユニットの大きさにはほとんど影響しない。従って、イオン検出ユニットの小型化を図る場合にコンバージョン電極を小さくしても、実際にはイオン検出ユニットのサイズは小さくはならない。しかしながら、コンバージョン電極を大きくすると、イオン検出ユニットのサイズはほとんど変わらないという状況の中、上述のようにイオンの入射効率を維持でき、さらにはコンバージョン電極の取り付けが容易になる。このように、コンバージョン電極のサイズがイオン検出ユニットのサイズにはほとんど影響せず、コンバージョン電極のサイズが大きい方がイオンの入射効率や設置を考慮すると有利であるので、従来では、コンバージョン電極を大きくしようとするモチベーションは存在するが、コンバージョン電極を小さくしようとするモチベーションは存在しなかった。
これに対して、本実施形態では、信号となるイオン束107についてはコンバージョン電極103へと高効率で入射させ、ノイズの原因となる反射迷光108についてはコンバージョン電極103に対する入射を抑えることを本質としている。このために、本実施形態では、コンバージョン電極103のイオン照射面積を小さくしている。その一例として、図1Aに示すように、従来のコンバージョン電極の大きさ決定の指針とは逆方向である、コンバージョン電極103のサイズの縮小化を行っている。また、他の例として、図1Bに示すように、ケースの開口801の面積を、コンバージョン電極103の面積よりも小さくする。
すなわち、本実施形態では、従来ではノイズ要因としてほとんど意識されていなかった反射迷光108に着目し、コンバージョン電極103における、該反射迷光108から電子109への変換を抑制するために、コンバージョン電極103のイオン照射面積を小さくしている。そして、その特徴的な構成を実現するための一例として、従来の指針とは逆方向である、コンバージョン電極103のサイズを小さくする指針を採用している。
ただし、アパーチャ113aから入射されるイオン束107をコンバージョン電極103へと高効率で入射させることを考慮すると、コンバージョン電極103のイオン照射面積をアパーチャ113aの面積と少なくとも同等にする必要がある。何故ならば、コンバージョン電極103のイオン照射面積をアパーチャ113aの面積よりも小さくすると、収差を考慮すると、アパーチャ113aを通過したイオン束107をコンバージョン電極103に集束させることは困難だからである。
困難な理由を説明する。一般に、イオン束の初速度が揃っており(スタート点でのイオンの進む方向とエネルギーが同じであり)、イオン束の進行する軸上に軸対象のイオンレンズが設置されていれば、イオン束をスタート時点の直径よりも小さくフォーカスすることは容易である。これはイオン束が含む収差(ひずみ)が少ないので、イオンレンズによる縮小率にほぼ比例して投射される像を小さくすることが出来るからである。しかしながら、質量分別されてアパーチャ113aを通過したイオン束107は初速度に大きな幅を持っていること、イオン束107は進行方向と直角に曲げられること、軸対象なイオンレンズは無いこと(特別に用意されたイオンレンズは無く、周辺電極との電位差からレンズ作用を得ている)から、コンバージョン電極103に到達するイオン束107には大きな収差が存在する。このような収差は、縮小率1(投射像の大きさは最初と同じ)まではほとんど影響を与えない(縮小率によって決まる直径に対して無視される)が、縮小率が1以上(投射像は最初よりも小)になると顕在化し支配的となる。すなわち、イオン束をスタート時点の直径よりも小さくフォーカスしようとすると、イオン束の直径はこれらの収差が支配的となり、結局これ以上投射像を小さくすることが出来ない。そのため、イオン束107をスタート時点の直径(=アパーチャ113aの面積)よりも小さいコンバージョン電極103に集束させることは困難となるのである。
本実施形態では、反射迷光108のコンバージョン電極103への入射を抑制するためにコンバージョン電極103の面積を小さくすること、および信号となるイオン束107のコンバージョン電極103への入射効率を高くするために上記イオン照射面積は少なくともアパーチャ113aの面積と同等であることが好ましい。このような2つの要件を満たすために、上記イオン照射面積とアパーチャ113aの面積とを同じにすることが好ましい。
ここで、アパーチャ113aとコンバージョン電極103との間にイオンを集束させるためのレンズを別途設けることにより、イオン照射面積がアパーチャ113aの面積よりも小さい場合であっても、イオン束107をコンバージョン電極103へと入射させることはできる。しかしながら、上記レンズを別途に設ける必要があるので、装置の簡略化を考慮すると、上記レンズ等を別途に設ける必要無くアパーチャ113aから入射されたイオン束107をコンバージョン電極103aに高効率で入射できるので、上記イオン照射面積とアパーチャ113aの面積とを等しくすることは好ましいのである。
ただし、上述のように、イオン照射面積をアパーチャ113aの面積よりも小さくしても、レンズ等を別途に設けたり、図3に示すようなニードル状のコンバージョン電極を用いることによって、イオン束107をコンバージョン電極103へと入射させることができる。この場合は、コンバージョン電極103のイオン照射面積はアパーチャ113aの面積に縛られること無く小さくすることができ、コンバージョン電極103への反射迷光108の入射をより一層抑えることができる。このように、イオン照射面積をアパーチャ113aの面積よりも小さくしても、装置の簡便化を多少犠牲にするが、反射迷光108によるコンバージョン電極103起因のノイズをより一層低減することができるので、ノイズ低減の観点から効果的である。
なお、本実施形態では、図1Aに示すように、質量分別機構111が備える質量アパーチャ板113を、イオン検出ユニット101の前段側の壁(質量分別機構111側の壁)としても機能させている。すなわち、アパーチャ113aが形成された質量アパーチャ板113を、質量分別機構111とイオン検出ユニット101とで共用しているので、質量分別機構の出口電極である質量アパーチャ板113に形成されたアパーチャ113aからイオン束107がイオン検出ユニット101へと入射されている。よって、本実施形態では、アパーチャ113aは、質量分別機構111からイオンが出射される出口として機能すると共に、イオン検出ユニット101へとイオンを入射させるためのイオン入射口(導入口)としても機能している。
本実施形態では、上記イオン入射口とコンバージョン電極のイオン照射面積との関係が重要であるのであって、質量分別機構111の出口電極である質量アパーチャ板113に形成されたアパーチャ113aの面積自体が重要なのではない。よって、例えば、イオン検出ユニット101が、コンバージョン電極103や2次電子増倍管102といった構成要素を囲むハウジングを備える場合は、該ハウジングに形成された、イオンを入射させるための開口部が上記イオン入射口となる。この場合は、アパーチャ113aと該ハウジングに形成されたイオン入射口とが重なるように、ハウジングを配置すれば良い。
このように、本発明では、イオン検出ユニット内にイオンを導入するためのイオン入射口が重要な要素であり、その一例として質量アパーチャ板113に形成されたアパーチャ113aが用いられているのである。
(第2の実施形態)
図2Aは本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図であり、また図2Bは図2Aの集束レンズ200の詳細図である。
本実施形態では集束レンズ200が追加され、またコンバージョン電極103の面積がより小さくなっていること以外は、第1の実施形態(図1A)と構成・構造・機能とも同じである。すなわち、本実施形態では、イオン検出ユニット101へのイオンの入射口としてのアパーチャ113aと、コンバージョン電極103との間に、イオンを集束する手段としての集束レンズ200を配置している。
集束レンズ200はイオンや電子などの荷電粒子を集束するもので各種の形式があり得るが、図2Bに示したように2枚のリング状電極として入射側には荷電粒子を弱く引き込む電位、射出側には強く引き込む電位を印加するのが一般的である。本実施形態では、グランド電位であるアパーチャ113aから下方に向かって入射する正イオンに対して、入射レンズ210にプラス側電位として-4kVを印加し、射出レンズ211にマイナス側電位として-8kVを印加している。
この集束レンズ200によって、イオン束107はより集束されることになって、コンバージョン電極103は第1の実施形態より小さくなっているにも関わらず、イオン束107のコンバージョン電極103に対する衝突効率はほとんど低下しない。
なお、この集束レンズ200の電位では、-10kVのコンバージョン電極103から上方に向かって入射する電子に対しては入射側となる射出レンズ211に-8kV、射出側となる入射レンズ210に-4kV(入射側に弱く引き込む電位、射出側には強く引き込む電位)を印加していることになり、電子に対しても集束効果を生じさせることが出来る。したがって、電子109の2次電子増倍管101の初段電極D1への衝突効率も向上することが期待される。
また、-4kVが印加されている集束レンズ200の上側の電極である入射レンズ210は、アパーチャ113aから射出するイオン束107の“引き込み電極”の機能も果たしている。コンバージョン電極103のイオン照射面積が大きな従来例では、印加されたマイナス高電位による電界がアパーチャ113a付近にまで及んでいるが、本実施形態ではこの作用はあまり期待できない。そこで、アパーチャ113aの近くに存在する集束レンズ200の上側の電極である入射レンズ210の電位および面積を適切な値とすることにより、イオン束107の軌道をコンバージョン電極103側へと変化させることが出来る。ただし、入射レンズ210に迷光が照射されると、入射レンズ210は反射迷光108を発生することになる。該入射レンズ210にて生成された反射迷光108が初段電極D1に入射すると、ノイズに繋がってしまう。この初段電極D1に入射する反射迷光108を、該初段電極D1に入射する迷光116よりも小さくすることによって、ノイズを低減することができる。従って、反射迷光108が迷光116よりも小さくなるように、入射レンズ210の電位および面積を選択することが好ましい。
このように、本実施形態では、2つの集束レンズのうち、イオン検出ユニット101へのイオンの入射口としてのアパーチャ113a側の入射レンズ210に、イオン束107と反対極性の相対的に絶対値が小さい電位(-4kV)を印加し、コンバージョン電極103側の射出レンズ211に反対極性の相対的に絶対値が大きい電位(-8kV)を印加している。従って、入射レンズ210から入射するイオン束107を集束してコンバージョン電極103へと出射することができ、さらに、コンバージョン電極103にて発生した電子109を集束して初段電極D1へと出射することができる。
従って、本実施形態では、コンバージョン電極103の面積をより縮小しても、イオンのコンバージョン電極103への照射量を維持できる。よって、反射迷光108によるノイズ発生をより低減するとともに、集束レンズ200により本来の信号量を維持することができ、S/Nのより改善を実現することができる。
(第3の実施形態)
図3は本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図である。
本実施形態ではコンバージョン電極300が板状でなく、ニードル型となっていること以外は、第1の実施形態(図1A)と構成・構造・機能とも同じである。
本実施形態では、ニードル形状のコンバージョン電極300の直径は0.1〜1.0mm程度、例えば0.5mmで、長さは5〜20mm程度、例えば10mmである。材質はステンレスやモリブデンなど、変質に強い材料が好ましい。このようにニードル型のコンバージョン電極300を用いることにより、実効的な照射面積を小さくしている。コンバージョン電極300から生じる電界により、イオン束107は、コンバージョン電極300に前述の実施形態と同様に効率良く入射するが、反射迷光108の、コンバージョン電極300への実効的な照射面積は小さくなる。よって、イオン束107のコンバージョン電極300への照射量を維持しながら、反射迷光108によりコンバージョン電極300にて生じる電子を低減することができる。
なお、本実施形態では、コンバージョン電極300の形状はニードル型に限定されることは無く、例えば、リボン形状、メッシュ形状、スリット形状のように、反射迷光108の照射量を低減できればいずれの形状であっても良い。
本実施形態では、コンバージョン電極300の周囲にメッシュ形状のイオンサプレッサ電極301が設けられている。コンバージョン電極300には-10kVの電位が印加され、このイオンサプレッサ電極301には-1.0kVの電位が印加される。この電位により、入射したイオン束107がコンバージョン電極300により集束させることができるとともに、その形状がメッシュであるためコンバージョン電極300から発生された電子109を通過させることができる。イオンサプレッサ電極301の光学的透過率は60〜95%程度、例えば90%で、長さはコンバージョン電極300を囲む寸法で、材質はステンレスやモリブデンなど、変質に強い材料が好ましい。形状はメッシュでなくてもスリットを有する形状、ニードル形状などでもよい。
以上のようにして、本実施形態では、コンバージョン電極の実効的な面積をより縮小したので、反射迷光108によるノイズ発生をより低減することが出来る。よって、S/Nの改善を実現することができる。
<同列型>
(第4の実施形態)
図4Aは本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図であり、また図4Bは図4Aのコンバージョン電極400の詳細図である。
本実施形態ではコンバージョン電極400においてイオン束107と電子109の進む方向とが直交していること、およびそれに関連して2次電子増倍管102が(図1Aのようにイオンの進行軸を挟んで対向しているのではなく)コンバージョン電極400と同列に配置されていること以外は、第1の実施形態(図1A)と構成・構造・機能とも同じである。
直交型のコンバージョン電極400は各種の構造が可能であるが、図4Bの(a)〜(e)にコンバージョン電極400の例を示す。なお、図4Aにおいては、図4Bの(a)のコンバージョン電極400を示す。
図4Bの(a)に例示するコンバージョン電極400は、複数のニードル形状のニードル電極401を図4Bの紙面垂直方向に離間して配置することにより構成されており、該ニードル電極401の軸方向がイオン束107の進行方向に対して斜めとなるようにコンバージョン電極400を配置している。すなわち、複数のニードル電極401からなるコンバージョン電極400を、イオン束107を斜めに横切るように設置し、それぞれのニードル電極401に-10kVの電位を印加する。
さらに、コンバージョン電極400を囲む位置にシールド電極402を設けている。該シールド電極402に-10kVの電位を印加する。シールド電極402の形状は板形状でもスリット形状でもメッシュ形状でもよく、材質はステンレス、ニッケルなど、真空中で使用される電極材料を用いることができる。
これにより、図4Bの(a)に示すように、シールド電極402とコンバージョン電極400との間は無電界になる一方、コンバージョン電極400と初段電極D1との間には、電界(プラス側)403が形成される。従って、コンバージョン電極400に入射したイオン束107により生じた電子109は、初段電極D1に入射する。
また、図4Bの(b)に示すコンバージョン電極400は、図4Bの(a)に示すコンバージョン電極400を90度回転させた構造を有する。すなわち、各ニードル電極401を、複数のニードル電極401の軸方向がイオン束107束の進行方向に対して垂直になり、かつ複数のニードル電極401の配置方向がイオン束107の進行方向に対して斜めとなって、イオン束107を横断するように設置する。異なった言い方をすると、複数のニードル電極で作られる面が、イオン束107とは斜めに交錯している。
また、図4Bの(c)に示すコンバージョン電極400は、図4Bの(a)に示す複数のニードル電極401を複数のリボン404に変更し、かつそられリボン404を、その大面積部がイオン束107の進行方向に平行となるように位置させる。
また、図4Bの(d)に示すコンバージョン電極400は、1つのリボン404であり、その延在方向(図4Bの(d)では、長軸方向)に沿ってイオン束107が入射されるように配置されている。また、リボン404を囲むようにしてメッシュ状のイオンサプレッサ電極405が設けられている。上記リボン404には、-10kVの電位が印加され、イオンサプレッサ電極405には、-8kVの電位が印加される。
さらに、図4Bの(e)に示すコンバージョン電極400は、イオン照射面積がアパーチャ113aと同等以下である板状電極406であり、該板状電極406は、イオン束107の進行方向に対して斜めとなるように配置されている。
例えば図4Bの(a)〜(e)に示すようにコンバージョン電極400を構成することにより、コンバージョン電極400と同列に配置された2次電子増倍管101は、アパーチャ113aからの距離が従来例に比べて長くなっているので、反射迷光108が2次電子増倍管11の初段電極D1に照射されて発生するノイズは低減している。
すなわち、本実施形態では、イオン検出ユニット101のイオン入射口としてのアパーチャ113aから初段電極D1までの距離を、該アパーチャ113aからコンバージョン電極400までの距離よりも長くしているので、迷光116および反射迷光108の初段電極D1への入射量を、迷光116および反射迷光108のコンバージョン電極400への入射量よりも小さくすることができる。従って、2次電子増倍管の初段電極に起因するノイズを低減することができる。
以上のようにして、本実施形態では、コンバージョン電極の実効的な面積をより縮小するとともに、2次電子増倍管101への反射迷光108の照射量も低減したので、両ノイズ発生をより低減してS/Nの改善を実現することができる。
(第5の実施形態)
図5Aは本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図であり、また図5Bは図5Aの集束レンズ200、201の詳細図である。
本実施形態では集束レンズ201、202が付加されていること以外は、第4の実施形態(図4)と構成・構造・機能は同じである。また集束レンズ201、202は第2の実施形態の集束レンズ200と構成・構造・機能は同じである。ただ、第2の実施形態の集束レンズ200はイオン束107と電子109の両方に適用されるが、本実施形態では集束レンズ201はイオン束107のみ、集束レンズ202は電子109のみに対して適用される。
すなわち、本実施形態では、入射レンズ212および射出レンズ213を有する集束レンズ201を、アパーチャ113aと直交型のコンバージョン電極400との間に設け、さらに入射レンズ214および射出レンズ215を有する集束レンズ202を、直交型のコンバージョン電極400と初段電極D1との間に設けている。本実施形態では、入射電極212に-4kVの電位を印加し、射出電極213に-8kVの電位を印加しているので、図5Bに示すように、イオン束107は集束する。また、入射電極214に-8kVの電位を印加し、射出電極215に-4kVの電位を印加しているので、図5Bに示すように、電子109は集束する。
このように、集束レンズ201を設けることによってイオン束107を集束することができ、また集束レンズ202を設けることによって電子109を集束することができる。よって、集束レンズ201および集束レンズ202の双方を設けることは非常に有効であるが、集束レンズ201または集束レンズ202のみを設ける場合でも、イオン束107または電子109を集束させることができるので、好ましい。
以上のようにして、本実施形態では、集束レンズ201および202によってイオン束107と電子109それぞれの引出しと集束が行なわれるので、信号量の損失を減少させることができ、S/Nの改善を実現することができる。
(第6の実施形態)
図6Aは本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図であり、また図6Bは図6Aの集束レンズ203の詳細図である。
本実施形態は、第5の実施形態(図5A)の二つの集束レンズ201、202が横に並んだ形で一体化した集束レンズ203を用いているとともに、偏向メッシュ500、遮光板601が追加され、およびこれらに関連して2次電子増倍管101がアパーチャ113aの近く、しかし遮光板601の背後の位置に配置されている。これら以外は、第5の実施形態(図5A)と構成・構造・機能は基本的に同じである。
本実施形態では、図6Aに示すように、アパーチャ113aと2次電子増倍管102との間にグランド電位の遮光板601が設けられており、アパーチャ113aおよび2次電子増倍管102とイオン束107に対して斜めに配置されたコンバージョン電極400との間に、集束レンズ203が配置されている。また、該コンバージョン電極400の近傍には、該コンバージョン電極400から放出された電子109を、コンバージョン電極400と初段電極D1との間で偏向させて、上記初段電極に入射させるための偏向メッシュ500が設けられている。コンバージョン電極400には-10kVの電位が印加され、偏向メッシュ500には-8kVの電位が印加されている。
このように、イオン束107に対して斜めに配置されたコンバージョン電極400と配向メッシュ500とを用いることによって、遮光板601のイオン束107の入射側と反対側に2次電子増倍管102を配置しても、コンバージョン電極400にて発生した電子109を2次電子増倍管102の初段電極D1に入射させることができる。従って、遮光板601にて迷光116の初段電極D1への入射を低減しつつ、信号となる電子109の初段電極D1への入射を維持することができる。
また、集束レンズ203は、開口部218a、218bを有する第1のレンズ(電極)216と、開口部219a、219bを有する第2のレンズ(電極)217とを備えており、第1のレンズ216には-4kV(プラス側の電位)の電位が印加され、第2のレンズ217には-8kV(マイナス側の電位)の電位が印加されている。第1のレンズ216および第2のレンズ217は、開口部218aと開口部219aとが重なり、かつ開口部218bと開口部219bとが重なるように配置されている。
このように集束レンズ203によれば、イオン入射口としてのアパーチャ113からコンバージョン電極400へのイオン束107の集束機能と、コンバージョン電極400から初段電極D1への電子109の集束機能との双方を、2つの電極によって実現することができる。よって、集束レンズに関わる部材数や配線数を減らすことができる。
アパーチャ113aから入射したイオン束107は、集束レンズ203にて集束作用を受けつつ、開口部218a、219aを介してイオン束107に対して斜めに配置されたコンバージョン電極400に入射し、電子109に変換される。該コンバージョン電極400で発生した電子109は、最初は図6Aで右側水平方向に進むが、偏向メッシュ500と集束レンズ203との電界で上向きに偏向される。その後、偏向された電子109は、集光レンズ203にて集束作用を受けつつ、開口部218b、219bを通って2次電子増倍管102に入射する。このように、集束レンズ203は開口を二つ有しており、それぞれが別々にイオンと電子を引き込み・集束しているが、これはイオンと電子がひとつの開口を通過する第2の実施形態(図2A)の集束レンズ200と同じ機能となっている。なお、偏向メッシュ500は電界的にはメッシュ状でなく板状でも同じ作用を及ぼすが、アパーチャ113aからの迷光116が鏡面反射して2次電子増倍管102に大量に入射するのを低減するためメッシュ状とすることが好ましい。
上記のメッシュ状とした偏向メッシュ500とともに、アパーチャ113aと2次電子増倍管102との間への遮光板601の設置により、アパーチャ113aと2次電子増概観102との間の実効的な距離が長くなる。よって、アパーチャ113aから射出した迷光116のうち2次電子増倍管102に入射する割合が小さくなる。このため、ノイズがより減少してS/Nの一層の改善を実現することができる。
(第7の実施形態)
図7Aは本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図であり、図7Bは図7Aのケース700を示す図である。
本実施形態では、イオン検出ユニット101へのイオン入射口としてのアパーチャ113a付近を囲むケース700を追加するとともに、集束レンズ203の上側電極である第1のレンズ(イオン束入射側のレンズ)の電位を0Vとし、下側電極である第2のレンズの電位を-6kVとしたこと以外は、第6の実施形態(図6A)と構成・構造・機能とも同じである。
本実施形態では、アパーチャ113aと、集束レンズ203の開口部218aとの間の空間を囲むために、図7Bに示すようなケース700を設けている。ケース700は、開口部700aおよび700bを有している。該開口部700aはアパーチャ113aと重なり、開口部700bは開口部218aと重なるように、ケース700は設けられている。
本実施形態では、アパーチャ113aから2次電子増倍管102に通じるルートは、集束レンズ203の二つの開口を経るルートが主となる。そこで、ケース700を設けることにより、アパーチャ113aと集束レンズ203との間のルートを2次電子増倍管102から遮光することができる。なお、ケース700の開口部700bは、アパーチャ113aから入射されたイオン束107をコンバージョン電極400へと導入するための開口である。よって、アパーチャ113aから入射されたイオン束107はコンバージョン電極400へと進行する一方、アパーチャ113aから射出した迷光116はケース700によって遮られる。よって、該迷光116のうち2次電子増倍管102に入射する割合がより小さくなる。このためノイズがより減少してS/Nのより一層の改善を実現することができる。
なお、ケース700の面700cを質量アパーチャ板113と一体化しても良い。すなわち、面700cを設けずに、質量アパーチャ板113のアパーチャ113aが形成された領域の一部をケース700と共用して面700cとして機能させても良い。また、ケース700の面700dを第1のレンズ216と一体化しても良い。すなわち、面700dを設けずに、第1のレンズ216の開口部218aが形成された領域の一部をケース700と共用して面700dとして機能させても良い。
<密閉ケース付き>
(第8の実施形態)
図8は本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図である。
本実施形態では、コンバージョン電極400を高い密閉度で囲む密閉ケース701を追加するとともに、集束レンズ204の下側電極と密閉ケース701の面701aとを一体化ししている。また、2次電子増倍管102aを高い密閉度で囲む密閉ケース702を追加するとともに、集束レンズ205の右側電極を密閉ケース702の面702aと一体化している。また、本実施形態では、2次電子増倍管102よりも小さいサイズの2次電子増倍管102aを用いている。よって、初段電極D1a〜16段目の電極D16aも、初段電極D1〜電極16に比べてサイズが小さい。なお、この二つの点以外は第5の実施形態(図5A)と構成・構造・機能とも同じである。なお、高い密閉度とは迷光をほとんど遮断する程度のものである。
より詳細には、本実施形態では、導電性である第1の密閉ケース701内にコンバージョン電極400が配置され、導電性の第2の密閉ケース702内に2次電子増倍管102aが配置され、第1の密閉ケース701と第2の密閉ケース702とは絶縁性シールによって接続されている。
また、アパーチャ113aとコンバージョン電極400との間には、集束レンズ204が設けられている。該集束レンズ204は、2つの電極を有しており、図8に示されているように、アパーチャ113a側の電極が開口部221を有するリング状レンズ220であり、コンバージョン電極400側の電極が開口部701bを有する密閉ケース701の面701aである。なお、開口部221が開口部701bと重なるように、リング状レンズ220は配置されている。
さらに、コンバージョン電極400と2次電子増倍管102aとの間には、集束レンズ205が設けられている。該集束レンズ205は、2つの電極を有しており、図8に示されているように、コンバージョン電極400側の電極が開口部701cを有する密閉ケース701の面701dであり、2次電子増倍管102a側の電極が開口部702bを有する密閉ケース702の面702aである。なお、開口部701cが開口部702bと重なるように、密閉ケース701と密閉ケース702とは位置決めされている。
上記構成において、リング状レンズ220および密閉ケース702には-4kVの電位が印加され、密閉ケース701には-8kVの電位が印加される。よって、集束レンズ204は、アパーチャ113aからコンバージョン電極400へ向かうイオン束107を集束するように機能し、集束レンズ205は、コンバージョン電極400から2次電子増倍管102aへ向かう電子109を集束するように機能する。
このように、本実施形態では、密閉ケース701および702の双方によってコンバージョン電極400および2次電子増倍管102を囲っているが、密閉ケース701および702を、該2つの密閉ケースを有する1つの密閉ケースとみなすことができる。このみなされた1つの密閉ケースへとイオン束107を導入するための開口部は、開口部701b1つである。つまり、該開口部701bは、上記みなされた1つの密閉ケース内にイオン束107を導入させるための開口部であり、該開口部701bから導入されたイオン束107がコンバージョン電極400に入射するように開口部701bは位置決めされる。
このように、コンバージョン電極400および2次電子増倍管102の双方を囲うケース(密閉ケース701および702)は、開口部701b以外においては外側の空間と繋がっていないと言える。従って、イオン束107を入射させるための開口部701b以外は密閉されているので、迷光116および密閉ケース701、702の外側で生じた反射迷光の、コンバージョン電極400および初段電極D1への入射を抑制することができる。すなわち、アパーチャ113aから2次電子増倍管102に通じるルートは集束レンズ204、205の二つの開口を経るルートしかないので、アパーチャ113aから射出した迷光116のうち2次電子増倍管102に入射する割合がより小さくなる。また、密閉ケース701、702の外側で発生した反射迷光の、コンバージョン電極400や2次電子増倍管102aへの入射も低減することができる。このためノイズがより減少してS/Nのより一層の改善が実現する。
また、密閉ケース701、702を導電性の部材とすることで、密閉ケース701、702のそれぞれの面を、集束レンズを構成する電極として機能させることができる。よって、密閉ケース701の面701dと、密閉ケース702の面701bとを集束レンズ205として機能させることができ、リング状電極などを別個に設けなくても、コンバージョン電極400から発生する電子109を集束するための集束レンズ205を形成することができる。同様に、密閉ケース701の面701aを、イオンを集束させるための集束レンズ204の一方の電極(レンズ)として機能させることができるので、集束レンズ204を形成するために用意する電極(レンズ)を1つに減らすことができる。
すなわち、本実施形態によれば、導電性の密閉ケース701、702を用いることによって、コンバージョン電極、2次電子増倍管への迷光の入射を抑えつつ、集束レンズ用に別個に用意する電極の数を減らすことができる。
さらに、本実施形態では、2次電子増倍管102aのサイズを小さくしたので、初段電極D1aのサイズ(電子が照射される面積(電子入射面積))も小さくなる。従って、反射迷光108といった迷光が初段電極D1aに入射する量を減らすことができるので、2次電子増倍管の初段電極起因のノイズをさらに低減することができる。
このように、2次電子増倍管の初段電極の電子入射面積を小さくすることは、該初段電極から生じるノイズを低減でき、さらなるノイズ低減が実現できるため好ましい。ただし、初段電極D1aに入射する電子109の発生源はコンバージョン電極400であり、コンバージョン電極400から生じた電子109を高効率で初段電極D1aに入射させるためには、初段電極D1aの電子入射面積をコンバージョン電極400の電子発生面積(すなわち、イオン照射面積)と少なくとも同等にする必要がある。何故ならば、初段電極D1aの電子入射面積をコンバージョン電極400の電子発生面積よりも小さくすると、収差を考慮すると、コンバージョン電極400から発生した電子109を初段電極D1aに集束させることは困難だからである。
本実施形態では、2次電子増倍管の初段電極起因のノイズを低減するために初段電極の面積を小さくすること、およびS/N比の信号Sを低減させないために初段電極の電子入射面積は少なくともコンバージョン電極の電子発生面積と同等であることの2つの要件を満たすために、初段電極D1aの電子入射面積をコンバージョン電極400の電子発生面積と同じにしている。すなわち、本発明ではコンバージョン電極400の、イオンを照射する面積(電子発生面)を小さくしているので、それに連動して初段電極D1aの電子入射面積も小さくなり、初段電極D1aへの迷光の入射を低減することができる。これと共に、初段電極D1aの電子入射面積はコンバージョン電極400の電子発生面積と同じであるという要件から、電子109の初段電極D1aへの入射効率を高くすることができる。よって、初段電極D1aへの電子109の入射効率を低減させずに、該初段電極D1aへの迷光の入射を低減できるのである。
なお、コンバージョン電極400の電子発生面積(イオンを照射する面積)は、アパーチャ113aの面積と同等以下であるので、初段電極D1aの電子入射面積はアパーチャ113aの面積と同等以下であると言える。
本実施形態では、2次電子増倍管の初段電極を小さくするために、小サイズの2次電子増倍管102aを用いているが、これに限定されない。本実施形態で重要なことは、初段電極の電子入射面積を、コンバージョン電極の電子発生面積と同じにすることである。よって、この要件を実現できれば、例えば、大サイズの2次電子増倍管の初段電極のみを小さいサイズの電極に変更するようにしても良い。
また、例えば、コンバージョン電極の形状が図4Bの(a)に示すようにニードル形状であり、コンバージョン電極の電子発生面積が規定しづらい場合は、2次電子増倍管の初段電極として、コンバージョン電極と同一のものを用いれば良い。
なお、本実施形態にて説明した2次電子増倍管の初段電極の電子照射面積を小さくし、コンバージョン電極の電子発生面積(イオン照射面積)と同等にする構成を、他の実施形態に適用可能であることは言うまでもない。
(第9の実施形態)
図9は本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図である。
本実施形態では、イオン束107を集束するための集束レンズ206および電子109を集束するための集束レンズ207の電位と形状とを変更することによって、密閉ケース703がグランド電位で、かつコンバージョン電極400と2次電子増倍管102の両方を高い密閉度で囲むようにしたこと以外は、第8の実施形態(図8)と構成・構造・機能とも同じである。
本実施形態では、このためシンプルな構造であるにも関わらず、ノイズが減少してS/Nの改善を実現することができる。
具体的には、図9において、密閉ケース703は、開口部703dが形成された壁703cによって区切られた構造を有しており、壁703cによって区切られた一方の空間内にコンバージョン電極400が配置され、他方の空間に2次電子増倍管102が配置される。また、密閉ケースの面703aには開口部703bが形成されている。
また、アパーチャ113aとコンバージョン電極400との間には、集束レンズ206が設けられている。該集束レンズ206は、2つの電極を有しており、図9に示されているように、アパーチャ113a側の電極が開口部703bを有する密閉ケース703の面703aであり、コンバージョン電極400側の電極が開口部223を有するリング状レンズ222である。なお、開口部222が開口部703bと重なるように、リング状レンズ222は配置されている。
さらに、コンバージョン電極400と2次電子増倍管102との間には、集束レンズ207が設けられている。該集束レンズ207は、2つの電極を有しており、図9に示されているように、コンバージョン電極400側の電極が開口部225を有するリング状レンズ224であり、2次電子増倍管102側の電極が開口部703dを有する密閉ケース703の壁703cである。なお、開口部225が開口部703dと重なるように、リング状レンズ224は配置されている。
上記構成において、リング状レンズ222および224には-6kVの電位が印加され、密閉ケース703には0V(グランド電位)が印加される。よって、集束レンズ206は、アパーチャ113aからコンバージョン電極400へ向かうイオン束107を集束するように機能し、集束レンズ207は、コンバージョン電極400から2次電子増倍管102へ向かう電子109を集束するように機能する。
なお、本実施形態では、密閉ケース703によってコンバージョン電極400および2次電子増倍管102を囲っており、密閉ケース703は、開口部703b以外において密閉されている。従って、迷光116および密閉ケース703の外側で生じた反射迷光の、コンバージョン電極400および初段電極D1への入射を抑制することができる。
(第10の実施形態)
図10は本実施形態にコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図である。
本実施形態では、組込み式密閉ケース704が密閉ケース703の役目を果たすようにしたこと以外は、第9の実施形態(図9)と構成・構造・機能とも同じである。
このためよりシンプルな構造であるにも関わらず、ノイズが減少してS/Nの改善を実現することができる。
具体的には、本実施形態に係るイオン検出ユニット101は、2次電子増倍管102と、ネジ穴が形成された突起部707を有するハウジング706と、該ハウジング706内に組み込まれる組み込み式密閉ケース704と、開口部227を有するリング状レンズ226と、開口部229を有するリング状レンズ228と、コンバージョン電極400とを備えている。
組み込み式密閉ケース704は、開口部704bが形成された導電性部材704aと、ネジ用開口部704eおよび開口部704dが形成され、ハウジング706の断面と同じ形状であり、ハウジング706にちょうど嵌合する導電性部材704cとを有している。なお、導電性部材704aは、導電性部材704cに対して直角方向に延在するように設けられている。
上記ネジ開口部704eを介してネジ708を突起部707のネジ穴に固定することによって、組み込み式密閉ケース704はハウジング706内に固定される。また、導電性部材704aの長さは、組み込み式密閉ケース704がハウジング706に固定された際の導電性部材704cと質量アパーチャ板113との間の距離に等しいので、上記組み込み式密閉ケース704の固定により、アパーチャ113aの周囲を、開口部704b以外において密閉することができる。また、導電性部材704aの下側の領域についても、該導電性部材704aと導電性部材704cとハウジング706と質量アパーチャ板113aとによって囲まれた空間を、開口部704b、704d以外において密閉することができ、該空間にコンバージョン電極400が配置されている。さらに、導電性部材704cはちょうどハウジング706内に嵌合するので、上記固定により2次電子増倍管102の周囲の空間を、開口部704d以外において密閉することができる。
このように、本実施形態では、質量アパーチャ板113、ハウジング706、組み込み式密閉ケース704を有する1つの密閉手段によってコンバージョン電極400および2次電子増倍管102の双方を囲っていると言える。該囲まれた空間は、開口部704b以外において密閉されている。従って、該密閉された空間の外側で生じた反射迷光および迷光116の、コンバージョン電極400および初段電極D1への入射を抑制することができる。
また、アパーチャ113aとコンバージョン電極400との間には、集束レンズ208が設けられている。該集束レンズ208は、2つの電極を有しており、図10に示されているように、アパーチャ113a側の電極が開口部704bを有する導電性部材704aであり、コンバージョン電極400側の電極が開口部227を有するリング状レンズ226である。なお、開口部227が開口部704bと重なるように、リング状レンズ226は配置されている。
さらに、コンバージョン電極400と2次電子増倍管102との間には、集束レンズ209が設けられている。該集束レンズ209は、2つの電極を有しており、図10に示されているように、コンバージョン電極400側の電極が開口部229を有するリング状レンズ228であり、2次電子増倍管102側の電極が開口部704dを有する導電性部材704cである。なお、開口部229が開口部704dと重なるように、リング状レンズ228は配置されている。
上記構成において、リング状レンズ226および228には-6kVの電位が印加され、組み込み式密閉ケース704には0V(グランド電位)が印加される。すなわち、導電性部材704a、704cはグランド電位となる。よって、集束レンズ208は、アパーチャ113aからコンバージョン電極400へ向かうイオン束107を集束するように機能し、集束レンズ209は、コンバージョン電極400から2次電子増倍管102へ向かう電子109を集束するように機能する。
(第11の実施形態)
図11は本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図である。
本実施形態では、コンバージョン電極400と2次電子増倍管101を高い密閉度で囲む密閉ケース709、710を追加するとともに、イオン束107および電子109を集束するための集束レンズの一方の電極をグランド電位で密閉ケース709と一体化したこと以外は第6の実施形態(図6A)と構成・構造・機能とも同じである。
このためよりシンプルな構造であるにも関わらず、ノイズがより減少してS/Nの改善を実現することができる。
具体的には、2次電子増倍管102は、密閉ケース709によって囲まれている。該密閉ケース709の底面709cは、延在部709aを有しており、該底面709cおよび延在部709aは導電性を有している。また、延在部709aには開口部709bが形成されており、底面709cには開口部709dが形成されている。なお、延在部709aは、質量アパーチャ板113まで延びている。
また、コンバージョン電極400と偏向メッシュ500とを囲むように、密閉ケース710が設けられている。密閉ケース710内には、2つの開口部231、232が形成されたレンズ(電極)230が、開口部231が開口部709bと重なり、開口部232が開口部709dと重なるように設けられている。
本実施形態では、延在部709aおよび底面709cには0V(グランド電位)が印加され、レンズ230には-6kVの電位が印加される。従って、延在部709a、底面709cおよびレンズ230が集束レンズとして機能する。すなわち、アパーチャ113aから入射したイオン束107は、上記集束レンズにて集束作用を受けつつ、開口部709b、231を介してコンバージョン電極400に入射し、電子109に変換される。コンバージョン電極400で発生した電子109は、偏向メッシュ500により偏向され、上記集光レンズにて集束作用を受けつつ、開口部232、709dを通って2次電子増倍管102に入射する。
なお、本実施形態では、密閉ケース709および710によってコンバージョン電極400および2次電子増倍管102を囲っており、該密閉ケース709、710によって囲まれた領域は、開口部709b以外において密閉されている。従って、該密閉された空間の外側で生じた反射迷光および迷光116の、コンバージョン電極400および初段電極D1への入射を抑制することができる。
(第12の実施形態)
図12は本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図である。
本実施形態では、第10の実施形態の組込み式密閉ケース704の一部を変更したものが、図11における密閉ケース709の役目を果たすようにしたこと以外は、第11の実施形態(図11)と構成・構造・機能とも同じである。
このためより一層シンプルな構造であるにも関わらず、ノイズがより減少してS/Nの改善を実現することができる。
上述のように、本実施形態で用いられる組み込み式密閉ケース704は、第10の実施形態に開示されたものに対して一部が変更されている。具体的には、本実施形態では、導電性部材704cに図10の開口部704dが形成されていない代わりに、2次電子増倍管102を挿入(通過)させることができる大きさの開口部704fが形成されている。また、導電性部材704aには、開口部704bに加えて新たに開口部704gが形成されている。さらに、組み込み式密閉ケース704には、開口部704fおよび開口部704gの双方を囲むように密閉ケース711が取り付けられている。このような構成において、2次電子増倍管102の少なくとも一部が開口部704fを介してケース711に囲まれた領域に挿入されている。
本実施形態では、第10の実施形態と同様に、導電性部材704aの下側において、導電性部材704aと導電性部材704cとに囲まれる空間にコンバージョン電極400が設けられている。さらに該空間には、2つの開口部231、232が形成されたレンズ(電極)230が、開口部231が開口部704bと重なり、開口部232が開口部704gと重なるように設けられている。
導電性部材704aには0V(グランド電位)が印加され、レンズ230には-6kVの電位が印加される。従って、導電性部材704aおよびレンズ230が集束レンズとして機能する。すなわち、アパーチャ113aから入射したイオン束107は、上記集束レンズにて集束作用を受けつつ、開口部704b、231を介してコンバージョン電極400に入射し、電子109に変換される。コンバージョン電極400で発生した電子109は、偏向メッシュ500により偏向され、上記集光レンズにて集束作用を受けつつ、開口部232、704gを通って2次電子増倍管102に入射する。
本実施形態では、質量アパーチャ板113、ハウジング706、組み込み式密閉ケース704によってコンバージョン電極400および2次電子増倍管102を囲っており、該囲まれた空間は、開口部704b以外において密閉されている。従って、該密閉された空間の外側で生じた反射迷光および迷光116の、コンバージョン電極400および初段電極D1への入射を抑制することができる。
(第13の実施形態)
図13の(a)は、本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図であり、図13の(b)は、図13の(a)のA−A′線断面図である。
本実施形態では、第11の実施形態に対して、集束レンズとコンバージョン電極の設置方向が変更(図13の(a)においては、集束レンズの二つの開口が紙面に垂直方向に並び、コンバージョン電極400から電子109が紙面に垂直方向に射出)されている。さらにこれに関連して密閉ケースの形状が変更されている。こられ二つ以外は第11の実施形態(図11)と構成・構造・機能とも同じである。
図13において、直交型のコンバージョン電極400、および偏向メッシュ500が、開口部712a、712bを有する密閉ケース712内に設けられている。また、密閉ケース712内には、2つの開口部231、232が形成されたレンズ(電極)230が、開口部231が開口部712aと重なり、開口部232が開口部712bと重なるように設けられている。
また、開口部712b上には、2次電子増倍管102およびケース104が設けられており、該2次電子増倍管102およびケース104、ならびに開口部712bを囲むように密閉ケース713が設けられている。
密閉ケース712には0V(グランド電位)が印加され、レンズ230には-6kVの電位が印加される。従って、密閉ケース712の開口部712a、712bが形成された面およびレンズ230が集束レンズとして機能する。すなわち、アパーチャ113aから入射したイオン束107は、上記集束レンズにて集束作用を受けつつ、開口部712a、231を介してコンバージョン電極400に入射し、電子109に変換される。コンバージョン電極400で発生した電子109は、偏向メッシュ500により偏向され、上記集光レンズにて集束作用を受けつつ、開口部232、712bを通って2次電子増倍管102に入射する。
本実施形態では、密閉ケース712および713によってコンバージョン電極400および2次電子増倍管102を囲っており、該囲まれた空間は、開口部712a以外において密閉されている。従って、該密閉された空間の外側で生じた反射迷光および迷光116の、コンバージョン電極400および初段電極D1への入射を抑制することができる。
すなわち、この構造では、アパーチャ113aから射出した迷光116が上記集束レンズの入射口付近で散乱しないこと、およびアパーチャ113aからの迷光116が鏡面反射して2次電子増倍管102に入射することがないことからノイズがより低減する。
このためより一層シンプルな構造であるにも関わらず、ノイズがより減少してS/Nの一層の改善を実現することができる。
(第14の実施形態)
図14の(a)は本実施形態に係るコンバージョン型イオン検出ユニットを示した図であり、図14の(b)は、図14の(a)のB−B′線断面図である。
本実施形態では、組込み式密閉ケース715が密閉ケース712、713の役目を果たすようにしたこと以外は、第13の実施形態(図13)と構成・構造・機能とも同じである。
このためより一層シンプルな構造であるにも関わらず、ノイズがより減少してS/Nの改善を実現することができる。
図14において、本実施形態に係るイオン検出ユニット101は、2次電子増倍管102と、ネジ穴が形成された突起部717を有するハウジング714と、該ハウジング714内に組み込まれる組み込み式密閉ケース715と、2つの開口部231、232を有するレンズ230と、コンバージョン電極400と、偏向メッシュ500とを備えている。
組み込み式密閉ケース715は、開口部715bが形成された導電性部材715aと、ネジ用開口部715eが形成され、ハウジング714の断面と同じ形状であり、ハウジング714にちょうど嵌合する部材715cとを有している。なお、導電性部材715aは、導電性部材715cの直角方向に延在するように設けられている。また、導電性部材715a上には、その中に2次電子増倍管102およびケース104を配置可能な密閉ケース716が設けられている。さらに、導電性部材715aの大きさは、組み込み式密閉ケース715がハウジング714内に嵌合された際に、導電性部材715aの下側の空間を該導電性部材715aとハウジング714とによって密閉できるように設定されている。
上記ネジ開口部715eを介してネジ718を突起部717のネジ穴に固定することによって、組み込み式密閉ケース715はハウジング714内に固定される。これにより、導電性部材715aの下側の領域において、該導電性部材715aと部材715cとハウジング714と質量アパーチャ板113とによって囲まれた空間を、開口部715b、715d以外において密閉することができ、該空間にコンバージョン電極400および偏向メッシュ500が配置されている。また、該空間内には、開口部231が開口部715bと重なり、開口部232が開口部715dと重なるようにレンズ230が配置されている。さらに、密閉ケース716内に、2次電子増倍管102およびケース104が設けられている。
この結果、本実施形態では、質量アパーチャ板113、ハウジング714、組み込み式密閉ケース715、および密閉ケース716によってコンバージョン電極400および2次電子増倍管102を囲っており、該囲まれた空間は、開口部715b以外において密閉されている。従って、該密閉された空間の外側で生じた反射迷光および迷光116の、コンバージョン電極400および初段電極D1への入射を抑制することができる。
密閉ケース715aには0V(グランド電位)が印加され、レンズ230には-6kVの電位が印加される。従って、導電性部材715aおよびレンズ230が集束レンズとして機能する。すなわち、アパーチャ113aから入射したイオン束107は、上記集束レンズにて集束作用を受けつつ、開口部715b、231を介してコンバージョン電極400に入射し、電子109に変換される。コンバージョン電極400で発生した電子109は、偏向メッシュ500により偏向され、上記集光レンズにて集束作用を受けつつ、開口部232、715dを通って2次電子増倍管102に入射する。
なお、第8の実施形態〜第14の実施形態において、種々の密閉ケースにより少なくともコンバージョン電極および2次電子増倍管を囲んでいるが、その目的は、迷光となる真空紫外光および軟X線の少なくとも一方を、上記密閉ケースにより遮ったり減衰させることである。これにより、コンバージョン電極および2次電子増倍管の初段電極に入射しノイズの原因となる迷光を低減することができる。
よって密閉ケースに求められる要件としては、真空紫外光および軟X線の少なくとも一方をなるべく透過させないこと、密閉ケースに形成されたイオンを導入するための開口を通過する迷光よりも大きな影響を引き起こす迷光を少なくとも通過させないことが必要となる。当然、この場合の「通過」には接合部等の隙間等の通過も含まれる。そのため、このような性質を有する密閉ケースの一例としては、0.5mm〜1.mm程度の厚さの金属(例えば、ステンレス)であり、接合部等の隙間の総面積が上記開口の面積に比べて無視できるものが挙げられる。また、密閉ケースの表面で迷光が反射・散乱すると最終的には影響が出る可能性が高いので、できれば迷光をその表面で吸収することが望ましい。そのため、表面に光の吸収率の高い黒い色の部材を用いるだけでも、迷光の影響の低減に効果がある。
また、迷光として、可視光等の、真空紫外光や軟X線以外の光が迷光として想定される場合は、該想定された波長の光をなるべく透過させないような性質を有する部材を密閉ケースとして用いればよい。すなわち、本発明の一実施形態では、想定された所定の波長の光(例えば、真空紫外光や軟X線)の少なくとも一部を透過させない性質を有する部材を密閉ケースとして用いれば、迷光となる上記所定の波長の光の密閉ケース内への進入を抑えることができるので、ノイズの更なる低減効果を実現することができる。
以上各実施形態を説明してきたが、本発明の実施形態はこれらに限定されることはなく、それぞれの実施形態の各要素を組み合わせること、入れ替えることが可能なのは当然である。また、それぞれの電極に印加する電圧は上記実施形態に限定されることはなく、寸法・形状・目的などにより任意に選ぶことができる。
さらに、上述の各実施形態では、2次電子増倍器として多段型の2次電子増倍管を用いている。しかしながら、2次電子増倍器はこれらに限定されるものではなく、連続型、マイクロチャンネルプレート型、シンチレータ/光電子増倍管であってもよい。すなわち、本発明の一実施形態では、入射された電子を増幅して出力可能であれば、いずれの構成を用いても良い。さらに、上述の各実施形態では測定するイオンは正イオンを前提としたが、正イオンのみならず負イオンに対しても、設定電位の正負を反転させることで適用することができる。
本発明の一実施形態に係るイオン検出ユニットは、質量分析装置において高いS/Nを得ることができるイオン検出ユニットであり、幅広い用途向けの多種の質量分析装置に好適となる。
101 イオン検出ユニット
102 2次電子増倍管
103、400 コンバージョン電極
107 イオン束
108 反射迷光
109 電子
113a アパーチャ

Claims (12)

  1. イオン検出ユニットであって、
    前記イオン検出ユニット内にイオンを入射させるための第1の開口と、
    前記第1の開口から入射されたイオンを電子に変換するコンバージョン電極と、
    前記コンバージョン電極にて変換された前記電子を増幅する2次電子増倍管とを備え、
    前記コンバージョン電極の前記イオンが照射される面積が、前記第1の開口の面積と同等以下であることを特徴とするイオン検出ユニット。
  2. 前記2次電子増倍管の初段電極の前記電子が照射される面積が、前記コンバージョン電極の前記イオンが照射される面積と同等の大きさであることを特徴とする請求項1に記載のイオン検出ユニット。
  3. 前記第1の開口から前記2次電子増倍管の初段電極までの距離が、前記第1の開口から前記コンバージョン電極までの距離よりも大きくなるように、前記2次電子増倍管および前記コンバージョン電極は配置されていることを特徴とする請求項1または2のイオン検出ユニット。
  4. 前記コンバージョン電極と前記2次電子増倍管とは独立して設置されており、前記コンバージョン電極に印加する電圧が前記2次電子増倍管に印加する電圧の2倍以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のイオン検出ユニット。
  5. 前記第1の開口と前記コンバージョン電極との間に設けられ、前記イオンを集束させるためのレンズ、および前記コンバージョン電極と前記2次電子増倍管との間に設けられ、前記変換された電子を集束させるためのレンズの少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のイオン検出ユニット。
  6. 前記コンバージョン電極が板状、ニードル形状、リボン形状、メッシュ形状、およびスリット形状のいずれか1つであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のイオン検出ユニット。
  7. 前記コンバージョン電極の延在方向が、前記第1の開口から入射されたイオンの進行方向に対して斜めとなって、前記イオンを横断していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のイオン検出ユニット。
  8. 前記コンバージョン電極から放出された前記変換された電子を、前記コンバージョン電極と前記2次電子増倍管の初段電極との間の空間で偏向させる偏向手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のイオン検出ユニット。
  9. 前記第1の開口と前記2次電子増倍管との間に設けられた遮光板、および前記第1の開口を囲むように配置されたケースであって、該第1の開口から入射されたイオンを前記コンバージョン電極へ導入するための第2の開口を有するケースのいずれか一方をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のイオン検出ユニット。
  10. 前記コンバージョン電極と前記2次電子増倍管の両方を囲むケースであって、前記イオンが入射するための第3の開口を1個有し、該第3の開口以外は密閉されているケースをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のイオン検出ユニット。
  11. 前記コンバージョン電極および前記2次電子増倍管を囲み、所定の波長の光の少なくとも一部を透過させない性質を有する部材をさらに備え、
    前記部材は、該部材内に前記イオンを導入するための第3の開口であって、該第3の開口から導入されたイオンが前記コンバージョン電極に入射するように形成された第3の開口を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のイオン検出ユニット。
  12. 前記所定の波長の光は、真空紫外光および軟X線の少なくとも一方であることを特徴とする請求項11に記載のイオン検出ユニット。
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