以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(本発明の実施形態に係るエッジ検出方法)
本発明の実施形態に係るエッジ検出装置(以下、「エッジ検出装置100」とよぶ場合がある。)の構成について説明する前に、本発明の実施形態に係るエッジ検出方法について説明する。
以下では、エッジ検出装置100が、所定の搬送方向に搬送される帯状体を撮像した撮像画像に基づいて、当該帯状体の幅方向(短手方向)における幅方向エッジのうち、搬送方向を画像の上向きに置いたときの向かって左側のエッジ(左エッジ)を第1のエッジ、右側のエッジ(右エッジ)を第2のエッジとして検出するものとして説明する。また、以下では、撮像画像における垂直方向が搬送方向である場合を例に挙げて説明する。ここで、撮像画像の幅は、撮影対象の帯状体の幅に、想定される蛇行量を加えた撮影視野幅と、必要とされる撮影分解能から決定され、例えば、視野幅2000mm、撮像分解能0.5mm/画素とすると4000画素と決定される。また、撮像画像の高さは、画像を保持する記憶装置の容量が許す範囲で便宜的に決定し、例えば1024画素とする。
また、以下では、エッジ検出装置100が処理する撮像画像がモノクロの画像であり、エッジ検出装置100が、画素値として輝度値を用いる場合を例に挙げて説明する。なお、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100が処理する撮像画像は、モノクロの画像に限られず、カラーの画像であってもよい。上記の場合であっても、エッジ検出装置100は、各画素の輝度値を用いた後述する処理によって、撮像画像における帯状体のエッジを検出することができる。また、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100は、画素値として輝度値を用いることに限られず、エッジの検出に用いることが可能な任意の値を用いて後述する処理を行うことができる。
[エッジ検出方法の概要]
上述したように、従来の技術を用いるエッジ検出装置は、撮像画像における帯状体のエッジを輝度差に基づく閾値処理により検出するため、例えば、撮像画像における帯状体とその他の部分との輝度差が小さい撮像画像を処理する場合には、帯状体のエッジを誤検出等する恐れがある。また、上記帯状体のエッジを検出するための他の方法を用いるエッジ検出装置は、撮像画像全体に対して積算処理を行うため、撮像画像における帯状体のエッジが搬送方向に対して傾いている場合には、エッジを検出することができない(または、検出できたとしても誤検出となる。)。
そこで、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100では、撮像画像における帯状体の搬送方向に対する傾き(以下、単に「傾き」とよぶ場合がある。)を設定(仮定)し、設定した傾きごとに、帯状体のエッジ位置を判定するための評価値を導出する。そして、エッジ検出装置100は、設定した傾きごとに導出した評価値の中から、最もエッジを表していると評価される評価値を決定する。
ここで、エッジ検出装置100は、撮像画像から生成した微分画像(後述する)において、搬送方向と直交する方向(撮像画像における幅方向)に帯状体の幅全体(厳密には、帯状体のエッジが傾いている場合には、略幅全体)にわたって配列された基準画素ごとに、設定された傾きを有し基準画素を通る直線上の画素の輝度値(画素値の一例。以下、同様とする。)を積算した積算値を算出する。エッジ検出装置100は、例えば、撮像画像の最上位行に配列された画素を、基準画素とするが、上記に限られない。例えば、エッジ検出装置100は、撮像画像の最上位行ではない他の行(当該最上位行とは、搬送方向における位置が異なる行)に配列された画素を、基準画素とすることもできる。また、エッジ検出装置100は、上記のように選択された基準画素の中から積算値を算出する基準画素を順次選択して、基準画素ごとの積算値を算出するが、上記に限られない。例えば、エッジ検出装置100は、選択された全ての基準画素に対する積算値を並列的に算出することもできる。
そして、エッジ検出装置100は、算出した複数の積算値の中から積算値のピークとなる積算値を2つ選択し、選択された積算値に基づいて評価値を導出する。ここで、エッジ検出装置100が算出する本発明の実施形態に係る積算値は、設定された傾きを有し基準画素を通る直線上の画素の輝度値を投影した投影値と捉えることもできる。
微分画像では、帯状体のエッジ部分とその他の部分との輝度差がより大きくなるため、積算値が大きい程、積算値に対応する直線がエッジを示す確度が高くなる。よって、エッジ検出装置100が、設定した傾きごとに導出された評価値の中から最も値の大きな評価値をエッジを示す評価値として決定することによって、エッジを示す確度が高い評価値が選択されることとなる。
上記のように評価値が決定されることによって、エッジ検出装置100は、決定された評価値に対応する傾きを、帯状体の傾きとして決定することができる。また、エッジ検出装置100は、決定された評価値に対応する撮像画像における画素の位置を、撮像画像における帯状体のエッジ位置として決定することができる。よって、エッジ検出装置100は、撮像画像における帯状体のエッジが搬送方向に対して傾いている場合であっても、エッジを検出することができる。
また、エッジ検出装置100は、上記のように積算値に基づく評価値を導出してエッジ位置を決定するので、従来の技術のように閾値判定によりエッジ位置を決定はしない。つまり、エッジ検出装置100は、たとえ、処理する撮像画像が撮像画像における帯状体とその他の部分との輝度差が小さい撮像画像であったとしても、従来の技術のようなエッジの誤検出や、エッジの未検出を防止することができる。
したがって、エッジ検出装置100は、撮像画像における帯状体とその他の部分との輝度差が小さく、かつ帯状体のエッジが傾斜している撮像画像を処理する場合であっても、帯状体のエッジをより正確に検出することができる。
[本発明の実施形態に係るエッジ検出方法]
次に、エッジ検出装置100における本発明の実施形態に係るエッジ検出方法(以下、「エッジ検出処理」とよぶ場合がある。)について、より具体的に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100が処理する撮像画像の一例を示す説明図である。ここで、図1において符号10で表す部分が、撮像画像における帯状体を示している。また、図1において符号12で表す部分が、撮像画像における帯状体以外のその他の部分を示している。ここで、撮像画像における帯状体以外のその他の部分としては、例えば、帯状体を搬送させるために設けられる搬送ロールが挙げられるが、上記に限られない。以下では、撮像画像における帯状体を、「帯状体10」と示す場合がある。また、撮像画像におけるその他の部分を、「搬送ロール12」と示す場合がある。
また、図1の符号Lで示す、帯状体10と搬送ロール12との境界部分が、帯状体10における左エッジに該当する。また、図1の符号Rで示す帯状体10と搬送ロール12との境界部分が、帯状体10における右エッジに該当する。
上述したように、エッジ検出装置100は、設定された傾きを有し基準画素を通る直線上の画素の輝度値を積算した積算値を算出し、算出した積算値を用いて、帯状体のエッジ位置の決定に係る評価値を導出する。よって、撮像画像における帯状体のエッジが直線(または略直線)であるとみなすことができれば、エッジ検出装置100は、帯状体のエッジの検出精度をより高めることが可能となる。
そこで、本発明の実施形態では、エッジ検出装置100が、帯状体のエッジが直線とみなすことができる範囲で帯状体が映された撮像画像を処理する。ここで、上記帯状体のエッジが直線とみなすことができる範囲で帯状体が映された撮像画像としては、例えば、帯状体の搬送方向に約50cmの撮像範囲で撮像された撮像画像が挙げられるが、上記に限られない。例えば、撮像装置の分解能に応じて撮像範囲が変更されてもよい。
また、エッジ検出装置100は、入力された撮像画像の全体を処理対象とすることができるが、上記に限られない。例えば、エッジ検出装置100は、入力された撮像画像の高さをより小さくした画像を処理対象とするなど、入力された撮像画像の一部の領域を処理することもできる。ここで、エッジ検出装置100は、例えば、ユーザ操作などにより設定された、画像の解像度の情報や画像の高さの情報などに基づいて、入力された撮像画像の処理領域を決定することができるが、上記に限られない。上記の場合であっても、撮像画像における帯状体のエッジが直線(または略直線)であるとみなすことが可能となるので、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100は、帯状体のエッジの検出精度をより高めることが可能となる。
以下、エッジ検出装置100が、図1に示す撮像画像を処理する場合を例に挙げて説明する。また、以下では、撮像画像における帯状体のエッジが直線(または略直線)であるとみなすことが可能な撮像画像が、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100に入力される場合を例に挙げて説明する。なお、エッジ検出装置100は、例えば、撮像画像が入力されるごとに以下に示す処理を行うが、上記に限られない。例えば、エッジ検出装置100は、以下に示す処理を定期的に行ったり、または、ユーザ操作に基づく処理実行命令に応じて非定期的に行うこともできる。
[1]第1の実施形態
図2は、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100におけるエッジ検出処理の第1の実施形態を示す流れ図である。ここで、図2に示すエッジ検出処理の第1の実施形態は、エッジ検出装置100が、帯状体の左右のエッジが平行である、すなわち、搬送方向に対する左エッジの傾きと搬送方向に対する右エッジの傾きとが同一であるとみなしてエッジを検出する場合における処理の一例を示している。
エッジ検出装置100は、撮像画像の各画素の輝度値を微分して微分画像を生成する(S100)。
ここで、エッジ検出装置100は、例えば、カーネル(インパルス応答)として[−1 0 1]を有するフィルタ(sobelフィルタにおける垂直エッジ検出のみを有するフィルタ)を用いて微分画像を生成するが、上記に限られない。例えば、エッジ検出装置100は、上記フィルタと平均化フィルタ[1/3 1/3 1/3]とを畳み込み積分(convolution)した[−1 −1 0 1 1]というフィルタを用いて微分画像を生成することもできる。
なお、上記では、エッジ検出装置100が、撮像画像における水平方向の画素の輝度値を用いて微分画像を生成する例を示したが、上記に限られない。例えば、エッジ検出装置100は、撮像画像における3×3(水平方向×垂直方向)の画素を用いて微分画像を生成するなど、水平方向の画素の輝度値および垂直方向の画素の輝度値を用いて微分画像を生成することもできる。また、エッジ検出装置100が、微分画像を生成するために用いるインパルス応答のサイズが、上記に限られないことは、言うまでもない。
図3は、本発明の実施形態にエッジ検出装置100が生成した微分画像の一例を示す説明図である。ここで、図3は、エッジ検出装置100が図1に示す撮像画像に基づいて生成した微分画像の一例を示している。
図3に示すように、エッジ検出装置100が、ステップS100の処理(微分処理)を行うことによって、左エッジ部分(図3のL)および右エッジ部分(図3のR)と他の部分との輝度差がより大きくなる。よって、エッジ検出装置100は、ステップS100において生成した微分画像を処理して帯状体のエッジを検出することによって、帯状体のエッジの検出精度をより高めることができる。
再度図2を参照して、エッジ検出装置100におけるエッジ検出処理の第1の実施形態について説明する。エッジ検出装置100は、変数Xbest,L=0、変数Xbest,R=0、変数Ebest=0、変数θ=0、変数i=0を設定する(S102。初期値設定処理)。
ここで、“Xbest,L”は、帯状体の左エッジ位置(第1のエッジ位置)の候補として決定されている「左エッジ位置」であり、“Xbest,R”は、帯状体の右エッジ位置(第2のエッジ位置)の候補として決定されている「右エッジ位置」である。また、“Ebest”は、左エッジ位置および右エッジ位置に対応する評価値(すなわち、エッジ位置の候補に対応する評価値)である。以下では、“Ebest”を、「候補評価値Ebest」とよぶ場合がある。
また、“θ”は、帯状体の搬送方向に対する傾きであり、“i”は、後述するステップS104〜S114の処理が行われた回数を示す値である。“i”は、後述するステップS104の処理における傾きθの変更に用いられる。
ステップS102では、例えば、上記各変数に初期値として0(ゼロ)を入れることによって、上記各変数の初期化を行う。なお、ステップS102において上記各変数に入れられる初期値は0(ゼロ)に限られない。例えば、エッジ検出装置100は、同一の帯状体について過去に処理した撮像画像から決定したエッジ位置、傾きの情報に基づいて、初期値を設定することもできる。上記の場合には、エッジ検出装置100は、エッジ検出処理の処理量や処理時間を低減しつつ、エッジを検出することが可能となる。
ステップS102において初期値が設定されると、エッジ検出装置100は、下記の数式1により搬送方向に対する帯状体の傾きを設定する(S104)。ここで、ステップS104の処理は、帯状体の傾きを仮定する処理に相当する。
θ=θ1+i・Δθ
・・・(数式1)
ここで、数式1に示す“θ1”と、後述する“θ2”(θ1<θ2)とは、搬送方向に対する所定の傾きの範囲を規定する範囲情報である。本発明の実施形態に係る範囲情報は、例えば、同一の帯状体または同種の帯状体などに対して過去に決定された帯状体の搬送方向に対する傾きや、実操業上において帯状体がどのくらい斜行しているかという実績などに基づいて設定される。範囲情報には、例えば、“θ1=θ’−2[degree]”、“θ2=θ’+2[degree]”が設定されるが、上記に限られない。ここで、“θ’”としては、例えば、0[degree]や、同一の帯状体に対する前回のエッジ検出処理において決定された帯状体の搬送方向に対する傾きの値が挙げられる。
範囲情報が設定されることによって、エッジ検出装置100は、エッジ検出処理の処理量や処理時間を低減しつつ、エッジを検出することが可能となる。なお、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100におけるエッジ検出処理が、範囲情報により処理する傾きの範囲が制限されることに限られないことは、言うまでもない。
また、数式1に示す“Δθ”は、エッジ検出装置100が異なる傾きを設定するための角度情報である。角度情報により規定される角度としては、例えば、1[degree]が挙げられるが、上記に限られない。ここで、Δθの値は、例えば、エッジ検出処理に費やすことが可能な時間に基づいて、設定される。エッジ検出処理に費やすことが可能な時間に基づくΔθの設定方法としては、例えば、エッジ検出装置100が、“Δθ=(エッジ検出処理に費やすことが可能な時間)/(設定された一の傾きに対して評価値の導出に要する処理時間)”という演算を行うことが挙げられるが、上記に限られない。なお、エッジ検出装置100は、例えばユーザ操作などに基づいてΔθの値を任意の値に設定することもできる。
ステップS104において傾きθが設定されると、エッジ検出装置100は、θ≦θ2であるか否かを判定する(S106)。
〔ステップS106においてθ≦θ2であると判定された場合〕
ステップS106においてθ≦θ2であると判定された場合には、エッジ検出装置100は、基準画素ごとに積算値を算出する(S108)。より具体的には、エッジ検出装置100は、例えば、x座標が“1≦x≦W”(Wは、撮像画像の幅に対応する値)である基準画素それぞれについて、積算値を算出する。
エッジ検出装置100は、例えば、下記の数式2により基準画素ごとの積算値を算出する。図4は、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100における積算値の算出方法の一例を説明するための説明図である。ここで、図4に示す画素Cが、設定された傾きを有し基準画素を通る直線(図4のLine)上の画素に該当する。
ここで、数式2に示す“(x,y)”は、撮像画像(厳密には微分画像)における座標を示しており、数式2に示す“P(x,θ)”が、基準画素における積算値を示している。また、本発明の実施形態に係る基準画素におけるy座標は、基準画素において共通する任意の値とすることができる。
また、数式2に示す“LC”は、図4に示す画素Cの輝度値を示しており、数式2に示す“LA”、“LB”は、図4に示す画素A、画素Bにおける輝度値をそれぞれ示している。また、数式2に示す“[・]”は、引数を超えない最大の整数を示しており、数式2に示す“w(x,y,θ)”は、x+ytanθの小数部、すなわち、“(x+ytanθ)−[x+ytanθ]”を示している。
また、数式2に示す“I(x,y)”は、撮像画像(厳密には微分画像)の座標(x,y)における輝度値(例えば8ビットで表される場合には、0〜255の値をとる。)を示し、数式2に示す“H”は、撮像画像(厳密には微分画像)の高さを示す。
エッジ検出装置100は、数式2に示す演算により、設定された傾きを有し基準画素を通る直線上の画素の輝度値を積算した積算値を算出することができる。
なお、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100における積算値の算出方法は、上記数式2を用いることに限られない。例えば、エッジ検出装置100は、下記の数式3に示すように、図4に示す画素Aの輝度値、画素Bの輝度値を用いた重み付けをとらずに(すなわち、画素Aの輝度値および画素Bの輝度値により画素Cの輝度値を補完せずに)積算値を算出することもできる。
エッジ検出装置100は、ステップS108において例えば上記数式2や数式3の演算を基準画素ごとに行うことによって、基準画素ごとに積算値を算出することができる。
なお、エッジ検出装置100における基準画素ごとの積算値の算出方法は、x座標が“1≦x≦W”を満たす基準画素全てについて積算値を算出することに限られない。例えば、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100は、同一の帯状体について過去に処理した撮像画像から決定したエッジ位置の情報に基づいて、エッジが存在する可能性が高い一部の基準画素に対して選択的に積算値を算出することもできる。上記のように基準画素ごとの積算値を算出することによって、エッジ検出装置100は、積算値の算出に係る処理量や処理時間を低減しつつ、エッジを検出することが可能となる。
ステップS108において基準画素ごとの積算値が算出されると、エッジ検出装置100は、算出された積算値に基づいて、設定された傾きに対応する評価値を導出する(S110)。
図5は、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100における評価値の導出方法の一例を説明するための説明図である。ここで、図5は、ステップS108において基準画素ごとに算出された積算値をグラフで表している。
上述したように、微分画像では帯状体のエッジ部分とその他の部分との輝度差がより大きくなるため、積算値が大きい程、積算値に対応する直線がエッジを示す確度が高くなる。よって、エッジ検出装置100は、図5に示すグラフから積算値のピークとなる積算値を値の大きな順に2つ選択し、選択された積算値EL、ERに基づいて1つの評価値Eを導出する。
ここで、エッジ検出装置100は、図5に示すグラフ全体から積算値を2つ選択するが、上記に限られない。例えば、エッジ検出装置100は、撮像画像を幅方向に2等分した2つの領域を設定し、設定した領域ごとに、1つずつピークとなる積算値を選択することもできる。また、エッジ検出装置100は、同一の帯状体について過去に処理した撮像画像から決定したエッジ位置の情報に基づいてエッジが存在する可能性が高い領域を2つ設定し、設定した領域ごとに、1つずつピークとなる積算値を選択することもできる。
また、エッジ検出装置100は、例えば、下記の(a)〜(c)のいずれかの演算により評価値Eを導出するが、ステップS110における評価値Eの導出方法は、下記の(a)〜(c)に限られない。
(a)E=min(EL,ER)
(b)E=max(EL,ER)
(c)E=EL+ER
また、エッジ検出装置100は、選択された積算値EL、ERに対応する基準画素の位置を、左エッジ位置の候補位置XL、右エッジ位置の候補位置XRとする。
エッジ検出装置100は、ステップS110において、例えば上記のように、算出された積算値に基づいて設定された傾きに対応する評価値Eの導出する。なお、ステップS110における評価値Eの導出に係る処理が、上記に限られないことは、言うまでもない。
再度図2を参照して、エッジ検出装置100におけるエッジ検出処理の第1の実施形態について説明する。エッジ検出装置100は、ステップS110において導出された評価値Eと、候補評価値Ebestとの値を比較し、E>Ebestであるか否かを判定する(S112)。
ステップS112においてE>Ebestであると判定されない場合には、エッジ検出装置100は、後述するステップS116の処理を行う。
また、ステップS112においてE>Ebestであると判定された場合には、エッジ検出装置100は、Ebest=E、θbest=θ、Xbest,L=XL、Xbest,R=XRを設定する(S114。候補値設定処理)。ここで、“θbest”は、搬送方向に対する帯状体のエッジの傾きの候補となる値である。以下では、ステップS114において更新される各変数を総称して、「候補値」とよぶ場合がある。
ここで、ステップS114の処理は、ステップS110において導出された評価値Eのうちのより値が大きな評価値Eに対応する仮定した傾きを、搬送方向に対する帯状体のエッジの傾きの候補として決定する処理に該当する。また、ステップS114の処理は、ステップS110において導出された評価値Eのうちのより値が大きな評価値Eの導出に用いられた2つの積算値にそれぞれ対応する基準画素の位置を、帯状体のエッジ位置の候補として決定する処理に該当する。
ステップS112においてE>Ebestであると判定されない場合、または、ステップS114において候補値が設定された場合には、エッジ検出装置100は、iの値をi=i+1に更新する(S116)。そして、エッジ検出装置100は、ステップS104からの処理を繰り返す。
よって、エッジ検出装置100は、搬送方向に対する帯状体の傾きθを、複数の所定の値(数式1およびθ≦θ2で規定される値)の中から順次選択された1つの値であると仮定し、仮定された傾きごとに評価値Eを導出して、候補値を設定することができる。
〔ステップS106においてθ≦θ2であると判定されない場合〕
ステップS106においてθ≦θ2であると判定されない場合には、エッジ検出装置100は、設定されている候補値に基づいて、エッジの傾きを“θbest”、左エッジ位置を“Xbest,L”、右エッジ位置を“Xbest,R”として決定する(S118)。
エッジ検出装置100は、例えば図2に示す第1の実施形態に係るエッジ検出処理によって、導出した評価値のうちの最も値が大きな評価値に対応する仮定した傾きを、搬送方向に対する帯状体のエッジの傾きとして決定し、また、導出した評価値のうちの最も値が大きな評価値の導出に用いられた2つの積算値にそれぞれ対応する基準画素の位置を、エッジ位置(左エッジ位置/右エッジ位置)として決定することができる。
なお、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100における、第1の実施形態に係るエッジ検出処理は、図2に示す処理に限られない。例えば、エッジ検出装置100は、図2のステップS112においてE>Ebestであると判定されない場合には、ステップS118の処理を行ってエッジ検出処理を終了することもできる。
ここで、図2のステップS112においてE>Ebestであると判定されない場合とは、評価値Eの値が、1つのピークを超えたことを示している。また、鋼板などの帯状体が映された撮像画像を処理した場合には、評価値Eのピークが1つしか存在しない可能性が高い。したがって、エッジ検出装置100が、例えば上記のようにエッジ処理を行う場合には、エッジ検出処理の処理量や処理時間を低減しつつ、エッジを検出することができる。
[2]第2の実施形態
上記では、エッジ検出装置100が、搬送方向に対する左エッジの傾きと搬送方向に対する右エッジの傾きとが同一であるとみなしてエッジを検出する場合における処理の一例について説明した。しかしながら、本発明の実施形態に係るエッジ検出処理は、上記に限られず、搬送方向に対する左エッジの傾きと搬送方向に対する右エッジの傾きとをそれぞれ検出することもできる。そこで、次に、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100におけるエッジ検出処理の第2の実施形態として、搬送方向に対する左エッジの傾きと搬送方向に対する右エッジの傾きとをそれぞれ検出する処理について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100におけるエッジ検出処理の第2の実施形態を示す流れ図である。ここで、図6に示すエッジ検出処理の第2の実施形態は、エッジ検出装置100が、搬送方向に対する左エッジの傾きと搬送方向に対する右エッジの傾きとをそれぞれ検出する場合における処理の一例を示している。
エッジ検出装置100は、図2に示すステップS100と同様に、撮像画像の各画素の輝度値を微分して微分画像を生成する(S200)。
エッジ検出装置100は、変数Xbest,L=0、変数Xbest,R=0、変数Ebest,L=0、変数Ebest,R=0、変数θ=0、変数i=0を設定する(S202。初期値設定処理)。
ここで、“Xbest,L”、“Xbest,R”、“θ”、“i”それぞれは、図2に示す“Xbest,L”、“Xbest,R”、“θ”、“i”と同様の変数である。また、“Ebest,L”は、左エッジ位置に対応する評価値であり、“Ebest,R”は、右エッジ位置に対応する評価値である。以下では、“Ebest,L”を、「第1の候補評価値Ebest,L」とよび、“Ebest,R”を、「第2の候補評価値Ebest,R」とよぶ場合がある。
ステップS202では、例えば、上記各変数に初期値として0(ゼロ)を入れることによって、上記各変数の初期化を行う。なお、図2に示すステップS102と同様に、ステップS202において上記各変数に入れられる初期値が0(ゼロ)に限られないことは、言うまでもない。
ステップS202において初期値が設定されると、エッジ検出装置100は、図2に示すステップS104と同様に、上記数式1により搬送方向に対する帯状体の傾きを設定する(S204)。
ステップS204において傾きθが設定されると、エッジ検出装置100は、θ≦θ2であるか否かを判定する(S206)。
〔ステップS206においてθ≦θ2であると判定された場合〕
ステップS206においてθ≦θ2であると判定された場合には、エッジ検出装置100は、図2に示すステップS108と同様に、基準画素ごとに積算値を算出する(S208)。
ステップS208において基準画素ごとの積算値が算出されると、エッジ検出装置100は、算出された積算値に基づいて、設定された傾きに対応する第1の評価値EL、第2の評価値ERを導出する(S210)。以下では、ステップS208において算出された積算値が、図5に示すグラフで表される場合を例に挙げて、ステップS210の処理について説明する。
エッジ検出装置100は、第1の実施形態に係るエッジ検出処理と同様に、図5に示すグラフから積算値のピークとなる積算値を値の大きな順に2つ選択する。そして、エッジ検出装置100は、選択された積算値EL、ERそれぞれを、積算値に対応する基準画素の位置に応じて、第1の評価値、第2の評価値とする。より具体的には、エッジ検出装置100は、選択された積算値に対応する基準画素の位置のうち、搬送方向を画像の上向きに置いたときの向かって左側の位置に対応する基準画素における積算値を第1の評価値とし、搬送方向を画像の上向きに置いたときの向かって右側の位置に対応する基準画素における積算値を第2の評価値とする。ここで、エッジ検出装置100は、例えば、選択された基準画素のx座標の値を比較することによって、搬送方向を画像の上向きに置いたときの向かって左側の位置に対応するか、右側の位置に対応するかを一意に判別することができる。
エッジ検出装置100は、ステップS210において導出された第1の評価値ELと、第1の候補評価値Ebest,Lとの値を比較し、EL>Ebest,Lであるか否かを判定する(S212)。
ステップS212においてEL>Ebest,Lであると判定されない場合には、エッジ検出装置100は、後述するステップS216の処理を行う。
また、ステップS212においてEL>Ebest,Lであると判定された場合には、エッジ検出装置100は、Ebest,L=EL、θbest,L=θ、Xbest,L=XLを設定する(S214。第1の候補値設定処理)。ここで、“θbest,L”は、搬送方向に対する帯状体の左エッジの傾きの候補となる値である。以下では、ステップS214において更新される各変数を総称して、「第1候補値」とよぶ場合がある。
ここで、ステップS214の処理は、ステップS210において導出された第1の評価値ELのうちのより値が大きな第1の評価値ELに対応する仮定した傾きを、帯状体の左エッジの傾きとして決定する処理に該当する。また、ステップS214の処理は、ステップS210において導出された第1の評価値ELのうちのより値が大きな第1の評価値ELの導出に用いられた積算値に対応する基準画素の位置を、帯状体の左エッジ位置として決定する処理に該当する。
ステップS212においてEL>Ebest,Lであると判定されない場合、または、ステップS214において第1候補値が設定された場合には、エッジ検出装置100は、ステップS210において導出された第2の評価値ERと、第2の候補評価値Ebest,Rとの値を比較し、ER>Ebest,Rであるか否かを判定する(S216)。
ステップS216においてER>Ebest,Rであると判定されない場合には、エッジ検出装置100は、後述するステップS220の処理を行う。
また、ステップS216においてER>Ebest,Rであると判定された場合には、エッジ検出装置100は、Ebest,R=ER、θbest,R=θ、Xbest,R=XRを設定する(S218。第2の候補値設定処理)。ここで、“θbest,R”は、搬送方向に対する帯状体の右エッジの傾きの候補となる値である。以下では、ステップS218において更新される各変数を総称して、「第2候補値」とよぶ場合がある。
ここで、ステップS218の処理は、ステップS210において導出された第2の評価値ERのうちのより値が大きな第2の評価値ERに対応する仮定した傾きを、帯状体の右エッジの傾きとして決定する処理に該当する。また、ステップS218の処理は、ステップS210において導出された第2の評価値ERのうちのより値が大きな第2の評価値ERの導出に用いられた積算値に対応する基準画素の位置を、帯状体の右エッジ位置として決定する処理に該当する。
ステップS216においてER>Ebest,Rであると判定されない場合、または、ステップS218において第2候補値が設定された場合には、エッジ検出装置100は、図2に示すステップS116と同様に、iの値をi=i+1に更新する(S220)。そして、エッジ検出装置100は、ステップS204からの処理を繰り返す。
〔ステップS206においてθ≦θ2であると判定されない場合〕
ステップS206においてθ≦θ2であると判定されない場合には、エッジ検出装置100は、設定されている第1候補値、および第2候補値に基づいて、左エッジの傾きを“θbest,L”、右エッジの傾きを“θbest,R”、左エッジ位置を“Xbest,L”、右エッジ位置を“Xbest,R”として決定する(S222)。
エッジ検出装置100は、例えば図6に示す第2の実施形態に係るエッジ検出処理によって、導出した第1の評価値のうちの最も値が大きな第1の評価値に対応する仮定した傾きを、搬送方向に対する帯状体の左エッジの傾きとして決定し、また、導出した第1の評価値のうちの最も値が大きな第1の評価値の導出に用いられた積算値に対応する基準画素の位置を、左エッジ位置として決定することができる。
また、エッジ検出装置100は、例えば図6に示す第2の実施形態に係るエッジ検出処理によって、導出した第2の評価値のうちの最も値が大きな第2の評価値に対応する仮定した傾きを、搬送方向に対する帯状体の右エッジの傾きとして決定し、また、導出した第2の評価値のうちの最も値が大きな第2の評価値の導出に用いられた積算値に対応する基準画素の位置を、右エッジ位置として決定することができる。
したがって、エッジ検出装置100は、例えば図6に示す第2の実施形態に係るエッジ検出処理によって、搬送方向に対する帯状体のエッジの傾き、およびエッジ位置を決定することができる。なお、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100における、第2の実施形態に係るエッジ検出処理が、図6に示す処理に限られないことは、言うまでもない。
[3]第3の実施形態
上記では、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100におけるエッジ検出処理の第1の実施形態、第2の実施形態として、搬送方向に対する帯状体のエッジの傾きの候補となる変数(θbest、または、θbest,Lおよびθbest,R)と、エッジ位置の候補となる変数(Xbest,L、Xbest,R)とを適宜更新することによって、エッジの傾きおよびエッジ位置を決定する処理を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100におけるエッジ検出処理は、上記に限られない。
例えば、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100は、数式1に示すθの全ての値に対してそれぞれ導出した評価値と、導出した各評価値に対応する各変数との中から最も値が大きな評価値に対応する変数を選択することによって、エッジの傾きおよびエッジ位置を決定することができる。また、エッジ検出装置100は、さらに撮像画像を幅方向に2等分した2つの領域を設定し、設定した領域ごとに、記憶された各評価値に対応する変数の中から最も値が大きな評価値に対応する変数をそれぞれ選択することによって、左エッジの傾きと左エッジの位置、および右エッジの傾きと右エッジの位置をそれぞれ決定することもできる。
エッジ検出装置100は、例えば上記第1の実施形態〜第3の実施形態に係るエッジ検出処理を行うことによって、本発明の実施形態に係るエッジ検出方法を実現することができる。なお、本発明の実施形態に係るエッジ検出方法を実現する処理が、上記第1の実施形態〜第3の実施形態に係るエッジ検出処理に限られないことは、言うまでもない。
(本発明の実施形態に係るエッジ検出装置)
次に、上述した本発明の実施形態に係るエッジ検出方法を実現することが可能な、エッジ検出装置100の構成例について説明する。
[エッジ検出システムの一例]
エッジ検出装置100の構成について説明する前に、エッジ検出装置100を有するエッジ検出システムの一例について説明する。図7は、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100を有するエッジ検出システム1000の一例を示す説明図である。
ここで、図7に示すエッジ検出システム1000は、帯状体10の疵検査を行う場合において、エッジ検出装置100が本発明の実施形態に係るエッジ検出処理を行うエッジ検出システムの一例を示している。また、本発明の実施形態に係る帯状体10としては、例えば、鉄鋼業の圧延鋼板製造ラインで製造された鋼板が挙げられるが、上記に限られない。
また、図7では、エッジ検出装置100として、PC(Personal Computer)を示しているが、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100は、PCに限られない。また、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100の外形が、図7に示すエッジ検出装置100に限られないことは、言うまでもない。
なお、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100を有するエッジ検出システムは、帯状体10の疵検査を行うシステムに適用されることに限られず、例えば、帯状体10の幅計測や、斜行量計測などを行うシステムに適用することもできる。
帯状体10は、搬送ロール12a、12bによって、搬送方向(図7に示すY方向)に搬送される。また、搬送ロール12a、12bの回転は、ロータリーエンコーダ14a、14bにより検出される。
また、エッジ検出システム1000は、エッジ検出装置100と、照明装置200と、撮像装置300と、表示装置400とを有する。
照明装置200は、帯状体10を照明する。ここで、照明装置200は、例えばハロゲンランプなどで構成され、光を発光する発光部(図示せず)と、集光レンズなどの集光部(図示せず)とを有する。照明承知200は、発光部(図示せず)から出射される光が集光部(図示せず)で線状に集光されることによって、帯状体10の表面が、帯状体10の幅方向(図1に示すX方向)で線状に照明される。ここで、図7では、照明装置200は、帯状体10の左右のエッジ(幅方向のエッジ)が確実に照明されるように、例えば、帯状体10だけでなく搬送ロール12bまで照明する。
撮像装置300は、照明装置200が帯状体10を照明することによって得られる反射光に基づいて帯状体10を撮像するここで、撮像装置300は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子を有し、帯状体10を撮像する。エッジ検出システム1000が、例えば、長手方向に数m〜数千mの長さを有する帯状体10のエッジを検出する場合、撮像装置300は、帯状体10を搬送方向に約50cmの撮像範囲で撮像するが、上記に限られない。
エッジ検出装置100と撮像装置300とは有線(または無線)で接続され、エッジ検出装置100は、撮像装置300から送信される撮像画像を示す画像信号を受信する。そして、エッジ検出装置100は、受信した画像信号に対して、上述したエッジ検出処理や、帯状体10の表面に発生している疵を検出するための疵検出に係る処理などの各種処理を行う。また、エッジ検出装置100は、撮像装置300に撮像命令を送信することによって、撮像装置300における撮像を制御することもできる。
表示装置400は、エッジ検出装置100と接続され、例えば、エッジ検出装置100から送信される画像信号に応じた画像などを表示画面に表示する。ここで、表示装置400は、例えば、エッジ検出装置100がエッジ検出処理により検出した帯状体10のエッジ位置などの情報を表示する画面や、疵検査の結果を示す画面、エッジ検出装置100のユーザが所望の操作をエッジ検出装置100にさせるための操作画面などが挙げられるが、上記に限られない。
また、表示装置400としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display)などが挙げられるが、上記に限られない。
エッジ検出システム1000では、例えば図7に示す構成によってエッジ検出装置100に図1に示すような撮像画像を入力され、エッジ検出装置100が、撮像画像に基づく帯状体10のエッジを検出する。また、エッジ検出システム1000では、エッジ検出装置100が、検出したエッジに基づいて帯状体10の疵検出を行う。したがって、エッジ検出装置100を有するエッジ検出システム1000は、帯状体10の疵の位置をより正確に検出することができる。
なお、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100を有するエッジ検出システムの構成は、図7に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係るエッジ検出システムは、エッジ検出装置100と撮像装置300とが、ネットワークで接続される構成をとることもできる。本発明の実施形態に係るエッジ検出システムが上記の構成をとる場合には、例えば、エッジ検出装置100と撮像装置300とが、離れた場所に設置されている場合(例えば、エッジ検出装置100と撮像装置300とが、異なる部屋、異なる建物、異なる県、異なる国などに設置されている場合)においても、エッジの検出などの各種処理を行うことが可能である。
ここで、上記ネットワークとしては、例えば、LAN(Local Area Network)などの有線ネットワーク、基地局を介した無線WAN(WWAN;Wireless Wide Area Network)などの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルを用いたインターネットなどが挙げられるが、上記に限られない。
[エッジ検出装置100の構成例]
次に、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100の構成の一例について説明する。図8は、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100の構成の一例を示す説明図である。ここで、図8では、図7に示す撮像装置300を併せて示している。
エッジ検出装置100は、記憶部102と、エッジ検出部104と、処理部106とを備える。
また、エッジ検出装置100は、例えば、制御部(図示せず)、ROM(Read Only Memory;図示せず)や、RAM(Random Access Memory;図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、各種画面を表示画面に表示する表示部(図示せず)、外部装置と通信を行うための通信部(図示せず)などを備えていてもよい。エッジ検出装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により上記各構成要素間を接続する。
ここで、制御部(図示せず)は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)や、各種処理回路などで構成されエッジ検出装置100全体を制御する。また、制御部(図示せず)は、例えば、エッジ検出部104、処理部106の役目を果たすこともできる。
ROM(図示せず)は、制御部(図示せず)が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、制御部(図示せず)により実行されるプログラムや、上記変数などを一次記憶する。
操作部(図示せず)としては、例えば、ボタン、方向キーなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられるが、上記に限られない。また、表示部(図示せず)としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイが挙げられるが、上記に限られない。また、エッジ検出装置100は、エッジ検出装置100の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)や、表示装置400と接続することもできる。
通信部(図示せず)は、エッジ検出装置100が備える通信手段であり、ネットワークを介して(あるいは、直接的に)、外部装置と無線/有線で通信を行う。ここで、通信部(図示せず)としては、例えば、通信アンテナおよびRF回路や、LAN端子および送受信回路などが挙げられるが、上記に限られない。
記憶部102は、エッジ検出装置100が備える記憶手段である。ここで、記憶部102としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられるが、上記に限られない。
また、記憶部102は、例えば、撮像装置300から送信される画像信号に応じた画像データや、アプリケーションなど様々なデータを記憶する。ここで、図8では、画像データ130が記憶部102に記憶されている例を示しているが、上記に限られない。
エッジ検出部104には画像信号が入力され、エッジ検出部104は、入力された画像信号に基づいて、上述した本発明の実施形態に係るエッジ検出処理を行う役目を果たす。ここで、エッジ検出部104に入力される画像信号としては、例えばデジタル信号が挙げられるが、上記に限られない。例えば、エッジ検出部104には、アナログ信号としての画像信号が入力され、当該画像信号をデジタル信号に変換して処理を行うこともできる。
また、エッジ検出部104は、撮像装置300から送信された画像信号を処理することができるが、上記に限られない。例えば、エッジ検出部104は、記憶部102に記憶された画像データに基づく画像信号を処理することもできる(いわゆる、オフラインで帯状体10のエッジを検出する構成)。また、エッジ検出部104は、例えば、ネットワークを介して外部装置から送信された画像信号や、外部記憶媒体などに記憶された画像データに基づく画像信号を処理することもできる。
〔エッジ検出部104の構成例〕
エッジ検出部104は、微分画像生成部110と、初期値設定部112と、評価値導出部114と、エッジ決定部116とを備える。
微分画像生成部110は、入力された画像信号に基づいて、当該画像信号が示す画像の微分画像を生成する。ここで、微分画像生成部110は、例えばカーネルとして[−1 0 1]を有するフィルタを用いて微分画像を生成するが、上記に限られない。
初期値設定部112は、範囲情報と角度情報とを評価値導出部114へ伝達する。ここで、初期値設定部112は、例えば、操作部(図示せず)から伝達されるユーザ操作に応じた操作信号や、過去のエッジ検出処理の結果などに基づいて、範囲情報と角度情報とを生成して評価値導出部114へ伝達するが、上記に限られない。
評価値導出部114は、初期値設定部112から伝達される範囲情報に基づいて、評価値を導出するための帯状体10の搬送方向に対する傾きを設定する。また、評価値導出部114は、微分画像生成部110から伝達される微分画像を示す画像信号に基づいて、設定された傾きにおける基準画素ごとの積算値を算出し、積算値に基づいて評価値(E、または、ELおよびER)を導出する。
評価値導出部114は、初期値設定部112から伝達される角度情報に基づいて傾きを適宜変更し、設定した傾きごとに上記評価値をそれぞれ導出し、導出した評価値をエッジ決定部116へ伝達する。
ここで、評価値導出部114は、評価値を導出するごとに導出した評価値をエッジ決定部116へ伝達するが、上記に限られない。例えば、評価値導出部114は、範囲情報により規定される所定の傾きの範囲における全ての評価値を導出した後に、導出した評価値をエッジ決定部116へ伝達することもできる。
また、評価値導出部114は、例えば、範囲情報により規定される所定の傾きの範囲における全ての評価値の導出が終了すると、評価値の導出処理が完了した旨の導出処理完了通知をエッジ決定部116に伝達する。ここで、評価値導出部114は、例えば、図2のステップS106の判定の結果に基づいて、導出処理完了通知をエッジ決定部116に伝達するが、上記に限られない。
なお、評価値導出部114は、例えば、図2のステップS106の判定の結果に基づいて、評価値の導出処理を終了するが、上記に限られない。例えば、評価値導出部114は、エッジ決定部116から伝達される、エッジが決定された旨の決定処理完了通知に基づいて、評価値の導出処理を終了することもできる。上記の場合には、評価値導出部114は、例えば上記導出処理完了通知をエッジ決定部116に伝達しない。
エッジ決定部116は、評価値導出部114から伝達される評価値に基づいて、帯状体10のエッジの搬送方向に対する傾き、およびエッジ位置を決定する。そして、エッジ決定部116は、帯状体10のエッジの搬送方向に対する傾きの情報(θbest、または、θbest,Lおよびθbest,R)、およびエッジ位置の情報(Xbest,L、Xbest,R)を、処理部106へ伝達する。
ここで、エッジ決定部116は、評価値導出部114から評価値が伝達されるごとに、候補値(または、第1候補値、第2候補値)を選択的に更新する。そして、エッジ決定部116は、評価値導出部114から伝達される導出処理完了通知に応じて、当該候補値を、帯状体10のエッジの搬送方向に対する傾き、およびエッジ位置として決定する。
なお、エッジ決定部116における帯状体10のエッジの搬送方向に対する傾き、およびエッジ位置の決定方法は、上記に限られない。例えば、エッジ決定部116は、評価値のピークを検出し、検出されたピークを示す評価値に基づいて帯状体10のエッジの搬送方向に対する傾き、およびエッジ位置を決定することもできる。また、上記の場合には、エッジ決定部116は、例えば決定処理完了通知を評価値導出部114に伝達する。
エッジ検出部104は、例えば、微分画像生成部110、初期値設定部112、評価値導出部114、およびエッジ決定部116を備えることによって、上述した本発明の実施形態に係るエッジ検出処理を行う役目を果たすことができる。ここで、エッジ検出部104は、例えば、MPUや各種処理回路などにより構成された専用の処理回路により実現されるが、上記に限られない。例えば、エッジ検出装置100が備える制御部(図示せず)が、エッジ検出部104の役目を果たすこともできる。
なお、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100が備えるエッジ検出部の構成は、上記に限られない。例えば、エッジ検出装置100は、エッジ検出部を、図8に示す初期値設定部112を備えない構成とすることもできる。エッジ検出部が上記の構成をとる場合であっても、評価値導出部部114は、帯状体10のエッジの搬送方向に対する傾きを適宜設定し、微分画像生成部110から伝達される微分画像を示す画像信号に基づいて、設定した傾きごとの評価値を導出することが可能である。よって、エッジ検出部が上記の構成をとる場合であっても、本発明の実施形態に係るエッジ検出処理を実現することができる。
処理部106は、エッジ検出部104が処理した画像信号と、エッジ検出部104から伝達される帯状体10のエッジの搬送方向に対する傾きの情報およびエッジ位置の情報とに基づいて、帯状体10に対する様々な処理を行う。ここで、処理部106が行う処理としては、例えば、帯状体10の疵検出に係る処理や、帯状体10の幅計測に係る処理、帯状体10の斜行量計測に係る処理などが挙げられるが、上記に限られない。
処理部106は、エッジ検出部104から伝達される帯状体10のエッジの搬送方向に対する傾きの情報およびエッジ位置の情報に基づいて、帯状体10のエッジを認識することができるので、各種処理を高い精度で行うことができる。
エッジ検出装置100は、例えば図8に示す構成を有することによって、上述した本発明の実施形態に係るエッジ検出方法を実現することができる。
なお、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100の構成は、図8に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100は、エッジ検出部104から出力される、帯状体10のエッジの搬送方向に対する傾きの情報およびエッジ位置の情報を、通信部(図示せず)を介して外部装置へ送信することができる。また、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100は、例えば、図8に示す処理部106を備えない構成(すなわち、処理部106の役目を外部装置が果たす構成)とすることもできる。
以上のように、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置100は、撮像画像における帯状体の搬送方向に対する傾きを設定(仮定)し、設定した傾きごとに、帯状体のエッジ位置を評価するための評価値を導出する。そして、エッジ検出装置100は、設定した傾きごとに導出した評価値の中から、最もエッジを表していると評価される評価値(確度が高い評価値)を決定する。よって、エッジ検出装置100は、撮像画像における帯状体のエッジが搬送方向に対して傾いている場合であっても、エッジを検出することができる。また、エッジ検出装置100は、積算値に基づく評価値を導出してエッジ位置を決定するので、たとえ、処理する撮像画像が撮像画像における帯状体とその他の部分との輝度差が小さい撮像画像であったとしても、従来の技術のようなエッジの誤検出や、エッジの未検出を防止することができる。よって、エッジ検出装置100は、撮像画像における帯状体とその他の部分との輝度差が小さく、かつ帯状体のエッジが傾斜している撮像画像を処理する場合であっても、帯状体のエッジをより正確に検出することができる。
したがって、エッジ検出装置100は、帯状体が撮像された画像に基づいて帯状体のエッジを検出する場合における、検出精度の向上を図ることができる。
また、上記では、本発明の実施形態としてエッジ検出装置100を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、PCやサーバなどのコンピュータ、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などの通信装置、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置など、様々な機器に適用することができる。
(本発明の実施形態に係るプログラム)
コンピュータを、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置として機能させるためのプログラムによって、帯状体が撮像された画像に基づいて帯状体のエッジを検出する場合における、検出精度の向上を図ることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、図8に示すエッジ検出装置100では、エッジ検出104が、微分画像生成部110、初期値設定部112、評価値導出部114、およびエッジ決定部116を備える構成を示したが、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置の構成は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置は、図8に示す微分画像生成部110、初期値設定部112、評価値導出部114、およびエッジ決定部116の任意の構成要素を個別に備える(例えば、それぞれを個別の処理回路で実現する)こともできる。
また、上記では、コンピュータを、本発明の実施形態に係るエッジ検出装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本発明の実施形態は、さらに、上記プログラムを記憶させた記憶媒体も併せて提供することができる。
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。