JP2011085061A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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【課題】触媒上流に配設された空燃比センサよりも早く燃焼室内の排ガスの空燃比の変化を検出し、過渡運転状態においても空燃比を適切にフィードバック制御すること。
【解決手段】通常時、メイン噴射のみがなされる。触媒再生制御中では、メイン噴射に加えてアフタ噴射がなされる。触媒再生制御中では、「空燃比が目標空燃比に維持された定常運転状態での定常ピーク位置CPs」に対する「筒内圧力センサから得られる燃焼室の圧力の推移に基づいて得られる過渡運転状態での実ピーク位置CPa」のずれ量(ピーク位置ずれ量ΔCP)に基づく補正燃料量ΔFと、空燃比センサによる検出空燃比AFsenと目標空燃比との偏差をPID処理して得られるフィードバック補正量DFiと、が考慮されて、空燃比が目標空燃比に一致するように総噴射燃料量FI(メイン噴射燃料量+アフタ噴射燃料量)が算出される。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関(特に、ディーゼル機関)の空燃比制御装置に関する。
従来より、ディーゼル機関では、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を効果的に浄化するため、排気通路に介装される触媒として吸蔵還元型のNOx触媒(以下、「NOx触媒」と呼ぶ。)が広く使用されている。NOx触媒は、流入する排ガスが酸化雰囲気のとき(酸素濃度が大きいとき)に排ガス中のNOxを吸蔵し、流入する排ガスが還元雰囲気のとき(酸素濃度が小さく且つ還元剤が存在するとき)に吸蔵していたNOxを還元する機能を有する。
通常、ディーゼル機関では、出力調整部材(アクセルペダル等)の操作量に基づく要求トルクに応じた量(メイン噴射燃料量)の燃料が圧縮上死点近傍(メイン噴射時期)にて噴射される。この場合、排ガスは酸化雰囲気となり、NOx触媒は排ガス中のNOxを吸蔵する。そして、時間経過に応じてNOx触媒に吸蔵されるNOxの量(吸蔵NOx量)が増大するにつれてNOxの吸蔵能力が低下していく。また、排ガス中の硫黄(S)がNOx触媒に堆積していく現象が発生する。そして、時間経過に応じてNOx触媒に堆積される硫黄の量(堆積S量)が増大するにつれてNOxの吸蔵能力が低下していく。
このように、吸蔵NOx量の増大及び堆積S量の増大に起因してNOx触媒のNOx吸蔵能力が低下する。NOx触媒のNOx吸蔵能力を回復させる(NOx触媒を再生する)ためには、吸蔵NOx量及び堆積S量を減少させる必要がある。吸蔵NOx量及び堆積S量を減少させるためには、NOx触媒に流入する排ガスの空燃比を還元雰囲気に相当する所定の値に維持することが有効である。以下、NOx触媒の再生のためにNOx触媒に流入する排ガスの空燃比を還元雰囲気に相当する目標空燃比に維持する制御を「触媒再生制御」と呼ぶ。
通常において排ガスが酸化雰囲気となるディーゼル機関において、触媒再生制御を行う一手法として、「圧縮上死点近傍でのメイン噴射の後の膨張行程中においてアフタ噴射を更に行い、アフタ噴射の噴射量(アフタ噴射燃料量)をNOx触媒の上流の排気通路に介装された空燃比センサの検出値に基づいてフィードバック制御することでNOx触媒に流入する排ガスの空燃比を目標空燃比に維持する」手法が考えられる(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、燃焼室内での燃焼により発生した排ガスが燃焼室から空燃比センサ(の検出部)まで移動するのには、排気ポートから空燃比センサまでの排気通路の長さ(より正確には容積)に応じた時間を要する。従って、燃焼室内の排ガスの空燃比の変化は、この時間だけ遅れて空燃比センサの検出値に現れる。以下、この遅れを「輸送遅れ」と呼ぶ。
内燃機関が過渡運転状態(例えば、アクセル開度、運転速度等が変化している状態)にある場合、燃焼室内の排ガスの空燃比は変化し易い。これは、過渡運転状態においてEGR制御弁の開度が調整される際の開度制御の応答遅れ等の種々の要因に基づく。従って、上記手法により空燃比センサの検出値に基づく空燃比フィードバック制御が行われる場合、輸送遅れの影響により、特に過渡運転状態においてフィードバック制御の応答性が悪い。この結果、特に過渡運転状態において燃焼室内の排ガスの空燃比(従って、NOx触媒に流入する排ガスの空燃比)の目標空燃比への収束性が悪いという問題が発生し得る。
この問題に対処するためには、空燃比センサよりも早く燃焼室内の排ガスの空燃比の変化を検出し、この検出結果に基づいて空燃比フィードバック制御が実行されることが望ましい。
特開2009−215977号公報
本発明は、触媒の上流の排気通路に配設された空燃比センサよりも早く燃焼室内の排ガスの空燃比の変化を検出し、この検出結果に基づいて触媒に流入する排ガスの空燃比を過渡運転状態においても適切にフィードバック制御し得る内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置が適用される内燃機関としては、火花点火式内燃機関、ディーゼル機関等が採用され得る。この空燃比制御装置では、排気通路に触媒が介装されている。「触媒」としては、三元触媒、窒素酸化物を浄化する吸蔵還元型の触媒等が採用され得る。この触媒よりも上流の排気通路には、触媒に流入するガスの空燃比を検出する空燃比センサが配設されていてもいなくてもよい。「空燃比センサ」としては、限界電流式の酸素濃度センサ、起電力式の酸素濃度センサ等が採用され得る。
この空燃比制御装置では、内燃機関の運転状態を表す第1パラメータの検出値に基づいて触媒に流入するガスの空燃比(従って、排ガスの空燃比)を目標空燃比とするために必要な噴射燃料量が算出される。第1パラメータとしては、例えば、内燃機関の出力を調整するために操作される出力調整部材の操作量(アクセル開度)、内燃機関の運転速度、吸気通路内の吸気の流量等が挙げられる。
そして、算出された噴射燃料量の燃料が噴射される。これにより、排ガスの空燃比が目標空燃比となるようにフィードバック制御される。「目標空燃比」は、火花点火式内燃機関の場合では、例えば、理論空燃比(14.6程度)、ディーゼル機関における上記触媒再生制御中では、例えば、理論空燃比よりもリッチの空燃比である。
この空燃比制御装置の特徴は以下の点にある。即ち、燃焼室内の圧力の推移が取得される。圧力の推移は、例えば、燃焼室内の圧力を検出する圧力センサの検出結果から取得され得る。この圧力の推移は、例えば、燃焼なしの場合に比して燃料の燃焼に起因して燃焼室の圧力が大きくなる期間(例えば、燃料噴射時期から膨張行程の終了近傍の時期までの期間)に亘って取得される。圧力の推移は、一燃焼サイクル毎に順次取得・記憶されていくことが好ましい。
検出された圧力の推移に基づいてピーク位置相関値の実際値(実ピーク位置相関値)が算出される。ピーク位置相関値とは、燃焼室内における熱発生率のピークに対応するクランク角度(ピーク位置)に相関する値であり、例えば、ピーク位置そのもの、燃焼開始から燃焼終了までの間の総熱発生量の重心に対応するクランク角度(重心位置)等が挙げられる。熱発生率とは、単位クランク角度あたりの熱発生量である。
排ガスの空燃比が目標空燃比に維持された定常運転状態(例えば、アクセル開度、運転速度等が一定の状態)における「内燃機関の運転状態を表す第2パラメータの値とピーク位置相関値との間の予め取得された関係」と、第2パラメータの検出値と、に基づいて、第2パラメータの検出値に対応する定常運転状態におけるピーク位置相関値(定常ピーク位置相関値)が決定される。第2パラメータとしては、例えば、指令噴射燃料量、内燃機関の運転速度、吸気温度、吸気圧力等が挙げられる。排ガスの空燃比が目標空燃比に維持された定常運転状態における「第2パラメータの値とピーク位置相関値との間の関係」は、実験、シミュレーション等を通して予め取得され得る。この定常ピーク位置相関値は、実ピーク位置相関値の算出に使用された圧力の推移に対応する燃焼サイクルと同じ燃焼サイクルに対する第2パラメータの検出値に基づいて決定される。
上記のように決定された定常ピーク位置相関値と上記のように算出された実ピーク位置相関値とに基づいてピーク位置ずれ量が算出される。ピーク位置ずれ量とは、(同じ燃焼サイクルに対する)定常ピーク位置相関値に対する実ピーク位置相関値のずれ量である。そして、この算出されたピーク位置ずれ量に基づいて噴射燃料量が補正されて算出される。この補正された噴射燃料量の燃料が噴射される。
噴射燃料量の補正に際し、ピーク位置ずれ量と「排ガスの空燃比が目標空燃比に維持された定常運転状態における燃焼室内の酸素濃度に対する燃焼室内の実際の酸素濃度のずれ量(酸素濃度ずれ量)」との間の予め取得された関係と、算出されたピーク位置ずれ量と、に基づいて、算出されたピーク位置ずれ量に対応する酸素濃度ずれ量が決定され得る。このように酸素濃度ずれ量が決定された場合、この決定された酸素濃度ずれ量に基づいて噴射燃料量が補正され得る。
一般に、燃焼室内の空燃比が異なると、燃焼室内の酸素濃度が異なる。燃焼室内の酸素濃度が異なると、ピーク位置相関値が異なる。具体的には、酸素濃度が小さいほど、燃焼速度が遅くなり、ピーク位置相関値が遅れる。従って、実ピーク位置相関値が定常ピーク位置相関値と一致することは燃焼室内の排ガスの空燃比が目標空燃比に一致していることを意味し、実ピーク位置相関値の定常ピーク位置相関値からのずれ量(ピーク位置ずれ量)は、燃焼室内の排ガスの空燃比の目標空燃比からのずれ量を精度良く表す値となり得る。
加えて、実ピーク位置相関値は、燃焼室内の圧力を直接検出する圧力センサ等の検出結果に基づいて算出される。従って、燃焼室内の排ガスの空燃比の変化が実ピーク位置相関値の変化として現れる時期はその空燃比の変化が空燃比センサの検出値の変化として現れる時期よりも前記輸送遅れ分だけ早い。
以上のことから、ピーク位置ずれ量を監視することで、空燃比センサよりも早く燃焼室内の排ガスの空燃比の変化を検出することができる。上記構成は係る知見に基づく。即ち、上記構成のようにピーク位置ずれ量(或いは、ピーク位置ずれ量から得られる酸素濃度ずれ量)に基づいて噴射燃料量を補正して空燃比フィードバック制御を行うことで、空燃比センサの検出値に基づいて噴射燃料量を補正して空燃比フィードバック制御を行う場合に比して、空燃比フィードバック制御の応答性が向上する。この結果、燃焼室内の排ガスの空燃比(従って、触媒に流入する排ガスの空燃比)の目標空燃比への収束性が向上し、過渡運転状態においても触媒に流入する排ガスの空燃比が適切にフィードバック制御され得る。
以下、内燃機関がディーゼル機関の場合であって、上述した触媒再生制御が実行される場合について説明する。この場合、触媒再生制御の実行条件が成立しているか否かが判定される。触媒再生制御の実行条件は、例えば、周知の手法の一つにより推定される吸蔵NOx量、及び/又は堆積S量が所定値を超えた場合に成立する。
触媒再生制御の実行条件が成立していない場合、(アフタ噴射が実行されず)メイン噴射が実行される。メイン噴射に先立ってパイロット噴射がなされてもよい。メイン噴射燃料量は、出力調整部材(アクセルペダル等)の操作量を含む内燃機関の運転状態を表す第1パラメータの検出値に基づいて算出される。一方、触媒再生制御の実行条件が成立している場合、メイン噴射が実行されるとともに、メイン噴射の後にアフタ噴射が実行される。メイン噴射に先立ってパイロット噴射がなされてもよい。メイン噴射燃料量及びアフタ噴射燃料量は、第1パラメータの検出値に基づいて、触媒に流入するガスの空燃比が目標空燃比となるようにそれぞれ算出される。具体的には、第1パラメータの検出値に基づいて総噴射燃料量が算出され、この総噴射燃料量がメイン噴射燃料量及びアフタ噴射燃料量に割り当てられる。ここで、総噴射燃料量とは、パイロット噴射がなされない場合にはメイン噴射燃料量とアフタ噴射燃料量との和であり、パイロット噴射がなされる場合にはパイロット噴射燃料量とメイン噴射燃料量とアフタ噴射燃料量との和である。
触媒再生制御の実行条件が成立している場合、上記と同じ原理を利用して、ピーク位置ずれ量(或いは、ピーク位置ずれ量から得られる酸素濃度ずれ量)に基づいてメイン噴射燃料量及び/又はアフタ噴射燃料量が補正される。これにより、上述と同様、燃焼室内の排ガスの空燃比(従って、触媒に流入する排ガスの空燃比)の目標空燃比への収束性が向上し、過渡運転状態においても触媒に流入する排ガスの空燃比が適切にフィードバック制御され得る。
上述したように、内燃機関がディーゼル機関の場合、「触媒」は、排ガス中の窒素酸化物を浄化する吸蔵還元型の触媒(NOx触媒)であることが好ましい。この場合、上述のように、触媒再生制御とは、触媒に吸蔵された窒素酸化物を還元する制御(従って、吸蔵NOx量を小さくする制御)、又は、触媒に堆積した硫黄の堆積量(堆積S量)を小さくする制御である。
ところで、ピーク位置ずれ量(酸素濃度ずれ量)に基づく噴射燃料量の補正のみでは、空燃比フィードバック制御の応答性が向上する一方で、実ピーク位置相関値に含まれる誤差等に起因して、定常運転状態において、燃焼室内の排ガスの空燃比(従って、触媒に流入する排ガスの空燃比)が目標空燃比に維持されることが保証され得ない。
これに対し、触媒よりも上流の排気通路に空燃比センサが配設されている場合、(ピーク位置ずれ量(酸素濃度ずれ量)のみならず)空燃比センサにより検出された検出空燃比と目標空燃比との偏差の積算値にも基づいて噴射燃料量が補正されることが好適である。これにより、定常運転状態において、検出空燃比と目標空燃比との偏差がゼロに維持されること、従って、燃焼室内の排ガスの空燃比(従って、触媒に流入する排ガスの空燃比)が目標空燃比に維持されることが保証され得る。
即ち、この場合、過渡運転状態において触媒に流入する排ガスの空燃比が適切にフィードバック制御され得、且つ、定常運転状態において触媒に流入する排ガスの空燃比が目標空燃比に確実に維持され得る。
本発明の実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置を多気筒ディーゼル機関に適用したシステム全体の概略構成図である。 空燃比と空燃比センサの出力との関係を示すグラフである。 触媒再生制御中においてメイン噴射とアフタ噴射とがなされる場合における燃焼室内での熱発生率の推移の一例を定常運転状態と過渡運転状態とで比較しながら示したグラフである。 図1に示す空燃比制御装置が触媒再生制御中において噴射燃料量を算出する際における処理の流れを示すフローチャートである。 ピーク位置ずれ量ΔCPと酸素濃度ずれ量ΔO2との関係を示したグラフである。
図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置が適用される、内燃機関(4気筒ディーゼル機関)10を含むシステム全体の概略構成を示している。このシステムは、燃料供給系統を含むエンジン本体20、エンジン本体20の各気筒の燃焼室(筒内)にガスを導入するための吸気系統30、エンジン本体20からの排ガスを放出するための排気系統40、排気還流を行うためのEGR装置50、及び電気制御装置60を含んでいる。
エンジン本体20の各気筒の上部には燃料噴射弁21が配設されている。各燃料噴射弁21は、図示しない燃料タンクと接続された燃料噴射用ポンプ22に燃料配管23を介して接続されている。燃料噴射用ポンプ22は、電気制御装置60と電気的に接続されていて、電気制御装置60からの駆動信号により各燃料噴射弁21から噴射される燃料の圧力(レール圧)を調整できるようになっている。また、各燃料噴射弁21は、電気制御装置60と電気的に接続されていて、電気制御装置60からの駆動信号により各燃料噴射弁21から噴射される燃料の量(噴射燃料量)を調整できるようになっている。
吸気系統30は、エンジン本体20の各気筒の燃焼室にそれぞれ接続された吸気マニホールド31、吸気マニホールド31の上流側集合部に接続され同吸気マニホールド31とともに吸気通路を構成する吸気管32、吸気管32内に回動可能に保持されたスロットル弁33、電気制御装置60からの駆動信号に応答してスロットル弁33を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ33a、スロットル弁33の上流において吸気管32に順に介装されたインタクーラー34と過給機35のコンプレッサ35a、及び吸気管32の先端部に配設されたエアクリーナ36とを含んでいる。
排気系統40は、エンジン本体20の各気筒にそれぞれ接続された排気マニホールド41、排気マニホールド41の下流側集合部に接続された排気管42、排気管42に配設された過給機35のタービン35b、及び排気管42に介装された吸蔵還元型のNOx触媒(以下、「NOx触媒」と呼ぶ。)43を含んでいる。排気マニホールド41及び排気管42は排気通路を構成している。タービン35b内には、タービン35bの容量を調整するためのバリアブルノズル35b1が備えられている。バリアブルノズル35b1は、電気制御装置60からの駆動信号に応答し、タービン35bの容量を変更し得るようになっている。
EGR装置50は、排気ガスを還流させる通路(EGR通路)を構成する排気還流管51と、排気還流管51に介装されたEGR制御弁52と、EGRクーラー53とを備えている。排気還流管51はタービン35bの上流側排気通路(排気マニホールド41)とスロットル弁33の下流側吸気通路(吸気マニホールド31)を連通している。EGR制御弁52は電気制御装置60からの駆動信号に応答し、再循環される排気ガス量(排気還流量、EGRガス流量、EGR率)を変更し得るようになっている。なお、EGR率とは、本例では、燃焼室に流入する全ガス流量(新気流量+EGRガス流量)に対するEGRガス流量の割合をいう。
電気制御装置60は、互いにバスで接続されたCPU61、CPU61が実行するプログラム、テーブル(マップ)、及び定数等を予め記憶したROM62、RAM63、バックアップRAM64、並びにADコンバータを含むインターフェース65等からなるマイクロコンピュータである。
インターフェース65は、熱線式エアフローメータ71、スロットル弁開度センサ72、吸気圧力センサ73、クランクポジションセンサ74、アクセル開度センサ75、EGR制御弁開度センサ76、水温センサ77、空燃比センサ78、筒内圧力センサ79、及び吸気温度センサ81と接続されていて、これらのセンサからの信号をCPU61に供給するようになっている。
また、インターフェース65は、燃料噴射弁21、燃料噴射用ポンプ22、スロットル弁アクチュエータ33a、バリアブルノズル35b1、及びEGR制御弁52と接続されていて、CPU61の指示に応じてこれらに駆動信号を送出するようになっている。
熱線式エアフローメータ71は、吸気通路内を通過する吸入空気の質量流量(単位時間当りの吸入空気(新気)量)を計測するようになっている。スロットル弁開度センサ72は、スロットル弁33の開度を検出するようになっている。吸気圧力センサ73は、吸気マニホールド31と排気還流管51との合流地点よりも下流の吸気通路内のガス(従って、エンジン10の燃焼室に吸入されるガス)の圧力(吸気圧力)を検出するようになっている。
クランクポジションセンサ74は、実クランク角度とともにエンジン10の回転速度であるエンジン回転速度を検出するようになっている。アクセル開度センサ75は、アクセルペダルAPの操作量を検出するようになっている。EGR制御弁開度センサ76は、EGR制御弁52の開度を検出するようになっている。水温センサ77は、冷却水の温度を検出するようになっている。
空燃比センサ78は、NOx触媒43の上流の排気通路に配設されている。空燃比センサ78は、所謂「限界電流式酸素濃度センサ」であって、図2に示すように、NOx触媒43に流入する排ガスの空燃比に応じた出力Vabyfを発生するようになっている。この出力Vabyfと図2に示した関係とに基づいて空燃比が検出される。この空燃比を検出空燃比AFsenと呼ぶ。
筒内圧力センサ79は、各気筒にそれぞれ配設されていて、燃焼室内の圧力を検出するようになっている。吸気温度センサ81は、吸気マニホールド31と排気還流管51との合流地点よりも下流の吸気通路内のガス(従って、エンジン10の燃焼室に吸入されるガス)の温度(吸気温度)を検出するようになっている。
(燃料噴射制御)
次に、上記のように構成される本発明の実施形態に係る内燃機関空燃比の制御装置(以下、「本装置」と呼ぶ。)による燃料噴射制御について説明する。
<通常時での燃料噴射制御>
本装置では、通常時(後述する触媒再生制御の実行条件が成立していないとき)、圧縮上死点近傍でのメイン噴射時期にてメイン噴射が実行される。メイン噴射時期は、上述した各種センサの検出結果から得られる内燃機関10の運転状態(例えば、エンジン回転速度、アクセルペダル操作量)に基づいて、燃焼効率が最適となる時期に決定される。
メイン噴射による噴射量(メイン噴射燃料量)は、アクセル開度センサ75から得られるアクセルペダル操作量(アクセル開度)に基づいて算出される要求トルクと、要求トルク及びメイン噴射燃料量の関係を規定する予め作製されたテーブル(マップ)と、に基づいて決定される。このメイン噴射により、通常時にて排ガスは酸化雰囲気(空燃比が理論空燃比よりもリーン)に維持される。なお、メイン噴射に先立ってパイロット噴射がなされてもよい。
通常時では、特殊な制御が実行されない限りにおいて、スロットル弁33の開度(スロットル開度)は最大(全開)に維持される。また、EGR制御弁52の開度(EGR開度)は、アクセル開度の現在値と、アクセル開度及びEGR開度の関係を規定する予め定められたテーブル(マップ)と、に基づいて決定される目標値に一致するようにフィードバック制御される。これにより、アクセル開度が大きいほどEGR開度がより小さい値に制御される。
一方、本システムでは、排気通路にNOx触媒43が介装されている。NOx触媒43は、排ガスが酸化雰囲気(空燃比が理論空燃比よりもリーン)のときに排ガス中のNOxを吸蔵し、排ガスが還元雰囲気のとき(空燃比が理論空燃比よりもリッチで排ガス中に還元剤が存在するとき)に吸蔵していたNOxを還元する機能を有する。上述したように、本装置では、通常時(触媒再生制御の実行条件非成立時)、排ガスが酸化雰囲気に維持されるので、NOx触媒43は排ガス中のNOxを吸蔵する。従って、時間経過に応じてNOx触媒43に吸蔵されるNOxの量(吸蔵NOx量)が増大する。そして、吸蔵NOx量が増大するにつれてNOx触媒43のNOx吸蔵能力が低下していく。
加えて、排ガス中の硫黄(S)がNOx触媒43に堆積していく現象が発生する。従って、時間経過に応じてNOx触媒43に堆積される硫黄の量(堆積S量)が増大する。そして、堆積S量が増大するにつれてNOx触媒43のNOx吸蔵能力が低下していく。
吸蔵NOx量を減少させるためには、触媒雰囲気温度が第1所定温度以上の状態において、流入する排ガスの空燃比を還元雰囲気に相当する所定の値に維持することが有効である。堆積S量を減少させるためには、触媒雰囲気温度が第2所定温度以上の状態において、流入する排ガスの空燃比を前記所定の値に維持することが有効である。
そこで、本装置では、触媒雰囲気温度が第1所定温度以上の状態において吸蔵NOx量が所定量を超えたとき、或いは、触媒雰囲気温度が第2所定温度以上の状態において堆積S量が所定量を超えたとき、触媒再生制御の実行条件が成立するようになっている。なお、吸蔵NOx量及び堆積S量は、周知の手法の1つにより推定され得る。触媒再生制御の実行条件が成立している間、NOx触媒43のNOx吸蔵能力を回復させる(NOx触媒43を再生する)ため、排ガスの空燃比を前記所定の値に対応する目標空燃比に維持する触媒再生制御が実行される。
<触媒再生制御中での燃料噴射制御>
触媒再生制御中では、吸気行程にて燃焼室内に吸入される空気量(筒内吸入空気量)を調整するため、スロットル開度が調整される。スロットル開度は、上述した各種センサの検出結果から得られる内燃機関10の現在の運転状態(例えば、エンジン回転速度、アクセル開度)と、その運転状態(例えば、エンジン回転速度、アクセル開度)とスロットル開度との関係を規定する予め定められたテーブル(マップ)と、に基づいて決定される目標値に一致するようにフィードバック制御される。例えば、アクセル開度が大きいほどスロットル開度がより大きい値に制御される。また、EGR開度は、通常時と同様、アクセル開度に基づいて、アクセル開度が大きいほどより小さい値に制御される。
触媒再生制御中では、通常時において行われるメイン噴射の後の膨張行程中のアフタ噴射時期において、アフタ噴射が更に行われる。なお、メイン噴射に先立ってパイロット噴射がなされてもよい。
メイン噴射時期は、通常時と同様に決定される。アフタ噴射時期は、上述した各種センサの検出結果から得られる内燃機関10の運転状態(例えば、エンジン回転速度、アクセルペダル操作量)に基づいて決定される。アフタ噴射時期は、アフタ噴射された燃料のうちなるべく多くが燃焼し、且つアフタ噴射された燃料の燃焼により発生するトルクがなるべく小さくなる時期(例えば、ATDC40°近傍)に設定される。ここで、アフタ噴射された燃料のうちなるべく多くが燃焼するようにアフタ噴射時期が設定されるのは、アフタ噴射された燃料の燃焼により発生し得るCOがNOx触媒43に吸蔵されているNOxを還元する作用(従って、吸蔵NOx量を減少させる作用)を有していることに基づく。即ち、このCOの作用により、吸蔵NOx量を効果的に減少させることができる。
触媒再生制御中では、総噴射燃料量FIが、燃焼室内の排ガスの空燃比が目標空燃比に一致するように下記(1)式に従って算出される。総噴射燃料量とは、パイロット噴射がなされない場合にはメイン噴射燃料量とアフタ噴射燃料量との和であり、パイロット噴射がなされる場合にはパイロット噴射燃料量とメイン噴射燃料量とアフタ噴射燃料量との和である。
FI=Fbase+ΔF+DFi …(1)
上記(1)式において、Fbaseは、基本噴射燃料量であり、上述したスロットル開度の制御により調整された筒内吸入空気量に対して目標空燃比を得るために必要な燃料量である。Fbaseは、例えば、上述したスロットル開度目標値の現在値とエンジン回転速度の現在値とに基づいて推定される筒内吸入空気量を目標空燃比で除することで求められる。即ち、Fbaseは、内燃機関10の現在の運転状態(例えば、エンジン回転速度、アクセル開度)に基づいて決定される。
上記(1)式において、ΔFは補正燃料量である。ΔFについては後に詳述する。上記(1)式において、DFiは、空燃比センサ78による検出空燃比AFsenに基づくフィードバック補正量である。具体的には、目標空燃比をAFrefとし、「AFsen−AFref」をΔAFとすると、DFiは、例えば、下記(2)式に従って、ΔAFを所謂PID処理することにより算出される。
DFi=Kp・ΔAF+Ki・Σ(ΔAF)+Kd・d/dt(ΔAF) …(2)
上記(2)式において、Kp,Ki,Kdはそれぞれ、比例係数、積分係数、微分係数である。「Kp・ΔAF」、「Ki・Σ(ΔAF)」、「Kd・d/dt(ΔAF)」はそれぞれ、比例項、積分項、微分項である。積分項のうち「Σ(ΔAF)」は、検出空燃比AFsenと目標空燃比AFrefとの偏差ΔAFの積算値である。
このように決定された総噴射燃料量FIが、メイン噴射による噴射量(メイン噴射燃料量)とアフタ噴射による燃料量(アフタ噴射燃料量)とに割り当てられる。パイロット噴射がなされる場合、パイロット噴射による燃料量(パイロット噴射燃料量)にも割り当てられ得る。総噴射燃料量FIの割り当てに際し、メイン噴射燃料量は、原則的には、通常時にて決定される値、即ち、上記要求トルクに基づく値に決定される。そして、総噴射燃料量FIからメイン噴射燃料量を減じた量がアフタ噴射燃料量(及びパイロット噴射燃料量)に割り当てられる。なお、アフタ噴射された燃料の燃焼により発生するトルク分だけメイン噴射燃料量が減量されてもよい。この場合、この減量分だけアフタ噴射燃料量を増量することで排ガスの空燃比が目標空燃比に一致させられる。
以上、説明したように、触媒再生制御の実行条件が成立した時点以降、同実行条件が成立している間に亘って、触媒再生制御が実行される。触媒再生制御時では、総噴射燃料量FIが分割して噴射されることで、燃焼室内の排ガスの空燃比(従って、NOx触媒43に流入する排ガスの空燃比)が目標空燃比に一致するようにフィードバック制御され得る。触媒再生制御実行中において周知の1つの触媒再生制御の終了条件が成立すると、触媒再生制御の実行条件が不成立となり、触媒再生制御が終了する。
(ピーク位置ずれに基づく補正燃料量ΔFの算出)
ところで、燃焼室内での燃焼により発生した排ガスは、燃焼室から空燃比センサ78(の検出部)まで移動する。この移動に際し、排気ポートから空燃比センサ78までの排気通路の長さ(より正確には容積)に応じた時間を要する。従って、燃焼室内の排ガスの空燃比の変化は、この時間だけ遅れて空燃比センサ78による検出空燃比AFsenに現れる。以下、この遅れを「輸送遅れ」と呼ぶ。
他方、内燃機関が過渡運転状態(アクセル開度、エンジン回転速度等が変化している状態)にある場合、EGR開度の制御の応答遅れ、及びスロットル開度の制御の応答遅れ等の種々の要因により、燃焼室内の排ガスの空燃比が変化し易い。従って、触媒再生制御中において、基本燃料噴射量Fbaseと「検出空燃比AFsenに基づくフィードバック補正量DFi」のみに基づいて(即ち、上記(1)式においてΔFを除いて得られる式に基づいて)総噴射燃料量FIを決定して空燃比フィードバック制御が行われる場合、輸送遅れの影響により、特に過渡運転状態においてフィードバック制御の応答性が悪くなる。
この結果、特に過渡運転状態において、燃焼室内の排ガスの空燃比(従って、NOx触媒に流入する排ガスの空燃比)の目標空燃比への収束性が悪いという問題が発生し得る。この問題に対処するためには、空燃比センサ78よりも早く燃焼室内の排ガスの空燃比の変化を検出し、この検出結果に基づいて空燃比フィードバック制御が実行される必要がある。
そこで、本装置では、燃焼室内における熱発生率のピークに対応するクランク角度(以下、「ピーク位置」と呼ぶ。)に着目する。一般に、燃焼室内の空燃比が異なると、燃焼室内の酸素濃度が異なる。燃焼室内の酸素濃度が異なると、ピーク位置が異なる。具体的には、酸素濃度が小さいほど、燃焼速度が遅くなり、ピーク位置が遅れる。
図3は、触媒再生制御中においてメイン噴射とアフタ噴射とがなされる場合における燃焼室内でのクランク角度に対する熱発生率の推移の一例を示す。図3において、aを頂点とする山はメイン噴射された燃料の燃焼により形成され、bを頂点とする山はアフタ噴射された燃料の燃焼により形成される。このように、メイン噴射とアフタ噴射とがなされる場合、ピーク位置はメイン噴射された燃料の燃焼により決定される。
図3に示す例では、内燃機関10の運転状態(例えば、エンジン回転速度、アクセル開度、吸気温度、吸気圧力)が同じ場合において、燃焼室内の排ガスの空燃比が目標空燃比に維持された定常運転状態(アクセル開度、エンジン回転速度が一定の状態)の場合(実線を参照)と、過渡運転状態の場合(破線を参照)とが比較しながら示されている。
図3に示す過渡運転状態の場合(破線)では、燃焼室内の排ガスの空燃比が目標空燃比に維持された定常運転状態の場合(実線)に比してピーク位置が遅れている。このことは、過渡運転状態の場合(破線)では、定常運転状態の場合(実線)に比して、燃焼室内の酸素濃度が小さい側にずれている、即ち、燃焼室内の排ガスの空燃比が目標空燃比よりもリッチ側にずれていることを意味する。このずれは、EGR開度の制御の応答遅れ、及びスロットル開度の制御の応答遅れ等の種々の要因に基づく。
以下、過渡運転状態の場合(破線)のピーク位置を「実ピーク位置CPa」と呼び、燃焼室内の排ガスの空燃比が目標空燃比に維持された定常運転状態の場合(実線)のピーク位置を「定常ピーク位置CPs」と呼ぶ。実ピーク位置CPaが定常ピーク位置CPsと一致することは、燃焼室内の排ガスの空燃比が目標空燃比に一致していることを意味する。一方、実ピーク位置CPaの定常ピーク位置CPsからのずれ量(ピーク位置ずれ量ΔCP、図3を参照)は、過渡運転状態の場合(破線)における燃焼室内の排ガスの空燃比の目標空燃比からのずれ量を精度良く表す値となり得る。
加えて、実ピーク位置CPaは、筒内圧力センサ79により燃焼室内の圧力の推移を直接検出することで算出され得る。また、定常ピーク位置CPsは、実験等により予め取得され得る。即ち、膨張行程が終了する毎に直ちに実ピーク位置CPaを算出することにより、燃焼室内の排ガスの空燃比の変化が実ピーク位置CPaの変化(ピーク位置ずれ量ΔCPの変化)として現れる時期が、その空燃比の変化が空燃比センサ78による検出空燃比AFsenの変化として現れる時期よりも前記輸送遅れ分だけ早くなる。
以上より、一燃焼サイクル毎にピーク位置ずれ量ΔCPを監視することで、空燃比センサ78よりも早く燃焼室内の排ガスの空燃比の変化を検出することができる。本装置では、係る知見に基づいて、ピーク位置ずれ量ΔCPに基づいて補正燃料量ΔFが算出され、このΔFが総噴射燃料量FIの算出において考慮される(上記(1)式を参照)。
以下、本装置による補正燃料量ΔFの算出を含めた総噴射燃料量FIの算出に関する処理について図4に示したフローチャートを参照しながら説明する。このフローチャートに対応するプログラム(ルーチン)は、ROM62に格納されていて、CPU61は、触媒再生制御中において、各燃焼サイクルに対応する所定のタイミングが到来する毎(例えば、膨張行程が終了する毎)にこのプログラムの処理を繰り返し実行する。
ステップ405では、上述した基本燃料噴射量Fbaseが、上述のように内燃機関10の現在の運転状態(例えば、エンジン回転速度、アクセル開度)に基づいて決定される。ステップ410では、膨張行程が終了した直後の気筒(以下、「直前気筒」と呼ぶ。)の燃焼サイクルに対して既に検出されているクランク角度に対する燃焼室内の圧力の推移に基づいて、直前気筒についての実ピーク位置CPa(deg.ATDC)が検出される。
ステップ415では、内燃機関10の現在の運転状態(例えば、例えば、エンジン回転速度、アクセル開度、吸気温度、吸気圧力)に基づいて、直前気筒についての定常ピーク位置CPs(deg.ATDC)が決定される。定常ピーク位置CPsは、現在の運転状態(例えば、例えば、エンジン回転速度、アクセル開度、吸気温度、吸気圧力)と、その運転状態(例えば、例えば、エンジン回転速度、アクセル開度、吸気温度、吸気圧力)と定常ピーク位置CPsとの関係を規定する予め定められたテーブル(マップ)と、に基づいて決定される。このテーブルは、燃焼室内の排ガスの空燃比が目標空燃比に維持された定常運転状態において定常ピーク位置を取得する実験を運転状態(例えば、例えば、エンジン回転速度、アクセル開度、吸気温度、吸気圧力)を変更しながら繰り返し実行することで取得され得る。
ステップ420では、ステップ410で検出された実ピーク位置CPaと、ステップ415で決定された定常ピーク位置CPsと、下記(3)式とに基づいて、直前気筒についてのピーク位置ずれ量ΔCP(deg)が算出される。
ΔCP=CPs−CPa …(3)
ステップ425では、ステップ420で算出されたピーク位置ずれ量ΔCPと、図5に示すΔCPと酸素濃度ずれ量ΔO2との関係を規定するテーブル(マップ)と、に基づいて、酸素濃度ずれ量ΔO2(%)が推定される。ΔO2が正(負)であることは、直前気筒の燃焼室内の排ガスの空燃比が目標空燃比よりもリーン(リッチ)であることを示す。
ステップ430では、ステップ425で推定された酸素濃度ずれ量ΔO2と、下記(4)式とに基づいて、補正燃料量ΔFが算出される。
ΔF=Fbase・(ΔO2/23.3) …(4)
そして、ステップ435では、ステップ405で決定されたFbaseと、ステップ430で算出されたΔFと、検出空燃比AFsenに基づく上記フィードバック補正量DFi(上記(2)式を参照)と、上記(1)式とに基づいて、次に燃料が噴射される気筒についての総噴射燃料量FIが算出される。
このように、直前気筒についてのピーク位置ずれ量ΔCPに基づいて直前気筒の燃焼室内の排ガスの空燃比が目標空燃比よりもリーン(リッチ)であることが検出された場合、補正燃料量ΔFが正(負)となる。即ち、次に燃料が噴射される気筒についての総噴射燃料量FIが直ちに増量(減量)補正される。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る内燃機関(ディーゼル機関)の空燃比制御装置によれば、通常時、圧縮上死点近傍にてメイン噴射がなされる。メイン噴射燃料量は要求トルクに基づいて決定される。触媒再生制御中では、通常時に行われるメイン噴射に加えてメイン噴射後の膨張行程中にてアフタ噴射がなされる。触媒再生制御中では、「空燃比が目標空燃比に維持された定常運転状態での定常ピーク位置CPs」に対する「筒内圧力センサ79から得られる燃焼室の圧力の推移に基づいて得られる過渡運転状態での実ピーク位置CPa」のずれ量(ピーク位置ずれ量ΔCP)に基づく補正燃料量ΔFと、空燃比センサ78による検出空燃比AFsenと目標空燃比との偏差をPID処理して得られるフィードバック補正量DFiと、が考慮されて、総噴射燃料量FI(メイン噴射燃料量+アフタ噴射燃料量)が算出される(上記(1)式を参照)。
これにより、ピーク位置ずれ量ΔCPに基づく総噴射燃料量FIの補正により、燃焼室内の排ガスの空燃比(従って、NOx触媒43に流入する排ガスの空燃比)の目標空燃比への収束性が向上し、過渡運転状態においてもNOx触媒43に流入する排ガスの空燃比が適切にフィードバック制御され得る。加えて、検出空燃比AFsenと目標空燃比との偏差の積算値(即ち、積分項)を含むフィードバック補正量DFiに基づく総噴射燃料量FIの補正により、定常運転状態において検出空燃比AFsenと目標空燃比との偏差がゼロに維持され得、定常運転状態においてNOx触媒43に流入する排ガスの空燃比が目標空燃比に確実に維持され得る。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、NOx触媒43を備えたディーゼル機関が採用されているが、三元触媒を備えた火花点火式内燃機関が採用されてもよい。この場合、触媒再生制御が実行されず、常時メイン噴射のみが実行される。メイン噴射燃料量は、上記(1)式にて算出される総噴射燃料量と等しい値に算出される。これによっても、上記実施形態と同じ作用・効果が奏され得る。
また、上記実施形態では、ピーク位置ずれ量ΔCPから酸素濃度ずれ量ΔO2が推定され、このΔO2に基づいて補正燃料量ΔFが算出されているが、ピーク位置ずれ量ΔCPから(酸素濃度ずれ量ΔO2を推定することなく)補正燃料量ΔFが直接算出されてもよい。
また、上記実施形態では、触媒再生制御中において、各気筒の上部に備えられた燃料噴射弁21によりメイン噴射に加えてアフタ噴射がなされているが、触媒の上流の排気通路に還元ガス(燃料)を直接噴射する還元ガス噴射装置が備えられている場合、触媒再生制御中において、アフタ噴射に代えて還元ガス噴射装置による還元ガスの噴射がなされてもよい。この場合、アフタ噴射燃料量と同量の燃料が還元ガス噴射装置から噴射される。
加えて、上記実施形態では、「ピーク位置相関値」として、ピーク位置(即ち、燃焼室内における熱発生率のピークに対応するクランク角度)が使用されているが、燃焼開始から燃焼終了までの間の総熱発生量の重心に対応するクランク角度(重心位置)等が使用されてもよい。
21…燃料噴射弁、43…NOx触媒、60…電気制御装置、61…CPU、71…エアフローメータ、75…アクセル開度センサ、78…空燃比センサ、79…筒内圧力センサ

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気通路に介装された触媒と、
    前記内燃機関の運転状態を表す第1パラメータの検出値に基づいて前記触媒に流入するガスの空燃比を目標空燃比とするために必要な噴射燃料量を算出し、前記算出された噴射燃料量の燃料を噴射する噴射手段と、
    を備えた内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記内燃機関の燃焼室内の圧力の推移を検出する筒内圧力検出手段と、
    前記検出された圧力の推移に基づいて前記燃焼室内における熱発生率のピークに対応するクランク角度に相関するピーク位置相関値の実際値である実ピーク位置相関値を算出する実ピーク位置算出手段と、
    前記内燃機関が排ガスの空燃比が前記目標空燃比に維持された定常運転状態にある場合における前記内燃機関の運転状態を表す第2パラメータの値と前記ピーク位置相関値との間の予め取得された関係と、前記内燃機関の前記第2パラメータの検出値と、に基づいて、前記第2パラメータの検出値に対応する前記定常運転状態における前記ピーク位置相関値である定常ピーク位置相関値を決定する定常ピーク位置決定手段と、
    を備え、
    前記噴射手段は、
    前記決定された定常ピーク位置相関値と前記算出された実ピーク位置相関値とに基づいて前記定常ピーク位置相関値に対する前記実ピーク位置相関値のずれ量であるピーク位置ずれ量を算出するとともに前記算出されたピーク位置ずれ量に基づいて前記噴射燃料量を補正して算出するように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記噴射手段は、
    前記ピーク位置ずれ量と前記内燃機関が排ガスの空燃比が前記目標空燃比に維持された定常運転状態にある場合における前記燃焼室内の酸素濃度に対する前記燃焼室内の実際の酸素濃度のずれ量である酸素濃度ずれ量との間の予め取得された関係と、前記算出されたピーク位置ずれ量と、に基づいて、前記算出されたピーク位置ずれ量に対応する前記酸素濃度ずれ量を決定し、前記決定された酸素濃度ずれ量に基づいて前記噴射燃料量を補正して算出するように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 内燃機関の排気通路に介装された触媒と、
    前記触媒の再生を行う触媒再生制御の実行条件が成立しているか否かを判定する判定手段と、
    前記触媒再生制御の実行条件が成立していない場合、前記内燃機関の出力を調整するために操作される出力調整部材の操作量を含む前記内燃機関の運転状態を表す第1パラメータの検出値に基づいてメイン噴射燃料量を算出し、前記算出されたメイン噴射燃料量の燃料をメイン噴射時期にて噴射し、前記触媒再生制御の実行条件が成立している場合、前記第1パラメータの検出値に基づいて前記触媒に流入するガスの空燃比を目標空燃比とするために必要なメイン噴射燃料量及びアフタ噴射燃料量を算出し、前記算出されたメイン噴射燃料量の燃料を前記メイン噴射時期にて噴射するとともに前記算出されたアフタ噴射燃料量の燃料を前記メイン噴射時期よりも後のアフタ噴射時期にて噴射する噴射手段と、
    を備えた内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記内燃機関の燃焼室内の圧力の推移を検出する筒内圧力検出手段と、
    前記検出された圧力の推移に基づいて前記燃焼室内における熱発生率のピークに対応するクランク角度に相関するピーク位置相関値の実際値である実ピーク位置相関値を算出する実ピーク位置算出手段と、
    前記内燃機関が排ガスの空燃比が前記目標空燃比に維持された定常運転状態にある場合における前記内燃機関の運転状態を表す第2パラメータの値と前記ピーク位置相関値との間の予め取得された関係と、前記内燃機関の前記第2パラメータの検出値と、に基づいて、前記第2パラメータの検出値に対応する前記定常運転状態における前記ピーク位置相関値である定常ピーク位置相関値を決定する定常ピーク位置決定手段と、
    を備え、
    前記噴射手段は、
    前記触媒再生制御の実行条件が成立している場合、前記決定された定常ピーク位置相関値と前記算出された実ピーク位置相関値とに基づいて前記定常ピーク位置相関値に対する前記実ピーク位置相関値のずれ量であるピーク位置ずれ量を算出するとともに前記算出されたピーク位置ずれ量に基づいて前記メイン噴射燃料量及び/又は前記アフタ噴射燃料量を補正して算出するように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記噴射手段は、
    前記触媒再生制御の実行条件が成立している場合、前記ピーク位置ずれ量と前記内燃機関が排ガスの空燃比が前記目標空燃比に維持された定常運転状態にある場合における前記燃焼室内の酸素濃度に対する前記燃焼室内の実際の酸素濃度のずれ量である酸素濃度ずれ量との間の予め取得された関係と、前記算出されたピーク位置ずれ量と、に基づいて、前記算出されたピーク位置ずれ量に対応する前記酸素濃度ずれ量を決定し、前記決定された酸素濃度ずれ量に基づいて前記メイン噴射燃料量及び/又は前記アフタ噴射燃料量を補正して算出するように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記触媒は、排ガス中の窒素酸化物を浄化する吸蔵還元型の触媒であり、前記触媒再生制御は、前記触媒に吸蔵された窒素酸化物を還元する制御、又は、前記触媒に堆積した硫黄の堆積量を小さくする制御である、内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記触媒よりも上流の前記排気通路に配設され前記触媒に流入するガスの空燃比を検出する空燃比センサを備え、
    前記噴射手段は、
    前記空燃比センサにより検出された検出空燃比と前記目標空燃比との偏差の積算値にも基づいて前記噴射燃料量を補正して算出するように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
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