JP2011084223A - 左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置 - Google Patents

左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】左右独立駆動車両において、左右輪をそれぞれを駆動させるモータの発熱もしくは過熱を防止するクラッチ制御装置を提供する。
【解決手段】少なくとも前輪もしくは後輪の左右一対の車輪1R,1Lがそれぞれ独立したモータ2R,2Lにより駆動させられる車両において、車速やモータ2R,2Lの回転数、隣接する部材の温度によりモータ2R,2Lの温度を上昇させる要因を制御パラメータとし、モータの温度が上昇すると判断された場合は、各モータ2R,2Lと車輪1R,1Lとの間に設けられた各クラッチ4R,4Lを切り離す。
【選択図】図1

Description

この発明は、左右の前輪もしくは左右の後輪など、左右の一対の車輪をそれぞれに対応して設けた電動機で駆動するように構成された車両に関し、特にそれらの電動機と左右の各車輪との間に設けられたクラッチの係合・解放を制御する装置に関するものである。
車両の駆動力源として内燃機関以外に電動機が用いられるようになってきており、それに伴い車輪毎に電動機を用意し、それらの車輪のトルクを個別に制御するように構成された車両が開発されている。例えば、特許文献1には、前後左右の四輪のそれぞれに対応させてモータを設けた車両が記載されており、この特許文献1に記載された制御装置は、左右のいずれか一輪のモータに異常が生じた場合、その一輪のトルク指示を“0”にし、併せて当該一輪と対をなす左右いずれかの他方の車輪に対するトルク指示を“0”にするように構成されている。さらに、特許文献1には、壊れた車輪と左右反対側の車輪のトルクを“0”にするとともに、同じ側の残りの車輪のトルクを減らすか、これとは反対に、反対側のトルクを増やすことによって、ズレを修正することが記載されている。
また、車輪とその車輪に対応させて設けられているモータとの間にクラッチ機構を設けた車両が特許文献2に記載されている。この特許文献2に記載された車両では、更にモータとクラッチ機構との間にパーキングロック機構が設けられており、そのクラッチ機構の係合・解放とパーキングロック機構によるロックとの順序を規定することにより違和感のないパーキングロックを行うことが特許文献2に記載されている。
なお、前輪をエンジンの動力で駆動し、後輪をモータの動力で駆動するように構成された車両が特許文献3に記載されており、そのモータとクラッチを介して左右の後輪に連結されている。そして、その車両を制御する制御装置は、車速が所定の閾値を超えた場合、あるいはモータの温度が閾値を超えた場合に、クラッチを解放するように構成されている。また、特許文献4には、前後輪に対するトルクの分配をクラッチによって行うように構成された車両であって、前後軸のうち潤滑油の温度が高い方の軸に大きいトルクが配分されるようにクラッチを制御する車両が記載されている。さらに、特許文献5には、エンジンと変速機との間にクラッチが設けられ、かつその変速機の入力軸に他のクラッチを介してモータが連結されたハイブリッド車が記載されており、このハイブリッド車はブレーキスイッチがオンになって制動状態が検出されると、前記他のクラッチを係合させてモータを強制的に駆動することにより発電量を増大させるように構成されている。
特開平05−328542号公報 特開2006−224819号公報 特開2004−208445号公報 特開2003−327001号公報 実開平06−014445号公報
上述した特許文献1に記載された装置は、左右いずれかの車輪を駆動するモータに異常が生じた場合に、その異常のある車輪のモータ、およびこれとは左右反対側の車輪のモータに対するトルク指示を“0”にしているが、そのようなトルク指示は異常が発生した後に実行されるので、異常を未然に回避できないばかりか、異常が発生した後、トルク指示が行われて左右の車輪の駆動トルクが共に“0”になるまでの過渡状態での車両の挙動を安定化させる必要があり、車両の走行安定性の確保の点で未だ改善の余地があった。
なお、特許文献2に記載された装置は、パーキングロックの際の違和感を解消することを目的としてクラッチ機構を制御するものであり、そのクラッチ機構を更に有効に利用する技術を開発する余地がある。また、特許文献3ないし5にそれぞれ記載されている車両は、駆動力源としてエンジンとモータとを併用したハイブリッド車であり、そのモータをクラッチによって駆動系統もしくは車輪に対して連結し、またその連結を解くように構成されているが、それらのクラッチ機構は左右の車輪のトルクを個別に制御できるものではないから、車速や車両の全体としての駆動力などの走行状態を維持しつつそれらのクラッチの係合・解放の制御を行うためには、新たな制御技術が必要である。
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、左右の車輪毎に設けられた電動機をそれぞれの車輪に個別に連結し、またその連結を解除するクラッチを有し、電動機の耐久性を維持し、あるいは車両の走行を安定させつつ制御することのできる装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、左右一対の前輪もしくは後輪毎にそれら左右輪を個別に駆動するように電動機が設けられるとともに、それらの左右輪とそれぞれの左右輪に対応する電動機との間にクラッチが設けられ、さらに他の後輪もしくは前輪を駆動する駆動力源が設けられている左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置において、予め定めた所定の車速以上の速度で走行している場合、および前記いずれかの電動機の回転数が予め定めた回転数以上の場合のいずれかの場合に、前記駆動力源によって走行のための駆動力を出力するとともに前記左右輪のそれぞれに対応して設けられている前記クラッチを解放してそれらの左右輪とそれぞれの左右輪に対応して設けられている電動機との連結を解除するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、左右一対の前輪もしくは後輪毎にそれら左右輪を個別に駆動するように電動機が設けられるとともに、それらの左右輪とそれぞれの左右輪に対応する電動機との間にクラッチが設けられ、さらに他の後輪もしくは前輪を駆動する駆動力源が設けられている左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置において、前記電動機の温度もしくは前記電動機に隣接して配置されている部材の温度を検出する温度検出手段と、その温度検出手段で検出された温度もしくはその検出された温度の上昇勾配が予め定めた閾値以上の場合に、前記駆動力源によって走行のための駆動力を出力するとともに前記左右輪のそれぞれに対応して設けられている前記クラッチを解放してそれらの左右輪とそれぞれの左右輪に対応して設けられている電動機との連結を解除するクラッチ解放手段とを備えていることを特徴とするものである。
さらに、請求項3の発明は、左右一対の前輪もしくは後輪毎にそれら左右輪を個別に駆動するように電動機が設けられるとともに、それらの左右輪とそれぞれの左右輪に対応する電動機との間にクラッチが設けられ、さらに他の後輪もしくは前輪を駆動する駆動力源が設けられている左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置において、前記車両が旋回している際の前記各電動機の温度を検出する旋回時温度検出手段と、その旋回時温度検出手段で検出された温度が予め定めた温度以上となっている電動機を該電動機に対応して設けられているクラッチを解放して車輪から切り離すクラッチ解放手段と、前記旋回時に前記電動機が切り離された車輪で担うべきトルクを前記切り離された車輪に対して左右反対側の車輪で担うように該左右反対側の車輪に対応して設けられている電動機のトルクを制御する電動機制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
そして、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記駆動力源は、内燃機関によって構成され、あるいは内燃機関と電動機とによって構成され、もしくは電動機によって構成されていることを特徴とする、左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置である。
請求項1の発明によれば、車速あるいは電動機の回転数が判断基準として予め定めた所定値以上になると、その電動機以外の前記駆動力源が出力する動力で走行するとともに、各クラッチが解放させられて各電動機が車輪から切り離される。したがって、電動機が過剰に回転することが防止もしくは抑制されてその耐久性が良好になるとともに、走行のための駆動力は、前記駆動力源が出力するので、必要とする駆動力を確保でき、しかも電動機で駆動される左右一対の車輪の駆動トルクは共にゼロになるので、車両の走行安定性は良好な状態に維持することができる。
また、請求項2の発明によれば、電動機やその近隣の部材の温度もしくはその上昇勾配が判断基準として予め定めた所定値以上になると、その電動機以外の前記駆動力源が出力する動力で走行するとともに、各クラッチが解放させられて各電動機が車輪から切り離される。したがって、電動機の回転を止め、あるいは通電を止めることが可能になってその発熱を生じさせないので、電動機に異常が生じたり、その耐久性が低下したりすることを防止もしくは抑制できるとともに、走行のための駆動力は、前記駆動力源が出力するので、必要とする駆動力を確保でき、しかも電動機で駆動される左右一対の車輪の駆動トルクは共にゼロになるので、車両の走行安定性は良好な状態に維持することができる。
さらに、請求項3の発明によれば、旋回時に左右いずれか一方の電動機の温度が所定温度以上に上昇すると、その電動機はクラッチを解放して車輪から切り離されるので、その電動機の温度が更に高くなったり、それに伴って異常が生じたりすることを回避もしくは抑制することができる。しかも、温度が上昇していない他方の電動機が、車輪から切り離された前記電動機が担うトルクを出力するように制御されるので、旋回のための横力もしくはモーメントを確保でき、安定した走行が可能になる。
そして、請求項4の発明によれば、ハイブリッド型の四輪駆動車あるいはインホイールモータ型の四輪駆動車において、上記の請求項1ないし3の発明によるような効果を得ることができる。
この発明に係る制御装置で対象とする車両の構成の一例を示す概略図である。 この発明に係る制御装置で実行される制御の一例を説明するためのフローチャートである。 図2に示す制御を行った場合のモータトルクの変化を示す線図である。 この発明に係る制御装置で実行される制御の他の例を説明するためのフローチャートである。 この発明に係る制御装置で実行される制御の更に他の例を説明するためのフローチャートである。 この発明に係る制御装置で実行される制御の例であって旋回時に実行される制御例を説明するためのフローチャートである。 この発明に係る制御装置で実行される制御の例であって減速時もしくは制動時に実行される制御例を説明するためのフローチャートである。 この発明に係る制御装置で対象とする車両の構成の他の例を示す概略図である。 この発明に係る制御装置で対象とする車両の構成の更に他の例を示す概略図である。
つぎに、この発明を図に示す具体例に基づいて説明する。図1は、この発明で対象とすることのできる車両の一例を概念的に示しており、ここに示す車両は、左右の前輪1R,1Lがそれぞれモータ2R,2Lによって駆動され、左右の後輪3R,3Lがいわゆる2モータ型ハイブリッド装置によって駆動されるように構成された例である。すなわち、図示しない操舵装置によって転舵される左右の前輪1R,1Lのそれぞれに対応してモータ2R,2Lが設けられており、それらの前輪1R,1Lとモータ2R,2Lとの間にクラッチ4R,4Lが配置されている。モータ2R,2Lは、永久磁石式同期電動機などの発電機能を備えたモータであり、それぞれインバータ5R,5Lなどのコントローラを介して図示しない蓄電装置に接続されている。すなわち、蓄電装置から供給される電力によってモータとして機能し、また強制的に回転させられることにより発電を行い、その電力を蓄電装置に充電するように構成されている。
また、クラッチ4R,4Lは摩擦クラッチや噛み合いクラッチなど、要は、係合することによりトルクを伝達できる状態になり、解放することによりトルクの伝達を遮断するように構成された継手であり、油圧や電磁力によって係合・解放の動作を行うように構成されている。したがって各クラッチ4R,4Lはその係合・解放の制御を電気的に行い得るように構成されており、その制御のためのクラッチ制御部6が設けられている。このクラッチ制御部6は、所定の条件が成立することによってクラッチ4R,4Lに対してこれを係合させ、あるいは解放させる指令信号を出力し、それに基づいて図示しないアクチュエータが動作してクラッチ4R,4Lが係合し、あるいは解放するように構成されている。
後輪3R,3Lを駆動するためのハイブリッド装置について説明すると、この発明における駆動力源に相当するエンジン7を備えており、そのエンジン7は動力分配装置8を構成している遊星歯車機構におけるキャリヤ9に連結されている。そのエンジン7は、要は燃料を燃焼させて機械的な動力を出力する内燃機関であって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいはLPGエンジンなどがその例である。図1に示す遊星歯車機構はいわゆるシングルピニオン型のものであって、サンギヤ10と、そのサンギヤ10に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ11とを備え、これらサンギヤ10とリングギヤ11との間に配置されてサンギヤ10とリングギヤ11とに噛み合っているピニオンギヤがキャリヤ9によって自転自在かつ公転自在に保持されている。
そのサンギヤ10には第1のモータ・ジェネレータ(MG)12が連結されている。その第1のモータ・ジェネレータ12は、モータおよび発電機として機能するように構成され、図示しないインバータなどのコントローラを介して蓄電装置に接続されている。また、リングギヤ11は、出力軸13を介して後輪側の終減速機(デファレンシャルギヤ)14に連結されており、この終減速機14から左右の後輪3R,3Lにトルクを伝達するように構成されている。そして、出力軸13に第2のモータ・ジェネレータ(MG)15が連結されている。この第2のモータ・ジェネレータ15は前述した第1のモータ・ジェネレータ12と同様の構成であって、モータおよび発電機として機能するように構成されている。したがって、第2のモータ・ジェネレータ15は図示しないインバータなどのコントローラを介して蓄電装置に接続されている。また、各モータ・ジェネレータ12,15は相互に電力を授受できるように構成されている。
このハイブリッド装置の作用を簡単に説明すると、エンジン7が出力した動力は動力分配装置8によって第1のモータ・ジェネレータ12と出力軸13とに分配される。その場合、第1のモータ・ジェネレータ12を発電機として機能させることによりサンギヤ10に対してその回転を止める方向のトルク(すなわち負のトルク)を与え、かつその回転数を制御することによりエンジン7の回転数を適宜に制御することができる。また、エンジン7を停止した状態に制御することもできる。したがって、動力分配装置8および第1のモータ・ジェネレータ12は、無段変速機あるいは電気的トルクコンバータとして機能することができる。一方、第1のモータ・ジェネレータ12で発生した電力は、インバータなどのコントローラや蓄電装置を介して第2のモータ・ジェネレータ15に供給され、第2のモータ・ジェネレータ15がモータとして動作する。すなわち、第1のモータ・ジェネレータ12側に分配された動力が出力軸13に伝達される。したがって、出力要求を満たしつつエンジン7を最適燃費点で運転することが可能になる。
なお、図1はこの発明に係る制御装置に関連する構成を示すのにとどまり、図1に示す車両は、通常の車両と同様に、ブレーキ、ブレーキ・オンの状態で動作するブレーキスイッチ、アクセルペダルなどの各種の機器、部材を備えている。また、エンジン7やクラッチ4R,4L、各モータ2R,2L、各モータ・ジェネレータ12,15などを制御するための電子制御装置(ECU)16を備えている。この電子制御装置16は、マイクロコンピュータを主体として構成され、入力された車速や各モータ2R,2Lの回転数、その温度などのデータおよび予め記憶しているデータに基づいて演算を行い、その演算の結果を制御指令信号としてクラッチ4R,4Lや各モータ2R,2L、エンジン7などに出力するように構成されている。
この発明に係る制御装置は、上述した左右前輪1R,1Lのクラッチ4R,4Lを係合あるいは解放状態に制御するように構成されており、その制御の例を以下に説明する。図2はその制御の一例を説明するためのフローチャートであって、先ず、いずれか一方のクラッチ4R,4Lが係合しているか否か、例えば左前輪1Lのクラッチ4Lが係合しているか否かが判断される(ステップS11)。この判断は、前述したクラッチ制御部6から出力されている信号によって判断することができる。左前輪1Lのクラッチ4Lが解放状態になっていることによりステップS11で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく図2に示すルーチンを一旦終了する。
これとは反対に左前輪1Lのクラッチ4Lが係合していることによりステップS11で肯定的に判断された場合には、これとは左右反対側の車輪のクラッチ、例えば右前輪1Rのクラッチ4Rが係合しているか否かが判断される(ステップS12)。この判断も、前述したクラッチ制御部6から出力されている信号によって判断することができ、右前輪1Rのクラッチ4Rが解放状態になっていることによりステップS12で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく図2に示すルーチンを一旦終了する。
これに対してステップS12で肯定的に判断された場合には左右のクラッチ4R,4Lのいずれもが係合していることになり、その場合には、車速が予め定めた所定の車速(閾値)以上か否かが判断される(ステップS13)。ここで、所定の車速とは、モータ2R,2Lが前輪1R,1Lと連れ回ることによりその温度がその耐久性や特性などに影響する程度に上昇することが予想されるとして実験などに基づいて定めた車速である。この判断は、前述した動力分配装置8の出力軸13や前輪もしくは後輪の回転数などを検出し、その検出した信号によって判断することができる。車速が予め定めた所定の車速(閾値)以上であることによりステップS13で肯定的に判断された場合には、左右のクラッチ4R,4Lを共に解放し、各モータ2R,2Lと各前輪1R,1Lとを切り離す(ステップS14)。その後、図2に示すルーチンを一旦終了する。その場合、各モータ2R,2Lがトルクを出力していれば、クラッチ4R,4Lを解放することによる前輪1R,1Lの駆動トルクの低下分を、エンジン7の出力トルクを増大することにより、あるいは第2モータ・ジェネレータ15のモータトルクを増大させることにより補償することが好ましい。また、各モータ2R,2Lがエネルギ回生を行っていれば、前輪1R,1Lによる制動トルクを補うように前輪1R,1Lに設けられているブレーキによる制動力を増大させ、あるいは第2のモータ・ジェネレータ15による回生制動力を増大させることが好ましい。
これとは反対に車速が予め定めた車速(閾値)未満である場合は、ステップS13で否定的に判断され、右前輪1Rおよび左前輪1Lに設けられた各モータ2R,2Lのいずれか一方の回転数が予め定めた所定の回転数(閾値)以上か否かが判断される(ステップS15)。ここで所定の回転数とは、モータ2R,2Lの耐久性や特性などに影響する温度にまで熱が出ることが予想されるとして実験などに基づいて定めた回転数である。この判断は、回転数を検出するセンサをそれぞれのモータ2R,2Lに設け、そのセンサから出力された信号により判断することができ、あるいはブラシレスモータの場合には、ロータの位相を検出するレゾルバーなどからの信号に基づいて判断することができる。右前輪1R用のモータ2Rおよび左前輪1L用のモータ2Lのいずれか一方の回転数が予め定めた所定の回転数(閾値)以上であることによりステップS15で肯定的に判断された場合には、各クラッチ4R,4Lを共に解放し、各モータ2R,2Lと各車輪1R,1Lとを切り離す(ステップS16)。その後に図2に示すルーチンを一旦終了する。なお、この場合も、駆動力もしくは制動力を確保するために、エンジン7もしくは第2のモータ・ジェネレータ15の出力あるいは回生量を制御することが好ましい。
これに対して前輪1R,1L用の各モータ2R,2Lの回転数が共に予め定めた所定の回転数(閾値)未満であることによりステップS15で否定的にに判断された場合には、特に制御を行うことなく図2に示すルーチンを一旦終了する。すなわち、各前輪1R,1Lとそれぞれに対応して設けられているモータ2R,2Lとをクラッチ4R,4Lによって連結した状態に維持する。
上記の図2に示す制御を行っている状態で、車速が所定値に達した場合のモータトルクの変化を図3に示してある。車両が発進後、車速Vが次第に増大している状態では、左右の前輪1R,1Lに対応させて設けてある各モータ2R,2Lが一定のトルクを出力して加速しており、ある程度まで車速Vが増大した後は、運転者によりアクセルペダルの操作量に応じて、あるいは旋回の程度に応じてモータ2R,2Lの出力トルクが増減させられる。そして、車速Vが所定値V0 に近付くとモータトルクは次第に低下させられ、車速Vが所定車速V0 に達した時点にモータトルクはゼロに制御され、かつ各クラッチ4R,4Lが解放させられる。なおその場合、クラッチ4R,4Lに不可避的な引き摺りトルク(ドラッグトルク)が生じると、モータトルクは僅かながら負のトルクとなる。
したがって、上述した制御例では、車速あるいはいずれかのモータ2R,2Lの回転数が、それぞれに対応させて予め定めた所定の値(閾値)以上の場合は、各クラッチ4R,4Lを解放し、各モータ2R,2Lと各車輪1R,1Lとを切り離すことにより、モータ2R,2Lの過剰な回転や温度上昇を防止もしくは抑制することができる。しかも上記の制御例では、一方のモータ2R(2L)の回転数について上記の条件が成立すると、左右両方のクラッチ4R,4Lを共に解放するので、左右いずれか一方の前輪1R(1L)で駆動トルクが発生し、あるいは制動トルクが生じるなど積極的なヨーモーメントが生じる事態を回避し、車両の走行安定性を維持することが可能である。また、車両駆動トルクは、エンジン7によって維持することができる。
また、図3に示す車両の加速時におけるモータトルクの変化からも判るように、車両が高速走行をしている状態では、クラッチ4R,4Lを解放することによりモータ2R,2Lを引き摺って回転させることが殆どないので、動力の損失を低減でき、燃費の向上を図ることができる。さらに、上述した例では、高速走行時に各クラッチ4R,4Lを解放することにより、高速走行のためにモータ2R,2Lのトルクを使用しないため、各モータ2R,2Lを小型のものとすることができ、車載性を向上させることができる。
前述した制御例は、モータ2R,2Lの温度上昇の要因となる車速もしくはモータ回転数が閾値以上になったか否か判断するように構成した例であるが、この発明では、モータ2R,2Lの温度を直接判断してクラッチ4R,4Lの係合・解放の制御を行うように構成することができる。図4はその例を説明するためのフローチャートであって、前述した図3に示す制御例と同様に、先ず、いずれか一方のクラッチ4R,4Lが係合しているか否か、例えば左前輪1Lのクラッチ4Lが係合しているか否かが判断される(ステップS21)。左前輪1Lのクラッチ4Lが解放状態になっていることによりステップS21で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく図4に示すルーチンを一旦終了する。
これとは反対に左前輪1Lのクラッチ4Lが係合していることによりステップS21で肯定的に判断された場合には、これとは左右反対側の車輪のクラッチ、例えば右前輪1Rのクラッチ4Rが係合しているか否かが判断される(ステップS22)。なお、これらステップS21およびステップS22による判断の順序は特に問わない。いずれの判断が先に行われてもよい。右前輪1Rのクラッチ4Rが解放状態になっていることによりステップS22で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく図4に示すルーチンを一旦終了する。
これに対してステップS22で肯定的に判断された場合には左右のクラッチ4R,4Lのいずれもが係合していることになり、その場合は、いずれか一方のモータ2R,2Lの温度(もしくは温度の上昇勾配:以下、温度および昇温勾配をまとめて「温度」と記す)が予め定めた所定の温度(閾値)以上か否か、例えば左側のモータ2Lの温度が予め定めた所定の温度(閾値)以上か否かが判断される(ステップS23)。ここで、所定の温度とは、モータ2R,2Lの耐久性や特性に影響するとして実験などに基づいて定めた温度である。この判断は、モータ2Lに温度検出センサを設けて、そのセンサから出力された信号により温度を判断することができ、随時温度を検出することにより、単位時間あたりの温度上昇つまり温度勾配を判断することができる。モータ2Lの温度が予め定めた所定の温度(閾値)以上であることによりステップS23で肯定的に判断された場合は、左右の各クラッチ4R,4Lを共に解放して、各モータ2R,2Lと各車輪1R,1Lとを切り離す(ステップS24)。その後に、図4に示すルーチンを一旦終了する。なお、この場合も、駆動力もしくは制動力を確保するために、エンジン7もしくは第2のモータ・ジェネレータ15の出力あるいは回生量を制御することが好ましい。
これとは反対に左側のモータ2Lが予め定めた所定の温度(閾値)未満であることによりステップS23で否定的に判断された場合は、左右反対側のモータ2Rの温度が予め定めた所定の温度(閾値)以上か否かが判断される(ステップS25)。この判断も、モータ2Rに温度検出センサを設けて、そのセンサから出力された信号により温度を判断することができ、随時温度を検出することにより、単位時間あたりの温度上昇つまり温度勾配を判断することができる。右側のモータ2Rの温度が予め定めた所定の温度(閾値)以上であることによりステップS25で肯定的に判断された場合は、ステップS23で肯定的に判断された場合と同様にステップS24に進み、各クラッチ4R,4Lを共に解放し、各モータ2R,2Lと各車輪1R,1Lとを切り離す。その後に、図4に示すルーチンを一旦終了する。なお、この場合も、駆動力もしくは制動力を確保するために、エンジン7もしくは第2のモータ・ジェネレータ15の出力あるいは回生量を制御することが好ましい。
これに対して、モータ2Rの温度が予め定めた所定の温度(閾値)未満であることによりステップS25で否定的に判断された場合は、特に制御を行うことなく図4に示すルーチンを一旦終了する。
したがって、図4に示す制御を実行するように構成されている場合には、いずれか一方のモータ2R(2L)の温度が高くなっている場合、もしくは高くなる状態にあることが判断された場合、上述した図3に示す制御例と同様に、各クラッチ4R,4Lを解放し、各モータ2R,2Lと各車輪1R,1Lとを切り離すことにより、モータ2R,2Lの過剰な回転や温度上昇を防止もしくは抑制することができる。しかも上記の制御例では、一方のモータ2R(2L)の回転数について上記の条件が成立すると、左右両方のクラッチ4R,4Lを共に解放するので、左右いずれか一方の前輪1R(1L)で駆動トルクが発生し、あるいは制動トルクが生じるなど積極的なヨーモーメントが生じる事態を回避し、車両の走行安定性を維持することが可能である。また、モータ2R,2Lの制御とクラッチ4R,4Lの係合・解放の制御とは別の制御で行っているので、モータ2R,2Lの制御系のフェールによりモータ2R,2Lが指令と異なった出力をした場合でも、クラッチ4R,4Lの解放が可能であり、走行安定性に影響を与えることを防ぐことができる。
ところで、モータ2R,2Lのコイルに電流が流れれば、不可避的に発熱するので、その周囲の温度が高い場合には、放熱が制限されてモータ2R,2Lの温度が高くなりやすく、また周囲から熱を受けて温度が上昇することがある。そのような場合にも、前述したクラッチ4R,4Lを解放してモータ2R,2Lの加熱を防止もしくは抑制するよう制御することができる。以下にその制御例を説明する。図5はその制御例の一例を説明するフローチャートであり、前述した二つの制御例と同様に、先ず、いずれか一方のクラッチ4R,4Lが係合しているか否か、例えば左前輪1Lのクラッチ4Lが係合しているか否かが判断される(ステップS31)。左前輪1Lのクラッチ4Lが解放状態になっていることによりステップS31で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく図5に示すルーチンを一旦終了する。
これとは反対に左前輪1Lのクラッチ4Lが係合していることによりステップS31で肯定的に判断された場合には、これとは左右反対側の車輪のクラッチ、例えば右前輪1Rのクラッチ4Rが係合しているか否かが判断される(ステップS32)。右前輪1Rのクラッチ4Rが解放状態になっていることによりステップS32で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく図5に示すルーチンを一旦終了する。
これに対してステップS32で肯定的に判断された場合には左右のクラッチ4R,4Lのいずれもが係合していることになり、その場合は、エンジンの温度が予め定めた所定の温度(閾値)以上か否かが判断される(ステップS33)。ここで所定の温度とは、モータ2R,2Lの温度を、その耐久性や特性などに影響を及ぼす程度に上昇させるとして実験などに基づいて定めた温度である。この判断は、エンジンに設けられた既存の温度検出センサからの信号により判断することができ、あるいはエンジン冷却水温度から求めることができる。ここで、エンジン7の温度を判断することとしたのは、エンジン7はモータ2R,2Lに接近して配置されており、その温度がモータ2R,2Lに対して熱影響を与えやすいからである。
エンジン7の温度が予め定めた所定の温度(閾値)以上であることによりステップS33で肯定的に判断された場合は、各クラッチ4R,4Lを共に解放し、各モータ2R,2Lと各車輪1R,1Lとを切り離す(ステップS34)。その後に、図5に示すルーチンを一旦終了する。なお、この場合も、駆動力もしくは制動力を確保するために、エンジン7もしくは第2のモータ・ジェネレータ15の出力あるいは回生量を制御することが好ましい。
これに対して、エンジン7の温度が所定の温度未満であることによりステップS33で否定的に判断された場合には、左右それぞれの前輪1R,1Lに付設されているブレーキの温度が予め定めた所定の温度(閾値)以上か否かが判断される(ステップS35,S36)。例えば、左前輪1Lのブレーキが所定の温度以上か否かが判断され(ステップS35)、その判断結果が否定的である場合には、右前輪1Rのブレーキが所定の温度以上か否かが判断される(ステップS36)。ここで、ブレーキの温度を判断することとしたのは、各ブレーキはモータ2R,2Lに接近して配置されており、その温度がモータ2R,2Lに対して熱影響を与えやすいからである。
左右の少なくともいずれか一方のブレーキの温度が所定の温度以上であることにより、ステップS35もしくはステップS36で肯定的に判断された場合には、前述したステップS34に進んで各クラッチ4R,4Lを共に解放し、各モータ2R,2Lと各車輪1R,1Lとを切り離し、その後に、図5に示すルーチンを一旦終了する。なお、この場合も、駆動力もしくは制動力を確保するために、エンジン7もしくは第2のモータ・ジェネレータ15の出力あるいは回生量を制御することが好ましい。
図5に示す制御例は、モータ2R,2Lに隣接して配置されているエンジン7、ブレーキまたはインバータ5R,5Lなどの温度が高くなることによりモータ2R,2Lが加熱され、あるいは放熱が制限される事態に対処して、モータ2R,2Lの温度が過剰に上昇することを防止するものである。この制御例においても、前述した二つの制御例と同様に、モータ2R,2Lの温度が高くなると判断された場合は、各モータ2R,2Lと各車輪1R,1Lとを切り離すことにより、モータ2R,2Lの過剰な温度上昇を防止もしくは抑制することが可能となり、モータ2R,2Lの耐久性や特性などの低下を未然に防止することができる。さらに左右いずれかのモータ2R,2Lの温度が高くなることが予想される場合には、左右両方のクラッチ4R,4Lを共に解放するので、左右の前輪1R,1Lのトルクが共にゼロとなって走行の安定性を維持することが可能である。
つぎに、車両が旋回している場合の制御例について説明する。車両が旋回する場合、内輪のトルクに対して外輪のトルクが大きいことが好ましいので、以下に説明する制御例は、いずれか一方のモータ2R(2L)について、クラッチ4R(4L)を解放するべき条件が成立した場合に、当該一方のモータ2R(2L)についてのクラッチ4R(4L)のみを解放するように構成されている。具体的に説明すると、図6は車両が左旋回する場合の制御例を説明するためのフローチャートであり、先ず、いずれか一方のモータ(例えば右側のモータ)2Rの温度が予め定めた所定の温度(閾値)以上か否かが判断される(ステップS41)。その所定の温度は前述した図4に示す制御例におけるものと同様である。このステップS41で肯定的に判断された場合、すなわち上記のモータ2Rの温度が高いことが判断された場合には、左右両方のクラッチ4R,4Lを解放して(ステップS42)、左右の前輪1R,1Lをそれぞれに対応して設けられているモータ2R,2Lから切り離す。その後、図6に示すルーチンを一旦終了する。このステップS41およびステップS42の制御は、前述した図4に示す制御例におけるものと同様である。
一方、モータ2Rの温度が相対的に低いことによりステップS41で否定的に判断された場合には、左右反対側の他方(左側)のモータ2Lの温度が予め定めた所定の温度(閾値)以上か否かが判断される(ステップS43)。その所定の温度は前述した図4に示す制御例におけるものと同様である。このステップS43で否定的に判断された場合には、左右のモータ2R,2Lの温度がいずれも所定の温度より低いことになり、各モータ2R,2Lが正常に機能する状態であるから、左右の各クラッチ4R,4Lが係合状態に維持される(ステップS44)。
これに対して、左側のモータ2Lの温度が所定の温度以上であることによりステップS43が肯定的に判断された場合には、右側のモータ2Rの温度が所定の温度より低温であっても、左右両方のクラッチ4R,4Lを一旦解放し(ステップS45)、左右の前輪1R,1Lをそれぞれに対応して設けられているモータ2R,2Lから切り離す。ついで、旋回走行のためのトルクの指令状態が判断される。すなわち、左側のモータ2Lに、走行方向に対して負のトルクを生じるように指令が出力されているか否かが判断される(ステップS46)。いわゆる負のトルク指令が出力されていないことによりステップS46で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく図6のルーチンを一旦終了する。これに対して左側のモータ2Lに対していわゆる負のトルク指令が出力されていることによりステップS46で肯定的に判断された場合には、右側のモータ2Rに、走行方向に対して正のトルクを生じるように指令が出力されているか否かが判断される(ステップS47)。このステップS47で否定的に判断された場合には、駆動トルクの指令状態が、積極的に左旋回するための状態ではないので、特に制御を行うことなく図6のルーチンを一旦終了する。これとは反対にステップS47で肯定的に判断された場合には、右側の前輪1Rが正の駆動トルクを発生し、左側の前輪1Lが制動トルクを発生するように制御されている状態、すなわち左旋回する状態であることの判断が成立していることになる。なお、上記のステップS46およびステップS47の判断の順序は、いずれが先であってもよい。
この左旋回する状態で前述したステップS43の判断が成立していることにより、いわゆる内輪側のモータ2Lの温度が所定の温度以上になり、そのモータ2Lを正常に機能させ得ない事態が生じていることになる。そこで、ステップS47で肯定的に判断された場合には、外輪側のモータ2Rが、内輪側のモータ2Lが出力するべきトルクを受け持って出力できるか否かが判断される(ステップS48)。すなわち、外輪側のモータ2Rが内輪側のモータ2Lの出力予定トルクを足した正トルクを出力可能か否かが判断される。旋回時に各モータ2R,2Lが出力するべきトルクは設計上予め決めておくことができ、また各モータ2R,2Lには許容される最大出力トルクが決められているから、ステップS48の判断はこれらのデータに基づいて容易に行うことができる。
外輪側のモータ2Rが本来出力することが予定されているトルクに、内輪側のモータ2Lの出力予定トルクを加えた総トルクが、外輪側のモータ2Rの許容最大トルクを超えていることによりステップS48で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく図6のルーチンを一旦終了する。これとは反対にステップS48で肯定的に判断された場合には、外輪側のモータ2Rから右側の前輪1Rにトルクを伝達するために、これらのモータ2Rと右前輪1Rとの間のクラッチ4Rが係合させられる(ステップS49)。そして、外輪側のモータ2Rが本来出力することが予定されているトルクに、内輪側のモータ2Lで出力が予定されていたトルクを加えた正トルクが、正常に機能できる外輪側のモータ2Rの出力トルクとして外輪側のモータ2Rに対して指令される(ステップS50)。
したがって、温度が高いことにより正常に機能させ得ない内輪側のモータ2Lを左前輪1Lから切り離して停止させておくことが可能になり、そのモータ2Lの耐久性の低下や損傷などを未然に防止することができる。また、正常に機能し得るモータ2Rは、停止させられるモータ2Lが出力するべきトルクを補償するようにトルクを出力するから、旋回時に要求されるヨーモーメントを生じさせることができ、車両の回頭性を損なうことなく旋回走行することができる。なお、外輪側のモータが車輪から切り離される場合には、内輪側のモータの負のトルクを増大させれば、上記の制御例と同様に、旋回時に必要なヨーモーメントを生じさせることができる。
ところで、左右の車輪に対応して個別に設けられているモータは、いわゆるモータ・ジェネレータと称される発電機能のあるモータであってよいから、車両の減速時にはエネルギ回生に使用することができる。この発明に係る制御装置は、そのようなエネルギ回生のためにクラッチ4R,4Lの係合・解放状態を制御することができ、その制御の一例を図7にフローチャートで示してある。図7に示す制御例では、先ず、各クラッチ4R,4Lが解放状態になっているか否かが判断される。例えば左前輪1L側のクラッチ4Lが解放されているか否か(切り離されているか否か)が判断される(ステップS61)。その判断の結果が否定的である場合、すなわち係合状態であれば、特に制御を行うことなく図7のルーチンを終了する。これとは反対に解放状態であることによりステップS61で肯定的に判断された場合には、右前輪1R側のクラッチ4Rが解放されているか否か(切り離されているか否か)が判断される(ステップS62)。その判断の結果が否定的である場合、すなわち係合状態であれば、特に制御を行うことなく図7のルーチンを終了する。なお、ステップS61とステップS62との判断の順序は、いずれが先であってもよい。
一方、ステップS62で肯定的に判断された場合には、各クラッチ4R,4Lが解放状態にあって各前輪1R,1Lがそれぞれに対応して設けられているモータ2R,2Lから切り離されていることになる。その場合には、所定の踏力(閾値)以上の踏力でブレーキ操作されているか否かが判断される(ステップS63)。このステップS63は車両が減速状態あるいは制動状態になっているか否かを判断するためのものであり、したがって上記の所定の踏力は、車両に実質的な制動力が生じる程度の踏力として予め定めたものである。ブレーキ操作されていないなどステップS63で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく図7のルーチンを一旦終了する。したがって、各クラッチ4R,4Lは解放状態に維持される。
これに対してブレーキ操作されていることによりステップS63で肯定的に判断された場合には、各クラッチ4R,4Lが係合するように制御される(ステップS64)。すなわち、各前輪1R,1Lがそれぞれに対応して設けられているモータ2R,2Lに連結される。それと併せて各モータ2R,2Lは、発電機として機能するように制御される。したがって、各モータ2R,2Lは前輪1R,1Lから伝達されるトルクによって強制的に回転させられ、それに伴って発電を行い、その電力は図示しない蓄電装置に充電される。
このように図7に示す制御を実行するように構成されている制御装置においては、車両の減速時に各モータ2R,2Lを発電機として機能させ、それに伴う負のトルクを制動トルクとして作用させるので、車両の制動性能が向上するとともに、ブレーキパッドなどの摩擦部位の摩耗を低減することができる。また、電力としてエネルギ回生することができるので、車両の燃費を向上させることができる。
なお、上述した各制御例は、図1に示す構成の左右独立駆動車両を対象としたものであるが、この発明に係る制御装置で対象とすることのできる左右独立駆動車両は、前輪1R,1Lに替えて、後輪3R,3Lのそれぞれを独立して駆動し、かつ前輪1R,1Lをエンジン7の動力で駆動するように構成した車両であってもよい。その例を図8に模式的に示してある。ここに示す例は、前置きエンジン前輪駆動ハイブリッド車(FF車)をベースにした後輪左右独立電動装置搭載車両の例であり、エンジン7は車両の前側に搭載されており、そのエンジン7は前述した構成の動力分配装置8および終減速機14を介して左右の前輪1R,1Lに連結されている。すなわち、図8に示すハイブリッド装置は前述した図1に示すものと同様の構成であって、動力分配装置8におけるキャリヤ9にエンジン7が連結され、その動力分配装置8におけるリングギヤ11は、出力軸13を介して終減速機14に連結され、その終減速機14から左右の前輪1R,1Lに動力が伝達されるように構成されている。また、動力分配装置8におけるサンギヤ10に第1のモータ・ジェネレータ12が連結され、かつ出力軸13に第2のモータ・ジェネレータ15が連結される。これらのモータ・ジェネレータ12,15は図示しないインバータなどのコントローラを介して蓄電装置に接続され、モータとして機能し、また発電機として機能するように制御される。
一方、左右の後輪3R,3Lのそれぞれに対応してモータ2RR,2RLが設けられており、それらの前輪後輪3R,3Lとモータ2RR,2RLとの間にクラッチ4RR,4RLが配置されている。モータ2RR,2RLは、永久磁石式同期電動機などの発電機能を備えたモータであり、それぞれインバータ5RR,5RLなどのコントローラを介して図示しない蓄電装置に接続されている。すなわち、蓄電装置から供給される電力によってモータとして機能し、また強制的に回転させられることにより発電を行い、その電力を蓄電装置に充電するように構成されている。
また、クラッチ4RR,4RLは摩擦クラッチや噛み合いクラッチなど、要は、係合することによりトルクを伝達できる状態になり、解放することによりトルクの伝達を遮断するように構成された継手であり、油圧や電磁力によって係合・解放の動作を行うように構成されている。したがって各クラッチ4RR,4RLはその係合・解放の制御を電気的に行い得るように構成されており、その制御のためのクラッチ制御部6Rが設けられている。このクラッチ制御部6Rは、所定の条件が成立することによってクラッチ4RR,4RLに対してこれを係合させ、あるいは解放させる指令信号を出力し、それに基づいて図示しないアクチュエータが動作してクラッチ4RR,4RLが係合し、あるいは解放するように構成されている。また、各モータ2RR,2RLやクラッチ4RR,4RL、モータ・ジェネレータ12,15などを制御するための電子制御装置16が設けられていること、各車輪にはブレーキが設けられていることなど、車両としての一般的な機器が設けられていることは前述した図1に示す車両と同様である。
また、図9に示す例は、前後左右の四輪1R,1L,3R,3Lの全てをそれぞれに対応させて設けたモータ2R,2L,2RR,2RLによって独立して駆動するように構成された車両の例である。すなわち、前述したハイブリッド装置に替えて、車輪毎のモータおよびクラッチが設けられている。したがって、図9に示す構成は、図1に示す構成と図8に示す構成とを組み合わせたものであるから、図9には図1あるいは図8に付した参照符号を付してその説明を省略する。なお、図9にはエンジン7を搭載した例を示してあるが、エネルギの全てを蓄電装置から得るようにし、かつその蓄電装置に対する充電を商用電源から得るように構成したいわゆるプラグインタイプの車両として構成した場合には、エンジン7を省略してもよい。また、エンジン7は図示しない発電機を駆動して蓄電装置への充電を行うために搭載してあってもよい。
これら図8に示す構成の車両および図9に示す構成の車両のいずれであっても、前述したこの発明に係る制御装置によってそのクラッチの係合・解放の制御を行うことができ、また前述した作用・効果と同様の作用・効果を得ることができる。
ここで、上述した各具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、前述したステップS33,S35.S36を実行する機能的手段が、請求項2の発明における温度検出手段に相当し、ステップS34を実行する機能的手段が、請求項2の発明におけるクラッチ解放手段に相当する。また、前述したステップS41,S43を実行する機能的手段が、請求項3の発明における旋回時温度検出手段に相当し、ステップS45,S49を実行する機能的手段が、請求項3の発明におけるクラッチ解放手段に相当し、さらにステップS50を実行する機能的手段が、請求項3の発明における電動機制御手段に相当する。
1R,1L…(左右の)前輪、 2R,2L,2RR,2RL…モータ、 3R,3L…(左右の)後輪、 4R,4L,4RR,4RL…クラッチ、 5R,5L,5RR,5RL…インバータ、 6,6R…クラッチ制御部、 7…エンジン、 8…動力分配装置、 9…キャリヤ、 10…サンギヤ、 11…リングギヤ、 12…第1のモータ・ジェネレータ、 13…出力軸、 14…終減速機(デファレンシャルギヤ)、 15…第2のモータ・ジェネレータ、 16…電子制御装置(ECU)。

Claims (4)

  1. 左右一対の前輪もしくは後輪毎にそれら左右輪を個別に駆動するように電動機が設けられるとともに、それらの左右輪とそれぞれの左右輪に対応する電動機との間にクラッチが設けられ、さらに他の後輪もしくは前輪を駆動する駆動力源が設けられている左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置において、
    予め定めた所定の車速以上の速度で走行している場合、および前記いずれかの電動機の回転数が予め定めた回転数以上の場合のいずれかの場合に、前記駆動力源によって走行のための駆動力を出力するとともに前記左右輪のそれぞれに対応して設けられている前記クラッチを解放してそれらの左右輪とそれぞれの左右輪に対応して設けられている電動機との連結を解除するように構成されていることを特徴とする左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置。
  2. 左右一対の前輪もしくは後輪毎にそれら左右輪を個別に駆動するように電動機が設けられるとともに、それらの左右輪とそれぞれの左右輪に対応する電動機との間にクラッチが設けられ、さらに他の後輪もしくは前輪を駆動する駆動力源が設けられている左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置において、
    前記電動機の温度もしくは前記電動機に隣接して配置されている部材の温度を検出する温度検出手段と、
    その温度検出手段で検出された温度もしくはその検出された温度の上昇勾配が予め定めた閾値以上の場合に、前記駆動力源によって走行のための駆動力を出力するとともに前記左右輪のそれぞれに対応して設けられている前記クラッチを解放してそれらの左右輪とそれぞれの左右輪に対応して設けられている電動機との連結を解除するクラッチ解放手段と
    を備えていることを特徴とする左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置。
  3. 左右一対の前輪もしくは後輪毎にそれら左右輪を個別に駆動するように電動機が設けられるとともに、それらの左右輪とそれぞれの左右輪に対応する電動機との間にクラッチが設けられ、さらに他の後輪もしくは前輪を駆動する駆動力源が設けられている左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置において、
    前記車両が旋回している際の前記各電動機の温度を検出する旋回時温度検出手段と、
    その旋回時温度検出手段で検出された温度が予め定めた温度以上となっている電動機を該電動機に対応して設けられているクラッチを解放して車輪から切り離すクラッチ解放手段と、
    前記旋回時に前記電動機が切り離された車輪で担うべきトルクを前記切り離された車輪に対して左右反対側の車輪で担うように該左右反対側の車輪に対応して設けられている電動機のトルクを制御する電動機制御手段と
    を備えていることを特徴とする左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置。
  4. 前記駆動力源は、内燃機関によって構成され、あるいは内燃機関と電動機とによって構成され、もしくは電動機によって構成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の左右独立駆動車両におけるクラッチ制御装置。
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