JP2011082711A - 電圧制御発振器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外部から入力される周波数制御用の制御電圧に応じて静電容量が変化する可変容量素子と、インダクタンス素子と、を含み、前記静電容量に応じて直列共振周波数が調整される共振部と、この共振部からの周波数信号を増幅するための増幅部と、帰還用の容量素子を含み、前記増幅部で増幅された周波数信号を前記共振部に帰還させ、前記増幅部及び共振部と共に発振ループを構成する帰還部と、を備えるように電圧制御発振器を構成し、前記増幅部を集積回路チップの中に設け、前記共振部及び帰還用の容量素子は、前記集積回路チップとは別個の回路部品として構成する。発振周波数に応じて前記回路部品を選択する。
【選択図】図1
Description
この共振部からの周波数信号を増幅するための増幅部と、を備え
帰還用の容量素子を含み、前記増幅部で増幅された周波数信号を前記共振部に帰還させ、前記増幅部及び共振部と共に発振ループを構成する帰還部と、
前記増幅部は集積回路チップの中に設けられ、前記共振部及び帰還用の容量素子は、前記集積回路チップとは別個の回路部品として構成され、
前記集積回路チップ及び回路部品が、基板に搭載されて構成されることを特徴とする。
この共振部からの周波数信号を増幅するための増幅部と、
帰還用の容量素子を含み、前記増幅部で増幅された周波数信号を前記共振部に帰還させ、前記増幅部及び共振部と共に発振ループを構成する帰還部と、を備え、
高周波による前記可変容量素子の誘導性を補償し、前記インダクタンス素子からみたときに当該可変容量素子が容量性となるように、前記共振部にて補償用の容量素子を当該可変容量素子に直列に接続したことを特徴とする。前記補償用の容量素子は、例えば互に間隔をおいて交差する櫛歯状の導電路の対からなる。
続いて、本発明のVCOを開発する段階で行った各種の実験について説明する。実験1としては、図1のVCOの回路をシミュレーションにより設定した。そして、各VCOについて、入力端子16に印加する制御電圧を夫々変更し、発振周波数及び発振周波数から10kHzずれた位置における位相雑音特性を調べた。インダクタンス素子11としては0.6nH、0.8nH、1.0nHに夫々設定して実験を行った。図7、図8のグラフは実験1の結果を示しており、各グラフの横軸は制御電圧(単位:V)の値を示している。図7の縦軸はVCOの発振周波数(単位:GHz)を、図8の縦軸は位相雑音特性(単位:dBc/Hz)を夫々示している。
図9(a)に示す回路61を作成した。この回路61は既述の図1のVCOの前段側と同様に各回路素子が互いに接続されており、バリキャップダイオード14及びインダクタ19の後段側は出力端子62に接続されている。制御電圧用の入力端子16に印加する制御電圧Vc1と回路61を流れる信号の周波数とを夫々変更したときに、入力端子16と出力端子62との間のインピーダンスZ(Ω)=R+jXとして、そのリアクタンス(jX)の変化を調べた。
実験2と同様の実験を行ったが、この実験で用いた回路63は、図10(a)に示すように出力端子62の後段において、バリキャップダイオード13、14に直列にコンデンサ15が接続されている。そして、実験の結果、バリキャップダイオード13,14と、コンデンサ15とが直列に接続される部分のリアクタンスjXについては、図10(b)に示すように制御電圧Vc1に関わらず、5GHz、10GHz、15GHzのすべての発振周波数において容量性になっていた。実験2及び実験3から、図1のVCOにおいて、低い発振周波数を出力する場合にはコンデンサ15を設けなくても良いが、例えば10GHz以上の高い発振周波数を出力する場合には、コンデンサ15を設けることにより既述の並列共振を起こすことができることが示された。
シミュレーションにより集中定数が2pFであるコンデンサ64を含む図11(a)に示す回路65を構成した。図中66、66は50Ωの抵抗である。そして、図11(a)の回路65を流れる周波数を変化させてコンデンサ64の容量を測定した。図11(b)、(c)は実験結果を示したグラフであり、横軸は前記周波数を、縦軸は前記容量を示している。図11(c)は図11(b)の5.7GHz付近の容量変化を詳細に示したものである。図11(c)に示すように、周波数が増加して5.7GHzに近づくにつれ、コンデンサ64の容量は急激に増加し、その後急激に減少する。そして、5.7GHz以上の周波数ではコンデンサ64は、インダクタとして機能する。つまり、コンデンサ64は、5.7GHz帯にカットオフを有する。なお、前記カットオフよりも大きい周波数でグラフの縦軸の単位はヘンリー(H)となるべきであるが、図中ではこの単位の記載を省略している。また、この図11(b)、(c)ではコンデンサ64が容量性を有するときのグラフ線を実線で、誘導性を有するときのグラフ線を点線で夫々示している。後述の周波数によって容量性、誘導性が変化する素子のカットオフを示す各グラフ図においても、この図11(b)(c)と同様に、素子が容量性を示すときのグラフ線を実線で、誘導性を示すときのグラフ線を点線で夫々示している。
シミュレーションにより図12(a)に示すように集中定数が10nHであるインダクタ67を含む回路68を構成した。そして、図12(a)の回路65を流れる周波数を変化させてインダクタ64のインダクタンスを測定した。図12(b)、(c)は実験結果を示したグラフであり、横軸は前記周波数を、縦軸は前記インダクタンスを示している。図12(c)は図12(b)の5.7GHz付近のインダクタンスの変化を詳細に示したものである。図12(c)のグラフに示すように周波数が増加して5.7GHzに近づくと、インダクタンスが上昇するが、5.7GHzになると急激に低下する。そして、5.7GHz以上の周波数ではインダクタ67は、コンデンサとして機能する。つまり、インダクタ67は、5.7GHz帯にカットオフを有している。なお、前記カットオフよりも大きい周波数でグラフの縦軸の単位はファラド(F)となるべきであるが、図中ではこの単位の記載を省略している。
続いて、図5に示したバリキャップダイオード14について、周波数に対する容量及びインダクタンスの変化を測定した。このバリキャップダイオード14の図5に示す長さL1、幅L2は夫々0.6mm、0.3mmである。図13(a)は、測定により得られたバリキャップダイオード14のスミスチャートである。図13(b)は横軸にバリキャップダイオード14に供給された信号の周波数を、縦軸にバリキャップダイオード14の容量を夫々示している。図13(c)は横軸に前記周波数を、縦軸にバリキャップダイオード14のインダクタンスを夫々示している。図13(b)に示すように5GHz付近にカットオフが存在し、それ以上の周波数では誘導性を示す。なお、図13(b)では図11(c)と同様に、カットオフよりも大きい周波数では、インダクタンスの変化を示しており、前記周波数では縦軸の単位が本来ヘンリーとして示されるべきであるが、図中ではこの単位の記載を省略している。
シミュレーションにより図14(a)に示す回路71を設定した。そして、図中の直流電源72の電圧を0Vから10Vの範囲で変更して、図のバリキャップダイオード73のカットオフ周波数及び雑音特性を調べた。図中のインダクタ73のインダクタンスは10nHであり、抵抗74、74は50Ωである。図14(b)は、図13(b)と同様にバリキャップダイオード73の容量と回路中を流れる発振周波数との関係を示したグラフである。図14(c)は位相雑音と前記周波数との関係を示したグラフであり、横軸、縦軸に前記周波数、雑音(単位dB)をとっている。図14(b)に示すように前記電圧の設定値によっては、1E9〜1E10Hzの間にカットオフが現れている。そして、図14(c)に示すようにカットオフが現れる周波数においては雑音特性が劣化している。
実験8として図15(a)に示す回路81をシミュレーションにより設定した。この回路81はバリキャップダイオード73に0.2pFのコンデンサ82を直列に接続した他は図14(a)の回路71と同じ構成となっている。この回路81について実験7と同様にバリキャップダイオード73のカットオフ及び位相雑音特性を調べた。図15(b)は、図14(b)と同様にバリキャップダイオード73の容量と回路中を流れる発振周波数との関係を示したグラフであり、図15(c)は図14(c)と同様に位相雑音と前記周波数との関係を示したグラフである。図15(b)に示すようにカットオフは1E10Hzよりも高い周波数帯域で現れ、それに応じて図15(c)に示すように雑音特性の劣化のピークも1E10Hz以上の帯域で現れている。実験7、8からコンデンサをバリキャップダイオードに直列に接続することで、高周波による前記バリキャップダイオードの誘導性を補償し、当該バリキャップダイオードの容量性を確保することができる。従って、図4〜図6で説明した上記のコンデンサ15の効果が証明された。
シミュレーションにより図16(a)に示す回路91を設定した。直流電源71の電圧は1V、インダクタ92、93、94のインダクタンスは夫々100mH、1nH、100mHzである。コンデンサ95の容量は1pF、抵抗96は50Ωに夫々設定している。この回路91に流す信号の周波数を変化させたときのコンデンサ95の容量を調べた。図16(b)は実験の結果を示したグラフであり、図11(c)、図13(b)と同様にカットオフよりも小さい周波数帯域では容量変化を、カットオフより大きい周波数帯域ではインダクタンスの変化を夫々示している。カットオフは5GHzで現れていた。
シミュレーションにより図17(a)に示す回路97を設定した。この回路97は、図17(a)の回路91に0.2pFのコンデンサ98を追加したものである。この回路97を用いて実験9と同様の実験を行った。図17(b)には、図16(b)と同様にその実験結果を示している。ここで、コンデンサ95、98の合成容量は0.2pF×1pF/(0.2pF+1pF)=0.167pFとなる。そして、カットオフ周波数は、1/(2×p×√(1nH×0.167pF)=12.328GHzとなる。このようにコンデンサ95、98個別の容量よりもコンデンサ95、98の合成容量の方が低い。そして、上記の計算式と図16(b)のグラフとから分かるように、コンデンサ98を追加したことで回路91に比べてカットオフ周波数は上がる。従って、この実験9、10の結果からも、図1のVCOにてバリキャップダイオード13、14にコンデンサ15を直列に接続することで、バリキャップダイオード13、14の誘導性を補償し、カットオフを高周波数側へシフトさせ、これらバリキャップダイオード13、14の容量性を確保できることが示された。
実験11として、図17(a)に示すように水晶基板41上に設けたコンデンサ22、23の特性を調べた。図17(b)はその測定結果を示したものである。グラフの横軸にはコンデンサ22、23に供給した信号の周波数を、縦軸にはコンデンサ22、23の合成容量を夫々示している。グラフ中に示すように周波数が高くなってもカットオフが見られず、正常に動作することが示された。グラフ中に示したポイントにおける周波数は1.0GHzであり、このときの前記合成容量は6.742E-13Fであった。
11 インダクタンス素子
12、15 コンデンサ
13、14 バリキャップダイオード
16 制御端子
2 帰還部
21 トランジスタ
22、23 コンデンサ
3 IC回路部
4 電圧制御発振器(VCO)
40 セラミックス基板
41 水晶基板
Claims (6)
- 外部から入力される周波数制御用の制御電圧に応じて静電容量が変化する可変容量素子と、インダクタンス素子と、を含み、前記静電容量に応じて直列共振周波数が調整される共振部と、
この共振部からの周波数信号を増幅するための増幅部と、
帰還用の容量素子を含み、前記増幅部で増幅された周波数信号を前記共振部に帰還させ、前記増幅部及び共振部と共に発振ループを構成する帰還部と、
を備え、
前記増幅部は集積回路チップの中に設けられ、前記共振部及び帰還用の容量素子は、前記集積回路チップとは別個の回路部品として構成され、
前記集積回路チップ及び回路部品が、基板に搭載されて構成されることを特徴とする電圧制御発振器。 - 高周波による前記可変容量素子の誘導性を補償し、前記インダクタンス素子からみたときに当該可変容量素子が容量性となるように、前記共振部にて補償用の容量素子を当該可変容量素子に直列に接続したことを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
- 前記補償用の容量素子は、互に間隔をおいて交差する櫛歯状の導電路の対からなることを特徴とする請求項1または2記載の電圧制御発振器。
- 前記直列共振周波数は、5GHz以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の電圧制御発振器。
- 外部から入力される周波数制御用の制御電圧に応じて静電容量が変化する可変容量素子と、インダクタンス素子と、を含み、前記静電容量に応じて直列共振周波数が調整される共振部と、
この共振部からの周波数信号を増幅するための増幅部と、
帰還用の容量素子を含み、前記増幅部で増幅された周波数信号を前記共振部に帰還させ、前記増幅部及び共振部と共に発振ループを構成する帰還部と、
を備え、
高周波による前記可変容量素子の誘導性を補償し、前記インダクタンス素子からみたときに当該可変容量素子が容量性となるように、前記共振部にて補償用の容量素子を当該可変容量素子に直列に接続したことを特徴とする電圧制御発振器。 - 前記補償用の容量素子は、互に間隔をおいて交差する櫛歯状の導電路の対からなることを特徴とする請求項5記載の電圧制御発振器。
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