JP2011081142A - ミラー付き光導波路の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光の損失を十分に抑制することが可能なミラー面が形成されたコア部を備えるミラー付き光導波路を効率よく製造することが可能なミラー付き光導波路の製造方法を提供すること。
【解決手段】樹脂成分を含有してなる光を伝送するためのコア部を備える光導波路の前記コア部の一部に、開口部を有するマスクを介してレーザービームを照射して、前記コア部の一部の前記樹脂成分を飛散させることによって、前記コア部を伝送する光の伝送方向に対して傾斜したミラー面を前記コア部に形成するミラー付き光導波路の製造方法であって、前記コア部のレーザービームが照射されるべき面の長手方向の略中心軸から該面の幅方向に離れるほど前記レーザービームの照射時間が短くなるように前記レーザービームを照射することを特徴とするミラー付き光導波路の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ミラー付き光導波路の製造方法に関し、より詳しくは、光導波路にレーザービームを照射して前記光導波路にミラー面を形成するミラー付き光導波路の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化及び高性能化の要求が高まっている。そして、信号の高速化に対応するために、電子部品間を光信号によって接続し、電子機器内における信号伝送路を高速化することが検討されており、光信号による接続を行うための光配線と電気配線とを備えた光・電気混載基板が用いられてきた。
このような光・電気混載基板を備えた電子機器においては、前記混載基板上に複数の電子部品が搭載され、例えば、ある電子部品から出力された電気信号は電気配線を伝送して、発光素子に入力されて光信号に変換され、この光信号が光配線により伝送される。そして、光配線により伝送される光信号は、受光素子によって電気信号に変換され、この電気信号は電気配線により伝送されて前記混載基板上に搭載された別の電子部品に入力される。この場合、前記光配線には光導波路が用いられ、前記発光素子や受光素子が光導波路上に搭載される。そのため、前記光導波路内には、発光素子から発せられた光信号を光導波路内に導入するために、あるいは、光導波路内の光信号を外部に取り出すために、光信号の伝送方向(進行方向)を変えるためのミラー面が形成されてきた。
このような光導波路内のミラー面は、従来、ダイシング加工やミラーブロックの設置により形成されていた。しかしながら、ダイシング加工ではミラー部以外の部分も加工されるといった問題があり、また、ミラーブロックの設置においては設置場所が制限されるといった問題があった。このように、ダイシング加工やミラーブロックを設置する方法は、作業性等の点で必ずしも十分な方法ではなかった。
また、近年では、レーザービームを光導波路に照射してミラー面を形成する方法も検討されている。例えば、松下電工技報(54巻、1号、p.95〜100)(非特許文献1)では、エキシマレーザを用いて、固定マスクと可動マスクを備える開口マスクを介してレーザービームを光導波路に照射し、可動マスクを移動させてレーザービームの照射面積を連続的に大きくすることによって光導波路の加工深さを変化させて傾斜面(ミラー面)を形成する方法が開示されている。しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、得られる光導波路において、ミラー面での光損失を必ずしも十分に抑制することができなかった。
田中ら、「エキシマレーザによる光・電気複合配線板用マイクロミラーの作製法」、松下電工技報、2006年3月発行、54巻、1号、p.95〜100
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、光の損失を十分に抑制することが可能なミラー面が形成されたコア部を備えるミラー付き光導波路を効率よく製造することが可能なミラー付き光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、樹脂成分を含有してなる光を伝送するためのコア部を備える光導波路の前記コア部の一部に、開口部を有するマスクを介してレーザービームを照射し、前記コア部の一部の前記樹脂成分を飛散させることによって、前記コア部を伝送する光の伝送方向に対して傾斜したミラー面を前記コア部に形成するミラー付き光導波路の製造方法において、前記コア部の前記レーザービームが照射されるべき面の長手方向の略中心軸から該面の幅方向に離れるほど、前記レーザービームの照射時間が短くなるように前記レーザービームを照射することにより、光の損失を十分に抑制することが可能なミラー面が形成されたコア部を備えるミラー付き光導波路を効率よく製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のミラー付き光導波路の製造方法は、樹脂成分を含有してなる光を伝送するためのコア部を備える光導波路の前記コア部の一部に、開口部を有するマスクを介してレーザービームを照射して、前記コア部の一部の前記樹脂成分を飛散させることによって、前記コア部を伝送する光の伝送方向に対して傾斜したミラー面を前記コア部に形成するミラー付き光導波路の製造方法であって、
前記コア部のレーザービームが照射されるべき面の長手方向の略中心軸から該面の幅方向に離れるほど、前記レーザービームの照射時間が短くなるように前記レーザービームを照射することを特徴とする方法である。
上記本発明のミラー付き光導波路の製造方法においては、前記マスクの開口部の形状が、円形、楕円形又は長円形であることが好ましい。
また、上記本発明のミラー付き光導波路の製造方法においては、前記レーザービームの照射時に、前記レーザービームが照射されている前記コア部の表面上の領域の前記コア部の長手方向における少なくとも一方の端辺が曲率半径100〜250μmの円弧状であることが好ましい。
本発明によれば、光の損失を十分に抑制することが可能なミラー面が形成されたコア部を備えるミラー付き光導波路を効率よく製造することが可能なミラー付き光導波路の製造方法を提供することが可能となる。
レーザービームを照射する工程の一実施形態を示す模式図であり、図1中の(a)はレーザービームの照射開始時の光導波路の縦断面の状態を示す模式図であり、図1中の(b)はレーザービームの照射によりミラー面を形成した時の光導波路の縦断面の状態を示す模式図である。 コア層の表面上におけるレーザービームが照射されるべき面の一実施形態を示す模式図である。 レーザービームが照射される際にコア層の表面上に形成されるレーザービームの照射面形状の一実施形態を示す模式図である。 レーザービームが照射される際にコア層の表面上に形成されるレーザービームの照射面形状の一実施形態を示す模式図である。 ミラー面の形成に用いる光導波路の一実施形態の概略縦断面図である。 レーザービームを照射する工程の他の実施形態を示す模式図であり、図6中の(a)はレーザービームの照射開始時の光導波路の縦断面の状態を示す模式図であり、図6中の(b)はレーザービームの照射によりミラー面を形成する部位の上部のクラッド層を除去した光導波路の縦断面の状態を示す模式図であり、図6中の(c)はコア層にミラー面を形成した時の光導波路の縦断面の状態を示す模式図である。 コア層の表面上のレーザービームの照射面形状の一実施形態を示す模式図である。 実施例2で得られたミラー付の光導波路のコア層(薄膜)のミラー面が形成されている部位の状態(薄膜の状態)を示す顕微鏡写真である。 比較例1で得られたミラー付の光導波路のコア層(薄膜)のミラー面が形成されている部位の状態(薄膜の状態)を示す顕微鏡写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のミラー付き光導波路の製造方法は、樹脂成分を含有してなる光を伝送するためのコア部を備える光導波路の前記コア部の一部に、開口部を有するマスクを介してレーザービームを照射して、前記コア部の一部の前記樹脂成分を飛散させることによって、前記コア部を伝送する光の伝送方向に対して傾斜したミラー面を前記コア部に形成するミラー付き光導波路の製造方法であって、
前記コア部のレーザービームが照射されるべき面の長手方向の略中心軸から該面の幅方向に離れるほど、前記レーザービームの照射時間が短くなるように前記レーザービームを照射することを特徴とする方法である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。ここで、先ず、レーザービームを照射する工程の好適な実施形態について説明し、かかる工程に用いる光導波路の好適な実施形態については後述する。
図1は、コア層11aとクラッド層11bとを備える光導波路11にレーザービームを照射する工程を実施した場合((a)はレーザービームLB照射開始時、(b)はミラー面12形成時)のミラー構造付近の光導波路の状態を模式的に示す概略縦断面図である。なお、コア層11aは基本的にコア部111Aとクラッド部111Bとからなる層であるが(図2参照)、図1の概略縦断面図においては、コア層11aのコア部111Aの断面が記載されている。
図1に示すようなレーザービームLBの照射工程においては、マスク13の開口部13aを介して光導波路11にレーザービームLBが照射される。このようなレーザービームLBの照射の際には、コア部の光の伝送方向(図1中の矢印Aで示された方向)にレーザービームの照射部分を相対的に変化させながら、レーザービームLBが照射される。本実施形態では光導波路11を矢印Aで示された方向に移動させることにより、レーザービームの照射部分を相対的に変化させている。これによって、コア部の光の伝送方向にレーザービームの照射面積を連続的に大きくすることができ、光導波路の加工深さを変化させて、コア部を伝送する光の伝送方向に対して傾斜した傾斜面(ミラー面)を形成することが可能となる。このように、ミラー面を形成する際には、コア部の長手方向にレーザービームLBの照射部分を相対的に変化させながら、レーザービームLBを照射することが好ましい。
このようなレーザービームLBの照射工程をより具体的に説明すると、先ず、マスク13の開口部13aを介してレーザービームLBを照射しながら、光導波路11をコア部の光の伝送方向(図1中の矢印Aで示された方向)に移動させる(図1(a))。そして、このようなレーザービームLBの照射よって、レーザービームLBの照射される部分(照射部分)においては、コア部を形成する樹脂成分が飛散(蒸散)して所定の深さまで除去される。この際、光導波路11を移動させながらレーザービームLBを照射させていることから、レーザービームLBの照射部分は伝送方向A(水平方向)に移動し、コア部の光の伝送方向において、レーザービームLBの照射時間は変化する。すなわち、レーザービームLBの照射部分のサイズは変わらないので、照射部分の左側部(図の左側)では、光導波路11の移動により、レーザービームが照射されなくなり、コア部を形成する樹脂成分がそれ以上除去されなくなる。一方、レーザービームLBの照射される部分の右側部(図の右側)は、光導波路11の移動によって、レーザービームLBが新たに照射されるようになった部分であるため、新たに照射された時間分だけコア部を形成する樹脂成分が除去される。そのため、前記コア部のレーザービームが照射される領域においては、光の伝送方向への光導波路11の移動速度に応じて、レーザービームLBの光導波路11に対する深さ方向の到達度が異なることとなり、その到達度に応じて前記コア部の深さ方向に前記樹脂成分が連続的に除去され、前記コア部を伝送する光の伝送方向に対して傾斜したミラー面12が前記コア部に形成される(図1(b))。このように、レーザービームLBの照射工程においては、コア部に対するレーザービームLBの照射部分を相対的に変化させながら光導波路11のコア部の一部にレーザービームLBを照射するため、ミラー面12を形成する部位へのレーザービームLBの照射時間を部分的に変化させることが可能となり、レーザービームLBのコア部の深さ方向に対する到達度を調整しながらコア部の構成材料である樹脂成分を除去することが可能となる。そのため、このようなレーザービームLBの照射方法によれば、光の伝送方向に対して傾斜したミラー面12が形成される。そして、このようにしてミラー面12を形成した後においては、レーザービームLBの照射を終了することで、ミラー面の形成が終了する。なお、このようなミラー面12を形成するための一連の工程について、以下、場合により「ミラー面の加工工程」という。
本発明においては、図1に示すように、コア部に対するレーザービームLBの照射領域を相対的に変化させながら光導波路11のコア部の一部にレーザービームLBを照射する際に、コア部のレーザービームが照射されるべき面Sの長手方向の略中心軸から幅方向Wに離れるほど、レーザービームLBの照射時間が短くなるようにして、レーザービームLBを照射する。
ここで、「コア部のレーザービームが照射されるべき面」とは、コア部の上面(レーザービームが照射される側の面)上の領域であって且つミラー面の加工工程を通してレーザービームが照射されるコア部表面上の領域をいう。図2を参酌しながら、「コア部のレーザービームが照射されるべき面」についてより詳細に説明する。図2は、レーザービームが照射される側(レーザービームLBの光軸方向)のコア層11aの表面の模式図である。図2に示す実施形態においては、コア層11aは、コア部111Aとクラッド部111Bを備える。また、コア部111Aの表面上の斜線部Sは、ミラー面の加工工程を通じてレーザービームが照射される領域(光伝送方向に光導波路を動かしながらレーザーを照射する全ての工程を通じてレーザービームが照射される領域)である。本発明においては、このようなミラー面の加工工程を通じてレーザービームが照射されるコア部111Aの上面上の領域Sを「コア部のレーザービームが照射されるべき面」と規定する。また、「略中心軸」は、レーザービームLBの照射面形状のコア部の長手方向の中心軸と同一の軸であることが好ましく、コア部の長手方向の中心軸Cから幅方向(図中の中心軸Cから左右方向)Wにそれぞれ5μm離れた位置に、コア部の長手方向の中心軸Cと平行な線をそれぞれ考慮した場合において、その2本の線の間に挟まれた領域内に存在する軸であることが好ましい。図2に示す実施形態においては、コア部の長手方向の中心軸Cと「略中心軸」とは同一の軸となっている。
なお、コア部のレーザービームが照射されるべき面Sの長手方向の略中心軸から幅方向Wに離れるほど、レーザービームLBの照射時間が短くなるようにしてレーザービームLBを照射することによって、光損失が十分に抑制されたミラー面12を効率よく形成できる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、本発明者らは、樹脂成分を含有してなるコア部111Aは、コア部111Aのレーザービームが照射されるべき面Sの長手方向の略中心軸から幅方向Wに向かって離れるほど、コア部のレーザー光の吸収効率が高くなり、エッチング時に、より削れ易くなる傾向にあるということを見出した。そのため、例えば、図1に示すように、光導波路11を動かしながらレーザービームLBを照射する際に、従来のように均一にレーザービームを照射してしまうと、コア部内のエッチンググレードの差(削れ易さの違い)から、レーザービームが照射されるべき面Sの長手方向の中心軸Cから幅方向Wに向かって離れるほど、コア部111Aがより深く除去される傾向にあり、形成されるミラー面12は、コア部内のエッチンググレードの差(削れ易さの違い)に応じて湾曲したものとなり、そのミラー面12において光の損失を十分に抑制できないということを本発明者らは見出した。そこで、本発明においては、コア部111AのレーザービームLBが照射されるべき面Sの長手方向の略中心軸から該面の幅方向Wに離れるほど、レーザービームLBの照射時間が短くなるようにしてレーザービームLBを照射している。すなわち、本発明においては、コア部111Aのレーザービームが照射されるべき面S内において、略中心軸に近い部位になる程、レーザービームの照射時間を長くし、反対に略中心軸から幅方向Wに離れる程、レーザービームの照射時間を短くする。ここで、例えば、コア部の長手方向の中心軸Cに垂直な任意の同一直線上の点P1と点P2を例に挙げて説明すると、点P1よりも点P2は中心軸Cから幅方向に離れた位置にある点であるため、本発明においては、点P2上へのレーザービームLBの照射時間の方が点P1上へのレーザービームLBの照射時間よりも短くなるようにしてレーザービームを照射する。このように、本発明においては、エッチング時に、コア部111A内のより削れ難い部位ほど、レーザービームLBがより長く照射されるため、形成されるミラー面は湾曲が十分に補正されたものとなる。そのため、本発明によれば、より平面に近いフラットな形状のミラー面12を形成することが可能となり、光を伝送する際に光の損失を十分に抑制することが可能なミラー面を効率よく製造できるものと本発明者らは推察する。
また、このようなレーザービームが照射されるべき面Sの長手方向の略中心軸から該面Sの幅方向Wに離れるほどレーザービームLBの照射時間が短くなるようにしてレーザービームLBを照射する方法としては、特に制限されるものではないが、図1に示すように、光導波路11を動かしながらレーザービームLBを照射する際に、開口部13aの形状が円形、楕円形又は長円形であるマスクを利用する方法を採用することが好ましい。すなわち、本発明においては、マスク13の開口部13aの形状が円形、楕円形又は長円形であることが好ましい。ここで、長円形とは、2辺が直線で且つ2辺が曲線の形状をいい、図2中の面Sのような形状や図7中の点線で記載されているような形状をいう。このような形状の開口部13aを有するマスクを用いることで、レーザービームLBの照射部分を相対的に動かしながらレーザービームLBを照射する場合に、レーザービームが照射されるべき面Sの長手方向の略中心軸から該面の幅方向に離れるほど前記レーザービームの照射時間を短くすることが容易に達成できる。また、本発明においては、マスク13の開口部の形状が長円形である場合には、その開口部の長手方向とコア部の光の伝送方向(A方向)とが同じ方向となるようにしてマスクを用い、レーザービームLBを照射することが好ましい。なお、このようなマスクの材質等は特に制限されず、光源の種類等に応じて公知の材料を適宜利用できる。
さらに、レーザービームLBが照射されているコア部111Aの表面上の領域の前記コア部の長手方向における少なくとも一方の端辺は円弧状であることが好ましい。ここで、図3を参照しながら、「レーザービームLBが照射されているコア部111Aの表面上の領域」について詳細に説明する。図3は、レーザービームLBの光軸方向から見た場合における、コア層11aとレーザービームLBの照射面形状との関係の一実施形態を示す模式図である。ここで、レーザービームLBの「照射面形状」とは、レーザービームLBの照射時にコア層11aの表面上に形成されるレーザービームのスポット形状をいう。図3に示す実施形態においては、レーザービームLBの「照射面形状」は、点E1〜6を点E1、点E2、点E3、点E4、点E5、点E6、点E1の順で結ぶ曲線により形成される楕円形の形状として表している。ここで、図3に示す実施形態においては、「レーザービームLBが照射されている前記コア部の表面上の領域」は、点E1〜6を点E1、点E2、点E3、点E4、点E5、点E6、点E1の順で結ぶ線により形成されており且つE1とE6を結ぶ線及びE3とE4を結ぶ線がそれぞれ直線となっている長円形の領域をいう。このように、本発明においては「レーザービームLBが照射されている前記コア部の表面上の領域」は、レーザービームLBの照射面形状のうちのコア部111Aの表面上に存在する部分(領域)をいう。また、図3に示す実施形態においては、「レーザービームLBが照射されている前記コア部の表面上の領域の長手方向における端辺」には、E1とE2とE3とをE1〜3の順で結ぶ曲線、及び、E4とE5とE6とをE4〜6の順で結ぶ曲線がそれぞれ該当する。
また、図3に示す実施形態において、「レーザービームLBが照射されている前記コア部の表面上の領域の長手方向における端辺」は両方とも円弧状となっている。このように、「レーザービームLBが照射されている前記コア部の表面上の領域の長手方向における端辺」を両方とも円弧状とすることで、より容易に、コア部111AのレーザービームLBが照射されるべき面Sの長手方向の略中心軸から該面の幅方向に離れるほど、レーザービームLBの照射時間が短くなるようにレーザービームLBを照射することができる。そのため、「レーザービームLBが照射されている前記コア部の表面上の領域の長手方向における端辺」は、両方とも円弧状とすることがより好ましい。
ここで、上述のような「マスクの開口部の形状」や「レーザービームLBが照射されている前記コア部の表面上の領域の長手方向における端辺の形状」により、より効率よく「レーザービームが照射されるべき面Sの長手方向の略中心軸から該面Sの幅方向Wに離れるほどレーザービームLBの照射時間が短くなるようにしてレーザービームLBを照射する」ことが可能となる理由を、図4を参照しながら説明する。図4は、レーザービームLBの光軸方向からコア層11aを見た場合における、コア層11aの上面の模式図である。図4においては、レーザービームLBの照射部分を相対的に動かす場合に関して、レーザービーム照射当初のレーザービームLBの照射される位置及びその形状を照射面形状F1として模式的に示し、レーザービーム照射後所定時間経過した後のレーザービームLBの照射される位置及びその形状を照射面形状F2として模式的に示す。なお、このような図4に示す実施形態においては、レーザービームLBのコア層11aの表面上の照射面形状は楕円形である。ここで、コア部111Aの長手方向の中心軸Cから幅方向に離れる点P3と、点P3よりも中心軸Cから離れた位置にある点P4を例に挙げて、レーザービームLBの照射時間について検討する。なお、点P3及び点P4は、コア部111Aの長手方向の中心軸Cと垂直な任意の同一直線上にある点である。点P4は、レーザー照射当初はレーザービームLBの照射部分(照射面形状)F1の範囲内に存在するが、所定時間経過後には照射部分(照射面形状)F2の範囲外に存在する。一方、点P3は、レーザー照射当初及び所定時間経過後の両方において、レーザービームLBの照射部分(F1及びF2)の範囲内に存在する。このように、レーザービームLBの照射部分を相対的に動かしながらレーザービームLBを照射する場合に、図4に示すように、レーザービームLBが照射されている前記コア部の表面上の領域の長手方向における端辺を円弧状とすることで、より容易に、略中心軸に近い部位となる程、レーザービームLBの照射時間をより長くし、中心軸からより離れた部位となる程、レーザービームLBの照射時間をより短くすることができる。また、このような長手方向の端辺が円弧状のレーザービームLBのコア部の表面上の照射領域は、マスクの開口部の形状を円形、楕円形又は長円形とすることで容易に形成できる。したがって、マスクの開口部の形状を円形、楕円形又は長円形とすることや、コア部表面上のレーザービームLBの照射領域のコア部の長手方向における端辺を円弧状とすることにより、より効率よく「レーザービームが照射されるべき面Sの長手方向の略中心軸から該面Sの幅方向Wに離れるほどレーザービームLBの照射時間が短くなるようにしてレーザービームLBを照射する」ことが可能となる。
また、このような「レーザービームLBが照射されている前記コア部の表面上の領域」において、コア部の長手方向における端辺が円弧状である場合、前記円弧の曲率半径は100〜250μm(更に好ましくは100〜150μm)であることがより好ましい。このような円弧の曲率半径が前記下限未満ではコア部の中央部近傍の照射時間が過剰に長くなるため、中央部付近が端部よりも深く削れてしまい、ミラー面の平坦性が損なわれてしまう傾向にあり、他方、前記上限を超えるとコア部の端部と中心部とで照射時間に十分な差がつかず、ミラー面の湾曲が補正されない傾向にある。なお、ここにいう曲率半径は、円弧の形状が楕円状である場合には、その楕円状の端辺の曲率半径のうちの最小曲率半径をいう。また、このような端辺の円弧の曲率半径を100〜250μmとしてレーザービームLBを照射することで、コア部111AのレーザービームLBが照射されるべき面Sの長手方向の略中心軸から該面Sの幅方向に離れるほど、レーザービームLBの照射時間を短くすることが可能となり、より十分に湾曲が補正されたミラー面12が形成できる傾向にある。
なお、このようなレーザービームLBの端辺の曲率半径は、レーザービームLBの照射の際に、マスクの開口部を透過したレーザービームLBをレンズにより集光してレーザービームLBをコア部111Aに照射する場合、同じ開口部の形状を有するマスクを用いても、レンズの倍率等によって異なるものとなる。そのため、マスクの開口部を透過したレーザービームLBを、レンズを用いて集光してレーザービームLBをコア部上に照射する場合、レーザービームの照射面形状の設計に応じて、マスクの開口部の形状とレンズの組み合わせ等を最適なものに適宜変更する必要があり、これにより、レーザービームLBの照射領域の前記端辺の円弧の曲率半径を上記範囲とすることは容易に達成可能である。
また、レーザービームLBを照射する際には、レーザービームLBのコア面11a上に形成される照射面形状のコア部の長手方向における中心軸O(図3参照)と、コア部111Aの上面の長手方向の中心軸C(図3参照)との間の距離が5μm以下となるようにしてレーザービームLBを照射することが好ましく、軸Oと軸Cとが重なるようにしてレーザービームLBを照射することがより好ましい。このような距離が5μmを超えると、ミラー面12の湾曲を十分に補正することが困難となり、形成されるミラー面12での光の損失を十分に抑制できなくなる傾向にある。また、コア部の長手方向における前記レーザービームの照射面形状の中心軸Oと前記コア部111Aの上面の長手方向の中心軸Cとが重なるようにすることで、より光の損失が抑制されたミラー面を形成することが可能となる。なお、本発明においては、コア部のレーザービームが照射されるべき面の長手方向の「略中心軸」は、上述のように、レーザービームLBのコア面11a上に形成される照射面形状のコア部の長手方向における中心軸Oと同一の軸であることが好ましい。
また、レーザービームLBの光源としては、例えば、ArF及びKrF等のエキシマレーザー、YAGレーザー、COレーザー等が挙げられる。このようなレーザービームLBの照射エネルギーは、コア部111A中の樹脂成分に応じて異なるため特に限定されないが、100〜1000mJ/cmの範囲が好ましく、250〜700mJ/cmの範囲が特に好ましい。照射エネルギーが上記範囲内であると、効率よくコア部内の樹脂成分を除去することができる。レーザーの照射周波数は、コア部の構成材料に応じて異なるため特に限定されないが、50〜300Hzの範囲が好ましく、特に50〜200Hzの範囲が好ましい。周波数が上記範囲内であると、特に傾斜面(ミラー面)の平滑性に優れる傾向にある。
また、レーザービームLBの照射部分を相対的に動かす速度は、光導波路のコア部の材料や目的とするミラー面の角度等の設計、レーザービームの光源の種類等によっても異なるものであり、一概に言えるものではなく、光導波路の種類や、ミラー面の設計に応じて、その速度を適宜設定すればよい。
次に、上述のようなレーザービームの照射工程に用いる光導波路(ミラー面の加工前の光導波路)の好適な実施形態について説明する。
このような光導波路のコア部の光の伝送方向の概略縦断面図を図5に示す。図5に示す光導波路11は、樹脂成分を含有し且つコア部111A及びクラッド部111Bを有するコア層11aと、樹脂成分を含有するクラッド層11bとを備えるものである。このようなコア部111Aは、導光路として機能するものである。
コア層11aは、樹脂成分として第1樹脂を含有してなる層である。このような第1樹脂としては、光導波路のコア層11aを形成させるために用いることが可能な公知の樹脂(ポリマー)を適宜用いることができ、例えば、環状オレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール等のポリマーや、これらのポリマーの1種又は2種以上を組み合わせたポリマーアロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体、架橋体等が挙げられ、環状オレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。このような第1樹脂は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、このようなコア層11a中の第1樹脂と後述するクラッド層11b中の樹脂成分(第2樹脂)とは、同種の樹脂を含有していてもよいが、より容易に屈折率差を生じせしめることが可能であるという観点から、異なる種類のもの(主鎖が同一で側鎖の種類が異なるもの等も含む)であることが好ましい。
また、このような第1樹脂としては、後述する酸発生剤に由来する酸の作用により化学変化が生じて生成される樹脂であることが好ましい。すなわち、このような第1樹脂としては、後述するコア形成用ワニス中のコア層用ポリマーに由来して形成される樹脂(例えば、コア層用ポリマーそのもの、コア層用ポリマーどうしの反応物、コア層用ポリマーとコア形成用ワニス中のモノマーや架橋剤等とが反応して形成される樹脂等)であることがより好ましい。また、コア層11a中の第1樹脂としては、優れた光伝送性能を有し且つ耐熱性と柔軟性を兼ね備えているという観点から、ノルボルネン系ポリマーであることが好ましい。
コア層11a中の第1樹脂の含有量としては50〜90質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満ではコア層の形状や厚みを安定して保持することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると光導波路のコア−クラッド間の屈折率変調が困難となる傾向にある。なお、コア層11a中の第1樹脂以外の成分としては、例えば、後述するコア形成用ワニス中の各成分又はその成分に由来して生成される成分のうちの第1樹脂以外の成分が挙げられる。
前記第1樹脂の重量平均分子量としては、特に限定されないが、1,000〜1,000,000が好ましく、5,000〜500,000がより好ましく、10,000〜200,000が特に好ましい。このような第1樹脂の重量平均分子量(Mw)が前記範囲内であると、耐熱性とコア表面の平滑性とのバランスがとれて、結果として光学特性に優れた光導波路を製造できる傾向にある。なお、「重量平均分子量」は、例えば、シクロヘキサン又はトルエンを有機溶剤とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算で評価することができる。
コア層11aの平均厚さとしては、その用途に応じて、その設計を適宜変更できるものであり、特に限定されないが、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、10〜60μmであることが更に好ましい。また、コア部111Aの横断面形状としては特に制限されないが、略正方形状又は略矩形(略長方形)であることが好ましい。このようなコア部111Aの幅としては、その用途に応じてその設計を適宜変更できるものであり、特に限定されないが、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、10〜60μmであることが更に好ましい。また、コア部111Aは、直線状であっても途中で湾曲、分岐等してもよく、目的とする用途に応じてその形状を適宜変更することができる。
また、コア層11a中のコア部111Aは、クラッド部111Bよりも高い屈折率を有する。このようなコア部111Aとクラッド部111Bとの屈折率差としては特に限定されないが、0.3〜5.5%であることが好ましく、0.8〜2.2%であることがより好ましい。前記屈折率差が前記下限未満ではコア部により光を伝達する効果が低下する傾向にある。なお、本発明において「屈折率差」としては、クラッド部111Bの屈折率をnとし、コア部111Aの屈折率をnとしたときに下記式:
屈折率差(%)={(n/n)−1}×100
を計算して求められる値を採用する。
クラッド層11bは、樹脂成分として第2樹脂を含有する層である。このような第2樹脂としては、特に制限されず、光導波路中のクラッド層を形成させるために用いることが可能な公知のポリマーを適宜用いることができ、例えば、環状オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂等のポリマーや、これらのポリマーの1種又は2種以上を組み合わせたポリマーアロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体、架橋体等が好適なものとして挙げられる。なお、このような第2樹脂を含有するクラッド層11bを備える光導波路において、コア部111Aを導光路として十分に機能させるためには、クラッド層11bの屈折率をコア部111Aの屈折率よりも低くする必要がある。そのため、クラッド層11b中の第2樹脂としては、コア層11aBを形成する材料よりも屈折率が低い樹脂を選択して用いることが好ましい。また、クラッド層11b中の第2樹脂としては、クラッド層11bとコア層11aとの密着性を向上するという観点からは、コア層11a中の第1樹脂と同種類の樹脂(例えば、コア層中の樹脂がアクリル系の樹脂である場合にはクラッド層中の樹脂もアクリル系の樹脂である場合が相当し、コア層中の樹脂がエポキシ系の樹脂の場合にはクラッド層中の樹脂もエポキシ系の樹脂である場合が相当する。)を用いることが好ましい。
さらに、前記第2樹脂としては、可撓性、耐熱性、耐湿性の観点から、ノルボルネン系ポリマーであることが好ましい。また、クラッド層11b中の第2樹脂は、後述するクラッド形成用ワニス中のクラッド層用ポリマーに由来して形成される樹脂(例えば、クラッド層用ポリマーそのもの、クラッド層用ポリマーどうしの反応物、クラッド層用ポリマーとクラッド形成用ワニス中のモノマーや架橋剤等とが反応して形成される樹脂等)であることが好ましい。
なお、クラッド層11b中には前記第2樹脂以外の他の成分を含有していてもよく、このような他の成分としては、例えば、後述するクラッド層形成用ワニス中の各成分又はその成分に由来して生成される成分のうちの第2樹脂以外の成分が挙げられる。
また、クラッド層11bの平均厚さとしては特に限定されないが、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、10〜60μmであることが更に好ましい。また、このようなクラッド層11bの平均厚さは、コア層11aの平均厚さの0.1〜1.5倍であることが好ましく、0.3〜1.25倍であることがより好ましい。クラッド層11bの平均厚さを前記範囲となるようにすることにより、光導波路11が不要に大型化(厚膜化)することを防止しつつ、クラッド層11bとしての機能がより十分に発揮される傾向にある。
また、このようなクラッド層11bとコア部111Aとの屈折率差としては、クラッド層11bの屈折率がコア部111Aの屈折率よりも低ければよく特に限定されないが、0.2〜20%であることが好ましく、0.5〜10%であることがより好ましい。前記屈折率差が前記下限未満ではコア部により光を伝達する効果が低下する傾向にある。
次に、このような図5に示すような光導波路を製造するための方法として好適に採用することが可能な方法について説明する。このような光導波路を製造するための方法としては、特に制限されず、上述のような光導波路を製造することが可能な公知の方法を適宜採用することができる。このような方法としては、例えば、コア層形成用ワニスによりフィルム状のコア層を形成すると共に、クラッド層形成用ワニスによりフィルム状のクラッド層を形成し、これらを積層せしめる方法(I)や、基材上にクラッド層形成用ワニスを塗布してクラッド層を形成した後、前記クラッド層の表面にコア層形成用ワニスを塗布し、コア層を形成せしめる方法(II)等が挙げられる。以下、このような光導波路を製造するための方法として好適な、方法(I)について説明する。
先ず、フィルム状のコア層を形成する方法について説明する。このようなフィルム状のコア層を形成する方法としては、例えば、基材上にコア層形成用ワニスを塗布して塗膜(コア層前駆体)を得た後に、前記コア層前駆体に対して、開口部を有するマスクを介して選択的に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線の照射領域に屈折率の低いクラッド部111Bを形成すると共に活性エネルギー線の未照射領域に屈折率の高いコア部111Aを形成してコア層を形成する方法を採用してもよい。
このような基材は、コア層前駆体を支持することが可能なものであればよく特に制限されず、フィルム材料を形成する際に用いることが可能な公知の基材を適宜用いることができ、例えば、シリコン基板、二酸化ケイ素基板、ガラス基板、石英基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が挙げられる。
このようなコア層形成用ワニスとしては、活性エネルギー線の照射により屈折率が変化する材料を含有するものであればよく特に制限されず、マスクを介した活性エネルギー線の照射により、コア部111A及びクラッド部111Bを形成させることが可能な公知の材料を含有するものを適宜用いることができる。
また、このようなコア層形成用ワニスは、酸発生剤と、コア層用ポリマーとを含有することが好ましい。このようなコア層形成用ワニスに含有させる前記酸発生剤としては、例えば、光酸発生剤、熱酸発生剤等が挙げられる。このような酸発生剤の中でも、活性エネルギー線の照射により、効率よく酸を放出させることができるという観点からは、光酸発生剤がより好ましい。
このような光酸発生剤としては、例えば、トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム−トリフルオロメタンスルホネート、ジメチル(2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル)スルホニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのスルホニウム塩類、p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアゾニウム塩類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(トリキュミル)ヨードニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのヨードニウム塩類、キノンジアジド類、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンなどのジアゾメタン類、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、N−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンサルホネートなどのスルホン酸エステル類、ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類、トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン類等が挙げられる。
また、このような光酸発生剤としては、市販の光酸発生剤を用いてもよい。このような光酸発生剤の市販品としては、例えば、Rhodia USA社から入手可能な「RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074(CAS番号第178233−72−2番)」、東洋インキ製造株式会社から入手可能な「TAG−372R((ジメチル(2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル)スルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート:CAS番号第193957−54−9番))、みどり化学株式会社から入手可能な「MPI−103(CAS番号第87709−41−9番)」、東洋インキ製造株式会社から入手可能な「TAG−371(CAS番号第193957−53−8番)」、東洋合成工業株式会社から入手可能な「TTBPS−TPFPB(トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルフォニウムテトラキス(ペンタペンタフルオロフェニル)ボレート)」が挙げられる。なお、このような光酸発生剤としてRHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074を用いる場合、紫外光の照射手段として、高圧水銀ランプ又はメタルハライドランプを用いることが好ましい。これにより300nm未満の十分なエネルギーの紫外光を供給することができ、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074を効率よく分解して酸を発生させることが可能となる。
また、前記熱酸発生剤としては、例えば、2−ニトロベンジルトシレート等のニトロベンジルトシレート類、ベンジルアニリニウムスルホネート類、ビススルホニルジアゾメタン類、アリールスルフィン酸類、2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートや3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートなどヘキサフルオロアンチモネート類、トリフルオロメタンスルホネート類、トルフルオロ酢酸エステルなどのトリハロ酢酸等を例示できる。
また、前記コア層用ポリマーとしては、保管時の化学的安定性と使用時の反応性との両立をより確実に図ることができるという観点から、前記酸発生剤が放出する酸によって主鎖から離脱する離脱性基(離脱性ぺンダントグループ)を含有する側鎖を有するポリマーを用いることが好ましい。また、このような離脱性基を含有する側鎖を有するポリマーとしては、透明性が十分に高く(無色透明であり)、且つ、酸発生剤が放出する酸(好ましくはプロトン)の作用により離脱性基が側鎖から離脱(切断)して、その屈折率が変化(好ましくは低下)するポリマーが好ましい。
このような離脱性基としては、酸発生剤が放出する酸により比較的容易に離脱するという観点から、その分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造及び−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが好ましい。このような離脱性基の中でも、離脱によりポリマーの屈折率を低下させることが可能であるという観点から、−Si−ジフェニル構造(式:−Si(Ph)[式中、Phはフェニル基を示す]で表される構造)及び−O−Si−ジフェニル構造(式:−O−Si(Ph)[式中、Phはフェニル基を示す]で表される構造)のうちの少なくとも一方の構造を含む基が好ましい。
また、前記離脱性基を含有する側鎖としては、前記離脱性基を含有するものであればよく特に制限されないが、例えば、式:−(CH−CH(CF−O−Si(R;−(CH−CH(CF−O−CH−O−CH;−(CH−CH(CF−O−C(O)−O−C(R;−(CH−C(CF−OH;−(CHC(O)NH;−(CHC(O)Cl;−(CHC(O)OR;−(CH)n−OR;−(CH−OC(O)R;−(CH−C(O)R;−(CH−OC(O)OR;−(CHSi(R;−(CHSi(OR;−(CH−O−Si(R;−(CHC(O)OR;で表される基などが挙げられる。なお、このような式中のnはそれぞれ0〜10の整数であることが好ましく、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素、直鎖又は分岐のC−C20のアルキル基、直鎖又は分岐のC−C20のハロゲン化又はパーハロゲン化アルキル基、直鎖又は分岐のC−C10アルケニル基、直鎖又は分岐のC−C10アルキニル基、C−C12のシクロアルキル基、C−C14のアリール基、C−C14のハロゲン化又はパーハロゲン化アリール基及びC−C24のアラルキル基のうちのいずれかであることが好ましく、Rは、式:−C(CH;−Si(CH;CH(R)OCHCH;−CH(R)OC(CH;で表される基や環状基のうちのいずれかであることが好ましい。なお、式中:Rは水素原子または直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示す。
また、このような離脱性基を含有する側鎖としては、酸により脱離性基をより効率よく脱離させることが可能となるという観点から、式:−(CH−O−Si(R又は式:−(CH−Si(Rで表される基であることがより好ましい。なお、このような式中のn及びRは前記したものと同義である。また、このような式で表される側鎖の中でも、式中のRのうちの少なくとも2つがフェニル基であることが更に好ましい。なお、このような脱離性基を含有する側鎖を有するポリマーは、ポリマー中に前記脱離性基を含有する側鎖を有する繰り返し単位を少なくとも1種含有していればよく、前記脱離性基を含有する側鎖を有する繰り返し単位の2種以上を含有していているものであってもよい。
また、このようなコア層用ポリマーとしては、例えば、前記脱離性基を含有する側鎖を有する、ノルボルネン系樹脂やベンゾシクロブテン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体等)用いることができる。また、前記コア層用ポリマーとしては、ポリシラン(例:ポリメチルフェニルシラン)、ポリシラザン(例:ペルヒドロポリシラザン)等のシラン系樹脂を用いてもよい。
また、このようなコア層用ポリマーとしては、前記脱離性基を含有する側鎖を有するノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系ポリマー)を主として含有することが好ましい。このように、コア層用ポリマーとして前記脱離性基を含有する側鎖を有するノルボルネン系ポリマーを用いることにより、優れた光伝送性能や耐熱性を有する光導波路を得ることが可能となる。また、このようなノルボルネン系ポリマーにより、吸水による寸法変化等を生じ難い光導波路を得ることが可能となる。
さらに、このようなノルボルネン系ポリマーとしては、単独の繰り返し単位を有するもの(ホモポリマー)、2つ以上のノルボルネン系繰り返し単位を有するもの(コポリマー)のいずれであってもよい。このようなノルボルネン系ポリマーとしては、例えば、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のような付加重合体、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、又は他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げられる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。
また、このようなノルボルネン系ポリマーとしては、前記離脱性基を有する側鎖を有するノルボルネンの繰り返し単位を有するものであればよいが、後述のクラッド層用ポリマーよりも相対的に屈折率が高いノルボルネン系ポリマーを用いることが好ましい。このように、クラッド層用ポリマーよりも相対的に屈折率が高いノルボルネン系ポリマーを用いることにより、コア部を形成した際に、コア部がより優れた光伝送性能を有するものとなる傾向にある。
また、このようなノルボルネン系ポリマーにおいては、前記離脱性基を有する側鎖を有するノルボルネンの繰り返し単位の他に、アルキル基を側鎖に有するノルボルネン(アルキルノルボルネン)の繰り返し単位を含有することが好ましい。
このようなアルキルノルボルネンの繰り返し単位中の側鎖のアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよく、また、置換基を有していてもよい。このようなアルキル基としては特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。また、前記アルキル基が有していてもよい置換基としては特に制限されないが、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
このようなアルキルノルボルネンの繰り返し単位中の側鎖のアルキル基の炭素数は特に制限されないが1〜20(より好ましくは3〜12)であることがより好ましい。このような炭素数が前記下限未満では、ポリマーから可撓性が損なわれ、柔軟性を要求される用途への適用が困難になる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリマーの耐熱性が低下する傾向にある。
また、このような離脱性基を有するノルボルネン系ポリマーとしては、下記一般式(1):
[式中、Rはアルキル基を表し、Zは前記離脱性基を含有する側鎖を示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ70以下の整数を示す。]
で表される構造を有するノルボルネン系ポリマーがより好ましい。このようなRで表されるアルキル基は、前述のアルキルノルボルネンの繰り返し単位中の側鎖のアルキル基と同様のものである。
また、このようなノルボルネン系ポリマーは、その設計に応じて公知のノルボルネン系のモノマーから適宜モノマーを選択して用いて、開環メタセシス重合(ROMP)、ROMPと水素化反応との組み合わせ、ラジカル又はカチオンによる重合、カチオン性パラジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金属の重合開始剤)を用いた重合等の公知の重合方法を採用して製造することができる。
さらに、前記コア層用ポリマーに主としてノルボルネン系ポリマーを用いる場合において、コア層用ポリマー中のノルボルネン系ポリマーの含有比率は80〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがより好ましい。このような含有比率が前記下限未満では、ノルボルネン系ポリマーを用いることにより得られる効果が十分に得られなくなる傾向にある。
また、このようなコア層形成用ワニスにおいては、前記酸発生剤及び前記コア層用ポリマーの他に、モノマー、プロカタリスト、増感剤、酸化防止剤を更に含有させることが好ましい。
このようなモノマーとしては、前記コア層用ポリマーをマトリックスとして、活性エネルギー線の照射により反応して反応物を形成するような化合物が好ましい。このようなモノマーに由来する反応物としては、モノマーがコア層用ポリマー(マトリックス)中で重合して形成されたポリマー(重合体)、コア層用ポリマー同士を架橋する架橋構造、コア層用ポリマーに重合してクラッド層用ポリマーから分岐した分岐構造(ブランチポリマーや側鎖)等が挙げられる。
また、このようなモノマーとしては光導波路の形成に用いることが可能なものであればよく特に限定されないが、例えば、ノルボルネン系モノマー、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、エポキシ系モノマー、スチレン系モノマー等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、モノマーとしては、耐熱性及び柔軟性に優れる光導波路が得られるという観点から、ノルボルネン系モノマーを用いるのが好ましい。
このようなノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環に置換基が結合したものであってもよい。このような置換基としては特に制限されるものではないが、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基、直鎖状又は分岐鎖状のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のシクロアルケニル基、直鎖状又は分岐鎖状のアリール基、直鎖状又は分岐鎖状のアラルキル基であり、直鎖状又は分岐鎖状のアルキリデニル基、ハイドロカルビル基、ハロハイドロカルビル基、パーハロハイドロカルビル基等が挙げられる。このようなノルボルネン系モノマーとしては、例えば、プロピルノルボルネン、ヘキシルノルボルネン等を挙げられる。
また、このようなノルボルネン系モノマーは、複数のノルボルネン環が有機基を介して結合したものであってもよい。このような有機基としては、特に制限されないが、例えば下記式:−(CH−;−(CH−O−(CH−;−Ar−;又は;−(CH−O−Si(X)−O−(CH−[式中、nは1〜10の整数を示し、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素を示し、Xは、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよい芳香族炭化水素のうちのいずれかを示す。]で表される基が挙げられる。なお、このような有機基を介して結合した複数のノルボルネン環は、それぞれ上記置換基を有していてもよい。また、このようなノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビス−ノルボルネンメトキシジメチルシラン、ビス−ノルボルネンメトキシジエチルシラン、ビス−ノルボルネンメトキシジフェニルシラン等が挙げられる。なお、このようなモノマーとしては、国際公開第2005/052641号パンフレットに記載されているモノマーを用いることができる。
また、前記プロカタリストは、前記モノマーの反応(重合反応、架橋反応等)を開始させ得る物質であり、活性エネルギー線の照射により活性化した酸発生剤の作用により、活性化温度が変化する物質である。このようなプロカタリスト(触媒前駆体ともいう)としては、活性エネルギー線の照射に伴って活性化温度が変化(上昇又は低下)するものであればよく、特に制限されないが、活性エネルギー線の照射に伴って活性化温度が低下するものがより好ましい。このようなプロカタリストによって、光導波路の調製時に他の層に不要な熱が加わるような加熱を施す必要がなくなり、調製時の加熱処理により光導波路の特性(光伝送性能)が低下することを十分に防止できる。
このようなプロカタリストとしては、下記一般式(Ia)及び(Ib)で表わされる化合物の少なくとも一方を含む(主とする)ものが好適に用いられる。
(E(R)Pd(Q) ・・・(Ia)
[(E(R)Pd(Q)(LB)[WCA] ・・・(Ib)
前記一般式(Ia)及び(Ib)において、それぞれ、E(R)は、第15族の中性電子ドナー配位子を表し、Eは、周期律表の第15族から選択される元素を表し、Rは、水素原子(又はその同位体の1つ)又は炭化水素基を含む部位を表し、Qは、カルボキシレート、チオカルボキシレート及びジチオカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン配位子を表す。また、一般式(Ib)において、LBは、ルイス塩基を表し、WCAは、弱配位アニオンを表し、aは1〜3の整数を表し、bは0〜2の整数を表し、aとbとの合計は1〜3であり、p及びrは、パラジウムカチオンと弱配位アニオンとの電荷のバランスをとる数を表す。
前記一般式(Ia)に従う典型的なプロカタリストとしては、Pd(OAc)(P(i−Pr)、Pd(OAc)(P(Cy)、Pd(OCCMe(P(Cy)、Pd(OAc)(P(Cp)、Pd(OCCF(P(Cy)、Pd(OCC(P(Cy)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ここで、Cpはシクロペンチル(cyclopentyl)基を表し、Cyはシクロヘキシル基を表す。
また、前記一般式(Ib)で表されるプロカタリストとしては、p及びrが、それぞれ1及び2の整数うちのいずれかである化合物が好ましい。前記一般式(Ib)に従う典型的なプロカタリストとしては、Pd(OAc)(P(Cy)が挙げられる。ここで、Cyはシクロヘキシル基を表し、Acはアセチル基を表す。
また、前記増感剤は、活性エネルギー線に対する酸発生剤の感度を増大して、その活性化(反応又は分解)に要する時間やエネルギーを減少させる機能や、その活性化に適する波長に紫外光の波長を変化させる機能を有するものである。このような増感剤としては、特に限定されないが、例えば、9,10−ジブトキシアントラセン(CAS番号第76275−14−4番)のようなアントラセン類、キサントン類、アントラキノン類、フェナントレン類、クリセン類、ベンツピレン類、フルオラセン類(fluoranthenes)、ルブレン類、ピレン類、インダンスリーン類、チオキサンテン−9−オン類(thioxanthen−9−ones)が挙げられる。増感剤の具体例としては、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、フェノチアジン(phenothiazine)が挙げられる。これらの増感剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、9,10−ジブトキシアントラセン(DBA)は、川崎化成工業株式会社から入手が可能である。
さらに、前記酸化防止剤はフリーラジカルの発生やポリマーの自然酸化を防止して得られた光導波路の特性の向上を図ることができるものである。このような酸化防止剤としては、Ciba Specialty Chemicals社から入手可能なCiba(登録商標)IRGANOX(登録商標)1076及びCiba IRGAFOS(登録商標)168が好適に用いられる。また、他の酸化防止剤として、例えば、Ciba Irganox(登録商標)129、Ciba Irganox 1330、Ciba Irganox 1010、Ciba Cyanox(登録商標)1790、Ciba Irganox(登録商標)3114、Ciba Irganox 3125を用いることもできる。
また、前記コア層形成用ワニスには、形成させるコア層の効果を損なわない範囲で、コア層を形成させる際に用いることが可能な公知の他の添加剤(例えば、架橋剤、消泡剤、密着助剤等)を適宜含有させてもよい。
また、このようなコア層形成用ワニスの製造方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、溶媒中にコア層形成用ワニスの材料(酸発生剤、コア層用ポリマー、モノマー、プロカタリスト、増感剤、酸化防止剤等)を溶解してコア層形成用ワニスを製造する方法が挙げられる。このような溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、このようなコア層形成用ワニス中の酸発生剤の含有量としては特に制限されないが0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。このような酸発生剤の含有量が前記下限未満では、十分に酸が発生せず、効率よく反応を進行させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると導波路としての光の損失が増加する傾向にある。
また、前記コア層形成用ワニス中のコア層用ポリマーの含有比率としては特に制限されないが、70〜95質量%であることが好ましく、75〜85質量%であることがより好ましい。コア層用ポリマーの含有比率が前記下限未満では、屈折率を十分に変調させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとワニスの粘度上昇が著しく、ろ過が困難となる傾向にある。
さらに、前記コア層形成用ワニスの粘度(常温)は特に制限されず、後述する塗布法及び所望の膜厚に応じて適宜調整することができる。このようなコア層形成用ワニスの粘度(常温)としては100〜10000cPであることが好ましく、150〜5000cPであることがより好ましく、200〜3500cPであることが更に好ましい。
コア層形成用ワニスを基材上に塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、ドクターブレード法、スピンコート法、ディッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコート法等の方法が挙げられる。このようにして、基材上にコア層形成用ワニスを塗布することでコア層前駆体を形成することができる。
また、コア層前駆体を形成する工程においては、基材上にコア層形成用ワニスを塗布した後に、少なくとも一部の溶媒を除去し、乾燥せしめることが好ましい。このような溶媒を除去する工程(溶媒除去工程)としては、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、自然乾燥、加熱する方法、減圧下において放置する方法、不活性ガスを吹付ける(ブロー)方法、乾燥機を用いて溶媒を蒸発させる方法が挙げられる。
また、このようにして得られるコア層前駆体に照射する活性エネルギー線の種類としては、例えば紫外線、電子線、X線、レーザー等を挙げることができる。また、このような活性エネルギー線として紫外光を採用する場合、前記紫外光が200〜400nmにピーク波長を有することが好ましく、300〜400nmにピーク波長を有することがより好ましい。このような紫外光のピーク波長が前記下限未満では紫外光の照射時間が長くなり生産性に乏しくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、可視光領域で感光してしまうため、化学的安定性に乏しくなる傾向にある。更に、このような紫外光の照射量としては100〜9000mJ/cmであることが好ましく、200〜6000mJ/cmであることがより好ましい。前記紫外光の照射量が前記下限未満では光伝送性能が十分に高いコア部111Aを形成することが困難になる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとコア層中において化学的劣化が進行してしまう傾向にある。また、このような紫外光を照射するための光源としては特に制限されず、公知の光源(例えば高圧水銀ランプなど)を適宜用いることができる。
このようなコア部111Aを形成するために活性エネルギー線を照射する際に用いるマスク(マスキング)としては、形成させるクラッド部111Bの形状(パターン)と等価な開口部(窓)が形成され且つ開口部以外の部分において紫外光を遮光できるものを用いる。このようなマスクを用いることで、開口部から活性エネルギー線を透過させつつ、開口部(透過部)以外の部分で活性エネルギー線を遮光して、開口部の形状に由来したクラッド部111Bを製造することが可能となる。また、このようなコア部111A形成用のマスクは、予め形成(別途形成)されたもの(例えばプレート状のもの)を用いてもよく、あるいは、コア層前駆体上に例えば気相成膜法や塗布法により形成されたものを用いてもよい。
このようなコア部111A形成用のマスクとしては、例えば、石英ガラスやPET基材等で作製されたフォトマスク、ステンシルマスク、気相成膜法(蒸着、スパッタリング等)により形成された金属薄膜等を適宜用いることができる。また、このようなマスクの中でも、微細なパターンを精度良く形成できるとともにハンドリングがよく生産性が向上するという観点から、フォトマスクやステンシルマスクを用いることが特に好ましい。なお、このようなマスクの構成材料としては特に制限されず、照射する活性エネルギー線のピーク波長により公知の材料の中から適宜選択すればよい。
ここで、活性エネルギー線の照射により、コア層前駆体に屈折率の異なる部位が形成される理由としては、例えば、活性エネルギー線が照射された部分において酸発生剤に由来する酸が発生し且つコア層用ポリマーがその酸の作用により解裂あるいは架橋等して化学構造に変化が生じるものである場合には、コア層用ポリマーの化学構造の変化に伴って活性エネルギー線が照射された部分の屈折率が変化することが挙げられる。このような場合には、活性エネルギー線が照射された部分と、未照射の部分とでコア層前駆体を構成する樹脂の化学構造が異なることとなり、屈折率が異なる部位が形成される。また、コア層形成用ワニス中に酸発生剤に由来する酸の作用により構造等が変化するモノマーが含まれている場合も、活性エネルギー線が照射された部分と、未照射の部分とでコア層前駆体を構成する樹脂の化学構造に違いが生じ、それによって屈折率が異なる部位が形成される。
次いで、必要に応じて、フィルム状のコア層11aに対して加熱処理を施してもよい。このような加熱処理により、ポリマーから離脱(切断)された離脱性基が、例えば、照射領域から除去され、あるいはポリマー内において再配列または架橋する。したがって、このような加熱処理を施すことにより、コア部111Aとクラッド部111Bとの間の屈折率差をより大きくすることができる。このような加熱処理における加熱温度は、特に限定されないが、70〜195℃程度であることが好ましく、85〜150℃程度であることがより好ましい。また、加熱時間は、照射領域から離脱(切断)された離脱性基を十分に除去し得るように設定すればよく、特に限定されないが、0.5〜3時間程度であることが好ましく、0.5〜2時間程度であることがより好ましい。
このようにして基材上にコア層形成用ワニスを用いてコア層前駆体を形成した後に、活性エネルギー線を選択的に照射することで、基材上にコア層11aが形成される。また、このようにして形成されたフィルム状のコア層11aは、基材から剥離して使用することができる。更に、このようにして形成されたコア層11aにおいては、コア部111Aとクラッド部111Bとの形成工程において、活性エネルギー線の照射時にクラッド部111B中に存在するモノマーが反応に利用され、クラッド部111B中のモノマー濃度が低くなることから、コア部111A中のモノマーがクラッド部111Bに向かって移動する傾向にある。そのため、コア部111Aの長手方向の中心からクラッド部111Bに向かって組成が連続的に変化し、コア部111Aの内部において硬度の差が形成される。なお、上述のようなコア層形成用ワニスを用いて得られた光導波路にミラー面を形成する場合においても、本発明によれば、前記コア部のレーザービームが照射されるべき面の長手方向の略中心軸から該面の幅方向に離れるほど前記レーザービームの照射時間が短くなるように前記レーザービームを照射するため、ミラー面をより平滑なものとすることが可能である。
次に、クラッド層形成用ワニスによりフィルム状のクラッド層を形成する方法について説明する。このようなクラッド層形成用ワニスを用いてクラッド層を形成させる方法としては、特に制限されないが、例えば、基材上にクラッド層形成用ワニスを用いてフィルム状のクラッド層を形成する方法を採用してもよい。なお、このような基材としては、コア層を形成する際に用いることができる基材と同様のものを用いることができる。
このようなクラッド層形成用ワニスとしては、クラッド層用ポリマーを含有するものが好ましい。このようなクラッド層用ポリマーとしては、クラッド層を形成させる際にクラッド層用ポリマーに由来して得られる第2樹脂の屈折率がコア部の屈折率よりも低くなるような樹脂を選択して用いればよく、特に限定されず、例えば、環状オレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂やベンゾシクロブテン系樹脂等を含む)、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体等)用いてもよい。これらの中でも、ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系ポリマー)を主として含有するものが好ましい。また、このようなノルボルネン系ポリマーとしては特に制限されず、クラッド層を形成する際に用いることが可能な公知のノルボルネン系ポリマーを適宜用いることができる。
このようなノルボルネン系ポリマーは耐熱性と密着性とのバランスに優れる傾向にあるため、これをクラッド層11bの構成材料として使用した場合には、光導波路に導体層等を形成する場合等に加熱してもクラッド層11bが軟化して変形することが十分に防止される傾向にある。また、このようなノルボルネン系ポリマーは、高い疎水性を有するためクラッド層11bの吸水による寸法変化等が生じ難くなる傾向にある。更に、このようなノルボルネン系ポリマーは、その原料であるノルボルネン系モノマーが比較的安価で入手が容易であることからも好ましい。
また、前記クラッド層形成用ワニスにおいてクラッド層用ポリマーに主としてノルボルネン系ポリマーを含有させることで、曲げ等の変形に対する耐性に優れ、繰り返し湾曲変形した場合でも、クラッド層11bとコア層11aとの層間剥離が生じ難く、しかもクラッド層11bの内部にマイクロクラックが発生することが十分に防止される傾向にある。また、コア層11aにもノルボルネン系ポリマーを用いた場合には、クラッド層11bとコア層11aとの密着性がより高度なものとなり、クラッド層11bとコア層11aとの間における層間剥離をより十分に防止できる傾向にある。このようにノルボルネン系ポリマーを用いることによって、光導波路の光伝送性能を十分に維持しつつ耐久性に優れた光導波路を得ることが可能となる。
このようなノルボルネン系ポリマーとしては、例えば、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のような付加重合体、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げられる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。また、このようなノルボルネン系ポリマーの中でも、耐熱性及び可撓性がより十分なものとなるという観点から、付加(共)重合体がより好ましい。
また、このようなノルボルネン系ポリマーは、その設計に応じて公知のノルボルネン系のモノマーからモノマーを適宜選択して用いて、開環メタセシス重合(ROMP)、ROMPと水素化反応との組み合わせ、ラジカル又はカチオンによる重合、カチオン性パラジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金属の重合開始剤)を用いた重合等の公知の重合方法を採用して製造することができる。
また、このようなノルボルネン系ポリマーとしては、例えば、ブチルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、ブチルノルボルネンとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー、デシルノルボルネンとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー、ブチルノルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、デシルノルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、ブチルノルボルネンとトリエトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとトリエトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとトリエトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ブチルノルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ブチルノルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルと、ノルボルネニルエチルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルノルボルネンまたはトリメトキシシリルノルボルネンのいずれかとのターポリマー、ブチルノルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルと、メチルグリシジルエーテルノルボルネンとのターポリマー、ブチルノルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、メチルグリシジルエーテルノルボルネン、ノルボルネニルエチルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルノルボルネンまたはトリメトキシシリルノルボルネンのいずれかとのターポリマー、ブチルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、デシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、ブチルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー等が挙げられる。
更に、このようなノルボルネン系ポリマーとしては、重合性基を含有する側鎖を有するノルボルネンの繰り返し単位、アリール基を含有する側鎖を有するノルボンネンの繰り返し単位、及び、アルキル基を側鎖に有するノルボンネン(アルキルノルボルネン)の繰り返し単位のうちの少なくとも1種を含むものが好ましく、重合性基を含有する側鎖を有するノルボルネンの繰り返し単位を少なくとも1種含有するものがより好ましい。
このような重合性基を含有する側鎖を有するノルボルネンの繰り返し単位を含む場合には、クラッド層11b中においてノルボルネン系ポリマー同士をその重合性基により直接または架橋剤を介して架橋させることや、コア層11aに用いるポリマーの種類等によってはコア層11aに用いるポリマーとノルボルネン系ポリマーとを架橋させること等が可能となり、クラッド層11b自体の強度やクラッド層11bとコア層11aとの密着性の更なる向上を図ることが可能となる。また、このような側鎖の重合性基としては、反応性の観点から、エポキシ基、(メタ)アクリル基、および、アルコキシシリル基のうちの少なくとも1種が好ましい。なお、前記ノルボルネン系ポリマーにおいては重合性基を側鎖に有するノルボルネンの繰り返し単位に関して、1種の繰り返し単位のみを含むものであってもよく、あるいは、それぞれ異なる重合性基を有する2種以上の繰り返し単位を含むものであってもよく、中でも、架橋密度をより向上させることができ、前記効果がより顕著となることから、それぞれ異なる重合性基を有する2種以上のノルボルネンの繰り返し単位を含むことが好ましい。
また、前記ノルボルネン系ポリマーがアリール基を含む側鎖を有するノルボンネンの繰り返し単位を含む場合には、アリール基は極めて高い疎水性を有するため、吸水によるクラッド層11bの寸法変化等を防止できる傾向にある。また、アリール基は脂溶性(親油性)に優れるため、コア層11aに用いられるポリマーとの親和性を向上させることができ、これによりクラッド層11bとコア層11aとの間での層間剥離を防止することが可能となり、より耐久性に優れた光導波路を得ることが可能となる。
さらに、前記ノルボルネン系ポリマーがアルキルノルボルネンの繰り返し単位を含む場合には、600〜1550nm程度の波長領域(特に、850nm付近の波長領域)の光に対する透過率が優れる傾向にあるとともに、ノルボルネン系ポリマーの柔軟性が高くなってクラッド層11bにより高いフレキシビリティ(可撓性)を付与できる傾向にある。なお、このようなアルキルノルボルネンの繰り返し単位中の側鎖のアルキル基は、コア層用ポリマーにおいて説明したアルキルノルボルネン中のアルキル基と同様のものである。また、このようなアルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、比較的屈折率の高いアリール基を含む側鎖を有するノルボンネンの繰り返し単位を更に含む場合においてもクラッド層の屈折率の上昇を防止することが可能となる。
また、このようなノルボルネン系ポリマーの中でも、アルキル基を側鎖に有するノルボルネンの繰り返し単位(アルキルノルボルネンの繰り返し単位)と、重合性基を含有する側鎖を有するノルボルネンの繰り返し単位とを含有するものがより好ましく、中でも、アルキルノルボルネンの繰り返し単位とエポキシ基を含有する側鎖を有するノルボルネンの繰り返し単位とを含有する下記一般式(2):
[式中、Rはアルキル基を表し、aは0〜3の整数を表し、bは1〜3の整数を表し、p及びqは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ20以下の整数を示す。]
で表される構造を有するノルボルネン系ポリマーがより好ましい。なお、式中、Rで表されるアルキル基は前記アルキルノルボルネンの繰り返し単位中の側鎖のアルキル基と同様のものである。
このような一般式(2)で表される繰り返し単位を有するノルボルネン系ポリマーの中でも、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、aおよびbがそれぞれ1である化合物(例えば、ブチルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー)がより好ましい。
また、クラッド層用ポリマーに主としてノルボルネン系ポリマーを用いる場合において、クラッド層用ポリマー中のノルボルネン系ポリマーの含有比率は80〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがより好ましい。このような含有比率が前記下限未満では、ノルボルネン系ポリマーを用いることにより得られる効果が十分に得られなくなる傾向にある。
また、前記クラッド層形成用ワニスにおいては、前記クラッド層用ポリマーの他に、必要に応じて、酸発生剤、酸中和剤、モノマー、プロカタリスト、増感剤、酸化防止剤を更に含有させてもよい。このような酸発生剤、モノマー、プロカタリスト、増感剤、酸化防止剤は、コア層形成用ワニスにおいて説明したものと同様である。また、前記クラッド層形成用ワニスには、形成させるクラッド層の効果を損なわない範囲で、クラッド層を形成させる際に用いることが可能な公知の他の添加剤(例えば、架橋剤、消泡剤、密着助剤等)を適宜含有させてもよい。また、このような酸中和剤としては特に制限されず、前記酸発生剤により発生した酸を中和することが可能なものを用いればよい。このような酸中和剤としては、例えば、アミン系の化合物が挙げられる。
また、このようなクラッド層形成用ワニスの製造方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、コア層用ポリマーの代わりにクラッド層用ポリマーを用いる以外は前述のコア層形成用ワニスの製造方法と基本的に同様の方法を採用することができる。
また、前記クラッド層形成用ワニス中のクラッド層用ポリマーの含有比率としては特に制限されないが、5〜40質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。前記クラッド層用ポリマーの含有比率が前記下限未満では、粘度が低すぎるために所望の厚みのクラッド層を形成することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粘度が高すぎて塗布時に泡を巻き込み易くなり製造効率が低下する傾向にある。
また、前記クラッド層形成用ワニス中に酸発生剤を含有させる場合には、酸発生剤の含有比率は、0.01〜10質量%とすることが好ましく、0.1〜5質量%とすることがより好ましい。このような酸発生剤の含有比率が前記下限未満では、酸発生剤を含有させることにより得られる効果が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、完全に中和することが難しくなる傾向にある。
また、前記クラッド層形成用ワニス中に酸中和剤を含有させる場合には、前記酸中和剤の含有量はクラッド層用ポリマー100質量部に対して0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることが特に好ましい。このような酸中和剤の含有量が前記下限未満では、光導波路中に存在する酸を十分に中和することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フィルム材料としての強靭性、耐熱性が低下する傾向にある。
さらに、前記クラッド層形成用ワニスの粘度(常温)は特に制限されず、塗布法や所望の膜厚に応じて適宜調整することができる。このようなクラッド層形成用ワニスの粘度(常温)としては100〜10000cPであることが好ましく、150〜5000cPであることがより好ましく、200〜3500cPであることが更に好ましい。
前記基材上にクラッド層形成用ワニスを塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、ドクターブレード法、スピンコート法、ディッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコート法等の方法が挙げられる。
このようにしてクラッド層形成用ワニスを塗布することで、クラッド層を得ることができる。また、このようなクラッド層形成用ワニスを塗布することで形成される塗膜(クラッド層)の厚みとしては、光導波路の設計に応じて適宜変更できるものであり、特に限定されないが、乾燥前の状態で5〜200μm程度、好ましくは15〜125μm程度とすればよい。
また、このようなフィルム状のクラッド層の形成工程においては、クラッド層形成用ワニスを塗布した後に、少なくとも一部の溶媒を除去することが好ましい。このような溶媒を除去する工程(溶媒除去工程)としては、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、自然乾燥、加熱する方法、減圧下において放置する方法、不活性ガスを吹付ける(ブロー)方法、乾燥機を用いて溶媒を蒸発させる方法が挙げられる。また、このようにして得られたフィルム状のクラッド層は基材から剥離して用いてもよく、あるいは基材に積層させた状態で用いてもよい。
次いで、フィルム状のコア層とフィルム状のクラッド層とを積層する方法について説明する。このようなフィルム状のコア層とフィルム状のクラッド層とを積層する方法は特に制限されず、これらの層を積層させることが可能な公知の方法を適宜採用することができ、例えば、ラミネーターを用いてフィルム状のコア層の一方の面にフィルム状のクラッド層を積層する方法を採用してもよい。このようにしてコア層の一方の面にクラッド層を積層することにより光導波路11を得ることができる。なお、このような光導波路11の製造工程においては、前記積層工程後に加熱処理を施してもよい。このような加熱処理の条件は、特に制限されないが、100〜200℃(より好ましくは150〜180℃)の温度条件で0.5〜1.5時間程度加熱することがより好ましい。このような加熱工程の温度及び時間が前記下限未満ではクラッド層の硬化が十分に進行しなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、コア層の化学的劣化が進行する傾向にある。
以上、本発明のミラー付き光導波路の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明のミラー付き光導波路の製造方法は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、ミラー面12を形成するために用いる光導波路11の構造がクラッド層/コア層の2層構造のものであったが、本発明のミラー付き光導波路の製造方法においては、ミラー面12を形成するために用いる光導波路は、少なくともコア層11aを備えていればよく、その構造は特に制限されず、例えば、クラッド層/コア層/クラッド層の3層構造、クラッド層/コア層/クラッド層/コア層の4層構造等であってもよい。このような多層構造の光導波路の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができる。
ここで、例えば、クラッド層/コア層/クラッド層の3層構造の光導波路を用いた場合のミラー付き光導波路の製造方法について説明する。このような3層構造の光導波路に対してミラー面を形成する工程を図6に示す。このような図6に示す実施形態においては、ミラー面12を形成する際に、コア層11aの上面側に存在するクラッド層11bにもレーザービームLBを照射し、ミラー面12を形成する部位の上側に存在するクラッド層の樹脂成分を除去する工程を実施する以外は、上記実施形態で採用している方法と同様の方法を採用する。すなわち、図6に示す実施形態においては、先ず、マスク13の開口部13aを介してレーザービームLBを、上層のクラッド層11bに照射しながら、光導波路11をコア部の光の伝送方向(図6中の矢印Aで示された方向)に移動させる(図6(a))。そして、光導波路11を移動させながらレーザービームLBを照射し続けると、レーザービームLBが照射されることにより上層のクラッド層11bの一部が除去され、その部位において、コア層11aにレーザービームLBが照射される(図6(b))。この時、上述のように、コア部のレーザービームが照射されるべき面の長手方向の略中心軸から該面の幅方向に離れるほど前記レーザービームの照射時間が短くなるようにしてレーザービームLBをコア部に照射する。このように、コア部のレーザービームが照射されるべき面の長手方向の略中心軸から該面の幅方向に離れるほど前記レーザービームの照射時間が短くなるようにして前記レーザービームを照射する方法としては、上記実施形態において説明した方法と同様の方法を採用すればよい。そして、コア部のレーザービームが照射される領域においては、レーザービームLBの到達度に応じて、前記コア部の深さ方向に前記樹脂成分が連続的に除去され、前記コア部を伝送する光の伝送方向に対して傾斜したミラー面12が前記コア部に形成される(図6(c))。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<コア層用ポリマーの製造工程>
先ず、コア層用ポリマーを製造した。すなわち、先ず、ヘキシルノルボルネン(HxNB)(8.94g、0.05mol)、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン (diphNB)(16.1g、0.05mol)、1−ヘキセン(4.2g、0.05mol)及びトルエン(142.0g)を、250mLのシーラムボトルで混合し、オイルバスで120℃に加熱して溶液を形成した。次に、前記溶液に、[Pd(PCy(OCCH)(NCCH)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Pd1446)(5.8×10−3g、4.0×10−6mol)及びN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(DANFABA)(3.2×10−3g、4.0×10−6mol)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液(0.1mL)の形態で添加して混合液を得た。次いで、前記混合液を120℃で6時間維持した後、勢いよく攪拌しながらメタノールを滴下して沈殿物を得た。その後、このようにして得られた沈殿物(共重合体)を濾過により集め、80℃のオーブン内で真空乾燥させ、乾燥質量12.0g(収率48%)の生成物(共重合体:コア層用ポリマー)を得た。
このような生成物(共重合体)の分子量をTHF溶媒中でGPCにより測定(ポリスチレン換算) したところ、Mwは16196であり、Mnは8448であった。また、このような生成物(共重合体)の組成を1H−NMRで測定したところ、モル基準で54/46のHxNB/diPhNB系コポリマーであった。更に、このようなコポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmで、TEモードで1.5569であり、TMモードで1.5555であった。
<コア層形成用ワニスの製造工程>
先ず、上述のようにして得られた生成物(コア層用ポリマー)をメシチレンに溶解して30wt%の樹脂溶液を調製した。次に、前記樹脂溶液(10.0g)に、ビス−ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX、CAS番号:第376609−87−9)(0.72g、0.00245mol)と、Pd(PCy(OAc)(Pd785)(4.94×10−4g、6.29×10−7mol、メチレンクロライド0.1mL中)と、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074(CAS番号:第178233−72−2、ニュージャージー州クランベリーのRhodia Inc社から入手)(2.55×10−3g、2.516×10−6mol、メチレンクロライド0.1mL中)とを加えて均一に混合し、0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過し、コア層形成用ワニスを得た。
<コア層形成工程>
上記コア層形成用ワニスを、ドクターブレードによって離型処理PETフィルム上に均一に塗布して塗膜を形成した(乾燥前の厚み:140μm)。次に、前記塗膜をPETフィルムと共に乾燥機に入れて45℃の乾燥機に15分間投入して溶媒(メシチレン)を完全に除去した後、所定の開口パターンを有するフォトマスクを圧着し、前記塗膜に対して選択的に紫外線を照射した(照射量500mJ/cm)。次に、圧着したマスクを取り去り、紫外線照射後の前記塗膜をPETフィルムと共に乾燥機に入れ、45℃で30分間加熱後に85℃で30分間加熱し、更に150℃で1時間加熱し、コア層を形成した。なお、このような加熱後においては、非常に鮮明な導波路パターンが形成されていることが確認された。次いで、得られたフィルム状のコア層を離型処理PETフィルムから剥離することにより、コア層を得た。このようなコア層は、無色透明であり、コア部の屈折率は1.5695(測定波長;633nm)であり、クラッド部の屈折率は1.5153(測定波長;633nm)であった。
<クラッド層形成用ワニスの製造工程>
第2樹脂として環状オレフィン系樹脂を含むノルボルネン系樹脂組成物(プロメラス社製 Avatrel2590の20重量%2−ヘプタノン溶液、10g)を用い、かかるノルボルネン系樹脂組成物に酸中和剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、品番2E4MZ)(0.04g)を添加し、クラッド層形成用ワニスを製造した。
<クラッド層形成工程>
上記クラッド層形成用ワニスを、ポリイミドフィルム上(宇部興産株式会社製、Upilex)にドクターブレードで均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入し、溶剤(2−ヘプタノン)を完全に除去した後、乾燥機中160℃で2時間加熱して、塗膜を硬化させて、ポリイミドフィルム上にフィルム状のクラッド層を形成した後、ポリイミドフィルムから剥離して、フィルム状のクラッド層を得た。得られたフィルム状のクラッド層の厚さは20μmであった。また、このようなクラッド層は、無色透明であり、その屈折率は1.52(測定波長;633nm)であった。なお、このようなフィルム状のクラッド層は2枚製造した。
<光導波路の製造>
前述のようにして得られたコア層の両面に、それぞれクラッド層を積層し、140℃に設定されたラミネータに投入して、クラッド層/コア層/クラッド層の順に積層した後、150℃で0.5時間加熱して、クラッド層/コア層/クラッド層の順に積層されたミラー加工前の光導波路を得た。
<エキシマレーザーの調整>
ミラー加工前の光導波路のコア部にミラー面を形成するのに先立ち、エキシマレーザー装置(OPTEC社製、製品名「ATLEX−300i」)を以下のようにして調整した。エキシマレーザー装置に設けられたチャンバー内の圧力を、一旦10ミリバール以下になるまで排気した後、上記チャンバー内にArFプレミックスガス(Ar:4.13%、F2:0.17%、ネオンガス:残部)を6500ミリバールになるまで充填した。また、パワーメーター(OPHIR社製、製品名「NOVA II」)を用い、ビームの照射エネルギーを300〜400mJ/pulseの範囲内に収まるように調整した後、ビームプロファイラー(Spiricon社製、製品名「LASER BEAM PROFILERS G3」)を用いて強度分布の偏りが無いように調整した。そして、上記エキシマレーザー装置において、2本の直線部が500μmで且つ長手方向端辺の円弧の曲率半径が500μmの長円形の穴(開口部)が形成されたステンレスマスクを通した後、更にレンズを介して集光して縮小投影されて、最終的に、コア層11a上に照射されるレーザービームのコア層11aの表面上に形成される照射面形状が、図7に示すような、2本の直線部(点T1と点T4とを結ぶ線分及び点T2及び点T3を結ぶ線分)がそれぞれ100μmであり且つ長手方向端辺の円弧(点T1と点T2とを結ぶ曲線部及び点T3と点T4とを結ぶ曲線部)の曲率半径が双方とも100μmとなっている長円形になるように調整した。
<ミラー加工>
ミラー加工前の光導波路(コア部の厚さ:50μm、コア幅:50μm)の一方のクラッド層の表面を、粘着性を有する基盤(トーヨーコーポレーション株式会社製、商品名「マジックレジン」)上に貼り付けた。次いで、前記基盤を、エキシマレーザー装置の微動ステージ上に配置し、基盤の固定面を吸引して固定した。そして、ミラー加工前の光導波路のコア部の長手方向と微動ステージの可動方向とが一致するようにステージを回転させてアライメントを調整した後、図7に示すように、レーザービームの照射面形状の長手方向の中心軸Oが、コア部の長手方向の中心軸と重なるように調整した。次いで、アシストガスとしてHeガスを2.0L/分で流す条件下において、図6に示すように、微動ステージをコア部の光の伝送方向に15μm/秒の速度で10秒間(150μm)移動させながら、前記光導波路に周波数100Hzのレーザーを照射して、コア部にミラー面を形成し、光導波路が150μm移動したところでレーザーの照射を終了して、ミラー付の光導波路を得た。なお、このようにして形成されたミラー面のコア部の光軸に対する角度は45°であった。
(実施例2)
前記ミラー加工時に使用するレーザービームに関して、最終的にコア層上に照射されるレーザービームの照射面形状が2本の直線部がそれぞれ100μmで且つ長手方向端辺の円弧の曲率半径が双方とも125μmとなっている長円形(図7中において点線で記載されているような形状)となるように調整した以外は、実施例1と同様にしてミラー付の光導波路を得た。なお、このようにして形成されたミラー面のコア部の光軸に対する角度は45°であった。このようにして形成されたミラー面が形成されている薄膜の顕微鏡写真を図8に示す。
(比較例1)
前記ミラー加工時に使用するエキシマレーザーの調整時に、各辺の長さが500μmの正方形の穴が形成されたステンレスマスクを用い、最終的にコア層上に照射されるレーザービームの照射面形状を各辺が100μmの正方形としてミラー面を製造した以外は、実施例1と同様にしてミラー付の光導波路を得た。なお、このようにして形成されたミラー面のコア部の光軸に対する角度は45°であった。このようにして形成されたミラー面が形成されている薄膜の顕微鏡写真を図9に示す。
[実施例1〜2及び比較例1で得られたミラー付の光導波路の性能の評価]
〈ミラー面下部の曲率の測定〉
実施例1〜2及び比較例1で得られたミラー付の光導波路のミラー面のクラッド層と接している部分(コア部のミラー面の最下部の端辺)の曲率を、レーザー顕微鏡画像に基づいて測定した。結果を表1に示す。
表1に示す結果からも明らかなように、本発明のミラー付の光導波路の製造方法を採用して得られた光導波路(実施例1〜2)においては、従来のミラー面の製造方法を採用して得られた光導波路(比較例1)と比較して、十分に曲率の値が低くなっており、ミラー面がよりフラットなものとなっていることが確認された。
また、図8及び図9に示す顕微鏡写真からも明らかなように、本発明のミラー付の光導波路の製造方法を採用して得られた光導波路(実施例2)においては、従来のミラー面の製造方法を採用して得られた光導波路(比較例1)と比べて、ミラー面の湾曲がより補正され、ミラー面がよりフラットな面となっていることが分かる。
〈ミラー面における光損失の測定〉
実施例1〜2及び比較例1で得られたミラー付の光導波路のミラー面における光損失を以下に示す方法で測定した。すなわち、面発光型レーザ(VCSEL)から発生させた光を、光ファイバーを通してコア部の一端から入力し、ミラー面から出射された光の出力を測定し、下記数式(F1)で表される総光損失(挿入損)を求めた。
総光損失(dB)=−10・log(P1/P0) ・・・(F1)
なお、上記式中、P1はミラー面から出射された光の出力であり、P0は、光ファイバーをコア部の一端に結合する前の光ファイバーの端部における光源の測定出力である。結果を表2に示す。
表2に示す結果からも明らかなように、本発明のミラー付の光導波路の製造方法を採用して得られた光導波路(実施例1〜2)においては、いずれも総光損失(挿入損)が1.25dB以下となっており、十分に高度な光伝送性能を有する光導波路であることが確認された。一方、従来のミラー面の製造方法を採用して得られた光導波路(比較例1)においては総光損失(挿入損)が1.50dBとなっており、ミラー面における光の損失を十分に抑制することができないことが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、光の損失を十分に抑制することが可能なミラー面が形成されたコア部を備えるミラー付き光導波路を効率よく製造することが可能なミラー付き光導波路の製造方法を提供することが可能となる。そのため、本発明は光配線の高密度化に関する技術として非常に有用である。
11…光導波路、11a…コア層、11b…クラッド層、111A…コア部、111B…クラッド部、12…ミラー面、13…マスク、13a…マスクの開口部、LB…レーザービーム、A…コア部の光の伝送方向、W…幅方向、P1〜P4…コア層上の任意の点、S…レーザービームが照射されるべき面、C…コア部の長手方向の中心軸、O…コア層の表面上のレーザービームの照射面形状のコア部の長手方向の中心軸、E1〜E6…コア部の表面上のレーザービームの照射面形状上の点、F1〜2…コア層表面上のレーザービームの照射面形状、T1〜T4…コア層の表面上のレーザービームの照射面形状の周縁部上の点。

Claims (3)

  1. 樹脂成分を含有してなる光を伝送するためのコア部を備える光導波路の前記コア部の一部に、開口部を有するマスクを介してレーザービームを照射して、前記コア部の一部の前記樹脂成分を飛散させることによって、前記コア部を伝送する光の伝送方向に対して傾斜したミラー面を前記コア部に形成するミラー付き光導波路の製造方法であって、
    前記コア部のレーザービームが照射されるべき面の長手方向の略中心軸から該面の幅方向に離れるほど前記レーザービームの照射時間が短くなるように前記レーザービームを照射すること、
    を特徴とするミラー付き光導波路の製造方法。
  2. 前記マスクの開口部の形状が、円形、楕円形又は長円形であることを特徴とする請求項1に記載のミラー付き光導波路の製造方法。
  3. 前記レーザービームの照射時に、前記レーザービームが照射されている前記コア部の表面上の領域の前記コア部の長手方向における少なくとも一方の端辺が、曲率半径100〜250μmの円弧状であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のミラー付き光導波路の製造方法。
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