JP5560882B2 - 光導波路形成用フィルムの製造方法、光導波路形成用フィルム、光導波路、光配線、光電気混載基板ならびに電子機器 - Google Patents

光導波路形成用フィルムの製造方法、光導波路形成用フィルム、光導波路、光配線、光電気混載基板ならびに電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、光導波路形成用フィルムの製造方法、光導波路形成用フィルム、光導波路、光配線、光電気混載基板ならびに電子機器に関する。
電子機器においては、電子部品間の情報信号の高速、高容量伝送化の要求が高まっており、電子部品間を光信号によって接続する光伝送が検討されてきた。光伝送では伝送媒体として光ファイバや光導波路が使用されるが、その寸法精度は媒体の接続品質、ひいては機器自体の品質を左右する重要なファクターである。近年各種ポリマー素材を用いたポリマー光導波路フィルムが提案されているが、加熱収縮、加熱硬化、吸湿などによる寸法変化が大きな問題となっている。
特許文献1にはその様な問題を解決するための手段が記載されているが、硬質基板を用いる特殊なプロセスが必要になるため、大型化、大量生産が困難であるという問題が残されていた。
特開平10−34761号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、寸法精度に優れた光導波路形成用フィルムおよびその製造方法、ならびに高品質な伝送性能を発揮することが可能な光導波路、光配線、光電気混載基板、電子機器を提供することを目的とする。
上記目的は、下記発明(1)〜(16)により達成される。
(1) フィルム基材の上に環状オレフィン系樹脂を含む光導波路用塗布液を塗布して、膜状体とする製膜工程と、前記膜状体を加熱する加熱工程と、を有する光導波路形成用フィルムの製造方法であって、前記フィルム基材は、シルセスキオキサンを有するハードコートを用い離型処理されているものであり、予め加熱処理をして長尺方向の加熱収縮率が0.5%以下になったものを用いることを特徴とする光導波路形成用フィルムの製造方法。
(2)前記製膜工程の後に、パターニング工程を有するものである上記(1)に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(3)前記パターニング工程は、フォトマスクを介して前記膜状体を露光することにより、光導波路をパターニングするパターニング工程である上記(1)又は(2)に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(4)前記加熱工程の後に、前記光導波路をフィルム基材から剥離する工程を有するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(5)前記フィルム基材がポリイミドである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(6)前記フィルム基材がポリエステルである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(7)前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである上記(6)に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(8)前記シルセスキオキサンを有するハードコートに含まれるシルセスキオキサンの含有量は、ハードコート全体の10wt%以上である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(9)前記シルセスキオキサンを有するハードコートは、さらに、エポキシモノマーを含むものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(10)前記エポキシモノマーは、脂環式エポキシモノマーである上記(9)に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(11) 前記光導波路用塗布液がノルボルネン系樹脂を含有するものである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(12) 上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法で得られることを特徴とする光導波路形成用フィルム。
(13) 上記(12)に記載の光導波路形成用フィルムを用いて形成されることを特徴とする光導波路。
(14) 上記(13)に記載の光導波路を備えたことを特徴とする光配線。
(15) 電気配線と、上記(14)に記載の光配線とを有することを特徴とする光電気混載基板。
(16) 上記(13)に記載の光導波路を備えたことを特徴とする電子機器。
本発明の製造方法によって寸法精度に優れた光導波路形成用フィルムを製造できる。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、導波路形成用フィルムを形成する支持基材として特定の物性のフィルム材料を用いることで寸法精度に優れた光導波路を効率よく製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。さらにそれを用いることで高品質な伝送性能を発揮することが可能な光導波路、光配線、光電気混載基板さらに電子機器を提供することが可能となった。
本発明の光導波路形成用フィルムを用いた光導波路の作製方法の一例を示す断面図である。 本発明の光導波路形成用フィルムを用いた光導波路の作製方法の一例を示す断面図である。 本発明のパターニング工程の一例を示す断面図である。
本発明の光導波路形成用フィルムの製造方法は、フィルム基材の上に光導波路用塗布液を塗布して、膜状体とする製膜工程と、前記膜状体を加熱する加熱工程と、を有する光導波路形成用フィルムの製造方法であって、前記加熱工程における加熱温度での前記フィルム基材の長尺方向の加熱収縮率が0.5%以下であることを特徴とする。
本発明の光導波路形成用フィルムは、上記製造方法で製造されたことを特徴とする。
本発明の光導波路は上記光導波路形成用フィルムを用いて製造されたことを特徴とする。
本発明の光配線は上記光導波路を備えたことを特徴とする。
本発明の光電気混載基板は電気配線と上記光配線とを有することを特徴とする。
本発明の電子機器は

上記光導波路を備えたことを特徴とする。
以下、本発明の光導波路形成用フィルムの製造方法、光導波路用フィルム、光導波路、光配線、光電気混載基板および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、光導波路形成用フィルムの製造方法について説明する。
本発明の光導波路形成用フィルムの製造方法は、フィルム基材の上に光導波路用塗布液を塗布して、膜状体とする製膜工程と、前記膜状体を加熱する加熱工程とを有する。
以下、本発明の光導波路形成用フィルムを製造する方法について順次説明する。
なお、以下の説明において、光導波路形成用フィルムがコア層1の場合について説明するが、各クラッド層3、4も光導波路形成用フィルムに含まれる。
本発明の製膜工程について説明する。
製膜工程の第一段階はフィルム基材に光導波路用塗布液を塗布して、液状被膜を形成する工程である。光導波路用塗布液の塗布に用いる装置としてはスピンコータ、コンマコータ、ダイコータ、バーコータ、ロールコータ、スプレイコータなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
製膜工程の第二段階はフィルム基材に形成された液状被膜を固形化し、膜状体を形成する工程である。光導波路形成用塗布液が無溶媒の場合は加熱硬化やUV硬化などで固形化する必要があるが、光導波路形成用塗布液が溶媒を含む場合は溶媒を乾燥させることで固形化し膜状体となる。この工程に用いる装置としては熱風乾燥機、遠赤外線乾燥機、スチームオーブン、UV硬化炉、電気炉、コンベア炉などが挙げられるが特に限定はしない。
本発明の加熱工程について説明する。
本発明の加熱工程は、前記膜状体を加熱する工程である。これにより、前記膜状体を硬化させ、耐熱性、長期信頼性を高めることができる。加熱工程に用いる装置は熱風乾燥機、遠赤外線乾燥機、スチームオーブン、UV硬化炉、電気炉、コンベア炉などが挙げられるが特に限定はしない。
加熱の温度条件もフィルム基材、光導波路材料の耐熱範囲内であれば限定されないが、通常の場合40〜280℃の温度範囲で1分〜8時間の加熱を実施することが好ましい。
前記フィルム基材は、前記加熱工程における加熱温度での長尺方向の加熱収縮率が0.5%以下である。前記フィルム基材の長尺方向の加熱収縮率は−0.5%〜0.5%であることが好ましく、−0.2%〜0.2%である事がさらに好ましい。ここで、加熱収縮率が−であるフィルム基材とは、加熱により膨張するフィルム基材を示す。このようなフィルム基材を使用することにより、フィルム基材の寸法変化による光導波路フィルムに形成するパターニングの設計寸法の変化を最小限に抑えることが可能となり、接続損失の小さい光導波路を製造することができる。
前記フィルム基材をこのような加熱収縮率とするために、溶融押し出し法で作成されるフィルム基材は、予めフィルム基材を加熱し収縮させる処理(アニール処理)を行っておくことが好ましい。また、キャスト法により作成されたフィルム基材も加熱収縮率が低くなる傾向があるため好ましい。
このようなフィルム基材に好適な材料としては、特に限定はされないが、シリコン基板、二酸化ケイ素基板、ガラス基板、石英基板、金属箔、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのフィルム状のポリエステルおよびフィルム状のポリイミド等が挙げられる。この中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのフィルム状のポリエステルやフィルム状のポリイミドが好ましい。さらに、フィルム状のポリエステルの中では汎用性、コストの面からポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)がさらに好ましい。
本発明の光導波路形成用フィルムの製造方法は、前期生膜工程の後に、パターニング工程を含んでいても良い。本発明のパターニング工程で用いられるパターニング方法は、特に限定されるものではなく、従来周知のパターニング方法を用いることができるが、一部の方法を以下に例示する。
まず第1番目の例は、光導波路用塗布液として活性放射線の照射によって屈折率が変化するようなものを用いた場合に、膜状体に導波路のパターンが描かれたフォトマスクを介して前記膜状体を露光することにより、光導波路をパターニングする方法である。
第2番目の例は光導波路用の材料としてUV照射によって不溶化するようなものを用いた場合に、膜状体に導波路のパターンが描かれたフォトマスクを被せてUV照射をし、現像液で現像することでパターニングする方法である。
第3番目の例は膜状体にフォトレジストを被膜した後に、フォトマスクを介してUV照射をし、現像液による現像やドライエッチングで像を形成し、レジストを除去することでパターンを形成する方法である。その他の方法としてはレーザー加工機や3次元加工機などで光導波路のパターンを直接加工する方法などが挙げられる。
この中でも、フォトマスクを介して前記膜状体を露光することにより、光導波路をパターニングする第一番目の例が好ましい。これにより、一枚の光導波路形成用フィルムにコア部とクラッド部を形成することができ、コア部と側面クラッド部の密着性が非常に高いものとすることができる。
第一番目の例として、光導波路用塗布液として活性放射線の照射によって屈折率が低下するようなものを用いた場合について、図2を用いて説明する。図2に示すような光導波路形成用フィルム(コア層用)13に、マスク7を用いて活性放射線6を照射する。これにより、光導波路形成用フィルム(コア層用)13に選択的に活性放射線6を照射する部分と、未照射部分とを形成することができる。
活性放射線6が照射された部分12では、光導波路形成用フィルム(コア部用)を構成している感光性樹脂組成物中の酸発生剤が光照射により酸を発生し、前記モノマーが重合を開始する。これにより、マトリクス中の未反応モノマーの濃度勾配を解消する力が働き、未照射領域から前記樹脂より屈折率の低いモノマーが一部照射領域へ拡散して重合するために、活性放射線6が照射された部分12の屈折率が相対的に未照射領域よりも低くなる。
また、パターニング工程を前記加熱工程の前に行うことにより、前記加熱工程において、パターニング工程で形成された光導波路パターンのコントラスト(屈折率差)を高めることができる。
本発明の光導波路形成用フィルムの製造方法は、前記加熱工程の後に、前記光導波路形成用フィルムをフィルム基材から剥離する工程を含んでいても良い。
本発明の光導波路形成用フィルムは、光導波路のコア層およびクラッド層に用いることができるが、例えば、コア層として用いる場合、前記フィルム基材がクラッド層として機能しない場合や、クラッド材料をコアの両面に塗布あるいは積層して光導波路を形成する場合には、光導波路形成用フィルムをフィルム基材から剥離して、光導波路を形成することがある。また、本発明の光導波路形成用フィルムをクラッド層として用いる場合、前記フィルム基材を保護層として使用しない場合には、剥離しても良い。
光導波路形成用フィルムをフィルム基材から剥離させる方法は、特に限定されないが、そのままコア層を持ち上げてフィルム基材と分離する方法、フィルム全体を細幅にスリットしてから剥離する方法、シールのように光導波路用フィルムをハーフカットしてその部分だけを剥離する方法、水中に浸漬させて剥離する方法などが挙げられる。
(離型処理)
前記光導波路形成用フィルムをフィルム基材から剥離する工程が必要となる場合は、前記フィルム基材に予め離型処理を施しておくことが好ましい。これにより、剥離時に光導波路形成用フィルムに対して損傷等生じることなく、フィルム基材から剥離することができる。離型処理の方法としては、プラズマ処理や、ハードコートによる表面処理など従来用いられる方法を適宜使用することができる。
その中でも、前記離型処理としては、ハードコート処理が好ましい。本発明においてハードコート処理とは、基材の表面に粒子を蒸着、液状材料を塗布および乾燥、又はフィルムを貼り付けることにより、基材の表面に膜(ハードコート)を形成する処理を指す。前記ハードコートの厚さは、特に限定されないが、0.01〜10μmの範囲が好ましい。この範囲とすることで、十分な剥離性と、フィルム基材への密着性を両立することができる。ハードコートの構成材料としては、特に限定されないが、従来から用いられるオイル、ポリオレフィン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の有機系ハードコート、シラン化合物等のシリコン系ハードコート、金属酸化物等の無機系ハードコートおよび有機―無機ハイブリッド系ハードコート等が挙げられる。これらの構成材料のうち1種類を用いても良いし、2種類以上を併用または混合して用いても良い。この中でも、シラン化合物等のシリコン系ハードコートを用いる離型処理が好ましい。これにより、導波路用フィルムをコーティングする際の塗れ性と剥離性を両立することが容易になる。
この中でも、特に、シルセスキオキサンを有するハードコートを用いる離型処理が好ましい。前記シルセスキオキサンを有するハードコートの組成については、特に限定されないが、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、オキセタニル基など何らかの方法で架橋反応させることの出来る官能基を持つものが有効に使用できる。特にエポキシ基、オキセタニル基を含有するものを用いると速硬化性、剥離性の点で好ましい。またシルセスキオキサンの含有量は10wt%以上であることが好ましい。シルセスキオキサン含有量が10wt%より少ないと十分な剥離性が得られない可能性があるため好ましくない。
このようなシルセスキオキサンを有するハードコートとしては、シルセスキオキサン構造を有するオキセタンモノマーを原材料に含むものであることが好ましい。
前記オキセタンモノマーは、ポリ[[3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体(東亜合成 OX−SQ−H)などが挙げられる。これにより、前記ハードコートに高い架橋密度を付与することができ、ハードコート上に塗布する光導波路用塗布液の浸透を防止することが出来る。
このようなシルセスキオキセタン構造を有するオキセタンモノマーと、4,4‘−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(宇部興産株式会社 ETERNACOLL OXBP)、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亜合成株式会社 DOX)等のオキセタンモノマーを併用して用いても良い。
また、前記シルセスキオキサンを有するハードコートは、さらに、エポキシモノマーを原材料に含むものであっても良い。前記エポキシモノマーは、脂環式エポキシモノマーであることが好ましい。脂環式エポキシモノマーは他のエポキシモノマーに比べ構造上ひずみが大きいことから反応性に富む。前記脂環式エポキシモノマーは特に限定はされないが、1,2:脂環式エポキシ8,9ジエポキシリモネン(ダイセル化学工業株式会社 CEL3000)、3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate(ダイセル化学工業株式会社 CEL2021)、(3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate modified −caprolactone(ダイセル化学工業株式会社 CEL−2081)、1,4−Cyclohexanedimethanol bis(3,4−epoxycyclohexanecarboxylate)(北村産業化学株式会社 ERLX−4360)などがあげられ、特に(3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate(ダイセル化学工業株式会社 CEL2021)、(3'−4'−Epoxycyclohexane)methyl 3'−4'−Epoxycyclohexyl−carboxylate modified −caprolactone(ダイセル化学工業株式会社 CEL−2081)、1,4−Cyclohexanedimethanol bis(3,4−epoxycyclohexanecarboxylate)(Synasia社 ERLX−4360)が好ましい。これにより、反応性が高く、柔軟性に優れ、透明性の高い感光性樹脂組成物を得ることができる。
このような無機・有機複合材料を用いることにより、前記感光性樹脂組成物の成形体(本発明の光導波路形成用フィルム等)に、高い架橋密度と適度な柔軟性を付与することができる。
前記光導波路用塗布液としては、光導波路のコア層を形成させるために用いることが可能な公知の樹脂(ポリマー)を適宜用いることができ、例えば、ノルボルネン系樹脂やベンゾシクロブテン系樹脂の環状オレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂等のポリマーや、これらのポリマーの1種又は2種以上を組み合わせたポリマーアロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体、架橋体等が挙げられ、環状オレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい。このような樹脂は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、特に、環状オレフィン系樹脂を主とするものが好ましい。環状オレフィン系樹脂を用いることにより、優れた光伝送性能や耐熱性を有する光導波路用フィルムを得ることができる。また、環状オレフィン系樹脂の中でも、さらにノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系ポリマー)を主とするものが好ましい。ノルボルネン系ポリマーは、高い疎水性を有するため、吸水による寸法変化を生じ難い光導波路形成用フィルムを得ることができる。
ノルボルネン系ポリマーとしては、例えば、
(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、
(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、
(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のような付加重合体、
(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げられる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。
これらのノルボルネン系ポリマーは、例えば、開環メタセシス重合(ROMP)、ROMPと水素化反応との組み合わせ、ラジカルまたはカチオンによる重合、カチオン性パラジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金属の重合開始剤)を用いた重合等、公知のすべての重合方法で得ることができる。
これらの中でも、ノルボルネン系ポリマーとしては、付加(共)重合体が好ましい。付加(共)重合体は、透明性、耐熱性および可撓性に富むことからも好ましい。たとえば、感光性樹脂組成物によりフィルムを形成した後、電気部品等を、半田を介して実装することがある。このような場合において、高い耐熱性、すなわち、耐リフロー性を有することが必要となるため、付加(共)重合体が好ましい。また、感光性樹脂組成物によりフィルムを形成し、製品に組み込んだ際に、たとえば、80℃程度の環境下にて使用される場合がある。このような場合においても、耐熱性を有することが必要となるため、付加(共)重合体が好ましい。
なかでも、ノルボルネン系ポリマーは、重合性基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位や、アリール基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位を含むものが好ましい。
重合性基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位としては、エポキシ基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位、(メタ)アクリル基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位、および、アルコキシシリル基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位がのうちの少なくとも1種が好適である。これらの重合性基は、各種重合性基の中でも、反応性が高いことから好ましい。
また、このような重合性基を含むノルボルネンの繰り返し単位を、2種以上含むものを用いれば、可撓性と耐熱性の両立を図ることが出来る。
一方、アリール基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、アリール基は、疎水性が極めて高いため、吸水による寸法変化等をより確実に防止することができる。
さらに、ノルボルネン系ポリマーは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むものが好ましい。なお、アルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよい。
アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、ノルボルネン系ポリマーは、柔軟性が高くなるため、高いフレキシビリティ(可撓性)を付与することができる。
ここで、光導波路用フィルムを用いて形成される光導波路は、たとえば、600〜1550nm程度の波長領域の光を使用したデータ通信において好適に使用されるが、ヘキシル(アルキル)ノルボルネンの繰り返し単位を含むノルボルネン系ポリマーは、前述したような波長領域(特に、850nm付近の波長領域)の光に対する透過率が優れることから好ましい。
このようなことから、ノルボルネン系ポリマーとしては、以下の式(1)〜(4)、(8)〜(10)で表されるものが好適である。
Figure 0005560882
式(1)のノルボルネン系ポリマーは、以下のようにして製造することができる。
を有するノルボルネンと、側鎖にエポキシ基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、下記式(2)のNi化合物を触媒に用いて溶液重合させることで式(1)を得る。
Figure 0005560882
なお、側鎖にエポキシ基を有するノルボルネンの製造方法は、たとえば、(i)(ii)の通りである。
(i)ノルボルネンメタノール(NB−CH−OH)の合成
DCPD(ジシクロペンタジエン)のクラッキングにより生成したCPD(シクロペンタジエン)とαオレフィン(CH2=CH-CH2−OH)を高温高圧下で反応させる。
Figure 0005560882
(ii)エポキシノルボルネンの合成
ノルボルネンメタノールとエピクロルヒドリンとの反応により生成する。
Figure 0005560882
なお、式(1)において、bが2もしくは3の場合には、エピクロルヒドリンのメチレン基がエチレン基、プロピレン基等になったものを使用する。
式(1)で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、可撓性と耐熱性の両立を図ることが可能との観点から、特に、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、aおよびbがそれぞれ1である化合物、例えば、ブチルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー等が好ましい。
Figure 0005560882
式(5)のノルボルネン系ポリマーは、R2を有するノルボルネンと、側鎖にアクリルおよびメタクリル基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、上述したNi化合物(A)を触媒に用いて溶液重合させることで得ることができる。
なお、式(5)で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、可撓性と耐熱性との両立の観点から、特に、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、cが1である化合物、例えば、ブチルノルボルネンとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー、デシルノルボルネンとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー等が好ましい。
Figure 0005560882
式(6)の樹脂は、R4を有するノルボルネンと、側鎖にアルコキシシリル基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、上述した式(2)のNi化合物を触媒に用いて溶液重合させることで得ることができる。
なお、式(6)で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、特に、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、dが1または2、Xがメチル基またはエチル基である化合物、例えば、ブチルノルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、デシルノルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、ブチルノルボルネンとトリエトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとトリエトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとトリエトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ブチルノルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー等が好ましい。
5を有するノルボルネンと、側鎖にA1およびA2を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、Ni化合物(A)を触媒に用いて溶液重合させることで式(7)を得る。
Figure 0005560882
Figure 0005560882
Figure 0005560882
Figure 0005560882
なお、式(10)で表されるノルボルネン系ポリマーとしては、例えば、ブチルノルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルと、ノルボルネニルエチルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルノルボルネンまたはトリメトキシシリルノルボルネンのいずれかとのターポリマー、ブチルノルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルと、メチルグリシジルエーテルノルボルネンとのターポリマー、ブチルノルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、メチルグリシジルエーテルノルボルネン、ノルボルネニルエチルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルノルボルネンまたはトリメトキシシリルノルボルネンのいずれかとのターポリマー等が挙げられる。
Figure 0005560882
を有するノルボルネンと、側鎖に-(CH2)-X1-X2(R8)3-j(Ar)jを含むノルボルネンとをトルエンに溶かし、Ni化合物を触媒に用いて溶液重合させることで式(11)を得る。
なお、式(11)で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、Xが酸素原子、Xがシリコン原子、Arがフェニル基であるものが好ましい。
さらには、可撓性、耐熱性および屈折率制御の観点から特に、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、Xが酸素原子、Xがシリコン原子、Arがフェニル基、Rがメチル基、iが1、jが2である化合物、例えば、ブチルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、デシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー等が好ましい。
具体的には、以下のようなノルボルネン系樹脂を使用することが好ましい。
Figure 0005560882
また、可撓性と耐熱性および屈折率制御の観点から、式(11)において、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、Xがメチレン基、Xが炭素原子、Arがフェニル基、Rが水素原子、iが0、jが1である化合物、例えば、ブチルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー等であってもよい。
さらに、ノルボルネン系樹脂として、次のようなものを使用してもよい。
Figure 0005560882
また、p/q〜p/q、p/q、p/qまたはp/q+rは、20以下であればよいが、15以下であるのが好ましく、0.1〜10程度がより好ましい。これにより、複数種のノルボルネンの繰り返し単位を含む効果が如何なく発揮される。
以上のようなノルボルネン系樹脂は、脱離性基を有するものであることが好ましい。ここで、脱離性基とは、酸の作用により離脱するものである。
具体的には、分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが好ましい。かかる酸離脱性基は、カチオンの作用により比較的容易に離脱する。
このうち、離脱により樹脂の屈折率に低下を生じさせる離脱性基としては、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造の少なくとも一方が好ましい。
たとえば、式(11)で表されるノルボルネン系ポリマーの中で、Xが酸素原子、Xがシリコン原子、Arがフェニル基であるものが脱離性基を有するものとなる。
また、式(12)においては、アルコキシシリル基のSi−O−Xの部分で脱離する場合がある。
たとえば、式(12)のノルボルネン系樹脂を使用した場合、光酸発生剤(PAGと表記)から発生した酸により、以下のように反応が進むと推測される。なお、ここでは、脱離性基の部分のみを示し、また、i=1の場合で説明する。
Figure 0005560882
さらに、式(12)の構造に加えて、側鎖にエポキシ基を有するものであってもよい。このようなものを使用することで密着性に優れたフィルムが形成可能という効果がある。
具体例として以下のようなものとなる。
Figure 0005560882
式(15)で示される化合物は、たとえば、ヘキシルノルボルネンと、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン(側鎖に-CH2-O-Si(CH3)(Ph)2を含むノルボルネン)およびエポキシノルボルネンをトルエンに溶かし、Ni化合物を触媒に用いて溶液重合させることで得ることができる。
後述するパターニング工程において、活性放射線の照射により光導波路形成用フィルムに光導波路をパターニングする場合は、前記光導波路用塗布液は、添加剤として、モノマー、助触媒(第1の物質)および触媒前駆体(第2の物質)を含んでもよい。
前記モノマーは、活性放射線の照射により、活性放射線の照射領域において反応して反応物を形成し、この反応物の存在により、活性放射線の照射領域と、活性放射線の未照射領域とにおいて、屈折率差を生じさせ得るような化合物である。
この反応物としては、モノマーがポリマー(マトリックス)中で重合して形成されたポリマー(重合体)、ポリマー同士を架橋する架橋構造、および、ポリマーに重合してポリマーから分岐した分岐構造(ブランチポリマーや側鎖(ペンダントグループ))のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ここで、活性放射線を照射する膜状体において、照射領域の屈折率が高くなることが望まれる場合には、比較的低い屈折率を有するポリマーと、このポリマーに対して高い屈折率を有するモノマーとが組み合わせて使用され、照射領域の屈折率が低くなることが望まれる場合には、比較的高い屈折率を有するポリマーと、このポリマーに対して低い屈折率を有するモノマーとが組み合わせて使用される。なお、屈折率が「高い」または「低い」とは、屈折率の絶対値を意味するものではなく、ある材料同士の相対的な関係を意味する。
そして、モノマーの反応(反応物の生成)により、膜状体において照射領域の屈折率が低下する場合、当該部分が側面クラッド部となり、照射領域の屈折率が上昇する場合、当該部分がコア部となる。なお、後述する工程の説明では、前者の場合を例に説明する。
このようなモノマーとしては、重合可能な部位を有する化合物であればよく、特に限定されないが、たとえば、ノルボルネン系モノマー、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、エポキシ系モノマー、スチレン系モノマー、環状エーテル基を有するモノマー、環状エーテル基を有するオリゴマーが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、モノマーとしては、ノルボルネン系モノマー、環状エーテル基を有するモノマー、環状エーテル基を有するオリゴマーを用いるのが好ましい。ノルボルネン系モノマーを用いることにより、光伝送性能に優れ、かつ、耐熱性および柔軟性に優れる光導波路形成用フィルムが得られる。
ここで、ノルボルネン系モノマーとは、下記式(16)で示されるノルボルネン骨格を少なくとも1つ含むモノマーを総称し、例えば、下記式(17)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005560882
Figure 0005560882
無置換の炭化水素基(ハイドロカルビル基)としては、例えば、直鎖状または分岐状の炭素数1〜10(C〜C10)のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C〜C10のアルケニル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C〜C10)のアルキニル基、炭素数4〜12(C〜C12)のシクロアルキル基、炭素数4〜12(C〜C12)のシクロアルケニル基、炭素数6〜12(C〜C12)のアリール基、炭素数7〜24(C〜C24)のアラルキル基(アリールアルキル基)等が挙げられ、その他、RおよびR、RおよびRが、それぞれ炭素数1〜10(C〜C10)のアルキリデニル基であってもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基およびデシル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基およびシクロヘキセニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基および2−ブチニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロオクチル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基およびアントラセニル(anthracenyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
アラルキル(aralkyl)基の具体例としては、ベンジル基およびフェニルエチル(フェネチル:phenethyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、アルキリデニル(alkylidenyl)基の具体例としては、メチリデニル(methylidenyl)基およびエチリデニル(ethylidenyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
置換された炭化水素基としては、前記の炭化水素基が有する水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたもの、すなわち、ハロハイドロカルビル(halohydrocarbyl)基、パーハロハイドロカルビル(perhalohydrocarbyl)基であるか、パーハロカルビル(perhalocarbyl)基のようなハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
これらのハロゲン化炭化水素基において、水素原子に置換するハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素および臭素から選択される少なくとも1種が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
このうち、パーハロゲン化された炭化水素基(パーハロハイドロカルビル基、パーハロカルビル基)の具体例としては、例えば、パーフルオロフェニル基、パーフルオロメチル基(トリフルオロメチル基)、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
なお、ハロゲン化アルキル基には、炭素数1〜10のもの以外に、炭素数11〜20のものも好適に用いることができる。すなわち、ハロゲン化アルキル基には、部分的または完全にハロゲン化され、直鎖状または分岐状をなし、一般式:−CX’’2Z+1で表される基を選択することができる。ここで、X’’は、それぞれ独立して、ハロゲン原子または水素原子を表し、Zは、1〜20の整数を表す。
また、置換された炭化水素基としては、ハロゲン原子の他、直鎖状または分岐状の炭素数1〜5(C〜C)のアルキル基またはハロアルキル基、アリール基およびシクロアルキル基で更に置換された、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基(アラアルキル基)等が挙げられる。
また、官能置換基としては、例えば、−(CH−CH(CF−O−Si(Me)、−(CH−CH(CF−O−CH−O−CH、−(CH−CH(CF−O−C(O)−O−C(CH、−(CH−C(CF−OH、−(CH−C(O)−NH、−(CH−C(O)−Cl、−(CH−C(O)−O−R、−(CH)n−O−R、−(CH−O−C(O)−R、−(CH−C(O)−R、−(CH−O−C(O)−OR、−(CH−Si(R、−(CH−Si(OR、−(CH−O−Si(Rおよび−(CH−C(O)−OR等が挙げられる。
ここで、前記各式において、それぞれ、nは、0〜10の整数を示し、Rは、それぞれ独立して、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜20(C〜C20)アルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜20(C〜C20)のハロゲン化もしくはパーハロゲン化アルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C〜C10)のアルケニル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C〜C10)のアルキニル基、炭素数5〜12(C〜C12)のシクロアルキル基、炭素数6〜14(C〜C14)のアリール基、炭素数6〜14(C〜C14)のハロゲン化もしくはパーハロゲン化アリール基または炭素数7〜24(C〜C24)のアラルキル基を表す。
なお、Rで示される炭化水素基は、R〜Rで示されるものと同一の炭化水素基を示す。R〜Rで示すように、Rで示される炭化水素基は、ハロゲン化またはパーハロゲン化されていてもよい。
例えば、Rが炭素数1〜20(C〜C20)のハロゲン化またはパーハロゲン化アルキル基である場合、Rは、一般式:−CX’’2Z+1で表される。ここで、zおよびX’’は、それぞれ、上記の定義と同じであり、X’’の少なくとも1つは、ハロゲン原子(例えば、臭素原子、塩素原子またはフッ素原子)である。
ここで、パーハロゲン化アルキル基とは、前記一般式において、すべてのX’’がハロゲン原子である基であり、その具体例としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、−C15、−C1123が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
パーハロゲン化アリール基の具体例としては、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、Rとしては、例えば、−C(CH、−Si(CH、−CH(R)−O−CHCH、−CH(R)OC(CHおよび下記式(18)の環状基等が挙げられる。
Figure 0005560882
ここで、Rは、水素原子、あるいは直鎖状または分岐状の炭素数1〜5(C〜C)のアルキル基を表す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル、ペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基が挙げられる。
なお、上記式(18)で表される環状基では、環構造から延びる単結合と酸置換基との間でエステル結合が形成される。
の具体例としては、例えば、1−メチル−1−シクロヘキシル基、イソボルニル(isobornyl)基、2−メチル−2−イソボルニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、テトラヒドロフラニル(tetrahydrofuranyl)基、テトラヒドロピラノイル(tetrahydropyranoyl)基、3−オクソシクロヘキサノイル(3−oxocyclohexanonyl)基、メバロンラクトニル(mevalonic lactonyl)基、1−エトキシエチル基、1−t−ブトキシエチル基等が挙げられる。
また、他のRとしては、例えば、下記式(19)で表されるジシクロプロピルメチル基(Dcpm)、ジメチルシクロプロピルメチル基(Dmcp)等が挙げられる。
Figure 0005560882
また、前記ノルボルネン系モノマーに代えて、または、前記モノマーとともに架橋性モノマー(架橋剤)を用いることもできる。この架橋性モノマーは、後述する触媒前駆体の存在下で、架橋反応を生じ得る化合物である。
架橋性モノマーを用いることにより、次のような利点がある。すなわち、架橋性モノマーは、より速く重合するので、光導波路形成用フィルムの形成に要する時間を短縮することができる。また、架橋性モノマーは、加熱しても蒸発し難いので、蒸気圧の上昇を抑えることができる。さらに、架橋性モノマーは、耐熱性に優れるため、光導波路形成用フィルムの耐熱性を向上させることができる。
架橋性ノルボルネン系モノマーとしては、連続多環環系(fused multicyclic ring systems)の化合物と、連結多環環系(linked multicyclic ring systems)の化合物とがある。
連続多環環系の化合物(連続多環環系の架橋性ノルボルネン系モノマー)としては、下記式(20)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005560882
なお、簡略化のため、ノルボルナジエン(norbornadiene)は、連続多環環系に含まれ、重合性ノルボルネン系二重結合を含むものと考えることとする。
この連続多環環系の化合物の具体例としては、下記式(21)で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
Figure 0005560882
一方、連結多環環系の化合物(連結多環環系の架橋性ノルボルネン系モノマー)としては、下記式(22)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005560882
ここで、二価の置換基とは、端部にノルボルネン構造に結合し得る結合手を2つ有する基のことを言う。
二価の炭化水素基(ハイドロカルビル基)の具体例としては、一般式:−(C2d)−で表されるアルキレン基(dは、好ましくは1〜10の整数を表す。)と、二価の芳香族基(アリール基)とが挙げられる。
二価のアルキレン基としては、直鎖状または分岐状の炭素数1〜10(C〜C10)のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基が挙げられる。
なお、分岐アルキレン基は、主鎖の水素原子が、直鎖状または分岐状のアルキル基で置換されたものである。
一方、二価の芳香族基としては、二価のフェニル基、二価のナフチル基が好ましい。また、二価のエーテル基は、−R10−O−R10−で表される基である。ここで、R10は、それぞれ独立して、Rと同じものを表す。
この連結多環環系の化合物の具体例としては、下記式(23)〜(27)で表される化合物の他、下記式(28)、(29)で表されるフッ素含有化合物(フッ素含有架橋性ノルボルネン系モノマー)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
Figure 0005560882
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この化学式(24)で表される化合物は、ジメチルビス[ビシクロ[2.2.1]へプト−2−エン−5−メトキシ]シランであり、またの命名では、ジメチルビス(ノルボルネンメトキシ)シラン(「SiX」と略される。)と呼ばれる。
Figure 0005560882
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各種の架橋性ノルボルネン系モノマーの中でも、特に、ジメチルビス(ノルボルネンメトキシ)シラン(SiX)が好ましい。SiXは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位および/またはアラルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むノルボルネン系ポリマーに対して十分に低い屈折率を有する。このため、後述する活性放射線を照射する照射領域の屈折率を確実に低くして、側面クラッド部とすることができる。また、コア部と側面クラッド部との間における屈折率差を大きくすることができ、コア層(光導波路)の特性(光伝送性能)の向上を図ることができる。
環状エーテル基を有するモノマー、環状エーテル基を有するオリゴマーとしては、例えば、オキセタニル基あるいは、エポキシ基を有するものが挙げられる。このような環状エーテル基は、酸により開環しやすく、重合反応が進行しやすいため好ましい。モノマーおよびオリゴマーの拡散性を考慮すると、このモノマー、オリゴマーの分子量(重量平均分子量)は、それぞれ100以上、400以下であることが好ましい。
オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーとしては、下記式(30)〜(39)の群から選ばれるものが好ましい。これらを使用することで波長850nm近傍での透明性に優れ、可撓性と耐熱性の両立が可能という利点がある。また、これらを単独でも混合して用いても差し支えない。
Figure 0005560882
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式(39)で表される化合物は、3−(シクロヘキシロキシ)メチル−3−エチルオキセタンであり、「CHOX」と略される場合もある。
なかでも、前記樹脂との屈折率差を確保する観点から式(32)、(34)、(35)、(36)、(39)を使用することが好ましい。
さらには、前記樹脂との屈折率差がある点、分子量が小さく、モノマーの運動性が高い点、モノマーが容易に揮発しない点を考慮すると、式(39)、式(34)を使用することがとくに好ましい。
また、オキセタニル基を有する化合物としては、以下の式(40)、式(41)を使用することができる。式(40)は、東亞合成製の商品名TESOX等、式(41)は、東亞合成製の商品名OX−SQ等を使用することができる。
Figure 0005560882
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また、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとしては、たとえば、以下のようなものがあげられる。このエポキシ基を有するモノマー、オリゴマーは、酸の存在下において開環により重合するものである。
エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとしては、下記式(42)〜(47)に示すものを使用することができる。なかでも、エポキシ環のひずみエネルギーが大きく反応性に優れるという観点から脂環式エポキシモノマー(44)〜(47)を使用することが好ましい。
なお、式(42)は、エポキシノルボルネンであり、たとえば、プロメラス社製 EpNBを使用することができる。式(43)は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、たとえば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 Z−6040を使用することができる。また、式(44)は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであり、たとえば、東京化成製 E0327を使用することができる。
さらに、式(45)は、3、4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3、'4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレートであり、たとえば、ダイセル化学社製 セロキサイド2021Pを使用することができる。また、式(46)は、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンであり、ダイセル化学社製 セロキサイド2000を使用することができる。
さらに、式(47)は、1,2:8,9ジエポキシリモネンであり、たとえば、(ダイセル化学社製 セロキサイド3000)を使用することができる。
Figure 0005560882
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さらに、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーと、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとが併用されていてもよい。
なお、以上のようなモノマー、オリゴマーは、単独または任意に組み合わせて用いるようにしてもよい。
例えば、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーは重合を開始する開始反応が遅いが、生長反応が速い。これに対し、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーは、重合を開始する開始反応が速いが、生長反応が遅い。そのため、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーと、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとを併用することで、光を照射した際に、光照射部分と、未照射部分との屈折率差を確実に生じさせることができる。
これらのモノマー、オリゴマーは、前記樹脂100重量部に対し1重量部以上、50重量部以下であることが好ましい。なかでも2重量部以上、30重量部以下が好ましい。これにより、コア/クラッド間の屈折率変調を可能にし、可撓性と耐熱性との両立が図れるという効果がある。
触媒前駆体(第2の物質)は、前記のモノマーの反応(たとえば、重合反応、架橋反応)を開始させ得る物質であり、後述する活性放射線の照射により活性化した助触媒(第1の物質)の作用により、活性化温度が変化する物質である。
この触媒前駆体としては、活性放射線の照射に伴って活性化温度が変化(上昇または低下)するものであれば、いかなる化合物を用いてもよいが、特に、活性放射線の照射に伴って活性化温度が低下するものが好ましい。これにより、比較的低温による加熱処理で光導波路形成用フィルムを形成することができ、熱の影響により光導波路形成用フィルムの特性(光伝送性能)が低下するのを防止することができる。
また、活性化温度が低下した状態(活性潜在状態)において、触媒前駆体としては、その活性化温度が本来の活性化温度よりも10〜80℃程度(好ましくは、10〜50℃程度)低くなるものが好ましい。これにより、コア部と側面クラッド部との間に屈折率差を確実に生じさせることができる。
かかる触媒前駆体としては、Pd(OAc)(P(i−Pr)およびPd(OAc)(P(Cy)のうちの少なくとも一方を含む(主とする)ものが好適である。
助触媒は、活性放射線の照射によって活性化して、前記の触媒前駆体の活性化温度(モノマーに反応を生じさせる温度)を変化させ得る物質である。
この助触媒としては、活性放射線の照射により、その分子構造が変化(反応または分解)して活性化する化合物であれば、いかなるものでも用いることができるが、特定波長の活性放射線の照射によって分解し、プロトンや他の陽イオンのカチオンと、触媒前駆体の脱離基に置換し得る弱配位アニオン(WCA)とを発生する化合物(光開始剤)を含む(主とする)ものが好適に用いられる。
弱配位アニオンとしては、たとえば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン(FABA−)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6−)が挙げられる。
この助触媒(光酸発生剤または光塩基発生剤)としては、たとえば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩やヘキサフルオロアンチモン酸塩の他、テトラキス(ベンタフルオロフェニル)ガリウム酸塩、アルミン酸塩類、アンチモン酸塩類、他のホウ酸塩類、ガリウム酸塩類、カルボラン類、ハロカルボラン類が挙げられる。
前記光導波路用塗布液中には、必要に応じて、増感剤を添加するようにしてもよい。
増感剤は、活性放射線に対する助触媒の感度を増大して、助触媒の活性化(反応または分解)に要する時間やエネルギーを減少させる機能や、助触媒の活性化に適する波長に活性放射線の波長を変化させる機能を有するものである。
このような増感剤としては、助触媒の感度や増感剤の吸収のピーク波長に応じて適宜選択され、特に限定されないが、たとえば、9,10−ジブトキシアントラセン(CAS番号第76275−14−4番)のようなアントラセン類、キサントン類、アントラキノン類、フェナントレン類、クリセン類、ベンツピレン類、フルオラセン類、ルブレン類、ピレン類、インダンスリーン類、チオキサンテン−9−オン類が挙げられ、これらを単独または混合物として用いられる。
増感剤の具体例としては、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、フェノチアジンまたはこれらの混合物が挙げられる。
前記光導波路用塗布液の増感剤の合有量は、特に限定されないが、0.01重量%以上であるのが好ましく、0.5重量%以上であるのがより好ましく、1重量%以上であるのがさらに好ましい。なお、上限値は、5重量%以下であるのが好ましい。
さらに、前記光導波路塗布液中には、酸化防止剤を添加することができる。これにより、望ましくないフリーラジカルの発生や、ポリマー115の自然酸化を防止することができる。その結果、得られたコア層の特性の向上を図ることができる。
前記光導波路用塗布液に用いられるポリマーが液状のものであれば無溶媒でも良いが、その場合は薄いフィルムを得るのが困難になる。したがって、ポリマーおよびその他の添加物を溶媒に溶かし溶液として使用する事が好ましい。
前記溶媒はそれぞれの材料において均一に溶解できるものを適宜使用できる。溶媒の添加量を変えて樹脂濃度を調整することで目的の厚みの光導波路形成用フィルムを容易に製造するための光導波路用塗布液を得ることができる。
前記光導波路用塗布液の調製に用いる溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒等の各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
本発明の光導波路形成用フィルムについて説明する。本発明の光導波路形成用フィルムは、前述の光導波路形成用フィルムの製造方法により製造された光導波路形成用フィルムである。これにより、寸法変化が小さく、素子との接合が容易で、接合損失の小さい光導波路形成用フィルムとすることができる。
前述の光導波路形成用フィルムの製造方法の説明においては、コア層1を製造する場合について説明したが、光導波路形成用塗布液を下記の組成とすることにより、各クラッド層3、4も同様の製造方法により製造することができる。
各クラッド層3、4を形成する際の光導波路用塗布液は、特に制限されないが、光導波路中のクラッド層を形成させるために用いることが可能な公知のポリマーを適宜用いることができ、例えば、環状オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂等のポリマーや、これらのポリマーの1種又は2種以上を組み合わせたポリマーアロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体、架橋体等が好適なものとして挙げられる。なお、このような樹脂を含有するクラッド層を備える光導波路において、コア部を導光路として十分に機能させるためには、クラッド層の屈折率をコア部の屈折率よりも低くする必要がある。そのため、クラッド層にはコア層を形成する樹脂よりも屈折率が低い樹脂を選択して用いることが好ましい。
本発明では上記クラッド層用の樹脂を主成分とする樹脂組成物をそのままあるいは溶媒に溶解して塗布液として使用する。溶媒はそれぞれの材料において均一に溶解できるものを適宜使用できる。溶媒の添加量を変えて樹脂濃度を調整することで目的の厚みの光導波路を容易に製造するための塗布液を得ることができる。
前記光導波路用塗布液の調製に用いる溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒等の各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
次に、光導波路について説明する。
光導波路5は、長尺状のコア部11と、このコア部11を囲むように設けられた側面クラッド部12とが形成されたコア層1と、このコア層1の下方に積層された下部クラッド層3と、コア層1の上方に積層された上部クラッド層4とを有する。
上記の構成の光導波路5では、コア部1は、その側面を、側面クラッド部12および各クラッド層3、4で囲まれた状態となる。なお、以下では、側面クラッド部12および各クラッド層3、4をまとめてクラッド部ともいう。
光導波路5では、コア部11の一方の端部に入射された光を、コア部11とクラッド部との界面で全反射させ、他方の端部側に伝搬することにより、他方の端部から取り出すことができる。これにより、2点間において光通信を行うことができる。
コア部11の屈折率は、クラッド部の屈折率より大きければよいが、その差は、0.5%以上であるのが好ましく、0.8%以上であるのがより好ましい。一方、上限値は、特に設定されなくてもよいが、好ましくは5.5%程度とされる。屈折率の差が前記下限値未満であると光を伝達する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えても、光の伝送効率のそれ以上の増大は期待できない。
なお、前記屈折率差とは、コア部11の屈折率をA、クラッド部の屈折率をBとしたとき、次式で表される。
屈折率差(%)=|A/B−1|×100
以上のようなコア層1、下部クラッド層3および上部クラッド層4の3層が積層されてなる光導波路5の積層方法について説明する。
図1は、フィルム基材2上にコア層1となる光導波路形成用フィルムを作製し、フィルム基材を剥離して、コア層1の上下に上部クラッド層4、下部クラッド層3をそれぞれ接着する方法を示す断面図である。フィルム基材2は、前述したような離型処理が施されたものであっても良い。この場合、各クラッド層3、4として、従来から使用されているものを用いても良いし、上述の光導波路形成用フィルムの製造方法により製造されたクラッド層用の光導波路形成用フィルムを用いても良い。上下クラッド層を接着する方法は特に限定されないが、電熱プレスや熱ラミネートなどの方法を用いることが出来る。
一方、図2は、フィルム基材2上に下部クラッド層3となる光導波路形成用フィルムを形成し、下部クラッド層3の上に、コア層用の光導波路用塗布液によりコア層1となる光導波路形成用フィルムを形成し、最後に、コア層1の上に、クラッド層用の光導波路用塗布液により上部クラッド層4を形成する方法を示す断面図である。このような形成方法においても、フィルム基材2は、前述したような離型処理が施されたものであっても良い。また、図2は、上部クラッド層4を積層した後に、フィルム基材2を下部クラッド層3から剥離した場合について説明する図であるが、コア層1形成後にフィルム基材2を下部クラッド層3から剥離した後に、コア層1上に上部クラッド層4を形成する方法でも良い。上部クラッド層を接着する方法は特に限定されないが、電熱プレスや熱ラミネートなどの方法を用いることが出来る。
本発明の光配線は、上述したような光導波路5を有している。これにより、高密度配線基板上の任意の箇所に光配線を行うことが可能となる。
また、本発明の光電気混載基板は、電気配線と、上述したような光導波路5を有する光配線とを有している。これにより、従来の電気配線で問題となっていたEMI(電磁波障害)の改善が可能となり、従来よりも信号伝達速度を大幅に向上することができる。
また、本発明の電子機器は、上述したような光導波路10を有している。これにより、省スペース化を図ることができる。このような電子機器としては、具体的にはコンピューター、サーバー、携帯電話、ゲーム機器、メモリーテスター、外観検査ロボット等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
1.光導波路形成用フィルム(コア層)の製造
1−1.フィルム基材
フィルム基材として、低熱収縮PETフィルム テトロン(R)フィルムSLA−50(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。前記低熱収縮PETフィルムを150℃、1時間加熱したところ寸法収縮が長手方向で0.2%、幅方向で0%と寸法安定性に優れたフィルム材料であることが確認できた。
1−2.離型処理
オキセタニル基含有シルセスキオキサン化合物OX−SQ−ME20(東亞合成株式会社製)(8.0g)、脂環式エポキシ樹脂セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製)(2.0g)、光酸発生剤オプトマーSP−170(株式会社ADEKA製)(0.3g)およびメチルエチルケトン(90g)を攪拌混合し離型処理用塗布液を得た。
前記低熱収縮PETフィルムにバーコータで前記離型処理用塗布液をコーティングし、熱風乾燥機にて45℃、5分間乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmのUV照射により硬化することで、離型処理された低熱収縮PETフィルム(以下、離型処理PETフィルムとする)を得た。
1−3.光導波路用塗布液の作製
ヘキシルノルボルネン(HxNB)(8.94g、0.05mol)、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン (diphNB)(16.1g、0.05mol)、1−ヘキセン(4.2g、0.05mol)およびトルエン(142.0g)を250mLのシーラムボトルに封入し、オイルバスで120℃になるように加熱して混合した。この溶液に[Pd(PCy(OCCH)(NCCH)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Pd1446)(5.8E−3g、4.0E−6mol)およびN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(DANFABA)(3.2E−3g、4.0E−6mol)を、0.5mlのジクロロメタンに溶解させ、前記溶液に添加した。添加後、得られた溶液を120℃に維持しながら、6時間攪拌し反応させた。次に、勢いよく攪拌されている溶液に、メタノールを滴下し、共重合体を沈殿させた。沈殿した共重合体はろ過により回収し、オーブン中で、真空下、80℃の条件で8時間乾燥させた。乾燥後の重量は12.0gであった(収率48%)。
共重合体の分子量をTHF溶媒中でGPCにより測定すると、ポリスチレン換算において、Mw=16,196およびMn=8,448であった。共重合体の組成を1H−NMRで測定すると、HxNB/diPhNBのモル比は54/46であった。共重合体の屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmにおいて、TEモードで1.5569であり、TMモードで1.5555であった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して樹脂成分30wt%の樹脂溶液とした。
上述の樹脂溶液10.0gに、3−(シクロヘキシロキシ)メチル−3−エチルオキセタン(CHOX)(0.72g、0.00363mol)、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074(CAS 178233−72−2、 ニュージャージー州クランベリー Rhodia Inc社製)(2.55E−3g、2.516E−6mol、メチレンクロライド0.1mL中)を加えて均一に混合し、0.2ミクロンの細孔のフィルターでろ過して光導波路用塗布液を得た。
1−4.光導波路形成用フィルム(コア層)の作製
前記光導波路用塗布液を、ドクターブレードによって前述の離型処理PETフィルム上に均一に塗布した後、45℃の乾燥機において15分間乾燥させた。溶剤を完全に除去した後、50μm幅のラインが0.25mmピッチで8本並んだパターンのフォトマスクを、離型処理PETフィルムの長尺方向とマスクのラインが垂直となるように圧着して、紫外線を500mJ/cmで選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中150℃で1時間の加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れた光導波路形成用フィルムを確認した。得られた光導波路形成用フィルムを離型処理PETフィルムから剥離して厚みが約50μmの単層の光導波路形成用フィルム(コア層)を得た。
2.光導波路形成用フィルム(クラッド層)の製造
2−1.フィルム基材
フィルム基材として、ポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、Upilex)を用いた。前記ポリイミドフィルムについて160℃/2時間の加熱処理をしたが、どの方向においても寸法変化は見られなかった。
2−2.光導波路用塗布液の作製
環状オレフィン系樹脂を含むノルボルネン系樹脂組成物(プロメラス社製 Avatrel2590の20重量%2−ヘプタノン溶液、10g)に、2−ウンデシルメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、品番C11Z)(0.06g)を添加して混合し、光導波路用塗布液を得た。この光導波路用塗布液を、2枚の前記ポリイミドフィルムの上にドクターブレードでそれぞれ均一に塗布した後、45℃の乾燥機において15分間乾燥させた。溶剤を完全に除去した後、乾燥機中160℃で2時間加熱して、塗膜を硬化させて、光導波路形成用フィルム(クラッド層)を2枚形成した。
得られた2枚の光導波路形成用フィルム(クラッド層)の厚さは、共に20μmであり、無色透明であり、屈折率は1.52(測定波長;633nm)であった。
3.光導波路の製造
前記光導波路形成用フィルム(コア層)の両面に、前記光導波路形成用フィルム(クラッド層)を、ラミネータで積層して、積層体を得た。得られた積層体を160℃、2時間の条件で熱処理して、光導波路を得た。
4.光導波路の評価
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.04dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに光導波路の寸法精度の評価として、8本あるコアラインの1番目と8番目の中心の距離を測長機能付き顕微鏡で測定したところ、1747μmでありフォトマスクの設計に対して3μm収縮していた。
次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を行った。フォトマスクの設計と一致させた寸法の250μピッチ8芯の光ファイバアレイ(コア径62.5μm)を使用して光の入出力を行う光学測定を実施した。得られた導波路を1cm長に切断し、入出力用光ファイバアレイのそれぞれ1番目のファイバと、導波路の1番目コアラインの中心を合わせて光導波路をはさみ挿入損失値を測定した。その結果、中心を合わせた1番目のラインでは0.19dB、一方8番目のラインでは0.22dBでありコネクタと結合した場合でも位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路を確認した。
(実施例2)
1.光導波路の作製
光導波路形成用フィルム(コア層)の製造に用いるフィルム基材として、低熱収縮ポリエチレンナフタレートフィルム、テオネックス(R)Q83−50(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で光導波路を作製した。前記ポリエチレンナフタレートフィルムを150℃、1時間の条件で加熱したところ、寸法収縮が長手方向で0.2%、幅方向で0%と寸法安定性にすぐれたフィルム材料であることを確認した。
2.光導波路の評価
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.04dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに導波路の寸法精度の評価を、実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1748μmであり、フォトマスクの設計に対して2μm収縮していた。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を、実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.18dB、8番目のラインでは0.20dBと位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路であることが分かった。
(実施例3)
光導波路の作製
光導波路形成用フィルム(コア層)の製造に用いるフィルム基材として、アニール処理を施したシリコーン離型処理PETフィルム、ピューレックス(R)A54タイプ(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、実施例1に記載の離型処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法で光導波路を作製した。用いたシリコーン離型処理PETフィルムを150℃、1時間の条件で加熱したところ、寸法収縮が長手方向で0.2%、幅方向で0.1%と寸法安定性にすぐれたフィルム材料であることが確認できた。
2.光導波路の評価
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.05dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1745μmであり、フォトマスクの設計に対して5μm収縮していた。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.22dB、8番目のラインでは0.25dBと位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路であることが分かった。
(実施例4)
光導波路形成用フィルム(下部クラッド層)の製造
1−1.フィルム基材
フィルム基材として、ポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、Upilex)を用いた。用いたポリイミドフィルムについて160℃/2時間の加熱処理をしたが、どの方向においても寸法変化は見られなかった。
1−2.光導波路用塗布液の作製
オキセタニル基含有シルセスキオキサン化合物OX−SQ−ME20(東亞合成株式会社製)(2.0g)、脂環式エポキシ樹脂セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製)(8.0g)、光酸発生剤オプトマーSP−170(株式会社ADEKA製)(0.3g)を攪拌混合し光導波路用塗布液(下部クラッド層)を得た。
1−3.光導波路形成用フィルムの作製
前記ポリイミドフィルム上にバーコータで前記光導波路用塗布液(下部クラッド層)をコーティングし、超高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmのUV照射により硬化し、密着性を確保するため下部クラッド層にコロナ処理をして、ポリイミドフィルム上に光導波路形成用フィルム(下部クラッド層)を作製した。
2.光導波路の作製
2−1.コア層の形成
実施例1に用いたものと同じ光導波路用塗布液(コア層)を、ドクターブレードによって、前述のポリイミドフィルム上に形成された光導波路形成用フィルム(下部クラッド層)上に均一に塗布した後、45℃の乾燥機において15分間乾燥させた。溶剤を完全に除去した後、50μm幅のラインが0.25mmピッチで8本並んだパターンのフォトマスクを前記ポリイミドフィルムの長尺方向とマスクのラインが垂直となるように圧着して、紫外線を500mJ/cmで選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中150℃で1時間の加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れたコア層が確認された。
2−2.上部クラッド層の形成
実施例1と同様にして、光導波路形成用フィルム(クラッド層)を作製し、前記コア層の上にラミネータで積層して、積層体を得た。得られた積層体を160℃、2時間の条件で熱処理して最終的に光導波路を得た。
3.光導波路の評価
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.04dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに光導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1750μmでありフォトマスクの設計に合致した寸法であった。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.18dB、8番目のラインでは0.19dBと位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路であることが分かった。
(実施例5)
1.光導波路の作製
フィルム基材としてポリイミドフィルム(株式会社カネカ社製、アピカル)を用いた以外は実施例4と同様の方法で光導波路を作製し評価を実施した。用いたポリイミドフィルムについて160℃/2時間の加熱処理をしたが、どの方向においても寸法変化は見られなかった。
2.光導波路の評価
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.04dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに光導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1750μmであり、フォトマスクの設計に合致した寸法であった。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.20dB、8番目のラインでは0.21dBと位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路であることが分かった。
(実施例6)
1.光導波路の作製
フィルム基材として低熱収縮PETフィルム テトロン(R)フィルムSLA−50(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた以外は実施例4と同様の方法で光導波路を作製し評価を実施した。用いた低熱収縮PETフィルムについて160℃/2時間の加熱処理をしたところ、寸法収縮が長手方向で0.3%、幅方向で0.1%と寸法安定性にすぐれたフィルム材料であることが確認できた。
2.光導波路の評価
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.05dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに光導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1745μmでありフォトマスクの設計に対して5μm収縮していた。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.20dB、8番目のラインでは0.25dBと位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路であることが分かった。
(比較例1)
1.光導波路の作製
実施例1の1.光導波路形成用フィルム(コア層)の製造および2.光導波路形成用フィルム(クラッド層)の製造において、フィルム基材として、汎用の50μ厚のPETフィルムを用いた以外は実施例1と同様の方法で光導波路を作製した。前記PETフィルムを150℃、1時間の条件で加熱したところ、寸法収縮が長手方向で1.3%、幅方向で0.5%とかなりの収縮が見られた。
2.光導波路の評価
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.04dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1725μmであり、フォトマスクの設計に対して25μm収縮していた。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.20dBであったにも関わらず、8番目のラインでは7.8dBとなり位置ずれによる光損失の増大が見られた。
(比較例2)
1.光導波路の作製
実施例4のフィルム基材として、汎用の50μ厚のPETフィルムを用いた以外は実施例4と同様の方法で光導波路を作製した。用いたPETフィルムについて160℃/2時間の加熱処理をしたところ寸法収縮が長手方向で1.8%、幅方向で0.8%とかなりの寸法収縮が見られた。
2.光導波路の評価
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.05dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに光導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1715μmであり、フォトマスクの設計に対して35μm収縮していた。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.24dBであったにも関わらず8番目のラインでは15.3dBとなり、位置ずれによる光損失の増大が見られた。
実施例1〜6で得られた光導波路は、寸法精度が高く、加熱工程前後での寸法変化が小さいことが確認された。また、これにより、コネクタと結合した場合に位置ずれが小さくなるため、各ラインの光損失が低く優れた導波路であることが確認された。一方、比較例1、2で得られた光導波路は、加熱工程前後での寸法変化が大きく、中心を合わせた1番目のラインから最も遠い8番目のラインでの光損失が大きいことが確認された。
このような光導波路を使用した光配線、光電気子混載基板および電子機器は優れた性能を有していることが期待される。
本発明によれば、寸法精度に優れた光導波路形成用フィルムを製造できる。これにより、寸法精度に優れた光導波路を効率よく製造することが可能であり、高品質な伝送性能を有する光導波路、光配線、光電気混載基板さらに電子機器を提供することが可能となった。
1 コア層
11 コア部
12 側面クラッド部(活性放射線6が照射された部分)
13 光導波路形成用フィルム(コア層用)
2 フィルム基材
3 下部クラッド層
4 上部クラッド層
5 光導波路
6 活性放射線
7 マスク

Claims (16)

  1. フィルム基材の上に環状オレフィン系樹脂を含む光導波路用塗布液を塗布して、膜状体とする製膜工程と、前記膜状体を加熱する加熱工程と、を有する光導波路形成用フィルムの製造方法であって、前記フィルム基材は、シルセスキオキサンを有するハードコートを用い離型処理されているものであり、予め加熱処理をして長尺方向の加熱収縮率が0.5%以下になったものを用いることを特徴とする光導波路形成用フィルムの製造方法。
  2. 前記製膜工程の後に、パターニング工程を有するものである請求項1に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
  3. 前記パターニング工程は、フォトマスクを介して前記膜状体を露光することにより、光導波路をパターニングするパターニング工程である請求項1又は2に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
  4. 前記加熱工程の後に、前記光導波路をフィルム基材から剥離する工程を有するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
  5. 前記フィルム基材がポリイミドである請求項1ないし4のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
  6. 前記フィルム基材がポリエステルである請求項1ないし4のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
  7. 前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項6に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
  8. 前記シルセスキオキサンを有するハードコートに含まれるシルセスキオキサンの含有量は、ハードコート全体の10wt%以上である請求項1ないし7のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
  9. 前記シルセスキオキサンを有するハードコートは、さらに、エポキシモノマーを含むものである請求項1ないし7のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
  10. 前記エポキシモノマーは、脂環式エポキシモノマーである請求項9に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
  11. 前記光導波路用塗布液がノルボルネン系樹脂を含有するものである請求項1ないし10のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法で得られることを特徴とする光導波路形成用フィルム。
  13. 請求項12に記載の光導波路形成用フィルムを用いて形成されることを特徴とする光導波路。
  14. 請求項13に記載の光導波路を備えたことを特徴とする光配線。
  15. 電気配線と、請求項14に記載の光配線とを有することを特徴とする光電気混載基板。
  16. 請求項13に記載の光導波路を備えたことを特徴とする電子機器。
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