JP5560882B2 - 光導波路形成用フィルムの製造方法、光導波路形成用フィルム、光導波路、光配線、光電気混載基板ならびに電子機器 - Google Patents
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Description
特許文献1にはその様な問題を解決するための手段が記載されているが、硬質基板を用いる特殊なプロセスが必要になるため、大型化、大量生産が困難であるという問題が残されていた。
(1) フィルム基材の上に環状オレフィン系樹脂を含む光導波路用塗布液を塗布して、膜状体とする製膜工程と、前記膜状体を加熱する加熱工程と、を有する光導波路形成用フィルムの製造方法であって、前記フィルム基材は、シルセスキオキサンを有するハードコートを用い離型処理されているものであり、予め加熱処理をして長尺方向の加熱収縮率が0.5%以下になったものを用いることを特徴とする光導波路形成用フィルムの製造方法。
(2)前記製膜工程の後に、パターニング工程を有するものである上記(1)に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(3)前記パターニング工程は、フォトマスクを介して前記膜状体を露光することにより、光導波路をパターニングするパターニング工程である上記(1)又は(2)に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(4)前記加熱工程の後に、前記光導波路をフィルム基材から剥離する工程を有するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(5)前記フィルム基材がポリイミドである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(6)前記フィルム基材がポリエステルである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(7)前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである上記(6)に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(8)前記シルセスキオキサンを有するハードコートに含まれるシルセスキオキサンの含有量は、ハードコート全体の10wt%以上である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(9)前記シルセスキオキサンを有するハードコートは、さらに、エポキシモノマーを含むものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(10)前記エポキシモノマーは、脂環式エポキシモノマーである上記(9)に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(11) 前記光導波路用塗布液がノルボルネン系樹脂を含有するものである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
(12) 上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法で得られることを特徴とする光導波路形成用フィルム。
(13) 上記(12)に記載の光導波路形成用フィルムを用いて形成されることを特徴とする光導波路。
(14) 上記(13)に記載の光導波路を備えたことを特徴とする光配線。
(15) 電気配線と、上記(14)に記載の光配線とを有することを特徴とする光電気混載基板。
(16) 上記(13)に記載の光導波路を備えたことを特徴とする電子機器。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、導波路形成用フィルムを形成する支持基材として特定の物性のフィルム材料を用いることで寸法精度に優れた光導波路を効率よく製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。さらにそれを用いることで高品質な伝送性能を発揮することが可能な光導波路、光配線、光電気混載基板さらに電子機器を提供することが可能となった。
本発明の光導波路形成用フィルムは、上記製造方法で製造されたことを特徴とする。
本発明の光導波路は上記光導波路形成用フィルムを用いて製造されたことを特徴とする。
本発明の光配線は上記光導波路を備えたことを特徴とする。
本発明の光電気混載基板は電気配線と上記光配線とを有することを特徴とする。
本発明の電子機器は
上記光導波路を備えたことを特徴とする。
本発明の光導波路形成用フィルムの製造方法は、フィルム基材の上に光導波路用塗布液を塗布して、膜状体とする製膜工程と、前記膜状体を加熱する加熱工程とを有する。
以下、本発明の光導波路形成用フィルムを製造する方法について順次説明する。
なお、以下の説明において、光導波路形成用フィルムがコア層1の場合について説明するが、各クラッド層3、4も光導波路形成用フィルムに含まれる。
製膜工程の第一段階はフィルム基材に光導波路用塗布液を塗布して、液状被膜を形成する工程である。光導波路用塗布液の塗布に用いる装置としてはスピンコータ、コンマコータ、ダイコータ、バーコータ、ロールコータ、スプレイコータなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
製膜工程の第二段階はフィルム基材に形成された液状被膜を固形化し、膜状体を形成する工程である。光導波路形成用塗布液が無溶媒の場合は加熱硬化やUV硬化などで固形化する必要があるが、光導波路形成用塗布液が溶媒を含む場合は溶媒を乾燥させることで固形化し膜状体となる。この工程に用いる装置としては熱風乾燥機、遠赤外線乾燥機、スチームオーブン、UV硬化炉、電気炉、コンベア炉などが挙げられるが特に限定はしない。
本発明の加熱工程は、前記膜状体を加熱する工程である。これにより、前記膜状体を硬化させ、耐熱性、長期信頼性を高めることができる。加熱工程に用いる装置は熱風乾燥機、遠赤外線乾燥機、スチームオーブン、UV硬化炉、電気炉、コンベア炉などが挙げられるが特に限定はしない。
加熱の温度条件もフィルム基材、光導波路材料の耐熱範囲内であれば限定されないが、通常の場合40〜280℃の温度範囲で1分〜8時間の加熱を実施することが好ましい。
前記フィルム基材をこのような加熱収縮率とするために、溶融押し出し法で作成されるフィルム基材は、予めフィルム基材を加熱し収縮させる処理(アニール処理)を行っておくことが好ましい。また、キャスト法により作成されたフィルム基材も加熱収縮率が低くなる傾向があるため好ましい。
まず第1番目の例は、光導波路用塗布液として活性放射線の照射によって屈折率が変化するようなものを用いた場合に、膜状体に導波路のパターンが描かれたフォトマスクを介して前記膜状体を露光することにより、光導波路をパターニングする方法である。
第2番目の例は光導波路用の材料としてUV照射によって不溶化するようなものを用いた場合に、膜状体に導波路のパターンが描かれたフォトマスクを被せてUV照射をし、現像液で現像することでパターニングする方法である。
第3番目の例は膜状体にフォトレジストを被膜した後に、フォトマスクを介してUV照射をし、現像液による現像やドライエッチングで像を形成し、レジストを除去することでパターンを形成する方法である。その他の方法としてはレーザー加工機や3次元加工機などで光導波路のパターンを直接加工する方法などが挙げられる。
活性放射線6が照射された部分12では、光導波路形成用フィルム(コア部用)を構成している感光性樹脂組成物中の酸発生剤が光照射により酸を発生し、前記モノマーが重合を開始する。これにより、マトリクス中の未反応モノマーの濃度勾配を解消する力が働き、未照射領域から前記樹脂より屈折率の低いモノマーが一部照射領域へ拡散して重合するために、活性放射線6が照射された部分12の屈折率が相対的に未照射領域よりも低くなる。
また、パターニング工程を前記加熱工程の前に行うことにより、前記加熱工程において、パターニング工程で形成された光導波路パターンのコントラスト(屈折率差)を高めることができる。
本発明の光導波路形成用フィルムは、光導波路のコア層およびクラッド層に用いることができるが、例えば、コア層として用いる場合、前記フィルム基材がクラッド層として機能しない場合や、クラッド材料をコアの両面に塗布あるいは積層して光導波路を形成する場合には、光導波路形成用フィルムをフィルム基材から剥離して、光導波路を形成することがある。また、本発明の光導波路形成用フィルムをクラッド層として用いる場合、前記フィルム基材を保護層として使用しない場合には、剥離しても良い。
光導波路形成用フィルムをフィルム基材から剥離させる方法は、特に限定されないが、そのままコア層を持ち上げてフィルム基材と分離する方法、フィルム全体を細幅にスリットしてから剥離する方法、シールのように光導波路用フィルムをハーフカットしてその部分だけを剥離する方法、水中に浸漬させて剥離する方法などが挙げられる。
前記光導波路形成用フィルムをフィルム基材から剥離する工程が必要となる場合は、前記フィルム基材に予め離型処理を施しておくことが好ましい。これにより、剥離時に光導波路形成用フィルムに対して損傷等生じることなく、フィルム基材から剥離することができる。離型処理の方法としては、プラズマ処理や、ハードコートによる表面処理など従来用いられる方法を適宜使用することができる。
前記オキセタンモノマーは、ポリ[[3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体(東亜合成 OX−SQ−H)などが挙げられる。これにより、前記ハードコートに高い架橋密度を付与することができ、ハードコート上に塗布する光導波路用塗布液の浸透を防止することが出来る。
このようなシルセスキオキセタン構造を有するオキセタンモノマーと、4,4‘−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(宇部興産株式会社 ETERNACOLL OXBP)、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亜合成株式会社 DOX)等のオキセタンモノマーを併用して用いても良い。
このような無機・有機複合材料を用いることにより、前記感光性樹脂組成物の成形体(本発明の光導波路形成用フィルム等)に、高い架橋密度と適度な柔軟性を付与することができる。
(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、
(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、
(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のような付加重合体、
(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げられる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。
R1を有するノルボルネンと、側鎖にエポキシ基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、下記式(2)のNi化合物を触媒に用いて溶液重合させることで式(1)を得る。
DCPD(ジシクロペンタジエン)のクラッキングにより生成したCPD(シクロペンタジエン)とαオレフィン(CH2=CH-CH2−OH)を高温高圧下で反応させる。
ノルボルネンメタノールとエピクロルヒドリンとの反応により生成する。
式(1)で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、可撓性と耐熱性の両立を図ることが可能との観点から、特に、R1が炭素数4〜10のアルキル基であり、aおよびbがそれぞれ1である化合物、例えば、ブチルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー等が好ましい。
さらには、可撓性、耐熱性および屈折率制御の観点から特に、R7が炭素数4〜10のアルキル基であり、X1が酸素原子、X2がシリコン原子、Arがフェニル基、R8がメチル基、iが1、jが2である化合物、例えば、ブチルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、デシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー等が好ましい。
さらに、ノルボルネン系樹脂として、次のようなものを使用してもよい。
具体的には、分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが好ましい。かかる酸離脱性基は、カチオンの作用により比較的容易に離脱する。
たとえば、式(11)で表されるノルボルネン系ポリマーの中で、X1が酸素原子、X2がシリコン原子、Arがフェニル基であるものが脱離性基を有するものとなる。
また、式(12)においては、アルコキシシリル基のSi−O−X3の部分で脱離する場合がある。
具体例として以下のようなものとなる。
エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとしては、下記式(42)〜(47)に示すものを使用することができる。なかでも、エポキシ環のひずみエネルギーが大きく反応性に優れるという観点から脂環式エポキシモノマー(44)〜(47)を使用することが好ましい。
なお、式(42)は、エポキシノルボルネンであり、たとえば、プロメラス社製 EpNBを使用することができる。式(43)は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、たとえば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 Z−6040を使用することができる。また、式(44)は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであり、たとえば、東京化成製 E0327を使用することができる。
さらに、式(45)は、3、4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3、'4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレートであり、たとえば、ダイセル化学社製 セロキサイド2021Pを使用することができる。また、式(46)は、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンであり、ダイセル化学社製 セロキサイド2000を使用することができる。
さらに、式(47)は、1,2:8,9ジエポキシリモネンであり、たとえば、(ダイセル化学社製 セロキサイド3000)を使用することができる。
なお、以上のようなモノマー、オリゴマーは、単独または任意に組み合わせて用いるようにしてもよい。
例えば、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーは重合を開始する開始反応が遅いが、生長反応が速い。これに対し、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーは、重合を開始する開始反応が速いが、生長反応が遅い。そのため、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーと、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとを併用することで、光を照射した際に、光照射部分と、未照射部分との屈折率差を確実に生じさせることができる。
前記溶媒はそれぞれの材料において均一に溶解できるものを適宜使用できる。溶媒の添加量を変えて樹脂濃度を調整することで目的の厚みの光導波路形成用フィルムを容易に製造するための光導波路用塗布液を得ることができる。
光導波路5は、長尺状のコア部11と、このコア部11を囲むように設けられた側面クラッド部12とが形成されたコア層1と、このコア層1の下方に積層された下部クラッド層3と、コア層1の上方に積層された上部クラッド層4とを有する。
屈折率差(%)=|A/B−1|×100
図1は、フィルム基材2上にコア層1となる光導波路形成用フィルムを作製し、フィルム基材を剥離して、コア層1の上下に上部クラッド層4、下部クラッド層3をそれぞれ接着する方法を示す断面図である。フィルム基材2は、前述したような離型処理が施されたものであっても良い。この場合、各クラッド層3、4として、従来から使用されているものを用いても良いし、上述の光導波路形成用フィルムの製造方法により製造されたクラッド層用の光導波路形成用フィルムを用いても良い。上下クラッド層を接着する方法は特に限定されないが、電熱プレスや熱ラミネートなどの方法を用いることが出来る。
1.光導波路形成用フィルム(コア層)の製造
1−1.フィルム基材
フィルム基材として、低熱収縮PETフィルム テトロン(R)フィルムSLA−50(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。前記低熱収縮PETフィルムを150℃、1時間加熱したところ寸法収縮が長手方向で0.2%、幅方向で0%と寸法安定性に優れたフィルム材料であることが確認できた。
オキセタニル基含有シルセスキオキサン化合物OX−SQ−ME20(東亞合成株式会社製)(8.0g)、脂環式エポキシ樹脂セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製)(2.0g)、光酸発生剤オプトマーSP−170(株式会社ADEKA製)(0.3g)およびメチルエチルケトン(90g)を攪拌混合し離型処理用塗布液を得た。
前記低熱収縮PETフィルムにバーコータで前記離型処理用塗布液をコーティングし、熱風乾燥機にて45℃、5分間乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmのUV照射により硬化することで、離型処理された低熱収縮PETフィルム(以下、離型処理PETフィルムとする)を得た。
ヘキシルノルボルネン(HxNB)(8.94g、0.05mol)、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン (diphNB)(16.1g、0.05mol)、1−ヘキセン(4.2g、0.05mol)およびトルエン(142.0g)を250mLのシーラムボトルに封入し、オイルバスで120℃になるように加熱して混合した。この溶液に[Pd(PCy3)2(O2CCH3)(NCCH3)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Pd1446)(5.8E−3g、4.0E−6mol)およびN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(DANFABA)(3.2E−3g、4.0E−6mol)を、0.5mlのジクロロメタンに溶解させ、前記溶液に添加した。添加後、得られた溶液を120℃に維持しながら、6時間攪拌し反応させた。次に、勢いよく攪拌されている溶液に、メタノールを滴下し、共重合体を沈殿させた。沈殿した共重合体はろ過により回収し、オーブン中で、真空下、80℃の条件で8時間乾燥させた。乾燥後の重量は12.0gであった(収率48%)。
共重合体の分子量をTHF溶媒中でGPCにより測定すると、ポリスチレン換算において、Mw=16,196およびMn=8,448であった。共重合体の組成を1H−NMRで測定すると、HxNB/diPhNBのモル比は54/46であった。共重合体の屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmにおいて、TEモードで1.5569であり、TMモードで1.5555であった。乾燥させた共重合体を十分なメシチレンに溶解して樹脂成分30wt%の樹脂溶液とした。
前記光導波路用塗布液を、ドクターブレードによって前述の離型処理PETフィルム上に均一に塗布した後、45℃の乾燥機において15分間乾燥させた。溶剤を完全に除去した後、50μm幅のラインが0.25mmピッチで8本並んだパターンのフォトマスクを、離型処理PETフィルムの長尺方向とマスクのラインが垂直となるように圧着して、紫外線を500mJ/cm2で選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中150℃で1時間の加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れた光導波路形成用フィルムを確認した。得られた光導波路形成用フィルムを離型処理PETフィルムから剥離して厚みが約50μmの単層の光導波路形成用フィルム(コア層)を得た。
2−1.フィルム基材
フィルム基材として、ポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、Upilex)を用いた。前記ポリイミドフィルムについて160℃/2時間の加熱処理をしたが、どの方向においても寸法変化は見られなかった。
2−2.光導波路用塗布液の作製
環状オレフィン系樹脂を含むノルボルネン系樹脂組成物(プロメラス社製 Avatrel2590の20重量%2−ヘプタノン溶液、10g)に、2−ウンデシルメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、品番C11Z)(0.06g)を添加して混合し、光導波路用塗布液を得た。この光導波路用塗布液を、2枚の前記ポリイミドフィルムの上にドクターブレードでそれぞれ均一に塗布した後、45℃の乾燥機において15分間乾燥させた。溶剤を完全に除去した後、乾燥機中160℃で2時間加熱して、塗膜を硬化させて、光導波路形成用フィルム(クラッド層)を2枚形成した。
得られた2枚の光導波路形成用フィルム(クラッド層)の厚さは、共に20μmであり、無色透明であり、屈折率は1.52(測定波長;633nm)であった。
前記光導波路形成用フィルム(コア層)の両面に、前記光導波路形成用フィルム(クラッド層)を、ラミネータで積層して、積層体を得た。得られた積層体を160℃、2時間の条件で熱処理して、光導波路を得た。
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.04dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに光導波路の寸法精度の評価として、8本あるコアラインの1番目と8番目の中心の距離を測長機能付き顕微鏡で測定したところ、1747μmでありフォトマスクの設計に対して3μm収縮していた。
次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を行った。フォトマスクの設計と一致させた寸法の250μピッチ8芯の光ファイバアレイ(コア径62.5μm)を使用して光の入出力を行う光学測定を実施した。得られた導波路を1cm長に切断し、入出力用光ファイバアレイのそれぞれ1番目のファイバと、導波路の1番目コアラインの中心を合わせて光導波路をはさみ挿入損失値を測定した。その結果、中心を合わせた1番目のラインでは0.19dB、一方8番目のラインでは0.22dBでありコネクタと結合した場合でも位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路を確認した。
1.光導波路の作製
光導波路形成用フィルム(コア層)の製造に用いるフィルム基材として、低熱収縮ポリエチレンナフタレートフィルム、テオネックス(R)Q83−50(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で光導波路を作製した。前記ポリエチレンナフタレートフィルムを150℃、1時間の条件で加熱したところ、寸法収縮が長手方向で0.2%、幅方向で0%と寸法安定性にすぐれたフィルム材料であることを確認した。
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.04dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに導波路の寸法精度の評価を、実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1748μmであり、フォトマスクの設計に対して2μm収縮していた。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を、実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.18dB、8番目のラインでは0.20dBと位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路であることが分かった。
光導波路の作製
光導波路形成用フィルム(コア層)の製造に用いるフィルム基材として、アニール処理を施したシリコーン離型処理PETフィルム、ピューレックス(R)A54タイプ(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用い、実施例1に記載の離型処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法で光導波路を作製した。用いたシリコーン離型処理PETフィルムを150℃、1時間の条件で加熱したところ、寸法収縮が長手方向で0.2%、幅方向で0.1%と寸法安定性にすぐれたフィルム材料であることが確認できた。
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.05dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1745μmであり、フォトマスクの設計に対して5μm収縮していた。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.22dB、8番目のラインでは0.25dBと位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路であることが分かった。
光導波路形成用フィルム(下部クラッド層)の製造
1−1.フィルム基材
フィルム基材として、ポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、Upilex)を用いた。用いたポリイミドフィルムについて160℃/2時間の加熱処理をしたが、どの方向においても寸法変化は見られなかった。
オキセタニル基含有シルセスキオキサン化合物OX−SQ−ME20(東亞合成株式会社製)(2.0g)、脂環式エポキシ樹脂セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製)(8.0g)、光酸発生剤オプトマーSP−170(株式会社ADEKA製)(0.3g)を攪拌混合し光導波路用塗布液(下部クラッド層)を得た。
前記ポリイミドフィルム上にバーコータで前記光導波路用塗布液(下部クラッド層)をコーティングし、超高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmのUV照射により硬化し、密着性を確保するため下部クラッド層にコロナ処理をして、ポリイミドフィルム上に光導波路形成用フィルム(下部クラッド層)を作製した。
2−1.コア層の形成
実施例1に用いたものと同じ光導波路用塗布液(コア層)を、ドクターブレードによって、前述のポリイミドフィルム上に形成された光導波路形成用フィルム(下部クラッド層)上に均一に塗布した後、45℃の乾燥機において15分間乾燥させた。溶剤を完全に除去した後、50μm幅のラインが0.25mmピッチで8本並んだパターンのフォトマスクを前記ポリイミドフィルムの長尺方向とマスクのラインが垂直となるように圧着して、紫外線を500mJ/cm2で選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中150℃で1時間の加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れたコア層が確認された。
実施例1と同様にして、光導波路形成用フィルム(クラッド層)を作製し、前記コア層の上にラミネータで積層して、積層体を得た。得られた積層体を160℃、2時間の条件で熱処理して最終的に光導波路を得た。
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.04dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに光導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1750μmでありフォトマスクの設計に合致した寸法であった。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.18dB、8番目のラインでは0.19dBと位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路であることが分かった。
1.光導波路の作製
フィルム基材としてポリイミドフィルム(株式会社カネカ社製、アピカル)を用いた以外は実施例4と同様の方法で光導波路を作製し評価を実施した。用いたポリイミドフィルムについて160℃/2時間の加熱処理をしたが、どの方向においても寸法変化は見られなかった。
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.04dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに光導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1750μmであり、フォトマスクの設計に合致した寸法であった。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.20dB、8番目のラインでは0.21dBと位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路であることが分かった。
1.光導波路の作製
フィルム基材として低熱収縮PETフィルム テトロン(R)フィルムSLA−50(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた以外は実施例4と同様の方法で光導波路を作製し評価を実施した。用いた低熱収縮PETフィルムについて160℃/2時間の加熱処理をしたところ、寸法収縮が長手方向で0.3%、幅方向で0.1%と寸法安定性にすぐれたフィルム材料であることが確認できた。
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.05dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに光導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1745μmでありフォトマスクの設計に対して5μm収縮していた。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.20dB、8番目のラインでは0.25dBと位置ずれによる過剰損失の小さな優れた性能の光導波路であることが分かった。
1.光導波路の作製
実施例1の1.光導波路形成用フィルム(コア層)の製造および2.光導波路形成用フィルム(クラッド層)の製造において、フィルム基材として、汎用の50μ厚のPETフィルムを用いた以外は実施例1と同様の方法で光導波路を作製した。前記PETフィルムを150℃、1時間の条件で加熱したところ、寸法収縮が長手方向で1.3%、幅方向で0.5%とかなりの収縮が見られた。
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.04dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1725μmであり、フォトマスクの設計に対して25μm収縮していた。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.20dBであったにも関わらず、8番目のラインでは7.8dBとなり位置ずれによる光損失の増大が見られた。
1.光導波路の作製
実施例4のフィルム基材として、汎用の50μ厚のPETフィルムを用いた以外は実施例4と同様の方法で光導波路を作製した。用いたPETフィルムについて160℃/2時間の加熱処理をしたところ寸法収縮が長手方向で1.8%、幅方向で0.8%とかなりの寸法収縮が見られた。
得られた光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定したところ、850nmの光伝搬損失が0.05dB/cmと低い値を示し、優れた光導波路であることが分かった。さらに光導波路の寸法精度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、1番目と8番目の中心の距離は1715μmであり、フォトマスクの設計に対して35μm収縮していた。次にコネクタと結合した場合の光損失の評価を実施例1と同様の方法で評価したところ、中心を合わせた1番目のラインでは0.24dBであったにも関わらず8番目のラインでは15.3dBとなり、位置ずれによる光損失の増大が見られた。
11 コア部
12 側面クラッド部(活性放射線6が照射された部分)
13 光導波路形成用フィルム(コア層用)
2 フィルム基材
3 下部クラッド層
4 上部クラッド層
5 光導波路
6 活性放射線
7 マスク
Claims (16)
- フィルム基材の上に環状オレフィン系樹脂を含む光導波路用塗布液を塗布して、膜状体とする製膜工程と、前記膜状体を加熱する加熱工程と、を有する光導波路形成用フィルムの製造方法であって、前記フィルム基材は、シルセスキオキサンを有するハードコートを用い離型処理されているものであり、予め加熱処理をして長尺方向の加熱収縮率が0.5%以下になったものを用いることを特徴とする光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 前記製膜工程の後に、パターニング工程を有するものである請求項1に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 前記パターニング工程は、フォトマスクを介して前記膜状体を露光することにより、光導波路をパターニングするパターニング工程である請求項1又は2に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 前記加熱工程の後に、前記光導波路をフィルム基材から剥離する工程を有するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 前記フィルム基材がポリイミドである請求項1ないし4のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 前記フィルム基材がポリエステルである請求項1ないし4のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項6に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 前記シルセスキオキサンを有するハードコートに含まれるシルセスキオキサンの含有量は、ハードコート全体の10wt%以上である請求項1ないし7のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 前記シルセスキオキサンを有するハードコートは、さらに、エポキシモノマーを含むものである請求項1ないし7のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 前記エポキシモノマーは、脂環式エポキシモノマーである請求項9に記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 前記光導波路用塗布液がノルボルネン系樹脂を含有するものである請求項1ないし10のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法。
- 請求項1ないし11のいずれかに記載の光導波路形成用フィルムの製造方法で得られることを特徴とする光導波路形成用フィルム。
- 請求項12に記載の光導波路形成用フィルムを用いて形成されることを特徴とする光導波路。
- 請求項13に記載の光導波路を備えたことを特徴とする光配線。
- 電気配線と、請求項14に記載の光配線とを有することを特徴とする光電気混載基板。
- 請求項13に記載の光導波路を備えたことを特徴とする電子機器。
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