JP4877305B2 - 感光性樹脂組成物および光導波路フィルム - Google Patents
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- UHOVQNZJYSORNB-UHFFFAOYSA-N c1ccccc1 Chemical compound c1ccccc1 UHOVQNZJYSORNB-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Description
たとえば、特許文献1には、光硬化性フィルムに対し選択的に光を照射し、モノマーを重合させることで光導波路を形成する技術が開示されている。
(A)ノルボルネン系樹脂、100重量部と、
(B)前記(A)よりも屈折率が低く、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーのうち少なくともいずれか一方、1重量部以上、50重量部以下と、
(C)光酸発生剤、0.01重量部以上、0.3重量部以下と、
を含み、
前記(A)ノルボルネン系樹脂は、前記(C)の光酸発生剤から発生する酸により脱離し、脱離により、前記(A)ノルボルネン系樹脂の屈折率を低下させる脱離性基を有する、光導波路用感光性樹脂組成物が提供される。
また、光照射後、加熱を行うと、未照射部分から成分(B)が揮発する。これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じる。これにより、確実に光閉じこめすることができ、光の伝搬損失の発生を抑制できる。
これに加え、本発明では、(A)および(B)を使用することで、光の伝搬損失の発生を抑制できる。
このような(A)ノルボルネン系樹脂を含有することで、光を照射した領域の屈折率を未照射領域に比べ、確実に低下させることができる。
これに加え、前記(B)は前記(A)よりも屈折率が低いため、未照射部分のモノマーが照射部分に拡散することで、光を照射した領域の屈折率が低下することとなる。これにより、光を照射した領域と、未照射領域との屈折率差を確実に生じさせることができる。
これにより、(A)のノルボルネン系樹脂が、エポキシ基を有するものとすることで、成分(B)と反応することにより光導波路フィルムの架橋密度が上がり、耐熱性向上に寄与するという効果がある。
(A)ノルボルネン系樹脂、100重量部と、
(B)前記(A)よりも屈折率が低く、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーのうち少なくともいずれか一方、1重量部以上、50重量部以下と、
(C)光酸発生剤、0.01重量部以上、0.3重量部以下と、
を含み、
前記(A)ノルボルネン系樹脂は、前記(C)の光酸発生剤から発生する酸により脱離し、脱離により、前記(A)ノルボルネン系樹脂の屈折率を低下させる脱離性基を有する、光導波路用感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる層を有し、
前記層は、コア領域と、このコア領域を挟んで配置され、前記コア領域に隣接する一対のクラッド領域とを有し、
前記コア領域の屈折率は、前記クラッド領域の屈折率よりも高く、
前記コア領域における前記(B)由来の構造体濃度と、前記クラッド領域における前記(B)由来の構造体濃度とが異なる光導波路フィルムを提供することができる。
また(A)を使用することで、特定波長における光透過性を高めることができ、伝搬損失の低減を図ることができる。
このようにすることで、確実に光閉じこめできる。
さらに、(A)ノルボルネン系樹脂を使用することで、特定波長における光透過性を確実に高めることができ、伝搬損失の低減を確実に図ることができる。
さらに、前記一対のクラッド領域とは異なる方向から、前記コア領域を挟むように配置される他の一対のクラッド領域を有することが好ましい。
(感光性樹脂組成物)
はじめに、感光性樹脂組成物について説明する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、
(A)環状オレフィン樹脂と、
(B)(A)とは屈折率が異なり、かつ、環状エーテル基を有するモノマーおよび環状エーテル基を有するオリゴマーのうち少なくともいずれか一方と、
(C)光酸発生剤と、
を備える。
このような感光性樹脂組成物を使用することで、光の伝搬損失の発生が抑制された光導波路フィルム等を提供することができる。なかでも、湾曲した光導波路を形成した場合において、光の伝搬損失の発生を顕著に抑制することができる。
(A)の環状オレフィン樹脂は、感光性樹脂組成物のフィルム成形性を確保するために添加されるものであり、ベースポリマーとなるものである。
ここで、環状オレフィン樹脂は、無置換のものであってもよいし、水素が他の基により置換されたものであってもよい。
環状オレフィン樹脂としては、たとえばノルボルネン系樹脂や、ベンゾシクロブテン系樹脂である。
なかでも、耐熱性、透明性等の観点からノルボルネン系樹脂を使用することが好ましい。
(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、
(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、
(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のような付加重合体、
(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げられる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。
式(1)のノルボルネン系樹脂は、以下のようにして製造することができる。
R1を有するノルボルネンと、側鎖にエポキシ基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、Ni化合物(A)を触媒に用いて溶液重合させることで(1)を得る。
(i)ノルボルネンメタノール(NB−CH2−OH)の合成
DCPD(ジシクロペンタジエン)のクラッキングにより生成したCPD(シクロペンタジエン)とαオレフィン(CH2=CH-CH2-OH)を高温高圧下で反応させる。
ノルボルネンメタノールとエピクロルヒドリンとの反応により生成する。
式(1)で表されるノルボルネン系樹脂の中でも、可撓性と耐熱性の両立を図ることが可能との観点から、特に、R1が炭素数4〜10のアルキル基であり、aおよびbがそれぞれ1である化合物、例えば、ブチルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー等が好ましい。
式(2)のノルボルネン系樹脂は、R2を有するノルボルネンと、側鎖にアクリルおよびメタクリル基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、上述したNi化合物(A)を触媒に用いて溶液重合させることで得ることができる。
式(3)の樹脂は、R4を有するノルボルネンと、側鎖にアルコキシシリル基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、上述したNi化合物(A)を触媒に用いて溶液重合させることで得ることができる。
R5を有するノルボルネンと、側鎖にA1およびA2を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、Ni化合物(A)を触媒に用いて溶液重合させることで(4)を得る。
R7を有するノルボルネンと、側鎖に-(CH2)-X1-X2(R8)3-j(Ar)jを含むノルボルネンとをトルエンに溶かし、Ni化合物を触媒に用いて溶液重合させることで(8)を得る。
さらには、可撓性、耐熱性および屈折率制御の観点から特に、R7が炭素数4〜10のアルキル基であり、X1が酸素原子、X2がシリコン原子、Arがフェニル基、R8がメチル基、iが1、jが2である化合物、例えば、ブチルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、デシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー等が好ましい。
さらに、ノルボルネン系樹脂として、次のようなものを使用してもよい。
具体的には、分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが好ましい。かかる酸離脱性基は、カチオンの作用により比較的容易に離脱する。
たとえば、式(8)で表されるノルボルネン系ポリマーの中で、X1が酸素原子、X2がシリコン原子、Arがフェニル基であるものが脱離性基を有するものとなる。
また、式(3)においては、アルコキシシリル基のSi−O−X3の部分で脱離する場合がある。
具体例として以下のようなものとなる。
式(31)で示される化合物は、たとえば、ヘキシルノルボルネンと、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン(側鎖に-CH2-O-Si(CH3)(Ph)2を含むノルボルネン)およびエポキシノルボルネンをトルエンに溶かし、Ni化合物を触媒に用いて溶液重合させることで得ることができる。
次に、(B)の成分について説明する。
(B)は、環状エーテル基を有するモノマーおよび環状エーテル基を有するオリゴマーのうち少なくともいずれか一方である。この成分(B)は、(A)の樹脂と屈折率が異なり、かつ、(A)の樹脂と相溶性のあるものであればよい。成分(B)と、(A)の樹脂との屈折率差は、0.01以上であることが好ましい。
なお、成分(B)の屈折率は、(A)の樹脂よりも高いものであってもよいが、成分(B)は、(A)の樹脂よりも屈折率が低いことが好ましい。
(B)は、たとえば、オキセタニル基あるいは、エポキシ基を有する。このような環状エーテル基は、酸により開環しやすいため、好ましい。
また、オキセタニル基を有する化合物としては、以下の式(32)、式(33)を使用することができる。式(32)は、東亞合成製の商品名TESOX等、式(33)は、東亞合成製の商品名OX−SQ等を使用することができる。
エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとしては、以下の式(34)〜(39)に示すものを使用することができる。なかでも、エポキシ環のひずみエネルギーが大きく反応性に優れるという観点から脂環式エポキシモノマー(36)〜(39)を使用することが好ましい。
なお、式(34)は、エポキシノルボルネンであり、たとえば、プロメラス社製 EpNBを使用することができる。式(35)は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、たとえば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 Z−6040を使用することができる。また、式(36)は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであり、たとえば、東京化成製 E0327を使用することができる。
さらに、式(37)は、3、4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3、'4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレートであり、たとえば、ダイセル化学社製 セロキサイド2021Pを使用することができる。また、式(38)は、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンであり、ダイセル化学社製 セロキサイド2000を使用することができる。
さらに、式(39)は、1,2:8,9ジエポキシリモネンであり、たとえば、(ダイセル化学社製 セロキサイド3000)を使用することができる。
オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーは重合を開始する開始反応が遅いが、生長反応が速い。これに対し、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーは、重合を開始する開始反応が速いが、生長反応が遅い。そのため、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーと、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとを併用することで、光を照射した際に、光照射部分と、未照射部分との屈折率差を確実に生じさせることができる。
この(B)成分は、(A)成分100重量部に対し1重量部以上、50重量部以下であることが好ましい。なかでも2重量部以上、20重量部以下が好ましい。これにより、コア/クラッド間の屈折率変調を可能にし、可撓性と耐熱性との両立が図れるという効果がある。
光酸発生剤 としては、光のエネルギーを吸収してブレンステッド酸あるいはルイス酸を生成するものであれば良く、例えば、トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム−トリフルオロメタンスルホネートなどのスルホニウム塩類、p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアゾニウム塩類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(トリキュミル)ヨードニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのヨードニウム塩類、キノンジアジド類、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンなどのジアゾメタン類、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、N−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンサルホネートなどのスルホン酸エステル類、ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類、トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3.4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン類などの化合物を挙げることができる。これらの光酸発生剤は、単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
増感剤は、光に対する光酸発生剤の感度を増大して、光酸発生剤の活性化(反応または分解)に要する時間やエネルギーを減少させる機能や、光酸発生剤の活性化に適する波長に活性放射線の波長を変化させる機能を有するものである。
このような増感剤としては、光酸発生剤の感度や増感剤の吸収のピーク波長に応じて適宜選択され、特に限定されないが、たとえば、9,10−ジブトキシアントラセン(CAS番号第76275−14−4番)のようなアントラセン類、キサントン類、アントラキノン類、フェナントレン類、クリセン類、ベンツピレン類、フルオラセン類(fluoranthenes)、ルブレン類、ピレン類、インダンスリーン類、チオキサンテン−9−オン類(thioxanthen-9-ones)が挙げられ、これらを単独または混合物として用いられる。
増感剤の含有量は、感光性樹脂組成物中で、0.01重量%以上であるのが好ましく、0.5重量%以上であるのがより好ましく、1重量%以上であるのがさらに好ましい。なお、上限値は、5重量%以下であるのが好ましい。
ここでは、成分(B)が、(A)環状オレフィン樹脂よりも屈折率が低い感光性樹脂組成物を使用して光導波路フィルムを製造する方法について説明する。
感光性樹脂組成物をワニス状に調整する溶媒としては、たとえば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)などのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドンなどの芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)などのアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチルなどのエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホランなどの硫黄化合物系溶媒の各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒が挙げられる。
ここで、ワニス1を塗布する方法としては、たとえば、ドクターブレード法、スピンコート法、ディッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコート法の方法が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。基材2には、たとえば、後述するコア領域112よりも屈折率が低いシートが使用され、たとえば、ノルボルネン系樹脂と、エポキシ樹脂とを含むシートが使用される。
図2(A)に示すように、フィルム11の上方に開口が形成されたマスクMを配置する。このマスクMの開口を介して、フィルム11に対し、光を照射する。
フィルム11のうち、光が照射された領域では、光酸発生剤から酸が発生することとなる。発生した酸により、成分(B)が重合する。
光が照射されていない領域では、光酸発生剤から酸が発生しないため、成分(B)は重合しない。照射部分では、成分(B)が重合しポリマーとなるため、成分(B)量が少なくなる。これにより、未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散し、これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じる。
ここで、成分(B)が、環状オレフィン樹脂よりも屈折率が低い場合には、未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散することで、未照射部分の屈折率が高くなるとともに、照射部分の屈折率は低くなる。
なお、成分(B)が重合したポリマーと、環状エーテル基を有するモノマーとの屈折率差は、0以上、0.001以下程度であり、屈折率は略同じであると考えられる。
光を照射した部分では、光酸発生剤から発生した酸により、環状オレフィン樹脂の脱離性基が脱離することとなる。−Si−アリール構造、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造等の脱離性基の場合、離脱により樹脂の屈折率が低下することとなる。そのため、照射部分の屈折率は低下することとなる。
このフィルム11においては、図2(B)に示すように、光が照射された領域がクラッド領域111となり、未照射領域がコア領域112となる。コア領域112の屈折率は、前記クラッド領域111の屈折率よりも高く、コア領域112における前記(B)由来の構造体濃度と、クラッド領域111における前記(B)由来の構造体濃度とが異なる。具体的には、コア領域112における(B)由来の構造体濃度は、クラッド領域における(B)由来の構造体濃度は低い。
クラッド領域111は、コア領域112よりも屈折率が低く、クラッド領域111と、コア領域112との屈折率差は、0.01以上となる。
その後、このフィルム11上に、基材2と同様のフィルムを貼り付ける。一対の基材2は、クラッド領域111とは異なる方向から、コア領域112を挟むように配置されるクラッド領域となる。
以上の工程により、図3に示すように、光導波路フィルム3が得られることとなる。
本実施形態の感光性樹脂組成物に光をあてると、光酸発生剤から、酸が発生し、照射部分のみにおいて、成分(B)が重合されることとなる。照射部分における成分(B)の量が少なくなるため、未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散し、これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じる。具体的には、本実施形態では、ベースポリマーとして、成分(B)よりも屈折率が高い置換または無置換の環状オレフィン樹脂を使用しているため、未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散することで、未照射部分の屈折率が、照射部分の屈折率よりも高くなる。
これに加え、光照射後、感光性樹脂組成物の加熱を行うと、未照射部分から成分(B)が揮発する。これにより、照射部分と未照射部分とでさらに屈折率差が生じる。
このように感光性樹脂組成物を使用することで、照射部分と未照射部分とで確実に屈折率差を形成することができる。
これに対し、本実施形態の感光性樹脂組成物は、選択的に光を照射すると、酸の発生により照射部分における成分(B)の量が少なくなるため、未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散し、これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じることを見出したものである。
一方で、環状オレフィン樹脂を脱離性基を有しないものとした場合には、側鎖が化学的に安定となるため、光照射や、加熱等の条件により、コア領域、クラッド領域の屈折率が変動してしまうことを抑制できる。
また、クラッド領域111は、コア領域112よりも屈折率が低く、クラッド領域111と、コア領域112との屈折率差を、0.01以上とすることで、確実に光閉じこめを行うことができ、光の伝搬損失の発生を抑制できる。
たとえば、前記実施形態では、感光性樹脂組成物を使用して、光導波路フィルムを形成したが、これに限らず、たとえば、ホログラム等に使用しても良い。本発明の感光性樹脂組成物は、屈折率が高い領域と、屈折率が低い領域とが混在するフィルムを形成するのに適している。
(実施例1)
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
水分および酸素濃度がいずれも1ppm以下に制御され、乾燥窒素で充満されたグローブボックス中において、ヘキシルノルボルネン(HxNB)7.2g(40.1mmol)、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン12.9g(40.1mmol)を500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
次に、100mLバイアルビン中に下記化学式(B)で表わされるNi触媒1.56g(3.2mmol)と脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。
この下記化学式(B)で表わされるNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記2種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に定量的に注入し室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、その場で過酢酸水溶液を調製した。次にこの水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌してNiの還元処理を行った。
次に、処理の完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌を行った。静置して完全に二層分離が行われた後で水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下して生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、ポリマー#1を得た。ポリマー#1の分子量分布は、GPC測定によりMw=10万、Mn=4万、ポリマー#1中の各構造単位のモル比は、NMRによる同定により、ヘキシルルボルネン構造単位が50mol%、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン構造単位が50mol%であった。また屈折率はメトリコンにより1.55(測定波長;633nm)であった。
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(式20で示したもの、東亜合成製 CHOX、CAS#483303−25−9、分子量186、沸点125℃/1.33kPa)2g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV1を得た。
(下層クラッドの作製)
シリコンウエハ上に感光性ノルボルネン樹脂組成物(プロメラス社製 Avatrel2000Pワニス)をドクターブレードにより均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、塗布された全面に紫外線を100mJ照射し、乾燥機中120℃で1時間加熱して、塗膜を硬化させて、下層クラッドを形成させた。形成された下層クラッドは、厚みが20μmであり、無色透明であり、屈折率は1.52(測定波長;633nm)であった。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV1をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cm2で選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
ポリエーテルスルホン(PES)フィルム上に、予め乾燥厚み20μmになるようにAvatrel2000Pを積層させたドライフィルムを、上記導波路コア領域に貼り合わせ、140℃に設定された真空ラミネーターに投入して熱圧着を行った後、紫外線を100mJ全面照射し乾燥機中120℃で1時間加熱して、Avatrel2000Pを硬化させて、上層クラッドを形成させ、光導波路を得た。このとき、上層クラッドは、無色透明であり、屈折率は1.52であった。
(光導波路の損失評価)
850nmVCSEL(面発光レーザー)より発せられた光を50μmφの光ファイバーを経由して上記光導波路に導入し、200μmφの光ファイバーで受光を行って光の強度を測定した。尚、測定にはカットバック法を採用した。導波路長を横軸にとり、挿入損失を縦軸にプロットしていったところ、測定値はきれいに直線上に並び、その傾きから伝搬損失は0.03dB/cmと算出することができた。
(コア領域と、クラッド領域の屈折率差)
水平方向に隣接する左右のコア領域−クラッド領域(上記(コア領域、クラッド領域の形成)で形成したコア領域、クラッド領域)間の屈折率差は、次のように求めた。
カナダ国 EXFO社製 Optical waveguide analyzer OWA-9500により波長656nmのレーザー光を光導波路に照射し、コア領域およびクラッド領域の屈折率をそれぞれを実測し、差を算出した。屈折率差は0.02であった。
(1)脱離性基を有しないノルボルネン系樹脂の合成
水分および酸素濃度がいずれも1ppm以下に制御され、乾燥窒素で充満されたグローブボックス中において、ヘキシルノルボルネン(HxNB)9.4g(53.1mmol)、フェニルエチルノルボルネン10.5g(53.1mmol)を500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
次に、100mLバイアルビン中に上記化学式(B)で表わされるNi触媒2.06g(3.2mmol)と脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。
化学式(B)で表わされるNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記2種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に定量的に注入し室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、その場で過酢酸水溶液を調製した。次にこの水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌してNiの還元処理を行った。
次に、処理の完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌を行った。静置して完全に二層分離が行われた後で水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下して生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、ポリマー#2を得た。ポリマー#2の分子量分布は、GPC測定によりMw=9万、Mn=4万、ポリマー#2中の各構造単位のモル比は、NMRによる同定により、ヘキシルルボルネン構造単位が50mol%、フェニルエチルノルボルネン構造単位が50mol%であった。また屈折率はメトリコンにより1.54(測定波長;633nm)であった。
精製した上記ポリマー#2 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(式20で示したもの、東亜合成製 CHOX、CAS#483303−25−9、分子量186、沸点125℃/1.33kPa)2g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV2を得た。
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV2をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cm2で選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した
実施例1と同じ方法により、評価を行った。伝搬損失は0.04dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.01であった。
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
実施例1と同様の方法でノルボルネン系樹脂を作製した。
(2)感光性樹脂組成物の製造方法
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、2官能オキセタンモノマー(式(15)で示したもの、東亜合成製、DOX、CAS#18934−00−4、分子量214、沸点119℃/0.67kPa)2g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV3を得た。
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV3をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cm2で選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した。
実施例1と同じ方法により、評価をおこなった。伝搬損失は0.04dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.01であった。
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
実施例1と同様の方法でノルボルネン系樹脂を作製した。
(2)感光性樹脂組成物の製造方法
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、脂環式エポキシモノマー(式(37)で示したもの、ダイセル化学製、セロキサイド2021P、CAS#2386−87−0、分子量252、沸点188℃/4hPa)2g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV4を得た。
(3)光導波路フィルムの製造方法
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV4をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cm2で選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した。
(4)評価
実施例1と同じ方法により、評価を行った。伝搬損失は0.04dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.01であった。
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
実施例1と同様の方法でノルボルネン系樹脂を作製した。
(2)感光性樹脂組成物の製造方法
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(式20で示したもの、東亜合成製 CHOX)1g、脂環式エポキシモノマー(ダイセル化学製、セロキサイド2021P) 1g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV5を得た。
(3)光導波路フィルムの製造方法
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV5をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cm2で選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した。
(4)評価
実施例1と同じ方法により、評価を行った。伝搬損失は0.03dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.01であった。
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
実施例1と同様の方法でノルボルネン系樹脂を作製した。
(2)感光性樹脂組成物の製造方法
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(式20で示したもの、東亜合成製 CHOX)1.5g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV6を得た。
(3)光導波路フィルムの製造方法
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV6をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cm2で選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した。
(4)評価
実施例1と同じ方法により、評価を行った。伝搬損失は0.03dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.01であった。
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
水分および酸素濃度がいずれも1ppm以下に制御され、乾燥窒素で充満されたグローブボックス中において、ヘキシルノルボルネン(HxNB)6.4g(36.1mmol)、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン(diPhNB)8.7g(27.1mmol)、エポキシノルボルネン(EpNB)4.9g(27.1mmol)を500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
次に、100mLバイアルビン中に上記化学式(B)で表わされるNi触媒1.75g(3.2mmol)と脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。
この上記化学式(B)で表わされるNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記3種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に定量的に注入し室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、その場で過酢酸水溶液を調製した。次にこの水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌してNiの還元処理を行った。
次に、処理の完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールイソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌を行った。静置して完全に二層分離が行われた後で水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下して生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、ポリマー#3を得た。ポリマー#3の分子量分布は、GPC測定によりMw=8万、Mn=4万、ポリマー#3中の各構造単位のモル比は、NMRによる同定により、ヘキシルルボルネン構造単位が40mol%、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン構造単位が30mol%、エポキシノルボルネン構造単位が30mol%であった。また屈折率はメトリコンにより1.53(測定波長;633nm)であった。
精製した上記ポリマー#3 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(式20で示したもの、東亜合成製 CHOX)1.0g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV7を得た。
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV7をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cm2で選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した。
(4) 評価
実施例1と同じ方法により、評価をおこなった。伝搬損失は0.04dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.02であった。
また、光照射後、加熱を行うと、未照射部分からモノマーが揮発する。
以上より、コア領域と、クラッド領域との間でモノマー由来の構造体濃度が異なり、クラッド領域では、環状エーテル基を有するモノマー由来の構造体が多くなり、コア領域では、環状エーテル基を有するモノマー由来の構造体が少なくなることがわかる。
なお、実施例1〜3および実施例5〜7では、直線状の光導波路を形成したが、曲線状(曲率半径10mm程度)の光導波路を形成した場合には、光損失が少ないことが顕著になる。
さらには、実施例1〜3および実施例5〜7で得られた光導波路フィルムは耐熱性が高く、260℃の耐リフロー性を有している。
2 基材
3 光導波路フィルム
11 光導波路形成用フィルム
111 クラッド領域
112 コア領域
M マスク
Claims (4)
- (A)ノルボルネン系樹脂、100重量部と、
(B)前記(A)よりも屈折率が低く、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーのうち少なくともいずれか一方、1重量部以上、50重量部以下と、
(C)光酸発生剤、0.01重量部以上、0.3重量部以下と、
を含み、
前記(A)ノルボルネン系樹脂は、前記(C)光酸発生剤から発生する酸により脱離し、脱離により、前記(A)ノルボルネン系樹脂の屈折率を低下させる脱離性基を有する、光導波路用感光性樹脂組成物。 - (A)ノルボルネン系樹脂、100重量部と、
(B)前記(A)よりも屈折率が低く、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーのうち少なくともいずれか一方、1重量部以上、50重量部以下と、
(C)光酸発生剤、0.01重量部以上、0.3重量部以下と、
を含み、
前記(A)ノルボルネン系樹脂は、前記(C)光酸発生剤から発生する酸により脱離し、脱離により、前記(A)ノルボルネン系樹脂の屈折率を低下させる脱離性基を有する、光導波路用感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる層を有し、
前記層は、コア領域と、このコア領域を挟んで配置され、前記コア領域に隣接する一対のクラッド領域とを有し、
前記コア領域の屈折率は、前記クラッド領域の屈折率よりも高く、
前記コア領域における前記(B)由来の構造体濃度と、前記クラッド領域における前記(B)由来の構造体濃度とが異なる光導波路フィルム。 - 請求項2に記載の光導波路フィルムにおいて、
前記コア領域と、前記クラッド領域の屈折率差が0.01以上である光導波路フィルム。 - 請求項2または3に記載の光導波路フィルムにおいて、
前記一対のクラッド領域とは異なる方向から、前記コア領域を挟むように配置される他の一対のクラッド領域を有する光導波路フィルム。
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