JP4877305B2 - 感光性樹脂組成物および光導波路フィルム - Google Patents

感光性樹脂組成物および光導波路フィルム Download PDF

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Description

本発明は、感光性樹脂組成物、光導波路フィルムおよび光導波路フィルムの製造方法に関する。
近年、光通信分野において、石英系の光導波路にかえて、フレキシブルなフィルム状の光導波路(光導波路フィルム)が開発されている。
たとえば、特許文献1には、光硬化性フィルムに対し選択的に光を照射し、モノマーを重合させることで光導波路を形成する技術が開示されている。
国際公開91/01505号パンフレット 特開2008−158308号公報
近年、光の伝搬損失の発生を抑制した光導波路フィルムの開発が望まれている。
本発明は、光の伝搬損失の発生を抑制できる感光性樹脂組成物、光導波路フィルムおよび光導波路フィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、
(A)ノルボルネン系樹脂、100重量部と、
(B)前記(A)よりも屈折率が低く、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーのうち少なくともいずれか一方、1重量部以上、50重量部以下と、
(C)光酸発生剤、0.01重量部以上、0.3重量部以下と、
を含み、
前記(A)ノルボルネン系樹脂は、前記(C)の光酸発生剤から発生する酸により脱離し、脱離により、前記(A)ノルボルネン系樹脂の屈折率を低下させる脱離性基を有する、光導波路用感光性樹脂組成物が提供される。
この構成の本発明によれば、感光性樹脂組成物に光をあてると、光酸発生剤から、酸が発生し、照射部分のみにおいて、成分(B)が重合されることとなる。照射部分における成分(B)の量が少なくなるため、照射部分/未照射部分間で生じた濃度勾配を解消するために未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散し、これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じる。
また、光照射後、加熱を行うと、未照射部分から成分(B)が揮発する。これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じる。これにより、確実に光閉じこめすることができ、光の伝搬損失の発生を抑制できる。
これに加え、本発明では、(A)および(B)を使用することで、光の伝搬損失の発生を抑制できる。
さらに、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーのうち少なくともいずれか一方を用いることで、安定的にモノマーを重合させることができる。
また、ノルボルネン系樹脂を使用することで、特定波長における光透過性を確実に高めることができ、伝搬損失の低減を確実に図ることができる。また、ノルボルネン系樹脂を使用することで、耐熱性も向上させることができる。
さらに、(A)ノルボルネン系樹脂は、前記光酸発生剤から発生する酸により脱離し、脱離により、(A)ノルボルネン系樹脂の屈折率を低下させる脱離性基を有することが好ましい。
このような(A)ノルボルネン系樹脂を含有することで、光を照射した領域の屈折率を未照射領域に比べ、確実に低下させることができる。
これに加え、前記(B)は前記(A)よりも屈折率が低いため、未照射部分のモノマーが照射部分に拡散することで、光を照射した領域の屈折率が低下することとなる。これにより、光を照射した領域と、未照射領域との屈折率差を確実に生じさせることができる。
前記脱離性基は、−O−、−Si−アリール構造、−O−Si−構造のうち、少なくともいずれか一つを有することが好ましく、なかでも、前記脱離性基は、−Si−ジフェニル構造または、−O−Si−ジフェニル構造であることが好ましい。
さらに、(A)の前記ノルボルネン系樹脂は、脱離性基と、脱離性基とは別にエポキシ基とを有するものであることが好ましい。
これにより、(A)のノルボルネン系樹脂が、エポキシ基を有するものとすることで、成分(B)と反応することにより光導波路フィルムの架橋密度が上がり、耐熱性向上に寄与するという効果がある。
また、本発明によれば、
(A)ノルボルネン系樹脂、100重量部と、
(B)前記(A)よりも屈折率が低く、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーのうち少なくともいずれか一方、1重量部以上、50重量部以下と、
(C)光酸発生剤、0.01重量部以上、0.3重量部以下と、
を含み、
前記(A)ノルボルネン系樹脂は、前記(C)の光酸発生剤から発生する酸により脱離し、脱離により、前記(A)ノルボルネン系樹脂の屈折率を低下させる脱離性基を有する、光導波路用感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる層を有し、
前記層は、コア領域と、このコア領域を挟んで配置され、前記コア領域に隣接する一対のクラッド領域とを有し、
前記コア領域の屈折率は、前記クラッド領域の屈折率よりも高く、
前記コア領域における前記(B)由来の構造体濃度と、前記クラッド領域における前記(B)由来の構造体濃度とが異なる光導波路フィルムを提供することができる。
コア領域における(B)由来の構造体濃度と、クラッド領域における(B)由来の構造体濃度とを異なるものとすることで、コア領域とクラッド領域との屈折率差を確実に生じさせることができ、光閉じ込め効果の高い光導波路フィルムとすることができる。
また(A)を使用することで、特定波長における光透過性を高めることができ、伝搬損失の低減を図ることができる。
ここで、前記コア領域と、前記クラッド領域の屈折率差が0.01以上であることが好ましい。
このようにすることで、確実に光閉じこめできる。
さらに、()ノルボルネン系樹脂を使用することで、特定波長における光透過性を確実に高めることができ、伝搬損失の低減を確実に図ることができる。
また、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーのうち少なくともいずれか一方を用いることで、安定的にモノマー、オリゴマーを重合させることができる。
さらに、前記一対のクラッド領域とは異なる方向から、前記コア領域を挟むように配置される他の一対のクラッド領域を有することが好ましい
本発明によれば、光の伝搬損失の発生を抑制できる感光性樹脂組成物、光導波路フィルムおよび光導波路フィルムの製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(感光性樹脂組成物)
はじめに、感光性樹脂組成物について説明する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、
(A)環状オレフィン樹脂と、
(B)(A)とは屈折率が異なり、かつ、環状エーテル基を有するモノマーおよび環状エーテル基を有するオリゴマーのうち少なくともいずれか一方と、
(C)光酸発生剤と、
を備える。
このような感光性樹脂組成物は、屈折率が異なる領域を含むフィルムに使用され、たとえば、光導波路フィルムに使用される。
このような感光性樹脂組成物を使用することで、光の伝搬損失の発生が抑制された光導波路フィルム等を提供することができる。なかでも、湾曲した光導波路を形成した場合において、光の伝搬損失の発生を顕著に抑制することができる。
((A)環状オレフィン樹脂)
(A)の環状オレフィン樹脂は、感光性樹脂組成物のフィルム成形性を確保するために添加されるものであり、ベースポリマーとなるものである。
ここで、環状オレフィン樹脂は、無置換のものであってもよいし、水素が他の基により置換されたものであってもよい。
環状オレフィン樹脂としては、たとえばノルボルネン系樹脂や、ベンゾシクロブテン系樹脂である。
なかでも、耐熱性、透明性等の観点からノルボルネン系樹脂を使用することが好ましい。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、
(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、
(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、
(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のような付加重合体、
(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げられる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。
これらのノルボルネン系樹脂は、例えば、開環メタセシス重合(ROMP)、ROMPと水素化反応との組み合わせ、ラジカルまたはカチオンによる重合、カチオン性パラジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金属の重合開始剤)を用いた重合等、公知のすべての重合方法で得ることができる。
これらの中でも、ノルボルネン系樹脂としては、付加(共)重合体が好ましい。付加(共)重合体は、透明性、耐熱性および可撓性に富むことからも好ましい。たとえば、感光性樹脂組成物によりフィルムを形成した後、電気部品等を、半田を介して実装することがある。このような場合において、高い耐熱性、すなわち、耐リフロー性を有することが必要となるため、付加(共)重合体が好ましい。また、感光性樹脂組成物によりフィルムを形成し、製品に組み込んだ際に、たとえば、80℃程度の環境下にて使用される場合がある。このような場合においても、耐熱性を有することが必要となるため、付加(共)重合体が好ましい。
なかでも、ノルボルネン系樹脂は、重合性基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位や、アリール基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位を含むものが好ましい。
重合性基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位としては、エポキシ基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位、(メタ)アクリル基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位、および、アルコキシシリル基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位がのうちの少なくとも1種が好適である。これらの重合性基は、各種重合性基の中でも、反応性が高いことから好ましい。
また、このような重合性基を含むノルボルネンの繰り返し単位を、2種以上含むものを用いれば、可撓性と耐熱性の両立を図ることが出来る。
一方、アリール基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、アリール基は、疎水性が極めて高いため、吸水による寸法変化等をより確実に防止することができる。
さらに、ノルボルネン系ポリマーは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むものが好ましい。なお、アルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよい。
アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、ノルボルネン系ポリマーは、柔軟性が高くなるため、高いフレキシビリティ(可撓性)を付与することができる。
また、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むノルボルネン系ポリマーは、特定の波長領域(特に、850nm付近の波長領域)の光に対する透過率が優れることからも好ましい。
このようなことから、ノルボルネン系樹脂としては、以下の式(1)〜(4)、(8)〜(10)で表されるものが好適である。
Figure 0004877305
(式(1)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を表し、aは、0〜3の整数を表し、bは、1〜3の整数を表し、p/qが20以下である。)
式(1)のノルボルネン系樹脂は、以下のようにして製造することができる。
を有するノルボルネンと、側鎖にエポキシ基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、Ni化合物(A)を触媒に用いて溶液重合させることで(1)を得る。
Figure 0004877305
なお、側鎖にエポキシ基を有するノルボルネンの製造方法は、たとえば、(i)(ii)の通りである。
(i)ノルボルネンメタノール(NB−CH−OH)の合成
DCPD(ジシクロペンタジエン)のクラッキングにより生成したCPD(シクロペンタジエン)とαオレフィン(CH2=CH-CH2-OH)を高温高圧下で反応させる。
Figure 0004877305
(ii)エポキシノルボルネンの合成
ノルボルネンメタノールとエピクロルヒドリンとの反応により生成する。
Figure 0004877305
なお、式(1)において、bが2もしくは3の場合には、エピクロルヒドリンのメチレン基がエチレン基、プロピレン基等になったものを使用する。
式(1)で表されるノルボルネン系樹脂の中でも、可撓性と耐熱性の両立を図ることが可能との観点から、特に、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、aおよびbがそれぞれ1である化合物、例えば、ブチルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとメチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー等が好ましい。
Figure 0004877305
(式(2)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは、水素原子またはメチル基を表し、cは、0〜3の整数を表し、p/qが20以下である。)
式(2)のノルボルネン系樹脂は、R2を有するノルボルネンと、側鎖にアクリルおよびメタクリル基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、上述したNi化合物(A)を触媒に用いて溶液重合させることで得ることができる。
なお、式(2)で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、可撓性と耐熱性との両立の観点から、特に、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、cが1である化合物、例えば、ブチルボルネンとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー、デシルノルボルネンとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー等が好ましい。
Figure 0004877305
(式(3)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を表し、各Xは、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表し、dは、0〜3の整数を表し、p/qが20以下である。)
式(3)の樹脂は、R4を有するノルボルネンと、側鎖にアルコキシシリル基を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、上述したNi化合物(A)を触媒に用いて溶液重合させることで得ることができる。
なお、式(3)で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、特に、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、dが1または2、Xがメチル基またはエチル基である化合物、例えば、ブチルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、デシルノルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、ブチルボルネンとトリエトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとトリエトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとトリエトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ブチルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー等が好ましい。
Figure 0004877305
(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を表し、AおよびAは、それぞれ独立して、下記式(5)〜(7)で表される置換基を表すが、同時に同一の置換基であることはない。また、p/q+rが20以下である。)
5を有するノルボルネンと、側鎖にA1およびA2を有するノルボルネンとをトルエンに溶かし、Ni化合物(A)を触媒に用いて溶液重合させることで(4)を得る。
Figure 0004877305
(式(5)中、eは、0〜3の整数を表し、fは、1〜3の整数を表す。)
Figure 0004877305
(式(6)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、gは、0〜3の整数を表す。)
Figure 0004877305
(式(7)中、Xは、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表し、hは、0〜3の整数を表す。)
なお、式(4)で表されるノルボルネン系ポリマーとしては、例えば、ブチルノルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルと、ノルボルネニルエチルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルノルボルネンまたはトリメトキシシリルノルボルネンのいずれかとのターポリマー、ブチルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルと、メチルグリシジルエーテルノルボルネンとのターポリマー、ブチルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、メチルグリシジルエーテルノルボルネン、ノルボルネニルエチルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルノルボルネンまたはトリメトキシシリルノルボルネンのいずれかとのターポリマー等が挙げられる。
Figure 0004877305
(式(8)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、Arは、アリール基を表し、Xは、酸素原子またはメチレン基を表し、Xは、炭素原子またはシリコン原子を表し、iは、0〜3の整数を表し、jは、1〜3の整数を表し、p/qが20以下である。)
を有するノルボルネンと、側鎖に-(CH2)-X1-X2(R8)3-j(Ar)jを含むノルボルネンとをトルエンに溶かし、Ni化合物を触媒に用いて溶液重合させることで(8)を得る。
なお、式(8)で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、Xが酸素原子、Xがシリコン原子、Arがフェニル基であるものが好ましい。
さらには、可撓性、耐熱性および屈折率制御の観点から特に、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、Xが酸素原子、Xがシリコン原子、Arがフェニル基、Rがメチル基、iが1、jが2である化合物、例えば、ブチルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー、デシルノルボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマー等が好ましい。
具体的には、以下のようなノルボルネン系樹脂を使用することが好ましい。
Figure 0004877305
(式(9)におけるR、R,p、q、iは、式(8)と同じである。)
また、可撓性と耐熱性および屈折率制御の観点から、式(8)において、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、Xがメチレン基、Xが炭素原子、Arがフェニル基、Rが水素原子、iが0、jが1である化合物、例えば、ブチルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー等であってもよい。
さらに、ノルボルネン系樹脂として、次のようなものを使用してもよい。
Figure 0004877305
(式(10)において、R10は、炭素数1〜10のアルキル基を表し、R11は、アリール基を示し、kは0以上、4以下である。p/qは20以下である。)
また、p/q〜p/q、p/q、p/qまたはp/q+rは、20以下であればよいが、15以下であるのが好ましく、0.1〜10程度がより好ましい。これにより、複数種のノルボルネンの繰り返し単位を含む効果が如何なく発揮される。
以上のようなノルボルネン系樹脂は、脱離性基を有するものであることが好ましい。ここで、脱離性基とは、酸の作用により離脱するものである。
具体的には、分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが好ましい。かかる酸離脱性基は、カチオンの作用により比較的容易に離脱する。
このうち、離脱により樹脂の屈折率に低下を生じさせる離脱性基としては、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造の少なくとも一方が好ましい。
たとえば、式(8)で表されるノルボルネン系ポリマーの中で、Xが酸素原子、Xがシリコン原子、Arがフェニル基であるものが脱離性基を有するものとなる。
また、式(3)においては、アルコキシシリル基のSi−O−Xの部分で脱離する場合がある。
たとえば、式(9)のノルボルネン系樹脂を使用した場合、光酸発生剤(PAGと表記)から発生した酸により、以下のように反応が進むと推測される。なお、ここでは、脱離性基の部分のみを示し、また、i=1の場合で説明している。
Figure 0004877305
さらに、式(9)の構造に加えて、側鎖にエポキシ基を有するものであってもよい。このようなものを使用することで密着性に優れたフィルムが形成可能という効果がある。
具体例として以下のようなものとなる。
Figure 0004877305
(式(31)において、p/q+rは、20以下である。)
式(31)で示される化合物は、たとえば、ヘキシルノルボルネンと、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン(側鎖に-CH2-O-Si(CH3)(Ph)2を含むノルボルネン)およびエポキシノルボルネンをトルエンに溶かし、Ni化合物を触媒に用いて溶液重合させることで得ることができる。
((B)環状エーテル基を有するモノマー、環状エーテル基を有するオリゴマー)
次に、(B)の成分について説明する。
(B)は、環状エーテル基を有するモノマーおよび環状エーテル基を有するオリゴマーのうち少なくともいずれか一方である。この成分(B)は、(A)の樹脂と屈折率が異なり、かつ、(A)の樹脂と相溶性のあるものであればよい。成分(B)と、(A)の樹脂との屈折率差は、0.01以上であることが好ましい。
なお、成分(B)の屈折率は、(A)の樹脂よりも高いものであってもよいが、成分(B)は、(A)の樹脂よりも屈折率が低いことが好ましい。
(B)の環状エーテル基を有するモノマー、環状エーテル基を有するオリゴマーは、酸の存在下において開環により重合するものである。モノマー、オリゴマーの拡散性を考慮すると、このモノマーの分子量(重量平均分子量)、オリゴマーの分子量(重量平均分子量)は、それぞれ100以上、400以下であることが好ましい。
(B)は、たとえば、オキセタニル基あるいは、エポキシ基を有する。このような環状エーテル基は、酸により開環しやすいため、好ましい。
オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーとしては、下記式(11)〜(20)の群から選ばれるものが好ましい。これらを使用することで波長850nm近傍での透明性に優れ、可撓性と耐熱性の両立が可能という利点がある。また、これらを単独でも混合して用いても差し支えない。
Figure 0004877305
Figure 0004877305
Figure 0004877305
Figure 0004877305
Figure 0004877305
Figure 0004877305
Figure 0004877305
Figure 0004877305
式(18)においてnは0以上、3以下である。
Figure 0004877305
Figure 0004877305
なかでも、(A)の樹脂との屈折率差を確保する観点から式(13)、(15)、(16)、(17)、(20)を使用することが好ましい。
さらには、(A)の樹脂との屈折率差がある点、分子量が小さく、モノマーの運動性が高い点、モノマーが容易に揮発しない点を考慮すると、式(20)、式(15)を使用することがとくに好ましい。
また、オキセタニル基を有する化合物としては、以下の式(32)、式(33)を使用することができる。式(32)は、東亞合成製の商品名TESOX等、式(33)は、東亞合成製の商品名OX−SQ等を使用することができる。
Figure 0004877305
Figure 0004877305
(式(33)において、nは1または2である)
また、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとしては、たとえば、以下のようなものがあげられる。このエポキシ基を有するモノマー、オリゴマーは、酸の存在下において開環により重合するものである。
エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとしては、以下の式(34)〜(39)に示すものを使用することができる。なかでも、エポキシ環のひずみエネルギーが大きく反応性に優れるという観点から脂環式エポキシモノマー(36)〜(39)を使用することが好ましい。
なお、式(34)は、エポキシノルボルネンであり、たとえば、プロメラス社製 EpNBを使用することができる。式(35)は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、たとえば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 Z−6040を使用することができる。また、式(36)は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであり、たとえば、東京化成製 E0327を使用することができる。
さらに、式(37)は、3、4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3、'4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレートであり、たとえば、ダイセル化学社製 セロキサイド2021Pを使用することができる。また、式(38)は、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンであり、ダイセル化学社製 セロキサイド2000を使用することができる。
さらに、式(39)は、1,2:8,9ジエポキシリモネンであり、たとえば、(ダイセル化学社製 セロキサイド3000)を使用することができる。
Figure 0004877305
Figure 0004877305
Figure 0004877305
Figure 0004877305
Figure 0004877305
Figure 0004877305
さらに、(B)の成分として、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーと、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとが併用されていてもよい。
オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーは重合を開始する開始反応が遅いが、生長反応が速い。これに対し、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーは、重合を開始する開始反応が速いが、生長反応が遅い。そのため、オキセタニル基を有するモノマー、オキセタニル基を有するオリゴマーと、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーとを併用することで、光を照射した際に、光照射部分と、未照射部分との屈折率差を確実に生じさせることができる。
この(B)成分は、(A)成分100重量部に対し1重量部以上、50重量部以下であることが好ましい。なかでも2重量部以上、20重量部以下が好ましい。これにより、コア/クラッド間の屈折率変調を可能にし、可撓性と耐熱性との両立が図れるという効果がある。
((C)光酸発生剤)
光酸発生剤 としては、光のエネルギーを吸収してブレンステッド酸あるいはルイス酸を生成するものであれば良く、例えば、トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム−トリフルオロメタンスルホネートなどのスルホニウム塩類、p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアゾニウム塩類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(トリキュミル)ヨードニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのヨードニウム塩類、キノンジアジド類、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンなどのジアゾメタン類、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、N−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンサルホネートなどのスルホン酸エステル類、ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類、トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3.4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン類などの化合物を挙げることができる。これらの光酸発生剤は、単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
光酸発生剤 の含有量は、(A)成分100重量部に対し0.01重量部以上、0.3重量部以下であることが好ましい。なかでも、0.02重量部以上、0.2重量部以下が好ましい。これにより、反応性の向上という効果がある。
感光性樹脂組成物は、以上の(A)、(B)、(C)の成分に加えて、増感剤等の添加剤を含有していてもよい。
増感剤は、光に対する光酸発生剤の感度を増大して、光酸発生剤の活性化(反応または分解)に要する時間やエネルギーを減少させる機能や、光酸発生剤の活性化に適する波長に活性放射線の波長を変化させる機能を有するものである。
このような増感剤としては、光酸発生剤の感度や増感剤の吸収のピーク波長に応じて適宜選択され、特に限定されないが、たとえば、9,10−ジブトキシアントラセン(CAS番号第76275−14−4番)のようなアントラセン類、キサントン類、アントラキノン類、フェナントレン類、クリセン類、ベンツピレン類、フルオラセン類(fluoranthenes)、ルブレン類、ピレン類、インダンスリーン類、チオキサンテン−9−オン類(thioxanthen-9-ones)が挙げられ、これらを単独または混合物として用いられる。
増感剤の具体例としては、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、フェノチアジン(phenothiazine)またはこれらの混合物が挙げられる。
増感剤の含有量は、感光性樹脂組成物中で、0.01重量%以上であるのが好ましく、0.5重量%以上であるのがより好ましく、1重量%以上であるのがさらに好ましい。なお、上限値は、5重量%以下であるのが好ましい。
次に、以上のような感光性樹脂組成物を使用した光導波路フィルムの製造方法について説明する。
ここでは、成分(B)が、(A)環状オレフィン樹脂よりも屈折率が低い感光性樹脂組成物を使用して光導波路フィルムを製造する方法について説明する。
はじめに、図1(A)に示すように、感光性樹脂組成物を、溶媒に溶かしてワニス1を構成し、このワニス1を基材2上に塗布する。
感光性樹脂組成物をワニス状に調整する溶媒としては、たとえば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)などのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドンなどの芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)などのアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチルなどのエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホランなどの硫黄化合物系溶媒の各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒が挙げられる。
次に、基材2上にワニス1を塗布した後、乾燥させて、溶媒を蒸発(脱溶媒)させる。これにより、図1(B)に示すように、ワニス1は、光導波路形成用のフィルム11となる。
ここで、ワニス1を塗布する方法としては、たとえば、ドクターブレード法、スピンコート法、ディッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコート法の方法が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。基材2には、たとえば、後述するコア領域112よりも屈折率が低いシートが使用され、たとえば、ノルボルネン系樹脂と、エポキシ樹脂とを含むシートが使用される。
次に、フィルム11に対し、選択的に光(たとえば、紫外線)を照射する。
図2(A)に示すように、フィルム11の上方に開口が形成されたマスクMを配置する。このマスクMの開口を介して、フィルム11に対し、光を照射する。
フィルム11のうち、光が照射された領域では、光酸発生剤から酸が発生することとなる。発生した酸により、成分(B)が重合する。
光が照射されていない領域では、光酸発生剤から酸が発生しないため、成分(B)は重合しない。照射部分では、成分(B)が重合しポリマーとなるため、成分(B)量が少なくなる。これにより、未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散し、これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じる。
ここで、成分(B)が、環状オレフィン樹脂よりも屈折率が低い場合には、未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散することで、未照射部分の屈折率が高くなるとともに、照射部分の屈折率は低くなる。
なお、成分(B)が重合したポリマーと、環状エーテル基を有するモノマーとの屈折率差は、0以上、0.001以下程度であり、屈折率は略同じであると考えられる。
さらに、(A)として、脱離性基を有する環状オレフィン樹脂を使用している場合には、以下の作用が生じる。
光を照射した部分では、光酸発生剤から発生した酸により、環状オレフィン樹脂の脱離性基が脱離することとなる。−Si−アリール構造、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造等の脱離性基の場合、離脱により樹脂の屈折率が低下することとなる。そのため、照射部分の屈折率は低下することとなる。
このように本実施形態の感光性樹脂組成物を使用した場合には、光酸発生剤から発生する酸により、成分(B)を重合を開始させることが可能である。
次に、フィルム11を加熱する。この加熱工程において、光を照射した照射部分の成分(B)がさらに重合する。一方で、この加熱工程において、未照射部分の成分(B)は揮発することとなる。これにより、未照射部分では、成分(B)が少なくなり、環状オレフィン樹脂に近い屈折率となる。
このフィルム11においては、図2(B)に示すように、光が照射された領域がクラッド領域111となり、未照射領域がコア領域112となる。コア領域112の屈折率は、前記クラッド領域111の屈折率よりも高く、コア領域112における前記(B)由来の構造体濃度と、クラッド領域111における前記(B)由来の構造体濃度とが異なる。具体的には、コア領域112における(B)由来の構造体濃度は、クラッド領域における(B)由来の構造体濃度は低い。
クラッド領域111は、コア領域112よりも屈折率が低く、クラッド領域111と、コア領域112との屈折率差は、0.01以上となる。
その後、このフィルム11上に、基材2と同様のフィルムを貼り付ける。一対の基材2は、クラッド領域111とは異なる方向から、コア領域112を挟むように配置されるクラッド領域となる。
以上の工程により、図3に示すように、光導波路フィルム3が得られることとなる。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の感光性樹脂組成物に光をあてると、光酸発生剤から、酸が発生し、照射部分のみにおいて、成分(B)が重合されることとなる。照射部分における成分(B)の量が少なくなるため、未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散し、これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じる。具体的には、本実施形態では、ベースポリマーとして、成分(B)よりも屈折率が高い置換または無置換の環状オレフィン樹脂を使用しているため、未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散することで、未照射部分の屈折率が、照射部分の屈折率よりも高くなる。
これに加え、光照射後、感光性樹脂組成物の加熱を行うと、未照射部分から成分(B)が揮発する。これにより、照射部分と未照射部分とでさらに屈折率差が生じる。
このように感光性樹脂組成物を使用することで、照射部分と未照射部分とで確実に屈折率差を形成することができる。
なお、特許文献2には、オキセタニル基等を有するノルボルネン系樹脂を、熱酸発生剤により、架橋させる技術の開示がある。しかしながら、特許文献2に開示された組成物は、ベースポリマーとして、オキセタニル基等を有するノルボルネン系樹脂を含有するものである。そして、組成物全体を加熱させ、組成物全体において架橋構造を生じさせるものである。そのため、特許文献2においては、選択的に光を照射し、酸を発生させることで、選択的に重合を生じさせ、モノマー濃度が少なくなった領域にモノマーが拡散して、濃度差ができるという技術的思想はまったくない。
これに対し、本実施形態の感光性樹脂組成物は、選択的に光を照射すると、酸の発生により照射部分における成分(B)の量が少なくなるため、未照射部分の成分(B)が照射部分に拡散し、これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じることを見出したものである。
また、環状オレフィン樹脂を、光酸発生剤から発生する酸により脱離し、脱離により、(A)の環状オレフィン樹脂の屈折率を低下させる脱離性基を有するものとした場合には、光を照射した領域の屈折率を未照射領域に比べ、確実に低下させることができる。
一方で、環状オレフィン樹脂を脱離性基を有しないものとした場合には、側鎖が化学的に安定となるため、光照射や、加熱等の条件により、コア領域、クラッド領域の屈折率が変動してしまうことを抑制できる。
さらに、本実施形態では、(A)としてノルボルネン系樹脂を使用している。これにより、特定波長における光透過性を確実に高めることができ、伝搬損失の低減を確実に図ることができる。
また、クラッド領域111は、コア領域112よりも屈折率が低く、クラッド領域111と、コア領域112との屈折率差を、0.01以上とすることで、確実に光閉じこめを行うことができ、光の伝搬損失の発生を抑制できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
たとえば、前記実施形態では、感光性樹脂組成物を使用して、光導波路フィルムを形成したが、これに限らず、たとえば、ホログラム等に使用しても良い。本発明の感光性樹脂組成物は、屈折率が高い領域と、屈折率が低い領域とが混在するフィルムを形成するのに適している。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
水分および酸素濃度がいずれも1ppm以下に制御され、乾燥窒素で充満されたグローブボックス中において、ヘキシルノルボルネン(HxNB)7.2g(40.1mmol)、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン12.9g(40.1mmol)を500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
次に、100mLバイアルビン中に下記化学式(B)で表わされるNi触媒1.56g(3.2mmol)と脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。
この下記化学式(B)で表わされるNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記2種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に定量的に注入し室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、その場で過酢酸水溶液を調製した。次にこの水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌してNiの還元処理を行った。
次に、処理の完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌を行った。静置して完全に二層分離が行われた後で水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下して生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、ポリマー#1を得た。ポリマー#1の分子量分布は、GPC測定によりMw=10万、Mn=4万、ポリマー#1中の各構造単位のモル比は、NMRによる同定により、ヘキシルルボルネン構造単位が50mol%、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン構造単位が50mol%であった。また屈折率はメトリコンにより1.55(測定波長;633nm)であった。
Figure 0004877305
Figure 0004877305
(感光性樹脂組成物の製造方法)
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(式20で示したもの、東亜合成製 CHOX、CAS#483303−25−9、分子量186、沸点125℃/1.33kPa)2g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV1を得た。
(光導波路フィルムの製造方法)
(下層クラッドの作製)
シリコンウエハ上に感光性ノルボルネン樹脂組成物(プロメラス社製 Avatrel2000Pワニス)をドクターブレードにより均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、塗布された全面に紫外線を100mJ照射し、乾燥機中120℃で1時間加熱して、塗膜を硬化させて、下層クラッドを形成させた。形成された下層クラッドは、厚みが20μmであり、無色透明であり、屈折率は1.52(測定波長;633nm)であった。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV1をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cmで選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
ポリエーテルスルホン(PES)フィルム上に、予め乾燥厚み20μmになるようにAvatrel2000Pを積層させたドライフィルムを、上記導波路コア領域に貼り合わせ、140℃に設定された真空ラミネーターに投入して熱圧着を行った後、紫外線を100mJ全面照射し乾燥機中120℃で1時間加熱して、Avatrel2000Pを硬化させて、上層クラッドを形成させ、光導波路を得た。このとき、上層クラッドは、無色透明であり、屈折率は1.52であった。
(評価)
(光導波路の損失評価)
850nmVCSEL(面発光レーザー)より発せられた光を50μmφの光ファイバーを経由して上記光導波路に導入し、200μmφの光ファイバーで受光を行って光の強度を測定した。尚、測定にはカットバック法を採用した。導波路長を横軸にとり、挿入損失を縦軸にプロットしていったところ、測定値はきれいに直線上に並び、その傾きから伝搬損失は0.03dB/cmと算出することができた。
(コア領域と、クラッド領域の屈折率差)
水平方向に隣接する左右のコア領域−クラッド領域(上記(コア領域、クラッド領域の形成)で形成したコア領域、クラッド領域)間の屈折率差は、次のように求めた。
カナダ国 EXFO社製 Optical waveguide analyzer OWA-9500により波長656nmのレーザー光を光導波路に照射し、コア領域およびクラッド領域の屈折率をそれぞれを実測し、差を算出した。屈折率差は0.02であった。
(実施例2)
(1)脱離性基を有しないノルボルネン系樹脂の合成
水分および酸素濃度がいずれも1ppm以下に制御され、乾燥窒素で充満されたグローブボックス中において、ヘキシルノルボルネン(HxNB)9.4g(53.1mmol)、フェニルエチルノルボルネン10.5g(53.1mmol)を500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
次に、100mLバイアルビン中に上記化学式(B)で表わされるNi触媒2.06g(3.2mmol)と脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。
化学式(B)で表わされるNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記2種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に定量的に注入し室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、その場で過酢酸水溶液を調製した。次にこの水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌してNiの還元処理を行った。
次に、処理の完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌を行った。静置して完全に二層分離が行われた後で水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下して生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、ポリマー#2を得た。ポリマー#2の分子量分布は、GPC測定によりMw=9万、Mn=4万、ポリマー#2中の各構造単位のモル比は、NMRによる同定により、ヘキシルルボルネン構造単位が50mol%、フェニルエチルノルボルネン構造単位が50mol%であった。また屈折率はメトリコンにより1.54(測定波長;633nm)であった。
Figure 0004877305
(2)感光性樹脂組成物の製造方法
精製した上記ポリマー#2 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(式20で示したもの、東亜合成製 CHOX、CAS#483303−25−9、分子量186、沸点125℃/1.33kPa)2g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV2を得た。
(3)光導波路フィルムの製造方法
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV2をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cmで選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した
(4)評価
実施例1と同じ方法により、評価を行った。伝搬損失は0.04dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.01であった。
(実施例3)
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
実施例1と同様の方法でノルボルネン系樹脂を作製した。
(2)感光性樹脂組成物の製造方法
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、2官能オキセタンモノマー(式(15)で示したもの、東亜合成製、DOX、CAS#18934−00−4、分子量214、沸点119℃/0.67kPa)2g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV3を得た。
(3)光導波路フィルムの製造方法
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV3をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cmで選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した。
(4)評価
実施例1と同じ方法により、評価をおこなった。伝搬損失は0.04dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.01であった。
比較例1
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
実施例1と同様の方法でノルボルネン系樹脂を作製した。
(2)感光性樹脂組成物の製造方法
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、脂環式エポキシモノマー(式(37)で示したもの、ダイセル化学製、セロキサイド2021P、CAS#2386−87−0、分子量252、沸点188℃/4hPa)2g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV4を得た。
(3)光導波路フィルムの製造方法
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV4をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cmで選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した。
(4)評価
実施例1と同じ方法により、評価を行った。伝搬損失は0.04dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.01であった。
(実施例5)
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
実施例1と同様の方法でノルボルネン系樹脂を作製した。
(2)感光性樹脂組成物の製造方法
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(式20で示したもの、東亜合成製 CHOX)1g、脂環式エポキシモノマー(ダイセル化学製、セロキサイド2021P) 1g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV5を得た。
(3)光導波路フィルムの製造方法
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV5をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cmで選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した。
(4)評価
実施例1と同じ方法により、評価を行った。伝搬損失は0.03dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.01であった。
(実施例6)
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
実施例1と同様の方法でノルボルネン系樹脂を作製した。
(2)感光性樹脂組成物の製造方法
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(式20で示したもの、東亜合成製 CHOX)1.5g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV6を得た。
(3)光導波路フィルムの製造方法
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV6をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cmで選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した。
(4)評価
実施例1と同じ方法により、評価を行った。伝搬損失は0.03dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.01であった。
(実施例7)
(1)脱離性基を有するノルボルネン系樹脂の合成
水分および酸素濃度がいずれも1ppm以下に制御され、乾燥窒素で充満されたグローブボックス中において、ヘキシルノルボルネン(HxNB)6.4g(36.1mmol)、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン(diPhNB)8.7g(27.1mmol)、エポキシノルボルネン(EpNB)4.9g(27.1mmol)を500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
次に、100mLバイアルビン中に上記化学式(B)で表わされるNi触媒1.75g(3.2mmol)と脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。
この上記化学式(B)で表わされるNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記3種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に定量的に注入し室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、その場で過酢酸水溶液を調製した。次にこの水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌してNiの還元処理を行った。
次に、処理の完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールイソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌を行った。静置して完全に二層分離が行われた後で水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下して生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、ポリマー#3を得た。ポリマー#3の分子量分布は、GPC測定によりMw=8万、Mn=4万、ポリマー#3中の各構造単位のモル比は、NMRによる同定により、ヘキシルルボルネン構造単位が40mol%、ジフェニルメチルノルボルネン メトキシシラン構造単位が30mol%、エポキシノルボルネン構造単位が30mol%であった。また屈折率はメトリコンにより1.53(測定波長;633nm)であった。
Figure 0004877305
(2)感光性樹脂組成物の製造方法
精製した上記ポリマー#3 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(式20で示したもの、東亜合成製 CHOX)1.0g、光酸発生剤 RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(1.36E-2g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄な感光性樹脂組成物ワニスV7を得た。
(3)光導波路フィルムの製造方法
(下層クラッドの作製)
実施例1と同様の下層クラッドを作製した。
(コア領域、クラッド領域の形成)
上記下層クラッド上に感光性樹脂組成物ワニスV7をドクターブレードによって均一に塗布した後、45℃の乾燥機に15分間投入した。溶剤を完全に除去した後、フォトマスクを圧着して紫外線を500mJ/cmで選択的に照射した。マスクを取り去り、乾燥機中45℃で30分、85℃で30分、150℃で1時間と三段階で加熱を行った。加熱後、非常に鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。
(上層クラッドの形成)
実施例1と同様の上層クラッドを作製した。
(4) 評価
実施例1と同じ方法により、評価をおこなった。伝搬損失は0.04dB/cmと算出することができた。コア領域とクラッド領域の屈折率差は0.02であった。
Figure 0004877305
実施例1〜3および実施例5〜7では、感光性樹脂組成物に光をあてると、光酸発生剤から、酸が発生し、照射部分のみにおいて、環状エーテル基を有するモノマーが重合する。そして、照射部分における未反応モノマー量が少なくなるため、照射部分/未照射部分間で生じた濃度勾配を解消するために未照射部分のモノマーが照射部分に拡散する。
また、光照射後、加熱を行うと、未照射部分からモノマーが揮発する。
以上より、コア領域と、クラッド領域との間でモノマー由来の構造体濃度が異なり、クラッド領域では、環状エーテル基を有するモノマー由来の構造体が多くなり、コア領域では、環状エーテル基を有するモノマー由来の構造体が少なくなることがわかる。
なお、実施例1〜3および実施例5〜7では、直線状の光導波路を形成したが、曲線状(曲率半径10mm程度)の光導波路を形成した場合には、光損失が少ないことが顕著になる。
さらには、実施例1〜3および実施例5〜7で得られた光導波路フィルムは耐熱性が高く、260℃の耐リフロー性を有している。
本発明の光導波路フィルムの製造工程を示す図である。 本発明の光導波路フィルムの製造工程を示す図である。 本発明の光導波路フィルムを示す断面図である。
符号の説明
1 ワニス
2 基材
3 光導波路フィルム
11 光導波路形成用フィルム
111 クラッド領域
112 コア領域
M マスク

Claims (4)

  1. (A)ノルボルネン系樹脂、100重量部と、
    (B)前記(A)よりも屈折率が低く、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーのうち少なくともいずれか一方、1重量部以上、50重量部以下と、
    (C)光酸発生剤、0.01重量部以上、0.3重量部以下と、
    を含み、
    前記(A)ノルボルネン系樹脂は、前記(C)光酸発生剤から発生する酸により脱離し、脱離により、前記(A)ノルボルネン系樹脂の屈折率を低下させる脱離性基を有する、光導波路用感光性樹脂組成物。
  2. (A)ノルボルネン系樹脂、100重量部と、
    (B)前記(A)よりも屈折率が低く、オキセタニル基を有するモノマーおよびオリゴマーのうち少なくともいずれか一方、1重量部以上、50重量部以下と、
    (C)光酸発生剤、0.01重量部以上、0.3重量部以下と、
    を含み、
    前記(A)ノルボルネン系樹脂は、前記(C)光酸発生剤から発生する酸により脱離し、脱離により、前記(A)ノルボルネン系樹脂の屈折率を低下させる脱離性基を有する、光導波路用感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる層を有し、
    前記層は、コア領域と、このコア領域を挟んで配置され、前記コア領域に隣接する一対のクラッド領域とを有し、
    前記コア領域の屈折率は、前記クラッド領域の屈折率よりも高く、
    前記コア領域における前記(B)由来の構造体濃度と、前記クラッド領域における前記(B)由来の構造体濃度とが異なる光導波路フィルム。
  3. 請求項2に記載の光導波路フィルムにおいて、
    前記コア領域と、前記クラッド領域の屈折率差が0.01以上である光導波路フィルム。
  4. 請求項2または3に記載の光導波路フィルムにおいて、
    前記一対のクラッド領域とは異なる方向から、前記コア領域を挟むように配置される他の一対のクラッド領域を有する光導波路フィルム。
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